過去の東野プロレス的
毒有りTVプロレス観戦記

すんごい文章量になったので字をかなり小さくしてみた。
ウェブ上で見ると目が痛くなるので、必ずコピーしてご贔屓のワープロソフト上で
拡大して見ることにしましょう。取り敢えず読み込み終わるまでは
エロページでも見てて時間を潰して下さい。


2003年下半期


今週の感想(7/2記)

 中西K-1参戦。今週は本来ならスーパージュニアについて語るべきなのかも知れない。それとも村上対エンセンだろうか?だがそれよりもやはり中西だろう・・・K-1は確実にプロレスへの道を歩んでいる。守銭奴石井館長がW-1でプロレスに対する熱い思いを語った時から、こうなる事は目に見えていたのかも知れない。大巨人シウバがマウントポジションで武蔵を失神させたシーンなんか、実に面白かった。角田はシウバのK-1追放を宣言したが、何を言っているのだ?と言う感じである。目の前に金の卵が転がっているのに、どうしてそれをドブに捨てるような事をするのだ?K-1はプロレスとは違い、真剣勝負の格闘技だとでも言いたいのだろうか?だとしたら、現状の総合格闘技に進出した、プロレスとも試合をするK-1はどうなのだろう?

 日本人のK-1ファイターが育たなく、その替わりとして日本人に愛されたフグも無く。そんな状況ではK-1が先細りするのは、誰でも想像できることだ。その為に、石井館長は外に打って出たわけだ。外に出ることによって、K-1のブランドイメージを高め、マンネリ気味のK-1の興行に活気を取り戻そうとしたわけだ。その思惑は現状では成功していると言えよう。ただ、W-1の対談でのプロレスへの提案のレベルが低かったのでも解るように、石井館長の仕掛けは稚拙である。現在の状況で、どれほど館長の意向が残っているのかは解らないが、サップ対ジャパン軍?何なんだろう?これ???対して結びつきの無い選手を無理矢理二つに分けて、それぞれをサップと角田が仕切る。で、その角田は統括委員長だかなんなんだかなのだからおかしな話である。プロレスでもこんな筋の通らない話はあんまり無い。

 話が大きく脱線してしまったので元に戻す。そんな総合格闘技、プロレスにも手を染めて、なんとか延命を計っているK-1は、新日本プロレス中西にオファーを出した。そしてまんまと中西はそれに乗ってしまったわけだ。いや、中西が男なのは充分に解っている。だけど中西あまりにも酷かった。まぁ何にもしていないアマレス出身のプロレスラーが、わずか数ヶ月で、立ち技の試合に挑むんだから、こんな試合結果になるのは想像がついた。だけど今週のワープロを見てちょいと呆れた。「心さえ折れなかったら闘える」そんな事を言っているのである。何を言ってるのだ?お前が向かうリングは倒れて10秒立てなかったら負けなんだぞ?そんな良く解らない精神論だからあんな試合をしてしまうわけである。

 過去プロレスラーが総合格闘技や立ち技の試合に進出すると、大抵技術的についていけず惨敗する羽目になる。そんな試合をファンは何度も見せられてきた。いや、確かにどちらかが死ぬまでやるのだとしたら、最後に勝つのはプロレスラーだと今でも思っている。だけどスポーツにはルールが有るのである。10秒立てなかったら負けなのである。レフリーがヤバイと思って止めたら負けなのである。そう言うスポーツに乗り込んでいくのだからそれなりの対策をしていくべきなのに、なぜ中西は受けた?いや中西は受けるだろう。バカだからだ(誉め言葉)。でなぜフロントは止めなかった?またプロレスラーが無惨に散って、K-1>プロレスの片棒を担ぐ事になると解っているのに。

 中西のパンチはミッキーロークばりのスローな猫パンチだった。プロレスラーなりのタフさの証明「殴られていても倒れない」そんな事も相手がこの巨漢では通用しなかった。いつも以上にプロレスラーは何も出来ずに散っていった。この試合の意味は何なんだろう?この先中西が、K-1も突き詰めていくのだとしたら、第一歩はどんな結果でも良いだろう。だが有っても後1.2戦の参加だろう?そしてその1.2戦でも満足な戦いは出来ないだろう?だったら何故やらす。中西にとっての糧にはなるかも知れない。だがそれ以上にプロレスにとっては大きな痛手となってしまうのだ。

 猪木は高田がグレーシーに負けた時に「一番弱い奴が出ていった」と言い放った。その猪木が今度は、一番プロレスしか出来ない弱い奴を出しているのだから、何をかいわんやという感じである。プロレスラーが負けるのはもう見飽きた。パンチもキックも出来ない奴をなぜ送り出す?送り出すのならもう少しモノになってからにして欲しい。ゴッチに数日会っただけで、ジャーマンを伝授された気になったり、数ヶ月バーネットと練習しただけで立ち技マスターした気になる。中西はバカなんだから(誉め言葉)誰かが止めてやってくれ(苦笑)。


今週の感想(7/11記)

 今週もワープロはやっちゃいました。IWGPタッグ選手権。もの凄く昔の試合を今頃やるのはともかく、26分にわたる熱闘をあれっぽっちのダイジェストにまとめ上げるとは・・・何度も言うがこのワープロの姿勢が、バカ新日ファンを、バカプロレスファンを増やしているという事に気づくべきだ。ダイジェストでやると当然大技中心の映像になる、そして試合の流れよりも結果が優先になってしまうのである。スポーツというモノは何でもそうだが、特にプロレスは結果より経過を楽しむべきスポーツなのである。今でこそほとんど両者リングアウトや、反則負けは無くなったが、昔は大物同士の対戦は大概うやむやに終わったモノだ。だがその結果には不満を抱きつつも、観客は試合経過を楽しみ、試合経過によって優劣を判断したモノだった。

 だが今のプロレスファン、特に新日バカファンは、結果ばかりで判断する。それを助長したのが長州時代の新日とワープロだ。タイトルマッチだというのに10分少々でカタをつけてしまい、試合後負けた選手も涼しい顔をしている。試合内容ではなく、結果のみを重視したからそんな試合になってしまっていたわけだ。幸い長州離脱後(その離脱した長州が、試合内容で勝負する団体を運営してるのだからおかしな話だが)、蝶野新日は試合内容重視に転換しつつある。が、今だワープロは長州時代の悪しき慣習のままの中継を続けている。レスラーの凄さ、プロレスの奥深さをバカファンに解らす為には、試合をじっくりと見せる事こそが一番なのである。以前ならともかく、今の新日レスラーはキチンとした試合もしている。「有料放送にマニアは流そう」なんて企んでいると、一般ファンがどんどんバカ化して手に負えなくなるぞ・・・

 先週書いたように中西は惨敗だったわけだが(惨敗が解っていて、ああ言う構成にしたテレ朝の品位を疑うが)、今更「足を痛めてました」なんて言う言い訳が漂ってきた(苦笑)。高田対ヒクソンの時も似たような話があった。が、あれはその試合が無いと興行が成り立たないようなカードだった。だが、今回の中西戦は回避しようと思えば出来たわけで、それをしなかったと言う事は試合は出来たというわけだから、言い訳のしようがないことだと思う(中西が言い訳をしているわけではないが)。つーか例え完調の中西だったとしても、あんな猫パンチやプロレスキックを出してる段階で、全く勝ちはあり得ないと思う。なのに上井はまだやると言う(笑)。やるのは良いがもうちょっと闘える目処がたってからにして欲しい。何故中西にゴーを出したのか未だに理解できないし・・・エースが惨敗したダメージをどう取り返すつもりなんだろう?

 いや「エースが惨敗したんだから後の連中も気楽にやれよ」って言うのなら理解できるけど・・・


今週の感想(7/16記)

 今週もまだ先シリーズのベストオブスーパージュニアシリーズの放送・・・そんな中ちょいと楽しみだったライガー対えべイガーのタッグが、割合じっくりと放送されたのが収穫だった。通常ならダイジェストでドンドン端折っちゃうのに、こういうシリーズとシリーズの谷間の放送では、随分余裕を持った放送をするのだから考え物である。今週1週間分時間が余るのなら、もう少しその前の放送をキチンと出来ないのだろうか?

