今週の感想(1/5記)
新日東京ドーム大会特番。いつものごとく現場に居たのでテレビ中継との温度差なども交えつつ(笑)。
天龍対中西は前半天龍が攻め込んでいる部分は殆どカット。実際は野獣復活どころか、中西のあまりの覇気の無さに天龍が「怖さ」を発揮するまで行かず、怖くない天龍を最後逆転で下しただけの印象。中西全然駄目である。杉浦対ライガー戦も杉浦の良さがちょっとカットされ過ぎ。あの放送では結局ライガーが美味しいところ持って行く、典型的ライガー試合(苦笑)。何となくこの後は丸藤辺りがライガーから取り返しそうで嫌な感じ(笑)。短い放送時間でのハイライトは、花道でのライガーボムの際の杉浦の完璧な受け身。全く首、頭を打っていない杉浦、さすがノアである。武藤サップ対蝶天タッグ。サップは相変わらず諸々タイミング悪し(笑)でもまぁ練習してきたのか、最低限決めるところは決めている。蝶野は体調悪くてちょっと厳しい。光るのはやはり武藤の試合組み立て。蝶野天山に実に美味しい餌を巻き続けている。「このタイミングでこの技を」と相手に技をふってあげてて実に良い人である(笑)。個人的なベストバウトはU-30選手権、吉江対棚橋。吉江がデブキャラをふんだんに発揮し、それを棚橋が見事に受けきってみせる。最後はその吉江を完璧に投げきってフォールしての勝利。吉江も棚橋も完璧な仕事ぶり。棚橋に身長があと5センチ有れば、新日指定時期エースは中邑でなく棚橋だっただろう・・・
さて、その新日指定時期エース中邑である。IWGPの天山からのベルトの移動、そして高山契約切れに伴うNWFベルトの封印。さらに大晦日のイグナショフ戦への新日会社を挙げての猛抗議。さらにそれをテレビ、会場で何度も反復すり込み放送。取り敢えず今の新日フロント陣は、中邑を中心に団体を動かしていくことに決めたようである。蝶野の体がボロボロ、永田、中西、天山、西村は帯に短しタスキに長しで、それぞれがそれぞれなりの魅力を大いに放つも、テレ朝側が要求する「強い若いエース」には当てはまらず。そんなわけで新日新エースは、体格的にも問題なく、顔も悪くなく(若干ブタっぱなか?)、何より懸案の総合格闘技マットでも闘える対応力などを考慮され、中邑がライバル達を一気に追い抜いた形になった。
個人的には中邑に文句を付けるような所はあまり無い。散々言い続けているように、レスラーはデカくないといけない。これをまず中邑はクリヤーしている。そして当然強くなければいけない。これも先輩レスラー達が総合マットで惨敗する中で、健闘している方だと思う。ルックスも完璧な二枚目と言うわけではないが、新日らしいふてぶてしさが良いと思う。だから新日フロント陣の判断を責めるつもりは全くない。むしろ新日にしてはまっとうな判断が出来ていると思う。問題はこれからの中邑の成長度合いである。最初っからこんなにスターの座を明確にされたのは新日では珍しい事である。旧全日、ノアでは「地位が人を作る」とばかりに、これと思う選手は抜擢されてきたが、新日は基本的に抗争劇が好きなので、どの選手も足の引っ張り合いをしながらのし上がってきた(だから万全のエースが居なかったとも言えるが)。
なのに冒頭にも記したように中邑は、天山にも、今回の高山にもベルトを譲って貰っている。試合内容は両者とも明らかに中邑に対して押し気味。あと少しで防衛と言う段階で、一瞬の逆転関節技でベルトを譲っている。これは確かに、二人の猛攻を凌いだと言う事で、中邑の並はずれた身体能力を証明はしているし、関節技でギブアップ勝ちというのも、総合マットを睨んだ勝ち方で悪くはない。でもだからこそこれからの中邑の成長が問題なのである。エースというモノは強いだけでは認められない。エースというモノはどんな相手とも面白く、凄い試合をしなければ行けないのだ。そう「プロレス」が上手い事が第一なのである。個人的には「強いこと」よりも「上手い事」の方が大事だとすら思っている。
そう言う意味で、棚橋の身長が5センチ足りないことを嘆いたのである。棚橋のプロレスラーとしてのセンスは抜群である。相手の技もキチンと受けれる。そして相手の技を受けながらも試合の展開を自分で組み立てられる。プロレスラーとして一番大事な部分が出来ているのだ。対して中邑は、この「プロレス」部分に一抹の不安を覚える。確かに中邑は強いだろう、でも果たしていつどんな時でも観客の満足するような試合が出来るだろうか?正直中邑の試合は異種格闘技戦でない限り、面白いと思ったことは少ない。相手に恵まれて試合が成り立っているという印象が強いのだ。デビューして間もないと言う状況を考えれば仕方のないことだし、これから大いにのびる可能性も有る。当然新日フロントもその辺りは、万全の体制でバックアップしていくつもりだろうが(そう言う意味ではIWGPもNWFも物わかりの良いチャンピオン達で良かった)、そこは新日のことである。いつどこで反対勢力が巻き返しに出てくるか解らない。
中邑エースで全く問題ない。猪木。藤波長州。闘魂三銃士。そして今、永田中西西村天山の四人。世代ごとに新日のエースの座は拡散してきた。これが中邑一人になるのなら大いに歓迎したい。ただそれもこれも中邑が「プロレス」を出来るようになる事が大前提である。全てのモノを中邑は与えて貰ったのだ。あとは自分でしっかりと答えを出していって欲しい。
今週の感想(1/16記)
ノア特番。GHCジュニアタッグタイトルマッチ、GHCヘビータッグタイトルマッチ。共にノア対新日で、ベルトの掛かった対抗戦。本当なら盛り上がらないはずのないカードである。しかもヘビーの方は三沢とと永田が絡むわけだから誰もが期待する試合だろう?
だが、ヘビーのタッグマッチは正直いまいちだった。いや、及第点は上げられるだろう。会場で見ていればそれなりに満足もしただろう。だけど、三沢と永田が絡んでこのレベルの試合か?正直がっかりしたという気持ちの方が強い。新日とノアは良い関係を築いている。それは新日と全日時代とは比べられないほど良好な関係なんだろう。だけどそれが逆に試合の面白さを削いでいるのではないか?良好な関係を維持すると言う事は、結局ベルトの扱いも常識の範ちゅうでの扱いとなってしまう。早い話が行って来いだ。新日側からすれば、永田(棚橋)がノアのベルトを巻くという箔が付く。ノア側からすれば、三沢対小橋という黄金カードを温存しておいて、それでいてスムーズに三沢にベルトが移動する。全くもって良いことずくめの行って来いなわけだ・・・
いや、そんな大人の事情が解っているからと言って、プロレスが面白くなくなるわけじゃない。プロレスの良さの一つに「結果か解っていても楽しめる」と言う点がある(だからこそプロレスのビデオは保存価値があるのだ)。当然この行って来いタイトルマッチも、永田と三沢が上手く絡めば、勝敗以外での魅力があふれ出てくるはずだった。だが結局はそんな魅力的なシーンは殆ど無かった。前にも書いたように、ここの所の永田は全然対抗戦モードの永田ではなかった。怖い永田が出ていないのだ。せっかくの三沢戦なのだから、いくら三沢がすかそうとも、がむしゃらに挑み続ければ良かったのだ。だけど永田はそれをしなかった。そうすることによって、自分が三沢より格下と思われるのを嫌ったのかも知れない。それとも素直に「行って来い」の戦いに幻滅していたのかも知れない。どちらにしろ、永田は余力を残して試合を終えた。こんな永田は面白くない。
永田という標準より小さめなヘビー級レスラーが、団体のエースの位置まで登り詰めたのは、ひとえにそのセンスあってのことである。永田はプロレスが旨い。どんな相手でもそこそこの名勝負に見せてしまう腕がある。なのにこれまたプロレスが旨い筈の三沢との絡みが上手く行かなかったのはなぜなのだろう?秋山とはあれほどまで、高山とも上手く絡んでいた永田が、三沢とだけは上手く絡めなかった。単純に相性の問題なのかも知れないが、新日ファン、ノアファン、いや全プロレスファンががっかりしたのではないだろうか?プロレスが旨いモノ同士が戦っても必ずしも名勝負になるわけではない。むしろお互いが自分のペースで試合をコントロールできないので、凡戦になる可能性もある。そんな事がこの試合からは伺えたのではないだろうか?そう考えると上手くからめないなりに、そこそこの試合内容とも言えるかも知れない。
ジュニアタッグの方は結構楽しめた。新日側に体力的に少々劣る(センスは抜群だが)井上が入っていたのが良いバランスになったとも言える。打たれ強さと言う観点では、ヘビーは完全にノア>新日だが、ジュニアではこれまた完全に新日>ノアである。どう見ても、体操選手のノア勢は体が薄い。それだけ相手の攻撃のダメージも大きく、蓄積されるわけで、それが常に新日との対抗戦でノア勢の弱点になっていると思う。だが今回の新日は井上である。悪い意味で体格的に丸藤らと全く見劣りしない井上(笑)、技に重みが無い分、ノア勢もいつもより体力が温存できたのではないだろうか?
