ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/8記)
1.4はいつもの奴である。そう新日東京ドーム大会。今回はなんつーかカードの掛け違いというか、あんまり盛り上がるカードが無いのが気がかりだったが、縁起物なのでまぁ深く考えずに参戦した。
まず、入り。観衆5万人という発表らしいがまぁ良く見積もって4万人と言うところだろうか?いつものように外野席と内野の一部を閉鎖している上に、2階席に結構空席があった。筆者らが座っていた上の座席など5、6席まとめて空席だったりしていたので、ダフ屋も券がさばけなくて苦労したのではないだろうか?なんつーか因縁の少ないこのカード編成では、この客入りも肯けると言う感じだ。今更天コジなんかじゃ客が呼べないと言う証明でもあったかな?で、たぶん来週以降レギュラー枠でそれぞれの試合はじっくりと放送されるであろうから、今週は現場で見た簡単な印象のみ記す。
ベストバウトは第一試合の西村対藤波戦これが実に良い試合だった。こんな濃密な試合で立ち上がっちゃっちゃー、後の試合厳しいでしょ?プロレス好きで有ればあるほど、第一試合が輝いて見えたんじゃ無かろうか?で、後は休憩まで魔界中心で話は進むんだけど、これが実に良いのだ!試合内容的にはそこそこなんだけど、なんつーか仕掛けの面白さで全く観客を飽きさせない。まさにドーム向きの存在!カード発表の段階で「大魔人」「破悧魔王’Z」にみな心を躍らせる。そしていざ登場となると、なんと大魔人は星野総裁を肩にかついで現れたのだ!!もう場内大歓声である。さらに破悧魔王’Zの搭乗時には怪傑ハリマオのテーマがこの2003年に響き渡り、独特な昭和30年代の空気で支配。武藤が「ファンタジー」を連発しているが、少なくともW-1等と言う訳の解らないモノよりも、遙かにプロレス独特のファンタジーを味あわせてくれるのが、現在の魔界倶楽部であろう。
そんな魔界で暖まった雰囲気をぶち壊したのが、休憩時のぷよぷよ大会とそれに続いて行われた新日復帰の新間のアジテーションだった。確かに言っている事は、我々古いプロレスファンには肯ける事ばかりなのだが、正直猪木賛歌の内容とその長さには辟易させられた。あんな事を訴えられても、今のプロレスファンには何のことか解るまい?ああ言う事はレスラーがマット上で見せなければ意味が無いわけで、見ず知らずのおっさんにがなられても、今のファンの心には届くまい。魔界が昭和のプロレスの面白さを表現し観客の心を掴んでいただけに、新間の登場は本当に余計だったと思う。
そんなプロレスと関係ない事で30分以上を費やしたおかげで、場内は一気に冷え込んでいた。そして休憩後のカードはどれもたいして盛り上がる事無くたんたんと進んでいく。場内でも居眠りをし始める観客続出。それをみこしての嫌がらせかドーム内の温度設定が下げられ、ドームなのにダウンを着込む客も続出。本当の意味で寒い興行が続いていく。ヤングジェネレーション盃決勝も、NWF戦もIWGPも至極妥当な結果に終わった。個人的にはバーネットにかなり期待していたのだが、負けた時のセリフを覚えてきているようでは、ちと期待はずれという気がしなくもない。我々が期待している外人レスラーというのは、そう言うモノではないのだと言う事に早く気づいて欲しい。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(1/8記)
ファンの抽選(投票?)によってカードが決まるNOAHful Gift in Differ'02。
ラッシャー木村組(常識的にはミスタークリスマス組か?)対三沢組。ラッシャーさんが順調に衰えてきている。と言うかやはり去年の入院後から急激に衰えてきたと言う印象だ・・・馬場さんが生きていた頃は、馬場さんに比べるとはるかに動けていたラッシャーさんだが、現在のラッシャーさんは正直馬場さんの最晩年より動けてないのでは無いだろうか?
前にも書いたかも知れないが、筆者は中学の卒業文集も高校の卒業文集もテーマは「ラッシャー木村」と言うおバカさんだ。国際時代の記憶はうっすらとしかないが、崩壊後新日に乗り込んできてからは、心の中のナンバー1レスラーはいつもラッシャー木村だった。ラッシャーさんが登場していた少年マガジン連載の「悪役ブルース」も愛読し、単行本も買いそろえていたが、ラッシャーさん登場編の発売直前に原作者の梶原一騎が捕まり、連載打ち切りになった時は涙に暮れた(後に別の出版社から刊行)。
その後UWFに移籍して消息が解らなくなったラッシャーさんが全日に突如現れた時は本当に嬉しかった。馬場さんとの絡みでコミカルな味が強調されていくのも温かい目で見守ったモノだった。そんなラッシャーさんも既に61歳である。衰えてくるのも解る。ん?だがうちの父親もほぼ同世代だがあそこまでよぼよぼ歩いてはいないぞ。と言うか、ゴッチやテーズなんてバリバリ動けていただろう?いや、ゴッチやテーズと比べるのがおこがましいとしたら、ブッチャーはどうだ?あの巨体で有りながらまだまだ軽快に動いて見せている。
ラッシャーさん練習出来て無さそうですね・・・それに語弊が有るとしたら、退院後体を作るより先に、マットに復帰しちゃったって感じですか?酒の影響も有りそうですね・・・そりゃ現場主義で一刻も早く復帰したかったラッシャーさんの気持ちも解りますが、ファンとしてはいつまでも元気で活躍してくれるラッシャーさんが見たいわけで、コンディションが整わないんだったら無理に出なくても良いと思います。馬場さんが骨折後猛練習をして、体力の衰えを最小限にしたように、ラッシャーさんも練習はつらいでしょうけど、頑張ってまだまだ元気な姿を見せて欲しいです。そんななんだかもの悲しい事を考えさせられる、2002年ノア最終戦でした。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/14記)
1.4東京ドーム大会ダイジェスト。ヤングジェネレーションカップ、安田村上組対小原中邑組。
ヤングジェネレーションカップ。勝者にはIWGPベルトへの挑戦権が与えられると言うこのトーナメント。その割りには、なんつーかあんまりパッとしないメンツによる急場しのぎのトーナメントの感が拭えない。唯一本当に「ヤングジェネレーション」を感じさせる健想がさっさと1回戦で消えた辺りにも、このトーナメントの本気度の低さが伺えるが、結果としては順当に柳澤が勝ち残った(その柳澤がIWGPでなくNWFへの挑戦を希望したのは笑えたが)。順当というのは、移籍が噂される健想も含めて、有る意味新日主流派の流れから脱落しつつある4人のうち、まだどうにか「顔」として扱えるのが柳澤だと思うからである。
だが実は、そんな柳澤以上に評価しなければいけないレスラーが居る。吉江である。凱旋帰国当初の吉江は、今の真壁のように勘違いをしていて(まぁ天山や小島の凱旋帰国の仕方を見ていれば仕方ないが)、いずれ自分がトップを取れるかのように振る舞っていた。そんな吉江もやがて現実を知る、自分のルックスという壁を(笑)。それを知ってからの吉江は実に良い仕事をするようになった。デブキャラというのを巧みに操りつつ、試合を上手く組み立てていく。この試合のように相手がそれなりの実力者と見るや、多少のえぐい技も放って見せる。その辺りのさじ加減は「プロ」レスラーとして大変大事な部分で、それが出来るようになった吉江は、新日という団体にとって大切なレスラーになったと言えよう。
この新日ドームが盛り上がりに欠けるカード編成だと言う事は先週も書いた。この安田村上組対小原中邑組の試合なんかはまさにその代表的カードだろう。いや、確かに中邑と安田の因縁、総合格闘技上がりの小原と村上、安田と言う組み合わせは解らなくもない。だが安田はともかく、現状村上をこんなカードで使ってしまうのは勿体ないであろう?ここまで殺伐とした雰囲気、いわゆる「色」の有るレスラーをなんでこんな新人相手の試合で使わなくてはいけないのだ?本当に新日マッチメーク委員会は解っていない。新年最初のドーム大会。1年引っ張れるぐらいの事件が起きるべきであろう?少なくとも村上にはその「事件」を起こす可能性はバリバリにあるわけだ。
そんな村上とは正反対に、確実に商品価値を下げ続けているのが安田である。去年の今頃は日本マット界の中心に居たはずだった男がである。まさにギャンブル好きの名の通り、自分の人生、レスラー人生も見事な浮き沈みである。そもそも、安田はプロレスが出来るわけではない、ファィトスタイルだって新日中堅時代と何らかわっていない。これらは昨年のブレーク直後から言ってきていた事である。結局安田の何が変わったのかと言うと、自信をつけたと言う事だけである。そして自信をつけた事で強くなったわけである。だが回りだって研究してくる、自信だけで強くなった分などすぐに取り替えされてしまう。その為に安田はさらなる練習を積まなければいけなかったところを、自信と言う過信が元来の怠け癖に拍車をかける。こうして安田は1年をかけてゴロゴロと転落して来たわけだ。そして今回1年後の東京ドームでデビュー後わずかな新人に負けると言うていたらくぶりを見せ、ついにその役割は「噛ませ犬」にまで落ちたと言うわけだ。個人的にデカイレスラー好きなので、もう一花安田には咲かせて貰いたい。だが、現状勘違いしっぱなしの安田ではそれもあり得ないだろう。結局安田の調教に大事なのは「ハート」なのである。去年の大化けは「ハート」の強化、今度は謙虚な「ハート」への改良が必要である。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(1/17記)
1.10武道館大会1時間特番。三沢蝶野組対田上小橋組、GHCヘビー級タッグ選手権、秋山斉藤組対大谷田中組。
1時間特番である。そりゃ蝶野が出るのだから当然っちゃー当然であるが、最近1時間特番無くて、日テレも冷たいよなあと思っていただけにこの1時間注目だった。で、番組としての構成は実に見事。インタビューをあれだけ挟んでおきながら、試合も2試合をたっぷりと見せる。これぞプロレス番組である。テレ朝にはいつも1時間有る(その割りにはテレ朝の方が詰め込みすぎでバタバタしてるんだが)と言う甘えを捨てて、ちと日テレプロレス班を見習って欲しいところだ。
で、肝心の試合の方はと言うと、まぁ楽しめた(笑)。つーか前回の三沢対蝶野にしても今回のタッグにしても、基本的にお祭り的要素が強くて、その華やかさだけでお腹一杯って感じになると思う。この試合でも蝶野が飛んじゃったり、逆水平(しょぼかった・・・)の打ち合いに挑んだり、お祭りならではの夢のシーンが多々見られたわけで、それだけでもこの交流には意味と価値が有ったと思う。だが、昔は他団体のレスラー同士が交わると「どっちが強い?」と必ずなったモノである。最近はファンの側もあまりそう言う要素を望まないようだが、これはどうなんだろう?たぶん対抗戦に突入すると、どちらかの団体が潰れる(喰われる)と言う事を学習したからだと思うが、やはり理想としては「どっちが強い?」と言う部分はプロレスファン最大の楽しみであろう?良好な関係を保ちつつ、1年に一度ぐらい遺恨の残らない形「どっちが強い?」的興行をやっても良いと思うのだが?
で、そんなお祭りとは対照的に、ガンガンに男の意地がぶつかり合うはずだったのがGHCタッグ選手権である。何てったって秋山は、ノア内にはもう挑戦者は居ないと言って、この180センチそこそこの二人の挑戦を指名したのである。そりゃ熱い戦いになって貰わないとと誰もが期待した。だが正直結論としては、この二人と秋山が真っ向からぶつかって名勝負が生まれるような可能性は低そうである。この試合も秋山一人だけが浮いていた。いやそれは、秋山だけが身長で頭一つ飛び出ているとか言う現実的問題でなく、大谷対斉藤、田中対斉藤の組み合わせは実に熱かったと思う。だけど秋山が絡むとやはり格の差を感じてしまうのだ、秋山の余裕がなんかイヤな感じて出てしまうのである。秋山対大谷田中のハンディキャップマッチだったら良い勝負になったかも知れない・・・
フィニッシュは斉藤が決めて見せた事でも、その印象は間違っていなかったと思う。確かに大谷田中、良い選手ではある。でもやはり大谷はジュニアの選手だし、田中はまだまだ「プロレス」知能指数が低いと思う。何か困ったらラリアットでは、メジャー団体は渡っていけない。残念ながら継続的な抗争の面白さは、このタッグチームとの間では生まれないと思う。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/21記)
1.4東京ドーム大会、魔界特集。1.10三沢蝶野組対田上小橋組。
1.4東京ドーム大会放送も3週目、今週は東京ドームが一番盛り上がった魔界中心の試合である。前にも書いたが、とにかく魔界の仕掛けは「ファンタジー」である。プロレス本来の胡散臭さ、面白さが存分に発揮されている。大体覆面レスラーたるモノ、ある程度中身が想像できないと面白くないので、そう言う意味では魔界の露出戦略は見事なモノである。誰がどう見ても想像のつく1号、5号、大魔人。それに対してプロレスマニアでも、ちょっと悩む2号、4号と実に奥が深い(つーか3号は?)。それで居て旧マシン軍団のように1号頼りでなく、どの選手もなかなかの実力派だと言うのも良くて、ますます今後の展開が楽しみになってくる。それぞれのレスラーが正体を明らかにして行くだけでも、充分半年ぐらいネタは持ちそうである。
大魔人の入場の面白さ、破悧魔王'Zの入場曲のセンスについては当日の感想として書いておいたとと思うが、今週の放送でその素晴らしさがわかって貰えたと思う。ちなみに大魔人、迫り上がってくる前ワンフレーズにはアンドレのテーマが付け加えられていて、これまたオールドプロレスファンを喜ばせる小憎らしい演出になっていた。大魔人の身長が230センチ〜240センチで、日によって変わるというのもまたファンタジー(笑)だが、まぁ厚底シューズ履くか履かないかで、それぐらい身長は変わると言う事を星野総裁は正直に告白してくれたのでは無いだろうか(笑)また破悧魔王'Z、5号の蹴りは相変わらず重い。今週も飯塚が気持ちよーくいっちゃってる、衝撃の映像が流されたが、柳澤辺りは、仲間内に良いお手本が居るのだから、よく勉強して貰いたいモノだ。
三沢蝶野組対田上小橋組は、放送局との兼ね合いで、前回の三沢対蝶野戦再放送に時間が割かれていたが、やっぱり蝶野のトペはしっかりと放送されていた。放つ直前の蝶野の視線等から、蝶野の揺れる心が伺えるので是非その辺りを見て欲しい。今週は全体で3試合。三沢蝶野組対田上小橋組がダイジェストだから、実質魔界2試合の放送であった。これぐらいじっくりと試合を見せてくれると「プロレスを見た」と言う気にさせられる(そのおかげでキャットレフリーの迷走ぶりもしっかりと放送されたわけだが)。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(1/22記)
1.10武道館大会。丸藤復帰戦、高山ノア復帰戦。
遂にノアジュニアに丸藤が返ってきた。丸藤欠場前までのノアジュニアは、金丸は只のヒールに過ぎなかったし、菊地もどちらかと言う順調に衰えていく準備をしているような状態だったと思う。それ程までに丸藤のルックス、センスは才能に溢れていてスター性が抜群だったわけだ。だが状況は丸藤の負傷でガラリと変わる。独自の体操選手的世界観に支配されつつあったノアジュニアが、一気に泥臭い世界に変わり、挙げ句新日ジュニアとの対抗戦までやってしまうような状況となってしまったのである。自分が欠場中に大きく世の中が動いていく。丸藤にとってはたまらなかったであろう。丸藤欠場中の方が、有る意味ノアジュニアは盛り上がってしまったわけなのだから。若手も隙を見てしっかりと成長してしまった。KENTA、鼓太朗、また橋誠も着実に自分のポジションを固めつつある。丸藤頼みだったノアジュニアが、いつの間にか丸藤無しでキチンと成立しているのである。
そんな丸藤がまず目指すのは、自分の場所を取り返すことである。この日の試合では取り敢えず、レスリングセンスが錆びついていない事は証明できていた。だが、丸藤が欠場中に新日ジュニアと絡んだせいで、ノアジュニアはぐーんと当たりに強い団体となっている。橋誠がその代表であろう。体操選手的プロレスラーの丸藤にとって、この流れの変化は大きいだろう?果たして橋の、菊地の、あるいは杉浦の当たりの強さに丸藤は対応できるのだろうか?インタビューではすぐにでもトップの座を取り返せるような事を言っていたが、現実はそんなに甘くないのでは?と思う。
散々他団体で名声を高めてきた高山が、いよいよ本拠地(だよね?)ノアに帰ってきた。やっぱり高山にはノアが似合っていると思う。この日の対戦相手力皇を見ても解るように、やはりノアにはデカイ選手が多い。プロレスの醍醐味は、デカイレスラーとデカイレスラーのぶつかり合いから生まれる非日常性である。190センチの力皇と196センチの高山がリングをギシギシ言わせながらぶつかり合う様は、それだけで充分お金を払う価値があるというモノだ。今の高山ならどんな相手とやっても名勝負には出来るだろう。だが、やはり大型選手同士の戦いこそが、本当の名勝負製造器なのである。全日黄金時代、鶴田が天龍がハンセンやブロディと大暴れしていたあの頃。あれが再現できる団体は、やはりノアしかないのである。森嶋、力皇あたりを高山がしっかりと導いてやって欲しい。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(1/28記)
1.4東京ドーム大会。無我。ジュニア抗争。
1.4東京ドーム大会最高の試合は実は第一試合に組み込まれていた。そう、西村対藤波の無我対決である。試合内容の素晴らしさは今週ノーカットで放送されたので(ありがたい!)、じっくり味わって貰えたと思うが、会場の反応がなかなか良かった事にも気づいて貰えただろうか?東京ドームなどの大会場での興行というと、試合時間が長くなってしまう為、通ぶった嫌なファンはやや遅れてきて3.4試合目ぐらいから観戦すると言うパターンがある。新聞雑誌などのネタになるビッグマッチだけ押さえとけば良い。と言う考えなのだろう。だがこんなファンは通でも何でもない、ただのミーハーバカファンに過ぎない。第一試合こそ期待の若手のカードが組まれていたり、酸いも甘いも知り尽くしたベテランが、会場を暖めてくれる試合をしてくれたりするモノなので、絶対に欠かせないカードなのだ。
