ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/6記)
試合当日夜の放送だけに、いかんせん編集の荒さが目立った中継だったが、まぁリニアな反応はテレ朝としては珍しいのでこれでも良しとしたい。で、何でこんなに編集が荒くなったかだが、例年割合お祭り的要素の多い新春の闘強導夢大会なのに、今年に限って色々な出来事が起きすぎたと言うことだろう(何たってエンディングロール無しの武藤勝利でブツ切れ)。まぁ放送前は、武藤のチャンプ奪回と御ひいき筋の小島、天山組の試合を中心に、橋本が耐えて勝つ小川戦や健介の反則勝ちする大仁田戦を絡めれば良いかな、と考えていたのだろうが、そうは問屋が下ろさなかったのだ。
まず、大仁田にいいように美味しい処を持って行かれて、最悪だった健介との試合。最高のコンディションに仕上げて挑んできた小川に、良いところ無く格下扱いで負けた(実際はノーコンテストだが)橋本。この二試合のインパクトがあまりに強すぎたため、本来のメイン、セミが霞んでしまっていた。で、中継サイドとしてもどの試合の比重を高くするか迷ったのだと思う。一時間中継だったら、文句無しに上記の二試合だっただろう。何てったって当日中継のライブ感を活かすには、事件性の高いモノをメインにもってくるべきだし。だが、枠は二時間あった。このせいで、まとめれば当初予定していた試合が、全部入るという計算になってしまった(ジュニアのタイトルマッチも含めて)。これが今回の荒い編集の原因だと思われる。だから、取りあえず見せなきゃいけないところをピックアップして繋げたのが、今週の中継なのだと思う。テレ朝のことなので来週からは、しばらく闘強導夢大会の再放送をやると思うので(って言うか新日自体がオフなんだけど)、その時じっくりノーカットの映像を見たいと思う(退場していく大仁田に対してあの後健介がどうしたかとか、いっぺん退場しかけた小川が戻ってきて長州と絡んだ辺りとかが気になる)。その上で、いつもの通り個々の印象を書こうと思う(もう、バカ大仁田のことを書きたくて書きたくてしょうがないのだが(まんまと乗せられている))。
なーんてテレビを見ただけで判断していたのだが(まぁテレビ観戦記だし)、当日会場に行っていた友人の話によると、大事なところはテレビではやってなかったらしいぞ。いよいよ持って来週からの再放送に期待。果たして、テレ朝にそのやばそうなシーンを放送する度量があるか?少なくとも、近々テレ朝を退社する辻アナにはあると見た(だって橋本の負けを認めてたし、ノーコンテストにも明らかに不服そうだった)。
UFO世界格闘技連盟 TBS系金曜深夜(1/10記)
さて、旗揚げ第二戦も無事TBS系列で放送されたアントニオ猪木率いるUFOだが、残念なのはテレ朝が試合当日に東京ドーム大会を放送してしまったため、30日に行われたUFOの興行と放送順が逆になってしまったことである。できればゴルドー対小川戦を見てから、小川対橋本戦は見たかった気がする。それと、あまり格闘技中継の実績のないTBSなので仕方のないことなのだが、アナウンサーのレベルが低すぎる。少ない実績の中でもUWF等の格闘技色の強い中継を、行ってきているのだからもう少し、考えた実況、発言をしてほしいものだ。とにかく質問のポイントなどがずれていて、どう見ても格闘技戦仕様のタイガーマスクに対して、空中技をどう生かしていくかなんて話をするのだから困ったものである。またフジの一茂に対抗したのか、これまたプロ野球二世スター(?)のカツノリを起用しているのだが、一茂に比べたらただの一般人で、当たり障りのないコメントに終始していたのも興ざめした。
で、相変わらずプロレス以外の格闘技界に疎い私は、プロレスの中継に出てきた人しか知らない為それ以外の試合のコメントは差し控えたいのだが、面白かった試合はブレス対タイガーマスク戦、アレク大塚対佐山戦であろうか。タイガーの相手のブレスなる人物がどれほどの人物なのか当然知らないのだが、見ていて結構実力差があるように感じた(いや本当に知らんよ、実力は)。タイガーの立ち振る舞いに余裕が感じられたのと、プロレスの試合のように(一応UFOはプロレスでは無いと考えて)技がビシバシ入るあたりでそう感じたのだが、プロレスファンが異種格闘技戦として見てみたいのはこういう試合だと思う。異種格闘技戦というのは、なかなか噛み合わず凡戦になったり、プロレスラー不利のルールでプロレスラーが惨敗したりするものが結構多いのだが、こういう適度にプロレスの技も出て見せ場もあり、プロレスラーが完勝するような試合をプロレスファンは期待しているのだと思う。そういった意味で大プロレスファンである私は、見ていて非常に楽しい試合であった(タイガーが純粋にプロレスラーかと言われるとちょっと困らなくも無いが)。
もう一試合は大番狂わせととるか、ある意味大物食いの本領発揮と見るか難しいところだが、今回から採用された、猪木お得意の円形リングが佐山の仇となった形だ。見ればわかるが明らかに通常の試合なら有るはずのないマットで技はかかっており、円形リングの有効性というか面白さが出た試合だと思う。ただ、どうせやるならロープも円形に張るべきだと思うし(無理だけどね)突き詰めるとアルティメットのリングのようになってしまうのかなとも思う。また、佐山のコンディションが例年に無く良いというふかしも入っていたが、明らかに小川を最初にトレーニングしていた時よりも肥えていることと言い、いつもの肥満体を隠す黒いTシャツを着ているあたりからも、そんなに特別調子が良いというわけでは無かったと思う。とにかく今アレクサンダー大塚が旬であることは間違いない。できればこの旬のうちに色々なレスラー、格闘家と対戦して名勝負を残しておいてほしいものだ。旬というモノはとてつもなく短く、調子に乗ってボーっとしているとあっと言う間に通り過ぎてしまうモノなのだから。
後は、ある意味UFOの生命線でもあるノールールを生かした試合が、前回のゴルドーに続きフライによって成されたわけだが、このノールールというインチキ臭さは、プロレスサイドで育った人間にとっては非常に良い緊張感を伴うハラハラする面白いルール(?)で有ると思う。ただ問題は微妙なバランス感覚を持った人間が行わないと、諸刃の剣となる可能性がある。そういう意味で、ゴルドー、フライと言う二人は、うまーい具合に使いこなし、試合をだめにせず成立させているあたりはさすがだとおもう(さじ加減一つだからな)。
メインのゴルドー対小川戦は、たいしてやる意味のない公開スパーが、良いプロレス的胡散臭さを生み出していると思う。何と言ってもハンディカメラ的画像の荒れが、確信犯的ながら良い臨場感を出している。どう考えたって、乱闘してください。そうじゃないとカメラ持ってきた意味が・・・ってな空気が、あの公開スパーの空間には漂っていると思う。試合自体は、次の橋本戦に続く小川の絶好調さを物語っていて(意図的かどうかは別にして)、特別面白いモノではなかったが、UFOに不可欠な微妙な緊張感は保たれた試合では有ったと思う(って言うかゴルドーがよくわからん)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/11記)
やはりと言うか、今回に限っては良くやったと言う感じのテレ朝のドーム大会再放送。先週カットされていた大事な所もノーカットで収録されていて、ダビングして残しとくんなら今週が正解である。で、あらためて見た感想としては、ラリアット馬鹿一代が率いる新日の問題点が色々出たなという感じだ。
まず大仁田戦。大仁田自体の話はキリがないのであまり触れないが、そもそも大仁田はFMWを追い出され、表向きは新日なり全日なりに死にに来ているのである。言うなれば邪道を王道なり本道なりに倒して貰いたいのである。ただ、新日が反応してしまい、長州が絡んできた辺りで「これはもう少し飯が食えるわい、それに長州には散々インディー批判されたからのぅ」位のことは考えてると思う。そういう邪な考えを粉砕する意味でもドームで長州の代役たる健介が、たとえどんな反則をされても、力でねじ伏せてKOしてやれば、無事邪道昇天でこれ以上インチキ大仁田の相手を、新日がする必要はなかったのである。
ところがここで今の新日の問題点露出である(と言うかこれは昔からか?)。そもそも新日が大仁田を上げたのだって、ドーム大会がマンネリ気味でチケットのさばきに不安を感じたからだろう。さらに、大仁田には馬鹿な固定ファンが居なくもないので、大仁田をしばらくリングに上げていれば、ある程度の観客動員が見込める。そう考えたのだ。長州プロデューサーなりケロ参謀が。その結果ドームでは遺恨が残るように、ファンのフラストレーションが溜まるように、試合を終えることを考えていた。普通の新日なら、大仁田が火を放って即のゴングはあり得ない。なぜなら自分たちのリングでそんな事をした奴を許さないからで、その相手をボコボコにする時間が必要だからである。今回でも大仁田が火を放った後に、健介が反撃してスリーカウントを取れば、観客も大仁田も(?)満足で丸く収まったはずである。それなのに大仁田が何か反則するのを待ってたかような、素早いゴングには、今の新日の商売っヶの多さを感じさせて、悲しい気分にさせられた。
だいたい昔から親日は「誰の挑戦でも受ける」と言っては、色々な飯の種をリングに上げてきた。だがこと長州が指揮を執るようになってからは、リングに上げる奴の見極めがなっていないと思う。と言うか、最近のこんな技出しときゃ良いんだろプロレスを垂れ流ししすぎていて、新日はインディーの連中に舐められているのだと思う。前だったらびびっていて、新日に挑戦状を叩きつけるなんて事は、相当のおバカさんにしか出来なかったモノなのに、今では「お互い良いビジネスして儲けましょうよ」的ノリで、どんどん絡んで来たがる。これは本当に問題である。ストロングスタイル何処へやらである。そういう新日のイヤらしさが出たのがこの大仁田戦だったわけだ(それにしても大仁田のやられている演技というか、フラフラな演技はさぶかった。中学の学芸会じゃないんだから。テレ朝もあんなにカメラ向ける必要無し。向けられれば向けられるだけうれしくて調子に乗るのだから・・・何で、あんなのが好きな奴が居るんだろ?気持ち悪いじゃん大仁田って)。
次にもう一つの問題の試合、橋本対小川戦であるが、この試合は小川の「新日ファンの皆さん、目を覚ましてください」この一言がすべてを物語っていたと思う。前からこのページで書いていたことだが、今の新日は全然ダメである。ストロングスタイルのかけらもない、デブっちょレスラーによるラリアット演劇会。むしろ全日の方が正当派ストロングスタイルプロレスと言っても良いくらいである。だいたい今の新日には、ヤバさとか緊張感というモノがない。それを危惧したアントニオ猪木は、UFOと言う団体と真っ白な逸材小川によって、新日に警鐘を鳴らしているのだと思う。
それほどまでに猪木と佐山が作り上げた小川というレスラー(?)は凄い。ひょっとしたら鶴田や前田を超える化け物かもしれない。大体ほんの2.3年前まで、柔道専用の体だった男がここまで格闘技向きの体(いや柔道も格闘技だけどね)に変われるのも凄い。これだけで小川の格闘技に対するセンスを感じる(輪島や北尾と言う酷い見本を見てきたせいもあるが)。それに当初はSTO等柔道に頼った技が多かったのに、今回の小川は完璧と言って良いほどモデルチェンジしていて、アルティメットファィターのような動きをこなしているのだから心底恐れ入る。久々にプロレス界に現れた超大物逸材なので、勘違いして変な方向に流れて行かないことを心から願う。
話が少し脱線したが、新日ファンは目に焼き付けただろうか、新日で異種格闘技戦などもこなす、もっとも実践的レスラーだと思われていた橋本があのザマである。小川の寸止めではないパンチを見ただろうか?さらに言えばそれに全然対処できなくボコボコにされた橋本を?昔のストロングスタイル全盛の時の新日ならこんな事にはならなかった。試合では使わなくても、道場でしっかり実践的なことをやっていた筈だからだ。毎日毎日同じ、演劇のような試合をやっていたのがこの結果だ。そしてそれを受け入れ甘えさせてきたのは、君たち新日ファンだ。その結果が、橋本の「頼む、反則負けにしてくれ、今日はマジやばい」と言うタイガー服部への幾度にもわたる暴行である。
プロレスが常に真剣勝負で、嘘偽りの無い格闘技だと今更言うつもりはない。だが過去の先輩たちが築き上げたストロングスタイルという財産に、胡座をかいて飯を食って演劇茶番プロレスをやっていてはダメだと言うことがこの試合で解ったと思う。プロレスというモノは鍛え上げた最高の肉体を持つ、最強の男たちが繰り広げる夢の世界だから面白いのである。同じ事の繰り返しになるが、夢を守るためには最強でなくてはならない。そしてプロレスという夢の世界を守れる男は、新日の橋本では無く、UFOの小川であると言うことだ。一日も早い小川のプロレスラーへの正式転向を望む。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(1/11記)
普通は、呑気に悪役商会がらみの試合やヘビー級バトルロイヤルで幕を開ける新年の全日中継だが、今年はヘビー級バトルロイヤルの放送はあったモノの試合そっちのけで、ベイダーと小橋の乱闘が映されていた(事実、バトルロイヤルの勝者は誰だか解らずじまい)。そして放送のメインは世界タッグタイトルマッチという、新年から怒濤の番組構成で、非常に攻めの全日本プロレス中継である。
その最強タッグ戦なのだが、率直に言って試合の始まる前から少し興味は薄れていた。何と言っても今の全日の流れの主役はベイダーであり、そのベイダーに力負けせずに戦える第一候補は、小橋である。その上開幕戦で、ベイダーにあんな怪我を負わされたとあっては、どう考えても小橋&ベイダーがらみで今年はスタートするというのが明らかである。またモチベーションという点でも、何の意味があるのかは良く解らないが、小橋革命とうたっている小橋、秋山組と、長い間組んで防衛もある程度重ねた川田、田上組では、小橋組の方がベルトに対する執着心が上であろう。そんな関係でベルトが移動するのが見えていたため、関心が薄れていたのだが、いざ始まってみるとやはり全日らしいメリハリと驚きのある攻防で結構見させられてしまった。
試合前、川田組が小橋の目を攻めなければ防衛もあり得るなと思っていたのだが、そこはそれ明るく激しい全日だけに、初っぱなからガンガン攻めていて、思った通り小橋大ピンチ&小橋組大声援。あげく、田上がエプロンから小橋をDDTに仕留めるという、やめときゃ良いのに系の技まで出してもスリーカウントは入らず、攻め疲れてきたところで、ラリアット相打ち、至近距離ラリアットで田上がスリーカウント奪われてしまったのだ。で、毎度毎度で申し訳ないのだが、やはりラリアットにかける小橋の意地は素晴らしい。この試合の相打ちラリアットでも、吹っ飛んでいるのは巨漢田上の方で、本当に見事な破壊力である。さすが、本物の日本一のラリアット使いは違う。
試合中いつものごとく大した話でもないのに、重大発言とちらついてて鬱陶しかったテロップだが、今日の三沢発言は本当に重大発言であった。あの全日の三沢が、新日の橋本、小川戦に苦言を呈しているのだ。御大馬場が体調不良で居ない間に、とてつもない発言が出たモノだ。以前の全日なら絶対あのような発言は出てこなかったし、よりによってトップの発言である。馬場の目が届かなくなっているのか、三沢にそこまで馬場が許しているのか真実は解らないが、いよいよ全日も本格的に動き始めていると思う。この発言がきっかけで、新日側が噛みついてくる可能性もあるし(それどころではないか?)UFOが絡んでくるかもしれない(これだけは猪木だから絶対に無いか)。本当に新春からプロレスファンの想像力を掻き立ててくれる、素晴らしい発言だった。ただ唯一心配なのは、今まで貝になることで独自の良いポジションを固めていた全日が、変な方向に流れていってしまわないかと言うことだ。とにかく、三沢プロデューサーのお手並み拝見である(ラリアット馬鹿一代がだめなだけに)。
あっ、出場停止処分の橋本が新日と決別して、フリーとして全日に上がるってのもあるなぁ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/18記)
どうでも良いタイトルマッチの再放送なので見なかったっす。あまりに小川と大仁田に喰われてて、危機感を感じた天山のムーンサルト以外は、特に見る所は無かったような気がする。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(1/18記)
正月開幕戦からぶち切れて、後楽園ホールを血に染めたベイダー対小橋の、たぶんこれから名勝負数え歌になるはずの第一戦。だが、はっきり一言で言うなら凡戦。