そんな訳で体操選手3人の中で一人図抜けていたのがサムライである。体格が一人デカイのもあるが、とにかくノア勢の攻撃が殆ど聞いていないように見えた。フィニッシュも余裕綽々の負けっぷりで有る(変な表現だが)。ライガーがサムライを常に身内に入れておくのも理解できるってモノだ。丸藤ケンタからすれば、嫌な勝ち方、嫌な試合だったと思う。結果は勝っているのに、試合で勝った気はしなかっただろうから・・・本当に「ノアジュニアは最強です」の一言のツケは大きい。
今週の感想(1/28記)
ノアGHCヘビータイトルマッチ、小橋対佐野。さて、佐野である。そう佐野直喜である。ジュニアで一世を風靡した佐野が、醜くもボリュームアップして遂にGHCヘビーのベルトに挑戦することとなった訳である。
この欄で何度も書いているが、筆者はジュニアクラスの選手のヘビー級シングル王者挑戦には否定的である。何の為にわざわざジュニアの階級が有るのだ?とも思うし、何より線の細いジュニアの選手では、対戦相手のヘビーの選手が、満足に技を出せないと言う致命的欠点が有るからである。技の応酬が見れないのはプロレスの試合として失格だと思うからである。そう言う意味で小川がヘビー戦線に絡んでくる度に苦言を呈し続けてきた。で、佐野なんだが非常に微妙である。少なくとも体格、体重はどう見てももはやジュニアの体ではない。ぽっこりと突き出た腹、パンパンに腫れあがった顔面。もはやジュニアで輝いていた佐野の面影はどこにもない(変にモヒカンだし(笑))。
だが、これだけウェイトが増えても未だ動きは佐野なのである。これは有る意味見事である。昔から新日のレスラーはジュニアでデビューして、無理矢理ヘビーに転向してきた。体格的に劣る人間のコンプレックスが、トップを取る為の原動力となり、新日という団体の力になってきたのは否定できない。古くは藤波から最近では永田辺りもそう言えるだろう(それが逆に裏切り裏切られの歴史にもなってると思うが)。佐野も途中で新日を離脱したモノのこの流れのレスラーである。そう。佐野にも強烈な上昇志向が有るわけだ。そう言う意味で、色々な団体を歩いた佐野が、自分を生かせる団体として辿り着いたのがこのノアな訳である。全日系には珍しい、ジュニア上がりの三沢が仕切るノアは、当然ジュニア選手に対する理解が高い。それを感じ取った佐野がノアでトップを目指すのも有る意味当然の選択だろう。
ノアに加入以来、佐野は密かに牙を研ぎつつあった。そして必殺技として「ローリングソバット」と言うモノをファンに認知させる事に成功した。必殺技を持てば選手として一流である。多少身長が足らなくても、小橋の挑戦者として誰もが認める存在になったと言えよう。そんな佐野のヘビーシングル挑戦を注目して見た。さすが佐野と言うべきか、体格差を結構センスで補っていたと思う。それも小川のようなスカすセンスではなく、ちゃんと技の応酬を考えたセンスである。GHCヘビータイトルマッチとしての合格ラインは超えていた試合だとは思う。ただ一つ納得が行かないのは、佐野は最初から勝てないのが解っていた(いや格を考えれば当然だけど、そう言う意味では無く)。と言うか、佐野は見た目の印象ほどもはや上昇志向が無いように感じられる。「ノアでしっかりとした自分のポジションが有ればよい」それが今の佐野の気持ちなのではないだろうか?
筆者にそう思わす最大の要因は、必殺技の「ローリングソバット」の放ち方である。本来の「必殺技」であるべきローリングソバットは、相手のみぞおちにえぐり込むの正解である。だが、佐野のそれはある時期から相手の胸板に放つようになって来ている。それでもクソ思いっきり放つのでなかなかの破壊力を持つわけだが、この威力でみぞおちに放てば???と誰もが思うだろう。だが、プロレスの必殺技というモノはそれではいけないのだ。誰もが納得する破壊力、説得力を持ちながら、その実、相手レスラーに致命的な怪我を負わすモノでは駄目なのだ。そう言う意味で佐野のローリングソバットは改良され、そして完成したのだ。分厚い鍛えられた胸板なら、思いっきり蹴りこんでもダメージは少ない。何よりバシッ!と言う音の響きも小気味良い。全てにおいて納得出来る必殺技である。
つまりみぞおちにローリングソバットを放たなくなった段階で、佐野はノアの完全なる一員となり、外様からのし上がるアウトローでは無くなったと言うわけだ。それは佐野にとっては良いことなのだろう。だがファンに取っては果たして良いことだったか微妙である。外様だからこそ出来る、仲良しプロレスではない試合。そんな面白さが一つ消えてしまったとも言えないだろうか?そんな佐野の立ち位置が、ジュニアだヘビーだと言う以上に気になった一戦であった。
今週の感想(2/7記)
ノアGHCヘビータッグタイトルマッチ前哨戦?ヨネ池田菊池組対三沢小川スコーピオ組。
筆者はヨネを買っている。これにW猛を加えた若手ヘビー三羽烏が居る限り、ノアは安泰だとすら思っている。そんな訳でヨネのタイトルへの挑戦は実に嬉しい。当然まだまだベルトが取れるような位置には居ないが(こんな時期に取ってしまったから、W猛には苦言を呈し続けた訳だ。今ベルトを取っていたら何も文句は言わなかっただろう)、それでもこの時期にベルトに挑戦させて貰えると言う事は、会社に期待されていると言う事の証明でもあるわけだから、期待して良いのだろう。パートナーが池田なのがちょっとアレだが、ヨネが今組むべきで、ヨネを上手く使えそうなのは池田しか居ないのだから仕方ないだろう。
この試合は試合後の大乱闘(プロレスマスコミ曰く)が、注目点とされていたが、何だろう?このしまらない大乱闘は???全然出番無く終わったヨネ池田が、怒りの持って行き場が無くなっての大乱闘。と言うスジらしいが、当の二人のテンションがいまいち上がっていかない。んなわけで、なぜだか三沢がバカみたいに突っかかって、何とかタイトルマッチへの良い流れにしようとするのだが、それでもなんかヨネ池田がはじけない・・・絡んでは簡単に若手に止められ、帰りかけては絡んで、また止められてと。別に魔界村上ほど切れろとは言わないが、王者組に言いようにあしらわれて負けた試合後としてはあまりにも寂しい「大乱闘」だった。
やっぱりプロレスに大切なのは、ファンの想像力をかき立てると言う事でも有るわけで、それを考えたからこそ、三沢組はああいう試合をし、試合後に暴れる機会をヨネ池田に与えたわけだ。なのにその期待に二人揃って応えられないとは・・・ヨネはともかく、池田はこういう所で頑張っとかないと、ノア内での居場所が無くなって言ってしまうと思う。体が小さい中堅選手は「プロレス」キチンとやって貰わないと困るよ。本当に。
今週の感想(2/12記)
新日IWGPヘビー級タッグ選手権、高山鈴木組対西村天山組。永田中西組対天龍健介組。
本来はIWGPヘビー級タッグ選手権をメインに取り上げるべきだろう。さすがの組み合わせでプロレス好きなら誰でも満足できる好試合だったので書きたい事は山ほど有る(ストンピングを喰らっている西村が、それに合わせて足で音を出してたりとか←絶品!レスラーの鏡)。有るのだがあえて、どうしようもないもう一試合の事を掘り下げていこうと思う。
全く持って今の新日を象徴させるような試合だった。永田中西組対天龍健介組。いや、ちゃんと試合はしているのだ、本人たちもバリバリやる気。地方試合みたいな手抜きをやっている訳でもない。でもその試合全体から漂ってくる印象は「不愉快」この一言につきる。これはレスラーだけの問題ではない。現場に居るレフリー、辻アナ、リングドクター、テレ朝、そしてフロント。全てが重なり合って最高に不愉快な試合を生み出していたのだ。不愉快不愉快と言っていては何の事かいまいち解りづらかろう?簡単に言ってしまえば「心地よく酔えない」と言う感じなのだ。
この欄を見てきてくれてる人なら解ると思うが、筆者はプロレスに真剣勝負を望んでいるわけではない。また強い奴が最高とも思っていない。筆者の評価基準はとにかくプロレスが旨いか旨くないか、いかに観客を気持ちよく酔わせてくれるか?これに尽きる。つまりプロレスラーと言う、鍛え抜かれた体を持った男たちの、最高のエンターティメントが見たいわけである(そう言う意味では筋肉鍛えただけで実戦を伴わないアメプロは、いくら最高のエンターティメントでも筆者を酔わせてくれない訳だ)。
なのにこのタッグマッチは何なんだ?まず健介と言う存在。正月の永田戦でカタはついたはずだったんじゃないのか?大ジュース合戦で???カッティング対カッティングの大流血戦で?蝶野も使わないと宣言していただろう?なのになぜ使う?いや、当然新日ファンに憎まれている健介をヒールとしてリングにあげれば、殺伐とした雰囲気がリングに漂い、それがまた興行全体としての雰囲気作りに繋がり、挙げ句しばらくその因縁で飯が食えると考えるのは理解できる。新日が過去にもそう言う流れで喰ってきている団体だというのも百も承知だ。だが、健介が出ていったのはいつだ?しかも出て行ってから奴は何か「自分の理想、夢」のようなモノを実現したか?いや、何もしていない。過去の新日出戻りレスラー達は、みな何かを成し遂げて帰ってきたものだ。なのに健介は、新日の中で居場所が無くなったので、長州に泣きつき、その団体が経営的に立ちゆかなくなると、とっととケツをまくって今度は新日に泣きついてたわけだ。全く持って格好悪い男である。こんな格好悪い男を起用する必要は新日には全くない。おりしもリストラ選手問題で賑わっている新日が、こんな170そこそこのチビヘビーレスラーを何故マットに上げるのだ?わずか数ヶ月前に砂をかけて出ていったレスラーをほいほい使うなんて、企業としての姿勢がおかしいとしか思えない。