ただそんな第一試合の定義以上に、この無我対決は良い試合だったと思う。その後の試合が休憩以降ドンドンぐだぐだになって行った事を考えると、これを押さえていたか見逃したかでこの興行の価値はグーンと変わったと思う。現に第一試合をしっかりと見ていた優良ファンの会場での反応はすこぶる良く、東京ドームと言うデカイ鉢の試合にしては、場内に見事なまでの一体感が生まれていた。見るべきファンは見てるって事である。
ジュニア抗争。←のついでにようやくライガーパンクラスマットで惨敗。も放送されることになった。上でも書いたけど、これぐらいじっくりと試合が見れて番組構成されていると、解りやすいし面白ねぇ。いつもがいかに詰め込みすぎだかがわかるよ。で、またもライガー先生が勝手にお怒りなのだが、確かに言っている事は正論でいちいちうなずける。うなずけるんだけど、結局そんな新日ジュニアの流れを作ったのはライガーだと言う事を思い出して欲しい。まず今の新日本体のメンバーを見て欲しい。笑!全然新日本体じゃない事に気づくと思う。ヒートも成瀬もタイガーも垣原もみーんな他団体からやって来た外様レスラーである。これらの選手の殆どは、ライガーが気に入って引っ張ってきたわけである。
新日で基本を叩き込まれていないレスラーに、いくら新日魂の話をしても、それはなかなか伝わらないと思う。また「死ぬ気でやれ」的事を散々言っているけど、これもライガー自身が頭の問題等から、手抜き試合をやっていた反動が出ているのではないだろうか?一時期の掌底→ブレンバスターだけの試合のどこに「死ぬ気」が有ったと言えるんだろう?とにかくライガーがプロレス好きなのは解る。わかるけどいまいちライガーには感情移入が出来ない。あまりにもライガーに振り回され過ぎな新日ジュニアもどうにかして貰いたいところだ。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(1/31記)
IWGPジュニアタッグ選手権、金丸菊地組対金本ライガー組。
当初は「行って来い」だと誰もが思っていた、ノア金丸菊地組のIWGPタッグチャンピオン。意外や意外順調に防衛を記録して、なかなか新日にベルトが戻らない異常事態となって来た。まぁサムライ成瀬組では防衛も仕方ないかな?と思っていたが、前回の邪道外道組との試合でも防衛して見せたのには正直驚いた。しかも併せて試合内容も良かったのだからチャンピオンとしては文句のつけようがない。実力的にはどう見ても新日ジュニアに劣っていたノアジュニアだが、この半年余りの攻防の中で着実にレベルを上げて、何より新日の激しい「当たり」に負けないようになってきたと思う。
だが遂に金本ライガー組の登場である。事実上新日ジュニアのトップ二人が、ベルトを取り返しにわざわざ組んだのである(そう、わざわざだと思う。で、この戦いを経験したライガーが、また新日に帰って怒ると)、本気で取り返しに来たと言っても過言ではないだろう。そして試合内容も実に嫌らしい試合だった。ノア初見参の金本を中心に、ノア勢の実力チェックをするようなキツイ展開。この半年でどれぐらいモノになったのか?ライガー教官が金丸菊地をチェックしているような試合だった。その実力テストに金丸菊地は見事に答えてみせる。挙げ句、新日ペースの試合だった筈が、25分を越えるロングバトルになって(また日テレの編集が巧みでカットを感じさせない!)どちらかと言うとノアペースの試合になってしまったのである。
試合はそりゃこの二人が出てきて、手ぶらで帰るわけには行かないので金本ライガーの勝利となった。だがワープロでお怒りのライガーの言うとおり、今の新日本体ジュニアなら、確実にノアジュニアの方がレベルが上だと思う。そうライガーも確信したからこそ、敢えて丸藤を挑発し、杉浦を刺激したのである。ベルトが帰って来たことによって、一時的にノアと距離を置いても良かったのにで有る。ノア初登場の金本にしてもわざわざコスチュームを新調する気合いの入れようである、これからも新日とノアのジュニア攻防は、良い形で盛り上がっていくのだろう。
いや、それにしても百田さん、本当に新日ジュニアの事、金本の事知らないんですね・・・
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/2記)
年始の東京ドーム大会以後、新日本プロレスは正月休みに入る。この間に契約更改なんかが行われわけだが、基本的に新日主催の興行は無い。なのでこの時期はワープロも放送する試合が無くなってしまうのだ。だから延々じっくりと先週までは東京ドーム大会を掘り下げていたわけである。だが今週は東京ドーム大会の試合もなくなってしまい、おまけに唯一この期間に行われた試合は、ノア主催日テレ放映権のIWGPジュニアタッグ選手権である。これでは到底1時間持たせられるわけがないので、人気の星野総裁を追う「魔界特集」となったわけだ。
いつもはテレ朝ワープロの放送に文句を言うことが多い筆者だが、先週、今週とワープロスタッフはなかなか良い仕事をしていると思う。今週も星野総裁を掘り下げる為に持ち出してきたフィルムが実に良い。ヤマハ時代を振り返るシーンでの対戦相手は鶴見五郎だったし(笑)、星野勘太郎が一番輝いたシーンと言えば誰もが上げる「対UWF戦(Uインターなんかじゃ無いぞ)」もしっかりと取り上げていて手抜かり無しである。筆者らの世代では、学校で星野と言う友達が居れば必ずあだ名は「勘太郎」であった(併せて井上ならマイティ)。そんな星野勘太郎現役時代を知るモノとしては、今週の放送は実に懐かしく、実に楽しく見れた。やはり通常のワープロが詰め込み過ぎの放送なのである。トップレスラーの試合、動向中心の放送で良いのではないだろうか?藤田、真壁辺りの試合や、内容の大して無いマイクアピールを放送するから時間が無くなってしまうわけである。そんなモノこそ地上波以外での放送で良かろう?限られた地上波の1時間枠はトップレスラーの為だけに有るべきだと思う。
そんな時間の足りない1時間の中に、ワープロスタッフは豊富な放送資料の中から昔のフィルムを見せてくれる枠を作ってしまった。これは両刃の剣である。いや、放送時間との兼ね合いとかの意ではない。ダイジェストではあるモノの毎週昔の(しかも当然良い試合ばかり)試合が放送されるわけである。昔のプロフェッショナルレスラーの試合をである。これは今現在、しょっぱい試合しか出来ないレスラーにとってはつらかろう?筆者にしてみれば、いつも言い続けていることが、平成新日ファンにも伝わるのではないか?と淡い期待を寄せてしまうのだが・・・じっくり試合内容を比べて見て欲しい。
で、今週の放送がまた筆者のツボ刺激しまくりのネタだった。聞いたことも無いミュージシャンが出て来た時には「どうせ大した試合上げないんだろ?」なんて高を括っていたが、その聞いたことも無いミュージシャンが上げた試合は「猪木対国際軍団1対3ハンディキャップマッチ」だった。「どうもすいませんでした」反省してます。あんた通だよ。そしてバカだよ。よりによってこの試合かい!ここら辺りが筆者のプロレススタート地点なので、もう鳥肌立ちまくりである。みんな見たかい?これが木村さんだよ。この体の張り。これがラッシャー木村なんだよ!そして猪木の猪木ワールド。見事に展開されてるよね。後年(つーか先週)IWGP決勝でホーガンに失神させられる元ネタが、もうこんな所で出ていたとは!明らかに猪木は失神して見せようとしていた。ツバもだらーんと出して見せて、泡吹いていたホーガンの時と同様である。この映像のせいで、ホーガン戦での「猪木演出論」がますます真実味をおびたと思う。そんな貴重な映像をありがとう!ワープロスタッフ。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(2/5記)
GHCタッグ選手権、本田井上組対秋山斉藤組。
GHCタッグである。秋山組が王者について以来、何故だか誰も興味を示さなくなった不思議なベルトである。挙げ句秋山は頭に来て、他団体との防衛戦をやったりしているわけだが、そんな状況でもやりたいのにやらせて貰えなかったチームがある。そう万年アジアタッグ王者チーム、本田井上組である。二人が所属するのはノアマットであるから、当然アジアタッグのベルトは無い(今誰が持ってるんだ?)。だがプロレスファンの頭のどこかには「あぁ本田井上組はアジア持ってるからGHCやらせて貰えないんだよな」な〜んて思考が確実に働いてしまっているはずだ。それ程までに本田井上組=アジアタッグと言う印象は強い。
大体チームを組んでいい加減長いのに、この二人にはチーム名が無い。ノアは組んでたいして長くもないのに、やたらチーム名をつけたがる団体なのにである。そこら辺りからもこの二人の微妙な(見方によっては絶妙な)ポジショニングが伺える。そんな本田井上組が、解散を掛けてまで秋山に再度GHC挑戦を直訴した(つーか本田だけだけど)。そこまで言われては秋山も受けないわけには行かず、ついこの間大谷田中組と対戦したばかりなのに、またもや防衛戦をやる事となったわけである。
本田は頑張っていた。さすがに自分から解散を掛けてまで挑戦させてくれと直訴しただけある。ある種、久々に本気の本田が見れたような気がする。だが、問題は井上の方である。この欄で散々井上は「プロフェッショナルレスラーである」「巧いレスラーである」と評価してきた。しかしこの試合の井上は、その巧さがまるっきり裏目に出てしまっていた。井上の「巧さ」と言うモノは、プロレスを組み立てる巧さ、スター選手を引き立てる巧さなのである。しょっぱいスター選手でも、井上のおかげで光り輝いたりする事が出来るプロの仕事なわけである。そんな巧さを井上はタイトルマッチのチャンピオン相手にいつも通りやってしまっていた。
具体的に言うと、本田が攻めている時に秋山がカットに入ろうとする。当然攻めているシーンだから本田のタッグパートナー井上は、秋山のカットに入る。だがこの際のカットが甘いのだ。「カットをしましたよ」と言うだけで、実際にはカットし切れていない。だから秋山は一旦引くモノのすぐに本田に攻撃を仕掛けてしまう。いや、通常の秋山組を引き立たせる試合では、こういうカットで問題はないのだ。だが今日はタイトルマッチである。しかも自分達の解散が掛かっているわけである。本田が攻勢ならその時間をなるべく長くしなければ行けないのである。そう言う場面であのカットは無い。
終始井上はこんなペースであった。本田の必死さの割に、井上の必死さが感じられない。勝手に解散を掛けてしまった本田との温度差がずーっと感じられていたように思う。試合自体は25分、ノアらしい良い試合だったと思う。だが序盤で井上の普通さに気づいてしまった筆者には、なんとも不満の残るタイトルマッチであった。試合後に秋山が本田にだけ手を差しのべたことが全てを物語っている。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/11記)
ようやく2003年レギュラーでの放送が始まった。初っぱなからIWGPヘビー級選手権試合と気合いの入った放送である。
そんな表の気合いの入りっぷりとは別に、密かに気合いの入っていた男が木村健悟である。解説者としてセミリタイア中、およそ1年半ぶりのマット復帰である。まあ当然有る目標に向けての復帰なのだが、体つきを見る限り、まだまだバリバリ試合に出ていておかしくない。本当メジャー団体「新日」と言うのは罪な団体である(もっとも飼い慣らされる事を望んだのは木村健悟自身なのだが)。藤波がライバル長州、天龍の動向に触発されて肉体改造に励むと言うのに、木村健悟はこのままで良いのだろうか?安定を求めて一線から退いてしまうその様は、らしいっちゃらしいのだが、最後まで「らしくもないぜ」で居て欲しかった気もする。とにかく本家「いなづばぁ」も、あと少しである。弱くもないんだけど強くもない。そんな木村健悟を堪能して欲しい。
「ジュニアの頃の体に戻す」そんなおよそ実現不可能そうな野望を抱いた藤波社長。さすがナンバー2の木村健悟とは生き様が違います(笑)。で、今週のレトロフィルムは、そんな藤波発言を踏まえたのか、ジュニア時代の最高に格好良い藤波辰巳!本当にこの時代に戻れるのなら戻って欲しい。思うに新日の堕落は、藤波がヘビーに転向した辺りから始まっていると思う。小さい人は小さいなりのプロレスをするべきなのに、無理に体重増やしてヘビーに転向するから、腰を痛めたりするし、試合からキレも無くなってしまうのである。藤波のヘビー転向が無ければ、今のこのインディー団体乱立も無く、素人みたいなプロレスラーも生まれなかったと思う。小さくてもプロレス団体のエースになれるんだ。そう錯覚させた影響はデカイと思う。
で、IWGPタイトルマッチ西村対永田である。多少のカットがあったので、試合を全て把握できているかは解らないが、まぁまぁの出来なんじゃないだろうか?及第点のタイトルマッチだとは思うが、永田と西村で有ればもう少し盛り上がりが、熱くなれる場面が有っても良かったのでは?と思う。それより何より、西村のタイツが全日式黒タイツだったのは何故なんだろう?しかも細身の西村には全くフィットしておらず、典型的オムツ状態と化していた。裸足で来るのは個人的には西村本気モードのあかしなので、気にならない(むしろ格好良く見える)のだが、この黒タイツだけは頂けない。ココリコ遠藤のほほほーいに見えたファンも少なくないだろう。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(2/13記)
GHCヘビー級タイトルマッチ前哨戦、小橋ケンタ組(ややこしい(笑))組対三沢丸藤組。
↑つー内容が今週の放送なんだけど、そんな事はどうでも良いのである。それどころではない事が起きてしまっているわけだ。そう、大森のノア離脱である。筆者はノアの中で、つーか現役日本人プロレスラーの中で一番大森が好きなのである。その大森がノアから居なくなって、現状の噂ではWJ(ワールドジャパン)入りするという。何て事だろう・・・ここを長い間読んでくれている人達には周知の事実だが、筆者はこれまた長州力が大嫌いなのである(厳密に言うと全日に行くまでの長州は大好きだった)。そう言うわけで出来ればWJなんぞは早々と潰れて欲しいと思っていたし、参加予定レスラーもロートルばかりだったのでそうなる日も近いと思っていた。なのに鈴木健想の入団に続いて大森である。デカイレスラー好きとしては、ほっとく事の出来ない団体になりつつある。
で、↑この話と微妙にリンクしてくるのが今週の放送である。試合後丸藤がウェーブ離脱を表明し、新たなグループ結成を呼びかけた。丸藤が「ノアマットを変える」らしい・・・笑わせるじゃないか?どうしてこの男はそんな事を言い出せるのであろう?確かにセンスの良いレスラーではある。だが丸藤。レスラーデビューしてから、ノアが旗揚げされてから、何をやって来たと言えるのだろうか?正直怪我のせいもあって、筆者には「何もやっていない」そう見える。そんな何もやっていない男が、ノアを変える?ちゃんちゃらおかしな話である。これがまだ金丸や菊地なら解らなくもない。新日との対抗戦を見事乗り切って見せた実績がモノを言うのであるから。
だが、丸藤はなーんにもやっていない。ただちょっと男前で女子に人気があるだけの軽量ジュニア戦士でしかないのだ。新日勢とやり合った金丸達は、ヘビーの当たりにも耐えられるようになっているだろう。だがその間も丸藤は何もやっていなかったのである。なのにどうして、ヘビーも含めて「ノアを変える」こんな事が言えるのだろう?やられた直後のマイクアピールで、はぁはぁ言いながら格好良いことを言っていた。正直気持ち悪かった。ナルシストの自己アピール。それ以外の何ものでもない。「こんな風にダメージを受けながらも頑張って居るんだと言うポーズを取れば、女性ファンがキャーキャー言ってくれる」そんな浅はかな計算が見え隠れする気持ち悪い丸藤。今までは嫌いではなかった丸藤だが、今週の放送をきっかけに筆者はもう駄目だ。何度でも言う。「ノアを変える」そんな資格は丸藤には無い。まずそれなりの実績を残してから三文芝居は展開して欲しい。
話が長くなったが、どうしてこれが大森のノア離脱と絡むかと言うと、ノアは、三沢社長は、ジュニア選手を優遇しすぎなのではないだろうか?前々から小川の抜擢には苦言を呈し続けていたが、それを休場中見ていた、丸藤の思い上がりが今回の騒動である。確かに三沢自身もジュニアであったから、ジュニアの可能性が解っているのだろう。だが、ジュニア選手がヘビーでやって行くには、それは普通では考えられない練習と、センスが必要なのである。三沢や藤波は特別なのである。スーパーヘビー級と対戦して、その相手のスーパーヘビーの選手をも輝かすには、やはりジュニア選手では試合が成立しないのである。相手の技を正面きって受けられないジュニア選手は、ヘビー級団体のトップの座につくべきではないのだ。
なのに三沢はジュニアの選手をなんとかトップの争いに食い込まそうとしている。正直、ヘビーとジュニアの組み合わせでの「ヘビー級タイトルマッチ」には飽き飽きだ。どうしてヘビー級が4人リングに揃わない?そんな飛車角落ちのタイトルマッチが面白いわけがない。高山大森のノーフィアー、三沢力皇組、秋山森嶋組、小橋志賀組、ベイダースコーピオ。これらで争われるヘビー級タイトルマッチの方がどれだけ面白かったか?そしてファンも選手もこういうカードを本来見たかった、やりたかったのではないのだろうか?そう言う不満が、高山のフリー化、大森の離脱に繋がったのではないだろうか?丸藤の勘違いも全て三沢のジュニア偏重采配に有ると思う。
ジュニアにはジュニアの魅力が有るのである。たまにヘビーと絡むからジュニアの良さも引き立つのである。常時ジュニアが絡んでいるようなヘビー級戦線。そんなのはインディー団体でしかない。デカイ奴が強い。それがプロレスなのだ。ジュニアで団体のトップを取りたかったら、ユニバーサルやみちのくのような団体を起こすべきなのである。3大メジャー中、一番ヘビー級に理解のあった馬場直径のノアがこの始末では、日本プロレス界はどうなっていくのだろう?