 で、なんと言っても今回のベストオブスーパージュニアは、えべっさんと杉浦な訳で、その二人がタッグを組んで、ジュニア最強のライガー金本と試合をするなんて、なんともファンタジーな展開と言えるだろう。試合は入場前からネタ満載で実に面白かった。ライガーも金本も自分のキャラを替えること無く、上手く試合を展開していたように思う。だが残念なのが放送席の見解である。せっかく場内もレスラー同士も楽しんでいたのに、何的はずれなコメントをしているんだか?「こういうスタイルは好きではありませんが」って健悟!お前、ストロングスタイルでも大した試合できなかったクセに、ちょぃと空気読めなさすぎじゃないか?(だから大した試合出来なかったのか(笑))こんな楽しい試合をどうしてそういうコメントで冷めさすのか?そう言う方向に振ったアナもアナだが、乗る健悟も健悟だ。良い年してもうちょっとワビサビわからんかな?健悟よ。

 もう一つの注目は永田対柴田だ。魔界4号から覆面を取って「柴田勝頼」で勝負しようと言うのは非常に良い。良いのだけど矛先が違うと思うんだなぁ・・・今永田と絡んでどうするんだよ?敵う訳が無いだろ?現にデカイ事言って挑んだこの試合。魔界に助けて貰ってのリングアウト勝ち。恥ずかしすぎる・・・何だったんだ試合前のあのビッグマウスは?多少永田はムッとさせたにしても、それだけで良いのか?全然怖い永田なんて出きってなかったぞ?むしろ出る直前に場外でゴタゴタして逃げちゃったと言う感じだ。デカイ口を叩くんだったら、負けても良いから、のされても良いから、真正面から向かっていって玉砕すべきだろう?そういう試合をやってこそファンは認めてついてくるのだ。なのにこんな試合では呆れこそすれ誰も応援なんかしないだろう。

 話は最初に戻るが、大体永田をターゲットにしたと言うのが理解できない。永田が相手ではそう何度も試合を組んで貰えないだろう(なのに↑こんな試合だし)?それでは名勝負は展開していけないのだ・・・そう、やはり柴田が噛みつくべき相手は最初の設定通り、中邑で有るべきだろう。恵まれた体格でエリート街道を進む中邑に、2世レスラーでありながらも、いまいち陽の当たらない小柄な柴田。この柴田が中邑に噛みついて、ガンガンやるのが新世代新日を感じさせて盛り上がる展開だろう?柴田とガンガンやる事により中邑の拙いプロレスもマシになっていくだろうし、これが名勝負になれば、トップが中邑世代になった時のドル箱カードになるかもしれない(そうなるには柴田が小さすぎるか)。

 大体今の若い連中は、すぐに世代交代を仕掛けすぎである。20代の今、プロレスのいろはも解っていないのにトップについて、いったいどんな団体運営をするつもりなのだ?自分に力もないのに、すぐ上にだけは挑戦したがる。また上やフロントもどうしてそれを軽々しく受けるかな?本当にシナリオライターの才能の無さを痛感する。とにかく、まず同世代同士で名勝負を繰り広げるべきなのである。そしてその名勝負が後に世代闘争の際の共闘へ繋がり、世代越えを果たした後は、共闘した仲間で再びトップを争えばいいのである。こんな事ジャンプ読んでりゃ解るだろ?


今週の感想(7/24記)

 GHCタッグタイトルマッチ。小橋本田組対高山真壁組。

 この欄をご覧になっている方は重々承知かと思うが、筆者は真壁をあまり認めていない。180センチでヘビー級というのが最大の要因である。この180センチという身長は事実上ヘビー級の最下限と言え、いわば一番小さいヘビー級な訳である。つまり他の選手は基本的にみんな自分より大きいわけで、そんな中でやっていくには相当の運動能力がないと厳しいわけだ。当然2メータークラスのスーパーヘビー級と闘うことも有るわけで、そう言う選手に当たり負けしないようにするには、必然的に体重を増やさなければいけなくて、結果動きが悪くなると言う悪循環にも陥ってしまう。つまり相当に優れた身体能力を持つ選手でない限り、180センチのヘビー級選手は一番弱いヘビー級の選手になる可能性が高いのである。ボクシングでも何でもそうだが、階級のある格闘技は基本的に体重を絞って下の階級で勝負するモノである。当然真壁もジュニアで勝負するべきなのだ。ジュニアで180センチオーバーなら当然大きい方の選手に含まれる。ヘビーでは最小だったモノが、ジュニアでは恵まれた体格になるわけだ。そんな訳で筆者は180そこそこでヘビーになろうと言う、おバカさんレスラー達をほぼ一律で認めていない。真壁も当然その一人な訳だ。

 さらに真壁の許せないのは、格を考えた行動をしていないと言う事だ。新日を飛び出して他団体に出撃するのは良い、それぐらいしないと小さなヘビー級は目立たないし、インディーに行った方が体格的に負けない可能性も高いからだ。だがノアのそれもトップに噛みつくというのはどうだろう?格というモノがあるだろ?筆者は古いプロレスファンなので、結構この格というモノを重要視する。格の合わない相手と闘うと言う事は、基本的に格上の選手側の丸損になるわけである。負ければ恥をかくし、勝っても所詮格が違うのだから名勝負とは言われない。そんな訳で、今回もノア側、小橋側とも、このタイトルマッチを組まないで欲しかったと言うのが正直な感想である。

 だが真壁は上手くやった。何故だか高山に大いに気に入られ、見事タッグタイトルマッチのパートナーに滑り込む事に成功した。真壁というプロレスラーは全く認めないが、真壁という男は認めても良いと言う気はしてきた。この男の自己プロデュース能力は年々長けてきている。大した体格でもなく、大した技が有るわけでもなく、対して強いわけでもないこのプロレスラーを、まがりなりにもメジャー団体のトップ近辺で試合させるには、並大抵のプロデュースの仕方では駄目だろう?だが真壁という男はそれをやってのけている。

 この試合を見ていて一番感じたのは、真壁の「顔」である。実に良いヒールの顔になってきている。正直街で会ったらビビルと思う。いや、高山とかと会ってもビビリはするだろうが、高山辺りだとビビルより嬉しさの方が上回ると思う。だが今の真壁はヤバイ。本当に気が向かなきゃ、素人でもぶっとぱしそうな嫌〜な雰囲気が顔からあふれ出ている。そう言う場面ではなまじ一般人と背丈が変わらないだけ怖い(笑)。昨今こんなに悪い顔したヒールってあんまり見かけなかった。ノアには基本的にヒールは居ない。それを考えるとノアに戦場を選んだ真壁の嗅覚。やはり見逃すことは出来ない。とにかくこの「顔」この顔がある限り、真壁はもう少し喰えるんだろうと思う。

 身長が足りなくて、技も物足りない。だったら生き残る道は当然スーパーヒール。進むべき道は決まった。「リングを降りたら良い人」そんな昨今のヒール像をぬぐい去る、24時間365日ヒールを目指して貰いたい。その為にはファイトスタイルをもう少しえげつなくする必要がある。ストロングスタイルの臭いが漂っている現状ではちと物足りない。新日会場と違い、自分でカッティングしたこのタイトルマッチでは、流血の量もちと少なすぎたのでは無いだろうか(笑)?


今週の感想(8/1記)

 GHCジュニアタッグ王者決定戦、丸藤ケンタ組対ライガー村浜組。

 まぁノア主催だから当然っちゃー当然だけど、丸藤ケンタ組が見事に初代GHCジュニアタッグチャンピオンになった。試合自体も最後は丸藤が幻の(だってライガー自身はもう出来ないでしょ?)シューティングスタープレスで決めるという何とも、丸藤様々試合だったと思う。ただこの欄で何度も書いているが、丸藤の「ノアジュニアは最強です。」発言を筆者はノアファンで有りながら好ましく思っていない。誰がどう考えても新日ジュニアの方がグレードの高い試合を連発していると思うし(面白いかと言われると微妙だが)、個々のレスラーの力量で考えても、新日と張り合える程度のレベルはあるにしても、勝てるほどのレスラーがノアに何人居るだろう?

 なのに丸藤はああ言う発言をしてしまった。レベルが下の人間が上に噛みつくにはある程度仕方のないアピールだとは思うが、それがまたノアファンからしてみれば、自分達から下だと認める必要もないのでは?と思うのだ。ややこしい話だが、「最強です」とアピールしたと言う事は、自分達が乗り越えなきゃいけない存在として、新日を認めていると言う事だと思うのだ。それを怪我で休んでいた人間に言って欲しくない。そう言う思いも、筆者が丸藤発言を認めたくない原因なのである。さらに、丸藤のセンスを筆者は大いに認めるが、丸藤=強い。と言う風にはどうしても思えないのだ、線の細い体はどうしたって相手の攻撃を受ける際にダメージが蓄積されてしまうだろう、打撃系の技も大したモノを持っているわけでは無い。関節技にしても飛び抜けた技術があるように見えない。飛んだり跳ねたり。そう、丸藤というレスラーは「けれん味」だけで存在しているレスラーだと言えるだろう。そんな丸藤が「最強」等と強さを語るのがおかしくて仕方がないのだ。

 で、この試合も結局はそんな「けれん味」丸藤を引き立たせる為に存在した試合であった。どう考えても強いのはライガー村浜組である。なのにライガー達はその「強さ」を証明することをしなかった。ライガーで有ればいくらでも証明する方法はあったであろう。だがライガーは自分達の強さを証明するより、今後のノアとの関係を選択した。「最強です」と言った強くない丸藤が政治力で勝ち、「何が最強だ?」と憤っていたライガーが自分達の強さを証明しない。こんな表面だけの罵り合いなんか見ていても全く面白くない。ノア対新日ジュニアの対抗戦には、取るか取られるかの緊迫感が希薄である。「取るか取られるか」をやる気がないのだとしたら、「最強です」発言のようなアングルは控えるべきだろう?

