大珍品! 火袋の稜角に像を置く七地蔵灯籠
梅香山大聖院 青梅市梅郷6-1542
JR青梅線・日向和田駅の西北、直線距離で1300mにある真言宗のお寺です。
青梅駅からバスで即清寺バス停が最寄りです。吉野街道を挟んで当寺と即清寺があります。
吉野街道から脇道に入るとすぐに墓地屏があり小さな石柱門に出ます。正面に本堂、右手に庫裏、その右手から奥が墓地となり、本堂左手に地蔵堂、その裏に墓地があります。
地蔵堂の中央には105cm高の石柱の上に像高100cmの宝珠に金属製の錫杖を持った延命地蔵坐像が祀られていています。
明治二十二年の建立で、石柱正面には「為十方施主子孫長久」と、側面には施主名と建造年、吉野村村名由来などが刻まれています。
円光背を持った六地蔵はその左右に三体ずつ並んでいます。石柱台・蓮台の上に乗った60cmの地蔵像です。奉造年は主尊の延命地蔵より新しいと思われます。
台石には地蔵名が刻まれています。像容と地蔵名は左から柄香炉(持地地蔵)、数珠(法性)、合掌(宝性)、短い柄の錫杖(金剛悲)、宝珠に施無畏印(金剛宝)、宝珠に錫杖(放光王)です。
短い錫杖を持つ地蔵の姿はあまり見かけません。
奥の壁には奉納された絵馬がぎっしり納められていました。
地蔵堂の右手前には一台の灯籠が据えられています。よく見ると火袋に六体の地蔵立像を浮き彫りにしてあります。しかも面の中央ではなく稜角の上に彫り出されている大変珍しい灯籠です。
火袋の正面の四角い穴からは中に収められた石板に浮き彫りの地蔵像も見られます。合計七体の地蔵は像容がはっきりしませんが全て合掌の姿のようです。
総高は140cmで火袋は35cm、笠の幅は90cmあります。宝珠、笠、火袋および中台と基壇はありますが、その間の竿の部分は失われてしまったようで、ありません。
火袋の六面は、正面が四角い穴、円の中に兎の浮彫、三日月穴、円の中に鳥?の浮彫、太陽の丸穴、
円の中に動物?の浮彫となっています。
通常、六地蔵灯籠は火袋の六面に一体ずつ地蔵を浮き彫りにしたものか、火袋を支える柱を六角にして各面に地蔵を浮き彫りにしたものです。
この火袋の稜角に地蔵を浮き彫りにした灯籠は大珍品ではないかと思います。調べて見ると練馬区の広徳寺にこの形の灯籠があるといいますが、都内ではこの二つだけ?
本堂と庫裏と地蔵堂だけの狭い境内のお寺でしたが、こんな素晴らしい出会いが待っているとは思っても見ませんでした。
(2020.01)
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