『ヤマネコ号の冒険』補完計画


2001.8.9 高橋 誠
現在の訳と訂正案対応する英語説明指摘者
[/ツバメ号とアマゾン号の乗組員から得た情報を元にし挿絵も主に彼ら自身による。]
[3]
Based on information supplied by the Swallows and Amazons and illustrated mainly by Themselves
タイトルページ #19889 駆逐艦
[/挿絵についての注
 これらの絵を描きはじめたときに、それぞれの作品に名前を表示しようと決めた。しかし、これは到底無理だった。みんながすべての絵を手伝いたがったのだ、私たちがなにをしているのかに気づいた通りがかりの土人さえ。だから、だれでも分かると思われるロジャの二つの絵を除いて名前を取り去ることにした。
ナンシイ・ブラケット船長]
[11] NOTE ON THE PICTURES
  When we began to do these pictures we decided that each of us was to put her (or his) name to her own works of art. But this was hopeless. Everybody wanted to help with evry picture, even passing natives who saw what we were doing. So we had to leave all names out except in the case of Roger’s two pictures which anybody would know anyhow.
CAPTAIN NANCY BLACKETT
#19889 駆逐艦
口絵 [/冒険者たちの出帆] [12] THE ADVENTURERS SET SAIL 口絵の題が省略されています。 #19868 HEARTYさん
10 [ローストフト/ローウィストフト] 13 Lowestoft 『ツバメの谷』68頁では「ローウィストフト」なのでどちらかに統一する方がいいでしょう。 #16757 JAFFYさん
12 返信へんしんはないといった。[(改行)/]「さて、こまったぞ。」 15 There was no answer. ‘Well, that’s done it,’ #22310 駆逐艦
姿すがたをあらわすかもしれないね。」[(改行)/]スクーナーにいる三人は They’ll be here any time now.’ All three of them aboard the scooner looked very glum after that. #22289 LMSさん
19 ジョンはひとり岸壁がんぺきにのこって、[ほかの/]荷物にもつえきからはこ[ぶことで/んでくれた]ポーター[と話をつけ/に料金を支払っ]ていた。 20 John was waiting on the quay to settle with the porter for bringing the things from the station.  settle with~は「話をつける」でも悪くはないですが、より直接的には「~に勘定などを支払う」という意味です。[2] #22289 LMSさん
24 「ダックといいます。」と、老人がいった。「[名字もつけていえば/]ピーター・ダック。 24 ‘Duck’s my name,’ said the old man. ‘Peter Duck, しいて言えば、「名前もつけていえば」です。 #18300 ジャイブさん
もらえないにせよ。」[(改行)/]かれがなにをしようと思っているのか I might as well be putting a whipping on it.’ His hands were already on the halyards #22289 LMSさん
28 黒いスクーナーを見た。[(改行)/]オウムのことをおこったあの男が 27 to the black schooner. The man who had been angry #22289 LMSさん
上機嫌じようきげんだった。そして、[/(改行)]
 「こんなにうまくいくとは
He was in the highest spirits.
 ‘We simply couldn’t have done better,’
#22289 LMSさん
35 とう[イルカ/シイラ] 31 three dolphins dolphin:【魚】シイラ。[2] #22956 赤い鰊さん
41 その風をうけて快走かいそうした。[(改行)/]子どもたちが黒いスクーナーの 36 and Swallow felt it. She was moving very fast. They had just time to read the name #22289 LMSさん
48-49 他の乗組員のりくみいんについては、船長せんちようが三人と航海士こうかいしがふたりいるといっておくんだね。それ[以上なにもいわなくていい/以外(の乗組員)についてはいうまでもないが] 41 And as for the rest of our crew, you can say we’ve three captains aboard and two mates, to say nothing of the others. to say nothing of:~は言うまでもなく[2] #22289 LMSさん
61 ナンシイをつれて船尾せんびにきた。[/(改行)]