 丸藤が復帰する前の、菊地金丸組との試合の方が遙かに緊迫感があって面白い試合だった。丸藤中心お飾りのノアジュニアでは、先行き暗いと筆者は考える。


今週の感想(8/7記)

 IWGPタイトルマッチ高山対蝶野戦。さてなんだか久々の感のある新日である。だが今週は好カード目白押しの月寒大会。放送もダイジェスト的なのはいつも通りにしてもなかなか楽しめる内容だったと思う(だけどやっぱり高山対蝶野はノーカットに近い放送にして貰いたかった)。

 ヒザを故障していた蝶野がいきなり高山相手のタイトルマッチ。どう考えても無理だらけである。元々下り坂を必死に転げ落ちないように踏ん張っている蝶野と、レスラー人生のピークにいるだろう高山なのだから、蝶野が無傷であったとしても説得力有る勝ちを奪うのは難しい状況である。それなのに蝶野は「これで取れなかったらベルト挑戦は最後」的発言までしてしまう。今までの新日ワールドでは、これは=蝶野ベルト奪回と言う流れになってしまい、ますます説得力有る闘いにするのが不可能になり、プロレスの試合に説得力を求める筆者としてはげんなりな流れに、試合開始前はなっていた。

 だがさすが蝶野である。バカ長州(そのままの意味)やバカ橋本(誉め言葉)とは訳が違った。腹も弛みきった最悪のコンディションの中、タイトルマッチとして充分成立する内容の試合を組み立てて見せたのである。なんと言ってもそのキーは、ヒザの補助具の使い方である。ラッシャー木村がギプスで攻撃したように(笑)、蝶野も見事にこれを攻撃の中心に展開する。いつも通り場外で高山が流血したのはあれだが、これによってある種「同情的目」で蝶野を見ていた場内の雰囲気が一変する。えげつないまでの卑怯さが試合をハンデ戦的に見ていた観客の目を変えたのだ。

 高山もそれに呼応するかのようにハードな戦いを繰り広げる。高山が今現在トップで君臨できるのは、こういう試合で相手に同情したような手抜き試合を見せない点である。実際に相手にどれぐらいダメージを与えているかは素人目に判断できないが、少なくとも素人が見る分にはどんな相手にもほぼマックスで攻め込んでいるように見える。とてつもなく技術の高い「寸止め」が出来ていると言えよう。さらに蝶野が散々ヒザの凶器で高山を攻めた頃、怒りに震えながら蝶野のリングタイツを破り、ヒザの補助具の存在を場内にさらけ出す。タイミング、シチュエーション共に満点である。本当に高山はプロレスが解っていてプロレスが旨い。

 そんな試合のフィニッシュはまさかまさかの「寺西スーパージャーマン」であった。たぶん偶然だとは思うが、そこまで解っていてやったのだとしたら、本当に高山恐ろしい男である(笑)。

 ※「寺西スーパージャーマン」ジャーマンスープレックスを叩きつける際、相手とほぼ同時に自分も後頭部を打ってしまい、ダブルノックダウンに陥る必殺技。絶対に負けないが勝ちも無いという寺西らしい不思議技。発展系に「寺西スーパージャーマンスープレックスホールド」と言うモノもあり、後頭部を打ったショックでブリッジが維持出来なくなり、自分も両肩をついてしまい、これまた両者スリーカウントを奪われ、両者引き分けになる不思議技。


今週の感想(8/21記)

 G1クライマックス!日曜早朝(土曜深夜?)日曜昼に、合わせて3時間半の大プロレスデー(笑)。でまぁ全体の印象としては、稚拙なシナリオを天山が救ったって感じだろうか?

 しばらく前の新日レスラーが体たらくだった時代も、年に一度だけ本気で試合をするのがこのG1 だった。タイトルマッチでさえ10分程度で終わらせて、さっさと飲みに行ってしまう新日レスラーが、年に一度だけフルタイムで闘ってしまったりするのもこのG1の場だけだった。それ程までに新日の選手にとってG1と言うのは特別なシリーズな訳である。時代は変わり蝶野政権になってから、新日のレスラーもキチンと試合を組み立て、見せるようになった。レギュラーでちゃんとした試合をやる今の新日の選手が、今年のG1ではどんな凄い試合を見せてくれるのか、ノア秋山参戦と併せて、かなり期待して筆者はテレビに向かったのだった。

 だが選手の頑張りとは裏腹に、あまりにもシナリオが稚拙であった。タッグのベルトを失い、レスラーとしての岐路に立たされた天山。カナダで短期合宿を行い、赤のタイツにヒゲとイメージチェンジしてこのG1に挑んだ(個人的には襟足のバカ毛を切った事を大いに評価したい(笑))。その天山が開幕2連敗!予選通過すら危うくなったしまった・・・がっくりである。今時こんな解りやすいシナリオ、学芸会でも採用しないだろう?コスチュームチェンジ。開幕連敗。この段階で天山が決勝まで残る事は誰もが想像ついたと思う。で、決勝のもう一つの枠はノアから参戦している秋山なのは、これまた誰もが解っていたことだ。つまり、決勝カードが解っているのにG1参加レスラー達は延々、説得力を持たす戦いをやらされる羽目になってしまったのだ。

 そんな中、高山は明らかにコンディションが悪かった。格の違いで試合はそれなりにこなして見せていたが、体の張りも無く、ニーとジャーマンに頼る試合運びは(編集でそう見えただけかも知れないが)、素人はともかくプロレスマニアには納得できる内容では無かったと思う。しかしこのコンディションの悪さが、高山敗退の説得力となるのだから「天山対秋山」にとっては幸いだった。後は永田、西村、安田、蝶野とプロレスに理解の深いレスラー達なので、今年の決勝が誰と誰になるべきかと言う事は良く解っていたようだ。

 と言うわけで8.17予定調和の決勝戦が行われたわけである。秋山は「G1制覇」を誓って参戦している。だが常識的に考えて他団体の輩に、そう簡単にタイトルを取らせるわけには行かない。新日側も色々と考えたであろう。説得力を持たせて天山に勝たすにはどうすべきであるか?と。だがコトはそんなに難しくないのである。筆者からすれば「一番弱い奴が出ていった」それがノアからの秋山参戦の印象である。確かに秋山もノアのエースだと言える。だが三沢、小橋の化け物級に比べれば、秋山はまだ常識的レスラーの範ちゅうである。新日ファンの目で見ても「天山対三沢」「天山対小橋」では天山に分が悪いのは明かだろう?だが「天山対秋山」なら、どうにかなるんじゃないのか?そう思わないだろうか。

 何より秋山は試合の組立でプロレスを見せるレスラーである。びっくりするような体も無ければ、びっくりするような大技も無い。さらにびっくりするような「受け」も無いわけである。馬力命の天山にとってこれほど組みやすい相手も居ないだろう?さらに秋山は予選で肋骨を痛めてしまう。これにより天山はより説得力有る「勝ち」を掴むことが可能となった。後はいかに観客をヒートさせれるか?それだけが天山の課題となったわけだ。珍しくじっくりと決勝戦を見せたテレ朝の姿勢も評価したい。いつも通り無駄な所もあったが、日曜の昼に、プロレスを通常見ない人に見せるには、あの程度の演出は仕方ないだろう・・・何より決勝戦をじっくりと見せたことによって、天山の良さが画面からしっかりと伝わってきたわけだから大いに評価したい。

 この試合を組み立てていたのは完全に天山だった。小島という単細胞をうまく操り、蝶野という親分を引き立てて、天山は長い間タッグ屋をやって来た。その間に身につけた経験がこの一戦で良く出ていたと思う。肋骨を痛めて覇気の無い秋山相手に、観客を盛り上がらせ、30分戦いきる事はなかなか出来ることではない。だけど天山は見事にそれをやりきり、かつ秋山の価値も下げなかった。まさにこの欄でよく言う「プロフェッショナルレスラー」の仕事だったと思う。いかんせん体型ルックス的に、新日のエースにはなれないだろうが、永田中西の対抗馬として、つねに天山が居る。そんな新日のシングル戦線は厚みがあって面白かろう(西村もな)。他団体との対抗戦を必要としない、4大エースの抗争なんかも見てみたい気がする、そんな天山の頑張りだった。


今週の感想(9/3記)

 ノアGHCヘビー級選手権、小橋対バイソン。平成の名勝負製造器小橋建太。基本的に相手にそれなりの体力があれば、今の小橋はどんな相手でもそれなりの試合に仕上げることが出来る。だから相手がバイソン・スミスと言う今回も、ファンは試合結果云々より(小橋が勝つ事は解りきっているし)、純粋に小橋がどうバイソンの魅力を引き出すかに注目していたと思う。

 結論として。良い試合だった!さすが小橋であるし、大健闘バイソンである。ノアを生で見ているファンには当然の評価だろうが、バイソンはかなり良い選手である。ただ残念ながらノアの興行は日本人選手中心の戦いになっているし、テレビの放送なんかも、外人選手なんか最初っから居ないような放送である。これではバイソンの良さが一般ファンには全く伝わらないのである。そう言う状況を打破する意味での今回のタイトルマッチだったとも言えるのだが、それにしても事前の紹介というか、あおりが全然無かったのが悔やまれる。ノアの至宝GHCのベルトに挑戦するのである。だったらやっぱり日テレはバイソンをもう少しクローズアップすべきだったと思う。調印式でのアイアンクロースラムだけで、バイソンの良さを解れというのだろうか?他団体で行われたリーグ戦の感想なんて秋山に語らせるより、今シリーズのバイソンの動きをフォローしとくべきだったのではないだろうか?確かにこの試合だけを見ても、バイソンの良さ、凄さは充分に伝わってくるが、やはりタイトルマッチは事前の駆け引きを踏まえて見てみたいモノだと思う。小川のGHC挑戦の時はあれほどピックアップしておいて、今回のバイソンの扱いの低さはどうだろう?

