過去の東野プロレス的
毒有りTVプロレス観戦記

すんごい文章量になったので字をかなり小さくしてみた。
ウェブ上で見ると目が痛くなるので、必ずコピーしてご贔屓のワープロソフト上で
拡大して見ることにしましょう。取り敢えず読み込み終わるまでは
エロページでも見てて時間を潰して下さい。


2002年上半期


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/6記)

 新日新年恒例の東京ドーム大会。今年も年中行事としてしっかりと観戦してきた。なのでこれまたいつもの通り、テレビを見ての感想でなく、会場で全て見ての感想とさせてもらう。

 まずベストバウトはシルバ対中西戦であろう。例のごとくたいして長い試合時間でもないのにテレ朝はカットの嵐で(健介小川のインタビューなんて何度も流さなくて良いんだよ!)、中西が担ぎ上げたところしか放送されなかったが、実にしっかりとプロレスがなされていた好試合だった。テーマ通りの試合がしっかりと出来ている。こんな当たり前のことが今のプロレス界では、案外出来ていなく、こんなに純粋に楽しめる試合は珍しかろう。テーマはズバリ大巨人を野人が担げるか?その一つに尽きるのだが、その担ぎ上げるまでの試合の流れが実に良い。シルバが完璧なまでに大巨人な役割をこなし、中西に付け入る隙を与えない。声も実に良く出ていて見事なまでの大巨人吼えだ。またその人間山脈ぶりは動きの機敏さで完全にアンドレを越えている。とにかく大巨人が大巨人であるほど、観客は中西が担ぎ上げるのを難しいと感じ、さらに試合に引き込まれて行くわけだ。そして観客が試合に引き込まれきったその時に、中西は見事シルバを担ぎ上げて見せた。もう場内の興奮は最高潮に達する!さらに場外の大巨人に、野人はトップロープからダイブ!全く持ってたまらない!!フィニッシュに至っては、大巨人を場外に置き去りにしてのリングアウト勝ち!本当に完璧な試合だった。もうこの試合だけで5000円払ったのが惜しくなく感じてしまう満足度である。

 ベストバウト次点は、メインの秋山対永田であろう。試合前の予想では「K-1対決に無様な負けを喫した永田に2連敗は無い」「取り敢えず今日は永田が勝って行って来いだ」との声が多かったような気がする。だが対小橋戦や、ノアの看板を背負っている秋山はそんな甘い男ではなかった。見事なまでのタフネスぶりで途中から完全に永田を圧倒。地獄のパイルドライバー合戦も制して、全日出身レスラーの頑丈さを改めて世間にアピールした試合だったと思う。とにかく現状新日のレスラーで、しっかりとしたプロレスをやって(ラッキーパンチ等無く)、全日出身レスラーに勝てるのは武藤、蝶野ぐらいしか居ないのではないだろうか?それほどハイスパートレスリング、演劇プロレスに特化してしまった新日とノアとの差はデカイと感じた。

 まあワーストは、テレビを見ていた人間にして見れば小川対健介戦になるのだと思うが(録画中継にも関わらずあんなに煽った責任は大きいよな・・・結末解ってるのに)、実際に見に行った人間としては、最初からこのカードにはそれ程期待していなかった。なんと言ってもこの日のメインは秋山対永田な訳だから、スポットライトの当たり方の悪い、いわばおまけ的扱いな小川と健介の戦いがはっきりとした結末になるわけがないと思っていたのだ。大体今更健介が小川とやったとしても小川圧倒的有利は誰の目にも明かである。アメリカバーリトゥード修行から帰国後、それを健介は売りにしているが、所詮プロレスラー相手にバーリトゥード風の戦いをしているだけに過ぎない。厳しい言い方をすれば、木村健悟がボクシング修行後、試合の中でそんな動きを出してみせるのと対して変わらないわけだ。

 そんな程度のジュニア戦士(減量したからな)バーリトゥード健介と、バリバリのスーパーヘビー小川がまともにやって、健介が勝てるわけがない。だから試合後グダグダになるのは最初っからある程度予想が出来たことなのだ。現に試合中に最初にカットに入ってきて試合をおかしくしたのは中西だったし、マイクアピールで小川を挑発している健介とは逆に、必死に小川を控え室に戻しているのも、新日のレフリーだった。まぁ当たり前だが新日勢も健介の事なんて信用していないと言うことだ。試合後しばらくブーイングが鳴りやむことは無かったが、新日の興行に何を期待して来ているのだ?と言う感じだ。新日とは昔からこういう団体なのだから・・・

 んで、本当のワースト1はカシン対松井戦だろう。事前のリング外の攻防から、松井がプロレスラーになりたくてしょうがない臭いがプンプンしていたが、試合開始10秒でその臭いは現実のモノとなった。放つパンチが全て猫パンチの力の入ってないモノ。なんと格好悪い男なんだろう松井大二郎という男は。プロレスは予定調和があるからと、真剣勝負の総合格闘技に進んだんじゃないのか?なのに結局プロレスの甘い汁の魅力に負けるのか?だったら最初からプロレスラーになれよ。成瀬と言い本当格好悪い格闘家達だよ。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(1/13記)

 GHCシングルタイトルマッチ、秋山対永田。ノーフィアー対森嶋池田。新年一発目のノア中継は、1.4新日東京ドーム大会でのタイトルマッチからだった。他団体の興行とは言え、自分の所のベルトが掛かっているのだから当然と言えば当然の扱いであろう。もっともテレ朝からの映像提供を受けての放送なので放映時間は限られている。だが団体間の垣根と同時に、テレビ局間の垣根も確実に低くなっている事を証明する貴重な瞬間だったと思う。

 んで、ノア自体の新年一発目に選ばれた試合は、タッグ王者ノーフィアーの試合であった。ただ対戦相手が森嶋と池田って・・・さらに試合後の絡みでもW猛・・・もう良いよこいつらは。全然成長してないじゃん?この試合も思いっきりノーフィアーが攻めさせてあげてたじゃん?本当に大森高山も旨くなったよ。自分達でキチンと流れ作ってみせるんだもの。場外でのフェンスへのスローにしても、投げる直前にノーフィアーが指示出してるじゃん?とにかく経験の浅い奴二人で組ませてチームにしても、何の発展もないよ。W猛は解散、それぞれ三沢なり小橋なりの下に付くべき。そうしてタッグのベルトとか巻いて実力が着いて来るってもんだ。

 もう一試合はウェーブ対決。これもなぁ・・・いや同門対決を推奨する三沢の姿勢は良いと思うよ。幅も出るし。でもウェーブって三沢以外ジュニアじゃない?佐野は醜く太ってヘビーになってるけど、やっぱりジュニアサイズだよ。ジュニア同士で同門対決するぐらいなら、いっそのことちゃんとタイトルマッチにしたらどうだい?ジュニアにタッグ作っても良いしさ?大体小川と三沢の戦いなんて見たいか?そんなの三沢の圧勝に決まってるじゃん?ノーフィアーの言う通り、ノアのチーム編成やり直した方が良いよ。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/16記)

 新日新年恒例の東京ドーム大会。当日放送しきれなかった分の放送。前は当日放送した分まで再放送していて鬱陶しかったが、今年は当日ダイジェストになってしまった試合を中心にやってくれて良い感じである。

 第一試合、井上柴田組対垣原成瀬。最近全然会場に足を運んでいなかったので知らなかったんだけど、井上柴田の入場曲って旧ワールドプロレスリングのテーマ(チャゲアスのじゃないよ)なんだねえ。なかなかシャレてて良い感じなんだけど会場のリアクションが悪いんだよなぁ・・・もうこのテーマを知っている世代の方が少ないって事なのか?試合自体は成瀬以外は実に良い感じ。フィニッシュちょっとドタバタしたけど、垣原貫禄勝ちって所か?

 石川村上対鈴木棚橋。印象度としては村上に臆することなく向かっていった棚橋。それを一撃でノックアウトした村上って所なんだろうけど、やっぱり石川の格好良さが際だっていた。なんかもう体型から来るたたずまいが良いんだよ。「プロレスラー」って感じがプンプンするんだ。ハイスパートレスリングとは違う「間」のプロレス。そんなに多くのワザが出ている訳でもないのに、間延びせずに観客が引き込まれる。本当に大会場の石川は良いと再確認させられた。

 タイガーライガーサスケ組対東郷邪道外道組。まぁライガーが美味しいところ持って行っちゃうのは仕方ないとして、みちのく絡みの動きが興味深かった。サスケがぴくりとも動かなくなって場内が凍り付いた東郷のジャーマンとか、やっぱり昔同じ飯食ったモノ同士の争いは面白い。試合後タイガーを新日に定着させるような事を言っていたが、サイズ的にもちょっとまだ新日でやるのは厳しいんじゃないかな?


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(1/22記)

 先週のウェーブ同門対決の流れから小川対三沢という図式になってきた。おまけに秋山が小川を仲間に誘いだし、一気にウェーブ分裂もありうる雰囲気か?でもあんまり面白くないよね?興味引かれないんだよ。先週も書いたけど結局三沢と小川がやったって、三沢の圧勝でしょう?そういう勝負面での面白く無さがまず一つ。それと展開があまりにも作られた展開っぽくない?だって試合後のインタビューでも小川が言ってたけど、小川自身が三沢に何の不満を持っているのかが全く解らない。と言うか小川は元々三沢に不満を抱くような立場じゃないでしょう?それが今まで三沢が組んできた、川田や小橋と違う点なわけだ。

 小川が三沢越えを果たしてメインイベンターになっていくとか、そういう展開が考えられないんだから・・・そりゃね三沢が誰かをパートナーに起用して、その為に小川がはじかれたとか言うのなら解るよ。でも三沢はそんな事もしていない。ノアの中の話題作りが必要なのは解るけど、あまりにもストーリーが稚拙だよ。まぁ腐るほど言ってきたことだけど、三沢のパートナーはやっぱりヘビー級で有るべきだから、小川がウェーブ離脱してくれた方が良いと思うんだけどもね。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/22記)

 ワープロは毎年新年の東京ドーム大会後、録画で誤魔化すことが多いのだが、まさかまさか今年は2001年の総集編で来た。つー事で過去に触れたことを振り返っても仕方ないので。今週はお休み。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(1/30記)

 録り逃し。今回はNHKが録れてました。テレ埼で再放送やってるのに気づいたので、ひょっとしたら過去ログには載るかも。←とか何とか言っといて、この再放送も録り逃した(苦笑)。はっと気づいた時は18分経過。取り敢えずそこから見た事だけで想像すると、小川と三沢の仲間割れは作戦だったらしく、秋山はまんまと乗せられていたという図式らしい。それに怒った秋山が負けたらウェーブ解散イリミネーションマッチを提案。と言うのが次週への流れのようだ。今時こんな茶番でシリーズを引っ張っていくのもどうかと思うが、まぁみんな乗せられてるので良いのかな?だから最初から小川と三沢が仲間割れしても意味が無いって言ってたでしょ?

 ライガー田中がノアマット上でジュニア対決を要望。全日と縁が切れそうになったらノア。本当新日ってぬかりがない。それにまんまと乗っちゃって良いのだろうか?ノアとしては?リング上でライガーの対戦要求後、丸藤が語った一言(それも場内を静かにさせて)は「ノアのジュニアは最強です」え?本気?本気で言ってるのか丸藤?体格を取っても、ワザのスピードを取っても、関節技を見ても、何一つノアジュニアが勝てるモノは無いと思うのだが・・・唯一有るとしたらセンスだけど、それにしたってライガーにはかなうまい?変にライガーが今後を考えて花を持たせないで、徹底的に丸藤、金丸を潰してくれるのを望む。そこから這い上がってこそノアのジュニアのレベルが上がるというモノだ。小川、佐野が何にもしないノアジュニア。改革は外からの力というのも良いだろう?


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/30記)

 新年の契約更改で、武藤、カシン、小島の新日離脱が正式に決まった。それぞれどうやら全日に移籍するようで、今まで対抗戦の相手はことごとく潰してきた新日としては、思ってもいない形での反撃を全日に喰らったと言えるのでは無いだろうか?さすが全日は全日である。全くメンバーが入れ替わってしまっても、馬場イズムとはかけ離れた行動を取っていながらも、全日と言う老舗団体の看板の威力は伊達では無いという感じだ。新日は訴訟も含めて全面対抗だなんて言っているが、そんなバカな考えはよした方が良い。今回の移籍は新日にとってプラス面の方が多かろう?

 まず武藤。確かに新日のスターレスラーには違いないが、もう既に新日の看板であることは数年前から本人が拒否をしているような状況である。昨年一年の目立った活躍にしても、どう考えても新日の武藤として活躍していたのではなく、フリープロレスラー武藤としての活躍であろう?大体新日は武藤と蝶野に感謝しなければならない。二人はスターレスラーでありながら、体を壊して満足な動きが出来なくなった。つまり「いつ何時誰の挑戦でも受ける」ストロングスタイルのプロレスが出来ないのである。だから、早々と新日正規軍から離脱して見せて、ヒール(まぁヒールだよな?)となる道を選び、自分の延命策を探ると共に新日本体に迷惑が掛からないようにしたわけである。。なのにそう言う子心を親は全く解らず、いつまでも正規軍のエースを育てきれずに(NWOとかやっている間にね)、蝶野たちヒールで飯を食っていたのだから、怠慢と言っても過言では無かろう。そんな訳で、ようやく永田中西で正規軍としての陣容が固まってきたから、武藤は出て行くわけである。武藤は自分の事と共に新日のこともちゃんと考えての行動を取っているのである。別に武藤が居なくても新日の興行は成り立っている。前記したが新日の興行に出ながらも、去年の武藤は明らかに外様の雰囲気をかもしだしていた。残り少ないプロレス人生。武藤の好きなようにさせてやれば良いではないか?

