経緯と感想

 ご他聞にもれず、私も順番制で管理組合の理事になりました。その期間に大規模修繕工事の話が進行し、そのまま修繕委員会の委員も勤めました。結果的に4年あまり関係することになったのですが、大変勉強になり是非記録に残したいと思いこのページを作りました。現在インターネットで得られる情報は、施工側の情報が多く生活しながら改修工事を行う生活者側の情報が少ないと感じています。その主旨を理解してこのページを公開することを了解していただいたマンションの管理組合と修繕委員会に感謝しています。
  ルネ門前仲町パークステイツの概要;
    所在地 東京都江東区越中島
    467世帯 14階建て 鉄筋コンクリート 五棟
    1986年建築  12年目の1998年に工事を実施

 体験してみての感想ですが、大規模修繕工事とは建物の補修にとどまらず、日常管理の問題点を洗い出すこと、長期計画を見直すことであるということに気が付きました。つまり、大規模修繕を軸にして考えると、集合住宅の管理組合とは何をすべきかという事が明確になります。その観点からこのホームページをまとめてみました。

さて、大規模修繕工事で重要なことは、当たり前のことのようですが

であると思います。技術的なことは専門家であるコンサルタントに任せ、我々は要求を明確にし、工事の進行や出来上がりのイメージを早く理解し、それを出来るだけオープンにして居住者全員の合意を得る事に勤めるべきです。修繕工事が成功するか否かのポイントの90%以上が居住者の合意と協力を得ることだと言われています。
 十分な資金(修繕積立金)の準備は、事前の調査では分からない予想外の追加工事のために大切であるばかりでなく、一時負担金が必要なければ工事に対する居住者の同意を得るのが楽になりますので大変重要です。
  今回の私たちの工事で、居住者の協力が得られ大きなトラブルもなく終了できたのは、一時負担金が必要でなかったことと工事に関する情報公開を十分行ったことが要因と考えています。工事中の不便な生活に関わらず協力をしていただいた居住者の方、熱心に計画・設計・工事監理並びに指導して下さったコンサルタント、および誠実に工事を遂行して下さった施工業者の方々にも感謝しています。

 参考に建設省のデータから「分譲マンションの供給の推移と現況」を紹介します。このデータでも分かるように、今後急速に大規模修繕が必要なマンションが増えていきます。このページで紹介するような情報を必要とする人も、今後増えると思いますので、このホームページ上で情報交換もしていけるように考えています。

大規模修繕の目的

 大規模修繕の目的は言うまでもなく建物の構造体の維持です。コンクリートはもともとアルカリ性ですが、長年の風雨にさらされて表面からだんだん中性化して劣化します。そして、ひび割れから内部の鉄筋まで参加/発錆が進行すると、その時点が寿命です。それまでに普通は70年ぐらいかかります(大蔵省は法定耐用年数を60年と定めています)。もちろん鉄筋が規定通りの深いところにあり、コンクリートのひび割れが適切に補修されていればの話です。従って大規模修繕では、外壁のひび割れを補修し、防水処理を補強し、鉄部を含めた表面の塗装をやり直すのが主な内容になるわけです。早い時期の十分な補修(計画的な保全管理)が結果的には建物の寿命を長くするわけです。

参考資料