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室町時代中〜後期の坐姿舟形光背六地蔵石仏

持宝山 多聞院 埼玉県さいたま市見沼区丸ヶ崎1186


JR宇都宮線・東大宮駅の北東約2kmにある真言宗の寺院です。最寄バス停はファミリータウン入口。
大宮市教育委員会の説明によると
この六地蔵石仏のうち向かって右側の5体は猪首状で簡素な表現から室町時代中〜後期(16世紀)のものと推定され、背面に「・・禅門逆修」、「・弥陀仏逆修」の銘が、左側の一体には「寛永十九年(1642)」の紀年銘が刻まれている。
この地域の名主(みょうしゅ)層夫妻が、あらかじめ自分達の死後の冥福を祈って造立したものと考えられる。
とありました。
東京都内の六地蔵を中心に随分たくさんの六地蔵にお目にかかってきましたが、一番古いもので江戸時代初期に造立されたものでした。
さらに驚きはその姿です。舟形光背を持つ地蔵像のほとんどが立像を浮彫にしたもので(写真右下)、坐姿の舟形光背地蔵像は大変珍しいと思います。
説明にあるように、確かにこれまでの舟形光背を持つ地蔵像と違って、光背と一体化した蓮台の造りや磨耗で彫りが浅くなっていますが頭部の造りが簡略化された素朴な造りになっています。
右5体の大きさは、光背が欠損したりしていますが高さ50cm、横幅が35cmの小さな石仏です。上の写真は右5体のうちの右3体です。
左端の宝珠に錫杖の地蔵(写真右上)は姿は似せて作られていますが、少し寸法が大きく、頭部に円光背を持ち、少し丸顔で表情もしっかりしています。
像容は左から宝珠に錫杖、鐃(にょう=銅鑼)?、拱手、両手で「U」型をしたものを持つ、両手で香炉?、合掌と見えます。 頭部に比べ磨耗度は少なく、衣のひだなども見てとれます。
石工の名前が刻まれた石仏、石塔を撮影するために近くの観音堂を訪問したのですが、偶然、当寺に室町時代の六地蔵があることを知り訪ねました。
造立時期の古さだけでなく、丸彫地蔵でも立像に比べ数の少ない坐姿を浮彫の形で見ることができ、貴重な体験の幸せな一日となりました。
(2025.04)




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