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石工の名前が刻まれた笠付き角柱六地蔵塔

野津田袋自治会集会所  町田市野津田町2541

小田急小田原線・鶴川駅の西3kmのところにある地域自治会の集会所の敷地内にあります。
集会所は芝溝街道が鎌倉街道と交わる袋橋の南にあり、周囲は住宅地です。
六地蔵塔は左右両脇に角柱石塔を従えるように祀られています。
姿は宝珠笠付き角柱の石塔で、塔身の三面にそれぞれ二体ずつの地蔵立像が浮き彫りされています。
大きさは総高が150cm、 塔身部分がH67cm、W 32cmです。
六地蔵は蓮弁に乗った地蔵立像で、像容は正面に合掌と宝珠に錫杖持ちの地蔵、左面に(*)と幢幡持ちの地蔵、右面に数珠と両手で宝珠持ちの地蔵です。像高は45cm。
左面の左の地蔵(*)は宝蓋か如意持ちかと思いましたが、左手は法衣の襟を抑え、右手は親指を内に折って手のひらを開いた印を結んでいるように見えます。これまでに見たことのない姿の地蔵です(写真右上)。
全体に風化が進み、持物の部分に小さな欠損も見られますが、頭部の造作が消えてしまっている以外はよく保存されていたと思われます。
各地蔵の上部には梵字(種子)が刻まれており、正面の上部左右に「天下泰平/国土安全」の文字が見えます。
塔身の裏面には「天保八年(1837)九月/大悲有縁?(開)眼?/??金(對鎧)/(信州石工)/伊藤友蔵廣國」 の銘がありました。
建造年と石工の名前は分かりましたが、奉造の目的は読み取れませんでした。
「(信州石工)/伊藤友蔵廣國」とあるのは名高い信州・高遠の石工の一人でしょうか。いずれにしても、職人の名前が刻み残されるのは極めて数少ないことです。
六地蔵塔の向かって左の石塔は角柱上部に陰刻の円に種子?が刻まれています。下の文字は「????塔」、左側面に願主の名前、右側面に建造年が刻まれています。
右の石塔は正面に「湯殿山/月山/羽黒山」、右側面に奉造者の名前、左側面に建造年が刻まれています。
二つの石塔には「鈴木勘右衛門」の名前が見えますが、六地蔵塔には願主または奉造者の名前らしきものを見つけることはできませんでした。
一つ所に祀られていますが、両脇の石塔と六地蔵塔とに関係があるのかどうかはわかりません。
(2025.01)

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