過去の東野プロレス的
毒有りTVプロレス観戦記

すんごい文章量になったので字をかなり小さくしてみた。
ウェブ上で見ると目が痛くなるので、必ずコピーしてご贔屓のワープロソフト上で
拡大して見ることにしましょう。取り敢えず読み込み終わるまでは
エロページでも見てて時間を潰して下さい。


2004年下半期


今週の感想(7/13記)

 ノア東京ドーム大会。ラッシャー木村引退。

 さて、7.10はノア初の東京ドーム大会でした。よっぽど駆けつけようと思ったんですが、うちの某スーパースターが音楽喫茶をオープンさせまして、そのプレパーティー出席で見に行く事は出来ませんでした(いやそもそも旅に出るので無理だったんだけど)。会場は58000人満員だったそうで、新日ガラガラドームを見慣れている身としては「やはり見に行くべきだったか?」と後悔しています。

 そんなファンの盛り上がりとは対照的に、日テレの対応は全くお寒い限りです。当日深夜の特番無しは許せるとしても、通常枠の1時間拡大もありませんでした。あまりにも酷い扱いです。ここのところ当コーナーがおざなりになっていたのも、テレ朝、日テレ共に、まともな試合を放送しないからであって、必殺技とインタビューだけ見せている放送で、何の感想をのべろと言うのでしょう?それがようやく試合が見れると思ったらこの扱いです。せっかく情報を遮断して放送を楽しみにして居ても、何週にも渡って放送するので有れば、いずれ試合結果などは雑誌で解ってしまいます。本当最低、上から3試合ぐらいは当日に放送して貰いたいところです。

 で、久々の満足な試合であり、筆者がもっとも期待していた試合が、このIWGPタッグタイトルマッチです。高山鈴木対ワイルド2!なんてワクワクするカードでしょう。日本人130キロオーバーが3人!日本人によるスーパーヘビー級対決の中に一人ジュニアの鈴木みのるが入る。いったいどんな試合が〜とかなり妄想膨らませていたのですが、わずか10分少々の戦いと正直期待外れ。なんかベルトと一緒に試合ペースまで新日から移って来ちゃった感じです。もっとガツンガツンドシンバタンやれたはずでしょう?カードが良かっただけに勿体なく思います。

 ラッシャー木村が遂に引退しました。オープニングでリング上にたたずむ姿を見て「お、試合には出ないけど大丈夫そうじゃん」なんて思ったら、あれは4年前の映像でした・・・引退発表をする姿は、どうやら脳梗塞かなんかで倒れたようで、若干顔や右半身に麻痺が残っているようです。何度も書いてきましたが、筆者は中高の卒業文集をラッシヤー木村でつづるほどのラッシャー木村ファンでした。最初に好きになったプロレスラーが、新日マットに国際軍団として上がっていたパンチパーマのラッシャー木村なのです。ラッシャー木村によって、プロレスの酸いも甘いも教えて貰いました。また、ラッシャー木村の衰えと同時に「暖かい目で見る」楽しさも身につけてきました。そんな愛すべきラッシャー木村も遂に引退です。入院したと言う一報後、試合に出なくなってから随分経ちました。その間賢明のリハビリをやっていたのでしょう。マットには戻ることは出来ませんでした。でも最後にマイクでファンに報告する言葉は実にはっきりとしていました。その姿にラッシャー木村の頑張りを感じました。ラッシャー木村ありがとう。今年の興行は国際魂で行くぜ!


今週の感想(7/21記)

 ノア東京ドーム大会第二弾。2週目にして遂にGHCヘビー級選手権、小橋対秋山。

 試合前は、正直秋山がどれだけやる気があるか疑問だった。秋山が目指すプロレスと、小橋(含む三沢〜旧四天王)が目指すプロレスは微妙にずれているように感じていたからだ。ただ、秋山のプロレス好きは明かであり、その秋山と小橋達との微妙なずれが、現在のノアの面白さに繋がっているのも事実である。せっかくの東京ドーム大会、以前から宿命の対決と言い続けていた二人、「上手く噛み合ってくれ」と言うのが筆者の願いだった。

