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ホビット庄暦とグレゴリオ暦の対応についての一つの提案


1999.10.12 高橋誠

 『指輪物語』追補篇Dの記述には、ホビット庄暦とグレゴリオ暦との対応について次の意味のことが書かれています。
  1. 4年目ごとの閏年には中日の次にライズ重日を加える。
  2. 中日はできるだけ夏至にあわせた。
  3. ホビット庄暦はグレゴリオ暦より10日ばかり進んでいて、わたしたちの新年は、かれこれ1月の9日頃になる。
 実は2.と3.とは矛盾します。3.の対応を取る方法では1950年から2050年まで中日は夏至になりません。英米のトールキンカレンダーではこの対応に従って、指輪物語の事象の日付が記されています。
 1月10日に対応させれば半分くらいの年で一致します。ただこれが気にいらないのは現在のグレゴリオ暦の世紀を基準にしてしまうことです。
 そこで1.を「4年目ごと」だけを無視して採用し、これと2.の中日が必ず夏至になるような対応を考えました。
  1. グレゴリオ暦でその年の夏至から次の夏至までの日数を計算します。
  2. それが366日ある年を閏年としてライズ重日を中日の後に置きます。
  3. これを基準にグレゴリオ暦とホビット庄暦を対応させます。

 こうすると25年に5回の閏年を置くことになります。つまり、25年に1度閏年の間隔が5年になります。これでは中日が「必ず」夏至に一致するので、2.の指示に従っていないのかもしれません。
 1950年から2100年までのグレゴリオ暦による夏至の日付と翌年の夏至までの日数を表A 1950年から2056年までの夏至の日付とカレンダーの対応に示します。(2000年までは暦計算研究会編「こよみ便利帳」1983,恒星社厚生閣を参照し、その後は近似式により計算しました。)
 夏至の日が一定していないことが分かります。これはグレゴリオ暦の閏年の入れ方が計算のしやすさを優先して決められているためです。一律4年に一度の閏年にしておいて、100年間にたまった誤差を一回閏年を抜く、つまり閏年の間隔を8年にするという「乱暴な」方法で修正しているからです。(さらに、400年に一度調整します。)
 年の前半と後半にわけて五つの対応表を作成しました。表Aの「カレンダーの対応」にそれぞれの年の対応表を年の前半、後半に分け示しています。これを組み合わせることで1950年から2055年までの対応表が得られます。
 それぞれの表の適用条件を示します。

暦の対応を示すための表の一覧
期間適用条件
1月から6月表B平年で夏至が6月22日の場合
表C平年で夏至が6月21日の場合
表D閏年
7月から12月表E平年で夏至が6月22日かライト重日のある場合
表F夏至が6月21日の場合

関連ページ

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 須賀隆さんが、暦相互変換プログラムを作成されていて、その中にホビット庄暦が取り上げられています。グレゴリオ暦の1月10日をユールに対応させる方式と夏至を中日にする方式の両方が選べます。WWWで直接暦対応の結果を得られるようになりました。

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