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/18記)
今週は目立った動き、試合は無し。と言いたいところだが、今週の試合後に蝶野が言った「Wタイトルマッチ」がスチールの故障によって早々と幻に・・・せっかく村上も切れて見せて大暴れだったのにその甲斐も無しか。バートンスチール組って新日には居ない、本格的大型外人チームなので大いに期待して居るんだけど、この怪我の影響は大きいんじゃないだろうか?いつまでもノートンじゃあ困るんだけどなぁ
で、最近の新日で一番輝いていて、キャラが立っているのが村上であろう。小川の補佐的位置に居た時はいまいちパッとしなかったが、魔界で安田がぼんやりしている今、実質ナンバー1待遇なので実に生き生きとしている。インタビューも他の魔界メンバーが「ヒール=良い人」的雰囲気で、どうしても一杯一杯になっちゃう所を一人「殺すのみ!」いや〜なかなか言えないよ、プロレスの世界で「殺す」って言葉。どう言ったって嘘っぽく聞こえて説得力無くなるモノ。なのに村上が「殺す」って言うと本当に殺す気があるんじゃないのか?と思わせる。ここまでキャラが徹底しているレスラー最近じゃ本当に珍しい!昔はジェット・シンなんか本当に怖くて、会場でもなかなか近寄れなかったけど、あの時代のヒールの殺伐とした雰囲気が村上には有る。実に貴重なレスラーである。
金本の説得?に応じて藤田ミノルがジュニアに専念しそうである。にっちもさっちも行かなくなるのは目に見えているわけだから、金本も良いタイミングで助け船を差し出したと思う。元々ジュニアで見れば良い選手なのだから、今後の戦いに期待が持てる。で、真壁はどうするんだ?もう一度体重絞ってジュニアに戻るべきなのでは?1日で31キロ落とせる藤田にダイエット方法教わると良いんじゃないか?ジュニアと言えば野上、久々の復帰である。ダイジェスト前のしゃべりでは噛みまくりで、おいおいこんなので本当に俳優として働けてるのか?と心配になったが、試合でも何故かヒート側につき、あれれ?と言う感じである。ライガー金本、邪道外道、野上。T2000ジュニアはどうなってるんだ?
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(2/19記)
今週は日テレ、コロッセオでの「ディファ杯」中継と併せてなんと2時間のプロレス中継!頑張れば枠取れるんじゃないか・・・以前コロッセオからノア中継に切り替わる際にも書いたけど、是非ノア30分コロッセオ30分いや、ノア45分、コロッセオ15分の1時間番組に出来ないモノだろうか?
でまぁ、なかなかグッドな企画ディファ杯である。誰が考えたのかはよく知らないが、ジュニアならでのオールスター戦(メンツ的にはオールスターとまでは行ってないが・・・あ、だからジュニアオールスター(2軍のオールスター/プロ野球)なのか(笑))は大変華やかだし、ヘビー級とは違って、変に勝ち負けに拘る必要が無いのが良い(語弊が有るかと思うが、ジュニアはやはりその「技」を魅せることが第一だと思うので)。ただ三沢が提案したのだとしたら、先週のジュニア偏重と言う話題ともリンクしてしまうのだが。
結局決勝に残ったのは、出場選手のなかで別格な、ウルティモドラゴン組と高岩組であった。こりゃまぁ当然と言えば当然で、他がみな期待の若手レベルな中で、メジャー団体のベルトを巻いたこともある二人が出ているのだから、やる前からある程度予想の出来た決勝戦である。只ご存じの通り、ウルティモドラゴンは医療ミスから来る左手のしびれで長期欠場していたわけで、そこからここまで復活してきたのだと、示す場としては恰好の大会、恰好の決勝戦だったのではないだろうか?動き自体も大変スムーズで、左手が不都合な印象は全く見せなかった。本人にとっては完全復活はあり得ないのかも知れないが、復活と言っても差し支えのない出来だったと思う。
今度は是非オールスターでのディファ杯の実現を、ヘビー級での実現を期待したい。インディー団体には色々苦言も呈したいが、頑張っているインディーを助ける意味でも良い企画だったと思う。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(2/26記)
IWGPヘビータッグ選手権、NWFヘビー級タイトルマッチ。
二大タイトルマッチである。共にチャレンジャー側は魔界と言う「今」なタイトルマッチだったと言えよう。ただ試合として良かったかと言われると、ちょっと疑問符をつけたい所もあった。まずタッグの方、そもそもの挑戦者はバートン&スティールだったのに負傷で急遽、村上安田組に変更になったわけである。それがシリーズ全体の流れとしてスムーズさに欠け、それが対戦者同士のモチベーション下げる原因に繋がったとも言える。また天山が事前の試合で首を負傷すると言う状況だったのも、試合がかっちり噛み合わなかった原因の一つであろう。なんと言っても魔界、特に村上は暴れまくる事に華があるわけで、蝶野に負傷の天山では、その良さも100%発揮出来ないわけである。相手の技を受け切れないのだからチャンピオンとしては当然失格なわけでそんなチャンピオンが面白い試合を作れるわけがない。結局苦肉の策で流血と言うオプションに頼ったわけだが、これまた典型的新日のカッティングシーン。場外で乱闘になって大人数に囲まれた途端流血していると言う茶番劇をまた魅せられる事となった。
満足な試合が出来ないのを流血で誤魔化しておいて、フィニッシュは唐突に訪れる。本当に典型的駄目タイトルマッチである。しかもきっかけは村上安田組の誤爆から・・・全然脳天から落ちていない安全式の垂直落下式ブレーンバスターで、何故か安田が全く動かなくなりスリーカウント。流れもへったくれも無いしょっぱい試合である。20分の声を聞いて動くのが面倒になったわけではないだろうが、安田にしてももう少し説得力のあるスリーカウントの取られ方をするべきだと思う。こう言うところで、相手レスラーのフォローをしない辺りが、安田の人間としての駄目さ加減を表していると思う。相手があって試合は成り立つモノだと言う事をよく考えるべきである。
で、NWFヘビーの方は、まあ典型的高山試合。高山の良さが全面に出た試合で、それはそれで良いことだと思う。ただ、いかんせんプロレス素人の柳澤がパッとしなかった。なんと言ってもこの試合の対戦相手チャンピオンは高山なのである。日頃の新日勢みたいにビクビクして蹴らなくて良いはずなのである。そんな程度で壊れる高山ではないのだから。途中から高山の攻めに目が覚めたのか、なかなか鋭い蹴りを放つようになってきた。それ自体は良いことだし、それぐらいやらないとプロレスの凄さ、面白さは伝わらないと気づいたのかも知れないが、今更タイトルマッチの場で気づいてもどうなるモノでもないだろう(笑)。殆ど何も出来ないままに高山に葬り去られた。そんなわけでタイトルマッチの緊張感が有ったか?と言われれば、この試合もノーだと思う。
柳澤こそ本来高山と組むべき選手だと思う。魔界という括りが難しくしているのだが、高山から見ても、大型の柳澤はパートナーとして最適だと思う。ノーフィアーになるべきなのは真壁なんかではないだろう?柳澤も魔界に居るレスラーでお手本になるような「プロ」レスラーは居ないわけであるのだから、しっかり「プロレス」学ぶには高山と組むべきだと思う。素材は良いのだから柳澤をこのまま木偶の坊で沈めてしまうのは勿体ない。決して成瀬の二の舞を踏ませては行けないのだ。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(2/26記)
力丸猛である。力皇、丸藤、森嶋が組んでノア第一世代の壁を乗り越えようと言う事になった。
正直、丸藤が最初にこのバカなマイクアピールをした時は唖然とした。丸藤は本気で、ヘビー級の三沢小橋秋山を超えられると考えているのか?と。今でもその思いは変わらないし、この思い上がった行動を取った丸藤を認めたくない思いで一杯である。だがその丸藤の声に応えたのは、ノア若手世代で一番筆者が認めている力皇だった。さらに去年W猛としてタッグのベルトを取った時は全く認めていなかった森嶋も、今日の放送で共闘を誓った。↑こうことわったのは、現在は森嶋を認め始めているからである。チャンピオンベルトを失ってから森嶋は変わってきた。何故巻いているのか解らないような状況にあった時は正直ただのしょっぱいレスラーでしかなかった。発言も現在の丸藤のように思い上がったモノが多かった。
だがベルトを失って、逆に森嶋には目的が出来たのだろう。目的のはっきりとした森嶋は着実に変わっていった。何よりその体つきが変わったと思わないだろうか?以前の森嶋はみっともないまでにぶくぶく太った腹回りをしていた。あれはどう見ても鍛えて出来た腹では無かった。だが現在の森嶋の腹回りは、まだまだデカイ事には変わりないが、固い腹に見える。明らかに鍛えた腹になってきているのだ。解りやすい例えで言うとテリーゴディのような腹になってきたのだ。こうなってくるとあの体は凶器と化す。体が武器となって森嶋を導いていくのである。そんなわけで、実は今後のワイルドIIの動向は非常に気になっていた。次タイトルマッチに絡んだ時は面白くなるのでは?試合内容でも合格点が上げられるような面白い試合をしてくれるのでは?と。
そんな状況下でワイルドIIは丸藤と合体することとなった。丸藤は一切認めないが、ワイルドIIには期待してしまう。筆者としても難しい立場である。まぁヘビー級のタッグチームには小さいマネージャーがつくのはプロレスの掟みたいなモノである。丸藤にはせいぜい利口な頭を使って、ワイルドIIをもり立てて貰いたいモノである。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(3/3記)
3.1ノア武道館決戦。同日には長州率いるWJも興行を予定し「3.1興行戦争」なんて言われていた、しかもノア所属だった大森が、形上は引き抜かれてWJ入りするわけで、ロートルばかりの寄せ集めWJ相手とは言え、意識しないわけに行かない状況となってきた。
そんなわけでノアの3.1興行のカードは気合いが入っていた(別にWJを意識したわけではないが)。メインにノア旗揚げ以来初めて、タイトルマッチとして三沢対小橋の黄金カードを持ってきた。過去幾多の名勝負を繰り広げ、御大ジャイアント馬場を泣かせてしまった程の二人の戦いが遂に3年半ぶりに行われるのである。正直このカードが組んで有るだけで、ノアの圧勝だと筆者は思ってしまう。
で、今週の放送は当然、その三沢小橋戦だと誰もが考えていたであろう?テレ朝と違って、大一番の速報性には定評の有る日テレである。何の疑いも持っていなかった・・・だが放送されたカードは雅央対高山。いや、雅央がこれまたいつも通り良い仕事をしていて、さらに雅央ギャルも良い仕事をしていて、何て話はどうでも良い。おい、どう言うことだ?週プロ読んでから放送見ろっていうのか?30分の放送中納得行かない気分で一杯だった。が、最後に吉報が!放映時間を拡大してノーカットで放送!!よし。それならしょうがない。それ程凄い試合だったって事だな?結果は残念ながら知ってしまったが、週プロなどでも余計な情報を入れないで来週を待とうと思う。今週のバカ場外タイガースープレックスだけでもその価値は有ると思う。
とにかく来週。それだけだ。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/10記)
G-2クライマックス他諸々・・・
スキャンダルから復活した棚橋が提唱した、30歳以下の選手による総当たり戦G-2クライマックス。面白い企画ではある。ただなんつーか新日はこの先、棚橋中心に回っていくのだな・・・と言うのが見え隠れしていやな雰囲気ではある。棚橋自身は良い選手だと思うし、嫌いでもない。だがやっぱりというか何というか、上背が足りない。この棚橋を中心としてしまって、棚橋世代になった時の新日にスケールの大きなレスリングが出来るかというとちと疑問だと思う。伝統的に大型ファイターがトップを取る確率の低い新日。そんな伝統がまた守られそうで、この早い時期からの棚橋抜擢にはちと苦言を呈したい(他のメンバーも小さいよね・・・柴田に真壁にウルフ)。
真鍋勉強不足。何故?ブルーウルフは明らかにいつも通り高らかと「もんごるすぅらーむ」と叫んでいたのである。なのにどうしてバックブリーカーだと思うのだろうか?そりゃ健悟も慌てて訂正するわな。昔から真鍋の実況には問題が多かった。だがバカ大仁田劇場を経て、ワープロメインアナへと登り詰めてしまった。その辺りのおごり高ぶりが、このシーンに凝縮されていたと思う。ブルーウルフと言えばモンゴルスラムなのは明かである。自分が!自分が!の思いが強すぎて、アナウンサーとしての本分を忘れてしまっている。日テレ矢島アナの勉強熱心さを見習うべきである。先輩辻の悪いところだけは忠実に受け継いでいるしまっている。
稲妻伝承。カッキーラッキーである。ノアを離脱して正解であった。これで今後は池田の「イナズバー」は偽物なのである(笑)。まぁ元々放った後に叫ぶ、池田方式はまがい物臭かったが・・・魔界転落。新日本体は早くも魔界には見切りをつけたのだろうか?あれだけの陣容を誇っている魔界の相手が今シリーズは「犬」中心になりそうである。筆者が後藤達を大いに評価しているのは、この欄を見てくれている人達には伝わっているだろうが、やっぱりカード的にはちと寂しいモノがある。まだまだ魔界ネタで引っ張れるだろう?