 次に小島。人気こそ有るモノの、やっぱり小島は新日という枠で考えるとしょっぱいレスラーだと思う。新日ストロングスタイルとはあまりにも遠いところにあるファイトスタイル原因はあろう?このまま新日に居続けても小島の才能はこれ以上開花しない筈だ。怪物中西、格闘家永田、軟体動物西村、ガチンコ天山。どう見ても小島の生き残るスペースは狭い。いわば一つ上の世代の健介のような存在だろうか?天コジタッグにしても、せっかくの天山の才能を有る意味タッグ屋という肩書きが潰しているとも思え、早く天コジタッグは解散すべきだと考えていた。小島移籍はこれら全ての問題が解決するのである。天山はシングルプレイヤーとして、ようやく中西永田に追いつける。小島は全日でトップレスラー扱いとして、自分のやりたいスタイルで、バリバリ活躍できるのである。

 カシンについてはちょっと解らないが、とにかく蝶野セミリタイア、武藤離脱となれば、新日トップ争いは中西永田西村天山の復活ヤングライオン世代で争われるわけである。これが面白くない筈がない。そしてこれら4人はバリバリに動けるストロングスタイルファイターなのである。長い間蝶野達動けない人達のプロレスに慣らされてきたバカ新日ファンに新日の素晴らしさを伝えられる4人!今年の新日は多いに期待が持てる。それと同時に武藤達が移籍する全日!全日も多いに盛り上がってTBS辺りで中継を復活させて欲しい。なにせ豊富な外人勢が居るのだから、充分観賞に耐えられるだけの団体な筈である。いっちょかむのなら今がチャンスだTBS。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(2/4記)

 秋山提案、負けたらウェーブ解散イリミネーションマッチ。GHCタッグ挑戦者決定トーナメント決勝。

 と言うわけで、ウェーブが負けると解散のイリミネーションマッチが行われた。新日では団体抗争などで割合多く用いられるこの試合形式だが、全日出身レスラー達にはなかなか馴染めない試合だったのではないだろうか?とにかく負けた選手からリングを去り最後まで選手が残っている方が勝ちというこのルール。実は解散が掛かっているウェーブの方が有利な試合形式だったと言えよう。

 最後まで残っていると言うことは逆に言うと、その選手は負けないと言う事である。つまり通常のタッグマッチならパートナーがフォールを取られてしまったら負けであるが、このルールなら自分さえ負けなければ、回りが全滅しても勝ちなのである。この試合のメンバーでその可能性のある選手は?そう、三沢と秋山である。で、現在の秋山はサポーターを見ても解るように脱臼が完治していない状態である。対して三沢は万全。これだけ考えれば、ウェーブの解散は最初っから無いのが想像できると思う。途中で三沢一人を残して3対1になったが、それにしても橋と金丸である。手追いの秋山を入れて考えても、三沢にしてみれば余裕綽々だったのだ。そりゃこの「負けたら解散」ルールを受け入れるわけだよ。

 GHCタッグ挑戦者決定トーナメントは結局会社の思惑通り、売り出したいW猛が獲得した。個人的には森嶋を全然買っていないので、ノーフィアーの言うとおりノンタイトルにして貰いたいぐらいである。またいつもの話の繰り返しで悪いが、とにかく森嶋が光るのは自分より小さい選手と戦っているときだけである。この試合も井上が実によいやられっぷりで、試合を多いに盛り上げていたが(本当に絶品!そっちにばかり目が行った)、これがちゃんとしたヘビー級相手になると、途端にだらしなくなるのが森嶋である。弛んだ体を見れば解るように、とにかく地力がないのだ。ただデカイだけ。只のデブだからすぐ息も上がる。パートナーの力皇がそこそこ良いだけに、本当に勿体ないコンビである。これで会社の都合でノーフィアーが王者陥落なんてしたら、ちょっとノアと三沢については考えなきゃいけないと思う。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/4記)

 2/1を迎えた事で、武藤カシン小島は正式に新日を退団。新体制でのスタートが札幌中島で切られることとなった。この新日の窮地に(個人的には窮地だとは思っていないが)立ち上がったのが総帥アントニオ猪木である。テレ朝もロールスロイスで会場入りするところからばっちり押さえ、1時間の放送枠の中で猪木のトークは何分だったんだ?と言うプロレス番組にはあるまじき状態となっていた。

 猪木の口はリング上でもとどまるところを知らない。蝶野の呼びかけによってリングに登場した猪木は、社長でも会長でも無いにも関わらず(一応筆頭株主なのか?)、好きなように新日をいじっていく、その間藤波社長は全く姿を現さないのだから実に不思議な会社である。リング上で猪木は力道山イズム→猪木イズムの継承者に蝶野を指名した。藤波も長州もすっ飛ばしてである。これはどういう意味なのだろう?実質的権限を蝶野に依託すると言うことなのだろうか?首の怪我で満足に試合の出来ない蝶野が、いつ何時誰の挑戦でも受けるストロングスタイルを継承できるのだろうか?

 出ていった武藤はプロレスがやりたいと言っていた。これは新日の格闘技化を懸念してのことだろう?そしてリング上で蝶野もプロレスをやりたいと言った。果たして猪木の望む新日像と蝶野が描く新日像は同じなのだろうか?蝶野しか指名する相手は居なかったとは言え、猪木←→蝶野この合体は実にきな臭い事柄だと思う。

 その証拠に「俺達も噛ましとけ」とばかりにリングに上がってきた中西、永田、健想、棚橋には猪木はビンタをくれた。これは言うまでもなく猪木流の活である(遅れちゃならぬと柴田が入ってきたのには笑ったが)。対して演劇プロレスをやり続けてきたT2000のメンバーにはビンタ無しである。活を入れる必要は無いと考えたのか、活を入れる資格も無いと考えたのか?ちょっと微妙な象徴的出来事だったと思う。

 また当然と言えば当然だが、この新生新日をアピールする場に健介の姿が無かったのも彼の立場を表しているシーンだったと思う。(だって所詮あいつジャパンだしな)。もうそろそろ気づけ健介?新日は180センチでしょっぱいヘビー級のお前を必要とはしていないぞ(IWGPトーナメントも初戦敗退だしね)。蝶野体制になり、自分より下の世代が時代の中心になった今、お前の居場所は本当に新日には無いんだ。小さい体のお前がもっとも輝ける場所。それはゼロワン以外に考えられないだろう?


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(2/10記)

 GHCヘビータッグタイトルマッチ前哨戦、ノーフィアー杉浦組対W猛池田組。

 W猛、特に森嶋がノーフィアーに良いようにやられて、いや杉浦にも良いようにやられて、前哨戦だというのに挑戦者側に全く良い所のない酷い試合だった。と言うか、これが今の二チームの素直な実力差だと思う。例えタイトルマッチではw猛が奮起して、もう少々まともな試合になったとしてもそれはまぐれであり、フロックであり、会場の力、観客の力に押されたモノに過ぎないと思う。

 何度も書いてて書き飽きているが、とにかく森嶋が駄目だ。デカイというのは認める。本来ならデカイと言うだけで、プロレスラーとして結構認めてしまうおいらだが、森嶋だけは駄目だ。何よりどう考えても鍛えている体ではない。あの弛んだ腹回り、パートナーの力士上がりの力皇の方が引き締まっているというのはどう言うことだ?確かにプロレスラーには腹の出ている選手は多い、多いがよくその腹を見てみてほしい。ちゃんと練習をしている選手の腹はバーンと張っていて実に美しいのである。例えるなら冬木、ヒロ斉藤らの腹は美しい。対してターザン後藤やジョージ高野の腹は弛みきって見ていられない。

 森嶋の腹は後者なのである。取っている食事に対して練習量が追いついていない。そんな感じがするのである。そりゃターザン後藤や高野ほど練習をしていないわけではないだろう?ノア道場でしごかれてもいるだろう?だけど体が全てを語っている。自分より大きい選手に攻め込まれると全く反撃できないことや、例え反撃してもその一瞬だけで終わってしまうその様から考えても、基本的に精神力が弱い選手なのだと思う。自分の体を節制してコントロール出来ないのも、その精神力の弱さが原因であろう。そんな選手を果たして団体の冠でもあるチャンピオンベルトに挑戦させて良いのだろうか?いくら挑戦者が居ないからと言って?

 そんな訳で前々から書いている通り、W猛のタッグベルト挑戦は認めたくない。本当にノーフィアーの言うようにノンタイトルにして欲しい。そしてまぐれなど起きることなく、徹底的に惨敗して欲しい。W猛は解散すべきである。確かに全日〜ノア系では「地位が人を育てる」と無理矢理な大抜擢は過去にも行われてきた。だが馬場が決起軍に解散を命じたように、あまりにも実力を伴っていない場合は、やり直しも有るわけである。力皇の抜擢には賛成だが、森嶋に関してはもう一度下からやり直す必要を切に感じる。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/13記)

 蝶野新体制となっての一発目の放送。初っぱなから問題ありありであった。

 先週の放送で蝶野は筆頭株主の猪木から現場の全権限を与えられた。それがどこまでの権力を持つモノなのかはまだ良く解らない。とにかく社長の藤波も旧現場監督の長州も飛び越えて、マッチメーク権を手に入れたのは確かなようだ。だが先週の猪木と蝶野のやりとり。果たして噛み合っていたのだろうか?猪木の考える新日の方向と、蝶野の考える新日の方向は果たして同じ方向を向いているのであろうか?猪木は今までしきりにプロレスの格闘技化で新日に気づかせようとしてきていた。それを危惧して武藤達は離脱したわけだ。ところが残って猪木と握手をした蝶野も、格闘技プロレスとは最も遠いところに居た人間である。あの握手は何の握手なんであろうか?全く猪木は、新日は、見えてこない奴等である。

 で、今週の放送の冒頭である。何故わざわざあんなどうでも良いシーンが(試合的に)挿入されていたかというと、全ては山ちゃんのあの発言を放送するためである。「猪木さんは神様なんだから、もう地上の事にはかまわないで、上から見てるだけにしてくれ。そう言う解釈も出来ます」この発言である。UWF出身でありながら今やバリバリの体制派、山ちゃんだからこその発言である。蝶野の真意は解らないが、とにかくこれが放送されたと言うことは、テレ朝、新日本体の意志と考えて間違いは無い。つまりやっぱり猪木外し、格闘技色外しが総意なのであろう。となれば長州、藤波を飛び越えての蝶野の全権委託もうなずける。任せたはずの猪木以外の人間は全てそれを望んでいたのだから・・・大変不思議な図柄だが、任せた猪木は全く望んでいないにも関わらず、蝶野に任せる係りをやらされた訳だ。

 おいらは古い人間なので、出来ることなら格闘技色の強いストロングスタイルのプロレスを見ていたい。そう言う意味では猪木支持派だ(ちなみに現役時代は晩年のインチキ猪木が大嫌いだった)。だがテレビ局や株式会社新日本プロレスや所属選手は、そう言うプロレスの時代じゃないと考えているらしい。折しもミスター高橋の「プロレスは100%試合の結末が決まっているエンターテイメントだ」と言う告発本が話題になっている。長年プロレスを見てきた身としては、そんな事はとっくに解っているし、それを踏まえての魅力もここで多いに語ってきたつもりだ。だがだからといって日本のプロレスがアメプロのように筋書き命にはなって欲しくないのだ。例え結末は決まっていてもやはり試合内容でワクワクしたいのである。だから結末は決まっていたとしても、プロレスラーは本当に強くあって欲しいし、セメントでやれば勝つよ的雰囲気をかもし出していて欲しいのだ。その意味で猪木のやろうとしていた事はとても理解できるし、支持したかった。

 だが新日はミスター高橋の告発本をこれ幸いと、エンターテイメント路線を進みそうだ。うがった見方をすれば、格闘技化を勧めようとする猪木を失脚させる為に、新日体制派が書かせたのかも知れない。新日ならそれぐらい有りそうな話である。とにかくこれからの新日がどっちに流れていくのか、全く目が離せない。先週も書いたが、猪木に張り手を貰ったレスラーと貰ってないレスラー。この差がリング上で出てくる日がきっと来ると思う。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(2/19記)

 今週は、金曜深夜にGHCタッグマッチ前哨戦の通常枠と日曜深夜に小橋建太復帰戦の特番編成。

 さて前哨戦は先週W猛がメロメロだった事の行って来いで、今週はノーフィアーがやられて見せていた。全く古典的な展開だが、一応どっちが勝つのか解らない的雰囲気をかもし出そうとしているのだろう。昨日今日プロレス見始めたばかりならともかく、長い間プロレス見ている人間にとっては厳しい展開だ。ただそんな中、タイトルマッチの調印式をリング上で行うという面白い試みがなされた。今までは大概マスコミ向けの調印式で、カードによってはそんなモノやってないんじゃ?なんてのも有ったが、これからこのスタイルが定着していくとちょっと面白いと思う。でもこうなってくるとますます「マイク」の上手い下手がレスラーの価値を決めかねないか?

 小橋建太復帰戦。パートナーは三沢、対戦相手は永田と秋山と言う素晴らしいカードでの復帰だ。個人的には新日永田絡みになると、せっかくの復帰戦のスポットが小橋一人だけに当たらなくなるので不満だったが、よくよく考えてみると病み上がりの小橋に観客マスコミの視線が全て行くよりは、永田が入って視線が分散した方が、小橋にも良い訳で、さすが三沢は良く考えている。

 で、肝心の小橋の動きはと言うと、まだちょっとおぼつかないかな?という感じだ。確かに動けてるし、膝を庇うようなシーンも無い。得意のブレインバスターでは、秋山を長々と持ち上げて見せて復活もアピールして見せた。だけどなんだか当たりも弱い感じがするし、何より試合勘が戻ってないことから来る、相手レスラーとの噛みあわ無さが気になった。まぁ復帰速MAXの方が嘘臭いし、初戦でこれぐらい動けていれば今後の心配もないだろう。本当三沢の配慮で、秋山永田戦になっていたのが、良いカモフラージュになっていたと思う。後は早く観客が小橋の膝ばっかりを気にしないで済むような状況になる事を期待する。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/19記)

 すまぬ。何故だかまた全く興味の無いオリンピックが取れてた。どうしてこうなるのか、おいらが教えて欲しいぐらいだ。と思ったら中継自体が無かったんだって。週間ガイドには出てたのに・・・そんな差し替えするほどの価値有るか?今回の五輪。

 


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(2/24記)

 小橋建太復帰戦密着ドキュメント。試合当日に1時間枠で取り上げておいて、さらに1週間後にまるまる30分使って放送するというのはどうなのだろう?他にろくな試合が無いというのなら解る、だがGHCタッグタイトルマッチや、ジュニアシングル、はたまたジュニア新日対ノアと、放送しなければいけないことは山のようにあったはずだ。なのに何故小橋だけを?そりゃレギュラー枠でしか見れてない人の為に、少しは取り上げてみるのが筋だとは思う。だけどねぇ?他の選手も怒り出すよ。

 さらに納得行かないのは放送スタイルだ。これから小橋が完全復帰してガンガン参戦していくのならまだ良いだろう。だが小橋はこの試合で膝の靱帯をやって全治4ヶ月の重傷を負ってしまっているのだ。常識的に考えて、今後のレギュラー参戦はあり得ない。なのにあくまで「小橋建太完全復活への道筋」扱いなのである。ざーっと見ただけだが、どこにも小橋の怪我のことは触れられていない。これで良いのだろうか?そりゃ当日や怪我の発表前なら仕方有るまい。だがこの放送は怪我の発表から数日経ってのモノである。編集は終わっていたにしろ、テロップで流すぐらいの事は可能だったはずである。なのにそんな事は一切せず、あくまで美談として仕上げる日テレの放送方針が理解できない。大晦日のTBS安田劇場が意外なほど視聴率を取ったので、変な色気が出たのだろうか?

