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道教の教えでは、人間の体内には三尸(さんし)虫が宿っていると言います。 三尸虫は旧暦の60日に一回巡ってくる庚申(かのえさる)の日に宿主の体内を抜け出て、天帝に宿主の日頃の悪事を報告する。翌朝、宿主が目を覚ます前に戻ってくる。この報告の内容で宿主の寿命が決まると言われています。 三尸虫を体内から出さないため庚申の日になる前日から徹夜して神仏に祈る。この勤めを3年18回続け三尸虫を収めます。 この勤め達成の記念に建立したのを庚申塔(正式には庚申待ち供養塔)と言います。 庚申待の勤めは睡魔に打ち勝つため仲間を集め集団で行うことが盛んになります。 ◉庚申塔 庚申塔の形や彫られる神仏像や文字などはさまざまです。他に申は干支で猿に例えられるから、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿を彫り、村の名前や庚申講員の氏名を記したものが多い。また夜明け・次の日を待たれるからか鶏(酉)が配されたりします。 庚申塔の建立が広く行われるようになるのは、江戸時代初期(寛永期以降)頃からです。 当初は青面金剛(しょうめんこんごう)や三猿像のほか、阿弥陀、地蔵など主尊が定まっていない時期を経て、徐々に青面金剛像が主尊の主流となりました。 その後、江戸中期から後期にかけて「庚申塔」あるいは「庚申」と文字のみ彫り付ける形式が増加しました。 ◉青面金剛 青面金剛が主尊として定着すると、青面金剛像が形づくられます。 基本の姿は 三眼の憤怒相で四臂、 それぞれの手に、三叉戟、棒、法輪、羂索を持ち、 足下に二匹の邪鬼を踏まえ、 両脇に二童子と四鬼神を伴う 姿ですが、実際には青面金剛は六臂の姿で本手が合掌の合掌型もの、剣とショケラ(女性、子供)を持つ剣人型のものが多いようです。 邪鬼は1邪鬼のみ、二童子、四鬼神を省略したものなど変化に富んでいます。 |