次に不愉快なのが、昨今の新日のカッティング大会である。遺恨マッチは必ず流血戦である。正直飽き飽きだ。いや当然、古くから観客を熱くさせる流血戦の殆どが、カッティングによる事なんて重々承知である。でも適材適所と言うか、「気持ちよくその世界観に酔わせてくれ」と言うか、タイミングというモノが有るだろう?場外で中西がのびた→田山レフリーが近寄る→セコンドが周りを囲む→テレビカメラを威嚇→田山レフリー傷口をチェックするふりをしてカット。あまりにも稚拙・・・おまけに試合中にリングドクターの談話として「3センチあまりのキズ、このまま続けては選手生命に関わるかも知れない」バカかと。カッティングしたキズで選手生命の危機なんかあり得るか?ウソをついて盛り上げるにしてももう少し、上手くついてくれ「気持ちよく酔わせてくれ」結局試合中に中西の出血は止まってこのリポートの恥ずかしさが際だつこととなる。
上記したこととも絡むのだが、テレ朝の放送下手さ・・・さらに言うと辻のくだらなさ。どうしてテレ朝はいつまでもフリーになった辻を使い続けるのだろう?かってのエースアナだからなのか?だが筆者は辻をまるで評価していない。いや、うるさいからとか古館のマネだからとか、そう言う良くある理由で評価していないわけではないのだ。一言。「脱力させるから」これに尽きる。辻は古館を大変尊敬している、それはまぁ良い。実際古館のプロレス実況は新しい世界を切り開いたと言えるし、それを受け継ごうというのは悪いことでは無い。だけど辻では無理なのだ。古館を簡単に言うと「例え上手」である。有りとあらゆるモノを例え、どんなつまらないものでも上手く装飾してしまうのである。そしてその例えのモトは、古館の膨大な知識の貯蓄、博識ぶりが支えているのだ。だが正直辻にはこの知識の貯蓄が、学が無いのだ。辻の例えは実に浅くちゃちく、見るモノを脱力させる。この試合でも中西の流血をあおり、装飾しなければいけない場面で「ケチャップでは有りません」と。小学生か?ドリフのコントか?万事が万事こんな調子なのである。例えるモトネタの知識が全く無いのに例えたい。救いようが無かろう?どんなにレスラーが良い試合をしても、伝える側がこれでは「気持ちよく酔えない」のである。
で、結末は中西の暴走である。確かに中西の現状はヤバイ。わずか2.3日の観光でゴッチにジャーマンを伝授された気になったり、総合格闘技に中途半端に打って出たり、とてもメジャー団体のエースになるべき男とは思えない迷走ぶりである。だがそんな迷走ぶりをこの試合でまた出されても困るわけだ。認めては居ないモノの、この試合のテーマは「ヒール健介」なのである。新日本体と健介の戦い。そこに焦点が合っているべきなのである。なのに中西が暴走して永田を襲う???この後中西が健介と結託するのならまだしも、全く意味の無い、タイミングの悪い暴走である。これまた「気持ちよく酔わせてくれない」のだ。
と、全てが全て気持ち悪い、見てるだけで不愉快になるタッグマッチだった。新日には新日の面白さが有るし、ゴタゴタするのも魅力の一つだと考えているが、こうまで酷いとノアの安定感が図抜けて感じてくる。
今週の感想(2/19記)
ノアケンタ7番勝負。全日→ノア期待の若手が必ず通る道がシングル7番勝負である。有る意味この7番勝負をくぐり抜けた選手はメインイベンターへの道を約束されている訳で、ケンタに掛けるノアの期待の大きさが伺えると言うものである。と、まぁ普通なら考える所だが、今回に限ってはこの7番勝負はちょいと如何なモノかな?と思っている。7番勝負は確かに将来のスター選手育成のような役割を持っている。なかなか当たる可能性の少ない大物選手とのシングルマッチを組むことによって、色々なモノを経験吸収させようと言う親心的カードな訳で、当然試合結果より試合内容重視と言うところが有る。だが今回のケンタ7番勝負。どちらかというとケンタを育成すると言うより、ケンタ人気で一山当てようと言う臭いがするのだ。
そんな思惑が露骨に現れたのが、この初戦ゲレーラ戦だと思う。今までの戦い、特にタッグでのタイトルマッチ、どう見てもゲレーラの方がレベルが上であった。運動神経でならしている丸藤ケンタのその遙か上を行くセンス、そしてプロレスの旨さ。確かに何か大きなモノを掴むべき7番勝負の、初戦の相手としては申し分ないかも知れない。だが試合内容は思ったほど高くない。ゲレーラの調子がいまいちで、何というかお互いの間に「打てば響く」感が全然感じられないのだ。挙げ句試合結果はケンタの勝ちである。何なんだろう?これは。あらかじめケンタ勝ちが決まっていたかのような後味の悪さである。
筆者のようにひねくれたプロレスファンになってくると、試合結果などはどうでも良いわけである。純粋に試合内容のみが評価の基準となる。だが、一般プロレスファン、特に1個人を応援するようなプロレスファンは、結構試合結果を気にする。純粋に自分のひいき選手の勝ち負けに一喜一憂するわけである。これは有る意味プロレス団体にとって見れば一番ありがたいお客さんなのだが、あまりこういうファンに応えているとプロレスがおろそかになりがちである。ケンタの勝利は確かにケンタ目当てで会場に来てくれているファンには、素晴らしい結果であっただろう。だがプロレスファン、ノアファンは、ケンタのみファンだけでは無いのだ。当然全日→ノアと受け継がれる、真正直さと言うか誠実さが好きで応援し続けているファンも多いわけである。
そんなファンにとってこの7番勝負は、ジュニアの人気先行スターが、名実共にスターになっていく課程を楽しむ為に存在するわけである。そこでの勝ち負けなんかはどうでも良い。一試合、一試合、ケンタが何かを掴んでいく姿を見たいわけである。なのに初戦のゲレーラ戦は、ゲレーラが不調だったのか、手を抜いたのか、いまいちの試合内容になってしまっていた、これではとてもケンタが何かを掴んだとは思えない。残り試合は6試合。ヘビーとの対戦も組まれているとは言うが、ケンタには試合内容で何かを見せる6試合にして欲しい。女性ファンのハートはがっちりと掴んでいるのである。後はうるさ型のプロレスファンに認められれば完璧である。会社はケンタ人気にあやかりたいだろうが、ケンタ自身はそんな気持ちを持たないで是非とも頑張って欲しいと思う。
今週の感想(2/27記)
ゼロワン東村山大会に行って来ました。今週は本当はライガー対百田を書こうと思ってたんですけど、編集が不味いのかあんまり良い試合に思えなかったので、ゼロワン東村山の簡単な感想を書きます。
いやー良かった(←いやプロレスは見に行けばみんな良いんだけど)。駐車場は市がキチンと準備していてタダだし、会場は程良いこぢんまりさで地方ムード満開。とにかく選手が近い!触りたいと思うレスラーはみんな触れました(笑)。プレデター、大森、ハワード、ロウキー、ダスティン、グラジエーター、橋本(ちっせぇ)小川と。
肝心の2.29両国への引きは何も無し。島田が来てちょっとアジったただけでした。また試合内容も典型的地方モードでいずれも15分経過のコールなしでサクサク進みます。でも面白かった。その要因は「客いじりが旨い」これにつきます。2階席に陣取るゼロワンオタ達のおかげで、第一試合からもの凄く会場の雰囲気が良い。これは選手は楽です。ゼロワンオタと選手の相乗効果で、とにかく観客が暖まるのが早い!1.2試合で完全に場内が暖まったところでプレデター登場です。
筆者はブロディリアルタイムですから、正直あの入場スタイルには抵抗が有るんですが、そんなのも消し飛ぶ大迫力!デカイデカイ!幸い入場タッチに出てたので難を逃れましたが、まさに筆者の座っていたそのイスをすっ飛ばして、大運動会開催。場内観客右往左往、子供は泣きじゃくる、ばあさんは腰抜かすであの楽しかった昭和のプロレスがよみがえってました。ノアや新日の花道入場はやっぱりつまりません。ぶっ飛ばされるんじゃ無いかという緊張感を持ちながら選手にタッチに行くあの楽しさ。それを無くしてしまってはいけないですよ。
正直このプレデター大暴れで、充分元取れました(笑)。たとえ葛西や大森が手抜きモードだったとしても、小川の査定試合の対戦相手が見つからなかったにしても、見に来た人はみんな満足して次の日会社や学校で言うんですよ「いやープロレスって面白いよ」。そう思わせるだけの事をゼロワンはやっています。とにかく話すネタが一杯記憶に残るんです。「チェーンを持ったデカイ外人が追っかけてきた」とか「レフリーがインチキなんだよ」とか「大谷ってのは面白い」とか「ハッスルハッスルって腰振るんだよ」とか。こう言うのを見ると新日の駄目さが目立ちます。新日の地方興行は「テレビに出てたあの選手が目の前に居る」それだけですから。あとやっぱ、選手はでかくないと駄目だわ。
そうそう。ダスティン。WWE辞めて来てました。ゴールドバーグで無いのは当然にしても、ダスティンでも無かったです。ダスティ・ローデス・ジュニア・・・まあオヤジも来るしな・・・顔は星条旗を模したペイント。シャツにパンツのストリートスタイル。ファイトはまあまあ、腕はぷるんぷるん(笑)。サイズはやはりデカイ!
