儀軌に忠実、六体全てが宝珠をもつ六地蔵
幡曜山恵門院 円応寺 大田区矢口3-21-15
東急多摩川線・矢口渡駅の南西約1kmの所にある真言宗のお寺。駅を西に行き第二京浜に出て南へ多摩川土手の手前を右に入り、二又信号機を土手沿いに行くと本堂屋根が見えます。
山門に立つと20段ばかりの石段の上に向拝のある本堂がそびえ立っています。境内はそれほど広くありません。
山門左の前庭には外壁に沿って不動明王、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩などの石仏が十二体祀られています。
本堂右が庫裏、左が墓地になっています。
墓地の入口には2メートルもある巨大な庚申塔と風化で姿が判別しにくくなった地蔵菩薩、それに新しく奉造されたもので六地蔵が並んでいます。
六地蔵は平成23年に建造されたもので「息災延命六地蔵」と名付けられています。台石と同じ石で作られたモダンな雨屋の中です。
各地蔵の台石には地蔵名が記されています。左から大堅固地蔵(天道)、大清浄地蔵(人道)、清浄無垢地蔵(修羅道)、大光明地蔵(畜生道)、大徳清浄地蔵(餓鬼道)、大定智悲地蔵(地獄道)です。
像容は大変珍しく、五体の地蔵が左手に宝珠を持ち右手に持物または印の姿です。残る一体は宝珠に錫杖ですが、通常とは逆で左手に錫杖、右手に宝珠を持っています。
左から宝珠に経巻、宝珠に施無畏印、宝珠に梵経、宝珠に如意、宝珠に与願印、錫杖と宝珠という姿です。
地蔵名、六道対応、像容から密教の図像や作法を記した「覺禪鈔」を儀軌(根拠)として造られてたものと思われます。地蔵名と持物がピッタリ一致する数少ない例です。
また、足は左足をやや引き、右足を前に出した立ち姿です。像高は65cmとやや小さめです。彫りは深めで、表情は柔らかく、衣の襞などもゆったりした造りです。
巨大な庚申塔は寛文4年(1664)3月、当寺発願のもとに供養建立したもので、大田区指定有形民俗文化財なのだそうです。
帰りは多摩川の土手に上って、第二京浜をとぼとぼ歩いて矢口渡駅まで。少し気温の低い日だったので助かりました。
(2018.08)
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