 で、実際の試合内容はどうかと言うと正直解らない。先週も話したが日テレが全然特番体制になっていないので、この35分の熱闘も無理矢理通常枠、実質20分に納められてしまっているのだ。つまりかなりダイジェスト。序盤の駆け引きからしっかりと見てこそ、あの場外へのブレインバスターとかのバカ大会の意味合いとか、必然性とかが出てくるわけで、今週の放送みたいなスタイルだと、三沢対小橋戦で三沢が場外にタイガースープレックスを出したので、今回も「しょうがないから場外にブレインバスターやった」ように見えてしまう。こんな凄いことやりましたよ自慢?それではインディーと変わらないわけで、メジャーのプロレスは、凄いことをやるにも状況から来る必然性が重要だと思う。それが、全くこの放送では解らないので、評価が自分の中で決まらないのである。見た最初の感想は残念ながら「凄い事やっちゃったよ自慢」だった。本当にそうだったのかも知れないが、個人的にはノアを信じているので、日テレの編集のまずさと思いたい。

 それにしても秋山は良くつき合った。冒頭にも書いたが、これは本来秋山のやるプロレスでは無い。秋山はこういう受け身自慢的プロレスをあまり肯定していないように思えるからだ。受け身自慢プロレスはともすれば、プロレスマニアとレスラーとの自己満足の確認作業に陥りがちである。有る程度プロレスを見て勉強しないと理解できない、こういうプロレスに秋山は少々危機感を感じていると思う。今の世の一般ファンは、こういう面倒な作業を嫌う。もっと解りやすくないと駄目なのだ。「凄い技を喰らっても平然と起きあがってくる=大した技ではない」こういう悲しい認識を持ってしまうわけで、秋山としてはその辺りの一般ファンとノアのプロレスの温度差をなんとかこの試合で埋めようとしたのではないだろうか?

 三沢対小橋戦よりも、今回の小橋対秋山戦の方が遙かに痛そうだった。デンジャラスな角度で落ちた後のリアクションは秋山本当に素晴らしかった(笑)。より多くの人に、自分たちのやっている事の凄さが伝わる。そう言う意味ではこの試合の勝者は秋山だったように思う。秋山のおかげでこの試合は輝いた。


今週の感想(7/29記)

 ノア東京ドーム大会第三弾。三沢小川組対武藤ケア組。

 うーんいまいち(笑)。いや二人とも体、重すぎるよ。なんかもったりもったり動いていて見ていて緊迫感が無かった。武藤はもうスタイルがあんな感じだから(わざわざ相手にヒザ差し出す辺りも)ともかくとして、三沢はなんか最近コンディション良く無さそう。対小島戦両国でも思ったけど、動きにキレが無いんだよなあ

 お互い相手の技を受けて返してで、充分にその魅力は堪能できたんだけど、もう少しこう、その先が見えてくるような試合であって欲しかった。まだ蝶野や橋本と絡んだ時の方がワクワク出来た。一番最後に残っていた果実は、腐り始めてたって感じ?そんなイメージをうち消すかのように、試合後のインタビューは二人とも「好印象」をアピール。だったら次はシングルで、もう少し「取るか取られるか」の戦いをして欲しい。二人が戦う夢は現実になった。だったら次はどっちが強いか教えてくれ。

 東京ドーム大会、取りあえずメイン3試合見たわけだけど、IWGPタッグ、GHCタッグ、タッグ戦は共に凡戦かな?と言う感じ。現場との温度差は埋められないかもしれないけれど、ノア初ドームならもう少しクオリティの高い試合をやって欲しかった。やはりノアには器がデカすぎたか?