総じてスター選手が手抜きモードの中、ハードコア田中だけは全開で、リングトップロープから場外に設置された机に投げつけられて動けなくなってました。いや、好きなタイプじゃないんだけどプロ魂見せてくれましたね。生粋のインディーレスラーは地方の大事さも解っているって感じ。
今週の感想(3/4記)
新日IWGP王者決定トーナメント。中邑のベルト返上で、せっかく新時代の新日への道しるべが見えていたIWGP王座が、また混沌とした時代に引き戻されることとなった。結果一言で言えば、中邑の前の王者天山の元にベルトは戻ることとなった。まぁそれは良い。何よりこのトーナメントの試合内容は、夏のG1レベルに匹敵するほど素晴らしく、さすが元王者の集まりと納得させられるだけのレベルでは有ったのだから。
ただそのトーナメントを引っ張ったのが54歳、大外様の天龍源一郎というのはどうなんだろう?準決勝程度までで天龍が活躍するのは良いだろう。だが天龍は新時代の新日を中邑と共にしょって立たなければいけない棚橋までも倒し、あげく決勝戦もいつも通り何も出来ない天山をリードして、素晴らしい試合を作り上げ、決勝を盛り上げていた。まったくもって新日本プロレスという団体のふがいなさ、しょっぱさを示す事態だったと思う。去年一年はこれまた外様の高山に引っ張っていって貰った。また今の新日で一番面白いカードを提供しているのも、新日に僅かしか居た事の無い鈴木みのるである。見方を替えれば懐が深いとも取れるが、どう考えてもこの事態はこの10数年の新日の団体運営が間違っていたとしか思えない。
決勝戦の天山。またもや何も出来なかった。天山がトップの器でないのは、この何も出来無ささ加減で明らかである。天山は自分で面白い試合を組み立てることが出来ない。ただ頑丈な体で耐えるのみである。いや、受けこそプロレスの醍醐味だと思っている筆者にとって、受けに受ける姿勢というのは嫌いではない。だが天山の受けには、その後の大逆転に向けてのタメの受けではないのだ。プロレスを見るモノにとって、ひいき選手の受けは、その後の怒濤の大反撃、勝利へのタメなのである。だが天山の受けは、ただ限界まで受けるのみ。その後自分がどういう展開で観客を満足させて勝つかなんて計算はまるで無い。だからこの試合でも、高山からベルトを奪った試合でも、最後ほんの2.3発の技で簡単にフォールを奪ってしまって、タメにタメた観客の思いを爆発させてはくれないのだ。
天山と試合をして損をするのは相手レスラーでもある。それまで散々天山を追い込んでいたのに、わずか1発のムーンサルト、わずか1発のツームストンドライバーで負け役を演じなければいけないのである。これはキツイ。負けるための説得力がまるで無いのだから・・・まだ棚橋の固め技や中邑の関節技の方が説得力が有ると言うものだ。で、たまに目測を誤って、凄いヒザが顔面に入るムーンサルトなんかを放ってみたら、機転の効かないレッドシューズが上がっても居ない肩を上げたと、フォールを取らないし・・・
本当、この10数年で新日全体のプロレスのレベルが著しく低下してしまっている。いかに長州政権が無駄な時代であったかを証明していると思う。キチンとした試合裁きが出来ないくせに、カッティングばかり目立つレフリー、自分たちで面白い試合を組み立てられないトップレスラー、いつまで経っても団体の方向性を示せない朝令暮改のフロント。全くどうしようもない。ただ唯一の救いは、レスラーとしての体づくりだけがキチンと出来ているので、外様レスラーが暴れても、それに対応することは出来ると言う点だけである。
放送ではやたら天龍の元気の良さに注目していたが(いや3試合こなして全くへばってないのは本当に凄いが)、問題なのは、その天龍に試合を組み立てて貰っている現エースの天山なのである。新日フロントはトーナメントの組み方を間違っていたように思う。決勝は天龍対棚橋にすべきだった。プロレスを、試合を作れる棚橋を決勝に残して、天龍からその技術を引き継がすべきだったろう。サイズの小さい永田がいくら試合を作れても説得力を生まなかった反省か、新日フロントは棚橋に冷たいと思う。プロレス的観点からは木偶の坊の中邑なのだから、新日フロントはもっと棚橋を旨く使っておくべきだと思う。
今週の感想(3/13記)
ノアGHCヘビー級選手権、力皇対小橋。
駄目だ。放送席の高山がずーっと苦言を呈していたが、力皇はまた一皮むけ損なったって感じだ。いや、試合時間も試合内容もそれなりだったが(唯一、偶然深く入りすぎたヒザへのドロップキックだけが評価点か)、根本的な所で気迫負けしていると思う。口ではなんだか偉そうな事を言っていても、張り手一発見れば、小橋に対して臆しているのが十分に解る。これは秋山に対する橋にも言えることだが、どうして張り手一発ビシッと決められないのだろうか?秋山に対する橋の張り手も、小橋に対する力皇の張り手も、当たっているのは指の部分で、手の腹の部分は全く相手の頬にヒットしない。これでは張り手で相手にダメージや衝撃を与えるのは不可能だろう?
小橋も秋山も、自ら顔をつきだして「張ってこい」とアピールしているにも関わらず、場内にはぴしゃぴしゃと情けない音が響くだけである。共にデビュー当時の師匠格にあたるから、怖さが身に染みているのだろうけど、上に登って行くにはまずその辺りから変わって行かなきゃ駄目だろう?恵まれた体格がありながら、気持ちで負けている力皇にはがっかりである。
で、話はずれるが、そんな力皇になすすべなく敗れた田上にも困ったものである。正直田上は何故ノアに移籍したのだろう?ノアには田上の存在する場所が有るのだろうか?その場所はラッシャーさんより百田より、あるいは永源より狭く小さいように思える。ノアなんぞに移らず、全日で川田とやっていた方が幸せだったのではないだろうか?実際の関係は良好で無かったのかも知れないが、少なくともタッグチーム田上川田組は良好に思えた。あの関係を新生全日本で維持していた方がプロレスファン的にも楽しかったと思う。田上の存在を生かせないプロレス界が悲しい・・・
今週の感想(3/19記)
新日IWGPシングルタイトルマッチ天山対健介。
いやね、どちらもたいして興味の無いレスラーだからどうでも良いんだよ。結果なんかは。まぁなんつーか、自分でいきがって出て行くったクセに、喰えなくなったからって速攻で戻ってくるなんて言う格好悪いレスラーは、何があっても認めたくないってのはあるけど。しかもなんだか中途半端なヒール気取りで・・・ヒールってのは本来プロレスが出来る、頭の良い輩がならなきゃいけないのに、よりによって直線番長バカまっしぐらの健介に、いわゆるプロレスで言うヒールなんか出来るわけがないのだ。
確かに新日ファンに嫌われる事には成功しているわけだから、ヒールと言えばヒールなのかも知れないけど、それはあくまで行動の結果であって、試合内容、仕事がヒールなわけではないのだ。個人的には健介に対する怒りなんてモノは殆ど無い。嫌いではあるけど、喰うために出戻ってきた恥ずかしい奴。と言う認識でしかない。むしろ怒りの矛先は、あれだけ選手達が拒否しているのに、それでも金になりそうだからと、なんのプライドもなくリングに上げさせちゃう新日フロントに対してである。本当にこの日本一のメジャー団体のフロントには節操がない。別に健介を上げなくても、団体運営には支障は無かろう?なのに道に飴チャンが転がってたら、祓いもせずに口に入れてしまう。筆者は新日ファンじゃなくて本当に良かったと思う。プロ野球の巨人も同じような感じだが、もし団体のファンだったらとてもまっとうな神経ではやっていけないと思う。もっともこのように、プロレスファンの怒り、注目は浴びている訳だから、フロントとしては大正解とか思っているんだろうけど・・・
で、試合結果はまたもや呆気にとられる結果だった。本当に天山の試合は唖然とさせられる。全くフィニッシュホールドに説得力がない。試合開始から試合終了に至るまで、普通のレスラーはちゃんと流れというモノを意識して試合を組み立てる。「ここでこれだけやられても、この後反撃に転じて大技連発で相手を追い込み、最後はあの必殺技で・・・」なんて感じだ。だが天山の試合は勝つ場合も負ける場合も、そのフィニッシュに至る道筋が全くない。いや、固め技等なら一瞬の逆転もあり得る。だがそうじゃない。完璧に受け身が取れていて、大したダメージも無い技であっさりとフォールを奪ったり奪われたりする。見ていてこんなにつまらないプロレスも無いものだ。
さらにこの試合に至っては、自らクビをかっ切るポーズを(このポーズ自体恥ずかしいから嫌いなのだが(ライガーとか良くやるでしょ?))した直後に、見事にかっ切られて負けてるんだから、こんなに恥ずかしいことは無いのだ。いや、チャンピオンの器じゃないのは明らかなんだけど、だからと言って健介がまた輪を掛けてしょっぱいわけで・・・いや、IWGPのベルトの価値ってなんなんだろう?良いのか新日フロントよ?