 ベイダー離脱後、ノアの外人トップはひょっとしてスコーピオ?(笑)なんて言う体たらくであった。三沢としてもそんな現状は打破したかったのだろう、それが今回のバイソンの抜擢になったわけだが、バイソンはそれに充分答えたと思う。日本人選手ならともかく、外人選手で小橋のあのえげつないまでの大技ラッシュを受け続けるのは、精神的にキツイと思う。新日トップのノートンならさっさと途中でスリーカウント喰らっていたと思う。でもバイソンは全て受けきって見せた。あまりの急角度に鼻血がぶしーっと出ても、最後のラリアットまで綺麗に喰らって見せた。それが小橋のスタイルであり、ノアなんだと。それをノアのファンは、日本のファンは見に来ている。そう言うことを全て理解していたのだと思う。だから全部受けて見せた。

 バイソンはこれから大きく化けるだろう。ノートン程度でトップ外人になれるのである。あれだけ相手の技を受けれて、そして自分にも多くの大技がある。ただの筋肉お化けではないクレバーな頭もある。バイソンをスター選手に育て上げるのが、ノアにとって、三沢にとって必須だと思う。何年か後に、武道館で小橋を敗ってチャンピオンになった時、場内を割れんばかりのバイソンコールが包む。そんな感動的なシーンを生み出せる、日本人に愛される外人レスラーだと思う。バイソン・スミス注目していて損はないレスラーだ。

 あ、でもアイアンクローは説得力無いからやめた方がいいような気が・・・


今週の感想(9/12記)

 今週はやはり「坂口!」だろう?蝶野対高山の金網デスマッチも確かに興味はそそられたが、エスケープゾーンまで囲われたあんな広い空間では、金網デスマッチ独特の雰囲気は薄れてしまうし、なによりなんだよあの一つ一つのマスの大きさは?昨今の網タイツじゃねーんだから・・・なんかあれじゃあただ見にくいだけのタイトルマッチって感じで盛り上がりに欠けるのも肯ける。あんなので金網デスマッチなんて言っていたら、国際のラッシャーさんに笑われるってモンだ。

 そもそも、誰がどう考えても現在の高山に蝶野が敵うわけがない。蝶野の体調がそんなに良くないこともあるが(それを言えばこの8月の高山のコンディションもすこぶる悪かったと思う)、体調が良くても、年齢、体格を考えると、事前に打ち合わせが出来てのスモールパッケージとかでない限り、まず蝶野が説得力有る勝ちを収めるのは難しかろう?だのに蝶野がこうまでも高山にぶつかっていったのは、やられっぱなしの新日勢に対して、新日トップの蝶野が「気合い」を示して見せたのがこの2連戦なのだと思う。レスラーとして下り坂に入りかけている蝶野が、上り坂で有るはずなのに不甲斐ない、現在の新日勢にカツを入れるための戦ったわけだ。早速天山が名乗りを上げたが、それにしても高山は高い壁である。生半可の覚悟では、対高山で説得力のある勝ちは難しかろう・・・現状新日トップレスラーで、高山相手に無理なく勝てるのは、西村だけだと思うのだが、それに新日フロントもファンも気づいていないのが痛い(笑)。

 そんなわけで一応KOされた蝶野の救出に坂口がリングに上がった。タイトルマッチ宣言では無く、戦うためにリングインしたわけだ!。坂口が数年前から体を鍛えていると言う事は公然の事実だった。「いつ猪木さんに言われても良いように体を作ってる」そんな風にうそぶいたりもしていた。だから当然今年のGW、OBプロレスに坂口も参加するモノとばかり思っていた。なのに坂口は試合に参加しなかった。今参加しないでいつその体を披露するのだ?と思ったものだが、まさかここで対高山戦秘密兵器として拝めるとは思わなかった!!引退したレスラーの復帰に関しては、筆者は基本的に否定派である。だけどデカイレスラーがまた見れるのなら、デカイレスラー好きとしては肯定したい。全然動けないだろうし、打撃なんか受けに行ったらおじぃちゃんなんだからヤバイとは思う。でもどうせ昔も、ジャンピングニーとアトミックドロップしか出して無かったんだから見栄えは変わらなかろう?(笑)とにかく坂口が動いている姿がまた見れる。それだけで幸せなのである。


今週の感想(9/18記)

 GHCヘビー級選手権、小橋対永田。WLW世界ヘビー級選手権、ハリス対森嶋。まあ正直どちらの試合もやる前から結果は決まっていたと思う。となるといつものごとく大切なのは、試合内容である。いかに説得力があるか?いかに観客を沸かすことが出来るか?それが総合格闘家とは違う、プロレスラーの腕の見せ所なのである。

 まず森嶋の試合から触れたい。この試合、このベルトは多分行って来いである。近いうちに森嶋はアメリカに出かけ、ベルトを奪われることになると思う(笑)。まぁ古くから行って来いなんて事は良くあった話なので、今更ガタガタ言うつもりはないが、注目すべき事は森嶋程度のキャリアのレスラーに、ハーリーレイスが自団体のベルトを、自団体のエースから取らせたと言う事だろう。それ程までにアメリカでのコアなプロレスファンの「ノア」幻想が高いと言えると思う。当然ハーリーレイスもその名声を利用して、コアな団体として生き残って行くつもりで、そこら辺りが森嶋にハクをつけさせたいノアと利害が一致してのタイトルマッチだった訳だ。猪木のNWFのベルトにしたって、元々は大したベルトではなかったのである。要はいかにして名勝負を繰り広げ、そのベルトをファンに認知させるかで、ベルトの価値は決まって、作られていくのである。ただそう言う意味ではこの二人の試合はどうだったのだろう?珍しく日テレにしては流れを無視した編集で、全くどんな試合か把握できなかった。何故森嶋が反撃に出られて、何故勝つことが出来たのか全く解らない。もし試合もこんな唐突な流れだったとしたら、ちょいといただけないと思う。

 で、小橋対永田である。試合内容云々より試合後の永田の余裕ぶりが非常に気になった。いや余裕と言っても、よく筆者がこの欄で昔から書いていた「新日レスラーのタイトルマッチ後の余裕」とは別の種類のモノなのである。あれは、大した試合もせずに大技だけ出して、10分少々で片を付けていた手抜きレスリングだから余裕が有ったわけである。だが、この試合は30分を越える熱闘、試合終盤にはバカみたいにハーフネルソンスープレックスを喰らって見せている。なのに永田の試合後の表情には余裕が有ったのである。果たしてこのインタビューが試合後どれぐらい経ってのモノなのかは解らないが、画面の雰囲気を見る限りはそんなに経っていないように感じられた。だとしたら永田の体力はちと化け物じみていないだろうか?

 映像を見ても解るように、上背はともかく、その体の厚みの差は永田と小橋では圧倒的である。個人的には小橋はちょっとオーバーウェイト気味にも見えるのだが、あれだけ動けているのだから本人的にはベストなのだろう。その小橋の日本人離れした体格から、繰り出される数々の技を永田は日本人らしい体格で全て受けきって見せたわけである。秋山ですら小橋、三沢とはあまりやりたがらないのに、秋山より遙かに体の小さい永田は見事に小橋の技を受けて見せているのである。これはちょっと驚異的ですら有ると思う。筆者はノア勢が「おれはこんなに急角度で投げられても平気よーん」なのは、受け身の巧さと共にそのがっしりとした体格に有ると思っていた。なのにあの細い体の(対ノア比)永田が、こうまで試合後余裕が有ると言うことは驚きである。

 昨今新日勢、ノア勢共に、外に出て戦う事にやりがいを感じている選手が多い。それにはそれぞれの理由付けが有るのだろうが、この永田の化け物じみた耐久力は、外に出たからこそ身に付いたモノだと思う。新日内での戦いでは、重量級の相手が少ない事もあるし、何よりファイトスタイルに「相手の技を受けずにダメージを少なくして勝つ」と言うモノがしつこく根付いている(格闘技としてはそれが正しいわけだが、それに特化するとU勢のように受け弱くなってしまう)為、ここまでの耐久力は必要ない。そこら辺りを自分の弱点だと感じ、永田は外に出たわけだ。そして自分の能力を外のレベルに見事合わせて見せたわけだ。これは凄いことである。井の中の蛙で、全日レスラーの化け物じみた体力に、しっぽ巻いて逃げた長州とは大違いである。

 今まで永田の弱点は、その体の小ささだと思っていた。頭、テクニック共に新日のエースたる資格充分だと思っていたが、ジュニアに毛が生えた程度の体格に、新日の悪しき伝統を感じてしまっていたのだ。だが永田にこの打たれ強さがあれば、何も文句は言うまい。猪木や三沢のように、受けて受けて最終的に自分が勝つ。そう言うプロレスファン好きのするエースになって欲しいと思う。耐久力の付いた永田に、また中西は置いて行かれるわけである(笑)。


今週の感想(9/23記)

 坂口征二復帰戦。坂口蝶野組対高山真壁組。いやはや遂に坂口復帰である。雑誌媒体では割合好意的に試合内容が書いてあったのだが(そうでもない?)、そこはそれ自分の目で確認しないことには落ち着かない。放送を今か今かと待ちわびたわけである(その間に肋骨骨折の情報入る(笑))。

 そもそも今回の対戦相手は何故高山なのだろう?いや、金網デスマッチの蝶野戦の流れで復帰なんて事は解っている。そう言う意味ではなくて、金網デスマッチがああ言う流れになったのも坂口の復帰が前提な訳で、つまり最初に坂口対高山という図式が決まっていた動機づけが知りたいわけである。常識的に考えて、新日マット上で一番強い高山と61歳のおじいちゃんが試合をやって敵うわけがないのである。そんな事しないで、適当なジュニア上がりのヘビー級と試合をやらせておけば、坂口もこんなに苦労しないですんだのでは?と言う話である。それとも坂口復帰が前提ではなく、高山の対戦相手として体格負けしない相手を探していったら、坂口にぶち当たったとでも言うのだろうか?