今週の感想(8/13記)

 ノア東京ドーム大会第五弾、ゼロワン火祭り。本来ならゼロワン火祭り興行だけに触れようと思っていたのだが、ノア東京ドームの残り物にこんなに凄い試合が隠されているとは思わなかったので、取りあえずそれから触れる。ここを見てくれている人なら解ると思うけど、筆者はあまり体操選手なジュニアレスラーを好まない(かといってライガーみたいな、ヘビーコンプレックスなタイプも嫌いなんだけど)。相手へのダメージ云々より、自分の技がキレイに決まるか否かが大事なのは、一応格闘技なわけだから「どうだろう?」と思うのだ。だから当然ノアジュニアでも、評価しているのは杉浦であり、橋であり菊池なのだ。体操選手代表な丸藤はあまり好きじゃないわけだ。

 この東京ドーム大会、本来小橋〜三沢的プロレスに否定的な秋山が、小橋〜三沢的プロレスを受け入れてそれに対応していたと言う話をしたと思う。それと同じ事がこのジュニアのタイトルマッチでも行われていた。体の線が細い丸藤はあまり相手の技を受けようとしない。相手の技を受けダメージがたまると、自分の体操選手技がうまく放てなくなるからだ(現にこの試合でもフィニッシュになるべきな技が、高角度セントーンになり失敗していた)。その丸藤が杉浦組のえげつない技を受けて受けて受けて見せた。やはりプロレスは「受けの美学」なのである。相手の技を受けて受けて受けきったからこそ、この試合が素晴らしい試合になったのだ。例えフィニッシュに失敗して、杉浦共々やり直しになっても、この試合全体の流れから考えれば微々たる失敗である。

 好きではないが、丸藤の線の細さは理解している。年に一度でもこんな試合をやっていれば、筆者の丸藤評も上がるし、丸藤というレスラーの奥深さにも繋がると思う。少なくともこの試合の丸藤には「ノアのジュニアは最強です」と言う資格が充分に有ったと思う。素晴らしい!

 ゼロワン火祭り。勝俣がさんざんAブロック勝ち抜け筆頭は小島だと言っていたが、どう考えても筆頭は大森であろう?まぁ大森が出てくるフリとしては完璧な「プロレス」振りだったわけだが(笑)。そしてBブロックの代表は佐藤と言う意外な展開。いや、ちょっと嫌な予感はしたわけだ。え?って。そしたらあまりにもあまりにも安直な形で佐藤の優勝・・・それはいかんだろ?ゼロワン。確かに佐藤はインディー団体としてはずば抜けた体のデカさを持つ期待の若手である。こいつを育てずに誰をエースにするのだ?と言うのも当然である。

 だが、それが今なのか?と言うとはなはだ疑問である。確かに橋本が右肩手術で長期離脱の可能性がある。だからこそ、新たな「顔」が必要なのも解る。だからといって体も満足に出来ていない若手レスラーが、ほいほいと大森を倒して良いわけがない。「説得力」がまるで感じられないだろう?試合でも確かに大森の猛攻に良く耐えた、だがそこから大森をフォールするだけの反撃が出来たと言えるだろうか?誰がどう見ても大森が「負けてあげた」試合にしか見えない。こんな形でスポットが当たっても早く潰れてしまいそうな気がする。インディー団体は人材不足から、よく期待の若手を無理矢理登用しがちである。確かにプロレスは「地位が人を育てる」的所があるので、使われれば使われたなりの試合をしそれなりの選手にはなっていく。だが、所詮それ止まりなのだ。本来ならもっと大きく育っていたはずのレスラーが、小さくまとまってしまっているのを一体どれだけ見たことか?荒谷、マンモス佐々木なんかが良い例である。ゆっくりと大きく英才教育をすべき次世代のスター候補に、無理矢理団体をしょわすような事をしてはいけないのだ。

 そう言う意味で、佐藤の火祭り優勝には多いに苦言を呈したい。合わせて、入れてしまったモノはしょうがないが、背中の時代遅れなデザインの入れ墨もどうであろう?あんな入れ墨入れてしまっているレスラーがメジャー団体のトップに立てるとはとうてい思えない。色々な意味で佐藤、小さく纏まったインディーエースになってしまいそうな悪い予感がする。


今週の感想(8/20記)

 新日G1特番。やっと来た。年に一度だけ新日の選手が本気になる時、それがG1クライマックス!しかも今年は、テレ朝に騙されて30分枠になって以来初の2時間枠。あらゆる意味で期待してビデオのプレイボタンを押した。