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(3/10記)
3.1ノア武道館決戦。GHCヘビー級選手権、三沢対小橋。
さてどこから手をつけて行くべきだろうかこの試合・・・まずあまりの試合内容に1時間の拡大枠に突如変更した日テレのプロレス愛に感謝。通常30分枠しかないのはどうかと思うが、ことプロレス班の愛情深さは、中継内容で1時間のテレ朝を大きく上回っている点でも理解できると思う。また33分の試合中に1回もCMが入らなかったのも素晴らしい。大したスポンサーの付いてない深夜枠だからこその英断だとは思うが、これこそまさにノーカットである。さらにアナウンサーの裏方に徹したスタイル、キチンと勉強している実況と試合内容だけでなく、放送でもプロレスの凄さを証明した好中継だったと思う。リアルタイムで体験していないアナウンサーが「ウルトラタイガードロップ」とか「タイガースープレックス85」とかをキチンと把握しているのは凄いと思う(めったに出ない技だし、タイガースープレックスなんて84も有るわけだし)。そこら辺り自分も登場人物と勘違いしている真鍋辺りとは大違いである。
で、このようにノアを取り巻く状況としても大変「プロレスラブ」だったわけだが、試合も実にプロレスラーの凄さが伝わる試合だったと思う。いや本当に凄い。まぁ見た人にはその凄さは伝わっていると思うので、あんまりくどくどは書かないが、この試合を見て確信を持ったのが「プロレス最強説」いや、これでは語弊が有るだろうか?この世の中で一番「負けない」格闘家がプロレスラーだと思う。何でも有りの格闘技、バーリトゥードマッチやプライドなどで、プロレスラーは総合格闘家に苦杯を呈している。それを持ってしてプロレスラーは最強では無い。との考えが昨今の主流のようだが、やっぱり筆者は昔ながらの「プロレスラー最強説」を唱えたい。
ルール無しの戦いとうたわれている総合格闘技にも、実際はルールは存在する。完全決着ルールと言うのもルールのうちだ。何が言いたいのかというと、10カウントノックダウンは果たして負けなんだろうか?と言う事である。別に良いパンチ、キックを貰って10秒立てなかったからどうだと言うのだ?その後反撃して相手を倒す可能性だってあるのである。スリーパーで気絶したからどうだというのだ?その気絶した後、ボコボコにやられている最中に正気を取り戻して反撃するかも知れない。つまり通常の総合格闘技のルールというモノは、全てあくまで一瞬の勝利の判断にしか過ぎないのである。猪木が行った巌流島での決闘のような試合をやれば、果たして総合格闘家達がプロレスラーに勝てるだろうか?K-1ファィター達が船に乗って島から脱出することが出来るだろうか?
答えは「否」だと思う。所詮現在もてはやされてる格闘家達は、相手の技をいかに防御して倒すか?と言う練習しかしていない。世の格闘家の中で相手の技を受ける練習をしているのは、相撲取りとプロレスラーだけである。この差は大きい。相手の技をよけれているうちは良いし、ルールに守られているうちは良い。だが上記巌流島のような状況になったらどうだろう?ハイキックでノックアウトしても、船に乗り込むまでにプロレスラーは覚醒して追っかけてくるだろう?そんな事を繰り返すうちに、結局は体が丈夫なプロレスラーが勝ち残りそうな気がしてこないだろうか?
何を持ってして最強格闘技を比べるかは難しい。結局はその格闘技に有利なルールで戦った方が勝つだろう。ただ上記したような状況で、武器を使わないで、裸一貫で戦い合えば、勝ち残るのはプロレスである。話が大きく脱線したが、この三沢対小橋を見ていてそんな思いは確信に変わったのである。受け身が出来るから、あんな場外からのコンクリへのスープレックス投げ捨てが可能となるのである。受け身の練習も満足にしていない、相手の技を避けることばかり考えてる、他の格闘技にプロレスが負けるわけがない。
とまぁここまでは賛辞の連発であったが、この素晴らしい試合にも問題点はある。まずあまりに凄すぎて、ノアの他の選手がついてこないのではないか?と言う点。試合後の秋山のインタビューなんかを読むと明らかに腰が引けている・・・「自分達もこんな試合をしなければ行けないのか?」そんな思いを若手レスラー達が抱くのも無理はない。この団体にいる限りはトップも取れない上に、いずれこんな試合をやらされる。そんな不安を覚えて脱落していく選手も居るのではないだろうか?現実問題観客は、このレベルをマックスとして認識し、ノアを見に来る限りは「この試合よりどうだ?」と言う判断をするだろう。小橋三沢が健在なうちは良いが、三沢の年を考えても、そろそろこういう試合は出来なくなっていくだろう?そうなった時、小橋の相手として秋山や、森嶋達がこういう試合を出来るのだろうか?果たしてノアの他の選手にその覚悟が有るかどうかである。「三沢世代を乗り越えたい」なんて、病み上がりそうそうぶちまけた丸藤に問いただしたい問題である。
次に、正直プロレスの試合の組立としてはあんまり高いレベルの試合ではなかったと思う。フィニッシュは三沢の攻め疲れからか、それまでの展開から考えればあまりに呆気なく、最後までジャストミートの小橋のラリアットは見られなかった。小橋と言えばラリアットなわけだから、満足なラリアットを見せずに試合が終わってしまうのは「芸術点」と言う観点からもプロレスを見る筆者としては不満の残る点でもある。まぁだが、正直こんな試合を見せられて、そこまで冷静な分析は必要ないだろう。とにかく今回もある種の到達点に達した三沢対小橋戦であった。それだけは確かである。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/18記)
IWGPダブルタイトルマッチ。
なんだけど、この2試合どちらも実況後録りじゃないだろうか?真鍋の方はそんなに違和感を感じなかったが、辻の実況は何ともスタジオ感ありありだった。なぜにこんな大事な試合に実況班が行ってないのか?テレ朝の姿勢に疑問である。この2大タイトルマッチに、先日のノア「三沢対小橋」戦の影響が無かったと言えば嘘になるだろう?同じプロレスラーとして、あそこまで凄い試合を見せつけられたら、無視できるはずがないのだから。方やタッグマッチの方は大流血戦(と言っても真壁だけだが(笑))、方やシングルの方は60分フルタイムドローと、それぞれの見せ方で意地を示して見せたと言うところだろうか?
上記したようにIWGPヘビー級タイトルマッチは真壁大流血に注目が行ってしまった試合だった。だがそもそもこのカードの必然性の無さはどうにかならないだろうか?せっかくの高山というキャラクターを新日は使いこなしてるとは言い難い。何故真壁なのか?健想と高山のタッグは大いに納得が行った。大型日本人レスラーを高山が育てる。ワクワクする展開である。しかも健想自身が高山と組みたいと熱望していたのだから(当時そう言われてた)平成の東京タワーズの進化を大いに期待したモノだ。だがそんなに熱望していたはずの健想はさっさとWJに移籍、続いて組んだ長尾も194センチだから、これまた高山が育てるという点では合点が行ったし、高山自身が抜擢したというストーリーも面白かった。だが試合後に高山は「フロントに押しつけられた」と白状・・・
で何故真壁?ちいせーよ。今度は本当に気に入って高山組んでるんだろうか?つーか流血意外に何が出来るんだ真壁?ヘビー級では何も出来ない真壁が、唯一辿り着いた先が流血だというのなら、それはそれで有りなのかも知れないが、そのパートナーが高山で、さらにタッグのベルトに挑戦すると言う必然性、面白味が全くない。そもそも真壁のヘビー転向も大反対だったのだが、現状の真壁の使い方、高山との絡め方はなんだかなぁ?と言う感じである。余ってる選手組ましてベルトに挑戦させても盛り上がらないでしょ?
もう一つの永田対中西戦。これはある種新日における「三沢対小橋」戦になりうるカードで(同「永田対西村、西村対中西)、本人達がやる気を出せば、きっといつかは三沢対小橋戦を凌駕する試合が出来ると思う。現状でも新日の試合レベルを考えれば、頭一つ分ぐらいは抜け出ているのだが、もう一押し覚悟が足りないと思う。デンジャラスな角度で落ちていくのが正解とは言えないが、突き詰めていった二人にしか理解できない、狂気の世界というモノが有るはずである。残念ながら永田中西には、まだそこまで勝負を突き詰めたと言う印象が薄い。この試合もたぶん最初っから60分フルタイム戦う予定だったのであろう。それが伺えてしまう組み立ても悲しいが、そもそもNWFとの統一戦がちらついている上に防衛記録がかかっているのだから、永田が負ける訳がないのである。こういう結果の見えてるタイトルマッチ(しかもせっかくのきっ抗した力の持ち主同士なのに)にも、新日の編成下手が伺える。とほほ。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(3/18記)
6人タッグマッチ、杉浦橋金丸組対ケンタ丸藤鈴木組。
先週のここで「三沢と小橋の試合を見たその他の選手の反応が心配だ。」と書いた。ノアでのし上がってスター選手になるには、あれを越える試合が出来ないと行けないわけだから、根性の座っていない選手なら、他団体に逃げ出しても不思議じゃないと思ったからだ。だがこの6人タッグを見てそんな不安は薄れていった。この日のこの試合はなんとメインの扱いだったのだが、みな一様にその扱いに応えようと頑張っていた。
何もしていなかった丸藤が、復帰してすぐに三沢世代越えを宣言した。ここで何度も触れたが、筆者はこの丸藤発言自体は許し難い発言だと思うし、丸藤自体も認めていない。だがこの日の6人タッグで見せたそれぞれの頑張りは、3.1武道館での三沢達の試合を踏まえた上での頑張りになっていたと思う。それはデンジャラスな角度での落とし方(それ自体の是非は別として)を見ても解るし、なんと言ってもジュニアの軽さを試合でそんなに感じなかった点である。ジュニア6人タッグと言うとどうしても、格闘技と言うより体操選手的試合になってしまって、勝負に対する気迫とかが曖昧になりがちである(場外への飛び技をみんなで受け止めたり)。それぞれがそれぞれの持ち技を披露するのに神経が行ってしまうからとも言えよう。
だがこの試合は6人タッグの勝負としてキチンと成立していたのである。「絶対相手には負けない」そんな気迫が試合から漂ってきていた。それはそのまま「三沢小橋戦にも負けたくない」そんな気迫にも感じ取れるわけだ。昨年の新日との交流戦でノアのジュニアは変わってきた。体操選手的軽さばかりもてはやされていた中で、菊地の第一線復帰、金丸の悪知恵、橋の地力、杉浦の馬力とプロレスらしさがジュニアの試合でも出るようになってきたのである。ノアのジュニアというとどうしてもヘビーの添え物的色合いが強い。三沢はジュニアの価値を高めようとして、ヘビーと組ませてベルトに挑戦させて居るのだろうけど、筆者にはジュニアだけでは満足な試合(客が沸くような試合)が出来ないからヘビーと組ませているようにしか見えなかった。
だが、ジュニアだけの試合でこれだけ「当たり」の激しいプロレスが出来るのだったら、今こそノアジュニアはジュニアだけで、独自の世界を展開すべきだと思う。全日以来続く、ヘビーとの6人タッグマッチ参加は「当たり」に対する免疫力を付けるためにも続けるべきだとは思うが(逆に新日ジュニアはこれが無いのが弱点だと思う)、ヘビーへのベルト挑戦などは控えるべきだと思う。どうしたって補佐的立場にしかならないヘビー挑戦より、自分達の魅力を全開で表現できるジュニア内抗争に集中すべきだと思うからだ。
ジュニアの「次の世代」達は試合でしっかりと三沢小橋戦に対する解答をファンに見せつけた。後はヘビーの「次の世代」達がどんな試合をして行くかである。今のところ本田(次の世代と言うには年を取りすぎてるが)ぐらいにしか、その覚悟は伺えない。三冠の次の挑戦者に斉藤が名乗りを上げるようなしょぼい状況を、力皇や森嶋は放っておいてよいのか?NWFよりまず、自団体のベルトの価値を高めるべきだろう?せっかく三沢小橋があれだけ凄い試合をしたのに、次の挑戦者が斉藤では、ベルトが泣いてしまう・・・
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(3/25記)
まぁ先週の放送は興行日程の都合上1週間遅れは当然である。だが今週は既に3/22日である。なのに試合は3/9分と・・・何の為のウィークエンドクライマックスなのだろう?放送までのタイムラグがあまりにも有りすぎる。このネット情報化社会で勝敗を知らずに過ごすことの難しさを少しは考えて欲しい。いや、最悪速報性の高いネット情報は無視しよう。だが情報量でかなわない週刊プロレス誌にも大幅に遅れを取っていては、何の為の中継だろう?え、動いていれば良い?余すところ無く中継してくれているのならともかく、マイクアピール中心のダイジェスト中継にどんな有り難みが有るというのだ?とにかくテレ朝プロレス班にはもう少し愛情を持ってプロレスに接して欲しく思う。
つーわけで、どうやら今週は魔界中心の放送である。ジョーニー・ローラー無き後、ワープロの視聴率は魔界が握っているわけだから、3.9興行分をわざわざ別週にして放送する気持ちは解る。解るけど、これこそダイジェストで構わない展開であろう?正直魔界とクレイジードッグス絡みの試合には面白味は感じない。魔界は反体制派、クレイジードッグスもプロレス巧者の集まりなのだから、正規軍と戦ってこそ味が生きるというモノである。その2グループが戦っても試合的には面白い事は起きないと思う。まぁ元々総裁絡みのドタバタをやりたいわけだから、それはそれで良い。しかしこういうネタ勝負の試合こそ、ダイジェストで速報性重視で中継しなきゃ行けないだろう?この2週間の間に総裁の立場、行動がどれだけ変化したと思っているんだ?合わせて7分の試合、先週の枠の中にダイジェストで入れちゃえば良い話である。
飯塚対魔界5号。あれマジなんだろうか?(笑)ハイキック秒殺。延長前のリングアウトカウントの潔さから考えると、たぶん延長までは最初に織り込み済みだったんだとは思う(そうじゃなきゃああもバカ正直にカウント数えないだろう?)。だが果たしてハイキック秒殺は・・・倒れた後、ちょっと舌出てたのとか、半笑いだったのとかは限りなくリアルだったんだが、それが逆に嘘臭くもあり、そう思う一方「飯塚ならあの不甲斐なさも充分あり得る」とか言う考えも出てくる。このハイキック秒殺が次への「振り」だとしたら飯塚もなかなかなレスラーになってきたと言う気もするが、同じレスラーに2度もKO担架つーのは「振り」だとしても何だかな〜って感じもする。仕事人飯塚、仕事人と言うにはあまりにもポカが多すぎるぞ(笑)。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(3/25記)
次期GHC王者挑戦トーナメント、本田対スコーピオ。
先週のここでも少し触れたが、小橋と三沢が大激闘を繰り広げたGHCヘビーの次の挑戦者は、本田、スコーピオ、斉藤の中から選ばれることとなった。正直タイトルマッチと言うには格が落ちるメンバーである。あれぐらいの好勝負の後の防衛戦というと、若干試合のレベルが落ちてしまうのは仕方がない。しかも新チャンピオンは小橋である。三沢を倒した小橋がベルトを守り続けない事には団体運営自体が怪しくなるわけだから、小橋の初防衛の相手がそんなに難しい相手じゃないのは当然の流れだとも思う。
ファンの間でも隠れた実力者的評価に変わりつつある本田はまだ良い。体格的にもヘビーに挑戦して見劣りもしない。プロレスもなかなか旨いし、何より団体に反旗を翻すような性格でもないので初防衛の相手として安心できる。問題なのは本田がすんなりと初防衛の相手にならない点である。何故、外様ちんちくりんプロレス下手の斉藤を挑戦者に組み入れてしまうのだ?マイクアピールをした者勝ちなのか?斉藤に一体どれほどの価値があるというのだ?秋山と組んでいるおかげであまりにも過大評価され過ぎていないだろうか?寸足らずな事を考えても、所詮アジアタッグレベルの選手であることは明かである。先週のジュニアとヘビーの考え方でも触れたが、レスラーは分をわきまえる事が大事である。分をわきまえる事が=自分を輝かす事に繋がるのであるから。
前記したように斉藤はアジアタッグレベルの選手である。アジアタッグチャンピオンとして、期待の大型若手選手の壁なんかになって防衛を重ねていくのが、もっとも正しい輝き方だと思う。現実問題ノアにはアジアタッグが無いので、現在の秋山のパートナーとして、GHCヘビーのタッグベルトを巻くのは良しとしよう。だが斉藤の分としてはここまでである。これ以上の出しゃばりを見せては行けないのだ。せいぜい長い間、分をわきまえ団体に尽くしてくれた褒美として、秋山がシングルチャンピオンになった際のベルト挑戦が認められる程度であろう(当然勝つ事は許されないし、勝てる訳も無い)。
分をわきまえると言う事は大事なことである。現在のインディー団体乱立は、分をわきまえないバカレスラー達の仕業である。本来中堅どころとして上手く試合を動かしていかなければ行けない連中が、みな独立してヘボ団体を起こしている。そう言うことの積み重ねが、メジャー団体の地盤沈下をも招いているのである。そう言う訳で筆者は分をわきまえないレスラーが嫌いである。本田も確かにアジアタッグレベルの選手であった。だが一つ一つ実績を積み重ねて、ファンも本田の存在を認めてきている。今の本田ならベルトに挑戦しても、分をわきまえていないとは思わない。小橋の初防衛の相手は本田で有るべきなのである。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/2記)
NWFタイトルマッチ高山対ノートン。
5.2にIWGPヘビーシングルとの統一戦?が控えているだけに、ほぼ確実に高山が勝つと解っているタイトルマッチである。と言う事はつまり、高山は試合内容でファンを納得させねば行けないわけで、さらにその相手が重量級でポンスカポンスカ投げられないノートンと来たら、これは結構な試練と言えるのではないだろうか?なんと言ってもノートン。しょっぱさには定評のある男である。ノートンが上手く試合を組み立ててくれる訳がない。なのにあの重量・・・高山がどんな名勝負に仕立て上げてくれるかを期待してみてみた。
あぁぁ。なんでこんな程度の長さの試合をカットするかな?たった15分だよ?しかも番組の中で真ん中の扱い・・・トリでもなければトップでもない。全くNWF王者をテレ朝は評価してないと言う事だろうか?魔界によるバラエティ路線で視聴率に何らかの手応えを感じているテレ朝の事だから、つかみと締めにはNWF高山は適さないと判断したんだろうけど、やっぱりタイトルマッチはトリに持ってきて、なるべくフルタイムで流すべきだと思う。深夜のコンマ何%の視聴率にどれほどの意味が有るって言うのだ?全日でどっちにしても日テレ、フジ、TBSには敵わないんだから、テレ朝はそんなに視聴率に神経質にならなくても良いと思うのだが・・・深夜だからこその自由な発想で一時期盛り上がったフジを思い出して欲しい。
もっともこのNWFのベルト自体も、古い新日ファンの間ではやたら奉られているが、そもそも出は、当時のアメリカ三大メジャー団体(AWA、NWA、WWWF)より一ランク落ちる新興団体のベルトを猪木が奪ってきたモノで、歴史的価値は殆ど無いベルトだった。日本で猪木が歴史を作って、みんなありがたがっていたわけで「世界ヘビー級ベルト」のAWAとかNWAとかとは格が違ったわけである(そう言う意味ではIWGPもGHCも同じだが)。だからテレ朝のNWFチャンピオンにはあまり価値を感じないというのは、あながち間違っても居ないわけだが・・・
そんなわけで試合が面白かったのか、よく組み立てられていたのかはいまいち解らない。序盤ノートンに攻められ、高山ピンチか?と思わせ、最後はきっちりとノートン投げて見せた辺りにチャンピオンとしての仕事ぶりは伺えるが、やっぱり繋ぎのタイトルマッチと言う印象は拭えなかった。ノートンを生かすのは難しい。体格的にはハンセンらと遜色無いのだが、どうしてこうもつまらないんだろう?いつまでこんな選手が新日トップ外人の地位に居るんだろう?こんなのは相手にしないでさっさと日本人同士で名勝負を繰り広げて欲しいところである。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/3記)
いやはや相変わらず博多スターレーンは天井が低い(笑)。
今週も日テレはよく30分枠に3試合まとめ上げたと思うが、取り敢えずGHCの次期挑戦者は本田多聞に決定した。ギリギリセーフという感じである。先週まで斉藤が挑戦者になる事のバカバカしさを書き続けてきたが、さすがにノアサイドもそんな事は重々解っていたようだ。まぁ勝てないまでも小橋相手にしっかりとした試合をして、多聞らしさを出してくれれば皆納得なのではないだろうか?初防衛の相手としてもっとも理想的なキャラだと思う。防衛記録を伸ばしていきそうな、団体のエース級のチャンピオンの初防衛の相手は、こういう玄人好みのプロレスを熟知したベテランか、巨体で勢いのある外人であるべきだと思う。そう言う意味ではゼロワンからの刺客と言う流れも面白かったと思う。ただ心配なのは多聞のヒザの具合で、せっかくのタイトル挑戦なのだから万全の体制で、多聞の良さを全部出させてやりたい。それだけが気がかりである。
杉浦高山組体青柳力皇組。青柳館長厳しいねぇ・・・なぜにノアがこの人をいつまでも上げ続けているのかよく解らない。斉藤との絡みかも知れないけど、斉藤は斉藤でもう別のキャラが出来ているわけだし「館長が上がらないなら俺も上がらない」とか言ってるのだとすれば「どうぞ」と言う感じなんだけどなぁ?このカードにしたってどう見ても一人見劣りするでしょ?おじいちゃんが入ってる感じ?かといってラッシヤーさん達と繰り広げる域には達してないし・・・全日じゃないけど「ぬるま湯」何だよなぁ〜(借金でもあるのか?青柳)心配された高山のノートン戦での腰の不調もどうやらたいしたこと無かったようで普通に動けていた。ますます力皇戦が楽しみである。やっぱりヘビーは巨体と巨体がぶつかり合わないと!