 とにかくプロレスファンなら殆どの人が知っている、この大ニュースを知らんぷりして放送する日テレにはいささか呆れた。テレ朝が今年からなるべく速報性にこだわった中継スタイルになっているのとは正反対である。ノーフィアーの件と併せて、日テレ&ノアの今後が心配である。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/27記)

 うーんノアの方で、テレ朝は速報性にこだわった中継スタイルにしているって書いたけど、今週見たらそうでも無かった。まだIWGP王者決定トーナメント決勝すら放送してなかった。何の為の「ウィークエンドクライマックス」なんだか?

 そんなわけで今週の中継カードではさしてめぼしい試合は無かった。2.3感じた点を記して行くと、蝶野。現場監督というかエースというか、とにかく新日トップの座を手に入れた蝶野の動きが良い。動きが良いというか、しっかりとした試合をしている。怪我をしてからはどうしても手抜き気味で、美味しい所だけを持っていきがちだったのが、トップに立って以来キチンとした試合で選手を引っ張っているように思う。体の張りを見るとそんなに絶好調という感じでもなさそうだけど(腹周りとか)、とにかく自分が引っ張って行くんだと言う意気込みが伝わってきて良いと思う。ヒールなのに前向き(笑)。

 ジュニアの試合は退屈。何でだろう?田中、成瀬、垣原ってドンドン外様が入ってきているのに、相変わらず新日ジュニアは退屈である。それというのもせっかくの外様が、ドンドン新日色に染まって(染められて)行くからであると考えられる。クレイジーサイクロンって最初裏拳だったよな?成瀬の骨抜かれっぷりは衝撃的だよ。早く井上、柴田達がストロングスタイルの新しいジュニア像を作ってくれる事を望む。

 吉江。今日も良いようにやられていた。格下の健想にである。数少ない吉江ファンにしてみれば、全く幻滅せざるを得ない現状だろうが、おいらの見方はちと違う。吉江は凱旋帰国→売り出しの際に勘違いをして、自分もトップレスラーになれるんじゃ無いかと思ったと思う。だが奴のキャラクター、実力を考えれば、それは無理な話である。奴がプロレス界で生き残って行くには、一にも二にもプロレスが旨くなることだと思う。おいらがこの欄で良く誉める後藤や小原、ノアで言えば井上、全日ならジョニースミス。吉江はああ言う存在になるべきなのである。団体にとってそのレスラーが入っていれば、ある程度試合が成立する。安心して任せられる。そういうレスラーこそが吉江の進む道なのだ。後はあんこ体型を生かしたキャラでもつけば完璧だろう。そう言う意味で今の吉江はやられ役を引き受けながらも、確実にプロレスを学んでいるのだ。今の吉江は決して格好悪くは無い。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(3/3記)

 ジュニア版ノア対新日。2週に渡る小橋復帰特集のせいで、ようやく注目の菊池金丸組対ライガー井上の試合が放送される事となった。ノーフィアー対W猛の試合なぞさらに1週遅れである。本当にどうにかして貰いたい。さらに今週も小橋の怪我については振れられておらず、日テレのスタンスには疑問が残る。

 前にこの欄で、ノアのジュニアは新日ジュニアに徹底的に叩きつぶされるべきだと書いたが、結局試合自体はホームグラウンドのお約束からか、金丸が井上を敗る形でケリがついた。だが試合を見て貰えば解るだろう?わずかキャリア2年あまりの井上に対して、金丸は終始押されていた。若いうちから「卑怯技」で逃げのスタイルの金丸は、ことごとく井上につき合って貰えなくて、旨く技が決まらないでいた。これが揉まれに揉まれている新日ジュニアと、壁が無く若手だけで放任されているノアジュニアの率直な差だと思う(どっちが面白いかは別)。

 対して菊池は実に輝いていた。出した技と言えば殆どエルボーのみ。やられている時間も確かに長かった。だがそのやられている時間は金丸の時間とは確実に違う時間だったのだ。菊池のやられている時間は「受けている時間」「攻めさせている時間」なのだ。その証拠にその時の菊池の顔は決して死んでいない。むしろ攻めている新日勢より明らかに輝いて菊池の時間を作りだしていたわけだ。

 この菊池と金丸の差は何だろう?金丸はノアにおいて、以外と簡単にベルトを取って見せた。だがそれは決して金丸が飛び抜けたレスラーであったからな訳では無い。本来若手ジュニアを育てる上で壁の役割を果たすはずだった、小川や菊池、佐野らがジュニアのベルトに興味を示さなかったからのチャンピオンなのだ。菊池の時代は違った。全日ジュニアの大きな壁、渕の存在は当然だし、前座の王様百田もまだまだ現役バリバリだった。それらの先輩レスラーがベルトをしっかりと守っていたから、若手を蹴散らしていたから、菊池も小川も成長したのである。だから新日より選手層が薄いと思われていた全日ジュニアも、新日ジュニアと遜色無い選手を育てていたのである。

 場内もそれが解っていて、菊池に対するコールが一番多かった。金丸もこの試合で自分の実力が良く解っただろう。今後も新日勢と交流するので有れば、自分の足りないところを洗い出して、ホンモノのジュニアチャンピオンになれるよう切磋琢磨して欲しいモノだ。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/6記)

 IWGPヘビー級王座決定トーナメント。この内容の濃い新日としても重要なイベントが、こんなに遅れて、しかもたった1日のダイジェスト放送というのは納得が行かない。こんな事なら先週の放送なんかまるっきりいらなかったのでは無いだろうか?しかも今週の放送には、IWGPジュニアの試合も入っているのだ、別に1週1興行という形態をとっている訳ではないのだから、もう少し考えて放送スケジュールを組めないモノだろうか?

 文句はテレ朝だけにでは無い。なぜ決定トーナメントをやっている脇で、次期挑戦者決定戦をやっているのだ?全く持って理解に苦しむ。3回戦わなければベルトを取れないトーナメント出場者より、2回でベルトの取れる次期挑戦者決定戦の二人の方が有利であろう?なぜ9人でトーナメントをやらないのだ?つーかこれだけのメンバーが参加するんだったら、総当たりにしてIWGPヘビー王者決定シリーズにすれば良かろう?その方が観客動員にも好影響だと思うのは素人の浅はかさだろうか?

 んで結局優勝し王者に輝いたのは、今もっとも旬な男安田である。逆にこう言うところは本当に解りやすいのが新日である(笑)。基本的にデカイレスラー好きなおいらなので、最近の安田ブームは率直に嬉しい。ただ、年末のK-1対プロレスはまだ良いにしても、IWGPのチャンピオンにならしちゃって良いのだろうか?と言うのも、猪木の元での肉体改造と精神改造で確かに安田は一皮むけた。総合格闘技系の技術も身につけ、いわゆるセメント風マッチでは、その実力をフルに発揮できるであろう。この試合でもそうだった。あれだけの巨体にがっちりと捕まれ、絞められたら、どんなレスラーでもギブアップしてしまうのは仕方がない。だがIWGPのチャンピオンがそれだけで良いのだろうか?IWGPのチャンピオンというのはプロレスのチャンピオンなのである。この欄を長く見続けてきている人には、おいらが何を言いたいかは解るだろう?

 プロレスラーというのは、ただ強いだけではいけないのである。もちろん強いのは当然だが、それと同じぐらい、観客を乗せられなければいけないのだ。俗に言う「しょっぱい」奴ではいくら強くても駄目なのである。安田はどうであろう?基本的に以前の安田はしょっぱいレスラーの筆頭であった。肉体改造後の安田にしても、残念ながらこと「プロレス」と言う観点から考えるとあまり進歩はしていないと思う。トーナメントの試合だって、安田が試合を組み立てているわけでは無かった。ただひたすら夢中に相手の技を受けて、受けて、耐えている間に、偶然絞め技が決まって勝つというのが今の安田のスタイルだ。これはお世辞にもチャンピオンの試合では無かろう?今は世が安田ブームだから、それでも客が付いてきている。だがいくら強くても強いだけではプロレスのチャンピオンで居続けることは出来ない。今の安田は新日に復帰してこの世の春を謳歌しているが、本来安田がやるべきスタイルの試合は新日内では出来ないのでは無いだろうか?プロレスラー代表で、外敵と戦っていくと言うのが、頑丈なのが取り柄の安田の歩む道だと思う。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(3/10記)

 GHCタッグタイトルマッチ、ノーフィアー対W猛。やっちゃったよ。危惧していた通りW猛がチャンピオンになってしまった。全日時代から続く選手育成システム「地位は人を育てる」が、今回も適応されてしまった形だ。確かにこの「地位は人を育てる」システム、多くのスターレスラーを作り上げてきた。ジャンボ鶴田を筆頭に、三沢、小橋、田上、秋山、ノーフィアーみんな抜擢され、先に地位を与えられてから実力がついてきた選手達ばかりだ。だからこのシステム自体は間違っていないのだろう。

 それにしても初挑戦でノーフィアーもあっさりと負けてみるか?しかも一瞬の返し技とかで無く、形上は完全なフォール、力負けである。いくらプロレスがビジネスで、「ノア」と言う団体規模で考えなければいけなくても、この結果には本当に納得が行かない。試合自体を見ても解るが、いつもの通り試合は全てノーフィアーが組み立てていた。W猛はノーフィアーにわざわざ攻撃するタイミング、ポイントまで作ってもらっていたのである。そんなレベルの選手がチャンピオンになって、どんな防衛戦を繰り広げていくというのだ?え?終盤はW猛も大技を繰り出してパワーで押していた?どこを見ているのだ、ノーフィアーの二人はバックドロップで投げられる時も、あえてデンジャラスな角度で落ちていって、W猛を立てていたではないか。そこまでしなければ、W猛のチャンピオンというモノは説得力が生まれなかったのである。ではなぜそこまでして奴らを抜擢したいのか?小橋がまた怪我をしたからか?W猛のグッズを売りたいのか?この結末を受け入れたノーフィアーもノーフィアーだが、そもそもこういう展開を提案した、三沢、ノアフロントに腹が立つ。

 ちょっと見方を変えてみよう。結末は確かに納得が行かなかったが、試合としては良い試合だったと思う。それもこれもノーフィアーの組立が良かったせいだが、何より日本初の190センチオーバー日本人4人のタイトルマッチは、実にド迫力だった。これで本当にW猛の実力がタイトルマッチに相応する実力だったら凄い試合、歴史に残る試合になったと思う。鶴田、天龍、ブロディ、ハンセンらがリング狭しと暴れ回っていたあの時代。それが日本人4人によって復活するなんて夢のようだ。願わくば本当、森嶋の動きにもう少しキレやスピードがあれば良いのだが・・・力皇に関しては、現状でもそんなに不満は無い。与えて貰ったチャンピオン。果たしてこの二人がどこまで成長してみせるか?不安の方が大きいが楽しまなければいけないのだろう。

 


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/12記)

 IWGPタッグ王者決定トーナメント第一回戦。

 いきなりで悪いが、このチーム編成って偏りすぎではないだろうか?明らかに優勝できそうなチームと無理そうなチームが色分けできると思う。IWGP王者ながらしょっぱい安田に(笑)健介が連れてきた、これまたしょっぱいデバイン。そしてデバインの本来のパートナー健介は、何故か今更越中のある意味らしい地味コンビ。おいら一押しの西村はまたしてもジュニアの口だけ番長ライガーと。この3組の優勝は(あとタナケンもか)まずあり得ない。メンバーはこのままだったとしても、安田西村組とか安田越中組なら優勝もあり得そうだし(プロレスが出来る二人が安田を旨く使えば)、収まりを考えてもやはり健介はデバインと組むべきだろう?そしてジュニアのライガーは出場すべきではないと思う(ノアとの絡みの最中なのだし)。

 そりゃ王者決定トーナメントなんてのには、当然噛ませ犬が居るモノだよ。でもそれは後藤ヒロ組とかの役割だろう?エントリーされているメンツで言えば、健想棚橋組あたりか?無理矢理パートナーの組み合わせおかしくして、優勝を狙えないようにするというのは、やっぱり見ている方としても面白くない。さらに現場監督の意向からか、本体の優勝の可能性があるのが、永田中西組だけなのに対してT2000は蝶野天山は当然として、ジャイアントコンビ、ノートンスーパーJ組と3組もいるのはどうだろう?新マッチメーク委員会の采配にも初っぱなから疑問が残る編成だ。

 そんな始まる前から、ある程度結果の見えているトーナメント初戦。想像通り順当な結果が出た。西村がフォールを取られたのが以外だったが、初戦ジュニアのライガーは何の役にも立たず、デバイン安田組もまったく二人がバラバラで機能しない有様だった。出ているメンバーは現状新日で最高に近いメンバーなのだから、組み合わせがキチンとしていたら、もっと楽しめたと思われるだけに残念でならない。長州現場監督に続き、蝶野ライガーのマッチメイク委員会。どうにも現役選手のマッチメイク権は上手く行っているとは思えない。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(3/18記)

 次期GHCタッグタイトルマッチは、W 猛対ベイダースコーピオ組。GHCヘビータイトルマッチは秋山対小川と決定した。

 地位は人を育てるシステムによって、まだまだその器で無いにも関わらずGHCタッグ王者となってしまったW猛。その初防衛の相手はいきなりの強敵ベイダー組である。ノアのトップ選手であってもベイダー相手に説得力のある勝ちをあげるのは実に難しいことなのに、満足に試合の組立もできないW猛がいったいどのような防衛戦を見せるのであろうか?また勝敗はどうするのであろう?地位は人を育てるシステムであるのだから、早々簡単にベルトを明け渡してしまっては意味がないだろう?最低限日本人チームとの対戦はこなしたい所だ。なのに初っぱなからベイダー組なのである。

 どう考えてもベイダーからフォールを奪うという可能性は無い。となるといつもの通りスコーピオが負け役を買って出るのであろうか?でも毎度毎度そんな展開で観客が納得するだろうか?だったら素直にW猛が負けてしまうと言う手もあるが、それでは奴らを育てる事にはならない。なぜいきなりこんな八方塞がりな状況にしてしまうのだろう?素直にノーフィアーの時代を続けていればこんなややこしい事態にならずに済んだモノを、変に状況を動かして、プロレスにとって一番大事な説得力を失いそうにになっているのだから・・・本当に最近のノアの展開は理解できない。ヘビー級トップ選手のパートナーがみんなジュニア選手だったりする事と併せて、ノアのタッグマッチはまるでワクワクしてこない(あ、ベイダー組場外リングアウト負けって手があるか)。