今週の感想(3/30記)
この春、地上波テレビプロレス界には結構大きな動きがある。
まず良い方としてはテレ東で全日の中継が始まると言う事だ。武藤と言う強力なキャラクターが有りながら、今までテレビが付いてなかったのが不思議なくらいなので、これをきっかけに武藤がやろうとしている事が実現できる方向に向かうと良いと思う。駄目出しするにも、やはり定期的に試合が見れないと困るしね(笑)。毎週中継なのか、ゼロワンみたいに月一なのか把握していないのだけど、毎週だと上の方ばかり映している訳にもいかないので、インディーかき集めた若手のファイトにも注目である。大型新人も入ったしな。
で、悪い方は新日の枠が30分に縮まると言う事だ。新日サイドはこの短縮は、ゴールデンでの特番を増やす為の交換条件?と言い訳しているが、果たしてどれぐらいの割合でゴールデン特番が見れるのか、今後の動きが注目である。現在の新日最大の弱点は、視聴率を取れるスター選手が居ないと言う事である。プロレスファンには高山、一般視聴者にはサップ。それがゴールデンでメインをはれる新日の顔である。そう、全然新日の顔ではないのだ(苦笑)。黒いカリスマは相変わらず体調がよろしくない。つーかどう考えても、今後悪くはなっても良くはならないだろう?現場監督の座を失った蝶野にはもはや何も残っていない。永田中西天山西村。この辺の選手を一般視聴者はまるで知らないだろう。この4人でゴールデン2時間枠はどう考えても不可能である。「負けたら引退」と言うギミックは有ったが、まだ橋本の方が認知されていたと思う。本当、エースが乱立するのは知名度向上の上でもよろしくない。
そんな事はフロントも重々承知で、無理矢理中邑をエースにしようとしたのだが、高山戦の後遺症はあまりにも大きかった。現状おかしなたらい回しになっているIWGPのベルト。それが彼の元に戻ってきた時に、果たしてゴールデンのメインをはれるような試合を中邑が出来るのか?それも微妙である。現状新日生え抜きで唯一頼りになるのは棚橋だけである。プロレスに不安の残る中邑を立てつつ、新日を引っ張って行くべきなのは棚橋以外に考えられない。棚橋と中邑の抗争こそが(しかも若干棚橋負け気味=判官贔屓女性人気さらに倍「た〜な〜♪」)次の時代の新日を築くと思う。新日は選手は色々居るんだから、あんまり外様の相手をしてはいけないと思う。外様の劇薬に頼って視聴率向上やチケットを捌こうとするから、自前の良い選手が育ちきらないのだ。
とにかくこの春の新日全日のテレビ界での動きには本当に大注目である。
今週の感想(4/10記)
全日「ALL JAPAN PRO-WRESTLING プロレスLOVE〜夜のシャイニングインパクト〜」いよいよ始まりました。新日が30分になってビデオ消化が楽になると思ったら、全日30分加わって実質変わりません。まぁ新日は試合じゃない部分がダラダラしてたので30分になるのは良いことかと。
取りあえず初回放送の印象は悪くなかったです。カメラワークでアップが多すぎて、技がどんな角度で落とされているか、受け身はキチンと取れているかと言うのが(特に受け身フェチとしては重要)いまいち分からなかった点だけが不満で、その他は番組構成的にも問題なかったかと思います。最初にタイトルの「 ALL JAPAN PRO-WRESTLING プロレスLOVE〜夜のシャイニングインパクト〜」と言うのを聞いた時には「ギブアップまで待てない」級の酷い奴を想像していたので、拍子抜けするぐらいプロレス番組らしくて良かったです。ただこのタイトルは、特に「〜夜のシャイニングインパクト〜」の辺りがインディー臭さが出て(いや実際もはやインディ団体でしょうが)マイナスだと思うんですけどねぇ。「プロレスLOVE」までで充分じゃないかと。
テレ東はゼロワン中継で(つーか古くは国際・・・)プロレス中継のノウハウはしっかりと持っているわけですし、スポーツTODAYの中のコーナー等でも上手にプロレスを扱っていました。少なくともタイトルじゃないですけど、プロレス愛ではテレ朝なんかより遙かに上だと思うわけです。また視聴率のハードルも失礼ながら、他の民放局より低いだろうと思われるので、じっくりと全日中継育てて欲しいです。
珍しくテレビ局側に問題が少ないのですから、後は全日側がどれだけ期待に応えられるかです。武藤、川田だけでは心許なかった所に、大森が加わりました。取りあえずこれに小島を加えてヘビー戦線は何とかなります。天龍、健介も定期的に参戦するのでしょう。外人勢もタカみちのくの仕切でなんとか形になっています。問題はその下の世代です。なんとか今後1.2年で荒谷達の世代がモノにならないといけません。上が薄かったはずの全日でなぜのし上がっていけないのか?荒谷が期待に応えられないから、外様に頼らざるを得なくなるわけです。何度も書きましたが、ノアでヨネがあそこまで育ったのです。荒谷も早くアレぐらいにならなければ・・・
今週の感想(4/15記)
新日、金網デスマッチ棚橋対村上。駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だぁー。最近の新日のバカ流血カッティング大会には前から苦言を呈してきた。そんな事する前にもっとプロレスを磨けと。大仁田の例を取るまでもなく、流血に頼るのは自分がB級だと証明しているようなモノである。キチンとしたプロレスで観客の目を引きつけられないから流血に走る。そう言うわけである。
流血は簡単である。血が出れば誰でも驚く。誰でも怪我していると解る。でも所詮切り傷なのだ。しかもレフリーや若手が様子見て切ってくれている切り傷。そんな怪我はすぐに治る。でも危険な角度で投げられたり、完璧に入っている関節技に耐えたりすると、体の内側を怪我するわけだ。これは損である。観客に解らないのだから・・・見るからに手が変な方向を向いているとかならまだしも、靱帯損傷したり骨にヒビが入っても観客には解らないのだ(ケンドーナガサキの鎖骨が飛び出ている事にいったいどれぐらいの人間が気づいている?)。これは本当に損である。だから受け身もキチンと出来ないしょっぱいレスラーは流血に頼るのだ。切り傷はすぐ治るので。
そんな流血に最近の新日は頼りっぱなしだ。そして新日最後の砦、棚橋までもその悪い流れに今回飲み込まれた・・・若手の中では抜群にプロレスセンスの有る棚橋。流血なんぞに頼らなくても充分に面白い試合が出来る棚橋。なぜその棚橋にカッティング流血戦をやらす???大体ノー観客マッチと言うのがそもそも怪しかった。でもレフリーが中に居ないと言うのが救いだとも思った。だがまさかまさか棚橋がリストバンドからカッティンググッズを持ち出し、村上の額をカッティングするとは・・・ガッカリだ。ブロディのカッティング以来、久々に画面に堂々と映った茶番劇である。
本当に新日はプロレスファンを育てると言う事をしない。旧長州政権時代からずーっとそうだ。10分前後で終わるダイジェスト必殺技プロレスで、かなり新日ファンのプロレス知能指数は下がった。そこに今度は流血大会である。またまた新日ファンは目先のどぎついモノにだけ注目し、プロレス知能指数を下げる羽目になるだろう。どうしてキチンとした技の攻防を面白いと思えるファンを育てないのだ?蝶野が何に不満を持って現場監督を退いたのかは解らない。だけど蝶野政権当初は、明らかに新日は変わりかけていた。なのにそれもすべておじゃんである。中邑と棚橋は新日にとって聖域であるべきだったのだ。泥をかぶるのは永田天山世代で良い。中邑棚橋で生まれ変わるはずだった新日は幻だったようだ。近いうちに中邑、棚橋とも新日を離脱すると思う。それほどまでに新日は腐りきっている。
おまけ。全日プロレスラブで健介御殿でのインタビューがあった。アップになった健介の額にはへたくそなカッティングの痕が(苦笑)。誰が切ったんだっけ?田山か?もう少し綺麗に切れないかな?昔のカッティングは縦に綺麗に切れていて、いかにも強い衝撃が加わって額が割れたように魅せていたものだ。流血大会に溺れたいのなら、その辺りも勉強し直す必要があるんじゃないのか?それにしてもチャンカン前哨戦マイク対決には笑った。もの凄いキャラの立ち方だ。正直脱帽。この路線なら有りだ!全日、荒谷!。
今週の感想(4/23記)
全日バカラリアットプロレス決定戦大森対小島。さて全日はチャンカンが開幕した。試合内容にいささか不安がある全日にとって、レギュラー放送開始直後に、このチャンカンが有るというのは実に良いタイミングだと言えよう。若手を交えた意味の無いタッグマッチとかとは違い、G1覇者との対戦も予定されている今回のチャンカンなら、レスラーの本気度が全面に出ると思われるからだ。さらに放送自体はテレ東のセンスで、旨いこと繋げたダイジェストになっている。これなら嵐、荒谷あたりの試合でもしょっぱさが出ないと言うものだ(笑)。