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/9記)
今週も尼崎大会から。
なんだけど・・・なんか薄いよね?毎回毎回こんな事書いてるのもあれだけど、果たして今のワープロに1時間枠必要なんだろうか?正直時間の無駄使いだと思う。こんなに時間があっても放送したのは3試合で、それもカット有り。なんと言っても5.2東京ドーム大会の宣伝が長すぎる。たぶん5.1も猪木が東京ドーム押さえているので、それとの影響でチケット売り上げが伸びないことを懸念してるんだと思うんだけど、現状ではプロレス中継と言うより、新日の宣伝番組に成り下がっていると思う。また、下の方には字幕で「衛星ではノーカットで」なんて出してるんだから、有る意味ダブル宣伝番組な訳だ。こういう商売汚いやり方されると「意地でも金払って見るもんか」って思う人間も出てくると思うんだけど・・・(俺だけか?)
そんな相変わらずなテレ朝の姿勢は置いといて。いやはや尼崎のファンは濃い(笑)。地方の興行だと(尼崎が地方と言っているのではなく)、どうしてもテレビに出ているレスラーが出てるだけで満足。的ミーハー的観客が多いのだが(実際そう言う層が、興行を、会社を支えてくれてる訳だし)、何と尼崎のファンのマニア度の高いことか。たまたま集音マイクの近くに濃いねーちゃんが居ただけかもしれないが「西村倒立!」って・・・後楽園ホール級の濃さ、ヤジ(コール?)だと思う。野球でもそうなんだけど、ヤジってのは非常にセンスのいる作業なのである。汚い、相手を罵倒するヤジなら誰でも言える。おまけに会場が暗くてマットしか光の当たっていないプロレスなら、どんなチキンでも簡単に言えるわけだ。だが周りの観客を納得させて、笑わせて、それでいて選手にも好影響を与えるヤジというのは実に難しい。対象に対する知識、発するタイミング、場の空気を読む才能、それらが全て整わないと「センス良いヤジ」と言うのは発せられない。
最近の世の中の動向として「勉強することを嫌う」こう言うことが言えると思う。当然筆者も勉強は大嫌いだった。だが今の世の中は、自分の好きな物事に対しても、勉強する事、興味を持つ事を面倒と感じるようだ。「今見て、すぐ楽しめないと駄目。」そんなバカな話があるか?物事は深く知っていけば知って行くほど面白くなるわけである。色々細かく知っていくのは面倒だから、自分の頭で考えるのは疲れるから・・・そんな姿勢で楽しんで何が面白いというのだ?いや、それは果たして「楽しんだ」と言えるのだろうか?尼崎のファン達はプロレスを良く知っているから「面白く楽しめた」のである。そりゃ地方興行のように、プロレスをあまり知らない人達が「レスラーの試合を見るだけで嬉しい」と言う楽しみ方も有りだと思う。だけど、観客とレスラーが一体となった試合が、どれほど面白いか!その空間の濃縮感を味わってしまったら病みつきである。観客の良さがレスラーを乗せる事もあるのである。そう言った観客とレスラーのキャッチボールが上手く出来た興行は、実に素晴らしいモノなのだ。
面倒だから・・・実生活で疲れてるから、あんまり物事考えたくない・・・そんなバカみたいな事言ってないで、自分の好きな事、興味を持った事には、どん欲に向かって行くべきである。プロレスというモノはそれだけの価値のある、奥行きの深い娯楽なのであるから。ただ、冒頭に戻るがテレ朝がその奥深さを伝え切れてるかというのには、疑問符をつけたい。
そうそう。金本と野上の試合は久々に良かった。カチッと。噛み合ってたね。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/9記)
GHCヘビー級タッグタイトルマッチ。秋山斉藤組対森嶋丸藤組。
早い!前日(放送時間を考えると前々日だが)に行われたタイトルマッチをすぐに編集して放送する。さすが日テレプロレス班、愛がある。テレ朝の愛の無さと比べると雲泥の差である。通常番組は他局のパクリで視聴率荒稼ぎ、スポーツにしても野球中継は巨人のことしか解らないバカ中継。なのにどうしてこう、プロレス班だけはしっかりとしているのであろう?本当に日テレ唯一の良心がプロレス班である(来週は1時間拡大放送だし)。
だがそんな日テレプロレス班の期待に肝心の試合が応えられていなかった。30分しか無い枠全部をタイトルマッチに使わなかった、プロレス班の判断も仕方がないか?と言う感じである。やはり丸藤では駄目なのだ(苦笑)。ヘビー級タイトルマッチなのである。確かにこの試合の丸藤は、いつも以上にヘビー級の重い技を受け止めていた。だけどそれは受け止めていたレベルである。同じレベルの技を相手に放っていくだけの力は丸藤には無い。そりゃセンスだけは有るから、時折鋭い技が相手に決まる事も有る。有るけどやっぱり、ヘビー級同士の「どうだ俺の技は!」「むむ、それならこんな技はどうだ」「いや受け止めたぞ、これでお返しだ」「まだまだ、こんな凄い技もあるぞ」そういうやり取りで、盛り上がっていって、場内が沸くと言う事が丸藤ではあり得ないのである。
同じような事はチャンピオンチーム斉藤にも言える、体の小ささを無理矢理目方で誤魔化している斉藤。やはりヘビーでやり合って行くには一段落ちる。さらにプロレスセンスに欠けるので、これまた場内をヒートさせていく事が出来ない。こんな二人がタイトルマッチのメンツに入っているのであるから、やっぱり試合のレベルが低くなってしまう。長く続けば、大技が出れば、好勝負かというとそれは違う。観客、視聴者、レスラーそれらが一体感を共有できて初めて「好勝負」と言えるのだと思う。何より試合後の秋山の表情が、この試合が大した試合でなかったことを証明している。正直秋山斉藤組がチャンピオンという状態は限界だと思う。秋山斉藤組では相当な相手がチャレンジャーでないと好試合は期待できない。秋山は何かというと相手が物足りない的発言をするが、そんな相手でもタイトルマッチらしい試合に仕立ててみせるのがチャンピオンである。何度も言うが、チームに必ず負け役が居るノアのタッグ編成は間違っている。丸藤が頑張っても、こんな程度の試合にしかならない。それは何故かというと丸藤がジュニアだからと言う解答しか無いのではないだろうか?ヘビーにはヘビーの若手を組ますべきなのである。
で、タイトルマッチを時間全てに使わなかった分は何に使ったかと言うと、NWFチャンピオンとGHCチャンピオンのタッグでの激突である。こちらは大いに盛り上がった。放送は当人同士の闘いメインな為、ぶつ切りダイジェストで誉められたモノではないのだが、スーパーヘビー級同士のぶつかり合いは、それだけで見ているモノを魅了する。これこそがチャンピオンであり、ヘビー級なのだ。ベルトを持っているモノのオーラ。それが高山小橋にはあって、秋山斉藤組には無い(と言うか秋山のオーラを斉藤が消している)。今週の中継は、タイトルマッチの方が霞んで見えてしまう。そんな冷酷な中継だったと思う。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/17記)
5.2東京ドーム宣伝番組なのでお休み。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/17記)
GHCヘビー級タイトルマッチ、小橋対本田。
早い!当日に行われたタイトルマッチをすぐに編集して放送する。さすが日テレプロレス班、愛がある。さらに枠は贅沢に1時間(ワープロなら普通だけど)!しかもしかもその枠の中にノーカットでGHCタイトルマッチがドーンと入っている本当に贅沢な放送!まさにプロレスラブ!!当日はNWFタイトルマッチもあり、こちらの試合タイムは15分、GHCが27分で、入れようとすればどちらも入ったのに、敢えてNWFは来週に回す英断(これは英断であろう?)をして、試合後の蝶野と小橋のやり取りを、これまたノーカットで流して、その場の空気をなるべくリアルに視聴者に伝えようとする。とても珍プレー好プレーで作為的で悪意に満ちた番組作りをする局と、同じ局とは思えない良心的な作りである。
で、その1時間枠を見事に支えて見せたのが、世間的には大した評価も無い(マニアは別として)、目立たぬ中堅レスラー本田多聞である。いや、本田の頑張りがあったからこそ、NWFは来週に回す事になったのでは?とも言えよう。先週のタッグタイトルマッチにはかなり苦言を呈した。タイトルマッチにふさわしい選手が出ていないと言う事が大まかな内容だったのだが、今週の試合を見て貰えばそれがある程度理解して貰えると思う。丸藤に、斉藤に、こんな試合が出来るだろうか?本田だから出来るのである。ルックスが良い訳でもない、気の利いた事が言える訳でもない。なんだったら本人は気に入っている長髪も、おばさんやルンペンのようで「気持ち悪い」印象の方が強い(笑)。
だがそんな本田多聞は、プロレス入りして10年目にようやくタイトルマッチ戦線、メインイベンターに名乗りを上げてきたのだ。2.3年の若造がタイトルマッチに挑戦する現在では異例に見える事だが、本来のメジャー団体の流れとはそう言うモノだったのである。プロ入り後10年は、前座中堅でプロレスの基本を学び、その間に海外遠征などをして自分のカラーをしっかりと見つける期間なのである。新人がベルトに絡みながら自分のスタイルを確立していく現状がクレージーなのである。そんな下積み、基本のしっかりとした(プロ入り前にアマレスで頂点を極めているわけだし)本田だからこそ、このタイトルマッチは実に素晴らしい試合になったのだ。プロレスの試合としてみれば、この前の小橋対三沢戦より遙かに良くできた組立であったとも言えると思う。挑戦者、チャンピオンの攻守が順々に入れ替わり、それによって観客がドンドン感情移入して盛り上がっていく、そして終盤に行くに従って、技が過酷になって行く。その展開は芸術的ですら有ったと思う。
そんな中、本田の素晴らしさを説明するにはフィニッシュのシーンをおいて無かろう!スタミナも切れ、反撃するような技も無くなった本田は、やられるのを待つだけのような状況になっていた。そのへろへろの本田に小橋はえげつない投げ技を放ってみせる。フィニッシュには充分な説得力を持つえぐさだった。自分の事しか考えていないしょっぱいレスラーならスリーカウント聞いてしまっただろうし、スリーカウント入っても誰も文句は言わなかっただろう。だが本田はこのフォールを返すのだ。理由?理由は一つである。この試合の小橋は左腕のラリアットしか決めていないのである。そう小橋のフィニッシュはラリアットであるべき。前哨戦で本田が叩き潰した小橋の右腕で、本田がフォールされるのがもっとも美しい試合の決まり方なのである。それを待って本田はフォールを返したわけだ。
その後すぐに小橋の剛腕ラリアットは炸裂し、これまた見事に本田は吹っ飛んで見せた。グッジョブである。自分の体の限界を超えているのに、最後まで対戦相手を、団体の事を考えている。本田多聞!素晴らしいレスラーである。こんな凄い選手が中堅レベルに居る事がメジャー団体の凄さであり、厚みに繋がる訳なのだ。確かに本田がトップでは観客は入らないだろう。だから現状の本田の位置づけは間違っていない。だからと言って本田無しではノアは成り立っていかないのである。何度も言うが団体を支えているのはこういう中堅レスラーである。新日で言えば後藤にヒロにマシーンなのである。実力者の中堅レスラーをどれだけ抱えているかが、メジャー団体の証とも言えよう。そう言う意味では現状の全日は残念ながらインディー団体だと言える。
どうしても見た目が派手な選手や、マイクアピールの上手い選手に人気が集まるのは仕方が無い。だけどそう言う選手のファンも、この試合を見て、基本や下積みの大切さを理解して欲しい。それが解る素晴らしいタイトルマッチだったと思う。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(4/25記)
木村健悟引退試合。
遂に木村健悟引退である。正直解説者となってからはセミリタイア状態で、新日マットにその姿が無くても何の影響もなかったのは事実である。一時期の木村健悟は確実にラインに乗っていた。藤波に次ぐ新日本体ナンバー2の立場、藤波とは反対に恵まれた体躯、長い大腿部は猪木以来の正統派新日体型だったと言えよう。長州が藤波、本体に反旗を翻したことにより、より正規軍としての色合いが濃くなった木村健悟。前途は明るいように思われた・・・
だがその長州が全日に移った辺りから立場は微妙なモノとなる。選手層が薄くなった新日で、藤波の新たなるライバルに祭り上げられようとしたわけだが、当然そんなキャラじゃない木村健悟はその良さを発揮できずに微妙な立場となっていく。「格好良いけど弱い」そんなイメージが定着しつつあった。一時期はプロレス引退、アメリカに逃亡なんて事もあった(あったよな?うろ覚えだ・・・)、その後闘魂三銃士の台頭などで木村のポジションはドンドン無くなってしまう。挙げ句坊主頭に赤胴着で反選手会同盟である。稲妻レッグラリアット以外は何もない、中堅レスラーに甘んじて行くわけだ。
完全に新日本体から縁遠いポジションに木村健悟はなってしまった。変な話し、これ以後プロレスラーとしてやって行くにはインディに流れるしか無いような状況だったと言えよう。だがそんな状況に救いの手を差しのべたのは社長藤波である。藤波は新日本体が窮地の時に共に闘った盟友木村を見捨てていなかった。新日スカウト部長と言うポジションを木村健悟に与え、さらにマサさんの解説の後がまに据えて見せたわけである。新日本体に居場所の無くなりかけていた木村健悟にとっては渡りに船である。一も二もなく承諾したわけだが、実際にはこの人事がレスラーとしての寿命を短くしたのである。
新日にとってワープロの解説者就任は、現役引退を意味している。当然木村健悟もそれは解っていただろう、解っていながら引き受けたのがまた木村健悟らしいとも言えよう。今日の引退試合の木村健悟は、ここ数年余り試合をしていなかった為に、確実に筋肉は落ちて(特に腕)、腹も若干出ていた。だがその動きにはまだまだキレがあったし、ここ数年のブランクさえなかったら、まだまだ現役バリバリのレスラーであったとも言えよう。メジャー団体新日に居たから、出場の機会が狭まった。だけどそれよりも木村健悟はメジャー団体の傘の下に居る事を選んだ。他の同世代レスラーのように現役には固執しない。それが木村健悟らしさなのだと思う。
出来るのにやらない。苦労してまでやらない。なんだか新日ナンバー2時代の木村健悟そのままの最後で有るとも言えよう。長い物には巻かれてみせる木村健悟。反選手会同盟時代が一番「らしくもないぜ」だったのかも知れない。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/25記)
NWFヘビー級タイトルマッチ、高山対力皇。
何というかまぁ、正直GHCの方においしいところは殆ど持って行かれたと言う感じだが、NWFタイトル戦である。だがそれもこれも同日同会場に二つのタイトルマッチが存在してしまったからの話で、それぞれが別々の日時に別々の興行として存在していたら、どちらも武道館のメインを張るにふさわしい試合だったと言えよう。
まずネタ的にも「NWF管理委員会ノア限定委員長菅谷アナ」と言うのが非常においしかった。高山が発案したこのアイデアを日テレは上手に30分枠で育てていき、見事に武道館で花開かせたわけだ。白いタキシードを着用した菅谷アナがリング上で宣誓証を読み上げる。そんなシーンが見事に絵になっていた。同じアナいじりにしてもテレ朝とは微妙に違って、最低限の節度はわきまえる。この辺りがノア、日テレプロレス班が指示される理由だと思える。