 「ダックさん。」と、フリント船長せんちよう
51 Captain Flint came aft, bringing John and Nancy at his heels.
 ‘Mr Duck,’ he said,
#22333 LMSさん
65 「ねえ[ロジャ/ロージー]、あなた、やりかた知ってるの?」と、ティティが心配しんぱいそうにきいた。 53 ‘I say, Rogie, do you know how?’ asked Titty anxiously.  『ツバメ号の伝書バト』194頁も参照。 #22333 LMSさん
66-67 とうとうフリント船長せんちようはもう一ふねをまわし、すべてのシートをゆるめると、半球はんきゆうの上にもう一つのたまをのせた([/「]それぞれの灯船とうせん区別くべつするために、灯船とうせんはこうしたいろいろなものをもっている[のだった/んだよ。」])コートンの灯船とうせんにむかってすすみ、 55 At last Captain Flint put her about once more, eased off all the sheets and steered for the Corton light-vessel, with its ball cut in half and another ball on the top of it (They have to have these things to tell one lightship from another),  原文の( )内には引用符がありますので、これはたぶんフリント船長の台詞かと思われます。 #22333 LMSさん
68 [フット/ラグビー]ボールのようにまるくて赤白のしまにぬった 54 striped red and white and round as a football,  『シロクマ号となぞの鳥』272頁参照。 #22582 駆逐艦
71 [/ふねの]オウムのポリーは「八銀貨ピース・オブ・エイト」と口ばしり、じぶんが[うつくしい/きれいな]ポリーだということを人々に思いださせながら、 58 Polly, the ship’s parrot, was singing out ‘Pieces of eight’ and reminding poeple that he was a Pretty Polly,  20頁等にあわせ、Pretty Pollyは「きれいなポリー」で統一した方がいいと思います。 #22333 LMSさん
95 あの紙きれをぬいこんだところをその紙きれごと切りとって[、もうそんなものをもってるのがいやになるまで、ずっともってた/ずっともってたが、そのことを後悔する日がきた] 76 and I kept it and the paper in it, until the day come when I wished I hadn’t.  この部分は直訳すると「(紙きれを)もっていなかったらよかったのにと思う日がくるまでずっともってた」ということです。つまりピーター・ダックはカニ島の位置を書いた紙きれを持ち続けたことを後悔する日が来たということを言っているのです。だからちょっと訳文とはニュアンスが違うと思います。この根拠になるのが次の一節です。
ずっと昔にアッシャントの沖でなくしてしまえばよかったと思ったあの紙きれ(96頁)
#22354 LMSさん
96 [ローストフト/ローウィストフト] 77 Lowestoft  10頁参照。 #22371 駆逐艦
フリント船長せんちようはなにかいおうとして口をあけたが、なにもいわなかった。[/ピーター・ダックは話を続けた。] Captain Flint opened his mouth to speak, but said nothing. Peter Duck went on. #22354 LMSさん
106 パジャマを着たまま船室せんしつからかけだし、大船室だいせんしつをぬけて、[/体をよじるようにしながら苦労して]ハッチの階段かいだん[のまわりをまごまごし/をまわっ]た。 84 in his pyjamas, ran out of the cabin, through the saloon, and wriggled round the companion stairs.  『シロクマ号となぞの鳥』14-15頁も参照。 #22384 LMSさん
108 [よーし、上等じようとうだ/さあ、ゆっくりな]むすんで。 85 Handsomely, now. Belay. Hansomely:[海事]注意して、ゆっくりと[1] #22384 LMSさん
109 ピークをひっぱれ。[上等じようとうだ/ゆっくりな] 86 Haul on the peak. Hansomely now. #22384 LMSさん
機関きかんをとめろとか、レバーを[前方ぜんぽうせ/全速力の位置にしろだ]とか、そのほか、機関きかんにかんする実際じつさい重要じゆうようなことをめいぜられるのをっていた。 waiting to be allowed to shut down the engine, or move the lever to full ahead, or do something else that really mattered in the engine line.  move the lever to full aheadは「レバーを「全速前進」の位置にする」という意味です。(実際に前方に押すのかもしれませんが)この方が「機関をとめろ」と対比するものとして適切だと思います。 #22384 LMSさん
116 心配しんぱいがなかった。[(改行)/]食事箱しよくじばこだな。」 92 they cannot slide far. ‘Feeding-boxes,’ said Roger, #22384 LMSさん
121 ノース・フォアランド[とう/(岬)]おきのエリボー・ブイ 96 Elbow buoy off the North Foreland.  「ノース・フォアランド」って島でしょうか? 海図を見ても島には見えません。せいぜい半島です。岬という方がいいかもしれません。「島」を取ってしまうか、「岬」にした方がいいと思います。 #22384 LMSさん
ノース・フォアランド[とう/(岬)]が見えた時、 when they saw the North Foreland #22384 LMSさん
122 ノース・フォアランド[とう/(岬)]真横まよこに見た時には、 97 when they had the North Foreland abeam. #22384 LMSさん
124 甲板室かんぱんしつの中の[ひだり/みぎ]がわだなにからだをよこたえたが、 98-99 laid him down on the starboard bunk in the deckhouse #22384 LMSさん
132 「サウ・ウェスト。」と、ジョンが大声でいった。「サウ・ウェスト・バイ・ウェスト。[/ウェスト・サウ・ウェスト。] 104 ‘South-west,’ said John aloud. ‘South-west by west. West-south-west. #12926 Grogさん
137 [二/一]キロとはなれないところを、かげのようにゆれながらくだったくるのが見えた。[/(改行)]
 古いツイードの帽子ぼうし
108 not more than half a mile off.