 いや坂口よく動けていたと思うよ。ほらこっちの基準は馬場さんの61歳だから(笑)。それに比べれば遥かに体のキレも良かったし、相手の技も本気で受け止めていたと思う(だから肋骨骨折)。でも真壁とやっている時と高山とやっている時を比べると、高山とやっている時はもう一杯一杯。坂口的にはその姿を、今の新日勢に見て貰いたかったんだろうけど、個人的には真壁をドッカンドッカン投げて、体格の違いを見せつけて欲しかった・・・プロレスってのは(半分柔道だけど(笑))、まず体のでかさ有りきだって事を。その辺はプロレス全体を見ての筆者の意見と、新日の現状を考えての坂口の考え方の差なんだろうけど、正直坂口が間に入っちゃった事で、高山を狙ってるレスラー達は、ますます存在がぼやけちゃった気がするんだよねぇ。そう言う意味でも坂口復帰の相手は高山じゃ無い方が良かったと思う。

 またこの試合、坂口が中途半端に頑張っちゃって、試合も勝っちゃったモンだから、今後の流れがぶち切れちゃったわけでしょ?どうせやるんだったら、坂口ぼっこぼこで「親の敵はオレが討つ」って新日現役レスラーが出るべきなのに・・・坂口ファミリーリングインで、なんか話が美談として完結しちゃってる。これじゃ駄目でしょ?つーか憲二の煽りも駄目駄目だけど・・・結構坂口憲二好意的に見てたんだけど、今回のセコンドでなんか決定的に冷めた(笑)。特に真壁相手に「来い来い」やってる現実感の無さはタレントとしてちょい致命的だと思う。確かに本人曰く「男として」はああ言うリアクション取るべきかも知れないけど、二枚目タレントとしては、レスラー相手に「来い来い」やるのは「バカ」を照明しているようで、心底格好悪かった・・・

 と言うわけで、この1試合だけで考えれば実に楽しめた試合だったけど、今後の新日の流れとか総合的に考えるといまいちかなぁ?つーかその後の試合に出てきた小鉄の動きが良すぎて、坂口霞んだ(爆笑)。


今週の感想(10/3記)

 GHCジュニアヘビー級タイトルマッチ杉浦対モデスト。

 タイトルマッチである。ジュニアである。そもそも前回のモデストがベルトを奪った試合というのが全く記憶にないのだが、とにかくモデスト初防衛戦である。モデスト曰く「ベルトが海外に流出しているのに、ノアの選手は誰も取り返しに来ない」なのだが、これまた高山の「その頃はタッグのベルトで忙しかったんだから仕方ないじゃん」な訳で、いっそのこと自分達のアイアンプロレスで勝手に防衛戦やってれば良かったのに?駄目なの?契約とかの問題で?まぁ「世界タイトル」じゃない「団体タイトル」な今のベルトの状況じゃ、レスラーがベルトに興味が薄れてくるのも肯けるってモノだ。ベルトを持っている事が人気に直結しないわけだから、わざわざアメリカまで行くのもだるかろう?

 そんな訳で価値が有るんだか無いんだか良く解らないジュニアのベルトな訳だが、この日のチャレンジャー杉浦は、ノアの中では結構このベルトを欲しがっている方のレスラーだと思う(橋とかも・・・)。現在のノアジュニアの主流はイケメン体操選手達による戦いである。80キロ有るか無いか解らない筋張った人達が、ワーキャー言われてるわけだ。個人的には対新日を考えると、当たり負けしない人材も育成しとく必要が有ると思うので、もっとこの杉浦や橋あたりにもスポットが当たるべきだと考える。そう言うわけで、このタイトルマッチ、杉浦には絶対にベルトを取って貰わなければ行けない訳なのだ(オラ的に)。

 んで、まぁその・・・モデストでかすぎるだろ?腹回りとか・・・絶対にジュニアのウエイト越えちゃってるよ(笑)。まぁだからこそベルト「行って来い」でも文句言わなかったんだろう?返上させられるよりマシだモノな。試合も頑丈な人同士の戦いだったせいか、適度にデンジャラスで、ガンガン行っていて良い感じ。やっぱりこういう風味は体操選手には出せないので、パワー系ジュニア選手ってのはやっぱり必要だな。試合も予定通り杉浦が勝って、今後杉浦対イケメンと言う流れで動いていくのだと思う。ん?イケメンはタッグに夢中〜。いや、きっと挑戦してくると思うよ・・・どうしよう初防衛戦が橋だったり菊地だったら(笑)。とにかく、タッグは体操選手達にぴょんぴょん跳ばして、シングルは実力のあるレスラーが、がっちりと防衛し続けると言うのを熱望。あっさりと丸藤(いやケンタか?)あたりが奪っちゃったら、ノアジュニアには未来が無いと思う(え?ライガー・・・良いんだよよその事は)。


今週の感想(10/15記)

 今週の新日は東ド特番に備えてお休み。で、またこう言うときに限ってノアも内容が薄いと来ているから困ったモノだ。

 次期GHCヘビーの挑戦者は小川に決まったらしい。がっくし。だから何度も言っているけど、小川をヘビーシングルに挑戦させるのは本当に止めて欲しい。小川を認めていないわけじゃない。でも明らかに小川がヘビーのベルトに挑戦することで、ノアという団体の、プロレスの説得力が失せてしまうのである。100歩譲ってタッグなら有りかも知れない。三沢小川組がチャンピオン。ギリギリセーフだろう。これなら三沢が攻めて、小川が一瞬の返し技。そう言う納得行く試合展開があり得る。

 だがシングルでは駄目だ。どう考えても小川に有るチャンスは試合直後一瞬の隙をついてのスモールパッケージだけである。しかもこれは1回やっちゃったネタだし・・・さすがに今回はベルトを取るなんて事はないだろうが、それにしたって小橋の破壊力のある試合が、小川相手では存分に見れないのだからファンにとっても損失である。せっかく小橋がチャンピオンなのである。小橋がチャンピオンの間こそ、遠慮会釈無く、ガンガンぶつかり合うスーパーヘビーのタイトルマッチが見たいではないか?

 何故小川なのか?もう小川の実力はファンも認知しているのだからよかろう?まだヨネにでもやらしてやった方が良かろう?小川にだけはバカ甘な三沢にはうんざりである。そんな事言ってたら小川が小橋にタッグでフォールされたという情報が入った。やれやれ。


今週の感想(10/20記)

 新日東京ドーム特番。新日本対真猪木。これがこのドーム興行のメインだった。ホーガン対蝶野というおまけがあったが、次にいつ来るか解らないホーガンよりも、この新日本対真猪木が今後の新日マットに必要なカードだったはずなのである。

 だが正直あまり面白くなかった。真猪木軍というのは、言ってみればどいつもこいつもセメントに自信有りと言う連中である(一人道化の外人が居たが)。その真猪木軍に立ち向かう相手の中に61歳の坂口が入っているのである。なんつーかもうこれで一気にテンションが下がるだろう?いや、確かに復帰戦では良く頑張っていた。年の割には及第点の出来だったと思う。だけどあれは、今回のホーガン戦のように、おまけでありボーナスだったわけで、その坂口が真猪木軍との対抗戦のトップに出るというのは、いくらなんでもやりすぎだろう?その辺りはさすがのバカ新日ファンも察したのか、新日史上最低の東ド観客動員が現していると思う。

 大体坂口のコンディションは肋骨骨折もあって、前回より悪いわけである。どうしてあれだけ常識人と言われた坂口が、今回の参戦を受け入れたのかが理解できない。まだスーツでセコンドにいて、新日軍に指示を出しつつ、キーとなるポイントで乱入して「払い腰!」の方がよっぽと印象が良かったと思うのだが・・・まぁそうすると息子憲二のポジションが無くなってしまい、新日フロントとしては痛いわけだが。それにしても坂口憲二はこのままセコンドにつき続けるのだろうか?あのひょろひょろの体で(レスラーと比べりゃね)、手招きを繰り返すポーズは正直「格好悪い」。一般人の中に居る坂口憲二は格好良いが、レスラーの中に入ると、ただの虚弱の格好悪いプロレスオタクにしか見えないと言う事に早く気づくべきである。大体応援団長って?何やってるわけだ?野末陳平じゃないんだから・・・