で、試合自体も迫力満点であった。やっぱりプロレスはスーパーヘビー級のぶつかり合いである。なんと言っても力皇だろう。いまだかってこれほど力士とプロレスラーの美点をうまくミックスさせてレスラーは居なかったのではないだろうか?力士出身のレスラーというと、若干腹の出たあんこ型の体型に、コーナーへの張り手攻撃。そういう安直な印象が拭えない。だか力皇は、そうんな目に見える元相撲取りとしての形より、目に見えない所での、元相撲取りならではのアドバンテージを生かしているように思える。アメフトがそれ程メジャーでない日本で、相撲ほど辺りの激しいスポーツは無い。その突進力は充分にプロレスで有効なわけで、力皇の試合の迫力はこの突進力から来ていると思う。日本人で初めてハンセンを感じさせるレスラーとも言えよう。また相撲取りとしての安定した下半身、頑丈な体は、これまたレスラーとして大きな武器になっている。三沢が対抗戦にまず力皇を連れていった辺りでも、その辺のレベルの高さが伺えるわけだ。
このように身体能力面では全く高山にも引けを取らない力皇なのだから、高山がそのパワーを正面から受け止める試合をすれば、面白くならない訳がないのである。で、実際に高山は受け止めて見せた。さすがである。ノートン戦で腰を痛めていた筈だが、それでも高山は真っ向勝負である。この辺りがチャンピオンとしてのプライドでもあるわけだが、こう言うことが出来ていないチャンピオンが昨今は実に多い。チャンピオンはチャンピオンなのだから、当然挑戦者の全てを受け止めて勝たなければ行けないのである。相手の技をスカして勝つなんてのはチャンピオンとして言語道断であるし、そんな奴がチャンピオンとして防衛を重ねるのはあり得ないことなのである。
純粋にスーパーヘビー級のパワーがぶつかり合った試合は15分でカタが付いてしまった。旧全日やノアのタイトルマッチとしては短いような気もするが、新日の手抜き15分タイトルマッチとは訳が違う。15分しか闘っていなくても、その15分両者はマックスだったのである。新日15分タイトルマッチのように試合後、ノー天気に飲みに行く相談が出来るような状況ではないのだ。両者力を出し尽くした15分。この試合も短いながらもさすがノア!な試合だったと思う。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/1記)
IWGPヘビー級タイトルマッチ、永田対安田。
先日の高山のNWF戦と同じく、この試合も5.2東京ドームが控えている永田が負ける事は決してあり得ない、結果の分かったタイトルマッチである。となるとチャンピオンに問われるのは試合内容である。しかも相手はモチベーションにムラのある安田である。結果が決まってしまっている試合に、果たして安田がやる気を出すのか?そんな安田にやる気を出させることが出来るか?そこがチャンピオンとしての腕前の見せ所であったと思う。
だがとくに永田が安田のモチベーションを上げる必要はなかった。会社側が安田を納得するだけの条件を出していたからである。それは永田を流血させぼっこぼこにして、自らの(安田)ヒールとしての地位を高めるというモノだった。試合自体は押しているけど、結果は永田に譲る。挑戦者としてはまぁ納得の行く結末だと言えよう。そんな訳で永田は場外で流血せられる。新日いつもの流血パターンである(笑)。場外乱闘で選手に取り囲まれる→当然永田の状態は、テレビカメラ、観客には見えない→その隙にカットマン(意味違うよ(笑))が永田の額を切るのである。今回はポジショニング的に魔界4号がカットマン臭かった。4号と言えば柴田、柴田と言えば父親は元新日ベテランレフリーである。リング上で「選手の怪我をチェックするふりをしながらカット」何て事は幾度と無くこなしてきた男である。その技術が柴田に教えられていても何の不思議もない。
ただ、そこは柴田、やり慣れていないことだからか、ちと切りすぎてしまった。たぶん最初にカットした状態ではあまり流血しなかったのであろう、その後もう一度カットして、これが深すぎて大流血となってしまったわけだ・・・と、ここまで読んでいて「何を根拠にそんな事を言うのだ」と言う人もいるだろう?だが新日流血の歴史を追いかけていれば、自然とカットするタイミングというのは解ってくるし、何よりの証拠が、あれだけの大流血にも関わらずリングドクターのチェックも行われず、レフリーが試合を止めなかった事である。つまり事前に永田が流血することが解っていて、それが額の表面一部を切っただけによる傷だと解っていたからである。
昨今の格闘技戦を見ていれば解ると思うが、突発的な事故で流血するような事態になった場合、大概は皮膚がぱっくりと割れてしまうのである(打撃系の技により)。こうなると傷は深く、骨にまで達していたりして縫合が必要となってしまう。この場合はリングドクターの見解が必要となるし、場合によっては試合を止める必要も出てくるのである。しかしこの試合ではそうした動きは無かった。つまりあらかじめ怪我の具合が解っている、プロレスに昔からある流血に過ぎない。と言う事なのだ。たぶん試合後縫合すると言う事も無かったのではないだろうか?多少深めに切ってしまった為大流血となってしまったが、あれぐらいはプロレスラーにとって許容範囲なのである。
さて、そんな訳で永田にしてみれば「おいおい随分血が出ちゃってるぜこんちくしょう!」と言う感じだったと思う。思うがこの大流血のおかげで永田にはまたハクがついた。思えば新日のトップレスラーたるモノ、必ずこういう大流血戦をこなして来ている。永田も視界が遮られる中で、流血後もちゃんと闘い続けた。結果が分かっているとは言え、これは大いに評価できる事である。チキンなレスラーだと試合を簡単にまとめて見せがちだが、永田はキチンと試合を組み立てて見せていた。これには新日のエースとしてのプライドを見せられた気がする。いよいよ持って5.2高山戦が楽しみである。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(4/30記)
のっけから「時代は繰り返す」の文字と共に鶴田対三沢戦の模様が流された。たぶん家のビデオひっくりがえせばノーカットのモノがどこかにあるはずだけど、このダイジェストだけでも充分にすげぇ・・・ちょっと記憶のスミの方に行きかけていたジャンボ鶴田の凄さがまざまざと蘇ってきた(最近はドリーの受け身の凄さに記憶脳が支配されていたので)。
でもこう言うVTRを流すのって両刃の剣だと本当に思う。新日が同様の事をコーナーやっていたのに止めちゃったのも、選手からクレームが来たんじゃないかと思う。新日なんかだと、明らかに昔のファイト内容の方が良かったりするし(その良いファイトのさらに良い部分をダイジェストで見せているわけだし)。で、今週のノア中継もやはり鶴田の凄さに目が行ってしまう。だけどよーく見てみると、あれだけ凄い鶴田の技を喰らっても(ジャンピングニーなんてアゴ→マットに後頭部痛打だよ!)、三沢がきっちりと起きあがって試合をやれている点に気がつくと思う。あのデカイ鶴田の技をジュニアあがりの三沢がしっかりと受け止めているわけである。三沢の受け身上手は、既にこの時点で完成されていたと言えよう。
そんな受け身上手の三沢は、この後相手の技を出来るだけデンジャラスに受けて、それでいて勝つと言う独特のスタイルを築き、全日四天王→ノア設立と言う道を辿り、現在のプロレス界を代表するレスラーとなるわけだ。さぁ前振りが長かったが、この鶴田対三沢戦を刺身のつまにしたのが、三沢小川井上組対森嶋丸藤池田組の試合である。おい!6人タッグかよ!いくら何でもそんな試合を鶴田対三沢戦となぞらせるのは無理があるだろう?失礼にもほどがある。大体丸藤が三沢とイコールなのか?これもまた無理があるだろう?確かに体操選手としてのセンスは抜群にあるけど、この選手がヘビー級として、団体を引っ張っていくような選手になれるとは到底思えない。確かに丸藤も、その体の割にはよく頑張ってヘビーの技を受けていると思う。思うけど、この先あの体つきでは絶対にやっていけない。ジュニア専門団体ならともかく、今みたいにヘビーと絡んで居ては、確実に体を壊すし(現に壊して長期休場をしたわけだし)、選手寿命も短くならざるを得ないと思う。
何度も書くが、全日→ノアのジュニアとヘビー絡めての6人タッグは充分に有りだと思う。だけどタイトル戦線などの場では、きっちりとジュニアはジュニア、ヘビーはヘビーで分けるべきである。そうすることによって、それぞれの試合がよりレベルの高い高度なモノになっていくのだ。ヘビーがジュニアに気を使い、ジュニアがヘビーで無理をする。そんな状況では決して健全なプロレス団体運営は出来ないと思う。確かに顔が良くて言う事も格好良い丸藤を、団体やテレビが利用したがるのは理解できる。出来るけど、丸藤の先のことを考えれば、ジュニアの大スターに育てる方が、よっぽど正しく幸せな結果になると思うのだが。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/6記)
5.2東京ドーム大会特番。1日遅れとは言え3時間スペシャル。やはり昨今の試合以外の部分が多いワープロでは、これぐらいの時間は必要だろうか(それでも収まりきらなかったが)?で、まぁ縁起物なのでこの興行は現地で見てきたわけだが、新日のビッグマッチにしては久々に金払っただけの価値がある良い興行だったと思う。
以前の週プロに、上井取締役の「5.2はレスラーへの挑戦状です」的コメントが載っていた。これを読んだ多くのファンは、「総合格闘家に何が何でも勝ってこい」と受け止めたと思う。新日は総合格闘家よりプロレスラーの方が強いと証明することによって、プロレスの失地を回復しようとしていると取ったのだ。だが、現場で興行全体を見た感想は全く違うモノだった。「プロレスラー>総合格闘家」と言う図式を求めているのでは無く「プロレス>総合格闘技」を証明しようとしているように感じられたのだ。しかもその>は総合格闘技よりプロレスが「強い」と言うモノではなく、総合格闘技よりプロレスの方が「面白い」と言う大なりだったのだ。
テレビではどんな風に伝わったかは微妙だったが、現場では「総合」の試合は明らかに観客の反応が良くなかった。総合のリング設営撤去に時間が掛かってダラダラしたこともあるが、何より試合自体が、プライドの試合ほど緊迫感が無かったせいだと思う。謙吾のファイトが全く精細を欠いていた事、ノルキヤがこれまたバイト気分でまるっきりやる気がなかった事、アンブリッツが想像通りの一杯喰わせ物だった事、スミヤと中西のアクシデント。と、どれを取っても総合の試合は満足の行く試合では無かった。試合結果だけを見れば、多分常識的にファンが応援すべき選手が勝っているので、そんなに不満も表に出なかっただろうが、明らかに通常の「総合」にファンが求めているような試合ではなかったと思う。少なくとも選手同士が高い技術術を駆使し合い、スリル有る攻防を繰り広げると言うような試合ではなかった。
これに対して、その後に行われたプロレスの試合はどれもプロレス的魅力に満ちあふれていた試合だったと言えよう。変な話し総合の試合が無く、プロレス3試合でも充分に金を払う価値のある興行だった。いや、小橋蝶野戦だけでも満足と言えよう。村上対エンセン戦では、またもやお得意の場外カッティングで大流血戦となり、総合で冷め切っていた観客の暖め直しに成功し、小橋対蝶野戦ではプロレスの、プロレスラーの凄さを表現しきり、高山対永田戦ではダブルタイトルマッチの緊迫感、そしてその結果から来る次なる流れと言うプロレス的大河ドラマを見事に見せつけた。実に見事に「プロレス>総合格闘技」を表現して見せたと言えよう。
興行後の多くのファンの感想は「プロレス最高!」だったと思う。みなまんまと新日、上井にはめられたわけである(笑)。こんなにも新日の目論見が上手く行くなんて、有る意味珍しい。それもこれも、プロレスの意地を見せつけて、上井の「5.2はレスラーへの挑戦状です」に応えたプロレスラーの頑張りと、明らかに普段よりテンションの低かった総合格闘家達のおかげである。うがった味方かも知れないが、新日のマットで行われる限りは総合格闘技も、プロレスであるのである。その結末、流れがある程度コントロールされていても不思議ではないだろう?余りにもな出来の総合の試合と、最高の出来のプロレスの試合の対比で、そう言うことを考えてしまうのも仕方の無いことだろう。ともあれ、プロレスラブの筆者には実に楽しめる興行であった。どうせ踊らされるならこういう風に、気持ちよく踊らされたいものである。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/6記)
GHCヘビー級タイトルマッチ小橋対蝶野ドキュメント。
自分の所のベルトであっても、当然新日で行われるわけだから、日テレには放映権は無いわけだ。となるとテレ朝から貸して貰える5分少々のダイジェストで番組を構成しなければ行けない。当然世紀の一戦なのだから、5分だけ放映して結果を伝えました。で済むようなモノでもない。そんな訳で日テレはインタビューなどを中心にして、30分見事に番組を作り上げていた(笑)。
で、まぁ試合結果並びに試合内容は、ワープロスペシャルにあった通りである。今年になって小橋が絡んだGHC戦は全て素晴らしい出来で、どれも年間1位になってもおかしくない試合である。今まで全日四天王が、いや、三沢と小橋だけが特別なのだと思っていたが、この名勝負3連発を見ると答えは一つである。小橋が特別なのである・・・全盛期の猪木は「相手がホウキでも名勝負にしてみせる」こう言われていた。今の小橋はまさにこの域に達したと言えるのではないだろうか。そりゃ相手側にある程度の根性と体力が無いと試合は成り立たないから、ホウキやジュニアの選手では無理だろう(体の事を考えればジュニアよりホウキの方が上か?)。が、小橋と絡むと相手レスラーには必要以上の力が出てしまっているようにも見える。
アントニオ猪木の「風車の理論」と言うモノがある。6か7の力しかない相手を10の力に見せて、15の力で倒す。この理論によって猪木は名勝負を連発し、カリスマ的人気を誇ったわけである。だがこれはあくまでも6か7の力を10に見せかけているだけである。だが今の小橋は違う。相手が6.7の力しか持っていないのに、何故か小橋と闘う事によって、10の力を出させてしまうのだ。これは本当に凄いことだ。本田多聞が6か7の選手だと言っているわけでは無い。8か9ぐらいの力は有っただろう。だけど小橋戦の本田は11か12ぐらいの力は出していた。この蝶野戦もそうである。蝶野は靱帯損傷で歩くのもままならないような状態だったと言う。言うならばいつも11か12はある状態が試合前には7か8ぐらいまで落ちていたと言えよう。それが試合を始めてみれば13か14の力が出ていた。そうでなければハーフネルソンスープレックスをあんなに喰らう事は出来まい。
小橋建太。恐るべき男である。大体ブリッジも満足に出来ない状態の蝶野が、あんなにデンジャラスなバックドロップを放てるわけがないのである。と言う事はノア恒例「オレの方がデンジャラスに喰らってやる」と言う受け身自慢な訳で、当然それをやられた蝶野にしてみれば、有り難いという気持ちより、なにくそ!オレも!と言う思いの方が強かろう?その思いが最後のハーフネルソン連発に繋がったのだとも言えよう。とにかく、対戦相手を必要以上に熱くし、対戦相手に限界を超えたファイトをさせる小橋建太。本当に恐ろしい男である。三沢と小橋にしか出来ないと思っていたプロレスが、実は小橋さえいれば出来る事に気づかされた・・・そんな5.2東京ドームだった。
破壊王プロレスゼロワン TV東京系日曜夕方(5/13記)
先週の5.2東京ドーム大会特番3時間のため、今週のワープロはお休み。その変わりに丁度テレ東でゼロワン中継があったのでそちらを記す。