上記したようにベイダー、小橋共に、これから名勝負数え歌にしていかなければいけないカードなので、第一戦は取り敢えずこんなもんか的試合だった。だいたい膝の状態がわりあい良い今のベイダーに対して、手負いの小橋では最初から歯が立たなかったという感じだ。それなのにベイダー様は、新日の時のように誰も戦う人が居なくなっては困ると思ったのか、遠慮気味のファイトで試合を繋いでいっていて非常に見ていて歯がゆかった。この後も名勝負数え歌にするのだったら、初戦は手負いの小橋が、ボロ雑巾のようにやられて、以後の試合に因縁を持たせるという展開でも良かったのではないだろうか?倒すべき相手が強ければ強いほど、物語というモノは盛り上がる筈なのに、いかんせん今の全日では「小橋革命」と言うモノが邪魔をしていて、せっかく絶好調のベイダーの強さを際立たすチャンスをみすみす逃しているような気がする。最強タッグ決勝にしても、今日の試合にしてもベイダー圧勝にしておいた方が、絶対今後の戦いが盛り上がったと思う。
両者リングアウトや反則負けが無くなった今の日本のプロレスマットでは、ベイダーぐらい強い選手は存在しているのが難しいと思う。今日の試合だってすべてベイダー様のさじ加減一つだった。序盤の遠慮気味のファイトにしても、場外でのパワーボムにしても、さらには当たってもないソバットでロープから転げ落ちる様まで、すべてベイダー様の過剰演出であった。現状の小橋とベイダーでは、ベイダーがプロレスをやってくれる気にならないと(今日みたいにね)、試合が成立しないのではないだろうか?それほどまでに今のベイダーは圧倒的である。ただ問題なのは、新日育ちのベイダー様はいまいちプロレスが旨くなく、無理にプロレスをやろうとすると今回のような試合や、新日での晩年でのファイトのように、あまり面白みのない試合になってしまうと言うことだ。そんなベイダー様をうまく生かすためには、今日の試合の終盤のような、他者に有無を言わさぬ圧倒的な試合を続けていくべきだと思う。そういう試合の合間合間に、三沢とか小橋が膝を攻め抜いて勝ちを拾うという試合が入るのが、説得力のある展開だと思う。誰が見ても手を抜いてると思うファイトをベイダーにさせておくのは損である。別にベイダー相手に無理に勝たなくても良いだろう、そのほうが勝てないベイダーに偶然勝ったーって時に盛り上がるし。ハンセンだって昔はそうだったじゃん(だから両者リングアウトとか、反則がないのは辛いよな。まぁ無い方が良いんだけどね)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/26記)
インタビュー三連発。マサさんのラリー・ズビスコ戦は、現場にいただけに本当に嬉しかったことを思いだした(只AWA自体が衰弱しつつあった時期だけどね)。後は、週間プロレスのインタビューでは「どうすんだろう?」と思わすような事を言っていた橋本だが、ちょっと間を置いた分だけ前向きなプロレスラーらしい発言になっていて安心した(安心したからと言ってどうなるモノでもないけど)。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(1/26記)
新日が小川ショックと共に、もう「誰の挑戦でも受ける」過激な団体で無くなり、演劇集団への道を歩もうとしているなか、昔演劇集団だった全日では、プロレスバカ達による熱く過激なプロレスが展開されているのであった。
試合展開自体は、はっきり言って60分時間切れ仕様のもっさりした立ち上がり&エルボー、顔面蹴りの繰り返しで、それほど燃える展開ではなかった(これまたいつも言うが、会場とテレビ前の温度差ってのもある)。さらに、三沢が何故あの早い時期にタイガードライバー91を出したのかも良く解らないし、しかもそれを失敗して膝を痛めてるなど全体的に5.1と同じく三沢が精彩を欠いていたように見えたのも、こちらの気持ちがなかなか入らない原因だったように思う。
そんなパッとしない(こっちの目が肥えすぎているというのもあるが)三冠戦を、熱いモノに変えていたのは、やはり川田のガッツであろう。正直に言うと今回の試合の結果は、スポーツ新聞が目に入ってしまい事前に知っていたし、川田の骨折のことも知っていた。そんなわけで、川田がそんな体でどうつじつまを合わせてベルトを取ったのかと、斜に構えて意地悪な見方をしていたのだが、川田のファイトには全く文句のつけようがなかった。試合後に、腕を痛めたのは開始7分頃と出ていたが、本当だとしたらすごい根性である。その後20分近くにもわたりファイトをし続けて、相手の技も受け続けていたのだから、まさにプロレスラー、プロレスバカである。骨折しているのだから、軟弱な格闘技系の団体ならそこで試合がストップになって、観客に言い訳しているはずである。それなのに、三沢に対してちゃんと勝つプロレス、勝つ流れに持っていっているのだから本当にすごい男である。八百長がどうかとか、寸止めがどうかとか、そんなことで試合を放棄してプロレスを守ったなんて言ってる男に見せてやりたいファイトである。大事なことは、たとえどんな形でもプロレスラーはリング上で、プロレスファンの満足する納得するファイトを見せるべきなのである。川田にはそのことがよーく解っているように感じられて、そういう意味で意義のある熱い三冠戦であったと思う。只、技のインフレはもう結構やばいところまで来ているのは事実であるとも思う(でも、もっとすごい技が見たいんだけどね)。
後、どうやら春からは45分枠で放送されることがほぼ決まったようで、めでたい限りである。
でも、ベイダーに字幕出せって言ってんのによー(よけいな字幕は一杯出てるのに、NTVスポーツ中継のテーマとか)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/1記)
さて、やっと通常のテレビ放映の始まったワールドプロレスリングだが、何と珍しいことにトップ3人が誰も出ていない放送になってしまった。まぁ、それぞれにそれぞれの理由があるのだからしょうがないが、いよいよもって三銃士以下の世代への時代の移り変わりか?何て勘違いさせる放送だった。
ではちょこちょこと振り返っていきたいと思う。まずは晴れて?新日の社員となった山ちゃん対小島の試合。この試合の山ちゃんは社員になって気合いが入ってたのか、非常に切れのある良い動きを見せていた。カウンターのハイキックも良い感じで決まっていたし、手首から入っていく脇固めも、あぁやっぱり山ちゃんは良いなと思わせるに十分な鮮やかさだった。だが、そこは社員になって子飼いにされた悲しさ。たとえしょっぱくてもうちの会社は小島を売るよ、と言う方針には逆らえず、見せるところだけ見せてさっさと負けて帰っていってしまった。あぁあの山ちゃんもこうして中堅レスラーとなって消えていくのだなぁ。
次はやっぱり中西対安田のバカ対決であろう。これはヘビー級らしい試合で面白かった。小島という頭脳を失ってしばらくたった中西だがようやく自分の脳味噌も回りだしたようで、試合後のマイクアピールもなかなか綺麗にまとまっていて成長の跡を見せていた。只わざとなんだか天然なんだか、フィニッシュの手をグルグル回しといてのニーには大笑いさせていただいた。
で、大義名分の無い時は只の中堅レスラー越中と天山の試合は、ひやりとする天山の受け身失敗で始まったが(時々やるよなぁ)、新日がやばいという危機感は今のレギュラーレスラーで一番感じているようで、正月のドームに続きデンジャラスなムーンサルトを越中の眉間に決めていた。わりあい過激な技は自粛傾向のある新日で天山の切れっぷりは今後非常に期待が持てるので、この路線を維持して欲しいと思う。そうだ。レスラーは常に客を驚かせなければいけないのだ。
今日の放送のメインは、人気無いぞ永田とその噛ませ犬健介の試合だった。やっぱり凄いぞこのメイン。ただし、試合は正統派ストロングスタイルな試合でこれぞ新日って感じでうならされた。特に永田の腕ひしぎ逆十字とキーロックを組み合わせた攻撃は、軽い驚きを覚え非凡な才能を感じさせた。
新年早々?三銃士の居ない中継であったが、むしろ彼らが居るより面白い試合が見れた気がした。彼らのいつもと同じ技を同じタイミングで出す試合より、はるかに驚きと工夫に満ちた54分で、大変私好みの良い中継だった。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(2/1記)
衝撃の川田骨折三冠奪取から一週間たった今週の内容は、またまたタッグながら小橋とベイダーの激突。そして前から気になっていた小川対垣原のジュニアタイトルマッチの二本立てである。
小橋とベイダーの対決は確かに迫力もあるし、名勝負になりそうな気配はある。だが現状のベイダーのやってあげてるよ的試合には、正直あまり興味がそそられない。この試合でもブレインバスターまではまだしも、バックドロップであんなにきっちり飛ばれては、やっぱりベイダーのさじ加減一つじゃんとか思ったりするので、ベイダーに誰か教えてあげて欲しい。
むしろこの試合で目に付いたのは、小橋ではなく人生や高山だった。人生は何故かベイダーの目の敵にされていて、手を合わせるたびにキツーイ攻撃を貰っていたのだが、やはりアメリカマットで一時にしろ名が売れたのをベイダーが気にしていて、強めな当たりになっていたのだろうか?高山は良いんだか悪いんだかは別に、本当に全日に馴染んできてプロレスラーらしく試合中に良く声が出るようになった。どう考えても彼は早く全日に正式入団して、英才教育を受けるべきなので、これも彼に早く教えてあげて欲しい(バカ)。
さて、注目の小川対垣原のジュニアタイトルマッチだが、これは面白かった。全日の由緒有るんだか無いんだか良く解らないジュニア戦線に、ようやく新鮮な血が一滴垂らされたという感じだ。全日の寂れていた時期に純粋培養された小川と、その間大いに流行っていたUWFの末裔垣原の試合がこんなに噛み合って面白いとは、やはり全日のスタイルの深さを感じずにはいられない。垣原が自分の持ち味を出してガンガン行っても、真正面から受けているのにかわして見える小川。やはり絶品は、プロレス雑誌でも話題になっていた飛びつき逆十字がほぼパーフェクトに決まっていたところを、レフリーのスラックス(笑)をつかんでかわしたところと、しつこく逆十字を狙ってきた垣原を押さえ込んでフォールしてしまったフィニッシュであろう。まさにジスイズ小川。本当に良いもの見せて貰った。やはりこの調子で色々な血を導入して、全日ジュニア戦線を盛り上げていって欲しい。三沢がパートナーに指名したので解るとおり、小川も三沢的な誰とでも名試合を作りつつ防衛の出来るチャンピオンだと思うので、小川を軸にベテラン妖怪渕、動きは良いぞ浅子、体重増えるまで志賀、何か若いのにふてぶてしい金丸、他団体からは外道、みちのくを辞めたスペルデルフィン、UWF垣原、そして忘れちゃいけない何時も不満そうな男菊池。あぁなんてバラエティに富んだジュニアだろう。固定化しつつある新日のジュニアに比べてはるかに夢がある。早く誰か教えてあげて下さい(しつこい?)。
あっそうそう書き忘れていたけど、小川がレフリーのスラックスを掴んで倒したときの、レフリーのアピールは良かった。あのリアクションで怪訝に思った観客に、小川がいかに旨くやったか解らせることが出来てる。若いのに良いレフリーだ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/8記)
うーむ。あまり印象に残らない今週の中継であった。でもまぁ順番に振り返っていこうと思う。
まず、ジュニアの試合はドクトルワグナーおじさん(いや、おじさんかどうだかは覆面被っているので解らないが)がやって来ているので、ちょっと期待して見ていた。まぁライガーはいつも通りてれんこてれんこと、明るく楽しいプロレスを展開していたのだが、途中からワグナーおじさんもその空間が気に入ってしまったらしく、二人して大雄叫び合戦になってしまってそれはそれで結構面白い試合になっていた。なんか感覚的には新日の試合と言うより、全日の永源あたりの香りが一瞬ふわっとただよってきた気がした(もちろん気のせい)。
んで、IWGP挑戦者決定トーナメントでは第三世代四銃士の中で只一人負けてしまった永田(これもおかしいよな、みーんな勝たせて貰っているのに永田だけ何故?人気無いからか?)がらみのタッグでは、永田の体がまた引き締まってきたことに注目したい。海外遠征から帰国した当初は、他の若手レスラーほどバカ太りはしていなかったモノの腹周りが厚くなっていて、海外出て痩せて帰ってくるような奴はレスラーとして大成しないと言う言葉に必死になって抵抗していた後が見えたが、やはり彼のファイトスタイルにあの肉の腹巻きは邪魔だと感じたようで、このオフの間にかなり元の永田に戻っていて嬉しく感じた。やっぱり永田には、古き良きUスタイルが似合うと思う(違うかなぁ)。その方が今はともかく先々ラリアットバカ達の中でキャラが立って、生きてくると思うけどなぁ(山ちゃんがあれじゃダメかな)。
後は今週も天山の、全然相手のことも着地のことも考えてないぜムーンサルトが炸裂しかかって(そりゃよけるよな普通。越中ぐらいのもんだ正直に喰らうのは)、やっぱりこいつはこれ定着させる気だってことが少し嬉しかったのと。その試合後のコメントでコンビの小島が「俺達が面白くしてやるよ」とブチ上げていたのがサブかったことぐらいかな。天山は何か新しいことをやろうとしているのが解るが、少なくとも何も変わらず日本一のラリアッター気取りの君では、何も面白くならないし、つまらなくなる一方だと思う。君が変わるには、まずラリアットを封印することだな。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(2/8記)
「ぅ赤コーナー300パウンドジャイアント馬〜場〜」仲田 龍。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/15記)
さて、橋本がああいう形になっている以上、三本の矢のあと一本にそういつまでも休ませておくわけには行かないと言うわけで、完治してるのだかどうだか良くわからない状態だが、蝶野が帰ってくることになった。
この試合に関しては、先週あたりから蝶野がガタガタ言って盛り上げようとしていたが、私としては大相撲中継を見ていた友人から「蝶野と野上が相撲を見に来てたから奴ら組むぜ」と言う情報を得ていたので、ハンディキャップに文句を付けてる蝶野に疑問符を付けて見ていた。案の定一人で復帰してきた蝶野がある程度動いて見せた段階で、謎のペイント金髪レスラーが突然乱入と非常に古典的新日展開で、なんだやっぱり新日本体提案のハンディキャップマッチで無く、蝶野のアイデァかと納得したのだが、野上を使うかねぇ?この試合での野上も出てきた時は体つきも格好良くなって、ムササビジャンプの切れも相変わらず良く「おっ野上やるじゃん」とか思わせていたが、それも最初の5分だけ。次第に試合が流れてくると、もう何やって良いんだかわからないしょっぱい野上に逆戻り。蝶野が自分のテンポで暴れ回っている横で、蝶野の邪魔をしちゃいけない、でもヒールなんだから(乱入してるぐらいだからね)格好良く暴れなきゃと、色々迷ってるのが目に見える棒立ちぶり。これは蝶野も当分苦労しそうである。ヒール一本槍のヒロ斉藤と、人が良さそうだったものの海外遠征で見事に吹っ切れた天山とは違い、いい年になってもグズグズしていた野上に果たして蝶野のパートナーが務まるのであろうか?後藤のようにある程度年が行ってからヒールに転向して成功した例もあるが、いかんせんあのオドオドぶりでは先が思いやられる気がする。それにしても蝶野の人選っていつも独特だよなぁ(選手会長だったときの名残か?(やってたよな?))。
その他の試合では、マンネリ気味のジュニアの試合にグラン浜田お父さんが出ていた。ワグナーおじさんと、四人のうち二人いつもと違う人になるとさすがに新鮮味のある面白い試合が見れるモノだ。特に久々に見たお父さんの動きの良さには驚かされ、全盛期と何ら代わりのないファイトには、30代で老け込んだファイトを見せている連中に見せつけてやりたいぐらいだった。でもお父さんにはやはりいつまでもアフロでいて欲しかった気もする。
早送りにしていて見なかったのだが、個人的には次週予告なんてモノはつけないで欲しいと思う。いくら勝敗はわからないとは言え、決定的なシーンが出たらある程度予想はついてしまうのだから(特に今の新日では)。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(2/15記)
ファン感謝6人タッグトーナメント。注目したいのは二選手、大森と志賀である。