 とにかく今回のG1は開催前から話題が豊富だった。優勝パレードや、賞金賞品の豪華さ、また前々からテレ朝としては「G1を同局の格闘イベントの柱にしたい」と言い続けていた為、中継にも気合いが入っていた。その気合いの入り様は、たった30分しかない(実質24分)通常枠で、殆ど試合を流さず、参加レスラーのインタビューを数週間に渡って流してしまうほどだ(おかげで、もう一つの新日レスラー本気大会の「トップオブスーパージュニア」はまるで放送されなかった。あまりにも酷すぎる・・・)。そんな訳で実に本当に久しぶりに、プロレスの試合をきっちりとテレビで見れた気がする。それがまず最初の感想である。こんな当たり前の事が、こんなに嬉しく思えてしまうのは、基本的に間違っている。間違っているのだが、今日は不平不満はこの辺りにしておきたい。なぜなら、やはり今年もレスラーが我々の期待にしっかりと応えてくれていたからである。

 結論から言うと天山優勝である。穿った見方をすれば、今後の新日の方向性がいまいち定まっていない中、新三銃士がトップを取るには早すぎる。それならと消去法で天山優勝になったと言えなくもない。だが、そんな事は天山の試合を見ればどうでも良くなってしまう。純粋に「天山が勝ち抜いて優勝した」そう言われても納得できるだけの試合を天山はしていたと思う。この欄で筆者は天山に対してかなり厳しい事を書き続けていた。天山の試合組み立て能力の無さは、プロレスラーとして致命的だと思っていたからだ。

 天山のここ一番での試合は天山が耐えて耐えて耐えまくって勝つ。と言う図式のモノが多い。これはタフな天山らしい良い方法だし、何より相手の技を受けるのはプロレスの基本なのだから、本来なら文句など付けられるべきモノではない。だが、耐えてから「勝つ」までには何の流れも、感動も、説得力も無いのが今までの天山だった。受けるだけ受けたから、後は約束で決まっている技を出して勝ちました。そう言う淡泊な試合が天山のここ一番での試合だった。見ているファンが全く感情移入できないのだから、プロレスラー失格である。だから筆者は天山を好ましく思っていなかったのだ。

 だが今回の天山は違った。新三銃士と戦う試合では、どれも自分が試合をリードして組み立てていた。また勝ちにしても唐突な勝ちではなく、お互いに死闘を尽くした末に、気力で勝って必殺技で放つと言う、実にカタルシス溢れる試合となっていた。これである。耐えて耐えた後には、当然説得力のある逆転劇が必要なのだ。それが今回の天山は出来ていた。必殺技をお互い出しあって、それでもなお、自分の方が、体力、気力共に上回って勝つ。何と説得力があるのだろう。頑丈さには定評のある天山。こういう天山を見たかったわけだ。

 残念ながら天山のルックスは団体のエースとなれるものでは無い(天山がなれるのならレフリーのキャットさんでもなれるだろう)。でも今回のように新三銃士の厚い壁となって存在感を示せば、充分に魅力的なレスラーにはなれると思う。渋みのあるおっさんレスラーの天山。格好良いではないか!


今週の感想(9/2記)

 新日朝までプロレス?。だからよ、こんな討論番組に2時間以上割く時間があるんだったら、まず試合流せよテレ朝?えー?

 正直、今テレビ番組として一番面白いプロレス中継は、テレ東全日中継だと思う。試合はダイジェストだから、若手とか外人しょっぱくてもばれないし、何よりカード的にワクワクするカードが多い。新日なんかよりマッチメークで充分見る気になれる。毎週見てるとうざったいのだけど、次の試合、カードへの流れもしつこいくらい説明してくれるので、武藤が言っていた「テレビを見て、会場に来て貰う」はしっかりと達成できてるんじゃないだろうか?