 そしてワクワクしないと言う事に関しては、GHCシングルタイトルマッチの秋山対小川戦というのも結構なモノだ(苦笑)。この小川というのが小川直也だったら・・・とどんなに思ったことか。先週のW猛初戴冠もそうだが、どうしてこうわざわざベルトの価値を下げるような展開にするのだろう?良いじゃないか、タッグマッチで小川が秋山からフォールを奪った。それだけで小川の凄さ、旨さはみんなに伝わっている。それ以上のことをする必要もないし、これ以上何が起こるというのだ。満足な外人選手も居ないノアで、ヘビー級のタイトルマッチを価値のあるモノにするには、やはりトップヘビーレスラー同士の白熱した攻防が有ってのことだろう?力と力が正面からぶつかりあってヘビーの歴史は刻まれていくのだ。スカして勝ちを拾いに行くしかない小川にどうやってヘビーの歴史を作れと言うのだ?全くノアに対する興味が日々失われていく昨今である。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/21記)

 鳴り物入りで始まったIWGPタッグ王者決定トーナメントだが、なんと健介のパートナー越中が内臓疾患、台風の目タナケンタッグの健想が肺気胸でリタイアとなってしまった。こんな事なら先週書いた通り、安田と西村のパートナーをしっかりとした選手にしておけば、と言う感じだが、後の祭りなので仕方がない。

 ところが全然、後の祭りではなかったのだ。なんとIWGP実行委員会はリタイアした越中、健想それぞれのパートナーである、棚橋と健介を組ましてトーナメントに再エントリーさせたのである。これはどうなのであろう?だったら西村と安田も組ませて再エントリーさせて欲しい所だ。まぁ結果として新タナケンタッグは負けてしまったので、大勢に影響は無かったが、権威有る(少なくとも新日勢にとっては)IWGPの王者を決めるトーナメントの参加チームが、こんないい加減な決め方のチームで良いのだろうか?ノアの欄でも書いたが、本当に団体はもう少しチャンピオンベルトの価値というモノをしっかりと考えて貰いたい。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(3/26記)

 GHCタイトルマッチ調印式。前回あたりからノアは調印式をリング上観客の前で行うようになった。この試みはなかなか良い試みだと思う。何よりタイトルマッチに対する興味が沸くし、リング上での舌戦という不思議な戦いも、選手の個性をアピールする上で有用だと言えよう。

 そんな訳で今週もGHCタイトルマッチ絡みの放送となったが、まず誰がどう考えても納得行かないジュニアの小川のヘビー挑戦。日テレ側もそれは若干感じているようで、じっくりと小川について取り上げていた。ヘビー級に挑戦するに値するレスラーだと言うことを。だけどやっぱり認めたくないんだよね。説明されなくても小川が良いレスラーでセンス有るレスラーだって事は解っている。解っているけど、やっぱりレスラーは大きくなきゃ。小川は「小さい人でも出来るんだと言うところを見せたい」なんて言ってたけど、それじゃあ駄目なんだよ。デカイ奴が全て。それがプロレスなんだ。ヘビー級なんだ。秋山には10分なんて言ってないで秒殺を希望する。

 続いてタッグ前哨戦はシングルで行われた。森嶋はスコーピオにフォール負けで、まったくチャンピオンとしての力を示せず、力皇もベイダーにボカボカにやられた挙げ句の反則勝ちが一杯一杯。悲しいかな実力通りの結果だったと思う。W猛がチャンピオンの器じゃないのは明らかだが、この試合でも見ていて辛い場面がいくつか見受けられた。わざわざトップロープにまで上がって放った森嶋のショルダータックルは、見事に相手に当たるより先に足が着地しているし、試合終了後に力皇が放ったパワーボムは、途中で投げ出してしまい、スコーピオが変な形で落ちてひやりとさせられた。このようにレスラーとしての基本が未だおろそかな二人が、ベルトを持ってしまっているという現状がどうにも納得が出来ない。これまた秒殺でベイダー組にベルトを奪取して欲しいのだが、プロレスの流れ的に「前哨戦で苦戦して見せたチームが勝つ」と言う嫌な流れが有るのでなんだか早くもがっかりしているおいらだ。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/26記)

 今週の放送も色々表面上は盛りだくさんだった新日だが、相変わらずストーリー主導の動きは変わらず、蝶野大勢になっても安っぽいストーリーテラーの存在が感じられる浅はかさは変わっていないのが残念である。

 代表的なのがその蝶野率いるT2000のスーパーJの離脱、ジャイアントシンとジャイアントシルバの仲間割れだろう。確かにスーパーJの存在は、T2000の中で微妙な立場にあったと言える。元々新日トップ外人扱いのノートン、本家NWOのホール、これに次ぐナンバー3のポジションが今までのスーパーJのポジションだった、だがここに来てジャイアントコンビの加入でにその存在感が薄くなってきた。元々はNWOスティングだったりしたスーパーJは、その曖昧な存在感で日本でも確固たる地位を築けずにいた。このままT2000で目立たなくなって埋もれていくよりは、新日本体に加入して対T2000で少しでもアピールをしたいと考えるのは当然の事ではある。だけどその葛藤みたいなモノが、全然リング上で表現できていないのだ。これ昭和のストーリーテラーなら結構良いシナリオ書いて、本体対T2000の戦いを一層盛り上げる要因になったはずだ。なのにいまいち見ている方に、スーパーJの気持ちが伝わってこない。何だか「今日から君は仲間割れするから」こう言われて、ただその役割をやっているだけに見える。器用貧乏にすら見えるスーパーJなのだからキチンとしたシナリオ渡してやれば、ちょっと輝いてくる存在だと思うのだが。

 同様にジャイアント対決も浅い。なぜここまで凄いキャラクターでありながらワクワクしてこないのだろうか?それもこれもあまりに安直なシナリオと、ジャイアントコンビ自体のしょっぱさにあると思う。特にシンはまだまだプロレスが出来ているとは言えない。どうにか受け身は旨くこなせるようになってきたし、技も見栄え良く放てるようになってきた。だけどどう見てもまだまだ足下がおぼつかない。一本立ちするには早すぎるのだ。もっともっとプロレスを学んで、ちゃんと自分の役割がこなせるようになってから、仲間割れなんて事は始めて欲しい。ちゃんとプロレス出来てれば、アンドレ対アンドレの戦いにワクワクしないはずがないのだから。ちょっと蝶野焦りすぎである。

 そんなどうにもとほほな展開試合ばかりの中で、健介対棚橋の試合は実にピリッと引き締まった良い試合だった。当欄では筋金入りのプロレス下手と評価の健介だが、格下の、それで居て真正面からぶつかってくる棚橋には、何も考えずにすんで自分の力をフルに出し切れていたと思う。途中アクシデントで(まぁそこがお互いしょっぱい同士という所だが・・・一流同士だったら相手にアクシデントで怪我なんてさせないでしょ)棚橋が大流血をしてしまったが、それすらも試合の迫力を増す調味料になっていたと思う。1週間に1試合こんな試合が入っているだけでも印象が違うんだけどねぇ。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系金曜深夜(4/1記)

 駄目だ。全くなんにも書くこと無い。また今週も興味の沸かないタイトルマッチの前哨戦みたいな試合だった。早く新日との対抗戦の試合が見たいモノだ。新日、ノア、全日と3大メジャーになったのは良いが、どの団体もインディー上がりを吸収しても、選手層が薄いのはなかなか解消できていない。自団体だけで、カードを聞いただけでワクワクするようなそんな試合が組まれる日は来るのだろうか?当分は対抗戦や交流戦でお茶を濁すしか無いのだろう・・・


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/1記)

 IWGPヘビー級タイトルマッチ安田対天山、次期IWGPヘビータイトルマッチ挑戦者決定戦永田対ノートン。他にも、予想通り茶番の大巨人タッグ対決や藤波対蝶野のタッグ対決などもあったが、いずれも有っても無くても良い放送で、そんなのを流すぐらいなら、この2試合をカット無しで見せて欲しいところだった。いや、せめて天山のアメリカレポートが無かったら、もう少しこの2試合に時間を割けたであろう。猪木のどうでも良い挨拶と言い、本当に今のワープロにはプロレスの試合以外の無駄な部分が多すぎる。試合をじっくりと見たかったら、金を払え(CS等に)と言うことなのだろうが、そんな事ではしっかりとしたプロレスファンはいつまで経っても育たず、移り気な現代っ子気質のファンに翻弄されるのがオチだと思う。

 さて、なぜにここまでこの2試合を押したいかと言うと、ダイジェストとは言え素晴らしい試合の香りがプンプンとしていたからだ。次期挑戦者決定戦は、永田がそこそこやって面白い試合になるのは想像がついていたが、まさかノートンがここまで良い試合をするとは思わなかった。どうしてもノートンと言うと、やる気のない当てるだけのラリアットに代表されるように、試合に熱さが感じられないレスラーだと思う。ちょっと考えて貰えば解るだろう?ノートン絡みの試合で名勝負が頭に思い浮かぶだろうか?ノートンの試合で永久保存版にしようと思う試合があっただろうか?それもこれも皆、彼本人のやる気のない試合運びに原因があったわけだ。

 だがこの試合のノートンは違った。技一つ一つを取っても気迫に溢れていたし、何と言ってもそれが表情に如実に溢れていた。なんか見ていてノートンが本当にベルトを欲しがっているように感じられたのだ。今までのノートンは、他にろくな外人レスラーが居なかったこともあって、新日ナンバー1外人の地位にあぐらをかいていた。だがジャイアントコンビがちゃんとプロレスを出来るようになって来るにしたがって、自分のポジションに危機感を感じたのだろう。その辺りがこの試合でのノートンのやる気に繋がったのだろうと思う。結果こそ最初に決まっていた通りの結末になってしまったが、この試合のノートンは実に良い仕事をした。ノートンがこれぐらいの試合をしてくれるようだと、層が薄くなっている新日も心強いのでは無いだろうか?

 そしてメインは安田対天山である。試合前の天山アメリカ紀行が、新タッグパートナー?スコットスタイナーの紹介に終始してしまったので、なんだかシングルマッチを盛り上げるのとは雰囲気が違ってしまっていたが、試合自体はこれもなかなか良い試合だった。やっぱり天山はシングルプレイヤーであるべきだと思う。なまじ性格が優しすぎるので、シングルだと甘さが出てしまうかも知れないが、このプロレスの旨さはやはりシングルで発揮して貰いたく思う。図体だけで押してきて、全くプロレスを考えていないチャンピオン安田との試合を、ここまで緊張感溢れるモノにしたのも天山の実力合ってのものだと思う。出来ればT2000から脱退し、新日本体所属となってヒールでなく、ベビーフェイスのパワープレイヤーとしての天山を見てみたい。そんな試合であった。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/8記)

 武藤、小島、カシンが抜けて以来、新日のチケット売り上げがかなり落ちているらしい。先日の東京体育館も結構な数が売れ残り、現に筆者の知り合いも余った券で只見をしてきたほどのていたらくらしい。

 特に地方会場では武藤より小島の離脱が大きかったようだ。個人的には小島は新日には不似合い、不必要なキャラクターだと思っていただけに、世の中が期待する新日と筆者が考える新日との価値観のずれを感じさせられた。新日が散々育成してきたバカファンには、やはりああ言う解りやすいキャラクターが必要なのだろう。つぶれかけだった全日にはばっちりのキャラクターだとは思うが、新日ストロングスタイルには必要のないレスラーだと思うのだが・・・この離脱によってバカ新日ファンの多くが小島と共に全日に移ってくれれば、正統派ストロングスタイルの新日が解るファンのみになって喜ばしい事とも言えるのだが、観客動員が全ての興行世界。客の選り好みなんかはしていられないのが現状だ。一応念のために断っておくが、筆者は全日は全日、ノアはノアで評価しているし好きだ。それらの展開するプロレスをバカにしても居ないし、むしろ支持している。だがあれだけ真剣勝負ストロングスタイルを唄ってきた新日が、変わってしまうのは嫌なのである。新日が軟派な似非アメプロ路線になってしまうのが嫌なのだ。全日はなんでも有りのバラエティ路線、ノアは受けに受けまくるタフ路線、だったらやはり新日はストロングスタイル路線を貫くべきだろう?

 さてそんな危機感一杯の新日だが、はっきり言って新日は少し会社としての状況が厳しい方が良い。調子良くて儲かっている時はレスラーに真剣味がたりなくて駄目だが、会社が傾いてくるとレスラー一人一人が実に良いファイトをするようになってくる。蝶野が実権を握ってから、彼自身のファイトスタイルが良くなった話は既に書いたが、あれから数週間経ってもその姿勢は変わらない。体調が良いのかどうかは解らないが、実に良く動いているし、良く相手の技も受けている。トップがそれなんだから周りのレスラーが影響されないわけがない。あれ程この欄で酷評されていた吉江ですら、見違えるほど良い動きをしている(そしてまた綺麗にやられている←美しい!)。第二代口だけ番長ライガー絡みのジュニアの試合がまだちょっとおかしいが、ライガーもいずれ新日を出ていってくれるだろうから心配はしていない。

 本当に新日見るならこれからが旬だ。今まで10年近くは新日一人勝ちの時代が続いていた。その間にファンになった連中は、表面だけの新日をなぞっていて本当の新日を知らないバカファンだ。これからだ。これからの新日がホンモノで面白いのだ。筆者が長州離脱、U旗揚げ辺りからプロレスを真剣に見始めたあの時代!あの時代の新日の迫力はすさまじかった。そして新日旗揚げ当時、苦境の時代の猪木もすさまじかったのだろう。逆境であるほど新日のプロレスは面白い。これだけは間違いの無いことである。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/9記)

 ノア対新日対抗戦、中西吉江対W猛は急遽GHCタイトルマッチとなった。まぁ対抗戦がタイトルマッチとなったと言っても、そこはそれ、以後の関係の事も有るからベルトの移動は無いか、有っても「行って来い」なのは誰もが想像できることである。だから残念ながら勝敗の結果自体は、むしろただの対抗戦より意味のないモノとなってしまうわけだ。そんなわけでこの試合のレスラーの優劣は、もう純粋に試合内容で判断すべき事なのだが、まあ当然の結果というか、新日勢の圧勝であったと言えよう。ここまでの力の差を見せつけられると、勝ちを拾う為にノア側が(W猛)わざわざタイトルマッチにして貰ったのでは?と邪推もしたくなるところだった。

