利かん気な男児を思わせる小鼻や引き目
祟鎮山観音院 無量寺 世田谷区用賀4-20-1
東急田園都市線・用賀駅の北、徒歩数分のところにある浄土宗のお寺。駅前再開発地から一区画しか離れていませんので、タワービルの影が届きそうな距離です。
山門を入ると、境内中央に本堂、左に観音堂(大悲殿)、右に庫裏という伽藍配置です。墓地は境内左右にあります。
六面塔六地蔵は観音堂の左横、墓地入口の一角に宝珠・錫杖姿の丸彫り地蔵菩薩立像とともに祀られています。
六面塔は大きな石柱台の上に載っており、柱の部分が67cm、六面台を入れると77cmあります。一辺の幅は13cmでそこに蓮台込みで43cmの地蔵立像が浮き彫りされています。
像容は正面から右に宝珠に錫杖、両手で宝珠、幢幡、真裏が合掌、数珠、柄香炉となっています。
彫りは全体的に鑿痕が堅く、手足の表現が角張っていて粗い感じがしますが、錫杖の飾りや香炉の縁飾りなど細かく彫り出してあります。
顔の作りは小鼻が膨らんでおり、引き目の表情と鑿痕の硬さも相まって、可愛いというより利かん気な男児を思わせます。この顔立ちは以前にも出会ったような気がしますが思い出せません。
円光背の上の部分に銘が刻まれていたようにも見えますが、判読不能です。石柱台には「享保三(1718)年」の文字が見えますが、この石柱台と六面塔は一組のものではないように思えます。ちなみに一緒に祀られている丸彫り地蔵立像の台石には「宝暦十一(1761)年」奉造とあります。こちらは石柱台を含め一組のセットのようです。
山門の外、左右に地蔵像があります。左に立像と坐像、右に立像です。左の立像の台石には「三界萬霊」を中央に「左大山道? 右府中道?」また側面に「享和二(1802)年」の文字が読み取れました。道標が台座として使われているようです。
再開発地区のすぐ近くに樹齢100年以上と思われる大木が聳える静かな境内がありました。
(2018.05)
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