 今週も短い放送時間の中で、川田対小島戦なんか、結構楽しんで見れた。小島は昔はほとんど評価していないレスラーだったんだけど、全日に移ってからは、さすがに一皮剥けた感じがする。インディー団体なので、一試合一試合が勝負。今日来てくれたお客さんに、次も来て貰うにはどうすれば良いか?そう言う事を毎試合毎試合考えながら必死にやっているうちに、良いレスラーになってきている。ラリアット連発のバカプロレスは相変わらずだけど、相手の技を良く受けて、耐えて耐えて試合をする、良いプロレスが出来てきている。まぁ簡単に言えば「全日」のプロレスなわけだ。

 新日にいた頃は、人気に溺れて楽な試合ばかりしていたのが、全日で苦労して一皮剥ける。本当に新日という団体、システムは何か間違っているとしか思えない。冒頭に書いた朝までプロレスでも、一番の現場レスラー、棚橋がなんとも器の小さい発想でがっかりした。いや、言っている事は一見立派に見える。「流行に左右されないで、自分たちのプロレスをしっかりとやっていれば、いずれ理解して貰える」地に足がついた素晴らしい意見だ。だが、こういう発言は団体のトップに任せておけばいいのだ。まず棚橋は自分が売れて、のし上がって行かなきゃいけない存在だろう?確かに会場では「たな〜」「たな〜」と黄色い声援が飛んでいる。だがそんな程度で満足して貰っていては困るのだ。

 新日全盛期。タイガーマスク見たさに全国の子ども達が会場に駆けつけた。それと同じように棚橋見たさに、全国の女性ファンが駆けつける。そう言う役割を棚橋には期待されているわけだ。放送でもさんざん魔裟斗と比べられた。魔裟斗見たさにK1は女性が会場に来るし、視聴率も上がるのだと。だが棚橋はそんな次元で比べられては迷惑だと言うようなスタンスだった。確かに筆者も魔裟斗程度と棚橋では器が違うと思う。この先のスター性を考えたら、遙かに棚橋の方がデカイ器だと思う。だが、それが解っているのは一部のプロレスファンだけなのだ。それを一般大衆にまず解らせなければ行けない。そのためには、まず棚橋と言う名前を知って貰うところから始めるべきだろう?

 その為にはやる気無いテレ朝の深夜でちょこちょこ試合やっている程度では駄目なのだ。プロレスを大事にする姿勢は、プロレスファンとして多いに嬉しい。嬉しいからこそ、棚橋には新日を、プロレス界を劇的に引っ張って欲しいのだ。く〜あと5センチ身長有ったらなあ(笑)


今週の感想(9/16記)

 ノアGHCヘビー級選手権、田上対小橋。

 田上火山大噴火。一体何年振りの噴火だろう?浅間山噴火に合わせたようなシャレの効き具合である。そもそも入場してきた段階で、明らかに今日はやりそうな予感がプンプンしていた。体の引き締まり具合がここ数年の田上とは全然違うのである。「おっさんやれば出来るのなら、なぜいつもやらない?」そう全日からのノアファンは思ったに違いない。はからずもこの試合で通常の田上が、いかに何もやらずにリングに上がっているかが証明されてしまったわけだが。(まぁそれもこれも含めて田上な訳だが)。

 とにかく完璧に仕上げて調整してきた田上は、序盤からガンガン押しまくる。解説高山が当初心配していた、スタミナ切れの不安も全く感じさせず、とにかく次から次へと大技小技、休むことなく攻め続けていた(日テレの編集のせいかも知れないが)。週プロにも書いてあったが、全体の80パーセントぐらいは田上の攻撃タイムだったのだ。これこれ、こんな田上が見たかったんだよ〜と筆者を含む全国の隠れ田上ファンは思ったに違いない。

 だがこの試合が果たして、名勝負だったかと言われると申し訳ないが、10点満点の7点ぐらいの試合だと思う。満点にはちょっと遠いって感じなのだ。その最大の要因は、田上火山が噴火しっぱなしだった点。ここに有ると思う。あまりにコンディションの良すぎた田上はとにかく攻めまくった。その凄さで試合が面白かったのも確かだ。だけど、それを全部受け、耐えたのは小橋な訳だ・・・挙げ句わずか20パーセントの技で田上はスリーカウント喰らってしまう。これってどうなのだろう?