まず、川田の長期離脱でイスが一つ空いた形になったヘビー級に是非とも食い込んで欲しいのが大森である。早くからニセ武藤として、恵まれた体格と共に期待されていたのだが、タッグを組んでいた秋山に置いて行かれてからは、どうにも中途半端な存在となってしまい伸び悩んでいる。挙げ句の果てにはニセ武藤から脱皮しようと、黒タイツにホーガン髭と何だか良くわからない方向に飛んで行ってしまっていたが、どうやらホーガンになりたかったのは本気だったらしく、アックスボンバーを使い始め、最近ではなかなか良い当たりをし出すようにもなってきた。この試合でも短い時間であったが(だから良いという見方も出来るが)良い動きをして、アックスボンバーも良い角度で決まっていた。個人的には秋山よりも大森を押していただけに、是非とも全日には数少ない黒のショートタイツの本格派となって活躍して欲しいモノである(取り敢えずヘビーには黒は居ないのだからチャンス有りである?)。
もう一人の志賀はこの中継の明らかに主役であったが、いかにもお客さんの喜びそうなあざとい展開であったにも関わらず、志賀の純粋そうなキャラクターが、そのあざとさを消していたのが印象に残る。まぁプロレスにありがちな流れとして、あれだけガンガンに攻め込まれていたら、一発逆転技で勝ちを拾うというのはある程度見えているのだが(藤波とかね)、あのメンバーの中で志賀にだけはそんなチャンスは無さそうに見えただけに、勝利の瞬間にお客の心はガッチリと志賀に握られていた感じがした。いつまで経っても体がデカくならないと言われている志賀だが、昔は筋だけだった体が、最近は筋肉にはなってきた。ゆっくりとだが着実には成長しているのだから、その間にしっかりレスリング技術を学んで、メインイベンターへの道を歩んで欲しい。その体でヘビー級に当たり負けしないようになれば、必ず将来生きてくるはずなのだから。
川田の骨折返上により空位となった、三冠タイトルだがベイダーと田上による決定戦で決まることとなった。まぁベイダーは順当だが田上ってのには正直?マークがつく。川田の推薦ってのも嘘ではないだろうが、四天王の中で現在の全日において、唯一やることの無さそうな田上が指名されたと見るのが妥当であろう。多分ベイダーがチャンピオンになるのだろうが、個人的には田上ファンなので、そういう世間の評判を振り払ってチャンピオンになって欲しいモノだ。ただし今回に関して言えば、一瞬の返し技とかではなく両者ヘロヘロになるまで戦っての勝利を望みたい。最強タッグでの後味の悪さはもう味わいたく無いからである。スーパーヘビー対スーパーヘビーの試合には、そういう小細工は似合わないのだから。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/21記)
今週の中継は木戸の30周年記念試合と、蝶野対武藤の試合が二本柱となっていた(この際ライガーの試合は考えない。いくらワグナーが良い試合をしても、二桁防衛するまではあのままだと思われるので)。
中継がスタートするなり、黒のショートタイツの二人によるグランドで、最近にない展開で新鮮だったが、いきなり田端アナの「レトロチックな戦い」という言葉が出てきて複雑な思いがした。まぁ確かに派手なパンツに(あえてパンツ)ラリアットばかりの最近の試合からすれば確かにレトロなのかもしれないが、懐古趣味で片づけて良い話ではないと思う。試合の中で田端アナも、自分の言い方のまずさに気づいたのかフォローを入れていたが、ああいう基本的な攻防を最近の若いレスラーは試合の中に組み込むのを嫌がる傾向にある。しかしそれが毎試合同じような、薄っぺらい試合を繰り広げてしまう原因になっているのではないだろうか。立ち技主体のハイスピードな試合では、モノを考える間も無く次から次へと技を繰り出さねばならない。結果として自分の得意ないつもと同じ技を繰り返して出してしまうと言うことになってるのではと思うのだが、どうだろうか?とにかくマイクの近いせいもあって、久々にグラウンド時のレスラー呼吸が聞こえてきた試合を見て、自分はやっぱり昭和世代なんだなと感じさせられた一戦だった(「いなづばー」ってのもかすかに聞こえたし)。今の若いファンなんて、木戸修の意味なんかわからないだろうな・・・
さて、もう一試合は蝶野復帰戦第二試合目だが、どうしても目は蝶野ではなく、野上に向いてしまう(いや、蝶野の新コスチュームはロングで見てる時は良いけど、アップで見ると木こりみたいだとか、色々あるんだけどね)。はっきり言って蝶野が「ムービースター」と言うのもわかる。プロレスラーでは無いもの。野上と組んでる試合での蝶野は、結局ハンディキャップマッチになってしまっている。とにかく野上は機能していない。まぁ相手が武藤だったと言うこともあるが、普通イメージチェンジしてきて華々しくヒールとして出てきた奴がああも簡単にあしらわれるか?その鮮度が落ちないうちはそれなりに強いもんだろ?なのに元々大きくもない体を絞り込んできたモノだから、軽い軽い。本当に売りはムササビジャンプだけである。もっとヒールらしく暴れ回りたいのかもしれないが、蝶野の邪魔しちゃいけないと言うことで、どうしても横目で蝶野の顔を伺ってるのが非常に気になる。蝶野が野上とは正式に組んだわけでもないし、いつまで組むかもわからない。と言ったのは正解だと思う。一つ良い点としては、軽さを生かしたラリアットの喰らいっぷりは見事であった。野上がいれば、小島も日本一のラリアッター(さぶっ)になれるかもしれない。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(2/22記)
ジャンボ鶴田引退会見からスタートした今週の中継。昔から全日派だった私にとって(もはや全日派新日派という考え方も薄れつつあるが)ジャンボ鶴田と言うレスラーは新日派の連中にも唯一認めさせることの出来る凄いレスラーであった。新日派の友人達と鶴田、前田、ハンセン、マードックで試合をやらせたら、誰が最後まで残るか?なんて話を良くしたモノである。それほどまでに全盛期のあの四人には、化け物じみた底の知れない凄さがあったモノなのだ。
ジャンボ鶴田と言えば、自分のナチュラルな強さを持て余しているところがあるように見え、なかなか全力での試合を見せないレスラーであったが、通の間ではずーっとジャンボ鶴田最強論みたいなモノがささやかれていた(今週川田も言ってた)。その証拠に鶴田と藤波を戦わせたいという新日ファンはあまりいなかったが、鶴田対猪木というのは新日ファンであっても見てみたいカードだったあたりからも伺える。そんな鶴田も天龍革命が起きたあたりから、あれ?本気出しちゃって良いのかなぁ何て事に気づきだし、名実共に強さを認められるようになって行くわけだが、鶴田のインタビューにもあったとおり、本当に全盛期の前田とはやらしてみたかった。あの時代の前田もUWFブームと共に乗りに乗っていて本当に強かった。両者に共通する点として、日本人離れした190センチを越える巨体でありながら、実に良く動けるという点であろう。またこの当時の二人には、スタミナという点でもまるで不安を感じさせなかったし、今考えても本当に夢のようなレスラーであった。
またじじいの懐古自慢で恐縮だが、今の武藤達のやってるお気楽なプロレスや、小さい人達が一杯一杯になってやってる全日のプロレスとかとは次元が違うのである。そりゃ我々だって、馬場や猪木の全盛期は見れなかった。だが鶴田、前田という現時点での最後の化け物レスラーの全盛期をリアルタイムで見られたのは本当に幸せであった。呑気にNWOのTシャツ着てる輩らに、見せたかったよ本当に(いや、今のプロレスはプロレスで面白いんだけどね。小橋対三沢戦の時も「あぁ同時代に生きてて良かった」なんて思ってたし)。とにかく、肝炎になどに倒れなければ、この全日開港路線の中で、まだまだ夢のようなカードが見られたと思うと残念でならない。
マードックおじさんはすでになく、前田も成す統べなく引退試合に敗れ(引退相手に選んだ勇気は凄いけど)、残っているのはベイダーのお守りのハンセンだけとは、本当に昭和のプロレスは終わってしまったんだなと寂しくなった。
で、そんな感慨を抱いているなか始まった三冠前哨戦だが、いやー酷かった。まず肝心の田上ベイダーの絡みは全然無いし、何より試合を旨く組み立てれる人間が誰もいない。みんなもたもた動いてるし、多聞と泉田もあれじゃぁアジアタッグ取られるわなって試合だった。ただ、川田の解説だけは収穫で、意外とよく話し聞き易かった。特に田上のかいな力が全日一と言う話は、マサさんの橋本のグラウンドは新日一と言う話と共に、実に説得力があって良い話だった。
最後に一言。多聞の長髪はおばさんみたいで気持ち悪いので、いっそのことアフロにすることを希望する。で、ワンショルダーのタイツ着れば案外いけると思うぞ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/2記)
いつも通り前座にジュニアの試合、それとIWGP挑戦者決定トーナメント。あ、平成維新軍解散だって。単独興行とかやってた時は2軍は2軍なりの価値があるかなって感じだったけど、NWOの中で内紛とか起きちゃうと、いよいよもって存在意義も無くなったってとこか?個人的に平成維新軍の人達は、おいらにとってどうでもいい人達が多かったので、特に感想もないです。越中はあれだけ人気があれば一人でも食っていけるだろうし、後藤と小原のタッグも絶妙の中途半端さ加減がいい味出てる。ただ、新日には彼らの存在を光らす土俵がない。ここはいっちょ新日を飛び出して、全日のアジアタッグ戦線に参加するのが良い手だと思うが、どうだろう。一番ヤバイのは木村健吾か?木村はやっぱり藤波の補佐が一番良いんじゃないのかなぁ?無我行き?
うーんジュニアはやっぱりワグナーおじさんだろ。着実に日本のファンの心も掴んできているし、合間に見せる(聞かせる)ワグナーボイスも良い感じだ「ごの゛や゛ろ゛ー」使うタイミングも合ってるし、ベイダーの「ガンバって」のように間抜けでもない。新日にしては珍しい久々に味のある外人って感じだ。
IWGPトーナメントは結局、健介が久々に日の当たるところに出られたという感じで優勝。ただし決勝の岐阜の体育館の照明は、メチャ暗で客足が落ちてて、観客席に照明があたらないようにしていた時代を思い出させた。何故決勝があんなにしょぼいことになったのか不思議だが、ちょっと可哀想だった。試合としては、ラリアット馬鹿一代長州の直系の弟子健介と、その亜流の亜流小島の戦いとなったわけだが、やはりそこはそれ、いくらマスコミ受けが良くてはやし立てられようと、ラリアットに対する情熱というか歴史は歴然としているモノで、健介のラリアットの方が良い切れ味であったと思う。他団体にならともかく、身内にも自分を上回る使い手がいるのに、「日本一のラリアッター」を語るのは控えた方が良いのではないか?それともやはり言ったもん勝ちで、口の旨いモノが勝つのか?まぁプロレスは結局頭の悪いレスラーは生き残れないのだから、小島のような生き方が正解なのかもしれないが、やっぱりおいらにゃ小島は認められないなぁ。あんなにどうしようもなかった健介でさえ、対小島だと輝いて見えるのだから、おいらの小島嫌いも大したモノである。そういった意味では俺の中では大ヒールか?あいつ?
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(3/2記)
脳死移植問題でニュースが延長。ビデオ撮り損なう。相変わらず本田のゆーっくりとしたジャーマンは味があるな(ブリッジ出来ないだけって話もあるが)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/8記)
マササイトー引退試合。我々の世代にとってUWFの前に格好良かったモノと言えば、長州力率いる維新軍であった。ヒールというわけでないのに、体制に反発するレスラーというのは当時珍しく、60分のドキュメンタリーが作られたり、プロレス雑誌以外の取材があったりしたのも維新軍が最初だったのではと思う。また、新日内部だけでは飽きたらず、全日にまで殴り込んでいったという破天荒な行動も、当時の子供たちには非常に格好良く見え、只の体制派のレスラーに堕落した今でも、長州を支持するファンが多いのもこのあたりのすり込みが原因だと思える。
その長州が兄貴と尊敬し慕っているのが、マササイトーだったのだが、このレスラーがまた凄かった。褐色の肌にパンパンにはれあがった体、アフロヘアーに鬼のような形相。長州にも教えた(当時)と言われてた、すくっと引っこ抜くようなバックドロップ。何から何まで、見ただけで長州の親分と言うのがわかる、説得力バリバリのレスラーだった。さらにアメリカの酒場で暴れ回って、刑務所にぶち込まれると言う逸話。それで子供達がビビリまくってるところに「いや実は仲間をかばって刑務所に入れられたんだ」と言う人情話。本当にマササイトーというレスラーはわかりやすい、格好良いレスラーであった。
そのマサさんが、セミリタイアの状態にしっかり区切りをつける日がやってきた(実際はもう遙か1ヶ月前の話だが)。相手は、自分で発掘してきた最高のレスラー(俺は嫌いだけどね)ノートン。ボロボロにやられるのはわかっていた。でもさすがマサさんだった。そういう生き様を含めて、格好良いのがマサさんだ。維新軍時代の0番ジャージがわかる人間がどれだけあの場にいたかはわからない。ノートンのでかさに耐えられず、引っこ抜いた後のぐいって感じがなかったバックドロップが寂しい、って思った人間も多くは無かろう。険しい顔をしているんだけど、全盛期と違いどうしても優しく見えてしまう顔も、会場ではわからなかっただろう。でも、あの日武道館に初めてプロレスを見に来た人にでも、マササイトーの格好良さというモノは伝わったのではないだろうか?それほどマサさんの引退試合は、良い引退試合だったと思う。余談だが、試合後のインタビューに答えている顔がまたいい顔で、とても印象的だった。マササイトーは最後まで、格好悪くなることのないレスラーであった。
と、マサさん話が長引いてしまったが、それもこれもメインの試合がやる前から結果の分かっている、寂しい試合であったからだ。健介対武藤のせっかくのIWGPタイトルマッチなのに、その前の4.10東京ドームのカード発表で、IWGPタイトルマッチ、フライ対武藤って出ちゃってるんだもん。もうちょっとテレ朝は考えてやって欲しいよなぁ。そりゃ2〜3週間も放送がずれてるんだから、普通のプロレス好きは結果知ってるだろうけど・・・意識的に結果は見ないで、雑誌読んでる人だっているんだからさぁ。それに全日と違って新日の試合は、試合内容より結果からつながっていくストーリーが重要なんだから、なるべく試合結果が分かるような事態は避けて欲しいモノである。まぁすべての問題は、放送のずれにあるんだけどねぇ。でもそれも、起きた事柄が後の流れにどう影響したか見届けてから、編集せねばって言う問題もあるから変えたくないんだろうけど。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(3/8記)
川田骨折により空位となった三冠王者を決定する田上対ベイダー戦。せっかく45分枠に延長されているのに実に辛い試合となってしまった。
個人的には田上という選手は好きな方で、鶴田みたいになってくれたらなぁとずっと思っていたのだが、やっぱり田上は田上で、鶴田と言うより同じトランクスの色の馬場の方に(しかも晩年)なってしまっていると思う。今回の三冠も他の誰よりもベルトを獲る可能性が薄いと思われたし、たとえ獲ったとしても、ちゃんと説得力のある戦いで獲れるか心配であった。で、蓋を開けてみると、やっぱり見ている側が冷や冷やしなければいけない試合となってしまっていて、あぁもう田上たらぁと言う感じである。
そもそも田上は、身長がでかいというのと相撲出身と言うことぐらいしか取り柄のないレスラーである。頭が回って面白い試合をするわけでもないし、でかいからといってパワーがあるわけでもない。むしろ同じような体格の選手とやると、とたんに足下がよろよろしてしまって、不安を感じさせてしまう。さらに相撲出身だから、かいな力があるに違いないと言うことで、喉輪落としを必殺技としているが、これまた細い腕なので、相手に飛んで貰っているように見える。そんな田上も今まで、相手に恵まれたせいもあるが良い試合を残してきてはいる。それらの試合の共通点は、自分より小さい相手に、体をいかした技がデンジャラスに決まるという試合である。田上の良さがいきるのは、こういう試合しかないのである。そういう意味では、対ベイダー戦というのは、カードが組まれた時点でやはり無謀であったとしか言いようが無いだろう。それどころか、今までみんなで何とかごまかしてきていた、田上というレスラーのメッキが剥がれてしまうという重大事態も引き起こしているような気がする。やはり三冠決定戦は、小橋とベイダーにでもやらせておいて、そのあと田上を小橋とやらすべきではなかったのだろうか?