正直、小川に惨敗、さらにテレ朝に乗せられて引退を掛けた試合でも惨敗、なのにこれまたテレ朝の茶番に乗せられて復帰した辺りで橋本は終わったと思っていた。いや、プロレスラー橋本に対する評価は今もそんなに変わらない。橋本のプロレスは別に面白くも凄くもない。ただ相手の胸板を蹴るだけのプロレスだからだ。新日で闘魂三銃士と言われ、いずれはトップに付けるか?と言うような幻想も本人は持っていたと思う。でも橋本は新日に向いていなかった。何故か?橋本は良い人過ぎるからである。この欄で何度も書いてきたが、プロレス、特に新日でのし上がっていくのに善人であってはやっていけない。創設者猪木自身が卑怯の権化のような人物だから、まぁ会社の体質として当然と言えば当然なのだが、常に誰かが誰かを利用して、出し抜こうとしている。それが新日なのである。通常こういう場合、善人はヒールになったり、名バイプレーヤーとなって自分のポジションを築くわけである。だが橋本はエース候補生となってしまった。これではいけないのだ。案の定善人のエース候補生は色々な人間に利用された。その縮図が新日退団までの、上記した顛末だろう?利用され尽くした橋本は何とも格好悪い男となってしまった。
さすがに善人橋本も新日ではやっていけないと思ったのだろう・・・第二の人生を自分のインディー団体設立に掛けるようになる。これが大当たりだった。何度も言うが橋本は善人なのである。善人で有ると言うことは当然利用しようとする連中も居れば、橋本の為に何かをやってやりたいと協力してくれる人間も居るわけである。橋本が立ち上げた団体「ゼロワン」はこの協力してくれる人達の力によって大きく花開こうとしている。新日内で完全にポジションを失った橋本が自分の団体を立ち上げると言うのは結構厳しいことであるはずだった。当時既にインディーは飽和状態で、インディーブーム自体は去ったと言っても良い状況だった。でも橋本はゼロワンを無事立ち上げることに成功する。何故か?それはタニマチの存在である。橋本はタニマチを大事にすると週プロに書かれていた。それは当然である。善人なのだから・・・当然タニマチ達は可愛い橋本の為に協力してやろうと思うわけだ。そう言う見えないところでの力が、この不況化での新規団体旗揚げ成功に作用したと言えよう。また今回のテレ東での中継にしてもやはりタニマチの力が結構大きかったとも言われている。裏切り裏切られの新日ではプラスに作用しなかった「善人」がゼロワンでは大きな力となっているわけだ。
「善人」橋本は当然レスラーの間でも評価されている。橋本を慕ってついてきた大谷、高岩は当然、さらに旗揚げ時に協力して見せた三沢に永田。それらも団体の垣根を越えて、橋本の「善人」に応えたわけである。さらに橋本は自分を引退に追い込んだ小川をも取り込むことに成功する。プロレス扱いだった試合を、猪木、新日の指金とは言え真剣勝負試合にし、自分を窮地に追い込んだ男ですら仲間にしてしまい、「プロレス」の魅力に気づかせる。善人で無ければ出来なかろう?他にも総合マットでミソを付けたガファリのプロレス的魅力にいち早く気づき獲得、コリノ、ハワードと言う芸達者外人の発掘にも成功。全く持って善人橋本は名プロデューサーで有ったのだ。
旗揚げ当時から名プロデューサーの兆しはあった。いきなり三沢、永田、小川を絡ませてしまったのだから・・・新日とも全日ともノアともしがらみの無い団体、永世中立団体それがゼロワンになると思われた。他では諸々の問題があって実現できない試合がゼロワンでなら出来る。そんな夢の団体をファンは期待したはずだ。だがそんなおいしい話がいつまでも続くわけはない。それぞれの団体のトップはまずそれぞれの団体を運営するのに精一杯なのだから。だが名プロデューサー橋本は全くくじけなかった。夢の団体にはなれなかったが、夢のある団体の立ち上げには充分成功したと思う。ゼロワンに登場するレスラーは今時珍しい程キャラ立ちしている。特に外人レスラーがこれだけバラエティに飛んでいて、なおかつしっかりとプロレスが出来る団体は、現状ゼロワン以外に無いのではないだろうか?昔のプロレスとはこんな感じだった。特に土曜夕方〜ゴールデン時代の全日の雰囲気に近い。別にタイトルマッチとか、シリーズを通したストーリーとか無くても、充分レスラーのキャラだけで試合が楽しめる。デンジャラスな角度で落とさなくても、試合に観客が引き込まれる。レスラーの怪我も減るだろう。なんて健全な団体なんだ・・・有る意味プロレスのど真ん中はゼロワンなのでは?とすら思えてくる。このまま順調に行くとは限らないが、全日より、WJより、W-1より期待できるのはゼロワンだとそう思う。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/16記)
NWF/IWGP二冠王者高山とGHC王者小橋の初激突。永田ノア参戦挨拶(笑)。
うん。なんつーかその、入場時のベルト見せつけ合い対決は、非常に豪華で楽しめるシーンだった。やっぱり高山はこういう演出が本当に旨い。小橋にはこういう頓知は利かないだろうから、高山側がふってあげて大正解というシーンだった。高山のここまでの自己演出能力というモノは、Uインターは当然としても、全日でもノアでも誰も気づかなかった事で、フリーになって初めて許され、皆が気づいたわけだ。ノアでノーフィアーが暴れ回っている頃に気づいて、抜擢してやっていれば、ノアとしては高山というおいしい宝物を独占できた筈だろう(プロレス界的には現状で大正解なのだが)。三沢はヘビー戦線に小川を抜擢してみせるなど独特の嗅覚を持つが、やはり自分がそれほど大きなレスラーで無いため、スーパーヘビー級方面への嗅覚は若干劣っていると言えよう。馬場さんが生きていたら、もっと上手く高山を使っていたような気がする。
ただ、今週の放送の見所は正直ここだけだった(永田登場シーンは別として)。ゼロワンの中継を見てちょっと衝撃を受けたのだが、今のプロレスって本当に格闘技寄りになっていると思う。いやそれはバーリトゥードに打って出るとか言うレベルの話ではない。そんなに格闘技色が強くないと言われるノアですら、プロレスの試合を試合内容で追っかけている自分に気づいたのである。いわば競技色が強すぎると言う感じだろうか?変な話だが、プロレスというモノの魅力は試合内容だけではない。試合内容も充分に大事なのだが、カード組み合わせの面白さ、入場シーンの盛り上がり、場外乱闘での運動会など、試合内容、結果とは直接関係無い点でも楽しめるのだ。昔のプロレスはそうだった。何というかサーカス的面白さと言うべきだろうか?毎回ある程度同じ事を繰り返しているのに、それでもお客は満足して楽しめる。試合内容なんて大一番では必ず両者リングアウトや反則負けだった。だけどプロレスと言う興行が面白かったのでみなある程度満足していたモノだ。
だが今のプロレスはどうだろう?技のインフレに慣らされたプロレスオタク達は、もっともっとと凄い技を希望する。かと思えばマッチメークだけである程度満足してしまって、試合内容そっちのけで結果だけを語っていたりもする。こんな視点でプロレスを見てしまっていると、今週の放送はあんまり面白くないのである。確かにチャンピオン同士の激突と言うアピールポイントはあるが、6人タッグなので試合内容が過激になるようなこともない。結果も6人タッグなのでどうでも良いことである。これでは興行は楽しめない。対してゼロワンの興行はレスラーのキャラが立っているので、試合結果なんか本当の意味でどうでも良いのである。ガファリがくるくる回転してればそれでお客は満足なのである。そう言う楽しさをノアは全日から離脱する時に置いてきてしまっているような気がする(永源達の試合はまた別。あれはOBプロレスのようなモノだから)。
ノアのプロレスを筆者は大いに評価している。技のインフレも、ここまで来たら当人達が出来る所まで極めて欲しいとすら思っている。だけどアメプロがショーに走ってしまって大事なモノを失ってしまったように、日本のプロレスも格闘技(競技色とでも言うべきだろうか?)に走りすぎて、大事なモノを失ってしまうのではないだろうか?そんな不安をゼロワン興行、ノア興行と続けてみて感じてしまった。やはりオリジナルホールドは大事にすべきだ。誰かの必殺技は他人は使わない。使ったとしても「掟破りの逆〜〜」レベルに留めておくべきだ。若手前座レスラーも大技は封印して、繋ぎ技で観客の心を掴む術を身につけるべきだろう。そう言う基本的なことを守ってこそプロレスが守れるのである。本当に長州以降のバカラリアットプロレスの罪は大きい・・・
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/23記)
1週間のお休み後も、当然のようにまだ5.2東京ドーム大会ネタである(ちなみに来週も・・・)。IWGPジュニアタッグタイトルマッチ、シャムロック対飯塚。
新日が「総合格闘技に打って出る」これが5.2の売りだった。実際は総合格闘技の試合なんかより遙かにプロレスの試合の方がレベルが高くて、お客さんの満足度もプロレスの試合によって高まっていたように思えるのだが・・・そんな中で紛らわしいというか微妙なのがこの試合。シャムロック対飯塚なのに、プロレスなのだ(笑)。飯塚と言えば新日ファン的には、総合にも対応できる選手との認識だろう(筆者的には対応は出来ても勝てない選手)。シャムロックと飯塚の総合格闘技なんて、実にワクワクするカードの筈である。なのにこの試合はプロレスなのである。そろそろいい歳になってきたシャムロックが、幸せな晩年を過ごす為にプロレスにシフトしてきた。その為の新日参戦、飯塚との対戦なのだろう・・・そんな訳でゆるい試合が展開されていく、何となく雰囲気は格闘技戦風なのだが、関節なんかは極めないし、どこかお互い相手の出方を見ているような展開だった。別にシャムロックと飯塚が何か決定的な失敗をしたわけでは無い。無いけれど、ちょっとやっぱり5.2に入れとくカードでは無かった気がする。
東京ドーム唯一のタッグマッチはジュニアタイトルマッチであった。しかし場内の反応は余り良くなく、何故こんなカードを入れてしまったのか?と言う雰囲気だった。試合自体も狡いライガー達(笑)が、自分達のやりたい事をやって、若手にはやりたい事をやらせないと言ういつもの展開。ライガーはそこから這い上がってこいと言うのだろうが、もういい加減飽きたし、一方的な試合で全く面白味に欠ける。確かにライガーは強いし凄いのだろうけど、ライガーが新日ジュニアをつまらなくしているのは確かである。ライガーこそ新日ジュニアは卒業して、自分のやりたい事を他団体などでやっていったらどうだろうか?
ライガーのわがまま振りは試合後のマイクアピールでも全開である。まずノア勢に絡んでおいて、ノア勢がマットに上がってくるなり「鈴木みのる!」である。ノア上がり損、来場損だ・・・丸藤だってそれなりのマイクアピール(こう言う事は得意だからな)を考えて来ていただろう?確かに丸藤、鼓太郎組が最強かと言われれば疑問符がつくが、そこはそれ、絡んだからにはキチンと相手にせねばならぬだろう?「プロレス界、ジュニアの事を考えてる」と普段から言っているクセに、結局最後は自分が自分がである。ミニ猪木ライガーにはうんざりである。で、呼びかけられた鈴木みのるがこれまた駄目だ・・・確かにプロレスから遠ざかっていたので、感覚が鈍っているのは理解できるが、まず最初にライガーに煽られた段階で、リングに行かないと駄目だろう?なのに何やって良いのか解らないのか棒立ちである・・・何度も何度もライガーに煽られ、チャンスを与えられて、最後にようやく向かう。そんなタイミングでは駄目だ、観客も沸きゃしない。ゲストとしても全く面白味に欠けたし、確かに鈴木みのる、プロレスには向いてないかも知れない(苦笑)。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/20記)
キャプテンフォールイリミネーションマッチ。
ノア中継にしては珍しく、今週の試合はこのキャプテンフォールイリミネーションマッチ「ケンタ、菊地、小橋、本田」対「橋、金丸、秋山、斉藤」(なげー)のみだった。ファンは早く永田絡みの試合が見たいのに、今週も寸止めで速報性の高い日テレらしくない放送だと思う。
キャプテンフォールイリミネーションマッチと言うのは、事前に決められたキャプテンがフォールされた瞬間試合が決まるというモノである。つまり、キャプテンを誰にするかというのが、この試合を面白くするかしないかのキモなわけである。この組み合わせだと普通は秋山と小橋がキャプテンであろう?だが前記したようにキャプテンがフォールされるまで終わらないこの試合形式だと、当然実力の一番有るこの二人が最後まで残ってしまうのは明かである。通常のタッグマッチなどとは違い、一度負けて下がってしまったら試合には参加できないわけだから、他6人がいなくなってしまうと、この二人のシングルマッチが始まってしまう訳なのだ。さすがに1地方大会で、そんなおいしい試合をするわけにもいかないし、何より試合時間がバカみたいに長くなってしまう(時間無制限だし)ので、この二人をキャプテンにする事など当然あり得ないわけだ。
で、それぞれのチームが誰をキャプテンにするかと言うところに注目が集まるのだが、結局本田と斉藤である。まぁ無難なところであり、因縁も有り、今後の展開にも生かせるという人選だろう。だが正直試合内容は厳しかった。この二人を引き立たせる為に、小橋と秋山の絡みは場外が中心、後はジュニア勢が飛んだり跳ねたりしてるのだが、肝心の斉藤と本田がいまいちなのだ・・・なんつーかやっぱり二人ともプロレスが下手なのである。この二人が争っていても観客は沸かないし、感情移入もできない。本田はまだ相手が1流レスラーならなんとかなるのだが、斉藤では胸を借りるわけにもいかないし、とまどいがそのまま試合に出ていたように思える。結果、次への遺恨を残す意味で、負けてみせるのだが、これまたいまいちで・・・
とにかくチャンピオンに斉藤が居るという事態が、色々と面倒な要因となっているわけである。さっさと小橋本田組にチャンピオンになって貰って、秋山は斉藤とのタッグを解消すべきだろう。秋山のパートナーは大型若手選手か、ベテラン中型選手が望ましいと思う。佐野なんか悪くないと思うのだが(佐野の良さって全然ノアで出てないし)。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(5/26記)
つーわけで今週もドーム大会放送である。が、ネタが無くなってきたので、前夜祭のOBプロレスと全女35周年の新日絡みの試合が今週の中継内容である。
そもそもこの前夜祭って何なんだろう?観客は確か公式発表でも1万人ぐらいしか入っていなかったし、そのうち入場料を払って入った客はどれぐらい居たのか?(5.2のアリーナチケ持っている人は無料だったはず)GWのまっただ中に東京ドームを押さえて、この入場者数・・・大丈夫なのか新日?と言う気もするが、スポンサーの平和が殆ど金出したんだろうか?猪木も良いタニマチ手に入れたモンである。それにしてもこの不況化にさすがギャンブルメーカーと言うべきか。
坂口が随分前から、OBプロレスに向けて体調を整えているというのは有名な話である(ここ2年ぐらいか?)。未だにタイトルマッチ宣言を読み上げるその姿は、リング上のどのレスラーよりもデカく、その坂口が動いている姿を見れるのなら、是非前夜祭行きたいと思っていた。でもまあ諸々の事情で観戦できなかったのだが、坂口出てねーじゃん!あぶねー!!何で出なかったんだ坂口?出てアトミックドロップやってくれるだけで良かったのになあ・・・それとも久しぶりで間違ってバックドロップやっちゃうかも知れないので他のOBに恐れられたか?