 Captain Flint, yawing and rubbing his eyes,
#22384 LMSさん
141 それから、あたりの状況じようきようがそうわるくないのを見きわめると、[ウィンチ(きあげ)/キャプスタン]によじのぼってすわり、風にむかってかおをしかめた。 111 making up his mind that things were not so bad, climbed up the capstan and sat there making faces at the wind.  この2ヶ所だけcapstanが「ウィンチ」と訳されています。163頁等では「キャプスタン」です。ここだけ変える理由はないと思うので統一したらどうでしょう。 #22417 LMSさん
141-142 最初さいしよの水のしぶきをかけられたサルは、[ウィンチ/キャプスタン]をとびおりてフォアマストにかけより、 At the first splash the monkey leapt from the capstan, ran to the foremast, #22417 LMSさん
143 「あの男、なにかしかえしをしようと思ってるのよ。」と、ナンシイがいった。「あんなふうにみなと[たいをかわさ/水あびさせら]れたから。」 113 He wants to do something beastly,’ she said. ‘after being ducked in the harbour like that.’  duck:(ひょいと)水にもぐる、頭をひょいと水にもぐらせる; ちょっともぐってすぐ浮かぶ。[2]
 ナンシイが言っているduckされたというのは、ブラック・ジェイクがピーター・ダックに錨もろとも水中に落とされたことです。こちらは試験航海の時に「体をかわされた」のとは違って明らかに実害があったのですから、ブラック・ジェイクが恨みを持つのは当然といえます。
#22417 LMSさん
146 [ローストフト/ローウィストフト] 115 Lowestoft  10頁参照。 #22434 駆逐艦
149 敬礼けいれい無視むしして走りった。[(改行)/]「ああいったふねは、 117 she did not notice the Wild Cat’s salute. ‘Too proud, that sort,’ #22417 LMSさん
150 右舷うげんのいかりをおろせ。」いかりが沈んだ。ジョンとナンシイは、ブラック・ジェイクを[うまくやりすごし/水あびさせ]たことを同時どうじに思いだして、かおを見あわせてにやにやわらった。 118 ‘Let go the starboard anchor.’ Down it went, and John and Nancy grinned at each other, both remembering Black Jake’s ducking at the same moment.  143頁参照。 #22417 LMSさん
151 こんなわけで、ヤマネコごうは、風がきしだいいつでも出帆しゆつぱんできるようにして、[/まるで]心ならずも[/であるかのように]カウズに一時とまることになった。 And so, temporarily, and as if unwillingly, the Wild Cat brought up at Cowes, ready to sail on when the wind would take her. #22417 LMSさん
153 模型もけいのボートのいくつかは、ロジャが気づいたのだが、竜骨りゆうこつに、[それ相応そうおうにちょっぴり/かなりまともな量の]なまり使つかってあった。 120 There were model boats, some of them, as Roger noticed, with quite a decent lot of lead on their keels. decent:かなりの、相当な。[2] #22417 LMSさん
154 思ってたんだが。」[(改行)/]そうして、フリント船長せんちよう 121 out with everything.’ And he strode down the middle of the road, #22417 LMSさん
155 「アイスクリームはとてもおいしかったよ。」と、ロジャがいった。「あすこの[おさら/グラス]あつさったら、ほかのみせの半分もないのさ。」 ‘The ices were quite all right,’ said Roger. ‘And the glasses weren’t half as thick as they are in some shops.’ 「お皿」でなくて「グラス」または「コップ」 #12601 ミルクの森さん
156 おじさんがこの前マレーに出かけた時とそっくりだから。[ジャバ/ジャワ]だったかしら? 122 He’s just like he was the last time he went off to the Malays. Or was it Java? #22430 LMSさん
163 ドアの中へ入れた。[(改行)/]ジョンとナンシイとペギイはキャプスタンにぼうをさしこみ、 127 inside the door. John, Nancy, and Peggy fitted capstan bars, #22430 LMSさん
173 ほんの一瞬いつしゆんだったが、かれらはみな、[十二/十]メートルとは、はなれていないところに、かすかなあかりを見た。 134 For one moment they all saw the glimmer of a light, not more than a dozen yards away. #22430 LMSさん