 何が違うと言ってもプロレスキャリアから大きく違うわけだから比べようもないが、特筆すべき点はなんと言っても中西の馬力であろう。W猛にしてみれば少なくともパワーだけは体格面から考えても負けるつもりは無かったろうが、日本人としては桁外れの巨体を誇るW猛をポンポンポンポン簡単に投げ飛ばし、そうすることが当然のようにアルゼンチンに担ぎ上げてみせる。この中西の化け物ぶりだけで充分保存用ビデオにする価値のある凄い試合だった。

 驚きは中西だけでは無い、新日内ではそのしょっぱさと華の無いキャラクターで窓際に追いやられている吉江も、昨今の自分のポジションをわきまえたファイトの学習の成果か、終始W猛を圧倒して新日の底力を見せつける。W猛と比べると明らかに小さな体だが(新日内ではでかいんだけどね)ハンデを全然感じさせず、一切W猛に反撃の隙を与えない。かと思えば、やる事をやりきって、自分達の実力を見せつけた後は、キチンと「やられモード」に入って見せて(この辺りが最近の吉江の成長の証だ)、森嶋に攻めさせ、負け試合を巧みに演出しきる完成度。最後のバックドロップだけは、自分の小ささ故に、喰らわなくて良い角度で喰らってしまったが、あれも試合に説得力を持たすと言う意味では良い負け方だったと思う。

 とにかくいくらチャンピオンとは言え、駆け出しのぺーぺー二人に、新日トップでもある中西、キャリアで上回る吉江が負けるわけが無い。「俺達の実力を見てくれ、そして次はトップとやらせろ」そんな思いが伝わってくる素晴らしい試合だった。真剣になった新日勢が見れる対抗戦。やはり良いモノである。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/18記)

 今週からいきなり始まったIWGP査定マッチ。全く何が何だか解らない。中継開始と同時に始まって、おいおいテレ朝何の説明も無しかよ酷いなぁと思っていたら、テレ朝どころかレスラーも何が何だか良く解っていなかった。いいのか?そんな見切り思いつき発車で。

 レスラーのランキングをつけて、それのトップがIWGPのベルトに挑戦できる。そう考えて良いのだろうか?試みは面白いし、新日の魅力はシングルにありと思っているので、支持したいのだが現状では問題がありすぎると思う。まず試合時間が短すぎる。20分じゃベルトに挑戦するような一流どころ同士の試合なら、ほぼ確実にケリがつかなかろう?そうすると必然的に作為的なケリのつけ方になって、ランキングの正当性に疑問符がつくと思う。また、この正当性とはある種相反する問題なのだけど、プロレスというモノはやはりストーリーがある程度あった方が盛り上がる。誰と誰の遺恨がどうこうって奴だ。でもランキング制にしてトップがベルトに挑戦するシステムだとすると、こういう胡散臭さは無くなってしまうわけだ。「プロレス」を愛する身としてはこれもちと辛い。

 放送でも言っていたが、大体誰が査定してどう生かすんだ?純粋に勝ち負けだけの評価じゃないのだろうか?試合内容やファンへのアピール、それら全てを評価するのだろうか?だったら例え勝っても試合内容が悪かったら、評価は低くて、ベルトには挑戦できなかったりするのだろうか?あ〜。ダメだな。これ。このシステムすぐぽしゃるな。査定部分が明らかにならない限り、結局は今までと変わらないもの。レスラーもファンも査定部分は解らない。結局フロントとマッチメーク委員会のみ解る査定なんだろ?じゃあどんな風にも出来るわけで全然透明性が無い訳だ。取り敢えず評価できるのは、新日シングルに理由付けが出来、レスラーがG1並のテンションで挑んでくれるって事だけかな?それにしたって、このシステムにレスラーが疑問を抱いた時点で消滅しちゃうし・・・なんかいかにも新日らしい、てきとーな新機軸だ(笑)。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/17記)

 ノア対新日対抗戦、菊池金丸組対ライガー田中組。冬木弘道引退記念特番。

 当然ノアと新日対抗戦ジュニアの試合がこの日の放送のメインであったはずだ。だがここで衝撃のニュースが入ってくる、この興行にも参加して三沢と一騎打ちを果たした冬木が大腸ガンに侵されていると言うニュースだ。冬木と言えば全日出身で(正確には国際ね)、さらにコロッセオ時代にはキャスターも務めるという日テレと寄りなレスラーな訳だから、日テレがこのニュースを放っておく訳は無い。おまけに今回はノアの三沢社長が、冬木の引退試合まで全面的にバックアップすると言うので「ノア中継」の中で冬木引退を取り上げるのには、何の支障もなかったわけだ。

 だが、日テレの取った行動はそれだけではなかった。通常30分枠しか取らずに、相当なビッグマッチしか1時間枠にしない、ケチンボ日テレが、冬木の為だけに1時間の特番を急遽組んで見せた。何故なんだ?それ程までに冬木というレスラーを日テレが評価していたのだろうか?これが同じ全日出身インディーレスラーのバカ大仁田ぐらいなら解る。世間的知名度の大きさが違うし、何てったって国会議員だ(笑)。

 この前の特別枠は小橋復帰戦だった。鶴田、馬場の時も特番を組んでいた。ハンセンの引退の時も特別枠だったかな?ようするに感動、お涙頂戴が日テレは好きらしい。プロレスの内容や、レスラーとしての実力なんてモノは一切関係なく、いかに感動できるか?それが日テレの特番判断基準なようだ。ある種、その当人達にとって不幸な出来事で、ドーンと飯を食ってみせる日テレのスタンスには正直不快感を覚えるが、そんな血も涙もない上層部とは別に、日テレプロレス班(スポーツ班?)は実にプロレスを冬木を愛していた。1時間と言う余裕有る枠をフルに使って、只のお涙頂戴じゃない、暖かい雰囲気の引退試合を見事に画面から引き出していた。全日時代のフィルムを使って冬木の足跡を辿る辺りは定番だが、何より秀逸だったのは、最近の冬木を語る上でかかせない入場シーンをフルで放送した点であろう。あのダンスを地上波でキチンと放送したのは初めてなのではないだろうか?そして試合自体も、三沢との一騎打ち、引退試合共に当然ノーカット。冬木の登場シーンだけ繋げ無かったことで、より現在の冬木が際だっていたように思えた。

 そして試合後のセレモニーをこれまたじっくり放送したのは、素晴らしい判断だった。あれほどまでに理不尽でわがまま一杯だった冬木が、多くのレスラーに愛されていた。その事実が如実に伝わってきていた。そう、画面から伝わってくる感動は、悲壮感ではなくあくまでも暖かい感動。これから病気と闘って行かなくてはいけない冬木に対しての激励のような特番。実に日テレプロレススタッフは良い仕事をしたと思う。

 で、肝心の対抗戦はどうだったかって?ライガーの試合だからねぇ・・・やっぱりそんなに面白くないわ。なんか仕事でハイテンションな感じが伝わってきて、ライガーって嫌なんだよねえ?なんかいっつも怒って見せてるでしょ(苦笑)。取り敢えず菊池の頑丈さが良かった。ただ頑丈なだけだけどね(笑)。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/22記)

 ジュニアのT2000と新日本体の攻防は、試合ルールを変え何度も繰り返し行われている。この試合も4対4の時間制限イリミネーションマッチ+サドンデス延長戦と、かなかな興味深い試合だったのだか、肝心の実況アナウンサー中丸が、どうやら最初っから延長を指示されていたようで、それとイリミネーションの第一脱落者を勘違いしていたのが興醒めだった。ただ、この団体戦で不思議なのが、いつもいつも新日本体がこっぴどくやられていると言う点である。毎度毎度試合後にバカライガーと田中稔が悔しがってコメントするシーンが流れるが、なぜこんなに偏った試合結果となるのだろう?簡単に考えればT2000の方が実力的に勝っていると言うことになるのだろうが、これはプロレスなのである。そんな実力通りで、盛り上がらない興行などあり得ないはずである。通常ならこっぴどくやられ続けている新日本体が、どこかビッグマッチで逆転して存在実力をアピールするとなるのだろうが、一向にそんな兆しも見られない。5.2のドームまで引っ張るとなると昨今のプロレスにしては偉く長いストーリー展開だと言わざるを得ない。ライガーマッチメイク委員のジュニアのストーリー展開には疑問符をつけたいところだ。

 同時に新日本体扱いになっている垣原と成瀬の扱いもそろそろ考えて欲しい点だ。どう考えても何らかの制限を新日勢側から課せられてるとしか思えないファイトが続いている。毎回山ちゃんにアクションが大きすぎるだの、技の繋ぎが出来ていないだの酷評されるカッキーだが、本来はこんな程度の実力の選手でないことは明らかだ。自分の望んでいるスタイル、ファィトをやらせて貰えない反動が、あの一つ技を出してのフォールやプロレスを勘違いしているとしか思えないようなオーバーアクションでの掌底になっているのではないだろうか?同様に成瀬の試合も酷い。カッキー以上にファイトに精彩が感じられないが、必殺技であったはずのクレイジーサイクロンのていたらくはどう説明すればいいのだろう?登場時には鋭い回転で相手の喉元に食い込んでいたモノが、やがて相手の胸板に当たるモノになり、現在では只の水平チョップのようにぺちんぺちん音をたてる。プロレス向けに開発してきた技を封じられては成瀬は輝きようがない。外様の田中稔をあれほどまでに抜擢している新日、ライガーが、何故成瀬垣原にここまで冷たくあたるのか、この辺りもライガーマッチメイク委員。納得の行かない采配である。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/22記)

 GHCヘビー級タイトルマッチは、このコーナーで散々苦言を呈してきたジュニアの小川対秋山の試合。次期挑戦者決定試合は大森と田上によって争われた。

 さて、次期挑戦者決定試合である。一言、最悪である。以前にも書いたが筆者は「レスラーはデカクあるべし」そう第一に考えるので、長年田上はひいきしてきたし、好きなレスラーの一人でもある。全日四天王時代にベルトに恵まれず、田上の時代がなかなか来ないことにいらついていた程のファンでもある(笑)。でもプロレスを冷静に見る目は持って居るつもりだ。その冷静な目で見ても、あるいはひいき目で見ても、今の田上にはもはやベルトを持つほどの実力は無いと思う。四天王時代からささやかれていた練習嫌いも、今のていたらくを見れば納得が行くし、何より頑丈な体と言うだけでは、第一線のレスリングについていけなくなっている。そんな田上と飛ぶ鳥を落とす勢い、日本で一番格好良いプロレスラー大森の戦いである。常識で考えれば大森が勝って次期挑戦者になるのが妥当な線であろう?

 だが結果は違った。最近のノアに流れるあまりにも作為的なストーリー展開。この後のタイトルマッチと併せてほとほと呆れる展開である。結果的に田上が自分の必殺技フルコースで勝ったと言う事になっているが、試合展開は非常にさぶい流れだった。試合開始早々に大森は自分の必殺技を殆ど出し切ってしまう。ちょっと通なプロレスファンなら「ああ今日は大森負けちゃう訳だね」そう解るほどあからさまな展開だ。さらに大森は事もあろうか田上をドラゴンスープレックスでデンジャラスに叩きつけてしまう。これなんか、負ける事が決まっているから、せめて印象的な技を見せといて自分の評価を下げないようにしようと言うレスラー独特のプライドである。この技がもし試合の終盤に出ていたら、間違いなく田上はKOされていたであろう。だがこの技が出たのは序盤である。そこはそれ頑丈さには定評のある田上、これ一発程度でどうこうする事は無かった。

 で、一通り大森の技が出たところで、田上は大一番には必ずやってみるが、決まったことの殆ど無いダイビング喉輪落としを敢行する。まあこれが攻守交代の合図であった。成功したモノのダイビング喉輪落としのフックは緩く、大森にさほどのダメージは残っていない。その後の田上フルコースも確かに決まっては居るモノの、今の大森にとって深刻なダメージを与えるほどの技では無かった。無かったのだけど何も考えずに(観客の盛り上がりとかね)田上が「おれが田上だ」を放ってしまったので、試合はあっけなく決まった。全くどうしようもない試合である。いや例え大森が負けるにしても、もうちょっと二人ともフラフラになるまでやるとか、攻守頻繁に入れ替わるとかして盛り上げてくれよ?なんかもうヨロヨロの田上に合わせて、試合時間は短めに。そんな感じの試合なんだモノ。本当。三沢、選手に手厚いのは良いけど、もう少し説得力ってモノ考えてくれ。

 続いてのGHCヘビー級タイトルマッチも、決められた結果通り小川が勝ってしまった。小川が挑戦するだけでもヘビーのベルトの権威を考えると好ましくないのに、チャンピオンにまでなってしまったわけだ。試合時間も4分半、決まり技も一瞬の返し技。まったく想像通りの結末。ジュニアの小川がシングルでヘビー級の相手と、受けて受けられの戦いが出来るわけがない。小川が勝つにはこれしかないと言う展開だった。さらには試合後のインタビューで秋山自ら、小川の勝ちに説得力を持たすような発言をする念の入れよう。こんな辺りからも団体全体でのストーリー作りの臭いがプンプンしてくる。あまりにも作為的なこのノアのストーリー展開?長年プロレスを見てきた身としては、当然受け入れられない。この辺り本当に小橋欠場のしわ寄せが出てしまっている。薄い選手層をなるべく誤魔化して、団体を運営していく。三沢の苦労も解るが、ファンはもっとヘビー級同士の正面からぶつかる試合が見たいのである。

 次期タイトルマッチは、どちらも作為的に選ばれた小川対田上である。果たして田上戴冠で最後の栄光に浸るのか?ヒョロヒョロ田上程度なら、小川のインサイドワークで防衛もありうるか?これはちょっと勝負の行方が見にくくて、説得力のある試合になりそうだ。でも本当はこんな低いレベルでのタイトルマッチではいけないのだけどね。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/2記)

 5/2更新なのに東京ドーム大会ネタでなくて済まぬ(笑)。取り敢えず長州退団だな。

 さて、噂されていた通り長州が新日を退団した。永島常務が武藤達離脱の責任を取った形で辞めた辺りから、長州は辞める辞めると言われていたのだから、まぁテレ朝が煽るほど衝撃的な出来事ではないと思う。と言うか、そもそも復帰してからの長州自体が、何の存在感も示せて無いという感じであるし。現場監督の座も蝶野やライガー、ケロに譲ったんで有れば、居場所も無くなって当然だと思う。長州は現役引退の時に「新日がピンチになったら復帰もあり得る」と言って引退した。そしてピンチになったと思ったから復帰したようだが、時代は長州ごときロートルが一人復帰したからと言ってどうなるモノでも無かったわけだ。長州も時代とのズレを痛切に感じているであろう?