そんな中、今週の放送のメインとなったのは大森対小島の、アックスボンバー対ラリアット対決、いやテレ東曰く、ホーガン対ハンセンの対決だそうだ・・・まぁなんつーか中西のゴッチ直伝ジャーマンと同じく、小島がハンセンに何を直伝されたのか、筆者は疑問符だらけなのだが、そこはそれ、大森も勝手にやり始めたアックスボンバーなので、バランスは取れているわけだ(苦笑)。正直ハンセン直伝と言っていいのは、長州と小橋までだと思う、確かに放ち方を教わったと言う意味では、小島も直伝かも知れない。だがそれは所詮、全日を大事に思うハンセンが協力したギミックに過ぎず、実際に何発も喰らって喰らって、体で学んだ長州と小橋には比べモノにならない。さらに言うと、長州は一撃必殺と言う「ウェスタンラリアット」の定義には全く沿って居ないわけで、正統的ラリアットの継承者は小橋以外に考えられないと思う。
んな訳で始まったチャンカン公式戦なのだが、純粋に試合内容を見ると、小島の方が一枚上手である。大森がどこの団体に行ってもいまいちブレイクしきれないのは、このプロレスの下手さ加減が原因だと思う。いや、純粋に技の決まり方、美しさで言えば大森は日本でも1.2を争う存在だと思う。そう言う意味では、自分の必殺技であるラリアットすら、放ってみるまで満足に決まるかどうか解らない小島とは雲泥の差と言えよう。だが、大森には試合を組み立てる力が不足しているのだ、有る一定の大森ペースのフォーマットというモノは持っている。だからその流れに乗って試合をしている分には何の破綻もしないし、美しい技と相まって、なかなかの試合に見える。だがそのフォーマットから少しでも外れたり、相手のペースに合わせようとすると、途端に試合内容がおぼつかなくなるのだ、対して小島は武藤を慕うだけあって、そこそこの試合は組み立てる。自分自身はラリアットしか無いつまらないレスラーだが、相手の魅力を引き出すのはなかなか上手なわけだ。
結局フルタイムドローと言う至極当然な結果で終わった。だが試合を組み立てたのが新日出の小島で、それで居てこのリングが全日と言う事を考えると結構驚きである。ダイジェストになっていたので、間がだれていたかどうかは解らない。でも新日時代はあれだけつまらない試合を連発していた小島が、ここまで相手を立てて試合を組み立てれるレスラーになっていたのは嬉しい誤算である。とにかく現在新日が酷いことになっている。続々離脱者も出るだろう。今後の動向次第では、全日の復活も夢ではないかも知れない。
今週の感想(5/1記)
ノアGHCヘビー級選手権高山対小橋。さて高山対小橋である。いよいよだ。日本プロレス界を縦横無尽に暴れ回り、少なくとも一般人の間では、日本で一番強いプロレスラーと認知されて居るであろう高山と、ノア(全日)一筋、プロレスファンにのみ(笑)日本で一番強いプロレスラーと認知されている小橋がベストコンディションで戦うわけだ、これに期待しないプロレスファンが居るとは思えない。個人的にはこれをノアドームのメインに持ってこないでどうする?と言う感も有るのだが、そこはそれ高山はフリーな訳で、「ノアのドーム興行」と言う事を意識したノアらしい三沢らしい考え方かなとも思う。
その全プロレスファン注目の試合だが、上記ノアドームのメインが、小橋対秋山で決まっているだけに、残念な話だが勝敗に対する楽しみは奪われてしまっている(ノアドームメインをタイトルマッチにするのだったら、当然この試合は小橋が勝たなくてはいけない)。まあ高山の試合は高山が負けても充分に楽しめるし、高山の凄さが際だつので、結果がわかっているからと言って新日のタイトルマッチほどがっくりしなくても良いのが救いでも有るが。
日テレもこの大一番のために久々に1時間枠を準備し、試合をじっくりと見せてくれた。んで、そのじっくりと見せてくれた試合の感想はと言うと10点満点の8点って所だろうか?充分に合格点、他団体なら満点上げても良い試合だったとは思うが、三沢対小橋戦ほどの完成度では無かったと思う。と言うのもやはり、ノアのタイトルマッチ特有の「やっちまった感」があまり無かったという点。これは高山がでかくて頑丈すぎて、小橋の手に多少余るというのも原因だと思うんだけど、小橋が高山を「倒した!」と言うシーンがあまり無いのだ。三沢相手ではえぐく落とせている投げ技でも、高山がでかすぎてなんとも上手く決まらない。小橋は小橋なりのセンスで、それでも充分凄い技を放っているのだが、それがフィニッシュに繋がって見えないのだ。
いや、フィニッシュに小橋がムーンソルト(まるしー若林)の封印を解いたら、そりゃそれは返しちゃ行けないし、それで高山が負けるのはもっとも説得力のある決まり方なんだけど、やっぱりそれまでの攻撃が、高山がムーンソルトを待って寝ている状況の説得力には乏しいわけだ。それが「ノア」のタイトルマッチとしては、ちょっと物足りないというか、納得仕切れない点だったと思う。正直高山と小橋どっちが強かったか?と問われれば高山と答えざるを得ない。だが高山にはベルトや団体に固執する執着心は無い。反対に小橋にはこのベルト、この団体に対する思いが強くある。別に試合結果が決まってる云々の話でなくても、結局その思いの強さで小橋が勝ったと思う。試合で勝っているのは高山、心が勝っているのは小橋。それで良いのである。そして高山はまたいつものように、負けながら自分の伝説を作った訳である。
今週の感想(5/7記)
5.3新日東京ドーム大会。さてGW恒例の新日東京ドーム大会である。今回はカード編成の段階から全く魅力を感じなかったので行くつもりはなかったのだが、知り合いから只券が回ってきたので行くこととなった。当日深夜のテレ朝に騙された「スペシャル」(1時間枠なのだから以前なら通常放送である)は見ていないので、あくまでも現場で感じた感想である。
最初にも書いたが、この東京ドーム大会には全く魅力を感じていない。一体このカードのどれを見ろというのだ?メインのサップ対中邑はどちらも「プロレス」が不得手で、面白い試合などするわけもない。対K1もどうせ最初から結果が決まっているだろう。何よりK1サイドにバリバリのプロレスラーオヘアーやほぼプロレスラーのサップが入っているという段階で、全然異種格闘技戦的興奮度に欠けると思う。柴田と武蔵もK1でもっともプロレス的恩恵を受けている武蔵なのだから、茶番必須な対戦に思える。それ以前のプロレスカードにしてもそうだ。期待の(笑)魔神'Sの相手は西村天山に真壁と必然性の無い組み合わせ。モンゴル兄弟の対戦相手は新日困ったときのハクだのみで、これまた必然性無し。とにかく一つの興行としての流れも何も感じられない酷いカード編成なのである。
じゃあ頭にきて帰ってきたのかと言うと、そんな事は無いのである。まぁタダだったというのが一番大きいのだが、結構どの試合も考えていたのと違う結末になり、良い悪いは別にして「驚けた」と言うのがよかったと思う。メインのサップ対中邑は当然中邑が勝つと思っていた。ところが結果はサップの圧勝であった。試合内容も文句無くサップの勝ちである。サップ戦にありがちなお約束な出来事は殆ど無く、純粋に中邑がサップのパワーに敗れたという感じだ。この試合内容なら説得力もあり納得である。あのサップがここまでプロレスが出来るようになっていたとは、正直その驚きだけで今日の興行に満足出来たと言える。
柴田対武蔵の結果も驚きだった。体格的に柴田圧倒的に不利な上に、ルールでも武蔵サイドは最後まで注文を付けていた。これはもう武蔵サイドはなんとか結果をうやむやにしようとしているように思え、納得の行く試合結果は絶望的だと思っていた。だがご存じのように試合は武蔵の圧勝。柴田は見事に口だけ番長に成り下がってしまったわけだ。
まぁここまではよい驚きである。つまりまたもやこの「新日」の興行は「新日」以外の要素によってなんとか体裁を保ったわけである。では新日勢は何をやっていたのかというと・・・まったくもってグダグダであった(笑)。まず上記口だけ番長の柴田。完全にノックアウトされたのならまだ良い。体格差にルール上のハンデもあったわけだから。だが柴田は自ら勝負を捨てたように見える(百歩譲ってそういう約束か?)。柴田がダウンした一撃はそれほどのモノでは無かったように見えるし、何より倒れ方がいわゆる「プロレスダウン」だった。そのままうつぶせの姿勢で(意識は失っていなかった)10カウントを聞くのだが、仮にもあれだけのビッグマウスを叩いたのなら立ち上がるべきだろう?個人的に柴田と村上は今の新日の中でもっとも期待していた選手だっただけに、結果以前にその根性の無さにがっくりである。こないだの村上の大流血戦、そして柴田のこの試合。ストロングスタイルを表現できる最後の砦が、どんどん新日悪しき流れに飲み込まれていく(さらに中村はサップとの再戦に電流爆破を希望・・・)。
吉江対ノルキアは完全な出来レース。メイン、セミと負けるんだから吉江と棚橋は勝たせてもらうよって試合。中邑戦同様ノルキアはお小遣い稼ぎと(今回はあんまり殴る人じゃないし)。ライガー対中嶋は試合内容云々より、タイガー服部の新日マット再登場が問題。田山、赤靴のカッティングの拙さに新日復帰か?早速異種格闘技戦では抜擢されてるし、何より新日ユニでのレフェリング。怪しい。ジャイアント魔神は本当にでかかったが、リングにあげてはいけない人。ただ寝ころんでポテチ食べながらテレビ見てたらでかくなっちゃったって人だね。最後に何を思ったかマスクを取ったのもマイナス。その顔つきは典型的アメリカの虐められっ子。2度と見ることは無いだろうから、見れたの自体は収穫かな?