 で、常識人坂口の最後の理性か、開始3分でさっさと消えて見せたのは良かった。だがサップが突進していかなかったり、蹴りが緩かったり、明らかにみんなおじいちゃんに気を使っていた訳で、そう言う馬場さんのプロレスみたいなのをやりたかったら、もうちょっと段階をキチンと踏みましょう(笑)。この坂口と共にやばかったのはボブサップな訳で、なんかどんどんサップのメッキが剥がれてきた気がする。息がすぐに上がってしまうのがサップの身体的欠点な訳で、そう言う意味ではプロレスのような長い試合は向いていないのではないだろうか?また明らかにプロレスに対しては勉強不足で、タッグマッチの何たるかをビデオなり何なりでもう少し頭に入れておくべきである。言って見りゃ両方のチームに坂口とサップと言うハンデが入っていたわけだが、両方に入っていては意味がない。 ホーガン対蝶野。うーん、この試合も難しい・・・面白かったか?と問われれば、個人的には面白くなかった。ただ、それは筆者がアメプロを余り好きでなく、また新日時代のホーガンも余り好きでなかったというのが、大きな要因になっている訳で・・・世間的に見れば「凄い試合」だったのだろうか?ただアックスボンバーは、何を遠慮したのか(蝶野の首か?)どれもこれも中途半端な当たりで、全盛期を知るモノとしては寂しかった。ホーガンは顔も皮膚もシワシワだし、動き以上に伝わってくるモノが「おじいちゃん」なのが 気持ち悪かった。やっぱりおいらはアンドレ/ハンセン派なんだな〜。


今週の感想(10/28記)

 テレ朝も日テレもトップはホーク・ウォーリアー逝去のニュースがトップだった。当然ながらそれぞれのテレビ局で持っている映像が違うわけで、テレ朝はヘルレイザーズ時代。日テレは全盛期のウォーリアーズ時代で興味深かった。テレ東ならさしづめ暴走族スタイル時代だろうか・・・

 で、やっぱり日テレの映像が素晴らしかった(なんと言ってもポール・エラリング付きなのが良い!)。あの当時テレ東「世界のプロレス」で衝撃的に扱われ、プロレススターウォーズでも期待を煽られ、そして遂に全日上陸!当時まだ「プロレス」と言うモノを理解していなかった中学生としては、その秒殺ファイトの虜になってしまうわけだ。今考えてみれば、この秒殺スタイル。相手レスラーにとって気持ちの良いモノではない。さすがに鶴龍相手の試合なんかはそれなりの試合時間をこなしていたが、有る意味この秒殺スタイルは、レスラーとしてしょっぱいのを隠す為の方法であったのでは?と今にしてみれば思えてしまう。さすが策士ポール・エラリングである。実際ウォーリアーズ以降のアメプロでは、こう言う「自分の必殺技だけを見せつけてさっさと試合終了」と言うスタイルが定着して行くわけで、その辺りからアメプロのプロレスとしての堕落が始まったのでは?と思う。

 その後WWFへ移籍したウォーリアーズはリージョンオブドゥームとコンビ名を変更、しばらく日本にも来なくなるわけだが、アニマルの怪我などでWWF離脱。ホークは新日に来て健介ことパワー・ウォーリアーとヘルレイザーズという凸凹コンビを組むことになる。個人的にはこの辺りは完全におまけで(WWFで改名した段階でウォーリアーズは終わってるでしょう)、170センチの健介と組ますとは新日も酷なことするなぁ〜ってのが正直な感想だった。ホーク自体は「プロレス」は格段に巧くなっていたし、この辺りからステロイドも止めていたっぽいけど、やっぱり全盛期の病的な魅力には当然かなわなかったわけで、どうしても半笑いで見てしまう感じだった。

 そして現在。アニマルも怪我から無事復帰。既にプロレスファンは「暖かい目」でウォーリアーズを見てくれるようになって来た。なんでもボールエラリングとも和解したらしいし・・・そんな矢先の悲報だった。やっぱり筋肉増強剤の影響か・・・止めても体に影響残るわけだな。ゴッチやテーズが長生きなのに対して70年代以降のレスラーは実に短命である。全部が全部とは言わないが、我々が憧れたあの世代のレスラーが、そんな理由で早々と居なくなってしまうのは悲しすぎる。本当に商業優先主義のアメプロは何も残さない。


今週の感想(11/5記)

 GHCヘビー級タイトルマッチ小橋対小川、GHCジュニアヘビー級タッグタイトルマッチ、マルビンゲレーラ組対丸藤ケンタ組。つーわけで、かなり遅い時間であったけど、今週はGHCヘビーのタイトルマッチと言う事で50分拡大版の放送だった。当然日テレとしては、小橋の防衛戦だからと熱戦、名勝負を期待して枠を拡大したわけだが・・・結果としてはジュニアタッグがメインみたいな放送になってしまっていた(爆笑)。

 この欄で何度も言い続けて来たことだが、小川にヘビー級のタイトルマッチは無理。と言う良い証明になったと思う。試合後の秋山のコメントが全てだったと思う。「今日の小橋は強くなかった、今日なら勝てる」当たり前である。小川なんか相手に「強い小橋」なんか出したら小川は潰れてしまう。タイトルマッチなりに、武道館のメインなりにの試合をしようとしたら、小橋としては「小川に翻弄される」役回りをするしかあるまい?その辺り解っているのにあえて口にする辺りが秋山らしいと言えばらしいのだが。

 おまけにメイン前にはジュニアダックでもの凄いレベルの試合をやってしまっているわけだ。お客さん的には既にお腹一杯。なのにデザート以上のモノを見せなければいけない小橋の辛さ。以前この欄で「小橋は名勝負製造器である。相手に必要以上の力を出させ、自分はそれ以上の力で相手を粉砕する。相手の力を強く見せかけるだけの猪木の風車の理論と違い、本当に相手の力もアップさせるのだから凄い」と書いたが、さすがに相手がジュニアではその魔術も使えなかった。だから小川にヘビーのベルトに挑戦させるのはやめておけと何度も言っているわけだ。相手の技を100%受けられないレスラーはタイトルマッチには不適格なのである。まぁ小川も会場のさぶさには気づいたようで、途中で流血して見せてなんとか興味を引こうとしていたが、そんなモノは屁のツッパリにもならなかった。三沢に言われてタイトルマッチをやっているのかも知れないが、小川も断る勇気を持って欲しいところだ。

 さて、そのメインを、ヘビーをも凌ぐ大熱戦となったジュニアタッグ選手権だが、こちらも実は日本人コンビ何もやってない(苦笑)。つーか何も出来なかった。所詮ノアの体操選手系の実力はこんなモノであると露呈してしまった感じだ。ノアジュニアの括りの中では、確かにそれなりの体操選手ぶりを見せる。だが、本場メキシコの体操選手を前にするとその実力差は明らかである。全く丸藤もケンタも格好良くないのだ、所詮顔の造形が多少ましな程度のイケメンタッグである。不細工な(笑)橋や杉浦相手だから輝いて見えていただけなのだ。こんな連中がベルトを持っているのは本当に恥ずかしい。これも前から言っている事だが、外敵と戦うには、あまりにもノアジュニア体操選手達は弱すぎる。ノアジュニアの中心は杉浦、橋、菊地、金丸らの実力者で占めるべきなのである。イケメンタッグは前座試合で女子供をワーキャー言わせてればそれで良いだろう?


今週の感想(11/11記)

 そもそも今週はテレ東ゼロワンの大森について触れようと思っていた。だがそれは、すっかりインディー太り(試合数が少ない上に、練習場が確保できず、テレビもついて無い為緊張感が維持できず太ってしまう事)してしまった大森に対する苦言であり、ネタ的にも面白くなかったので、新日を見た段階で、IWGPタイトルマッチ、高山対天山について書こうと切り替えていた。だがこれまた、新日との契約切れの高山が、天山にベルトを譲った形で、天山自体は”また”何も出来なく、ただ相手の技を受けるだけ状態だったので、「そりゃお前じゃ東京ドームのメインは無理だ」と言われるよなぁなんて話しになっちゃう訳だ。

 で、最後にノアを期待せずに見たら・・・「これだ!」WLWヘビー級タイトルマッチ、森嶋対ヨネ。いや実に良い試合だった。なんつーか自分より小さい相手、自分より格下の相手とやる時の森嶋は最高に強い!これを見事なまでに発揮した試合だったと思う。と言ってもそれだけだったらワンサイドの試合になってしまうところだが、さすが小橋のパートナーになりかけたヨネ!凄い頑張りだった。なんつーかこのレベルの選手がこんな試合をしてくれていれば、ノアは安泰だなぁ思う。