 だが長州の時代とのズレは、今だけの問題だろうか?はっきり言って長州力と言う男は、全日に行った時点で終わった男だと思う。それ以後の全日のチャンコ食って太った長州は、例え新日に復帰しようと、新日で現場監督の地位を手に入れようと、昔の長州の輝きは発せられてなかったように思う。長州の輝きと言うモノは所詮反体制派の輝きなのである。維新軍で大暴れしていた頃。スマートで切れ味のあったあの頃。あれが長州のピーク、長州の輝きだったわけだ。全日に行ってあまりにもデカイ壁にぶち当たり(死ぬほどの練習をしていた自分が、対して練習もしていなく見える鶴田達に敵わない)、反体制の立場でありながら、玉砕せずにしっぽを巻いて逃げた。そこから長州の転落は始まっている。新日復帰後は「俺達の時代」のどさくさで本体に復帰。藤波欠場中にドンドン力を蓄え、バリバリの体制派に転向してしまうわけだ。

 権力に挑むことで輝いていた男が、全日では権力から逃げ、新日復帰後は権力側に移るわけだから、吉田光雄自身の出世物語としては成功かも知れないが、長州力と言うレスラーのキャラクターとしては全く魅力に欠ける大失敗なレスラー人生だと言えよう。同じように反体制派であった藤原が、新日を飛び出しフリーとして晩年を過ごしている潔さに比べて、何と格好悪い晩年なんだろう(引退撤回も長州らしくは無いわな)。そんな時代とずれてしまった格好悪い長州に、今のファンが思い入れを込めて応援をしてくれるわけも無い。新日を出て、昔の自分の姿を知ってくれている、マニアなファン層の団体に漂流するのも当然の姿勢と言えよう(やっぱり全日か?)。とにかく体制派に属して権力を振り回したいのなら、現役復帰せずにフロントに徹していれば良かったわけだ。長州力としての人生も全うできず、吉田光雄としての栄光もつかみ損ねる。本当に長州力。格好悪い男である。

 もっとも新日的には、永島が抜け、長州が抜けとくれば、かなり健全な方向に向かうと思う。後ライガーとケロさえ居なくなれば、ほぼ完璧である。90年代新日拡大の歴史はプロレス的には失敗の歴史である。上記メンツのせいでストロングスタイルの火は消えかけた。大会場中心、マッチメーク中心のプロレスでは、やはりどこかがおかしくなる。プロレスの面白さは試合で見せるモノなのである。カードで客を呼んで、試合で納得させる。それがプロレスの正しい姿だ。蝶野体制にはそれを求めたい。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/2記)

 GHCタッグタイトルマッチ、W猛対ベイダー、スコーピオ組。GHCジュニアタイトルマッチ、丸藤対橋。遅い。遅すぎる。一体いつの試合なんだこれ?まあ30分の枠、新日との対抗戦の鮮度を考えたら仕方が無いのは解るが、ちょっとあまりにも遅すぎるだろ?放送が。

 そんな訳でいささかテンションも下がるのだが、取り敢えずタッグタイトルマッチから。どうなの?W猛?果たしてこの試合、防衛するだけの力があるように見える?と言うかそもそもベルトを持っている資格が有るように見える?なんだか二人とも一杯一杯で、ベイダー、スコーピオが「どうやって負けたら良いんだ?」って困惑してるのが垣間見えてきたよ。チャンピオンになる前までは、力皇自体の動きは悪くなかったこのコンビだけど、今や森嶋に引っ張られてドンドン力皇もダメになってきている。やっぱり無理があるよ。でかくて将来有望なのは解るけど、二人合わせてキャリア6年じゃ何もできない。何度も言うけどせめて、三沢のパートナーとか、秋山のパートナーとか、そう言う立場でチャンピオンになれなかったモノか?頼むから早く負けてくれ・・・

 ジュニアのタイトルマッチ。だから靱帯切れてるのにタイトルマッチなんか出来るわけねーべ。このカードも無理が有りすぎる。せっかくライガー達来てるんだから、しばらくはベルト争いは封印しとけばいいじゃない?本当、マッチメークの段階から問題有りすぎ。可哀相なのは橋だね。元々手負いの丸藤だから、かなり押して善戦するんだけど後一歩の所でベルトは逃す。そういう展開になるはずだったのだろう。でもレフリーストップで橋の勝ち。これじゃあ今後の展開にまずかろうとベルト返上させられた。結果的には一緒かも知れないけどあんまりだよねぇ?せめて防衛戦やらせて上げようよ。そこでスリンガーに負けても金丸に負けても良いからさあ・・・ところで橋ってチャンピオンと認定はされたの?第4代王者?なんかその辺りも微妙だよねえ。取り敢えずジュニアベルト争奪トーナメントは、本命スリンガー、対抗菊池、アナ金丸ってとこかな?対戦相手的には金丸有利だけど、新日との対抗戦考えたら菊池。でもライガーに絡ませないために、敢えてベルトは外人スリンガーだと思うぞ(笑)。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/6記)

 5.2新日30周年東京ドーム大会。ノア勢との絡みの試合はノアの欄に記す。まず番組タイトル「猪木対蝶野」この企画が全く的はずれで意味をなしていなかった。どうしてもゴールデンで視聴率を取ろう取ろうと必死になると、こういうバラエティ屋が考えたような安直な企画になってしまう訳だが、裏にサッカーの国際試合があるわけだから、最初っからある程度視聴率は諦めて、もうちょっとじっくりプロレスを見せられないモノだろうか?現にこの中継も猪木と蝶野が出ていないところは、しっかりと堅実に作られていたと思う。レギュラーのプロレス枠を見ていない人間向けへのダイジェストも嫌味がない程度にまとまっていたし、試合もまぁそれなりのクオリティは維持できていたのではないだろうか?とにかく失敗は「蝶野プロデュサー」これに尽きる。蝶野が仕切っていることを印象づけようと、ドンフライに一般的知名度は高い安田を襲わせたシーンにはうんざりさせられた。あれを見て一般視聴者が「やっぱりプロレスは演劇なんだ」「まだこういう嘘臭い事やってるんだ」こう思わないだろうか?プロレスラーに舞台俳優のような事をさせるのが間違いなのである。プロレスラーという演者はリングの上でプロレスをする事によって輝くのだ。レフリーチャイナを引き連れてきた事、蝶野と猪木のマット外での葛藤、こういう似非アメリカンプロレス的要素は日本人には受け入れられない。アメリカンプロレスはアメリカンだから受け入れられるのだ。日本のプロレスとは別物だと言うことを早く現場もテレビ側も気づくべきである。

 とまあ、相変わらずの特番下手はもう諦めるとして、試合自体はなかなか楽しめた。小川橋本組対天山ノートン組の試合は、もうレフリーの山本小鉄まで含めてバカ勢揃いで、テレビの前で大笑いしてしまった。小川の体には明らかに緊張感が無く、仕事でやらせられてます的雰囲気全開だし(そろそろぴしっとしたカード組んでやらないと小川の価値自体が死んでしまう)、橋本はまた一段と太ってインディー丸出しの体つきになっているし、ノートンはノートンでジャーマンとSTOの合体技で、見事にフォール取られる仕事人振りだ(あれどう考えてもSTO喰らってるのは橋本だろう?←爆笑)。天山だけは大丈夫かと思えば、トップロープからのダイブで小鉄の足に落下、おじいちゃんの小鉄をよろつかせてしまう上に、試合後のマイクアピールで小川に「明日蝶野と組んで松山に来い」等とトンチンカンなことを言われると、思わず「田舎だこら、そんなとこ行ってられっか」とマジ返し。いや、本当笑いとまらねーよ。さすがだ・・・

 中西対ルッテン。これ良い試合だった。中西のプロレスラー的化け物さ加減が実に良く出ていた。まぁそれもこれもルッテンがプロレス向けに緩い試合をやってくれたからだけど、これぐらいの脚色(枝葉?)はプロレス的には充分有りでしょう。お客さんを満足させて、それで内容も良かったんだから。中西、ルッテン二人ともプロの良い仕事だったと思う。

 安田対フライ。襲撃の茶番さはさておき、早くも新日は安田の商品としての魅力に見切りをつけたようだ。肉体改造後のラッキーパンチで、一躍時代の中心に立った安田だったが、所詮試合スタイルなどは何も変わらず、精々グラウンドにすんなり入れる程度になったぐらいの進歩では、ホンモノのフライが本気を出したら叶うわけもない。ベルトも失い、このまま新日所属のままでは以前の安田に逆戻りの気配すら有る。どうすれば自分の価値が上がるのか?それをもう一度猪木のもとで考えるべきだろう?大体肉体改造だって、まだ完成してないんじゃないのか?楽するな。

 棚健対スタイナーブラザース。すっかりステロイドまみれで、筋肉増強剤の威力を見せつけられたスタイナーブラザースはともかく(だって試合はきっちりとやってたからね、文句のつけようがないでしょう?自分の寿命縮めてまで、あの道を選んだ訳だから)、このカードはレフリーチャイナだろう。果たして男の砦新日マットに、あの存在は必要なのだろうか?これからも継続参戦して、何らかのアクションをしていくのだろうか?全く意味のないことだ。なんだ?チャイナグッズで一儲けしようとでも思っているのか?何度も言っているように、ホンモノじゃないアメプロは日本では根付かない。例え演者がホンモノだったとしても、製作総指揮が日本人なのだから。せっかく永島長州が居なくなったのに、どうしてそう言う事をするか?

 まあこの後のノア絡みの試合も含めて、個人的には楽しめた忠霊だった。返す返すも猪木と蝶野の変な緊張感(カメラ前に初めて立った素人のような)が余計だったと思う。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/6記)

 5.2新日30周年東京ドーム大会。テレ朝からの許可を貰って、ノア絡みの試合は日テレでも放送された。とは言えやっぱり尺の制限は有ったようで、残り半分は何故か冬木引退の再放送であった。

 まず高山対永田戦。面白かった!面白かったけど、これ多分結末決めてあったと思う。そうでなければあそこまで綺麗に生放送の枠に収まるわけ無いモノ。15分経過と同時にケリがついたのもそれっぽいしね。でもそんな事は誰も問題にしないと思う。三沢蝶野には劣るモノの、次世代のトップ同士の(高山フリーだけど)真正面からのぶつかり合い。もうそれが見れただけで結果なんてどうでも良くなると思う。まあ時間無制限でやったらたぶん高山が勝ちそうだけど。本当、高山は今日本人で唯一「一番デカイ奴が一番強い」を表現できてるレスラーだ。Uインターの時はあんなにデカイ体を持っていながら、頭でっかちな所があったけど、全日→ノアを経験して、心技体全てに充実している化け物みたいなレスラーになったと思う。一時鶴田が、どんなに結果を残していなくても「一番強いのは鶴田」と囁かれていたように、高山も結果こそ敗戦続きだが「一番強いのは高山」そう囁かれる時代がきつつあると思う。負けてもなおかつ、観客の心に大きな説得力を残す男、高山。このまま化け物街道を突っ走って欲しい。

 んでその化け物相手にひるまず、ギリギリ説得力のある戦いをして見せた永田。身長183しか無い永田が、化け物高山と、例え結末が決まっていたとは言え、観客の納得する説得力のある戦いをするのは難しかったと思う。だが永田はこの難題を見事クリヤーして見せた。高山の猛攻もえげつない投げも全て受けきって見せた。15分という短い(ノア的にも)時間だから耐え切れたという声もあるだろうが、それでも今の新日であそこまで高山を受け止められるレスラーはそうは居ないだろう。強力な外敵と真っ向から戦って、受けて、一瞬の隙をついて勝つ。まさにストロングスタイル、新日30周年を一番表現していたのが、永田だったのではないだろうか?

 メインイベント三沢対蝶野。連ちゃんですまないが、これも面白かったでしょう?もう最高だよ。お互いに今までの新日、全日の流れを考慮した技、30分全くだれる事無く緊張感を維持して観客を引きつける実力。本当にプロの仕事を見せさて貰った。これぞトップ同士の戦い。そしてプロレスの面白さ。30分1本勝負と聞いた時点でフルタイムドローというのは頭に浮かんだけれど、蝶野に30分フルタイム戦えるのか?と言う別の興味も沸いてきたので興味深く見れた。結果?やっぱり三沢の圧勝って感じだった。なんかもう、根本的コンディションの差が大きすぎると思う。現場監督になってからは、それでも昔の蝶野に比べて動いているし、良いコンディションなんじゃないかと思っていた。でも本当のトップレスラーの力は凄かった。技のキレ、相手の技を受けてみせる懐、30分余裕で持つスタミナ。どれをとっても蝶野の勝っている所は無かった。やはり対戦するのが遅かったと思う。ギリギリ間に合ったと言う見方も出来るかも知れないが、全盛時の蝶野、あるいは武藤とやらせてみたかった。白い頃の蝶野ならこんな試合にはならなかったろう。トップロープを外して三沢の跳び技を封印するなんて言う手も使う必要が無かっただろう。全盛期のトップレスラー同士の戦い。それは本当に貴重なモノなのである。それが解っているからこそ、この三沢蝶野戦も30分ドローと解っていても楽しめるのである。夢の時間をありがとう。そしてこの流れをここで止めてしまってはいけない。何年かに一度、必ずトップレスラー同士が肌を合わせる機会を残して欲しいモノだ。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/14記)

 5.2新日30周年東京ドーム大会第二弾。今週の放送では実にじっくりとセレモニーを中継してくれた。T.J.シン、倍賞美都子らの登場とも合わせて、常にギスギスしながら発展してきた新日とは思えないほど、暖かな30周年記念興行だったのが伺える。懐かしのあの顔、あの顔、マサさんがなんだか小さくなってたのがちょっと心配だが、締めの藤原まで見事な人選だったと思う(マシーン1号の中身はちゃんと平田だったんだろうか?(笑))。

 暖かい雰囲気と言えば、タイガー3.4号とブラックタイガーサムライ組の試合も、記念興行だからこそなりたったカードだろう。いつもはT2000として仲間同士の金本とブラックタイガー、その二人が別れて戦うのである。ある程度手の内が解っているモノ同士が仕事としてキッチリと戦うのだからレベルの高い試合が期待できる。サムライもこの試合に合わせて、半分がブラックタイガーになっているスペシャルマスクを着用。と期待度はドンドン高まる。さらに歴代タイガーの中でもっとも佐山タイガーに近い動きの出来る金本タイガー。その金本タイガーが「佐山タイガーの動きは4代目に任せて、自分はスーパータイガーの動きをしてみたい」なんて嬉しいことを言ってくれたのだから、そりゃあ期待度もMAXとなる試合のはずだった。だが結果として何故だかブラックタイガーは精細を欠いた動きをし、金本の技を受けようとしない、その為金本は殆どスーパータイガーの動きを出せないまま、消化不良の試合となってしまった。お祭りだからこそ相手の技をキチンと受けるプロフェッショナルな仕事。それをこなして貰いたかったモノだ。T2000に忠誠を尽くしているのかも知れないが、試合後の金本の怒りももっともなブラックタイガーの有様だった。

