地蔵名を陰刻した文字だけの六地蔵(六面幢六地蔵)
典勇山常善院 神勝寺 足立区大谷田1-33-15
JR常磐線・亀有駅から大谷田橋の六叉路に出て、中川に架かる飯塚橋方向に向かい、橋詰を中川に沿って北に入ったところにある真言宗のお寺です。
立派な山門を入ると右に大師堂、庫裏が並び正面が本堂となります。境内左は地蔵群を安置した雨屋と薬師堂が並び、その背後に墓地が広がっています。
雨屋の中には二つの六地蔵があります。一つは中央に立つ六角の石柱で、これは大変珍しい文字だけの六地蔵(六面幢六地蔵)です。もう一つは石柱の左右に三体ずつある船形の六地蔵です。
石造六面幢六地蔵は高さ100cm、幅30cmで六面には正面左=宝性地蔵、正面=法印地蔵、正面右=陀羅尼地蔵、裏面左=法性地蔵、裏正面=持地地蔵、裏面右=勝軍地蔵と地蔵名が陰刻され、正面と右、左の下部には「常念」「宝永五(1708)年」「壬正月一日」とそれぞれに銘が入っています。
船形六地蔵は姿は全て宝珠に錫杖の姿ですが、左から二番目だけが蓮台を浮彫にした台石の上に、さらに自身の蓮台付きで安置されています。
この像は石材の質も異なり、寸法も45cmと小さく、光背右の文字は読み取れませんでしたが、光背左に刻された銘には「宝永二年十一月吉日」が見えます。
その他の五体には蓮台がありません。高さ80cmで、台石には「講中」の文字、光背の右に「明和六(1769)年十一月吉日」、左には「大谷田村」との銘があります。
建造年だとすれば小さな地蔵との差は60年以上ありますが、「十一月吉日」と同じなのは何かの意味があるのでしょうか。
山門を出て左はすぐに中川の土手です。手入れのされていない土手には人影がありません。川向こうは葛飾区・水元です。(2016.10)
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