 やっぱりノアイズム(全日イズム)つーのは「いかに相手の技を受けられるか?そして受けるだけ受けて、最後に大技を放った奴が勝つ」な訳だ。当然受け身の重要性もあるが、何より頑丈で丈夫なこと。これがノアレスラーに求められる事なのである。そう言う点ではこの二人満点の出来だろう?スーパーヘビー級和製テリー・ゴディー森嶋の攻撃を正面から受けたヨネ。ヨネのプロレス道にもとる(笑)顔面キックを2発も受けても、まだ余力のある森嶋。本当このレベルのまま素直に伸びていって欲しい。最初に苦言を呈しかけた大森。大森は見事に脱落してしまった。大森こそが現在の日本人レスラーとしてもっとも絵になるはずの男だったのに。ヨネも森嶋もその轍を踏まないで、ノアを背負って立って欲しい。そんな事を感じさせられた一戦だった。


今週の感想(11/25記)

 新日村上対金本。他にもアマゾンでのジャングルファイトネタなんかもあるんだけど、一番書きたいネタがこれなので・・・

 はっきり言って今の新日はヤバイ(笑)。まぁ新日というモノは常にある意味では「ヤバイ」わけで、ヤバイからこそ面白く、今まで繁栄を誇ってきたわけだ。長州政権下のバカラリアットプロレスを脱した今の新日。色々な流れがそこかしこに見えて面白くは有る。ただ総合格闘技に打って出ると言いながら、わずか1年後のドーム大会はプロレスメインだったりと相変わらずフロントの迷走ぶりには笑わせられる。選手個々の能力は高いはずなのに、どうしてもそれを生かした試合も興行が出来ていないような気もする。

 そんなヤバイ新日の中で輝いているのは、どちらかと言うと新日本流とは違う流れにいる連中である。前にも書いたが、鈴木みのる、柴田、村上、高山、西村らである。これらの選手は新日本体の永田、中西、天山らより遥かに試合に緊張感がある。古いファンにしてみれば、どちらかと言うと外様であるこれらの選手の方に「ストロングスタイル」を感じるのではないだろうか?

 かくいう筆者もそうである。だからこの村上対金本と言う試合には大いに期待をしていた。村上のヤバさは有名だし、金本も当然、ジュニアながらやる時はやる男である。一体全体どんな名勝負が生まれるのかワクワクしていた。だが開始早々の村上のマジパンチが金本の顔面をとらえてからおかしくなる。観客はあれで一気に「これはホンモノの試合が見れるかも知れれない」とヒートアップしたのだが、新日的には「これはヤバイ」となってしまったわけだ。案の定金本が立ち上がってからの殴り合いはプロレスの殴り合いに変わり、金本、村上一度ずつのダウンも、なんともプロレス的ダウンであった。あげくフィニッシュは全く間の悪いレフリーストップで、せっかくの宝二人の戦いを見事に茶番にしてしまったのだ。

 「試合後に3箇所の骨折が判明した」なんて付け加えているが、それはたぶん最初の村上のパンチで折れたわけで、だったらあの場でレフリーストップにした方がよっぽど二人とも株が上がったと思う。なのにプロレス的判断で、10分ぐらいは試合をしなきゃ的思考が働き、後はダラダラした緊張感のない試合・・・これではせっかくのホンモノ二人による戦いが全く無駄になってしまうではないか。世の中にこれだけ総合格闘技系の中継がなされている今、マジで打っているパンチとそうでないパンチの区別は、素人でも解るようになりつつある。その中でこんな茶番の試合を「真剣勝負」「ストロングスタイル」なんてやっていては駄目だろう?

 村上の相手がホンモノでないのなら仕方ない。でも金本だったのだから・・・村上を今のような使い方をしていたら駄目になる。新日的に使いづらいので有れば、もっと本格的にヤバイ対戦相手、ヤバイ状況を準備して、村上を潰してしまえば良いのである。その方が村上も納得行くだろうし、そんな事で潰れる村上でも無いと思う。せっかくのプロレス界の好人材を、こういう間抜けな試合で台無しにするのは止めて欲しい。昔の新日は毒は毒なりに利用したモノである。レフリーのセンスの無さと合わせて、フロントの見る目の無さ、もうちょっとどうにかして貰いたい。


今週の感想(12/2記)

 GHCヘビータッグタイトルマッチ、小橋本田組対永田棚橋。

 うーん。小橋本田が負けてしまいました。これはちと意外。よくよく考えてみれば、裏の方で色々な動きがありそうなんだけど・・・特に小橋が「シングルはしばらく封印」的コトを勝手に言ったのが微妙に影響しているかな?と。あの発言があったから、当然のようにこの後のW猛、三沢小川と名勝負、名防衛戦を続けていくと考えてたんだけど。全然そのようには展開していかなかった。予定調和の新日(高山契約切れ→IWGP天山以降とか)と比べて良い意味でファンを裏切るノアらしさも出ているか?

 ただこの後のノア初のドーム開催とか、その辺との絡みも有りそうなんだよなぁ。新日とは上手い付き合いをしておきたい。圧倒的に強いはずの小橋組が負けるのなら、他団体のエースの方が良い。そういう政治的配慮が見え隠れしちゃうのは、ちょっとノアにしては珍しいので残念と言えば残念。たぶん行って来いだとは思うけど、成長著しいW猛が奪回するのならともかく、1.4の東京ドームで三沢小川組とかが取り返すのは正直勘弁して欲しい。

 あと防衛を続けて、多聞の格をもう少し上げて欲しかった。今でもノアファンの中ではそこそこ認められているけど、なんつーか職人、仕事人的雰囲気の、華は無いけど実力派スターレスラーになるチャンスだったと思うんだよなぁ。スターレスラーは多い方が団体運営的にも楽だと思うんだけど、これで小橋とのタッグが解消とかになったら、また元の中堅レスラーに戻っちゃうでしょ?ビジュアル的にはやっぱり長髪が問題かな。

 試合内容的にはまぁまあ。対抗戦(もはや交流試合か?)としては最低限これぐらいの試合をやってくれなきゃ困るって感じ。試合中散々言われていたけど、まだ永田の迫力は出きってなかったと思う。新日内での動き見てても思ったけど、ちょっと永田は壁にぶつかってるか?


今週の感想(12/11記)

 すいません。ノア拡大放送なのに録り逃しました。で、新日の方は天山がなんだか解らないインチキ臭い外人に手こずってました(笑)。あれは相手の実力を引き出しているのではなく、本当に手こずってるんだと思いますた。こんな体たらくではいかんと思ってたら、案の定中邑にベルト取られましたとさ(笑)。つーかいい加減フロントが自分の事を評価していないって事に気づきましょう・・・


今週の感想(12/19記)

 またまたすいません。バカサッカー延長でノア取り逃がしました。つーかサッカー終了時の延長時間は1時間だったはずなのに(現にガキの使いは録れてる)、何故だかノア中継の段階で1時間15分延長になってるミステリアス〜?。

 けれども知り合いから先週の拡大版のビデオを借りる事が出来ました。そうです。三沢対越中です(笑)。何はなくともこの試合が見たかったわけですよ。三沢と越中がガンガン前座でやり有っている頃、筆者はまだまだお子さまでした。当然会場に行く事も無く、週プロ(まだ無いか?)とかの雑誌媒体も豆にチェックしていたわけではありません。単純にテレビで放送されている試合を見ていただけですから、前座レスラーの事なんか知る由もありません。

 当時の一般ファンの認識は今とは逆に、新日の方が全日より練習していると言う評価でした。「全日のレスラーは体格的に恵まれているので、あんまり練習していない。新日のレスラーは筋骨隆々テッカテカで鍛え上げている」的な考え方が一般的でした。今は新日のレスラーはどちらかと言うとジム中心の軽い練習で、ノア(そうノアです。今の全日は全日では有りませんからね)はキチンと道場でスパー繰り返していると言う認識でしょう。だから緩い全日からキツイ新日に昇格(当時の認識)した越中と言う選手は凄いんだ〜と言うのが筆者の当時の感想でした。

 当然三沢の存在なんかも知らなく「今度のタイガーマスクは木偶の坊だな」なんて思っても居たわけで、その直前に越中と二人、こんな熱い約束を交わしているとは思いもしませんでした。んなわけで、巡り巡ってようやく三沢と一騎打ちがかなったわけです。正直反選手会同盟辺りから、筆者の中での越中のイメージは下り坂、現在ではそろそろ来る所まで来たかな?って言う感じなんですが、それをはたして三沢がどのように受け止めるのか大変期待してみていたわけです。

 ゆ、緩い。

 ちょっと微妙な試合でしたよね?越中は割合頑張っている感が有ったんですけど、三沢はちょっとコンディションが悪いのか、敢えてそこまで落としているのか、全体に技にキレが有りませんでした。腹とかもあんまり張ってないし、体の印象だけでは越中の方が調子が良さそうにすら感じました。フィニッシュこそえげつなく落として見せましたが、なんだか下り坂越中にここまでつき合っちゃっている三沢も、ちょっと下り坂か?なんて思わせる試合でした。