 筆者は田上が攻め疲れて負けたとは思っていない。ペース配分が間違っていたわけではないのだ。田上は負けるべくして負けたのだと思う。確かに完璧に仕上げてきた田上。だがその完璧に仕上げてきた田上ですら、小橋の技はあの程度しか受けられ無かったわけだ。全体比率8:2。プロレスは相手の技を受けても受けても、まだ立ち上がれて最後に必殺技を出せた奴が勝つのである。相手の技をあの程度しか食らえなかった時点で、いくら攻めていても田上は負けなのである。名勝負として田上が勝ってチャンピオンになるには、技の攻防の比率は当然5:5でなければならない。確かに小川のように1:9で勝つこすいチャンピオンも居るだろう。でもそんなタイトルマッチをノアファンは求めていない。

 お互いの技と技を完璧に受け合って、その上で勝つ。それがノアのプロレスであり、GHCのベルトを持つにふさわしい男を決める方法なのだ。確かにこの試合の田上は素晴らしかった。未だにこんな田上が見れるとは思わなかった。だが、もはやノアのレベルはそんな程度の所には無い。そう痛感させられる試合でもあった。田上の輝きは大変嬉しかったが、現状あまり大きな被害が出ていない浅間山の噴火と同じく、田上火山の噴火もあまり大きな影響はのこせなかったように感じる。


今週の感想(9/25記)

 テレ東全日嵐。

 さて、今週は全日である。テレ東の全日中継は毎週キチンと連続した流れで、全日内でのドラマを解りやすく放送している。まぁ中には、小島ネタのようにあまりにも前のあらすじまで説明してだるいモノも有るが、こと分かりやすさでは3局(テレ東、テレ朝、日テレ)で一番と言えるだろう。

 そんな中で今週取り上げたいのは、嵐ネタである。まだテレビ放送が始まる前、武藤全日旗揚げ当初に地元の会場で「嵐」を見て以来(←バックナンバーで記しているかも)、嵐は筆者にとって大変気になるレスラーであった。当然旧全日決起軍、高木時代も筆者は知って居るのだが、今の嵐は実にキャラが立っている。前記した地元の興行は、武藤ら一部トップレスラー以外は、全員しょっぱい試合をして、興行としてまるで楽しめなかったのだが、嵐だけはしょっぱいながらも独特なカラーを当時から出して観客を楽しませていた。

 嵐はとにかく遅いのだ。そのあまりにも遅いテンポに、周りのレスラーが引きずり込まれて、独特の空間をリング上に作り出すことが出来る。プロレスが旨いわけでも、強いわけでも無い。そんなレスラーがマットを自分色に染められるとは、それだけで希有な存在といえるだろう。そのあたりをTAKAみちのくも買ったのだと思う。しかし残念ながら、延々と続いたRO&Dへの勧誘活動は、今週で終止符を打つこととなった。散々勧誘した挙げ句の裏切りとして。

 だが、TAKAは心底嵐を欲しがっていたのだと思う。ところが、突然のストロングマシーンの登場である。全日としてはRO&Dに入って悪役になるより、マスクを被った嵐の方が遙かにインパクトが有って面白いと判断したのだろう。その辺りの政治的事情により、十中八九RO&D入りが決まっていた嵐は、ストロングマシーンと組むことになったのだと思う。

 しかしそれにしてもストロングマシーンも息の長い選手である。決して新日本体のスターレスラーではない。時には新日では働き場が無い時すらある。だがその度にどこかで必ず存在感を示し、また新日に戻ってくる。マシン軍団、カルガリーハリケーンズ、レイジングスタッフ、平成維新軍、魔界倶楽部、そして平田としての活動。ストロングマシーンの自分をプロデュースする能力を、嵐はこの機会にしっかりと学ぶと良いと思う。それにしても来週からのラブマシーンズの動向が楽しみだ。


今週の感想(10/15記)

 テレ朝新日。IWGPヘビー級選手権試合、藤田対健介。

 なんかもーまたまた新日がどうしようもなくなってますな。そもそも藤田対健介ってのが全く納得行かないタイトルマッチなのだけど、さらにその試合結果がこれでは、北斗でなくとも怒り出すのはしょうがないかと(でも肝心の健介は、北斗が大暴れしてるのを見て「あ、怒らなきゃいけないんだ」的天然ぶり。やっぱりこの人駄目だわ)。なぜどうして、台風のさなか会場に足を運んだお客さんに対して、こういう試合を見せられるのか?やはり団体としての姿勢に問題があるとしか思えない。