とにかく見ていて冷や冷やしたこの試合だが、まず技がジャストミートしない。ベイダーはベイダーで勝手にやってるし、田上の放つ技は放つ技で、ちゃかついてるせいか当たりが悪い。なんかもうしょっぱい技の連発で、本当に試合が成り立つのか不安にさせる。さらに、そんな事態をどうにかしようと、デンジャラス系の技を両者が出すのだが、これまた体の心配をしたくなるような(放った方のね)デンジャラスな技で、別の意味でも冷や冷やさせられた(田上のハイキックの着地する方の足とか、ビックバンクラッシュのベイダーの膝とか)。
そんな危なっかしい試合ではあったが、やっぱり動けてるベイダーにかなう奴はいないという感じで、田上は完敗をきすわけである。本当にベイダーは強すぎる。もうベイダーの気分一つである、技が決まるのも決まらないのも。この試合でも田上の技がすんなり決まっている場合は、ベイダーの手心が加えられているといっても間違いない。そういうのが見え見えになってしまうのは、プロレスとしては、非常に危険であると言えるかもしれない。本当にベイダーの強さを生かしつつ面白いプロレスをするのは難しい。新日が放り出してしまったのも今になるとわかる気もする。
とにかく、ベイダーが圧倒的に強いままで行くか、小技で攻略するレスラーが出てくるかはわからないが、全日の三冠戦線はちょっと難しい時代に入ってしまったのかもしれない(今までの限られた人達による、芸術的世界に対してね)。
でも田上がしょっぱい試合をしたせいで、残り時間まんま鶴田引退セレモニーになったのは、大の鶴田ファンとしては収穫であった。来週は流れちゃいけない筈のビデオのオンパレードで、非常に楽しみである。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/15記)
ビデオを録り損ねて、後半二試合しか見れなかったのだが、その二試合にも大した収穫は無くこの欄を埋めるのに非常に苦労している。かといって大仁田のバカ話につきあう気にもなれないし、新日のこの内容の薄さというか、マンネリ加減はどうしたモノだろうか?野上が加わった蝶野軍(?)も大して話に広がりを見せてないし、越中が加わった正規軍も、小島の言うとおり「面白いか?」と言う感じだ。
全日は少ない選手でやりくりしているので、常にマンネリの危機である。そんな中、少ない手駒の中から三沢プロデューサーが選んだ小川というレスラーは実に旨く機能しており、話の展開に深みを持たせている。ジュニアの選手がヘビーでやれるのか?と言う興味、小川本来の曲者的動きから来る説得力、スーパーヘビーには太刀打ちできない体格差を、三沢との絶妙の連携でしのぐ。こんなに小川一人加わったことで、見所が生まれているのである。その証拠に昨年の秋口辺りから小川は加わっているのだが、いまだに飽きたという感じはしないし、つい先日の世界タッグでようやく最初のピークを迎えたかなという感じだ。
新日の欄で全日の話が続いてしまったが、つまり何を言いたいのかというと、小川も野上も同じような選手である。キャリア的には中堅というかベテランの域に達しつつある。ポジショニングもメインイベントにも出るけどメインイベンターではない(野上は脱落していたが)。体格的にもヘビーと言うよりジュニア向きの体格。こんなに似かよっているのに、かたや半年近くも話題を提供し続けて、着実にメインイベンターになりつつあり、かたや登場からわずか数試合で、登場時のインパクトを失い、話も展開していかない。それどころかまた用済みになってフェードアウトさせられそうな存在になっている。この差は何なのであろう?小川と野上の実力差というか、性格の差もあるであろう。だが一番の問題はやはり新日本プロレスにあるのだと思う。
新日はプロレスラーの育成を怠っていると思う。昔の新日は格闘家を育てようとしていた、だが今の新日のスタイルには、純粋な格闘家は必要ないのである。むしろ、頭が回り、試合を組み立てれる面白いプロレスラーが必要なのである。でも格闘家を育てようとしていた新日には、プロレスラーを育てるノウハウがあまり無い。そうするとレスラーは、個人個人で頑張ってプロレスラーになって行くしかないのである。さらに悪いことに、所属選手が多くだぶついている状況が、そんな状況でも危機感を生まないのである。育たないレスラーは放ったらかしていても、育ったレスラーだけで興行がうてるからである。こんな状況では、いつまでたっても良いレスラーは生まれず、良い試合は年に数回しか出てこない。さらに新日本の流れとしても、良いストーリーになっていかないのである。
所属しているレスラーがみんなきちんとしたプロレスラーであるのなら、全体のレベルも上がるし、選手の入れ替えなどで、話の展開も広がっていくのである。だが限られた選手しかプロレスラーでないと、結局その選手に全体が引っ張られねばならず、マンネリとなっていくのだと思う。だから今回の蝶野軍にしても、加わったのがきちんとしたプロレスラーではない野上だったため、最初だけインパクトがあったモノのその後野上が自分から動くことが出来ず、結局蝶野だよりになってしまい、何の展開も何の変化も生まれていないのである。ここがちゃんとしたプロレスラー小川との差なのである。
とにかくレスラーは体だけ鍛えていれば、あとは別に展開を考えていてくれる人が居る。と言う時代ではないのである。試合の中でも、試合後でも、全体の流れでも、きちんと自分の頭で考えられて、観客を満足させられるプロレスラーが求められているのである。「プロレスラーはバカでは務まらない」昔からある言葉だが、まさにこの通りなのである。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(3/15記)
我々の青春、ジャンボ鶴田の引退記念放送。
のっけからナレーションが、ラジオ日本に飛ばされ、プロレス中継から離れていた若林ムーンソルト健治で我々の世代の郷愁を誘ったが、本当に日テレのプロレス中継スタッフは、芸が細かくてプロレス好きが伺える嬉しい人達である。さらに、先週の予告では、貴重なフィルムで振り返る式放送だと思わせていたが、ジャンボ本人のインタビューも交えた放送で、本当に引退記念放送にふさわしい、ある意味永久保存版的放送であった。ジャイアント馬場追悼60分放送もそうであったが、ことドキュメンタリー的中継をやらすと、今の全日本プロレス中継30のスタッフは本当に良い仕事をする(中継はもうちょっとじっくり見せて欲しいけど)。
さてそんなことを思いつつ、貴重な流しちゃいけないはずの映像達を見ると、色々書きたいことが浮かんでくる。まず最初に衝撃を受けたのがドリーファンクJr.の天才的受け身の巧さ。ジャンボに色々なスープレックスで投げられているのだが、すべて肩と腕で着地していて、頭や首に全然ダメージが伝わっていない。本当に凄い受け身であった。後半に出てくる三沢の首から落ちているのに、実はしっかり受け身が取れていてダメージが少ない、と言うのも凄いモノだが、見てわかる凄さという点ではドリーの説得力は見事であった。ハーリーレイスの両手を広げた、飛ぶようなヘッドパッドも懐かしかったし、ロードウォーリアーズの勢いも、当時のあの本物のモノであった(そりゃ当然)。
で、まぁ昔から思っていたことなのだが、あんだけ絶対的に強い鶴田なのに、タイトルの獲り方は実にせこい獲り方が多い。この放送でもあらためてそのせこさが、お茶の間に伝わったと思うが、若林アナが「強い強い」言う度にむなしくなるほどせこい。鶴田ならバックドロップで閉めても良いし、ジャンボラリアットで(開発途中の痛がってるシーンがなかったのが残念)フォールに行っても良い。それなのに、パンツを引っ張ってブロディ落っことしたり、ハンセンのラリアットをよけてロープの反動でフォールしたり・・・当時から鶴田ファンだった私は、タイトルマッチの大一番の度に、がっかりしたモノだった。
そんな風に、外人相手のタイトルマッチではいまいち凄さが伝わらなかった鶴田が輝いたのは、やはり日本人選手との名勝負であった。長州も天龍も体のキレがよく、実にスピード感のある戦いだった。長州はともかく、鶴田も天龍もスーパーヘビー級なのにあのリングを揺らさんかばかりのスピードで動いていたのは、本当に驚異的である。長州と鶴田のバックドロップ合戦も実に見事だった。
こうしてみると記憶というモノは実に曖昧であるという事にも気づかされる。特に晩年の長州や天龍の記憶が新しいだけに、晩年に放っているバックドロップやラリアットの威力が記憶のスタンダードとなって、昔の記憶と混ざってしまっているのには驚かされた。長州のラリアットにしても、天龍のチョップにしても本当はもっと凄いモノだった、と言うことをこの放送で、再認識させられたのは収穫であった。
同様のことが試合内容でも言える。実際、あんなに凄い天龍対鶴田戦とかを見ていたはずの私でさえ、記憶の風化と共に、現在の三沢対小橋戦の方がはるかに凄いと思っていたのだから不思議なモノである。これではいくら今の若いファン達に、今のこんな技だしときゃいいんだろプロレスを駄目だと言っても伝わらないわけである。新しそうなモノは、格好良く見える。格好良く見えるモノは、強く見える。これがプロレス界の仕組みなのかもしれない。そして、自分の青春時代に体験していたモノが、一番凄く見えてしまうのもプロレスなのかもしれない。まぁとにかくテレビ局は昔の中継もガンガン再放送して、プロレスファンの見る目というモノを肥やして欲しいものである。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/23記)
珍しくジュニアの試合が放送のメインとなっていた今週の中継、なかなか良い試合が多かったと思う。
まずフライ対藤波戦。フライの凄いところは、格闘技も出来ればプロレスも出来ると言うところだが、何よりも新日にとっておいしいのは、格闘技風のプロレスも出来ると言うことだろうか。現在の新日には格闘技風の試合が出来るレスラーがあまりいないので、宝の持ち腐れという感も拭えないのだが、この藤波対フライ戦は実に新日らしい格闘技色あふれるプロレスで面白かった。我々の世代にとってはこういう試合が新日で、後に書く6人タッグは全日の試合という感じだったものなのだが、ご存じの通り現在の主流は蝶野達の6人タッグなのである。
さて話を戻すが、昔の新日の試合には必ずこういう芸事のプロレスと違う、格闘技風の臭いのするプロレスが含まれていたもので、それが新日はセメント、全日は八百長と言う小学生どもの定説(笑)を生んでいたのだと思う。現在では、寸止めでないキックやパンチが見られるプロ格闘技も増えてきたため、そんなことをプロレスを見る基準にしている人間はいなくなってしまったが、やっぱりプロレスというものはあらゆる格闘技の頂点であって欲しいと思う私にとって、こういう格闘技も出来ますよ的プロレスはメジャー団体から無くさないで、全ての格闘技の親玉ぶっていて欲しいと思う。
さて、いつも酷評の新日の「こんな技だしときゃ良いんだろプロレス」だが、今週の6人タッグは実によく練られていてスムーズな流れの良い試合だった。試合後には誰もヘロヘロにはなっていないだろうけど、こういう練りに練られた、何度も公演をこなして、出演者達の呼吸がぴったりと合った演劇のようなプロレスというのも心地よいものである。特にこういう試合が、自分の見に行った地方会場での試合になんかあったりすると、それだけでまた次もこようと思ったりするものであるのだから、どうせ「こんな技だしときゃ良いんだろプロレス」をするのなら、いつもこれくらいのレベルでまとめておいて欲しいものである(ジュニアはマンネリになりつつもいつもこれぐらいのレベルは維持しているのだから)。鶴田が何かで言っていたが「プロレスというのは、厳密に言うとスポーツではないかもしれない、でもスケートやスキーのジャンプには芸術点があるわけだから、そういう要素を組み込んで考えれば、プロレスもまたスポーツであると言える。」これは本当に名言である。こういう考え方をすれば、プロレスも一般紙のスポーツ欄に帰ってくる日がやってくるかもしれない。ボクシングと相撲の狭間に確実にプロレスは存在するはずなのだから。それはさておき、この日の新日の試合が良かったのは、皆この芸術点が高い試合だったからだと思う。メジャー団体たるものやはり、芸術点は高くありたい(最近は芸術点だけならインディーの方が優れてたりするし・・・)。
で、最後はジュニアのタイトルマッチなわけだが、金本がライガーの二桁防衛を阻んで新チャンピオンとなった。ライガーも最近は、一時期の掌底一本の酷い試合から脱却しつつあったが、やはり全盛期に比べれば名前だけで試合をしている印象が拭えず、金本へのチャンピオンベルト移動は妥当であったと思う。今の金本は、技の切れ、試合の組立、説得力、観客の感情移入度、どれをとっても確実にライガーを上回っていたのだから、金本の言葉ではないが、今までかかったのが不思議なぐらいである。取り敢えずはジュニアのベルトが行って来いになら無いことを祈りつつ、金本ら新世代が繰り広げるジュニア戦線を楽しみにしたい。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(3/23記)
全日にしては、放映が延びた世界タッグタイトルマッチ中継。45分あるだけに、ノーカット、タイトルコール有りと実に落ち着いた放送であった。この試合の見所としては、やはり小川がどのように機能するか、またヘビー級のタイトルマッチに出場して無理がないのかという点であろう。結論としては、これまでの試合通り見事に機能していて、試合時代を変化に富んだ面白いものにしていたと思う。ただ、いくつかの問題点はやはり見えてきたので記していきたいと思う。
まず打撃系の技についてだが、これは攻守両方に問題があると思う。攻撃側としては、小川の打撃技は(頭突きにしろ、パンチにしろ)軽すぎるためか寸止めに見えてどうにも物足りない。相手は自分よりでかくて頑丈なレスラーなのだから、ジュニアの時のような打撃技を使わず、もっとガンガンに攻めた方が説得力が上がると思う。今の全日の試合で大切なものは、説得力だと思うので(だから皆ギリギリの所まで技を喰らうわけだし)あの打撃技はまずいと思う。パチーンパチーンと響く力のないパンチで小橋が倒れる様は、見ていてちょっと興ざめするポイントでもあった。
同じように打撃系の技を受けるときも、若干手を抜いてもらってるような当たりだったのも問題だと思う。説得力という点では、やはりガツーンと激しいチョップを喰らって、小川が吹っ飛んでしまうと言うシーンが欲しいわけで。それにもめげず小川が立って来るというのが、観客の感情移入をあおるわけだし。小橋も秋山も思いっきりチョップはたたき込むべきである。小川もヘビー級のレスラーではないのだから、耐える必要はないのである。一発で吹っ飛んでおけば、ダメージも少ないし、説得力もアップなのだから、以後は良いヤツもらって気持ちよく吹っ飛んでもらいたいものだ。
打撃系寸止めからも続くのだが、いわゆる全日の試合は凄いと言う定説の元になっている、デンジャラス系の技も小川の体格ではあまり喰らうわけには行かない。これは大問題である。全日の危険な生命線である、頭から落ちるデンジャラスな投げ技。こればかりはいくら小川が受け身がうまかったとしても、ヘビー級に投げられたらどうしようもない、喰らってはいけない技なのである。と言うことは、小川が喰らわないと言う暗黙の了解分、三沢が喰らうことになるわけで。只でさえ、体格の劣る小川をカバーしながら試合をしている三沢にとって実に過酷な状況になってしまっているのである。しかし、その状況は小川をパートナーに選んだ段階からある程度分かっていたわけで、そういう意味ではやはり三沢は自分の受け身に相当の自信を持っている、ある意味受け身のスペシャリスト、と言うか受け身オバケなわけである。この三沢の受け身というのは、それだけで全日が成り立ってしまうと行っても過言ではない素晴らしい財産で、小橋にしろ、川田、秋山、オブライトみんな凄いレスラーに見えるのは、三沢のおかげであると言えよう。そんな三沢が、通常の二倍デンジャラス技を喰らわなければいけないこのタッグは、やっぱり無理があると言えば無理があるのかもしれない。確かに、試合展開などには非常に素早くてトリッキーな小川の動きが、新鮮さを与えて、新たなヘビー級の流れを生み出しそうではあるが、三沢の選手寿命を考えると(私にはもうピークを過ぎつつあり、受け身だけで食っているようにも見える(って言うか三沢自身の技にはキレがあまり感じられない?))早く若手に育ってもらって、楽をさせてやりたいなと言う気はする。鶴田と違って三沢は化け物ではないのだから。ともあれ、三沢は何かを変えようとしてこのタッグを組んでいるのだから、外野がガタガタ言っていても仕方のないことではある。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/31記)
今週の中継もメインはジュニアの試合だが、いきなり初っぱなは蝶野のやきもち発言から始まった。この発言自体はこの日に行われた他の試合と時間のずれがあり結構最近の発言なのだが、やっぱりテレビ朝日本体に対する発言だけあって、テレ朝にしてはリニアな放送であるといえる。ただ、前述したとおりこの事柄だけ急遽取り上げてるため、他の試合との時間的関連は全くなく、非常にでたらめな中継であるとも言える。さらに前にも書いたが、今週も4.10東京ドーム大会のカード発表をしてしまっているため、今週のジュニアタッグタイトルマッチの試合結果と、来週以降に放送されるヘビーのタッグタイトルマッチの試合結果が分かってしまっているというのも問題であろう。やっぱりそこは視聴者のことを考えて、サムライ、浜田組とカシン、ワグナー組の勝者と対戦と表示するべきだろう。深夜の放送だからプロレスマニアしか見ていないだろう。プロレスマニアなら結果は知っているだろう。と言う考えもわからなくはないが、中には結果を知らないように努力しているファンもいるわけなのだから、もうちょっと配慮して欲しいものである(大体マニアなら、カードの情報もすでに仕入れてるっちゅーに)。
では、今週の放送で目に付いた点を記していこう。まずは、最近の新日では珍しいジュニア戦士を加えた6人タッグから。全日の小川の例を取るまでもなく、タッグであればジュニアの戦士も充分ヘビーと混ざって試合が出来るわけなのだから、昔のようにこういう試合もどんどん組んで行くべきだと思う。その方がマンネリ防止にもなるし、新日では特にヘビー級の選手に良い刺激となると思う(新日はやっぱりジュニアの方が良くやってると思うので)。で、この試合で笑ったのは、野上がライガーに敵コーナーまで押しつけられ、山ちゃんに蹴られたときの言葉。ライガー押す。野上「おらブレイクだ!」。山ちゃんける。野上「あっいて」。あっいてって・・・そんな正直な。しかも何と緊迫感の無い「あっいて」。やっぱり野上は向いてないんじゃないのか?
もう一つは、またかという感じで申し訳ないが、やっぱりワグナーJr.は誉めずにはいられない。この試合でも放送が始まるなり、走る走る。何の関係もない走りなんだが、観客がきちんとついてきて沸いている。イヤー本当に面白い。てっぽうでコーナーに追いつめるのもそうだ。たぶん試合が終わった後、柱の影からメインの試合などを見ていて、掴んだんだと思うが(当然安田である)実に研究熱心である。いつまでも同じワグナーではない、常に進歩して観客を驚かせる。これは本当にレスラーにとって大事なことである。新日の日本人レスラーは、ある程度自分の型が出来ると、ずーっとそれで食っていこうとするが、それでは駄目なのである。新日の若手は自分所の先輩のまねなどはせずに、ワグナーJr.をお手本に、日々勉強して毎日新しい自分が出せるようなレスラーになって、早く駄目な先輩達を追い抜いて欲しい。
最後に一つ。メインのジュニアタッグのフィニッシュだが、何と言うかサムライらしいと言うか、実に間の抜けたフィニッシュであった(笑)。一度カシンが、コーナーへの飛びつき逆十字に失敗しているにも関わらず、のんびりコーナーのトップで座って待っている彼は何だろう?松田はやっぱり松田ってことか?(それともフィニッシュは飛びつき逆十字って決まってた?)
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(3/31記)
さて、今週の放送からは恒例のチャンピオンカーニバルに突入。今回の公式戦の流れとしては、ベイダーを誰が止めるかというのが焦点となりそうだが、それ以外にも異常にベイダーにライバル心を燃やしているオブライトとか、どうやら本格的に売り出されることになりそうな大森とかが注目選手と言えそうだ。ただ、個人的に気になる選手は田上で、先シリーズの三冠挑戦で惨敗し、四天王陥落かというような自体になりつつある今、このチャンピオンカーニバルでどのような名誉挽回をみせてくれるか期待している。
筈だったのだが、いきなり今週の放送で攻めすぎて攻め疲れて負けるという、何だか若手も真っ青な試合をして公式戦初戦からつまずいてしまってがっかりである。がっかりどころか秋山はもちろん、いよいよ出てきた大器晩成型?大森にも抜かれるんじゃって所までせっぱ詰まってしまってて本当に心配である。やっぱり川田って言うお守りがいないと、田上は駄目なのか?それとも前半戦は調子が乗らないが、中盤以降巻き返して、二度目の栄冠と共に名誉も回復するのか?今シリーズのキーは田上ではないかもしれないが、田上自身は今シリーズはキーであると言えよう。
もう一つの公式戦三沢対人生の試合は、アナウンサーもしきりに「人生が拝むのを捨てました」と言っていたが、あれはやはり人生の決意の現れだと思う。今まで拝んでいた人生には、はっきり言って全日側も人生側にもお客さんという意識があったのだと思う。それが今回、人生のたっての希望でチャンピオンカーニバル公式戦のメンバーに入ったとなれば、今までのようなよそ行きのファイトをしていては、当然勝つこともできないし、ひいては全日の流れを妨げることにもなる。その意識の変化が、ああいうファイトに繋がったわけだと思う。いわば、脱お客さんなわけだ。ただ残念ながら、思いとは裏腹にファイトの方はスタミナ不足というか、攻め疲れというか、後半精彩を欠き、三沢にお客さん扱いされたままの、優しいプロレスをしてもらっていて、本人もさぞ悔しかっただろうと思う。とにかく、残りの公式戦でいかに全日向きのニュー人生をアピールできるかが、今後の人生を占う上でも(なんか人生を占うって変)興味をひかれるところだ(でも中継あるのか?)。
最後に、四月になって番組改編のためか新しいアナウンサーが入ってきたようだが、やっぱり勉強不足というか、技の名前とかに対処できて無くていらいらする。川田の良い話にもうまく食いついてなくてもったいないし、慣れるまで当分鬱陶しい中継が続きそうである。地方局のアナウンサーが、めったにない中継でも持ち味を発揮した良い放送をしているのだから、レギュラーアナウンサーも初っぱなからきちんと決めて欲しいものだ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/6記)
先週も書いた通り、結果が分かっているIWGPタッグ選手権と他数試合。
まずはフライ対藤田のある意味UFO対決。藤田は身長の無さにコンプレックスを抱いているのか、自分の体を作り上げることに非常に執着しているように見える。デビュー当時に比べ、年々体がゴツく硬くなってきているように見えるが、あまり良い傾向ではないと思う。そもそもレスラーの理想的な体は、鍛えられた筋肉を適度の脂肪が覆っている物と考える私としては、筋肉が表面に露出している体は非常に危険に見えてしょうがない。もう存在しているだけで、怪我をしそうに見えるのである。しかも藤田の筋肉は、柔軟性のある怪我をしにくい筋肉でなく、無理矢理作られたガチガチの硬そうな筋肉に見えるのでなお心配だ。新日一のマッチョバディと言われたマサさんも、その体は適度な脂肪で覆われていた。しかも監獄生活の最中やることが無くて作られたナチュラルな筋肉である。そう思うと、急激に無理矢理作られた藤田の体には、本当に不安を感じずに入られない。ヘビーに移ってからの藤波が、割合同じ様な体の作り方をして、柔軟性を失っていったのに似てるかもしれない(おっそう言えば無我系でもあるな)。
で、そんな試合後はお約束のビデオテープを見ているかのような、ジョンストンの乱入でちょっと白々とした感じ?と思いきや、続けての試合ではフライが武藤の試合前に乱入。実にプロレス的展開で、さすがフライは何でも出来るなぁと感心していたら、その後の試合のことも考えてパンチ全部寸止め。挙げ句場外に転落したので新日お得意の、場外下だんご最中に流血かと思ったが、そこまでのお約束は臭すぎると感じたのか行われなかった(ちょっと残念)。
珍しくテレ朝にしては気が利いていたのは、フライのアピールに対して、下に字幕が出ていたことだ。やっぱり日本全国のおばかさんのために、外人のアピールの下にはしっかり字幕をつけましょう(願、日テレ)。
後、今週の中継で目立っていた点としては、野上はやっぱり攻めてる時よりも、やられている時の方が、落ち着いていて安心してみてられる。ラリアットで吹っ飛ぶにしても、実に良い吹っ飛びぶりだし、生まれついてのやられ役レスラーなのであろう彼は。攻めてる時は本当に落ち着きが無い。この試合でもいっぺん場外に出て、コーナーに上ろうとしておいて、何を考えたのかリング内に戻り確認後(何の?)、またコーナーに上ったり。と本当に必死なのがこっちにまで伝わってきて見てて辛い。素直にやられててほしい。
もう一つは、ネタばれタッグ選手権。ラリアットにかける意地も歴史も気合いも、やはり健介の方が上だったって感じだ。普段はしょっぱく感じる健介も、越中という良いストーリーテラーを得たおかげで安心して見てられたし、よりしょっぱい日本一のラリアッター(自己認定)を打ち砕くことにより、下がりかけていた株をちょっと上げたって所か?