 暖かい雰囲気に水を差したのは、タイガー(また虎だ(笑))・ジェット・シンとチャイナの絡みだ。せっかくの30周年記念興行に気合いを入れて乱入してきた新日最大の功労者外人ジェット・シンをあんな新日とまだなんの縁も無い、チャイナごときに追っ払わせると言うのはどう言うことだろう?多くの先人達に尊敬の意を表していたこの興行で、あのシーンだけ、先人をないがしろにしているようで気分が悪かった。せめて猪木に鉄拳制裁でも喰らわして貰えれば、ジェット・シンも華々しく、大暴れして引き下がれたであろうに・・・今後ジェット・シンとチャイナの攻防が有りそうだ。等という嫌な噂も聞くが、実現しないことを祈る。と言うかチャイナもう来なくて良いよ。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/14記)

 GHCタッグタイトルマッチW猛対秋山斉藤組。

 現在のノアの問題点が見事に浮き彫りにされた一戦だったと思う。何度も言っているがW猛はチャンピオンの器ではない。図体だけは人一倍でかく当然今後有望な人材であるのは明らかだが、プロレスのチャンピオンが、いやプロレスが、図体のでかさだけで出来ると思ったら大間違いである。いかに観客を沸かすことの出来る試合が出来るか?それがもっともチャンピオンに求められるモノなのである。この点だけでも、自分達で満足に試合の組み立てられないW猛はチャンピオン失格である。どだいデビューして数年の20代のぺーぺーに面白い試合など組み立てられるわけがないのである。

 この試合もそんな感じであった。試合自体は終始秋山斉藤組が組み立ててリード。殆どW猛は何もやっていなかった。たぶんある程度秋山組が攻め込んだ所で、攻守交代、有り余るパワーで斉藤を追い込んで見事防衛と言うシナリオであったのだろう。だがここでアクシデントが起きる。力皇が放ったDDTで斉藤が肋骨骨折、以後満足に試合が出来なくなってしまうのである。これまたチャンピオンにあるまじき事である。チャンピオンになるほどの器であるなら、相手レスラーに怪我をさせるような事は絶対にあってはいけないことである。これもW猛の経験の浅さから来る失敗である。色々な相手と戦った経験値の少なさがこういうアクシデントを招くのである。相手に合わせて技を加減する。そんな事すら出来ないぺーぺー二人に組ませて試合をやらせている問題点が、見事に明らかになった形だと思う。

 だが、悪いのはW猛だけではない。怪我をした斉藤も斉藤なのである。斉藤の身長は180センチに満たない。たぶん実寸175ぐらいであろう。この身長ではいくらウェイトを増やして、体を鍛えても限界がある。さらに斉藤は若手時代にプロレスで体を作ったわけではない。30過ぎてからプロレス向きの体に改造しても所詮それは付け焼き刃に過ぎないのである。インディーやジュニアでは通用する体であったにしても、メジャー団体のしかも大型選手の多いノアマットでは、スーパーヘビー級相手に試合をするようなレベルの選手ではないのである。その斉藤が秋山のパートナーとしてベルトに挑戦することとなった。しかも相手は経験の浅いしょっぱいW 猛である。まさに起こるべくして起きた事故であり、怪我だったと言えよう。

 ノアのヘビー級チャンピオンは小川である。小川はそれこそ全日時代から、多くのヘビー級レスラーとタッグで肌を合わせてきている。だからこんなバカバカしいアクシデントは起きないだろう。が、小川にヘビーのベルトを巻かすべきでないと言うのはただ単純に見栄えだけの問題で言っているわけではないのだ。団体のヘビー級のベルト。それはその団体の最高レベルの選手によって争われるべきなのである。そう言うわけで、ヘビーシングル、ヘビータッグ、怪我人にベルトを巻かせていたジュニア、全てのタイトルに問題があり、全く間違っている現在のノアマットだと思う。早急に小川-三沢組、秋山-斉藤組なども解散すべきである。「ベテランヘビー級のパートナーは、若手ヘビー級」いくら新しいことをやってみる為に全日から離脱したノアでも、これぐらいの基本線は守って貰いたいところだ。

 ノーフィアーが発展的解消をしそうである。まぁその事実自体は、シングルプレーヤー大森が見れると言う点でも良いことだと思う。またノーフィアーがいつまでも居ると、タッグのベルト戦線に変化が見られないと言う意味でも仕方のないことだと思う(強すぎるからな)。ただ、そのインタビューの過程で大森が非常に良いことを言っていた。「アメリカに行くのなら、1週間とか1ヶ月程度のレベルじゃ話にならない。それなら行かない方がよい、自分の中で何かを掴むまでは帰ってこないぐらいでないと。」全くその通りである。本当に良く解っている。新日のヤングライオンたちは僅か1週間のメキシコ行きを、修行と言ってのけた。バカか?そんなのは観光である。それだけで何が解って何が変わるというのだ?また中西は数日の滞在でゴッチからジャーマンを伝授されたのだそうだ?これもバカか?そんなに簡単にマスターできるのであるなら、みんな行けばよい。オフの間にでも、シリーズとシリーズの狭間にゴッチの所を訪ねれば良い。と言うか、僅か数日で逃げ出した長州ですら、伝授されていることになるだろう?ゴッチだって中西に伝授したとは思っても無いだろう?そんなバカげた新日勢に対して、大森は本当に物事が解っている。アメリカに行くにしろ行かないにしろ、より一層大森がでかくなっていくのは確かである。根本的なところでの考え方が違うのであるから。シングルで無敵王者となる日の大森を今から夢見ていたいモノである。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/28記)

 ベストオブスーパージュニア。ライガー中心にどうしてもマンネリ気味になってしまう新日ジュニアが(それは例え外様の田中や垣原、成瀬を入れたとしても)、1年に一度確実に光り輝く瞬間が今年もやって来た。ただし今回の本当の意味での外様枠はカレーマン只一人。新日的には、垣原、成瀬、タイガーあたりとヤングライオン井上、柴田で新鮮味は出せると踏んだのだろうが、いつもの年並の新鮮味が出せてるかどうかは疑問である。

 スーパージュニアの面白さは、何より他団体のまだ見ぬ強豪が、新日に上がるという点にある。そしてその強豪に本当に実力があった場合は、新日レギュラー参戦の道も開けてくるのだから、外様レスラー達の本気度が高い点も特筆すべき点だろう。外様レスラーの本気度が高ければ、当然いつもルーティーンでちんたら試合をやっている新日勢も、本気で立ち向かう必要に迫られる。こうして年に一度のジュニアの祭典は、非常にグレードの高いシリーズとなるわけである。

 だが正直、カレーマンだけがまだ見ぬ強豪の今年はつらい。確かに田中、成瀬、垣原、邪道、外道、タイガーマスク。ほぼ半数以上は新日出身レスラーではない。しかしどの選手もすでに通常の新日興行で見慣れた選手達なのである。いわばライガー村の仲間達なのである。手の内の解っている選手同士の試合は、高いレベルになる可能性もあるが、こと新日ジュニアに関してはそうなる可能性は薄い。外様との対戦でしか本気を出さない、新日怠け体質はしっかりとジュニアにまで浸透している。カレーマンはユニークなキャラクター、センス有るレスラーではあるが、カレーマンにライガー達を本気にさせるほど役割を期待するのは少し酷だと思う。

 そんな訳で本気度が薄れてしまいがちな今回のスーパージュニアだが、救いはヤングライオン井上、柴田が、本気で上を食ってやるぞ(ポーズでなく)と思っている点だと思う。柴田と井上は、明らかに今のライガー村のレスラー達とファイトスタイルが異なる。高い技術力中心のライガー達とは違い、ガッツが全面に出る熱いレスラーである。こういうレスラーが化けるとファンの心は一気に奪われる事になる。いつの間にかサラリーマン化してしまったライガー達に、風穴を開けるとしたら、こういう全く違うファイトスタイルのレスラーだと思う。

 もう一つの救いは、すでにどっぷりとライガー村に浸りきっていると思われていた田中稔である。今週の放送のインタビューで田中が言っていた一言。「スーパージュニアはG1の予選じゃない」全くその通りである。スーパージュニアで優勝した選手はG1に出られる。何を言っているのだ?そもそもスーパージュニアの開催主旨は、試合内容でまったくヘビーに負けていないと言う事を証明するシリーズだった筈だ。だから決勝戦はヘビーを押しのけてメインイベントとなっているわけなのである。なのに何故?スーパージュニアで優勝しないとG1に出れないのだ?そもそもここからして間違っている。ジュニアとヘビーが対等であると言う意識。それが参加レスラーであるライガーや垣原に無いのである。自分達で勝手に格下気分なのである。体力以外はジュニアとヘビーが対等であると信じているので有れば、後は自分に合うカテゴリーはどっちかと判断して、そのカテゴリーに出続ければ良いのである。言うなれば、ノアの小川のスタンスである(良い悪いは別にして)。なのにライガーはどっちつかずでチョロチョロしている。自分でヘビー級が有っていると思えば、ヘビーに専念してヘビーのベルトを狙えばよい。なのにジュニアにも出ながら「ヘビーに挑戦」そんな事をやっているからジュニアの方が下だと、ファンが思うのである。ジュニアの地位向上を叫びながら、ジュニアをおとしめている。全くライガーは解っていない。

 そんなジュニア選手達のバカげた考えを田中稔は痛烈に批判して見せた。その心意気多いに良しである。他の連中とは心構えからして違う田中稔が、圧倒的強さで優勝することを期待する。ジュニアはジュニア、ヘビーはヘビーなのである。交わったり挑戦したりする必要は全く無い。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/30記)

 GHCヘビー級タイトルマッチ、田上対小川。

 全く面白くなかった。やはり小川がチャンピオンでは無理がある。解説の秋山の言っているとおりである。まず小川の体格で、相手の技を受け続ける事は不可能である。つまり小川がチャンピオンであり続けると言う事は、全日→ノアらしい、相手の技をキチンと受ける、迫力有るプロレスが見れないと言う事なのだ。さらに今回のように相手がスーパーヘビー級であったらどうだろう?スーパーヘビー級の選手というのは、やはりその大きな体を生かした技が見物なのである。なのにそれらの技を小川が殆どスカしてしまうのである。こんなに面白くないタイトルマッチがあるだろうか?

 そりゃ百歩譲って、話題性も含めて小川がタイトルを取っても良いだろう。そしてその取り方が一瞬の固め技なのも良いだろう。だがそれは一度きりであるべきだ。誰も小川の固め技だけを見に来ているわけではない。色々なレスラーの色々な技、そしてそれらをフルに生かした試合を見に来ているのである。たった一度の意表をついた固め技なら観客も興奮、納得するが、毎度毎度どんな結末も固め技で決まってしまうタイトルマッチなんか何が面白いのだ?しかもそれに至るまで、殆ど技の攻防は見られないのである。プロレスの最大の面白味は、相手の技を受けると言う事である。なのに小川がチャンピオンでは相手の技を受けきることが出来ない。いや小川は受け身が旨い選手だったとしよう、そして相手の技を全部受けきって見せた。でもそれで良いのだろうか?スーパーヘビー級の技を全部受けきるジュニアヘビー。じゃあノアのスーパーヘビーの体力は、その程度のモノなのか?そう思われても仕方ないだろう。これはプロレス界であってはならないことである。

 この試合でも田上は攻めあぐんでいたように思える。と言ってもそれは小川のインサイドワークによって攻めあぐんでいたのではない。元々プロレスの余り旨く無い田上が、いつも以上に気を使わないと戦えない相手と試合をやらされていたからである。全盛期は過ぎたとは言え、ナチュラルな力はバカに出来ない田上である。そんな田上が、小川に説得力有る防衛をやらす為に苦労するのは当然である。自分の力を出し切ったら、小川の防衛なんてあり得ないからである。自分の思う技も満足に出させて貰えない。なんと可哀相な挑戦者であろう?こんなチャンピオンは前代未聞である。チャンピオンたるモノ、相手の力はなるべく強く見せて、勝ちを奪うのが本筋である(風車の理論)。なのに小川は相手の力をなるべく弱く弱く見せて勝つのである。こんなプロレスが面白いわけがない。

 田上がベルトを取ってくれた方がまだ面白かった。小川がベルトを持っていると言うことは、またもう一回、今回みたいな試合を見せられるのである。ジュニアはジュニア、ヘビーはヘビーでしっかりとそれぞれのカテゴリーで闘うべきなのである。交わったり挑戦したりする必要は全く無いのだ。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/3記)

 先週から引き続いてK-DOJOの藤田ミノル乱入ネタだが、そもそもあれだけ簡単にマットに上がれると言う事は(いや、普通にチケット買って入ってたら解らないか?一般人と変わらないしな(笑))、新日側としても今後多少のネタとして利用して行く気があるのだろうけど(蝶野の発言とは裏腹に)、本当、いい加減にして欲しい。こう言うところからもヘビーとジュニアが、不必要に交わっている悪影響が出ていると思う。

 先週藤田が真鍋に(中丸だっけ?)「俺の体見れば解るだろ?俺の体は何級だ?」って聞いてたけど、誰がどう見たってジュニアだろ?プロレス名鑑でも178センチだよ?実際は175以下だろ?そいつがどんなに目方付けても、ヘビー級でやっていくのは無理があるだろう?しかもあのリング上での軽やかな動き!バリバリのジュニアだよ。ライガーや垣原がヘビーに挑戦したがったり、大谷がヘビー級に転向したり。身長無い奴は、どうひっくり返ったってヘビー級にはなれないんだから、変な勘違い起こさないで欲しいモノだ。そりゃ100キロ超えたらヘビー級だよ。でもそんなのは目方上だけだ。100キロギリギリ超えた体で、スーパーヘビー級の外人と戦って勝てるのか?(まぁ新日はそんなにスーパーヘビー級自体が居ないので、舐められてるのかもしれないけど)