 どう考えても、レフリー一人の判断じゃないでしょ?あらかじめ決まっていた事。それが新日サイドなのか、藤田サイドの問題なのか解らないけど、本当、新日のこの「お客無視」の姿勢はどうにかしないといけないと思う。新日は昔から「地方大会で手を抜いている」と言う評判が消えない団体だった。筆者が見に行っている試合でもその傾向は強いと思う。つーかG1以外でマックスの試合を新日の選手がやってるのなんて、殆ど見たこと無い。そりゃ会社自体が、観客軽視なんだから、選手がそれに右に倣えとなるのも仕方ないが。

 新日ファンは多くのバカ新日ファンと、なり立てビギナーのプロレスファンで喰ってきた団体である。現在の新日を支持する、コアなプロレスファンはほとんど居ないだろう。プロレスが解れば解るほど、この会社が客を舐めている構造が理解できるのだから、プロレスをちゃんと見れるファンが離れていくのは当然だろう。だから常にバカバカしいまでのスキャンダラスな話題を展開せずにいられないわけだ。このタイトルマッチの茶番、そこから長州登場までの流れがこの日のメインな訳である。試合内容なんてモノはどうでも良いのだ。現に長州がリングに立っただけで、後ろで小躍りしている脊髄なファンがテレビにも映った。そして場内は長州コール。

 バカだ。本当に新日ファンはバカだ。新日が駄目な試合をしているから、長州が出てきてそれを叩き直す。そんな筋書きがホンモノだと思うのか?わがままで出ていって食えなくなった只の負け犬に、どうして練習だけはキチンとやっている(笑)新日本体が説教されなければいけないのだ?今更長州に何が出来る?長州が面白いプロレスなんかやれるわけがない。猪木達が作り上げたストロングスタイルをぶちこわしたのは長州だろう?そんな事はみんな忘れてしまったのか?長州離脱後、蝶野政権になった時、明らかに新日が変わりかけて面白くなったのを忘れたのか?

 だから新日ファンはバカだと言うのだ。いや、性悪女に振り回されるのも、男としては一つの勲章かも知れない、だが猪木ぐらいのとびきりの美女ならまだしも、今の新日は場末のキャバレーのでぶっちょホステス程度のレベルでしかない。そんな女に振り回されているようじゃ男が廃るってモノだろう?本当、新日と新日ファンだけは救いようがない。


今週の感想(11/4記)

 もう辞める(笑)。

 7年に渡り続けて来たこのバカコーナーですがさすがに疲れました。と言ってもプロレスを見るのを辞めるわけでは無いので、今後はビッグマッチ限定、あるいは気が向いた時のみの更新とさせて頂きます。

 取りあえず今週の新日もジュース合戦で飽き飽き。長州帰ってくるし、蝶野はまた黒い軍団とか言ってるし・・・プロ野球よりプロレスの方が旧態依然としていて駄目かも。まず、新日と全日が合併して「日本プロレス」復興だろ?


今週の感想(11/17記)

 テレ東全日。ラブマシーンズ特集。

 な?絶対に全日の方が面白いって、新日より。試合内容は断然ノア、企画力で全日。新日はいまだに蝶野だ長州だ、黒い軍団だって・・・そして全ての戦いのテーマが、遺恨並びにジェラシー。古すぎる、全く魅力を感じない。どんなに凄い練習をしていても、どんなに素晴らしい選手でも、新日に居るだけで駄目になっていく。どう考えても新日出たもの勝ちです。

 とにかく今の全日は小回りが利いてとんちも効いている。相変わらず嵐の説明をするのに武藤と組んでいた時の話からさかのぼるのは、いい加減うっとうしいが、毎週毎週視聴者を引きつけるネタをキチンと準備しているのは素晴らしい。しかもそのネタが、昔からのプロレスファンも楽しめる内容になっているところが嬉しい。新日最後の大ヒットネタ「マシーン軍団」を本家ストロングマシーンで再演。当然次々増殖するマシーン。やはりジャイアントマシーンネタは外せないと思わせておいて、登場したのは小さな「巨人」グラン浜田!!これにニヤリとしない昭和プロレスファンは居ないだろう?