でも、なんかIWGPタッグって扱い低いよなぁ。健介&越中がチャンピオン?その前も小島&天山?なんか超一流が持ってるって印象が薄いんだよ。ジョージ高野&マシンあたりからおかしくなったのかなぁ???
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(4/6記)
チャンピオンカーニバル公式戦。今週の中継で目立っていたのは、ジョニー・エースであろうか。
はっきり言って全日外人勢の中で、エースがこういう形で最後まで生き残ると思っていた人は多くはないのではないだろうか?来日当初は、ロードウォーリアーズのアニマルの弟、又はターミネーターの兄貴(笑)と言う肩書きだけで、身長のデカさ以外に目立つところは無かったし、黒のパンツの真ん中よりやや下に、ピースマークがでーんとプリントされてる辺りのセンスの悪さも目を覆いたかった。さらに先に全日デビューしていたダニー・スパイビーと、キャラが被ってるのにタッグを組まされたり(まぁ髪の毛と共にフェードアウトしてしまったが)して、どんどん目立たない二流外人になって、消えていきそうになっていた。
それなのに、いつの頃からか彼は全日外人ナンバー3か4を着実にキープするようになっていた。それは最初に小橋と組んでいた時に、調子に乗ってムーンサルトを放ちだしたあたりからだったかもしれない。あのあたりから、大した試合はしていないのに、着実においしいポジションにいるのが彼だった。馬場に気に入られていたのかもしれない。よろよろしがちで、金髪の田上みたいな印象だった時代も、政治的交渉は地に足がしっかりついていて、彼がシリーズから姿を消すことはなかった。ゴディがいなくなっても、ウィリアムスがいなくなっても、オブライトが来ても、ベイダーが来ても、全日外人勢にどんな動きがあっても、彼のポジションはいつも変わらなかった。
そんなうちに彼は変わって成長していった、安定した地位に安心したのか、試合にも安定感が出てきた。何よりも変わったのがハンセンがよく言う「全日の試合はフルタイム動きっ放しでなければいけない」が確実に出来るようになった。打撃技を喰らっても、投げ技を喰らってもすぐにすくっと起きあがって反撃に出る。このあたりも全日でしっかりとした受け身を学んだからこそ出来ることで、そういう意味でもエースは本当に成長したと思う。さらにこれまた田上の「のど輪」と同じで、いまいち説得力に欠ける必殺技「エースクラッシャー」を色々な入り方、放ち方でバリエーションを増やし、説得力を高めたのも素晴らしい成長だと思う。この試合でも三沢のエルボーのように、劣性を一瞬にしてひっくり返すエースクラッシャーがズバズバ決まっていた。本当に今のエースクラッシャーはいつ何処で出るか分からない電光石火の技となって真の必殺技となりつつある。
さらにエースの進歩はそれだけでなかった、ブリッジなどおよそ出来そうにない体つきに反して、強烈な投げ技までマスターして見せたのである。このコブラクラッチスープレックスは、受け身を取りにくいのはもちろん、何よりそのスピードと低空飛行に驚かされる。どの選手も投げられると必ずやや斜めにマットに突き刺さっており、ある意味受け身上手な全日でしか放てない、本当の禁じ手であるとも言えよう。
もうここまで書けばおわかりだろう。エースは全日が育てたレスラーである。新日と猪木がホーガンを育てたように、エースも全日の中で揉まれることにより大きく成長し、トップレスラーとなった。エースはそのことを胸に刻み、日本マットで骨を埋める覚悟で、より一層名勝負を繰り広げて欲しい。後欲しいものは、やっぱり格であろうか?三沢なりベイダーなりに勝って、新たな時代を切り開いて欲しいものだ。(高望み?腹出てるしな)
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/14記)
ドーム大会だけは、割合リアルタイムなテレ朝の中継だが、今回も例に漏れず注目のカードだけは全て見られるようになっていた。
まず一番注目を浴びていた第0試合だが、今までのこの欄の傾向と同じくして、大仁田のことにはあまり触れないこととする。感じた点としては、やはりメジャーの人間には素肌で電流爆破有刺鉄線につっこんでいくと言うのは、馬鹿馬鹿しいことらしく、あんなに花火だ花火だと言ってたのに分厚いベストを着てきた蝶野にはガッカリさせられた。そう言うところでもインディーとの格の違いを見せて、敵の土俵でも勝てるんだ、平気だぜと言うところを見せて欲しかった気がする。また、試合結果も大いに不満である。素人の我々には、電流爆破の凄さもチャチさも体験出来ない事なので分からないが、しっかり鍛え上げたメジャーのトップレスラーが、たかだか花火でクラクラと来て、あんな何度も引退を繰り返す口だけの男にドローに持ち込まれるなぞ、まさに茶番である。片腹痛しである(笑)。さらにだめ押しとしては、そんな不甲斐ない試合結果の上に、共に戦った男大仁田を認めるようなそぶりをして見せたことだ。中継が途中で切れてしまった事に一縷の望みを託したいが、あの後やっぱりキックをくれて帰っていく蝶野というのを本気で期待している(でもやってれば放送するよなぁ)。
で、ジュニアとタッグはなかなか良い技が出てたり、良い当たりがあったりしたのだが、なんか編集の仕方のせいか、フィニッシュが唐突に来てあっさり決まっちゃって、いまいち盛り上がれなかった。あきらかにドーム大会用の試合で通常のような楽な試合で無く、新日にしては本気度も高く面白い試合だったはずなのに、なんかフィニッシュまで昇り詰めていく感じが無く、消化不良で「あれっもう決まっちゃったの?」って感じだった。残念。
そして、肝心のメインイベントである。この試合には、実に深い意味が込められていると思う。新日という会社のプライドが。前回の東京ドームは小川に良いようにやられて、新日とプロレスに大いなるダメージを与えた。それを今回の東京ドームで何とか払拭しようと言うのが、この戦いだったと思う。
まず小川をイメージする人物として、小川と何度も対戦し、新日マット上でも格闘家として認知されているドン・フライを据えた。フライは、新日ファンの間でも「あいつはかなり強い格闘家だ(笑)」という印象があるし、何よりダーティーな試合展開で、勝つためには何でもすると言う姿勢は常々新日ファンの反発を買っていて、いろんな意味で打ってつけな人物であった。さらにフライの良いところは、格闘技も出来るしプロレスも出来る、も一つ大事なのは格闘技風のプロレスも出来ると言うことである。古くから新日系の団体は、この格闘技風のプロレスが出来る格闘家をうまく使い、真剣勝負度を高めていた(猪木しかり新UWFしかり)、今現在新日マット上でそれが出来る最高の格闘家がドン・フライなのである。
さらにその格闘家に挑むのは、謹慎中の格闘家風プロレスラー橋本でなく、現在の新日を代表するこってこってのプロレスラー武藤であると言うことが大事なポイントなのだ。おまけに放送席には、今の新日で一番ファンの心を掴んでいる男蝶野である。しかもその蝶野が「フライは完璧だ」「武藤の状態はかなり悪い」「フライが勝つに決まってる」とのたまっている。名誉挽回への条件は全て整っていた。
そして、あの試合結果である。プロレスラーモードのフライをプロレスで武藤が叩きのめす。だが観客や新日ファンには、格闘家フライをいや小川を、プロレスラー武藤が叩きのめしているように見えただろう。しかも状態のかなり悪いことになっている武藤が、完璧なコンディションの格闘家フライを、あくまでも、いつものプロレスで倒したと。これで、新日ファン納得である。そして新日も長い小川の悪夢から抜け出し、通常のこんな技だしときゃ良いんだろプロレスに戻れるのである。新日の過去のレスラーが作り上げた「プロレスはどんな格闘技よりも強い」と言うイメージは生かしつつ・・・
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(4/15記)
今週も引き続きチャンピオンカーニバル公式戦。ただ、これと言って目立った試合、良かった試合は見あたらなかった。やっぱり30分に4試合?はダイジェストすぎるのではないだろうか?
その中では秋山が、前々から言っていたとおり、ナチュラルヒールへの道を歩みつつあるようなのが嬉しい。まぁ今日の試合はパートナーの小橋だったせいか、少し詰めが甘いような気がしたが、四天王に食い込んで行くには今ひとつカラーの弱い秋山には、このまま相手の弱っているところや痛めてるところを徹底的に攻める、ヒールではないのだが、観客のブーイングを浴びるような憎らしいナチュラルヒールになって欲しいと切に思う。四天王にはそう言うキャラクターはいないのだから。
個人的には秋山のプロレスは、こんな感じで良いんじゃないのと言う、ある意味今の新日にも通じる「分かったようなプロレス」(素人がこんな事書いているのも、分かったようなプロレスだが)の臭いがしていてあまり好きではなかった。それは、何となく全日の中では角度の甘いスープレックスにも見て取れるし、大森と組んでアジアタッグの防衛を重ねているときも、何だか一人で冷めているようで、はじけるような若さが感じられなかったあたりからも感じられていた。それが、四天王に迫ってもいないのに迫ってきたと言われてきたあたりから、徐々に変わってきたような気もする。四天王には割合本気を出していかないとかなわないと言うのもあるだろうし、観客の目が着実に自分の方を向いていると言うことにも気づいたのであろう。
全日というのは選手層が薄いせいか、簡単に地位が与えられる傾向にあると思う。まぁ元をたどれば、馬場が力道山に最初から抜擢されて、地位を与えられ、育てられたあたりから来る指導方針なのだろうが(力道山の指導の仕方を馬場があまり好んでなかったというのとは別ね)代々全日の選手は地位に育てられているように思う。ジャンボしかり三沢しかり小橋しかりである。そんなわけで秋山も、四天王に迫ってきたと言う地位を、先に与えられたおかげで、いつの間にか実力が付いてきたみたいだ。後は自分にしかないカラーというモノをしっかり身につけて(それがナチュラルヒールだと私は思うが)全日の中をかき回して欲しいと思う。
で、今シリーズで無理矢理地位を与えられているのが大森なわけだが、玉砕するにせよ善戦するにせよ、最近の大森はスカっとし出してきたと思う。良い言い方をすれば「迷いがない」と言う感じだろうか。その迷いの無さが、たまに出る良い感じの技に繋がっていると思う。この試合でも三沢の鼻っ柱にたたき込んだアックスボンバーは、見事なあたりで(まぁ本人は狙ったわけじゃないだろうが)ちょっと驚かされたし、このまま大森も地位に育てられれば良いなと思うのだがどうだろう(何度も裏切られてるしなぁ)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/20記)
テレ朝お得意のドーム大会再放送。ただし今回はドーム大会の放送が2時間枠でなかったため、入らなかった試合もあったので、只の再放送でないことが救いか?
まず今週は、大仁田対蝶野の試合を実に丁寧に掘り下げていた。あの後のプロレス雑誌を見ても、今週の放送を見ても、残念ながら蝶野が大仁田にヤクザキックを放ってるシーンは無く、コメントもまぁ戦い合ったモノにだけ分かる的微笑ましいコメントで、放送席のサスケ同様、蝶野に期待していた私にとっては、非常に残念な結果に終わってしまった。
いつものごとく大仁田自体には触れないが、真鍋アナという男はどうなんだろう?この大仁田戦をきっかけに一気にブレークしようとしているようだが、あまりアナウンサーがプロレスの進行に絡んでくることは歓迎したくない。テレ朝には古くから、古館と猪木、辻と長州のような変な信頼関係に結ばれたプロレスラーとアナウンサーという図式があった。ただし、それらはどちらかというとプライベートな要素が強くて、プロレスの試合自体や実況にはさして影響を及ぼさなかったのだからよしとしよう。おかしくなってきたのは、蝶野との絡みで、大の古館信者辻が暴走しだしてからである。これは良くなかった。もともと古館の亜流でしかない辻の実況というモノは、あまり心地良いモノでなかったのに、蝶野に特別扱いしてもらっているという勘違いが、辻を大いに増長させ暴走させた。挙げ句の果てにスターアナ気取りで独立騒ぎである。
やはりアナウンサーというモノは、実況者なのだから本人が目立ってはいけないのである。試合を的確に伝えるのが仕事、試合を盛り上げて選手を輝かせるのが仕事なのである。試合を盛り上げていると勘違いして、自分が輝こうとしているようではいけないのである。古館というたぐいまれなるセンスを持ったスター話家(はなしか、もはや彼はアナウンサーではなかった)が居たおかげで、テレ朝のアナウンサーは勘違いしやすい状況ではある。ただ、そんな中でも例え、蝶野に絡まれ、怒鳴られても、実況者という姿勢を崩さずしっかり仕事をしている田畑アナという好例もあるわけなのだから、真鍋アナもしっかり考え直して実況者の道を歩んで欲しいと思う。大仁田に殴られて、おいしい何て思ってては駄目なのである(辻の勘違いも猪木に張られたことから始まったのだろうか?(あれって辻だよな?))。
と、延々とプロレスの試合とは関係のない話が続いてしまったが、それもしょうがないのである。前記したとおり、ほとんどが大仁田戦ドキュメントとなっていて、他に放送された試合は、ジュニアタッグの一試合だけなのだから。
で、その試合なのだが、あんまり良くないんだよなぁ。放送では、さかんにサスケの調子が良い良い言ってるのだけども、最後の方での場外への大技以外は、あんまりキレもないしバネもなかったような気がする。これだったら以前ライガーに駄目だ駄目だと言われていた時の方が、はるかに出来が良かったと思うんだけど。そんなわけで、サスケにつられたわけではないと思うのだが、試合自体もそこそこ技も出てて面白そうな展開なような気がするんだけど、全体にもたもたしててスピード感がなかったように思う。先週のこの欄で、ジュニアシングルの試合が試合展開の割に、あっさりして見えたと書いたけど、スピード感がないぶんそれ以下だな。困った困った?ドームだからそう見えるのか?
