再建された六地蔵と残された二体の初代六地蔵
仏法山 東漸寺 千葉県松戸市小金359ー1
JR常磐線・北小金駅の南500mのところにある浄土宗の寺院。
総門から山門を潜って本堂まで300mの参道を歩きます。
本堂手前左に観音堂があり、その左奥が墓地になっています。
六地蔵は墓地手前左側に安置されています。
光背の先端に損傷があったり、地蔵ごとに多少形が異なっていたりしますが、高さ約140cmの大きく立派な船形光背の六地蔵です。
像容は左から幢幡持ち、合掌、宝蓋持ち、両手に鐃(にょう:銅鑼)持ち、両手で香炉持ち、宝珠に錫杖持ちの姿です。
描線が柔らかく、端正な表情、幢幡、宝蓋の造りが小さいのが特徴でしょうか。
また、鐃持ちの地蔵は六地蔵の組合せでは珍しい方です。
宝蓋持ちの地蔵の光背に「奉造立庚申供養同行十八人」と刻まれ、合掌地蔵の光背には「延(宝甲)寅二年十月」の銘があります。
幢幡持ちの地蔵の光背に「金十郎/平右衛門」「寂誉上人再建 又右衛門/吉四郎」の銘が、他の地蔵の光背にもそれぞれ「庄兵衛/久兵衛」などの人名が刻まれていますので、この六地蔵は延宝二年(1672年)に庚申供養のために十八人が奉造したものを寂誉上人が再建したのではないかと推察されます。
この六地蔵の背後にあたるところに「萬霊塔」があり、たくさんの石仏、石塔などが安置されていますが、その入り口の両側に二体の船形光背の地蔵像がありました。
大きさはやや小ぶりですが一体は幢幡持ち、もう一体は鐃持ちの地蔵で、先の六地蔵と造りがそっくりです。
光背の銘を調べると、幢幡持ち地蔵の光背には右に「金十郎/平右衛門」左に「又右衛門/吉四郎」と、六地蔵の幢幡持ち地蔵と全く同じ名前が、同じように刻まれていました。
また鐃持ちの地蔵の光背右に「三右衛門/長二郎」と刻まれています。これも六地蔵の鐃持ち地蔵と同じです。
鐃持ち地蔵は大きな損傷はありませんが、幢幡持ち地蔵は腰の部分で二つに折れてしまっています。
この二体は、残存する初代の六地蔵ではないかと思われます。
写真右上から柔らかい描線と端正な顔立ちの造り、珍しい持物の「鐃」、初代六地蔵の残された二体?、
参道入り口から総門を望む
(2024.12)
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