 さらに昔で言うならスーパーマシン格の存在としてジムスチール投入。この辺りは昨今の全日ファンでも楽しめるネタ振り。挙げ句自分たちで葬り去ったグレートムタを再生し、武藤と戦わすなんて(しかも正体はどうやら曰く付きのあの黒人ぽい)、誰が考えてるのか解らないが、もう完全に脱帽である。とにかくテレビで見ている分には、およそケチのつけようが無い。と言うか現状テレビ放送やっている団体では、一番内容が面白いのが全日と言えるだろう。

 正直レッスル1の時は何がやりたいのか全く見えて来なかったが、あの失敗があったからこそ今の全日があるわけか・・・プロレスファンも一見さんも楽しめる放送を生み出した、テレ東と全日。実にミラクルな組み合わせだ。


テレビプロレス観戦記(12/8記)

 ノアGHCヘビー級選手権、小橋対グラジエーター。

 まあ今回も小橋は全ての技をデンジャラスに受けきってのタイトル防衛で、一見小橋の凄さばかりが鼻につきビデオを保存するかどうか迷う、やっている事は凄いんだけどちょっとな?と言う微妙な試合だった。もう少しグラジが小橋の技を受けてくれれば完璧だったのだが・・・でもムーンサルト出されちゃ仕方ないかなぁ、そう考えるとやっぱり小橋の組み立てにもちょいと疑問符は付くわな。

 でもグラジ見てつくづく思うのは、アメリカンプロレスの崩壊の影響だ。もしまだアメリカにキチンとした形で、NWA、AWA、WWFの3団体が存在していたら、グラジみたいな素晴らしい選手が、こんな中途半端なポジションに居るわけがない。これだけの巨体で、これだけ動き回れれば、充分にハンセン、ブロディ、ホーガンの次の世代のトップスターになれたはずである。いやアメリカでは無理だったとしても、少なくともハンセンのように日本では誰もが認める存在になれたはずだ。

 だけど実際は、インディーで殆どの時間を過ごし、今頃になってようやくノア中継で全国にその凄さを見せつけれるようになったわけだ。実に勿体ない。契約の問題とか、本人が自分を使ってくれたインディーに恩義を感じていたのかも知れないが、プロレスラーが真っ当にプロレスラーになれて、プロレスラーとして暮らせる土壌がアメリカに有れば、正しいルートで、全日、新日、ノアに紹介されて居ただろう?新日なんていまだにノートン使ってる場合じゃ無いだろ?小橋も語っていたが、スーパーヘビーの外人レスラーと日本人の対決。それも一つのプロレスの醍醐味なのである。バイソンはいまいち、スタイナーは手抜き気味。ノアはグラジを手放さず、名勝負を作り上げて欲しい。


テレビプロレス観戦記(12/23記)

 全日三冠ヘビー級選手権、川田対天山。

 いや、良い試合だったと思うよ。たぶんノーカットで見たらそこそこ満足できたと思うし、現場だったら興奮したと思う。この試合に限って言えば、いつもの放送スタイルが徒になったって感じ。それでも全日中継にしてはじっくりやったと思うけど。

 天山の旨みを川田がうまく引き出していたし、天山も存分にタフネスぶりを見せていた。そしてメジャー団体で基礎を学んだ二人だから出来る、ノアのようなビックリ仰天技も凄かった。試合内容的には苦言を呈したい全日だけど、やっぱり若い頃にキチンとやる事やっている連中は、こういう試合も出来る訳である。問題はこの技術が若手や、インディーから拾ってきた連中に受け継がれていないって事なんだよなぁ・・・渕が取締役でどうしてこんな事になっちゃうのか?諏訪間幸平はちやんと育ててくれよ?

 んで、話し戻ります。試合後川田とケンスキーがなんだか熱く分かり合っていたけど、なんかむなしくない?川田、天山、ケンスキー・・・ちっちぇーんだよ。みんな180センチサイズ。ケンスキーは確実に175サイズ。もうちょっとどうにかなんねーかなー?アジアタッグサイズだよみんな・・・

 


ご意見感想などはこちら

東野高等学校格闘技同好会の診療室に戻る

 

ホームに戻る