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(4/20記)
チャンピオンカーニバル決勝戦。カードはまぁ予想通りの小橋対ベイダー戦。
結果から言うと小橋も真正面から立ち向かったものの、ベイダーの圧勝という感じだろうか。このベイダーの圧勝と言うことには、異論を唱える人もいるだろうが、やはり私の目には圧勝に映った。そもそも膝の調子が良いときのベイダーに、真っ正面から立ち向かって勝てる日本人レスラーは今現在は居ないであろう。それどころかベイダーに相手の技を喰らってやろうという意志がなければ、誰もベイダーを投げることすら出来ないのではないかとも思う。それほどまでにベイダーというレスラーは、重く強く旨いレスラーなのである。
この試合でも膝に小橋の攻撃が及ぶと同時に、得意のやられタイムがスタートしていたし(本当に膝の具合が良くなかったら、あんなに膝を痛打するプレス技は使わないだろうし、その試合でダメージを受けているように見えても、次の試合では回復している)、投げ技もさすがに自分から飛ぶほどではなかったが、さして踏ん張っているようには見えなかった。決定的なのはトップロープからのビックバンクラッシュに行こうとしたところを、小橋にキャッチされボディスラムに投げられたシーンだ。あのときのベイダーは明らかにプレスする気は無く、自ら回っていっている。またフォールに行っても只かぶさっているだけで、あの体重を利用して3カウント奪おう何て気は毛頭なかったように見える。つまり、試合全てがベイダーによってコントロールされていたのだから、たとえ小橋が攻め込んで見せていても、ベイダーの圧勝だったわけである。
このように勝つにしても負けるにしても、ベイダーの腹づもり一つで決まってしまうと言うのが、実にプロレス的なわけだが、新日時代と一つ違うところがある。それは全日のレスラーは、非常にプロレスが分かっていて出来る選手の集まりだと言うことだ。先にも書いたが、ベイダーはトップロープから明らかに小橋に投げられるつもりで飛んでいるのである。しょっぱい選手との試合なら、このシーンに行く前に必ず耳元でささやくシーンが見えてしまうのだが、小橋との絡みではそんなシーンはいっさい無かった。なのにベイダーは小橋を信用して飛んで、そして、小橋も見事に受け止めて投げているのである。これがプロレスである。ベイダーが全日にレギュラーで来だしてまだ半年も経っていないのに、この信頼関係である。これが面白い試合を作り上げる秘訣なのだ。プロフェッショナル同士の仕事なのである。このプロフェッショナル同士の信頼関係というモノが、新日やUインターではベイダーは築けなかったのだと思う(そりゃ裏切ったり、騙したりの繰り返しだものな)。さらに、全日にはベイダーとやっても潰れなさそうなある意味説得力のある選手が多い。
プロレスにおいて、この説得力というモノは大事で、これを無視するとどうしようもない茶番になってしまったりするモノなのだ。例えば、新日時代のベイダーと試合を繰り広げていた選手は、全盛期を過ぎていた猪木、ジュニア上がりの藤波、同じくヘビーにしては小さめの長州である。武藤たち三銃士も体格こそ良かったが(橋本は小さいけどね)まだまだぺーぺーであった。この状況では説得力のある試合を組み立てるのは難しい。現に藤波はベイダーを投げて腰をやってしまったわけだし。となるとベイダーが圧倒的に強くて、猛威を振るっていればいいのだが、新日の体質的にそれは許されない。では、どうするかというと、ベイダーのうっかりミスや暴走で一瞬の隙をついて勝利という図式にしかならないのである。これでは駄目なのである。プロレスの醍醐味は表現できないのである。
ところが全日はどうだろう、この試合を戦った小橋の体は、ベイダーに吹っ飛ばされてもちょっとやそっとでは壊れそうにない。本人の戦う気があるかどうかは別として、やはり田上の体もそう壊れるモノには見えない。三沢と川田は体格的にはさほど大きくないが、三沢はやはり今全盛期(?)でエースとしてのキャリアや実績もある。唯一新日的なのは、体格をガッツという形の無いモノでカバーしている川田だろうか?このあたり負けしない全日勢が、ガツンと正面からベイダーを受け止めるのである。これがプロレスとして面白くないわけがない。さらに全日の偉いところは、例え行って来いにしてもベイダーに三冠を預けてしまったし、伝統のチャンピオンカーニバルも今回、ベイダーの優勝としてしまった。強いモノは強い。それは動かしようのない事実なのだから、変な小細工をして日本人の勝ちにしないところが良いのである。これがまた絶大なる説得力を生むのだ。日本人レスラーが、一瞬の隙をついて(約束通り)ベイダーを倒す。するとその試合自体はファンも喜んで盛り上がるが、先のことを考えたらそれではいけないのである。例え日本人が勝てなくても、強いモノが勝つという図式をしっかり見せないとプロレスから説得力というモノはどんどん無くなっていくのである。プロレスからこの説得力というきわどいタイトロープを無くすと、一瞬にして面白味が無くなる。ベイダーの全日での扱いは非常に的を得ていて、説得力がある。だからベイダーが新日の時と同じように、自分の気分で試合を組み立てても(投げられてみたり、痛がってみたり)、新日ではあまり面白くなかったのに対し、全日では非常に面白く見えるのである。
5.2には、いよいよエース三沢との三冠戦がある。現状では三沢が一瞬の返し技以外で説得力のある勝ち方をするのは難しいと思う。個人的には説得力倍増のために、三沢には玉砕してもらいたい。ベイダーの強さというモノはそれほどまでに凄いレベルなのだから(唯一の全日での茶番、最強タッグ決勝戦のようにならないことを祈る。)。30分以上戦って、ベイダースタミナ切れヘロヘロの所への、一瞬の返し技なら説得力あるかなぁ?
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/27記)
ドーム大会再放送シリーズ第二弾。ただし、今週もドーム大会で放送されなかった試合が数試合含まれていて、結局全編見なければいけないと言う巧みな構成。
その中で面白かった試合は、山ちゃん藤田の新日格闘技寄りプロレスラーと、バトラーツ石川アレクのタッグマッチだろう。特にガッチガチ筋肉の固まり(やりすぎ)藤田が、珍しく自分より体格の劣る相手と試合が出来ると言うことで(否、他団体ってのが主たる原因だろうけど)飛ばしていたのが印象的だった。何かタックル一つにしても「俺はメジャーで揉まれてるんだ」と言うようなすごいあたりで、日頃の鬱憤晴らしのようなすごい気迫だった。
対して、山ちゃんの方は何だか非常に楽しそうに試合をやっていたように見えた。今の新日では出来ないようなグラウンドでの攻防を、道場でのスパーのように繰り広げていく姿には、久しぶりにあった遠い親戚の子供とじゃれているような雰囲気が感じられた。その辺の雰囲気は、バトラーツの面々にも伝わったようで、試合後のインタビューにも現れていた。未だにUの遺伝子は息づいているのである。
で、その他の試合のことだが、はっきり言ってドキュメンタリー風再放送に無駄な時間をとられていて、いまいち物足りない内容だった。ヤングライオン(?)4人による試合にしたって、なんで中西と永田がもめてるのか全然分からなかったし(フォローも無し)、高岩と田中の試合だって、じっくり中継してくれればもっと良い味が出て面白かったと思う。どうせあんな深夜にやってる放送なんて、みんなビデオに取ってみているのだから、わざわざ再放送する必要はないのではないか?また、フライ対武藤の茶番試合にそこまでの価値があったとも思えない。試合前や試合後のストーリーを追いたかったら追ってくれても結構だが、わざわざ試合までまた流す必要を私は感じない。総じて、テレ朝は1時間という時間に胡座をかいていて、無駄な放送が多い。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(4/27記)
今週はシリーズとドーム大会との狭間で、ろくに放送するようなモノがなかったらしく、いまいちな内容であった。
そんなどうでも良い中継の中で触れておきたいのは川田の解説のことである。川田と言えば、その風貌や、ずっーとノーコメントで口を閉ざしてきた実績から(?)口が重そうな印象なのだが、意外や意外この骨折休養中の解説は、実に面白く聞きやすいものであった。特にタイミング良くこぼれ話や体験談を入れるセンスは抜群で、全日特有の休憩しながらグラウンドをするような時でも、ビデオを早送りにするのがもったいなく思えるほどだった。この試合でも「レスラーは肋骨の骨折ぐらいなら当然のように出場し続けてる」と言う話から「肋骨が折れてると受け身を取ったときに動くのが分かる」と言う驚きな体験談に移っていったり、「全日には蹴りを得意とする選手が居ないから、垣原は蹴りやすそう」とか選手にしか分からなく、選手にしか言えないような話がポンポン出てくるので非常に楽しめる解説なのである。只ドーム大会から、選手に復帰するわけだから、そうそう解説をやってられる暇もないのが残念ではある。今後は凄い技が出たときに「おわぁー」と言う声を上げて、どれくらい凄いかアピールする百田解説委員がメインになっていくのだろうが、選手の解説というのも(百田も選手だけど)武道館大会限定でも良いから残しておいて欲しいと思う(田上の解説はやばそうだなぁ)。
試合の方は6人タッグだったが、これと言って書くことも無し。垣原は未だにスタミナに不安があるなぁってことぐらいかな?攻めてて疲れちゃうんだものなぁ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/4記)
意外と早く東京ドーム再放送シリーズが終わり、今週からレギュラーの放送に戻った。
今週もまたジュニアのとても激しく、スピードのある、会場にいたら文句無しに面白いプロレスから始まったが、テレビの前だとどうしてもマンネリに見えてしまいもったいない。ワグナーJr.が入ったり、他団体の選手がいればマンネリという問題点は解消されるが、あのマンネリメンバーでなければ、あそこまでお互いが安心して激しい試合は出来ないだろうから、決定的な解決策にはならない。
小林とタイガーやキッドがやっていた頃は、そんなにマンネリになんか感じなかったのに今だと感じてしまうのは何故だろう?今のこのメンバーに固まってきて、何年経つのだろう?タイガー達は何年ぐらいやっていたのだろう?はっきりした年数は分からないが、今のメンバーの方が固定されてから長いのかもしれない。やっぱりもっとメンバーが動かないと駄目か?
インディーの選手だと自分の団体にも出続けていなければいけないので、新日に定着するのとかは無理だろうから、やはりここは全日と交換留学みたいな形で一年間ぐらい選手を入れ替えたらどうだろう?取り敢えず菊池と渕を新日のメンバーに入れてみたい。全日にはやはり大谷か金本をいれて大ショックを与えてみたい。
で、ヘビーの方としては蝶野の動きが活発になってきたというのと、赤永田だろうか?
蝶野は自軍に正式にドン・フライを入れて、着々と新日制覇への道を歩みつつあるが(ところでどうやったら制覇なんだ?実質的には蝶野無しで今の新日は動かないんだから、制覇したようなものでわ)一人どうしても蝶野軍に入れて試してもらいたい人材が居る。そう、安田だ(笑?)。はっきり言ってあの巨体をこのまま埋もれさしておくのはもったいない、今のパッとしない正規軍に入れておいたままでは、安田は何も変わらないであろう。そのオドオドした安田を精神面から変えられるのは、やはり蝶野しかいるまい。プロレスに大事な駆け引きなんかも、蝶野のそばにいた方がはるかに身に付くだろうし、やはり気の弱そうなレスラーが出世するには、ヒール系になるしかないだろう。現在の小型選手主流の日本マット界において、あの巨体は絶対にいかすべきなのである。180そこそこの小島に天下を取るなんて言わせていてはいけないのである。メジャーの主力選手はでかくなきゃ。プロレス会場の出口で素人に「俺の方がでかいじゃん」なんて言わせていてはいけないのである。はったりでもでかいヤツがトップで頑張るべきなのだ。素材的には申し分ないのかもしれないが、健介や小島には一歩譲ってインディーのトップレベルであって欲しいと私は考える。猪木191、坂口196、前田195、鶴田196、馬之助190、キムドク193なのである。ドリーですら190なのである。183とかでトップなのはやはり悲しかろう?
あっ赤永田のこと書くの忘れてた。まっいいか。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(5/4記)
東京ドーム大会。1時間も枠があったが、試合自体は三冠ヘビー級タイトルマッチのみ。
いやはやまたまたやってしまいました、大馬鹿試合。全日しかできないだろうし、全日しかやろうとも思わないスーパー馬鹿試合。しかも東京ドームと言うことで、いつもの1.5倍増しデンジャラス。やってのけたのはベイダーと、当然欠かせない近代受け身の帝王(先代はドリーファンクJr.)全日を身体で表現する男、三沢である。
さて、とにかく初っぱなからベイダーが何の遠慮もなく、ガンガン技を繰り出す。繰り出す。しかもみーんなデンジャラス系。トップロープに登っている相手選手を、パンチで叩き落としたレスラーが過去にいただろうか?場外でのパワーボムで相手選手が胸を押さえるほど激しく叩きつけたレスラーがいただろうか?とにかくどの技もどの技も手抜かり無しで、ちょっと加減する癖のあるベイダーを(しかもばれやすい)見慣れている身としては「うわぁベイダーもドーム仕様で舞い上がってるよ」と大興奮の試合であった。
また、それに拍車をかけるのが三沢のやつれっぷり。どうみても、どの技を喰らった後でも、かなりやばそうな顔。もう今日で三沢というレスラーがなくなっちゃうんじゃないかと言うほどの、疲労困憊ぶり。でも三沢は潰れないし、倒れない。どんなに激しい技を喰らっても耐えてみせる受け身の素晴らしさ。新日のところで「でかくなきゃトップは張るな」と書いたが、三沢も185しかない。おいら的には少し物足りない身長だ。だがこの受け身技術。これがあるからどんな巨大外人レスラーと試合をやっても、試合がきちんと成立する。プロレスの面白さは「受け」の面白さなのである。UWFが思いの外早く消滅したのも、「受け」の面白さを排除してしまったからであろう(それはそれで面白かったんだけどね)。小さい選手が巨大選手の技をかわしてかわして勝ったとしても、それはそれで面白いだろう。だけど小さい選手が、巨大選手の技を喰らって喰らって、観客が「もうだめだ」と何度も思う。でも耐えて耐えて勝つ。これは本当に面白い。最高である。それが出来るのが日本で只一人。三沢光晴なのである。
この試合でも三沢は馬鹿正直に、ベイダーの技を全て真正面から受けきった。そんな馬鹿なことをするヤツは普通いない。でも三沢はするのだ。それが今の全日を支えていると知っているから、そしてベイダーがそんな三沢を信頼していると知っているから。そして自分がトップで、全日を守っていかなくてはいけないから。天下を取る天下を取ると、口だけな小島に見てもらいたい、本当のトップの覚悟というものを。
さんざんベイダーの技を受け、しのいできた三沢が結局勝った。フィニッシュ的には少し甘いし、ベイダーがやられるには、説得力に欠けたかもしれない。でも、あれだけの技を耐えてきた三沢がやはり勝利者であるべきだと思う。ベイダーもそのあたりで、三沢にはかなわないと思ったであろうし。だからベイダーの肩はスリーカウント以内で上がらなかったのであろう。三沢光晴恐るべし。我々はいつまでこんなに試合を見ることが出来るのだろうか?
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/10記)
今週の中継では、あまり人の注目するようなカードに見るべき点がなかったので、後藤と小原の試合についての話から入りたいと思う。
どうしても今の軽々しい新日のプロレスに親しめない私としては、メインやその近辺の試合を楽しめないでいるのだが、今日の中継で久々に見た後藤と小原がとても格好良くて良い感じたと思った。後藤と小原。実にどうでも良い二人である。新日にとって居ても居なくても良い二人。それは平成維新軍の時から変わらない(平成維新軍自体が有っても無くても良い集まりだったが)。だがそんな本流から外れてしまっている二人が、実はとてつもなく良い味を出しつつあるのだから不思議なモノだ。
中肉中背で人の良さそうな顔、得意技も多くのレスラーが使うバックドロップと、ベビーフェイスの時の後藤には何の特徴もなかった。小原も浜口ジムの卒業生らしさがあふれるファイトスタイル以外は、さして特徴のない小さなレスラーでしかなかった。そんな二人が色々な出来事を経て、組むことになり今のスタイルとなったわけだが、いやー本当にパッとしないレスラーを一皮むかせるには、ヒールに限るという鉄則通りの変わり様だ。今の二人は言ってしまえば、昔ながらのレトロヒールでしかないのだが、今の時代にはそれが実に新鮮なのである。いつの頃からかヒールの行動にも大義名分や理由付けが必要となってしまい、理由付けいかんによってはヒールの方が支持されるような世の中になってしまっていたのだが、この二人は違う。ただ単純にヒール役なのである。そう、ただ単純に悪い役。なんとすっきりしていて格好良いのだろう。我々が子供の頃あこがれたヒール像そのままである。棒を持っての入場や金髪に髭面。あげくサポーターの下に凶器を隠し持っての攻撃など、本当に定番中の定番である。上田馬之助やタイガージェットシン。本気で逃げたモノだ。実は良い人だなんて知ったのは、随分後のことだった。ブッチャーやトーアカマタ。会場狭しと暴れ回っていた。会場中が運動会のようだった。そんなプロレスの楽しみ方はいつの間にかメジャー団体からは消えてしまっていた。
後藤、小原、ここまで来たら前座のブッチャー、馬之助として会場中を暴れまくり、観客を恐怖のどん底に叩き落として欲しい(いや楽しんでるんだけどね)。そう言うのもプロレスであって、無くしてはならないモノなのだから。メジャー団体というモノは、そう言うレスラーも必ず抱えていたはずなのだから。
と後藤、小原のあまりのレトロヒールぶりに盛り上がってしまったが、その他の試合では、相変わらずプロレスラーモードのフライの寸止めパンチ連打が見苦しかったのと、これまた金本の白々しいまでの対戦ムード盛り上げ仲間割れが、金本のキャラクターにあってないようで悲しかったことぐらいを記しておきたいと思う。
全日本プロレス中継30 日本テレビ系日曜深夜(5/10記)
東京ドーム大会川田復帰戦。川田対馳。
さて骨折による長期欠場から川田利明が帰ってきたわけだが、率直に言ってまだまだだなと感じさせられた。入場してくるときの雰囲気は大変格好良かったし、上着を脱いだその下の体は、見事に鍛え上げられていて、目を釘付けにされた。とてもシェイプアップされていて全日の選手の体とは思えなかった。だが良かったのはここまでであった。技を出す度に痛がり、苦しがる。それどころか張り手をやるにも、心配なのか切れもスピードもなくびびっている感じ。川田特有のガッツというか魂がこもっていないのだ。
試合序盤はそんな本調子でない川田を、なんとか馳が良い試合にしようと引っ張っていたのだが、考えてみれば馳も久々の試合で復帰戦みたいなモノである。徐々に二人ともスタミナがなくなってきて、試合からスピード感が無くなってきてしまい、お互い単発の技はそれなりのモノが出るのだが、それらが全然繋がっていかず見ていて辛い試合となっていた。川田も馳も誰もが認める名プロレスラーなのに、この戦いは本人同士も不本意な試合になってしまっていたと思う。
東京ドーム大会を成功させねばと言う、避けられない事情があったにせよ、川田の復帰戦はちょっと無理があったのではないかと思った。放送中にもあったが「本当なら手術してボルトで固定した方が良かったのだが、早く治すためにそれをしなかった」この決断が悪い方向に向かわないためにも、川田にはもう少し休んでもらってしっかり治してもらいたいと思う。全日の中では小さい方の選手なだけに、体に無理がかからないか本当に心配だ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/17記)
IWGPヘビー選手権試合、武藤対天龍。
前評判通り面白い試合であった。しかしいつものごとく残念なのは、新日生え抜き主流派選手同士による戦いで、面白かったわけではないと言うことだ。そう、この試合も組み立てていて面白くしていたのは、天龍というおっさんレスラーであった。それは新日にしては長い試合タイムからも伺える。そもそも、ゴングが鳴るなり10分程度グラウンドが続いたので、あぁ天龍のペースだな、と言うか昔の全日のような組立だなと感じさせられた。長い試合をやる気のレスラーは、最初はグラウンドの攻防を続けて、体力を温存させておくというのが昔は常套手段だったものだ。この試合で天龍は、ベルトはとれないまでも試合は自分のペースで展開して、天龍健在なりと言うことをアピールしたかったのではないだろうか?そしてそのための手段が、あの全日式ペース配分だったのではないだろうか?