そんな訳で結構微妙なメンバーになったOBプロレス。はっきりと引退後もトレーニングやっている人間とやってない人間の差が現れていた(苦笑)。小林や木戸は、今すぐ現役に復帰してもなんら支障がないぐらいの仕上がり。本当、新日じゃなかったら今もどこかで、この二人はレスラーとしてマニアな観客を楽しませていたであろう。非常に残念である。年金システムは素晴らしいが、まだやれるレスラーを辞めさせてしまうと言うのはやはりどうかと思う。小鉄さんも分厚い体を見れば、ウェイトをやっているのは明か、腰に持病が有るはずなのに立派な心がけである。反対に総裁はたぶん引退してから何もしてないんだろうな・・・足下もおぼつかないし。魔界で表舞台に出て来ちゃったので露呈したけど、やっぱり年取っても運動は大切です。で、カブキって現役?
この後金本らが出た全女35周年興行の映像が流れて、後は蝶野が5.2を振り返ると言う構成だったんだけど、はっきり言って無駄だ。こんなのに時間を割くぐらいなら、5.2の試合でカットした部分を放送して欲しい。何度も言うが、プロレス中継は試合がメインであるべきだ。確かにレスラーの肉声が聞けるのは嬉しいことかも知れない。今後の展開を楽しむためにはマイクアピールも必要だろう。だが、今週の放送みたいな事は本来テレビでやるべき事ではないのだ。越権行為である。何の為に世の中にはプロレス雑誌というモノがあるのだ?テレビで試合を見、プロレス雑誌で情報、レスラーの考えなどを仕入れる。この相互補完関係によってプロレス業界は上手く回るのである。今週のあの試合、レスラーはどう考えてるのだ?そういう興味でファンはプロレス雑誌をめくるのである。試合も充分に流さないで、雑誌媒体のテリトリーを侵すなんて言語道断である。「自分達だけがよければ」なんて考えではプロレス業界は潤っていかない。解説者に雑誌媒体の人間を使っていながら、なんと配慮が足りないのだろう?本当にテレ朝プロレス班には問題が多すぎる。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(5/28記)
永田対井上。
散々じらした永田のノアシリーズ参戦の初戦は井上雅央が相手である。筆者が井上を雅央を結構買っているのは、ここをご覧になってくれている人ならご存じだと思うが、当然ノア側も井上の実力を高く評価してるからこそ、永田の初戦の相手に雅央を指名したわけである。まあノア、三沢としても、今更永田の実力を疑っているわけではないだろうが、1戦だけの出場とは訳が違うので、キチンとシリーズ初戦、雅央で永田の実力を計ってみると言う感じだろう。試合自体は、場外でフェンスに叩きつけた側の雅央が流血するというアクシデントがあったモノの、さすが雅央らしいインサイドワークで、かっちりとした試合に仕上がっていた。新日で言えば後藤やヒロに匹敵する実力者が、ヒールでなく普通に中堅で存在する、ノアの厚みみたいなモノを永田も感じたのではないだろうか?昨今はこういうレスラーが減っているので新鮮だっただろう。
で、今週これで終わりである。とほほ。期せずして新日と同じような構成になってしまった。それで日テレは余った時間を何に割いたかというと、さすが日テレプロレス班。テレビ放送ならではの企画で見事埋めて見せた。本田多聞の回転地獄五輪講座である(笑)。ややこしいややこしいと評判の回転地獄五輪。それを一つ一つ入り方から極め方まで懇切丁寧に教えてくれるのだ。こりゃ世の学生プロレスラー達必見の好企画である。これでこそテレビで時間を割いてやる価値があるというモノだ。おまけに掛けられるのがアナウンサー。これまた正しいアナウンサーの使い方である。素人の代表アナウンサーが、プロレスの技を喰らってその苦しさを表現してみせる。こういうのが正しいアナウンサーの使い方なのである。プロレス興行の一キャラクターと化して、勘違いをする増長アナが多い、テレ朝スタッフに見せたい好企画であった。
ワールドプロレスリング TV朝日系土曜深夜(6/2記)
ようやく新シリーズ開幕。永田はノア掛け持ち、蝶野は欠場、中西もふわふわとなんだか落ち着かない新日本である。
そんな中、超新星(笑)中邑がプロレスの試合にもじっくりと出るようになってきた。スーパールーキースーパールーキーと言われて、大舞台ばかり与えられてきているが、その殆どが総合格闘技系の試合で、プロレスラーとしての実力は未知数である。と言うか、やっぱりプロレスは試合数をこなしてモノになるわけだから、地方も何もフル出場して、プロレスラーとしても早く超新星になって欲しいところである。ただ、いかんせん本人がバカっぽそうなのが気になるところで、インタビューとか聞いていても、いまいち積極的に応援したくなるようなコメントではない。今現在ラインに乗っている感じがするので、本人おおいに勘違いしてるんだろうが、その辺り、トンパチ柴田にしっかりとプロレス界の怖さを教えて貰うと良い。
あと今週の見所としては鈴木みのるのマイクアピールか?やっぱりプロレスはしょっぱいなあ・・・その後の成瀬とのやり取りもお互い一杯一杯だし。総合風プロレスじゃ喰えなかったんで、新日に頭下げてプロレスやらせて貰うわけだけど、果たして継続的に面白い試合できるんだろうか?それとも本気で潰す気なんだろうか?178センチに高山が(新日じゃないけど)潰されるとも思えないし(笑)。
プロレスリングノア中継 日本テレビ系日曜深夜(6/5記)
GHCタッグ前哨戦。永田対田上前哨戦。
日テレ頑張った。これまた当日放送なのである。この後の試合との都合があるのでここに入れざるを得なかったんだろうけど、よりによって60分3本勝負なんて言う面倒くさい試合を、よく編集し直したと思う。で、まぁ肝心の試合の方の焦点は「本田多聞の頑張り」と言うところだろう。このシリーズとにかく本田は、小橋に叱咤され続けてきた。小橋戦で見せた凄みみたいなモノがシリーズ通しで出せていないと言うのが原因だろう。そのファイトには小橋だけでなく、対戦相手の秋山にもなじられる始末。ただ、個人的にはそれほど多聞のファイトが悪かったとは思えない。斉藤にまさかのフォール負けを奪われたのだって、冷静に考えれば今シリーズの流れの上で必要な敗戦だったわけだし、何より多聞の体つきを見てみれば、多聞がいかにやる気に溢れているかが解る。明らかに体重を絞っているのだ。しかも一番絞りづらい腹回りが劇的に絞れている。この効果が試合に現れないわけがない。元々ヒザに爆弾を抱えている割には目方のあった多聞である。その多聞が、自分の望みうる動きを出来るように体重を絞ったのである。そんな多聞にタイトルマッチでは期待したいと思う。
永田対田上前哨戦。ノアとの試合でもっとも永田と噛み合わないだろう選手が田上である。もっともそう言う選手と試合をこなしてこそ、名レスラーとなれるわけで、永田にとっての最大の課題がこの対田上戦だと思う。だが結果は見事に噛み合わなかった。田上のペースにどっぷりはまってしまい、何ともたるい試合に仕上がっていた。試合後の永田のコメントにもそのイライラは出ていたが、それでは永田駄目なのである。最初にも書いたが、この田上と名勝負を作り上げてこそ「プロ」レスラーとしてのランクが一段階上がるのである。現に全日/ノアのレスラー達は田上戦でも見事な好試合を作り上げてきている。田上にエンジンが掛からないのは、田上が死んでいるのではなく、永田にそこまでの魅力が無いと言う事でもあるのだ。年取って確かにエンジンが掛かりづらくなった田上(笑)。だが、その田上を輝かせるような試合をしてこそ、永田のノア参戦の意味があるのだ。シングルではその辺りをもう一度考え直して試合をして欲しい。
今週の感想(6/12記)
すいません事切れました。今週からワープロもノアもまとめて感想書くことにします。これからは内容によって、どちらかは触れない事もあり得ます。つーか毎週感想書くの自体がかなり厳しくなってきているので、そろそろそろそろか?
ノア武道館大会特別1時間枠。今週のメインはGHCタッグタイトルマッチ、秋山斉藤組対小橋本田組。とにかく注目は本田多聞が男になれるか?と言う一点に有ったと思う。結果として見事秋山からフォールを奪い、場内も大多聞コールと興行としては大成功に見える。だが果たして本当に大成功なのだろうか?その前の武道館、小橋対本田戦時ほどの盛り上がりがこの試合に有っただろうか?いや、まぁ今回はタッグだし、前回が特別だったとも言えよう。そう言う分を差し引いても筆者の満足感は、非常に薄かったと言いたい。
何より試合後の秋山のコメント、状態が問題である。「これで責任から解放された、G1に参戦したい」こう秋山は言い放ったのだ。しかもその表情はまだまだ余裕綽々なのである。なんだか新日の試合後をみているような嫌ーな気持ちにさせられた。秋山はチャンピオンだったのだ。しかも最多防衛記録を誇る。格的にも三沢、小橋に次ぐナンバー3なのである。その秋山がタイトルマッチで全力を出して戦ってない。試合後にあんなに余裕が有る。これはノアらしくないシーンだったと思う。ノアをファンが支持しているのは、その過剰なまでの限界を超えたファイトにある。三沢も小橋も、本田も、フリーの高山も、ノアでタイトルマッチをやる時は、己の限界ギリギリまで追い込んだ試合をやって来ているのである。なのにこの秋山はどうだ?
最後にしても回転地獄五輪からのフォールである。別に落ちたわけでもない。つまり秋山ほどの選手で有れば、返す気になれば返せたのである。なのに返さない。挙げ句上記したコメントである。確かに流れ的には、先シリーズから本田多聞の流れにはなっていた。タッグマッチなのだし、パートナーが小橋なのだから、多聞がチャンピオンになってもおかしくはない。だからと言ってああもあっさり、計算ずくで負けて見せて秋山はどうとも思わないのだろうか?ノアではしばらくおいしい事なさそうだから、とっとと負けてG1に出よう。そんな割り切りが感じられてしまったのである。
秋山は小橋対三沢戦の時も、一人引いたコメントを出していた。そして今回のこの試合である。元々新日的な選手では有ったが、ファイトスタイルまでこんな手を抜いた新日スタイルでは(むしろ昨今の新日レスラーの方が気合いが入っている)、ノア所属の意味がない。何かとノア本体に批判的な態度の秋山だが、試合で答えを出せない男に偉そうな事を言う資格は無い。自分のことだけを考えて「多聞に負けてやった」そんなポーズを取る秋山をノアファンとして認めるわけには行かない。
今週の感想(6/17記)
この枠を一枠にした途端にルマン中継のために新日お休み。それにしても毎年この時期のテレ朝、ルマン、全米ゴルフ、巨人戦と欲張りすぎてないか?ルマンなんか24時間レースなんだから、リアルタイムで頻繁に追わないと意味無いだろ?
つーわけで今週もノア武道館大会。やっぱり永田対田上戦を取り上げないわけには行かない。先々週のこの欄で「永田はグダグダ言ってないで、田上自身を本気にさせて、面白い試合を作り出さないといけない」「それでこそ他団体進出の意味が有るわけだし、それでこそ団体のトップレスラーと言える」と書いた。結果この武道館でのシングルマッチがどうだったかと言うと、見事上記課題をクリヤーしていたと言えよう。
日テレの中継、試合中ずーっと「田上火山噴火」的字幕が踊っていた。また解説の高山もしきりに「田上のおっさんの表情が違う、ファイトが違う」と言っていた。見ていた筆者も「こりゃ久々にやる気モードだな」と感じていた。だが見終わった後、やっぱり田上は田上であったという感も拭えない。確かに久々の田上やる気モードは大迫力で、デカイレスラー好きの筆者としてはたまらなかったし、何よりいつもの田上のヨロヨロ感が少なかったのも、田上ファンに「そうだこれだ、頭の中で思い描いていた理想の田上はこれなんだ!」と思わせたであろう。だが、結果は永田に力負け。今の田上はどんなに頑張っても所詮「噛ませ犬」でしかないと言う現実に引き戻されてしまったと言うところだ。
永田にしてみれば、この後にまだまだ戦いたいノアレスラーが控えているわけだし、ノアサイドとしてもライバル団体のエースを上げているわけだから、そうそうその看板に傷をつけるわけに行かない。だからそんなに田上ファンタジーにつきあってもいられないと言うのも解る。むしろ永田にしてみれば冒頭に書いたように、見事田上の魅力を引き出して、武道館のノアファンを田上ファンタジーで酔わせた事によって、自分の役割を果たしたと胸を張れる結果だとも言える。だが正直悲しかった。確かに田上がノアトップレスラーから脱落しつつあるのは感じていた。だが、心のどこかで、まだ「本気モード」にさえなれば・・・と言う思いがあったのだ。だがその本気モードですら、体格で一回り以上小さい永田に、こうも余裕の試合展開をされるとは・・・
永田はまた一つ自分の格を上げて見せた。確かに良いファイトだった。相手の技も受けきって見せた。小さいヘビー級としてのハンデも全く感じさせなかった。永田は嫌いなレスラーではないから、この永田のファイトは素直に嬉しい。でも「田上に決定的な一撃を与えてしまった試合」そっちの方がおもーくのし掛かる一戦であった。
今週の感想(6/26記)
新日3大タイトルマッチ。IWGPヘビー級選手権高山対天山、NWFヘビー級選手権高山対中邑、IWGPジュニアヘビー級タッグ選手権ライガー金本組対丸藤鈴木組
だからなんでこんな勿体ない編集の仕方するんだよ?60分枠にタイトルマッチ3本なんて詰め込みすぎだろ?どうして1本ずつ毎週の目玉に出来ないかなぁ?その方が視聴率も良いだろ?しかもジュニアは対抗戦な訳だから、盛り上げ方も違う方法が有るはずなのに・・・ヘビー戦は試合間隔も開いてないし、試合時間も短かったからまとめても良いと思うけど、どうしてこんな大事な試合、短い試合をノーカットで放送できない?テレ朝の中継ではタイトルマッチの凄み、面白さは伝わってこない。
で、「ノアジュニアは最強です」の丸藤、鼓太郎組が挑んだジュニアタッグ戦。完全に新日勢の手のひらの上で踊らされている感じだった。通常ライガーに否定的で、ノア肯定派の筆者でもこればかりは嘘をつく訳には行かない。筆者はライガーを嫌いなだけであって、ライガーの実力を認めていないわけでは無い。さらにパートナーは金本なのである。誰がどう考えても新日最強、いや日本ジュニア最高のタッグチームと言えよう。このチームに怪我で長期休養をしていた丸藤と、ぺーぺーの鼓太郎でかなうわけがないのである。そもそも「ノアジュニアは最強です」の発言も丸藤なんかが言えるセリフでは無いわけだ。このセリフはノア旗揚げ以来ジュニアを支えてきた、金丸や菊地にこそ言う資格が有るわけである。
その金丸菊地でなく、丸藤鼓太郎組で挑んだのがそもそもの間違いだったのだ。確かに二人ともセンスは感じるが所詮体操選手である。当たりの激しい新日の、バリバリ格闘系ライガー金本に通用するわけがない。せめて丸藤のパートナーが橋や杉浦だったら展開も変わっていただろう。金丸のパートナーが打たれ強い菊地だったように・・・新日ジュニア勢とやる時は、まず打たれ強い選手であるべきなのだ。この先丸藤達がベルトを取ることもあるだろう。だがその奪取の仕方はきっと「一瞬の隙をついて」と言うモノになるだろう。だがそんなベルトの取り方に価値は無い。そんなベルトは所詮約束事の行って来いベルトに過ぎないからだ。
「ノアジュニア最強」なんかをうたうので有れば、力負けせずにベルトは奪うべきなのである。シングルのタイガーマスクのように、負けて貰ってのチャンピオンは恥ずかしい。その為には自団体内でのもめ事なんかは置いておいて、まずノアジュニア最強のコンビでライガー金本組と挑むべきだろう?その資格が有るのは、菊地、金丸、丸藤、橋、杉浦までである。言わせて貰えばセンスさえなければ丸藤だってギリである。ひょろひょろの体操選手が勝てるほど新日は甘くない。