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稜角に六地蔵を浮彫にした灯篭

円満山 広徳寺 練馬区桜台6-20-19

臨済宗のお寺です。西武豊島線、都営大江戸線・豊島園駅と地下鉄副都心線、有楽町線・氷川台駅の中間に位置します。
江戸時代の諸大名を檀家とする大寺院だったそうで、当地に移転しても総門、勅使門、山門、本堂、鐘楼、書院など多くの伽藍を持っています。
敷地の北側が墓地となっていますが、かなり大きな大名墓地の区画があり、柳生宗矩の墓や小堀遠州の墓があります。
当寺には東京都内に二つしかないと言われる大変珍しい稜角浮彫六地蔵灯篭があります。山門を入って左にある庫裏入口前の植え込みの中です。
高さは約280cmで、火袋に開けられた火入口は西向きです。火入口の左面は太陽、右面は月、反対面は三星が彫り抜かれています。火袋の中は空で地蔵像はありませんでした(写真右)。
六地蔵の像容は宝珠に錫杖、数珠、両手で宝珠、幢幡、柄香炉、宝蓋で、天地60cmの火袋一杯に彫り出されています。
竿の一部にやや大きめに「為大圓院殿」の文字があり、その左脇に小さな文字が刻まれていましたが、読み取れませんでした。
小堀遠州墓をお参りするために大名墓区画を巡った時に「大圓院殿」と大きく刻まれた石塔があるのに気付きました。下の台石には「従四位前飛州大守 松隠宗茂大居士 寛永十九(1642)壬午歳十一月廿五」とありました。
調べて見ると「大圓院殿」は柳川藩初代藩主・立花宗茂の法号だそうです。
庫裏入口前の植え込みの中にある稜角浮彫六地蔵灯篭は立花家の墓地にあったものが、関東大震災後の 当寺の移転時に墓地から離れてしまった?
もう一つの稜角浮彫六地蔵灯篭は青梅市の大聖院にあります。竿の部分が失われ、全体に風化、欠損が見られます。火袋の天地が35cmで地蔵像も小さく、全て合掌の姿です。
東京23区内の六地蔵はある程度訪問し終わったと思っていたのですが、これほどの貴重品を見逃していたとは驚きです。 (2020.01)

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