そんなややだるい展開で試合は立ち上がっていった。だが立ち技中心に試合が変わってくると同時に、天龍が動き出した。試合後のコメントで武藤が「あの頑固オヤジめ、いつもと違うことやりやがって」みたいなことを言っていたとおり、いつもの(近年の)天龍と違う、観客を驚かせるような技を連発したのだった。さすがである。年は取ってもプロフェッショナルレスラーである。そう、ここでも何度も書いているが、プロレスラーは常に観客を裏切り続けなければいけないのである。観客を驚かせ続けなければいけないのだ。それが出来る男こそが、真のプロレスラーでありエースなのだ。天龍からはその意気込みが伝わってきた。全日のトップを張り、インディー団体のエースも続けてきた。そのプライドと責任感があの年で、あそこまで新しいことにチャレンジし、観客の期待に応えられる試合をしたのだと思う。さすがである。試合中何度も使われていて、気恥ずかしかったし、私はそうは呼ぶつもりはないが、確かに「ミスタープロレス」なのかもしれない。とにかく負けはしたものの、未だ天龍健在なりという感じであった。
対して恥ずかしいのは武藤である。試合中にマサさんが言っていた「今日の天龍は武藤の攻撃を読んでいます」。いや読むとか読まないの次元では無かろう。毎試合毎試合、同じ事を繰り返し、何の進歩も発展もないことをやっていれば。どの観客も、次に武藤が何をやるかわかっている。別に武藤が、もう40を過ぎてるレスラーならそれも良いだろう。様式美としてファンもかってを懐かしみ、温かい目で見るわけだから。だが、現役バリバリのしかも日本最大手のメジャー団体のトップレスラーがこれでは本当に駄目だ。こんな吉本新喜劇みたいな試合をしていては本当に駄目なのだ。この試合で観客は、武藤に対しては何の驚きも感動もしなかっただろう。武藤ファンはそりゃ武藤が勝ったのだから、満足して納得しているだろうが、それだけである。
往年のアメリカン名レスラー達はよく嘆いている。「アメリカにはもう熱いプロレスは存在しない」「だが、日本にはまだそれがあると」と。冗談ではない、着実に日本も駄目な方向に進みつつある。新日本プロレスという牙を無くした似非ストロングスタイル団体によって。
武藤がただの格好だけのレスラーならまだ良い、問題は天才とまで言われた男が、なぜこんな試合で甘んじてしまっているかと言うことなのである。あれほどの素材でありながら、なぜよりハードで面白いプロレスを作っていこうとしないのか?なぜ観客を驚かせようとしないのか?地位と収入を手に入れてしまったレスラーは、堕落する一方なのだろうか?
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(5/17記)
東京ドーム大会サスケ組対小川組。
いやぁーこの試合は、ドーム大会らしい試合だった。まさに夢の競演って感じ?もう見ていて、試合の組立がどうのとか、どっちが強いだとかはどうでも良くなっちゃう試合だった。サスケら他団体チームが、次から次へと飛び技を展開すれば、小川ら全日チームは、体のつくりをいかした肉弾技で対抗と、カラーもきっちり分かれていたし、本当に言うことのない熱戦だった。
特に光るのがヘビーでありながら、ジュニア並の動きをこなすハヤブサだろうか?ドームのように鉢のでかい所でやるときは、ジュニアの飛び技は、遠くからもはっきり見えて見栄えが良いが、ハヤブサのようにそこそこ体もでかいと、その良さがさらに倍増されて、本当にお祭り気分になれる楽しいプロレスであったと思う。
インディーの選手は、そりゃメジャーの選手に比べれば、体も小さいし出来てないかもしれない。だけどやっぱり生活がかかっているだけあって、一試合一試合にかける集中力というか気合いが違う。特に柵や椅子がある場外に、何の躊躇もなく飛んでいく様には、インディーでしか見られないプロレスの味というか気迫が感じられる。そりゃ、インディーにもピンからキリまであるだろう。ただ切り傷で血だけ出して、客寄せをする見せ物みたいなレスラーもいれば、高い技術と勇気で体格差を埋めようとしているレスラーもいる。メジャー団体は、どうしても見せ物レスラーに目が向いてインディーを毛嫌いするが、ことプロレスに対する情熱だけは、メジャーよりはるかにインディーの方が熱く見える。ただ、なあなあと試合をこなしているメジャーレスラーも、インディーの一試合にかける気迫、勇気を見習って欲しいものだ。
で、試合とは別に、三沢と武藤の対談というかインタビューが放送された。昔は肖像権?がどうのとかで、新日のレスラーは日テレに映れなかったし、全日のレスラーもテレ朝には出れなかった。そんな時代を知っていたモノとしては、たとえ試合はしていなくても全日新日のレスラーが、同じチャンネルの同じフレームに映っているのを見れるなんて、本当に時代が変わってきているんだなぁと感慨深かった。個人的には交流戦は、四年に一度ぐらいのお祭り形式的のものか、毎年毎年、両団体のタッグチャンピオン同士が戦う、勝負にこだわる形式のものがよいと思う。さすがにシングルチャンピオン同士が戦うと、生々しくて何かと問題も起きそうなので、ノンタイトルのタッグ戦なんかが好ましいのではと考える。はっきり決着をつけ過ぎちゃうのは、プロレス界の夢の部分が無くなってしまいそうなので、あまり好ましくないだろう。かといって、いつもいつもお祭り的顔合わせってのも、真剣味が無くなって別の意味でプロレス界にマイナスであろう。とにかく良好な関係を保ったまま、両団体が存在できて、なおかつ両団体の刺激になるような形式が理想であると思う(個人的には三沢の必死さを武藤に叩き込みたい)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/25記)
トップオブスーパージュニア開幕戦。毎年毎年、見に行こう見に行こうと思うのだが、今年も開幕戦が割合近くであったにもかかわらず、見に行くことが出来なかった。新日も全日の中継のように、エンディングなり何なりで時期シリーズの日程を出してくれるとありがたいのだか・・・
さて、そんなわけで今年もジュニアの祭典の季節がやってきた。通常マンネリ気味の新日ジュニア勢だけでなく、他団体の「これは!」と言うジュニアレスラーが参加するこのシリーズは、マンネリ打破と共に「メジャー新日のリングにあがれるのだから」と自分の力以上に頑張る選手が多いので、非常に面白いシリーズである。ただ今回のシリーズでは、いつも参加している?みちのく勢の姿が見られずちょっと残念ではある。
代わりにと言っては何だが、今週の試合では武輝道場の望月とか言う選手が出ていた。やっぱりインディーはインディーである。金本に良いようにあしらわれていた。どこかしら良い点があってライガーなり誰かが、新日のマットにあげたのだろうが、この程度のレベルでは全国ネットはきつかろう。空手出身と言っているのに、金本の蹴りの方がはるかに重くキレがあるし、体だって小さくてひょろひょろだ。トップオブスーパージュニアには、毎年このようにボーダーラインギリギリの選手が参加してはいるが(茂木とか南条とかね)、こいつはかなりやばかろう。今後テレビに映る可能性もかなり低いと思うが、何とか持ち味というモノを見せてもらいたいものだ。
雨後の筍のようなインディー団体の中で、やはり単独興行をうっている団体のレスラーは、それなりに見れるレベルにはある。前記のみちのく勢もそうだし、FMWもそうだ。だが所属レスラーが自分だけとか、数人しか居ないところはやっぱり酷いレベルだ。ただ町でケンカが強いとか、180センチ有るからレスラーやるか何てレベルの所もざらである。そんな中でも、とんちが効いててお客を楽しませられるような団体は良いが、全然体もできてないのに、俺はレスラーだ、格闘家だと言うような所は本当に困ったモノである。うがった見方かもしれないが、そう言うヘボインディーとの差を明確にするために、新日は毎年ギリヤバのレスラーを、このシリーズに参戦させているのではないのだろうか?どちらにしても、最初で最後のメジャー団体登場かもしれないのだから、どの選手も骨折とかして同情票を稼がずに、きっちり自分で見所を作って頑張って欲しいものだ(新日で辛いと思ったら、もうレスラーやめて欲しいよ、そんだけ今まで甘かったって事なんだから)。
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(5/25記)
ドーム大会4週目。今週の目玉はプロレススターウォーズ世代にはたまらない、ロードウォーリアーズの登場であろう。とにかくロードウォーリアーズが来ると言うだけで、私もドームに行くべきか真剣に悩んだぐらい(通常ドームは見にくいので行かない)当時の子供達には衝撃的なタッグだった。まだ筋肉増強剤なんて言葉を知らなかったあの頃は、日本人と外人には体づくりで越えられない壁があると真剣に考えさせられたのも、ロードウォーリアーズの体を見てしまったからだし、鶴田や天龍をポンポン吹っ飛ばすそのスピード感は、土曜夜7時と共に我々の世代の心にしっかりと刻み込まれているのである。
そんな彼らもアメリカでは色々あり、日本のように英雄ではいられない(日本は良い国だよ、レスラーをいつまでも暖かく大事に扱うからね)。そんなわけでか近年は、割合日本で姿を見ることも増えてきた。ただ、ホークと健介が組んでるのは明らかに違ったし、それにアニマルが復帰して3人になったのもちょっと違う。やはり新日ではあのキャラクターは使いずらかったようで(と言うかどう考えても健介小さすぎ)、あまり日の目を見ない内に消えてしまった。ならば、テレビゴールデンタイムを今にと、奮闘するバトラーツに共鳴してやってきたが、今度はモヒカン&逆モヒカンになっておらず、これまたかなり違ってしまった・・・
で、三度目の正直というか、本来あるべき所に戻ったというか、全日ドーム大会に登場となったわけである。ここでもポールエラリングはやはり居ないし、また6人タッグの組み合わせになってしまい、ちょっと違うなぁと思わせかけていたが、そこはやはりホームグラウンド全日、アニマルの実の弟(しかも今の全日のトップ外人)エースと組ませるという、説得力バリバリのタッグで、ようやく往時を知るファンも納得の姿となっていたのだった(モヒカン&逆モヒカンだったし)。まぁ試合の方は、今の全日に慣れていないせいもあり、正直いまいちだったような気もするが、年末の最強タッグにエントリーされたらなぁとか、かってに自分で盛り上がっているファンも確実にいるだろうから、アメリカで冷たくされているのだったら、ちょくちょく日本に来なさいよって感じだ。全日でやってみて「おいら達もうジーサンだから、このレベルは辛いや」って思ったら、インディーに流れても良いわけだし(テリーやマードック、ブッチャーのようにね)。まだ40前なんだから、鍛えようによってはどうにでもなると思うが、後のプロレス人生、日本で楽しく過ごすのが良いと思うぞ。それだけの資格は充分にあるわけだし。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/1記)
トップオブスーパージュニア開幕戦。って先週書いてたけどベストオブスーパージュニアだったす。で、今週は折原対大谷の試合がよかったと思う。
折原という選手はメジャー中心に見ている者としては、なんか尖っていて色々問題を起こしつつ、色々な団体を渡り歩いているレスラーという印象がある。実際に見たのはバトラーツでの試合などで2度ほど見ただけなのだが、はっきり言って印象は良くなかった。折原が悪いと言うより、折原が生きていないと言う感じだった。トンパチマシンガンズ感連での流れが好きな人には申し訳ないが、彼はやはり対権力とか対大物とかの図式が生きるレスラーだと思う。何か挑むモノが無いときの彼はどこかものたりないのだ。そんな折原にとって対大谷という試合は、まさに久々に本領を発揮できるチャンスなのである。
大谷も元来こういう生意気なレスラーは嫌いではないはずだ。テクニックのあるレスラーや魅せるレスラーより、こういうガンガン来るレスラーの方が波長が合うのだろう、金本との試合が盛り上がるのもその辺りからであろう。この試合も初っぱなから折原が奇襲をかけて、一気にヒートアップしていたし、その後もわざとらしく折原を盛り立てるわけでないのに、折原の持ち味が旨く出ていて、他団体の選手が上がっているという旨味がリングから溢れ出ていた。折原というレスラーが、そこそこ出来て頭が回るレスラーだからと言うのもあるが、先週の金本対望月戦というつらい試合を魅せられた後に(その後、高岩に勝たせてもらっていたが)、こういう試合を見せられると、そうそうこれこそベストオブスーパージュニアだなぁとうなづかせられる試合だった。やっぱりちゃんとしたところで(天龍の元でね)体作ってちゃんとレスラーやる気のある人は違うよ。
後は浜田おじさんの勝利は、ちょっと嬉しかったなやっぱり。ヘビーの方はこれと言って面白い動きなし。
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(6/1記)
なんか今週はやりたい事、伝えたい事、やっとかなきゃいけない事てんこ盛りで、完全にプロレスダイジェストか、プロレスニュース拡大版という感じだった。
まず最初は前々からこの欄でも言い続けていた、高山と垣原の全日正式入団の話題からだろう。できれば馬場に手取り足取り教えてもらえるうちに正式に入団して欲しかったが(特に高山にはでかいレスラーの心構え見たいなモノを叩き込んで欲しかったし)、実に有意義なことである。全日にはやはりでかいレスラーが似合うし、全日でなければでかいレスラーも育てられないのだから。とりあえずは足下がよちよちする癖を、早急に直して欲しいと思うが、売り出し中の大森と共に楽しみな存在である(顔の歪みも治ってきたか?)。
で、その大森だが相変わらず試合展開は流れが無く厳しいが、ことアックスボンバーの切れだけは抜群である。ただのさるまねで始めただけの技にしては、すばらしい破壊力である。助走でのスピード感と言い、体をうまく使った当たり方と言い完璧である。さらに当たった瞬間も実に見事で、完璧に肘が当たっているのである。はつきりいって説得力、技の美しさでは、本家より大森の方が上であろう(破壊力は本家だろうけど)。大森にとってこれはでかいと思う。必殺技を持っているレスラーというのは、他が不味くても何となくそれだけで飯が食えちゃうモノである。特にある意味連発の効くアックスボンバーは、変な話困ったときは出しときゃ良いのだから、試合の組立のまずい大森には打ってつけの技であろう(まぁ連発すれば価値も下がるけどね)。とにかく大森というレスラーに「これは」といえるモノが出来たのは良いことである。
後は、他団体との試合が数本流れたが、FMWの試合の解説はひどかった。元々付いてきたのだろうけど、あの音だけ消せなかったのだろうか?ドーム大会での試合も含めて思ったことだが、全日は、他団体との試合をよくこなしている新日より、他団体との試合を成立させるのがうまいと思う。新日は何でも自分たちが一番、他は叩きつぶす。なのであんまり他団体の持ち味良い点が出ないが(いつも使い捨てだし)、全日と他団体の試合は、実に両者の持ち味が出ていて面白い試合が多いと思う。特にドームでの菊池、丸藤対橋、浪速の試合なんか、ダイジェストだったせいもあるが抜群に面白かった。キーワードは菊池って感じか?うん菊池は良いなぁ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/9記)
ベストオブスーパージュニア3週目。ヘビーの方はまたバカ大仁田、相手にしちゃっててげんなり。今はとにかく橋本が良い形で帰ってきてくれることを切に願う。
で、ベストオブスーパージュニア今週のおすすめは、大谷対田中戦である。結果的には田中が殊勲の勝利を腕ひしき逆十字でもぎ取るのだが、そこに至るまでの攻防と、大谷の観客を読みとる力というのがおもしろかったと思う。今から書くようなプロレスの見方をすると、怒りそうな人もいるがこれが私のプロレスの見方なので勘弁してほしい。プロレスというのは格闘技でありながら、伝統芸能のような側面を持っている。そう、簡単な言い方をすれば八百長か八百長で無いかだ。最初から勝負の行方が決まっている試合は、八百長と言って貰ってもかまわないと思う。プロレスというモノは時に政治的な駆け引きもあるだろうから、そういう試合もあるだろう(今週の全日のアジアタッグとかね(だって今取り返しとかなきゃ、冬木が鎖国したら帰ってこなくなるし、冬木も全日のベルトには興味ないだろうから))。
問題は相手の技を故意に受けると言うことを、八百長というか否かだと思う。プロレスに興味のない人はその一点を持って八百長だと言うが、それは違うのである。私はプロレスにおける勝敗は、スケートの芸術点やジャンプの飛形点みたいなモノだと思う。つまりより遠くに飛んだ人より、よりきれいに遠めに飛んだ人が勝ちになるあれである。プロレスもただガチンコで強いレスラーより、より観客をハラハラさせてわかせたレスラーの方が強くて勝ってよいレスラーなのである。つまり相手の技を受けても、よけてもその後の動きで観客を魅了できるレスラーが良いレスラーなのである。そういう意味では、相手の技をわざわざ受けるというのは、八百長ではないのである。
で本題に戻るが、この試合の大谷も試合を展開していきながら、観客の反応を伺っていたのであろう。そしてそれまでの試合の流れ、観客のわき方などから、今日の試合は田中のモノだと判断したのであろう。はっきり言って大谷ほどの実力なら田中を倒すことは、さほど難しいことでは無かろう。でもそれでは良いプロレスラーとは言えないのである。良いプロレスラーというのは、時には負けを選ぶこともできるレスラーなのである。昔のように、勝つことでしかレスラーの良さを表現できなかった時代とは違うのである。今はたとえ負けても、良い試合ならレスラーの価値は下がらないのだ。そういうことがわかっているから大谷はあえて負けたのだと思う。あの試合は負けて良い試合だったのだ。負けたからこそあの会場があんなに爆発的に盛り上がったのだから(でも田中の逆十字、ばっちり親指上向いて決める気ありありだったけどね)。