 いつからこんな風潮になったんだろう?昔は180以下のヘビー級のレスラーは、トップにはなれなかった。必ず中堅どころにとどまって、良くてセミまで、ベルトもアジアタッグまで、そう言う暗黙の了解が出来ていた。健介や吉江なんて、時代が時代ならベルトに挑戦する器ですら無いよ。たぶんUWFブームの時に、前高山以外のレスラーが以外と小さかった事から始まったんだと思うが、鈴木みのるや船木だって、所詮スーパーヘビー級のレスラーに本気で戦われたら、太刀打ちできなかったと思う。でもパンクラスルールだから、メジャー団体のテストに受かりそうもない小さな連中ばかりの団体だったから、あの贅肉を削ぎ落としたスタイルでの戦いが成り立っていたわけだ。それが世の中の変な理解賛同を得てしまって、小さくても節制している奴が強い。なんて変な風潮になったのだと思う。

 そうして小さいヘビー級も世の中に認知され、挙げ句元々ちびっ子ヘビー級が多かった新日では、健介や永田がトップになるようになってしまう。本当ならメジャー団体のトップに君臨する選手は185センチは超えていて貰いたい。永田は旨い選手だしプロレス脳も発達している、だからトップの器は充分あると思う。思うけどやっぱり182は小さい。本来なら中西、西村の2枚看板で行きたいところだ。メジャー団体で体格的に劣る連中が、インディーを起こしたりしているのならまだ良かった。だがメジャーでも小さいヘビー級が横行するから、ライガーが変な野心を抱いたり、藤田みたいな馬鹿者が出てくるわけだ。当然新日は藤田をボロ雑巾のように叩きのめすと思うが、そもそもあんなのに喰い付かれること自体が恥ずかしいと言う事に気づくべきだ。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(6/3記)

 ノーフィアー精算マッチ。遂にノーフィアーも解散である。高山がフリーになって外に出ていくようになったのが一番の原因のように思われているが、最大の問題点はノアに彼らに太刀打ちできるタッグチームが無かったと言う事だろう。いや、三沢秋山組ぐらいのチームを作れば、そりゃ充分太刀打ちは出来ただろう。でもそれをやってしまったら、ヘビー級の薄いノアでは興行自体が成り立って行かなくなるだろうから、この二人が解散させられるのは納得しなければならない事なのだろう。

 ノーフィアー。高山の化け物ぶりは世間でも充分に認知されていると思う。ただ強いだけでなく、ちゃんとプロレスが出来るあたりも、色々な団体が彼を起用したがる要因になっていると思う。出ていった先で結果としては負けている。だがその試合を見た観客が、必ず抱く感想は「高山は凄い」こんなレスラーはなかなか居ない。特に昨今のバカ演劇プロレスに馴れたファンは、結果ばかりを重視する傾向にある。なのに、そんなにプロレス通でなくても高山の凄さは伝わっていくのである。やはりデカくて動けると言う事は、それだけで説得力になるわけだ。

 そんな高山の影に隠れていた感の有る大森だが、大森も素晴らしいレスラーだ。と言うかむしろ、シングルプレイヤーになってより成功するのは大森だと思う。大森は正統派のプロレスラーである。恵まれた体格をキチンと生かしきった正しいプロレスをする。全く小手先に頼るようなプロレスはしない。今時ドロップキック一つ、エルボースマッシュ一つで観客を納得させられるレスラーが居るだろうか?エルボーではない、エルボースマッシュでだ。必殺技アックスボンバーを見れば解るが、大森の技はみな「当たり」が良い。どの技もすぱーんと的確に当たっているのだ。これは簡単なようで難しい。昨今のバカラリアットプロレス時代でも、満足にラリアットを叩き込めているレスラーは少ない。満足に叩き込めていないから、一撃必殺にならずに連発になって価値を低くするのである。

 だが大森は一発のエルボースマッシュですらおろそかにしない。こんな繋ぎ技、他のレスラーはみな適当に放っている。だが大森は音と良い、角度と良い、毎度毎度完璧に放ってみせる。ドロップキックも新日式の伸びきってから相手の胸に当たるなんて言う体操技では無く、伸びきる直前に相手に当たって、伸びきると同時に相手が吹っ飛ぶ完璧なドロップキックだ。そんな大森が成功しないわけがない。小橋欠場、田上よろよろ。実質三沢と秋山しかヘビーのベルトを争う選手が居ない現状。アメリカ行ってタッグ屋と言うイメージを払拭したら、いよいよ大森のノアトップへの道が開けていくと思う。プロレスラー大森。最高である。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/12記)

 IWGPタッグタイトルマッチ蝶野天山組対西村中西組。IWGPシングル次期挑戦者決定戦、スーパージュニア決勝。さて今週の放送、タッグタイトルマッチ以外はクソである。冒頭の口だけ番長のインタビューも含めて、時間の無駄であった。今週はフルタイム(実際試合もフルタイムだったのだから)、IWGPタッグタイトルマッチの放送であるべきだった。

 とは言うモノの、一応その他の試合にも触れておく。スーパージュニア決勝は、相変わらずの唐突結末。何の盛り上がりもあったモノじゃない。技のキレ自体は二人とも凄いのだが、ことプロレスと言う観点から言うと、しょっぱい試合以外の何ものでもない。あれだけの技量を持ちながら、どうして観客のボルテージを段階を踏んで上げていって、上がりきったところでフィニッシュ。といけないモノか?金本の自己満足にはうんざりだ。

 次期挑戦者決定戦。元々安田と健介の試合に何が期待できるというわけでは無いが、それにしてもここの所の安田のいらつきぶりは何なんだろう?この試合も全くやる気無く、ボイコット負けと言っても良い内容。安田の商品価値に見切りをつけた新日本体の、噛ませ犬的ポジションに安田が不満を持っているのだろうか?とにかく安田。大一番負け続けである(笑)。

 では本題のIWGPタッグタイトルマッチ蝶野天山組対西村中西組について触れていこう。この試合、実に異質だった。当然、全日ノアチックな60分フルタイムドローと言う結果も異質なのだが、それ以上に試合中盤、中西負傷後からの異様なテンション!リング上で何が起きたのか?リング下の問題なのか?とにかく雰囲気が全然通常の新日の試合と違うのだ。54分の枠の中で、余計な試合やインタビューを流したせいで、この試合の最初の30分は丸々カットである。だからそこまでの流れ、そこまでの攻撃は全く解らない。その30分にひょっとしたら、後半この異質な雰囲気になる原因のようなモノがあったのかも知れないが取り敢えず中西が負傷して控え室に戻るまでには、何もおかしな事は起こっていなかったように見えた。

 最初にスポーツ新聞で試合結果、60分フルタイムドローを見た時点では、「あぁ蝶野も全日ノア勢のプロレススタイルに驚異を抱いてるんだな」と思い、新日だってやれば出来ますよ的試合なんだろうと想像していた。そして30分戦った後に中西がジャーマンで、自ら足を痛めたシーンを見て、「ほら普段やり慣れないことするからだよ、60分なんて新日勢には無理なんだよ」「大体付け焼き刃のジャーマンで何がゴッチ直伝だよ?」なんても思っていた。だが中西が担がれ控え室に戻っても、レフリーは試合を止めない。通常のタイガー服部だったら絶対に勝手に止めていたはずだ。だが蝶野新体制はそんな長州体制のような中途半端なことはしなかった。

 突然何故か西村がリングシューズを脱ぎ、臨戦態勢を整えた。当然そこから一人で戦わなければいけない西村なのだが、もう顔が尋常じゃない。この辺りから明らかに通常の新日とは違う雰囲気が画面に漂い出す。中西がテーピングを終えてリングに帰ってきてからも、おかしな雰囲気は変わらない。なんだかみんながみんなで一杯一杯になってテンパっている状況なのだ。そんな状況だから中西のジャンピングニーは天山の鼻に炸裂、天山の鼻を砕き、鮮血がほとばしる。通常のプロレス的流血ではない。いわゆるボクシングなどの格闘技系の流血だ。これは全く尋常ではない。このキズで充分試合を止めることも出来たはずなのにレフリー田山は全く止めようとしない。この試合、あくまでも60分フルタイムやる事が前提となっているようだ。

 鼻をカットした天山のテンションも異様に上がっていく、西村との絡みでは金的を攻撃するも、西村もバカテンションになっていて、まったくリアクションをしない。何度と無く繰り返すが、効いてないモノには反応する必要はないとばかりに、あくまでもリアクションを拒否する西村。自分達のやって来た演劇プロレスをそうまで否定するか?と怒りの天山は、結局西村にマジ金的を入れて西村を撃退。さらに西村に垂直落下のブレンバスター(違うな。名前が出てこねーや)を放つ際には、手加減無しの首直撃落としを決めてみせる。

 一体どこからこんなおかしな事になったのだろう?いや、そりゃノア勢もスープレックスは結構危険な落とし方はしている。しているが、相手が受け身を取れないような落とし方はしない。この日のこの試合は、とにかく相手レスラーのことなんか考えていないような、殺伐とした雰囲気がリングに(特に西村と天山に)漂っていた。何故にここまでエスカレートした戦いになってしまったのか?こんな60分フルタイムドローが有って良いのだろうか?とにかく凄い試合だった。「やれば出来るじゃん新日」そんな軽々しい試合では無かった。どうして新日はこうも極端なのだろう?(苦笑)それにしてもこの試合。ノーカットとは言わないが、もう少し考えて放映して欲しかった。ここまでぶつ切れでなかったら、永久保存版間違い無しの試合である。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(6/10記)

 ノア対新日本交流戦、森嶋対吉江。GHCジュニア王座決定トーナメント決勝、金丸対ケンタ。

 華々しいんだか、ひっそりとなんだかは、それぞれ受け取る人の感覚によるが、ノア対新日の交流戦はしっかりと続いている。先のGHCタッグタイトルマッチで激突した、森嶋と吉江がシングルで対戦することとなった。いきなりのっけから入場に安田が出てくるハプニングで、ノアファンのハートをがっちりと掴んだ新日サイド。ただ、新日本体ではプロレスラーとしての価値の薄い安田を、対抗戦セメント要員に転向させた、と言うのが妥当な見方では無いだろうか?プロレスは下手くそでも、その馬力は大型選手がいるノア相手にはぴったりな存在であるから、新日フロントの判断は正しいと言え、今後のノア勢との絡みが楽しみである。

 で、肝心の試合の方はと言うと、やっぱりまた森嶋が吉江に引っ張って貰っていたという感じだ。まるっきりタイトルマッチの時と同じである。試合の流れ展開、大技を形良く決めてみせるのも、全て吉江のおかげで森嶋は助けられていた。新日内ではキャラクターに似合わず、トップを取ろうとして失敗した吉江だが、自分のポジションをしっかりと認識してからは、実によい試合をしている。相手の良さを最大限に引き出して、それでいて自分の必殺技はちゃんと放つ。で、試合結果は対戦相手に合わせる。完璧な中堅レスラーぶりである。プロレス団体、興行というモノはこういうレスラーの存在で旨く成り立っているのである。そんな吉江のプロレス巧者振りが良く出た試合だったと思う。

 今回は結果も吉江サイドが順当に勝たせて貰い、吉江、新日としても何も言うことは無かろう。敢えてあるとすれば、しょっぱい森嶋のせいでフィニッシュが綺麗に決まらなかったと言う事だろうか?本当どうしようもないよねぇ・・・裏拳怖くて避けちゃって腕に当たったのに、そのままフォール取られるかね?普通。いくらそれでフィニッシュって決まっていたにしても、あそこは一旦返して、それで再度吉江にゆだねるってのがスジだろう?いつまでたっても森嶋成長しねーなぁ・・・

 ジュニアトーナメント。ベルトは当然のように金丸の手に戻ってきた。順当である。今のノアでベルトを巻くにふさわしいキャラクターが有るのは金丸だけであろうから(結構スリンガー期待してたんだけどなぁ・・・)。まあケンタも筋肉増強剤のおかげで、なかなかなボディになり、元々あったセンスと合わせて、良いレスラーにはなってきたが、ライガーがちょこちょこちょっかいを出してくる現状では、ベルトを巻かせて貰えるような状況にはなるまい。なんと言っても同じような理由で橋誠はベルト返上させられているのだから。

 そんな中、小さいヘビー級の杉浦が、ジュニアベルトに興味を持ちだした。正しい選択である。身長がない杉浦は、どう転がってもヘビーではベルトは取れないわけだから、体重を落として(実際はチェックなんかしないんだし)、ジュニアのベルトを巻くのが正解であろう?あのパワーでジュニアだとしたら、これは驚異である。新日時代高岩がジュニア最強のパワーファイターのような言われ方をしていたが、杉浦がジュニアになったら、それ以上のスーパーパワーファイターの登場である。なんとワクワクする存在だろう!小川もジュニアベルトに興味を持ちだしたし、ようやくこの欄で言い続けてきた事をレスラー達が分かり始めた気がする。ヘビー級が最高なのではない。自分にあったカテゴリーで、自分をもっともアピール出来ることが最高なのである。


ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/20記)

 ル・マン24時間レースの為お休み。


プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(6/20記)

 ノア選手会主催興行。大森対秋山。

 ノーフィアーの解散を決定的にするきっかけとなった秋山と、ノーフィアー解散後はアメリカ遠征に出かける大森の同期入団対決。通常なら大盛り上がりの試合となる所だったのだが、選手会長秋山の発案で、選手会主催興行のシングルマッチは10分一本勝負となり、想像通り物足りない結末となってしまった。秋山の「初っぱなから全力で行く駆け引きの無い試合」と言う意図も分からなくもないが、久々のシングルでの大物同士の対決。じっくりと30分見たいと思うのがファンの心情であろう?それともこんなビッグな試合はタイトルが掛からないと本気ではやらないと言う事か?

 まあ時間が足りなかったせいで、物足りなかったのは物足りなかったのだが、今の状態で30分やったとしても、勝ったのは秋山の方だったと思う。試合後に大森が「秋山の勝ち」と言っていたが、その言葉と大森の表情が全てを表していた。今の大森は明らかに何かを見失ってしまっている。飛ぶ鳥を落とす勢いで向かうところ敵無しだったノーフィアー。そのノーフィアーの一員として突っ走っていた時は見せなかった、迷いのようなモノが今の大森からは感じられる。技にしてもドロップキック、ニードロップ、アックスボンバー。どれも大森のマックスからはほど遠い(唯一普段とは違う角度で放って見せたバックドロップだけはえぐかったが)。気の持ちようでこんなにも変わってしまうのだから、やっぱりプロレスもプロスポーツ。メンタル面が大きいと思わされた。

 思えば図体だけ立派でパッとしなかった大森が、ノーフィアーとして一皮むけて光り輝いたのも、そのメンタル面の成長が大きかったのだろう。今は何かを見失ってしまっている大森だが、アメリカ遠征で何かを掴んで、次世代ノアのトップとなるようなシングルプレイヤーになってくれる事を期待する。


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