結論として新日はどんどん駄目になっているのを確信。上井体制は全く駄目である。三沢たちがノアを旗揚げしたように、新日レスラー達もクーデターでも起こさないといけなかろう?一番駄目なプロレスやっている処が、一番大きい団体で、一番人々の目に付くと言う事態は日本プロレスにとっても本当にやばい。
今週の感想(5/13記)
ノアGH(ハードコア)Cタイトルマッチ秋山対佐野。 さて秋山の思いつきで急遽出来たノアのハードコアベルト。意外や意外、三沢もすんなりと認めてしまい(ちゃんと下交渉してから作ったんだろうけど)、早速佐野との間で防衛戦がなされる事となった。秋山はハードコアハードコアと言っているが、正直試合をやってみないとこのベルトがどういうベルトなのかは、誰にも解らないわけで結構注目の集まった一戦だったと思う。
一般的にハードコアと言うとどんなイメージだろうか?多くは大日本などのインディーや、アメプロのそれ専門レスラーによるデスマッチを連想するのではないだろうか?そう、一般的にハードコア=痛い試合なのである。んで、筆者はノアはメジャー団体でも屈指の痛い団体だと考えている。確かに昨今のバカ新日のように、カッティングによる流血などは無い。だからプロレス素人にとってはそんなに「痛い」試合には思えないかも知れない。だがちょっとプロレスをかじった人間なら、ノアの真面目なプロレス。えぐい角度で落とすスープレックス、胸板で無くしっかりと首に入るラリアットは、実に「痛い」プロレスなのである。人間、切り傷と骨折や靱帯損傷、どっちが痛くて治りにくいかと言われれば、当然後者である。そう言う意味で、ノアこそ「痛い」団体であり、有る意味ハードコアな団体だと思うわけである。
そんな訳で団体自体が「痛い」団体なのに、そこにハードコアのベルトを作るというのはどうなの?(おまけに秋山は、いわゆる三沢小橋の「痛い」路線からは一歩引いた存在であるし)って思いの中での第一戦の感想は「うーんいまいち?」て感じ。確かにハードコアのもう一つの面「なんでもあり」は、勝負の決し方がそれぞれ違う辺りや、場外フリーカウントでも感じられるんだけど、それが試合の魅力に繋がっていたかと言うといささか疑問である。二人が場外で展開した戦いは、別に20カウント内でも出来る事ばかりだし、勝負の決し方が違うのもただややこしくなっただけで、それで勝負が面白くなったようには見えなかった。
いわゆる「痛い」演出として使われる机を使った攻撃にしても、机がパイプ入りの割れない机だったせいで(この辺りも準備不足)、迫力半減。さらに天井が低い博多スターレーンでの試合と言うのも、2階からのダイブ(秋山がやるとは思えないが)等が無く、ハードコア?と思わせる要因となっていたと思う。正直、この程度のハードコアなら、インディー団体の方が生活の掛かった凄味が有るし、また通常のノアの試合の方が、「痛み」と言う上でも上だった思う。秋山は次はジュニアとやりたいと言っていたが、どうやら秋山の中でのハードコアの定義は「痛み」より「何でもあり」の方に重きが置かれているようである。この「何でもあり」というのは危険である。秋山は自分の中でしっかりとした「ハードコア」の定義が有るのだろうが、もし秋山がベルトを奪われた場合、新チャンピオンが果たして秋山の考えている「ハードコア」の防衛戦をするだろうか?どうにも先行きが不透明なGH(ハードコア)Cのベルトである。
今週の感想(5/25記)
ノアケンタ7番勝負、秋山対ケンタ。いや、この試合面白かった。もう愉快痛快って感じ。やっぱりヘビーとジュニアがやったらこういう結果にならないと。
この試合ケンタはよく頑張っていたと思う。秋山の技をキチンと受け止めていたし、ちゃんと反撃して自分の流れも作っていた。だがそれでも秋山は5割程度の力でしか試合をしていなかったように思える。そしてそれが80キロそこそこのジュニアとヘビー級との力の差なのだ。そう、決してこの差はキャリアの差ではない。純粋に力の差、ウェイトの差なわけだ。ノアは三沢がジュニア上がりと言う事もあって、ジュニア戦士を抜擢する傾向がある、旧全日時代からもタッグにヘビーとジュニアが混ざる事は、明らかに新日より多かったわけだが、ノアになってからは、ジュニア戦士がヘビーとより一層絡むようになったと思う。
何度もこの欄で書いてきた事だが、筆者はこの流れに反対である。いや、ジュニアならではの動きとインサイドワークで、ヘビーを翻弄すること自体は悪い事ではないし、プロレスの幅として充分に面白くなるので肯定したい。だが問題は、ジュニアとヘビーが絡んで得するのはジュニアだけだと言う事である。当然ヘビーはジュニアの動きに翻弄されるのだから、格好悪い役回りである。なんなら観客の笑いモノになったりする。だがヘビーの選手は、ジュニア相手の試合では、それらの屈辱を挽回することは出来ないのだ。簡単な事である。ジュニア相手にヘビーが本気を出したらジュニアは壊れてしまうからだ。
これではヘビーはボランティアである。プロレスの醍醐味は相手の技を受ける事にある。なのにジュニアの選手はヘビーの技をマックスで受ける事が出来ない。筆者に言わせれば相手の技を受けられないのなら、これはプロレスでは無いわけだ。なのにノアは80キロそこそこの選手達をヘビーの試合に絡ませてくる。そりゃ5割の力でもジュニア選手にとって見れば凄い当たりだ。ジュニアの選手の勉強にはなるだろう。でもそれだけである。ジュニアの選手のその成果はジュニア相手の時にしか意味をなさない。どんなにジュニアが鍛えても、ジュニアの体格である限りは、ヘビーの技は受けきれない。ジュニア最強のライガーだって、あんなにアンバランスな体格に改造しても、ヘビーとやる時は一杯一杯である。藤波にしても長州にしても、ヘビーになってからの体格は、どう考えてもジュニア時代より醜くて無理無理である。
つまりそれだけヘビーとジュニアの垣根は高いのである。会場にギャルを呼べばグッズもはけるだろうから、イケメンジュニアを抜擢したいのは解る。解るけどジュニアはジュニアで盛り上がってもギャルはきっと来るさ。対ヘビーでジュニアを無理矢理活躍させて、これ以上ヘビーを愚弄しないで欲しいと思うわけだ。
今週の感想(5/25記)
ノアGHC1/3タイトルマッチ川畑対秋山他
前回の対ケンタ戦もそうだったが、秋山の試合は格下とやっているのが一番面白い。いや、確かに秋山、小橋や三沢とやってもそこそこの試合はする。だが何となく「君らの受け身自慢にはつき合ってられんよ」的雰囲気が漂って、いまいちガシッと噛み合っているようには見えないのだ。同じようなレベルのレスラーとで、噛み合ったのは永田ぐらいだろうか?元々専修大出身と言う事もあり、三沢小橋の全日風の試合よりも永田らの新日風の試合の方が噛み合うのだろうか?
