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珍しい七観音石幢とバラバラ六地蔵

明王山不動院 重林寺 豊島区池袋本町2-3-3

JR池袋駅東口から出るバスを池袋4丁目で降りると首都高速5号池袋線を挟んだ対面に山門がある真言宗のお寺です。
左に山号寺号を彫り込んだ大きな兜型の石版をもつ山門を入ると正面が本堂で、その右に庫裏、左手前に鐘楼、その奥に大師堂があります。墓地は境内の左から本堂裏に広がっています。
境内はよく手入れされた庭木が多く、その中に多くの石灯籠や石塔が建っています。
そのうちの一つが山門のそばに建つ七面に聖観音、十一面観音、馬頭観音、千手観音、勢至観音、准胝観音、如意輪観音の七観音を浮き彫りにした大きな石幢です。
建造は「享和三(1803)年」です。七面石柱だけで高さ110cmありますので、基壇を含めれば250cm以上です。
台石には「天下泰平国土安穏」「西国三十三箇所 坂東三十三箇所 秩父三十四箇所 四国八十八箇所  右順禮供養佛」「三界万霊六道四生 有縁無縁一切?読 皆成仏道」などの銘が刻まれています。 さらに施主名に加え石工の名前も残されていました。
七観音ですが真言系の六観音は聖、十一面、馬頭、千手、准胝、如意輪ですが、ここに勢至観音が加わっています。
ちなみに天台系では准胝観音の代わりに不空羂索観音を加えて六観音となります。
六地蔵は鐘楼と大師堂の間にある墓地入口のコンクリート塀の前に安置されています。
赤い前垂れをした石仏は十二体ありますが、左の二体は小さな船形光背の観音と石柱に浮彫の地蔵のようです。
その右に像高120cm超の地蔵一体と100cmの地蔵が二体、その右に像高80cm弱の地蔵が三体並んでいて、これらが今の六地蔵?として墓参者を迎えています。
さらにその右には50cm弱の地蔵一体と地蔵が破損し蓮台のみのものが二体、最後に小さな坐姿地蔵のようなものが安置されています。
この中で同じ石柱型台石が六つありますので、蓮台の形などから推測して80cm弱の三体と蓮台のみの二体が元の六地蔵だったと思われます。50cm弱の地蔵は台石だけを借りて安置されたものです。
六つの石柱型台石には戒名と「天明三卯(1783)、四、五年」の年号が読み取れます。
像容は大きな地蔵が宝珠と数珠、次の二体が幢幡、柄香炉、小さな三体は数珠、合掌、幢幡で最も小さな地蔵が宝珠と錫杖の姿です。
七観音石幢は、水場の屋根、植木、外壁が迫っていて上手く撮影できませんでした。また、石塔、石幢では常に光線が悩みの種です。 (2017.08)(2019.12)


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