像容、持物の組み合わせが大変珍しい六地蔵
三宮神山大鷲院 勝専寺 足立区千住2-11
北千住駅西口を出て商店街を西に二信号行き、左に折れて少し歩くと右に赤い山門があります。浄土宗のお寺です。
境内は山門左に閻魔堂と鐘楼、右に馬頭観世音堂。正面に本堂と勝専寺会館という伽藍配置です。六地蔵は馬頭観世音堂の左に並んでいます。墓地は勝専寺会館の北側にあります。
六地蔵は円光背を持つ丸彫立像です。立派な台石の上にそれぞれの石柱台、蓮台を置いて、その上に100cmの地蔵が立っていますので、見上げる形になります。
像容は左から左手に宝蓋、左手に宝珠(写真右1)、左手に錫杖、左手に幢幡(写真右2)を持っていますが、右手の造りに特徴があります。
宝蓋と幢幡の地蔵はともに右手を胸に当てていますが(写真右3)、宝珠を持つ地蔵と錫杖を持つ地蔵の右手は袖の中にに隠れています(写真右4)。
次の右2体は左手に錫杖・右手は施無畏印の姿、左手に宝珠・右手は施無畏印の姿となっています。
宝珠を持つ地蔵と錫杖を持つ地蔵がそれぞれ2体ありますが、宝珠と錫杖持ちという地蔵おきまりの姿はありません。また、合掌する地蔵と数珠、香炉を持つ地蔵もいません。
何れにしても持物の組み合わせ、右手の処理が大変珍しい造りの六地蔵だと思います。石柱台の銘のよれば「安永9(1780)年 ?人為菩提建之」とあります。
北千住駅を最寄としたお寺には何回か訪ねましたが、こんなに駅近くに珍しい六地蔵があるのに気付きませんでした。
(2017.10)
(2025.03.17:再訪)
前回訪問時には写真撮影と台石に刻まれた紀年銘だけを確認して終わりにしていましたが、その他の各台石に刻まれていた銘が気になって、再訪しました。
台石の銘は以下のとおりです。左の地蔵から
①「○○(信士)/○○信女/(両)人為菩提建之/安永九庚子歳十二月」(写真右5)
②「上下2段、7人ずつの戒名」
③「十方三世/(盡)(虚)空偏/法界衆生/三界萬霊」(写真右6) 左側面に「小さく戒名」
④7文字4行の銘「(毎)日(晨)朝入諸定/入諸地獄令離苦/(無)佛世界度衆生/今世後世能引導」(写真右7) 左右側面に「小さく4つの戒名」
⑤「9文字8行、8人の戒名」 左側面に「小さく4つの戒名」
⑥8文字6行の戒名「○○信士/○○信女/○○信士/○○信女/○○信士/○○信女」
となっていました。
③の「尽虚空、遍法界」は「正法眼蔵弁道話」に出てくる言葉、 ④の「毎日晨朝入諸定/入諸地獄令離苦/無仏世界度衆生/今世後世能引導」は「延命地蔵経の偈」なのだそうです。
他は全て戒名が刻まれていて、30人以上になると思われますが、①の「両人為菩提建之」とあるのは少し疑問が残ります。
これで六地蔵全ての台石に刻まれた銘を読み取ることができました。
しかし六地蔵の新しい基壇の前に線香受け、花台が置かれた古い基壇があるのですが、その前面に大きく刻まれた6文字が読めなかったのが残念です。
六地蔵巡りに戻る
|
|
|