だがそんな秋山がもっとも輝くのは、前記したように格下をおちょくりながら自分の凄味を見せるような試合である。つまりスタイルで言えば王道も王道、全日からの流れを汲む「明るく楽しく激しいプロレス」なのだ。これは永田の新日ストロングスタイルとは明確に違う。かといって三沢達の激しいだけのプロレスとも違う。このペースがヘビー戦線、三沢や小橋戦でも上手く出るようになれば、より一層ノアの戦いも面白くなると思うのだが・・・
今回秋山により抜擢されたノアヘルスクラブの面々は、井上、泉田、川畑である。井上は抜群の試合巧者で地方大会の盛り上げ役には欠かせない男である。永源が色物で客を暖めた後に、井上がプロレスのインサイドワークで観客を沸かせ、唸らせる。グラウンド10分やっても観客は全く飽きてない。それが井上の実力の高さを証明しているといえよう。また泉田も長くスターネス入りを直訴するなど、秋山との絡みには実績がある。今日の6人タッグでも、実に良い味を見せ、試合前、試合後とも抜群のマイクセンスを見せていた。
とまあ、この二人はほっといても安心して飯が食えるレスラーである。秋山の今回の本命は「川畑輝鎮」であろう。育ちの悪さのせいか、川畑なんとも中途半端な存在である。体格的にも年齢的にもこの後のレスラー生活は厳しそうである。なのに、いやだからこそ、秋山は川畑にスポットを当てたのだろう。確かに大化けはしないだろう。だが例え一時でもスポットが当たれば、その経験が今後のレスラー人生で必ず生きてくる。そんな風に秋山は考えたのだろう。三沢もノアの事をよく考えている。だが秋山も、小橋や小川なんか以上にノアの事を考えている。考えてみれば秋山のパートナー斉藤も(余談だけど、今ノアのHP行ったら斉藤って選手名鑑に載ってないんだよねえ。フリー?でもスコーピオも載ってるのに?)秋山のボランティアで今の地位を掴んだ。川畑も何かを掴んでくれることを期待する。
今週の感想(6/17記)
すいません。ぼーっとしてたら随分間隔が空いてしまいました。と言うかこの間、プロレス界は結構動いているのに、テレビプロレス界には殆ど刺激的な出来事が無かったわけで。今更ながらテレビプロレス界のリアルタイム感の無さを感じます。そう言う中でようやく藤田対棚橋のIWGP戦です。
最近新日がヤバイぐらい面白くないです。週プロ的には、底から脱しつつあると見ているようですが、まだまだ根は深いと思います。本当に中邑のリベンジ、藤田の圧勝でプロレスファンが帰って来てると思ってるんでしょうか?確かに外敵に勝つことは新日にとって大事なことです。創設期から回りに喧嘩を売りつつ(対全日馬場)、自らのポジションを高めてきた新日ストロングスタイルにとって、このところの異種格闘技、総合格闘技系での惨敗は、団体の威信に関わることでした。でも現在の新日が面白くない要因はそんなところに有るわけではありません。基本的なプロレスがつまらないんです。
何度も書きますが旧長州政権時代に新日はそれまでの練習の成果を生かしたプロレスを放棄します。「必殺技だけを見せていれば観客は満足する。」こういうビッグマッチ主体、テレビ主体のプロレスです。この分かりやすさは確かに一時的に新規ファン開拓には役立ちました。見るのに知識がいりませんから。野球で言えばど真ん中にストレートだけ投げてホームランの出る試合です。でも当然そんな試合ばかり見せていればファンは飽きます。また世の中には他に楽しい事はいっぱいあります。当然底の浅いファンは簡単に他の楽しいモノに目移りしていきます。
新日=ストロングスタイルを信じていた古くからのファンにとっても、この長州政権時代のプロレスは受け入れがたいモノでした。そりゃ当然です。旧UWFとの対抗戦で技術的に行き着くところまで行き着いたのが、一気に中身の無いプロレスになってしまったのですから。そうして長州という最悪の現場監督が仕切っている間に新日はボロボロになってしまいました。
ところが蝶野が現場監督になって以来、新日は持ち直してきました。長州政権下では怪我の影響からか、あんなにチンタラ試合をしていた蝶野自身が率先して、レベルの高い中身の濃い試合をするようになったわけです。当然技術を持っている選手達も輝き出します。これは良い方向に向きだした。そう思ったら現在の上井政権です。全く駄目です。新間時代からの生き残り上井が描くプロレスはあざといまでのシナリオプロレスです。試合が始まる前に全ての事が決まっている。まさに新間です。確かに新間時代の新日には我々随分乗せられてきました。一流の演者猪木の存在もあって、何とも刺激的なプロレスでした。
でも今現在その方式が成功しているかというと「否」です。上井の予定調和のプロレスは全く面白くありません。ベルトの地位も興味を下げているのはレスラーでは無く上井なのです。IWGPヘビーのベルトの移り変わりを見れば解ります。中邑にベルトを持たせる事で新時代を築く予定が(これには反対しませんが)怪我で返上→トーナメント優勝、良い人言いなり天山→あっさり健介に奪われる→約束通りにサップ→藤田怖くて返上。この流れのどこにプロレスとしての面白さが有るんです?酷いものです。
幸いベルトは圧倒的強さで藤田の元に来ました。ようやく上井の手の届かない所に来たと信じたいです。新しい方のベルトも封印されるようです。外様藤田が憎たらしいほど強いチャンピオンとして、ベルトの価値を高めて欲しいです(でも藤田も自分より小さい相手とか弱い相手なら良いってのも有るしなぁ?)。新日はこの藤田、高山、鈴木ら実力のある外敵を、新日若手陣が挑んでいくスタイルにすべきだと思います。もう永田も中西も天山もさっさと新日離脱するべきです。この世代の時代ははっきりと来なかったわけです。全日やゼロワンに行った方が、絶対にそれぞれ輝けます。新日に残っていても、新日にとっても当人達にとっても良いことは有りません。新日はぬるま湯に浸かっていない世代で変えていくしかないんです。
今週の感想(6/24記)
週に30分のプロレスが3本放送されると言う、プロレス好きには結構恵まれた環境と言える今現在ですが、正直心が満たされません(笑)。ノアは相変わらずで安定しているんですが、何となく東京ドームに向けて、エネルギーを貯めている状況のようで、プロレスリングアイアンでのタイトルマッチもそれほど興味を引かれる内容ではありませんでした。
全日はプロレス情報番組としての体(てい)をキチンと守っていて、非常に見やすい構成となっています。ストーリーも簡単に追えますし、1回ぐらい見逃しても、毎回キチンとストーリーのおさらいをしてくれるので、脱落することもありません(欠かさず見ていると、同じフィルム何度も見せられてうざいと言うのは有りますが)。フジでの失敗を反省して、テレ東の優秀なスタッフとがっぷり組んで良い放送になっていると思います。とにかく「深夜にぼーっとテレビを見ていたら偶然見てしまって、そのうち虜になった」そう言う流れが生み出せる番組だと思います。
ただまぁ、結局は必殺技ダイジェスト、全日ファイトな放送なので、新規開拓したファンが濃いプロレスファンになって行ってくれるかは微妙ですが・・・(どうしても全日は試合内容には一抹の不安が拭えないので)理想としては、全日中継でプロレス好きになって、他の団体も見るようになり、プロレスの奥深さを知ると言う展開になって欲しいです(で、新日見て夢から醒めると・・・)。
全く駄目なのはその新日の中継ですね。この1ヶ月殆ど内容が印象に残っていません。実際にはスーパージュニアをやっている訳なのに、何を下らない事をダラダラやっているんでしょう?それともしばらくしたら纏めて総集編でもする気何でしょうか?話になりません。せめて予選リーグの段階で一度テレビで取り上げて、それを決勝への観客動員に繋げたり出来ないモノなんでしょうか?ほっといても入るからテレビでリアルタイムで取り上げる必要がない?そんなだから新日は駄目なんですよ。
とにかく30分枠になってからの新日はまるで駄目です。「ドーム大会を特番で放送するためにこういうスタイルになった」ちゃんちゃらおかしいです。特番って1回1時間枠になっただけですよ?まだゼロワン中継の方が特番っぽいです。テレ朝に完全にはめられました。インテリ(テレ朝)にインテリ風情(上井)が叶うわけが無いんですよ。インテリがびびるのは話の通じないキチガイです。そう言う意味では新日の猪木体制復活が良い方向に向くかも知れません。やっぱり新日は滅茶苦茶な方が面白い。