 個人的にはノア最強説を唱えているんですけど、それを支えていたのは「三沢対小橋戦」なわけです。でも最近のファイトを見ていると若干、三沢にも小橋にもかげりが見えてきたように思います。秋山はあそこまでえぐい試合をするつもりは無さそうですし、高山がフリー、田上がヨロヨロの現状を考えると「ノア最強」もちょっと微妙になってきたと思えます。森嶋、力皇、ヨネ辺りがかなーり良い試合するようになってきたので、キチンと全日の伝統は受け継がれていると安心してはいるのですが、今にしてみればW猛抜擢するぐらいなら、何故ノーフィアーにもう少し美味い汁すわせてやれなかったのか?とつくづく思います。四天王(秋山含む)以降の世代とちょっと空白ありすぎな気がしますし、何より大森という逸材をプロレス界自体が失いつつあるのが痛いです。とほほ。


今週の感想(12/27記)

 ノアジュニアタッグ選手権、百田菊地組対丸藤ケンタ組。いや今年の年末年始は偉いことになってます。12.27テレ東「ゼロワン」テレ朝「新日朝までプロレス」12.28日テレ「ノア年末特番」、テレ東「全日」12.31日テレ「猪木祭」TBS「曙対サップダイナマイト」フジ「プライド」1.4テレ朝「新日東京ドーム」。たぶん最初で最後の大格闘技年末年始大会(笑)。そんな訳で、このコーナーの更新も有るんだか無いんだか解らない、不定期ペースでの更新になります。

 この後ビッグマッチが目白押しなので、別にノアのジュニアタッグなんか触れなくても良いんだけど、ちょい百田の頑張りが嬉しかったので触れたいと思います。今年は力道山没後40年だそうです。そんな訳で、当然息子の百田が注目される分けですが、いかんせん百田と言う選手は、大スターの父親とは似ても似つかない名バイプレーヤー的レスラーです。ただ一度当たったスポットも、前座の帝王として君臨していた10年以上前に、後楽園ホールの熱いファンの後押しでジュニアシングルのベルトを取らせて貰ったときだけです。そんな訳で、またまた今回もどちらかと言うと「お情け」的雰囲気で百田にスポットが当たるチャンスがやって来ました。父親の遺影が見守る前での最年長タイトルマッチ挑戦です。

 百田は今も日々淡々と前座戦線で確実なレスリングをして観客を暖め、若手レスラーを育てています。全日の良いところは(いつも通り本当は「ノア」ですが)、前座戦線にキッチリとしたベテランレスラーが居る点です。確かにフレッシュな若手同士のファイトも前座の魅力ですが、やっぱりプロレスのイロハは道場や前座でみっちりと学ぶべきなのです。ここでしっかりと勉強したかしないかで、その先良いレスラーになれるかどうかが決まると言うわけです。なのに昨今の他団体やインディーはここをないがしろにしがちなのが、しょっぱいレスラー増殖の主原因になっていると思います。

 話が脱線しましたが、そんな訳ですから百田のコンディションは概ね良いわけです。ですからそんなに気張らなくても、タッグのタイトルマッチ程度は、パートナーに任せ気味にすれば、年の割に楽にこなせたでしょう。でもさすがです百田。8キロも減量して、みっちりと体作り直してきてました。こう言うところに、百田のプロ意識が出てるんですよね。タイトルマッチだから、父親の前での試合だから、そしてこういう機会を与えてくれたファンや会社に・・・何という誠実さでしょう。

 当然ファイト内容もその体つきに合わせて良いわけです。確かに中盤以降は息切れしました。でも全然スカしてなかったんですよ。真っ向から自分の子供ほどのチャンピオンの技を受けきる。馬場が晩年、毎年1度だけ、小橋らと試合をすることが有りました。そう言う時、馬場は精一杯相手の技を受けようとしてました。薄くなった胸板に何発小橋のチョップを喰らったでしょう?小橋らとしてはやりにくかったでしょう。それでも馬場はキチンと相手の技を受けるプロレスをしようとしていた訳です。その伝統はキチンと百田にも伝わっていました。百田も胸板真っ赤にはらしてました。でも試合後の百田は、負けても馬場のように笑顔でした。笑顔でいれるのは、自分が正直にプロレスに向かい合い、正直に闘ったからな訳です。このジュニアタッグからはそんな百田の良さが溢れていました。55歳でタイトル取ることは無理でした。無理でしたけど、みんなが満足できた、みんなが納得出来た。それもこれも百田の姿勢が有ってのことです。筆者はそんな百田の素晴らしさを、是非記しておきたかったわけです。


今週の感想(12/31記)

 テレ東ゼロワン、全日中継、川田対小川他。12/27と28の二日間でテレ東はゼロワンと全日を放送した。共に現在抗争中の両団体。個人的にはいっその事両団体くっつけば良いのに。なんて思ってます。うまくすれば日本三大メジャーって事で(笑)。団体名は「全日」残さないわけにいかないから全日本プロレス01で(臭!)。テレ東なら結構良い時間帯の枠準備出来るんじゃないかな?

 さてそんな中で行われた川田対小川戦。雑誌で見た段階では、引きわげ再試合→引き分けと言う展開にちょっとがっかりしていたんですが、すいません。反省しています。凄く良い試合でした。つーか昭和のプロレス見ているみたいでした。両団体の実質のエース同士の戦い。近年の常識なら「行って来い」もあるので、どちらかが負けても問題ないって感じなのだが、そこはそれ二人ともプライドが抜群に高かったようで、負ける事を良しとしなかった感じ。その結果が昨今珍しい「引き分け」しかもダブルノックダウン(笑)。でもそこに至るまでの展開が凄い迫力で、観客視聴者も、それで満足していて、決着が付かなかった事がそんなに不満にならなかったと思います。

 昔の田園コロシアムでのアンドレ対ハンセン戦。あれの微妙な結末は、当時は受け入れられませんでしたが、今の目で見れば、それまでの二人のファイトで充分納得できて、満足出来る試合でした。この川田対小川戦もそれと同じ。結末云々より、とにかく試合内容が良くて万々歳。つーか引き分けって事は今後の「引き」にもなるわけで、なかなか橋本「興行」考えてますな〜。

 で、具体的に何が良かったかと言うと。小川が限りなくセメント風な試合が出来るプロレスラーなのは皆が知っている事ですが、川田もまた、同じようなレスラーであったという点です。つまりこの二人、歩んできた道は違えど、意外なほど似たタイプのレスラーなんです。世間一般の川田の評価というと「小さい体ながらヘビー級でやっていく為に、常に全力ファイト手抜き無し」こんな感じだと思います。確かに鬼気迫る表情から繰り出される打撃系の技はどれも凄い迫力で、Uインター以降の山ちゃんのような音ばかり響く抜いた蹴りとは違います。でもそんな川田もキチンとプロレスラーな訳です。思いっきり蹴って良い相手、思いっきり蹴って良い箇所には思いっきり行きます。でもやっちゃ行けない場面ではちゃんと相手のことを考えた攻撃をします。

 この試合でも散々小川の足を攻撃してましたが、ヒザに向けてのストンピングは、その迫力に反して当たる直前で抜いていました。旧全日時代は、相手の事をあまり考えないファイトと評判が良くなかった(良い言い方をすれば、それだけ相手を信用していたとも言えますが)川田も、さすがに自分より劣る相手を(小川のことでは無く)、普段相手にしなければならなくなった昨今では、ファイトスタイルに変化が見られたと言う事でしょう。山ちゃんのように明らかに「抜く」のでは無く、川田ファン、全日ファンの夢を壊さないように「抜く」。これは意外と難しいことです。素直に川田の成長として誉めて良いことだと思います。

 また、橋本、大森らの例を見るまでもなく、レスラーと言うのは、コンディションの維持が大変に難しい職業です。社長になって雑用が増えた。フリーなので練習場が確保できない。テレビ中継がないので緊張感が足りない。これらの理由で、ドンドン体つきが変わってしまうわけです。なのに川田の今の体つきは、全日四天王時代と全く変わりがなく見えます。これは結構凄いことです。長期欠場も有りましたし、全日内では格下相手の試合も多いでしょう。なのにあの体つき!社長業に追われて肉のタブついてきた三沢、筋肉の鎧が厚過ぎて動きが悪そうな小橋らと比べても、本人のプロレスに対するモチベーションがいかに高いかの証明になるでしょう。

 正直全日川田が残った段階で、川田は終わったと思いました。その後怪我をしたり、実権を武藤らが握ったりしたので、その思いは強くなっていました。でも川田は全然変わっていませんでした。未だにトップレスラーでした。この姿を全日の若手は是非学んで盗み取って欲しい。武藤は天才なので普通の人間にはマネできないでしょう。でも川田のようになら、努力すればなれると思うんです。話が飛躍しますが、武藤はプロ野球で言えば長嶋茂雄です。名選手名監督にあらずです。天才には凡人の心なんて解りません。だからやはり若手レスラーがお手本にすべきなのは、川田であり渕だと思うんです。しっかりと基礎をやったからこそ今の川田が有るわけです。是非川田を見習って道場でスパーを繰り返して下さい。レスラーの基本は「ジム」ではなく「道場」に有るんです。格好良い体つきを手に入れても、機械相手ではプロレスは旨くなりません。まず道場で他人と肌をあわせる。その積み重ねが良いレスラー、怪我をしないレスラー、怪我をさせないレスラーを生むわけです


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