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(6/8記)
先週の高山入団に引き続き、今週はアジアタッグ選手権で大森&高山対人生&ハヤブサの試合と、高山好きの私としては(と言うかでかいレスラー好き)うれしい展開。
だが試合自体では高山はあまり目立たず、唯一目立ったのが試合前の大森とのマイクアピール。なーんか二人とも頭悪そうなの丸出し(笑)。で、頭悪そうと言えばやっぱり大森なのだが、秋山と飽きるほど防衛を重ねたアジアタッグをまた取らなきゃいけないと言う事情はかわいそうだが、未だそのレベルにしかいない自分が悪いのだからしょうがないと言えばしょうがない。そのレベルの問題にしても、この試合でもしょっぱさ全開で困ったモノである。むしろインディーの人生の方がアメリカマットでの経験の成果か、プロレス脳は格段に上に思えるのである。
その代表的シーンがフィニッシュ間際にあった。人生の輪廻が大森にうまく当たらず、ちょっとした空間があったのだが、大森ときたらその間何のリアクションも取らず棒立ちなのである。誰が見ても当たっていなくて、本人も当たっていないのがわかっているのだから、ちゃんとしたレスラーならそれなりにあたりが浅いことをアピールして反撃すべきなのに、何もしない大森のせいで外した人生にまで恥ずかしい空気が流れてしまってかわいそうだった。
それとは逆に人生は、大森から喰らったアックスボンバーのあたりが浅いと見るや、スリーカウントは貰わず、しばらくよろよろしてみてもう一発きちんとしたのを貰うのを待つ、という素晴らしいプロレス脳っぷりである。本当に大森はプロレスというモノをきちんと身につけてほしい。せっかくの体格がもったいない。全日という、ことプロレス脳の育成に関しては天下一品の団体にいながら、この体たらくどうしたらいいのだろうか?猿まねのアックスボンバーをあれだけ素晴らしく決められるセンスがありながら、どうしてプロレスの駆け引きはびしっと決められないのだろう?本当にもったいない男である。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/16記)
ル・マン24時間レースでお休み。
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(6/16記)
今週は恒例の45分拡大版。三冠ヘビー級タイトルマッチ三沢対小橋戦。
過去に数々の名勝負を繰り広げてきたこの対戦だが、前回の対戦では場外へのタイガードライバーと言う超バカ大技があったものの、試合の流れ、組立としてはいまいちの展開だった。全体としての流れが無く、大技が出るもののだらだらした印象で誉められる試合ではなかったとこの欄でも書いたはずだ。で、今回はどうであったかというと、一言で言うなれば及第点。あれだけの試合をしていながら及第点と言うのも、申し訳ないが率直に言って、大感動というレベルの試合ではなかった。
前回の試合と違ってこの試合では、三沢小橋共に良く考えて試合をやっていたようには思う。それはいつもと違う技、工夫を凝らした技のオンパレードで「お互い知り尽くしているから同じ技を出したら見切られる」と言う事から来る緊張感が、試合としてのマンネリ感も薄めていたように思う。そして技が繰り出されるテンポも割合良かった。前回のように休んでは出し、休んでは出しと言うこともなかったし、技にも必然性があった(三沢のスタミナを奪うための小橋のボディ攻撃とか)。やばい角度でのスープレックス、やばい場所でのデンジャラス技もふんだんに盛り込まれていた。
では、何が今ひとつだったのであろう。一つは技のインフレ化である。毎回毎回こんな凄い技がーーーと思わせられてきたが、慣れというものは恐ろしいもので、見る側がそんなに衝撃を受けなくなってきているのである。また、現実問題あれ程の技をしのいできた両雄の決着技が、エメラルドフロージョンというパッとしない名前先行型のしょぼい技だったのもいけなかった。また、日テレ側が出した必殺技の字幕に、白々しくエメラルドフロージョンと入っていたのも「あぁこれで決まるんだな」と言う心の準備をさせてよろしくなかったのではと思う。
そして、全く見方は変わるのだが、いまいちだった本当の原因は、ここにあると思う。それはベイダーの存在である。今まで、言い方は悪いが比較対象物が無く閉鎖的空間だった全日では、観客は想像でレスラーの実力を計っていたわけだ。そうそのレベルは、まぁ三沢=武藤ぐらいで、本気を出す直前ぐらいの鶴田とも同じぐらいかなと言う見方であったと思う。晩年の鶴田が三沢に負けていたし(負けてあげてた?)、あれだけ強かったハンセンですら今はかなわない、Uインターで猛威を振るったオブライトがパッとしない、と言ったことからその強さは想像されていたわけだ。
ところがそこにとてつもなく強く、物差しの尺度を作り直す必要のあるベイダーがやってきてしまったのだ。はっきり言って体調が万全のベイダーには、全日のレスラーでかなうものは居ないだろう。いや新日にも居なかろう。そう、ベイダーだけ特別なのだ。とすると観客の興味は、同じレベル(それでもかなり高いレベルなのだが)で毎度毎度戦っている三沢対小橋戦よりも、対ベイダー、いかにベイダーを倒すか、ベイダーを完全に倒すのは誰だ。と言う方に向いてしまうのである(現に私は向いてしまった)。そうなるといかに激しいプロレスをやっていても、もう一段階上のプロレスがあるわけだから、何となく見ていて感情移入できなくなるのは当然であろう。
そう、時代は日本人対決から再び対外人へと変わってきているのではないだろうか?こと全日に関しては、そういう動きに向かった方が盛り上がっていくと思う。やはりでかい外人を倒すのはプロレスの醍醐味であるのだから。プロレスの面白さはでかい奴とでかい奴がやるところにある。これが最近の日本のプロレスでは、忘れられがちであった。三沢も川田も小さいのが気になるが、そろそろ仲間同士でのプロレスからは卒業の時期なのかもしれない。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/21記)
只でさえ放送が遅れ気味な新日なのに、先週のル・マン24時間レースの埋め合わせはどこにもなく、順当に1週ずれていまだにベストオブスーパージュニアのリーグ戦をやっている。でもまぁベストオブスーパージュニアは、見ていて面白いので良いだろう。また今週の放送の永田対中西も、そこそこ見られる試合だった。とにかく問題なのは、いわゆる今の新日を支えている輩たちの試合だ。
もう前から何度も書いてきたことだが、武藤、蝶野、小島、天山。この四人の絡んでいる試合はまるで面白くない。小島、天山は元々大したレスラーでないので、まだ諦めがつくが(とは言ってもそんな連中がメインってのはおかしいが)武藤、蝶野は有り余る才能、センスがありながら、どうしていつまでもこんな橋田ドラマみたいなことをやっているのだろう?まぁ新日は古くから大河ドラマ的構成が好きであった。レスラーに必然性があってそういう流れになるわけでなく、会社の事情、シナリオの都合で、ストーリーが流れていったものだ。ただ、そういう中でもレスラーはストロングスタイル、手抜きのないプロレスで切磋琢磨しあっていたものだった。だからこそ、茶番とも思えるストーリー展開にもファンは離れず、真剣勝負という事を信じていたのである。なのに今はどうだろう?まずストーリーがしょぼい。面白い流れが全然生み出せていない。たまに他から恰好のストーリーの素材がやってきても、怖じ気づいて自分のところのストーリーにも組み入れられない。で、良いストーリーテラーが居ないのでしょうが無しに、レスラー自ら流れを作ろうとしているのだが、これまた役者のレベルが低くて何の面白みも緊迫感が出てこない。ここでもやはり外様の役者の方が、良い動き良いアピールをするのである。全くもって新日はどうしようもない。はっきり言ってこのままでは、AWA、NWAのようにいずれ滅んでいくだろう。プロレスとはなんたるかを忘れている団体は淘汰されるしかないのだ。今は似非アメリカンプロレス風な雰囲気に、バカ新日ファンたちが踊らされてそこそこ客が入ってるかもしれないが、もし本場アメリカのしっかりと練られたアメリカンプロレスが入ってくるようになったら、新日は本当に終わりだろう。バカ脳味噌に洗脳されていて、与えられたモノでしか喜べなくなっている新日ファンは、当然偽物のアメリカンプロレスよりも、本物のより面白いアメリカンプロレスを選ぶだろうから。
そんな日が来ないためにも、日本では日本人向けの日本なりの面白いプロレスをやって、観客の目なり脳味噌なりを育てておかなきゃいけないのに、今の新日は何なんだろう?バブル期の企業のようである。その時の調子良さに溺れ、先を見据えた動きが出来ていない。自分たちの天下は永久に続くと過信している。社員に危機感が無く、会社が何とかしてくれるだろうと思っている。本当に新日バブル、プロレスバブルである。現に中小企業には(インディーね)、案配のおかしくなってきた団体が出てきた。でも、超大型優良企業だと思っている新日は、自分達の病理の根の深さに気付いてないのである。本当に社会の縮図である。一方の大型企業全日が、企業体質を刷新し新たなる道を歩こうとしているのとは対照的である。何で武藤にも蝶野にも危機感がないのだろう?本当に彼らの信じるべき道でよいのだろうか?古くからの(と言っても馬場猪木は峠を過ぎていたが)プロレスファンは首を傾げずにいられない。
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(6/21記)
今週は世界タッグの選手権があったというのに、大森、高山組にずいぶんな時間を割いた中継であった。
率直に言って大森、高山組はまだまだである。試合の組立も危なっかしい二人が、いきなり世界のトップにたてるわけがない。素質的には前から良いものを持っていた、でもなかなかパッとしなかった、そういう二人である。その時と今と何も変わっていないのである。せいぜい大森にアックスボンバーという必殺技が出来た程度である。なのになぜこんなに取り上げられるのか?三沢社長的、日テレ的判断があったからこそだと思う。しかし私はそれはそれで良いと思う。全日の考え方として、昔から地位は人を育てると言うものがあったからだ。三沢にしたってタイガーマスクで決起軍とかやってた頃は酷かった、とても彼がメインイベンターとなって社長になるとは思いもしなかった。田上にしたってそうだ、只体格がデカいってだけで鶴田と組ませられ、足下がおぼつかなかったのが昨日のことのようだ(これは今もか?)。
だから今の大森、高山組の抜擢は良いと思う。この放送での川田、田上組のやられ方にも不自然さは感じられなかった(またやられるのは田上かよってのはあったが)。ニーだけであれだけのダメージを与えられる高山はやはり化け物だと思うし、アックスボンバーを得てからの大森は、多少落ち着いて試合が出来るようにもなってきたと思う。今のところ酷いボロは出ていない。いい感じでスタートラインに立てたと思う。ある程度までは会社が保証してくれるだろう、だがそこから先は自分達で切り開いていかなければいけないのだ。マイクアピールが新日風でさぶいのが気になるが、とりあえず暮れの最強タッグまでは突っ走って欲しい。シングルは厳しくてもタッグ屋としては結構面白い存在になれるはずなのだから。足りない頭も二人ならどうにかなるだろう。何と言っても黒のショートタイツのメインイベンターは全日には居ないのだ。無事会社的、日テレ的そしてファン的にも納得のいくチームになっていって欲しい。でかい奴はバカでも強くなきゃいけないんだ。
世界タッグ。最強タッグではとにかく初登場のガンの出来が良く、エースはちょっと霞みがちだったが、この試合はとにかくエース、エース、エースであった。と言うよりエースクラッシャー、エースクラッシャー、エースクラッシャーと言う感じだろうか?本当にエースはエースクラッシャーにつきる。毎度毎度良くあのタイミングで、あの角度で!と惚れ惚れさせられる。必殺技というのはこうでなければいけない。年々腹が出てきて、おまえちゃんとやってるのか?と言う風貌のエースだが、エースクラッシャーをキチンと身につけてからは、試合の組立も全く問題はない。ベルトを巻いて当然のレスラーである。近年ここまで必殺技が身に付いているレスラーも珍しい。いわゆる温かい目で見られるレスラー達は、みんな何かしら自分だけの技というものがあった。ドリーのスピニングトーホールド、マードックのブレインバスター、ブッチャーの地獄突き。エースのエースクラッシャーもそんな感じになりそうだ。晩年のエースの試合を見た観客はエースクラッシャーだけ見れれば満足する。それほどまでにエースのエースクラッシャーはエースと結びついている。またエースクラッシャーによって名勝負も生まれ始めているのだから。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/28記)
藤波が新日の社長になった。先週あんな事を書いたので、まったく良いタイミングでちょっとびっくりしている。新日も変わろうとしているのだろうか?
だが今週の中継ではそのことには全くふれられていない。思うにテレ朝的には藤波の存在にとまどっているのでは無かろうか?そもそもテレ朝的には今の長州現場監督が指揮する、偽アメリカンプロレス的な仕掛けの多いプロレスの方がお好みで、視聴者の気を引きやすいと考えているのではないだろうか?それがいきなり無我の藤波なのである。テレ朝的には、猪木の居ないストロングスタイルは必要ないと思っている所に、テレビ局の言うことも聞いてくれそうになく、一般視聴者に受けそうな花火を打ち上げるわけでもなさそうな、只プロレスを、ストロングスタイルを愛する藤波と言う男が社長になり、危機感を感じているのではないだろうか?せっかく脱猪木に成功し、独自のテレビ寄りなプロレスで、バカファンの獲得にも成功しつつあったのに、また10年ほど時代が戻ってしまうのでは・・・と。そのため新日サイドとのあらゆる意味での確認を取るために、今週の発表は見送られたのではないだろうか?そんな風に私は考える。あまりにも周りは敵だらけかもしれないがもがんばれ藤波。
で、今週は橋本復帰戦とベストオブスーパージュニアの決勝戦をじっくりと放送した。
橋本。確かに絞られて動きも良くなっているし、マサさんも言っているとおり筋肉の着き方も良いだろう。だけど橋本ってあんなに小さかったか?いや180は無いだろうなって気は前からしていた。バラエティに出た時などに、180と公表しているタレントより低かったりしていたから・・・でも今までの橋本は、背の低さなどを補って余りあるでかさがあった。だが、今の橋本からはそれが感じられなかったのだ。ただ少し動きの良いデブ。そんな感じだったのだ。対戦相手が気迫もあり、でかいおっさん天龍だったのがいけなかったかもしれない。でもあんだけ気迫のあるチョップ合戦を繰り広げた割には、橋本のでかさが感じられなかったのだ。絞ったのは良い。でも昔の橋本はもっとオーラが出ていた。
ベストオブスーパージュニアはカシンが優勝した。試合もまぁ決勝戦にふさわしい攻防であったと思う。だが二つの事柄で個人的にはちょっと納得がいっていない。一つは前から言い続けているが、カシンというキャラクターがどうにもわからない。なぜに彼はああもわけもなくヒステリックなのであろうか?あのキャラクターである限り彼には感情移入が出来ないのだ。試合後のインタビューでもそう。「全額寄付してくれ」そう言い放つのは良いと思う。だがその言い方は、目が泳いでいるし、おどおどしていてはっきり言って恥ずかしい。そんな映像とあのヒステリックなキャラクターを合わして考えると、どうしてもわがまま放題な大人になりきれないガキにしか見えない。なぜそんなキャラクターなのだろう?何が不満なのだろう?なぜそのままの石沢ではいけないのだろう?とにかくカシンはわからなさすぎる。
もう一つ納得いっていないのはフィニッシュである。なぜ金本はカシンが飛びつき逆十字で来るとわかっていて、ぼーっとトップロープに座っているのだろう?金本ほどの男がだ。あまりの好勝負に泣けてきて我を忘れたのか?それともカシンを讃えて勝たせてやろうと思ったのか?あれがなければ、ああいうフィニッシュでなければ、かなり満足度の高い試合だったのに、個人的にはあれでさっーと冷めてしまって残念(試合後金本泣いてるのもちょっとわからない?)。
全日本プロレス中継 日本テレビ系日曜深夜(6/28記)
シリーズとシリーズの谷間で、散発的な放送内容。ジュニアの志賀対小川の戦いをもう少しじっくり見せても良かったし、垣原対秋山の戦いもCMの前にあおった割には、凄いことはCM前のゴングへのキックだけだった。色々見られるのは嬉しいが、もう少しちゃんと見せて欲しいと思う。
そんな中で特に気になった試合が、ガン対ベイダーの一戦だ。前回放送の世界タッグの時にも思ったのだが、最強タッグの時にあれ程無駄のない良い動きをしていたガンが少しおかしいのである。一言で言うと、プロレス的動きが多すぎると言う感じだろうか?この5ヶ月の間にガンがどのように全日本プロレスを解釈したかはわからないが、わざとらしい動き、無駄なアピールが多くなってしまっていて、良さが消えているのだ。最強タッグの頃は、格闘技系の臭いを漂わせつつも、プロレス的連携もそつなくこなせると言う意味で、新鮮な驚きがあったのに、今は変なプロレス解釈のせいか、なんか体ばかり出来てるしょっぱいレスラーみたいな雰囲気になってしまっているのだ。プロレス的演出は、エースに任せておけばいいのであって、ガンは前のように、エースの指示があるとき以外はガチンコレスラーみたいなふりをしていてくれた方が良いように思う。自分で消化しきれていない変なプロレス的動きをするより、前のままで十分強く格好良いのがバート・ガンなのだから。
他の試合では、人生の連携の巧さは本当に素晴らしいと言うことと、志賀の体つきが、ゆっくりとだが確実にしっかりしてきていると言うことだろうか?特に志賀は、もうテレビに映っても恥ずかしくない体になってきていて、後10年ぐらいすれば十分ヘビーのメインイベンターになっているのじゃないだろうか?(まだ10年かかるのか・・・)あぁもう書くことがない。