177 かじがほとんどきかなくなってしまった時、ヤマネコごう海峡かいきようからしおれ出るしおながれにせられて、[コーンウォールみさき/ランズエンド]通過つうかした。 137 They had hardly steerage way through the water when the tide running out of the Channel, carried them past the Land’s End.  Land’s Endを「コーンウォール岬」と訳していますが、「コーンウォール岬(Cape of Cornwall)」と「ランズエンド(岬)」とは別のものです。(コーンウォール岬はランズエンド岬の約7キロ北方にあります。)次章(179頁)では「ランズエンド」と訳されているので、これは「ランズエンド」に統一すべきです。 #22430 LMSさん
179 午前ごぜん八時五十七分におけるふね現在位置げんざいいち正確せいかくにわかっていた。イングランドさい[なん/西せい]たんのランズエンドのサウ・サウ・ウェスト、ロングシップスのサウス・バイ・ウェスト、ウルフロックのノース・バイ・[ウェスト/イースト]だった。 139 At 8.57 a.m. they knew exactly where they were, south-south-west of the Land’s End, south by west from the Longships, north by east from the Wolf Rock.  「ランズエンド」の説明のために原文にない「イングランド最南端」を付け加えたのは親切なのですが、やや正確さを欠いています。「イングランド最南端」は177ページにでてくる「リザード岬」です。ランズエンドはイングランド(本土)「最西端」です。 #22430 LMSさん
きりがマムシごうを消してしまう前に、マムシごうがヤマネコごうのサウス・バイ・イーストやく一キロ[メートル/半]あたりのところを西にむかっているのが見えたのだ。 Before the fog blotted her out they had seen her, heading west and about a mile south by east from the Wild Cat. 【参考】およそではあっても距離自体について述べられています。こういう場合、サガでは「1マイル=1キロ半」と訳されています。(『ツバメ号とアマゾン号』16頁、『ツバメの谷』239頁など) #22430 LMSさん
180 とにかく、牛のえるようなあの霧笛むてきをわしらが持ってないと思わせるんだ。定期航路船ていきこうろせん[わかい/]高級船員こうきゆうせんいん[/(四等航海士)]のきもをやさせ[るあのふえをな。そうし/]て、時間どおりにサウザンプトンで停泊ていはくすることなんか[あいつに/]考えさせねえようにする[んだ/あの笛をな]。」 140 Anyway, don’t let him think we’ve one of them bull-roarers that’d scare the life out of a liner’s fourth officer and give him something else to think about than berthing in Southampton on time.  原文では一つの文になっています。ということは、二つ目のhim(give himの方)はブラック・ジェイクではなく、直前のfourth officer「高級船員」を指すと考えるのが妥当です。サウザンプトンは大西洋航路などの定期航路線が発着する港ですから、後半の「時間どおりにサウザンプトンに停泊する」というのとぴったりつながります。つまり、定期航路線の船時間どおりの運航を目指すあまり、霧の中でもお構いなしに突進してくる。そういう定期航路船の4等航海士のきもを冷やさせて、多少遅れても安全運航をしようと思わせるような霧笛……ということを言っていると思います。
 「若い」とはどこにも書いてありません。fourth officerならば、「4等航海士」ということになりますね。
#16735 LMSさん
185 よくきいて。」[/(改行)]
 とおく南のほうのどこかで
143 Not that. Listen.’
 Somewhere away to the south
#22430 LMSさん
186 「こんどは右舷うげんびらきで、そのまま西へすす[むんだ/んでる]。」と、ピーター・ダックがいって、ナンシイを笑顔えがおでふりかえった。「それとも[まずい/ちがう]かな。 ‘Starboard tack now, and still going west,’ said Peter Duck, and looked round at Nancy with a smile. ‘Or not.  ピーター・ダックの最初の言葉は、ヤマネコ号の針路のことを言っているのではなく、その直前に聞いた霧笛からマムシ号(と思われる船)の針路を述べています。次のOr not.はひょっとしたら上の判断が間違っているかもしれない、ブラック・ジェイクも実際の船の動きとは異なった霧笛の鳴らし方をしているかもしれない、ということを表しています。これはこの後の「わしらがあいつにしかけてやろうとしてるペテンぐらい…」の言葉でもわかります。 #22430 LMSさん
ジョン船長せんちよう。あんた[が見張みはりになってくれ/はわしの組だ] 144 Cap’n John. You’re in my watch. 【参考】この文は文字通りには、ジョンがピーター・ダックと同じ当直の組だと言っています。だからピーター・ダックはジョンに見張りを頼んだのです。 #22430 LMSさん
188 ピーター・ダックはかじをとっているというより、それが[三十/一]センチの百万分まんぶんの一もうごかないように、かじをじっとおさえているといったほうがよかった。 146 He was not so much steering as holding the steering-wheel so that it should not move the millionth of an inch.  実際には「1インチ=2.54センチ」ですので「三センチ」ならわかるのですが。しかしそれよりもここでは「一番短い長さを表す単位(インチ)のそのまた百万分の一」ということで、「微動だにしない」ことを述べているのです。 #22430 LMSさん
189 赤とみどり点々てんてんのあるハンカチ a red and green speckled handkerchief. #22430 LMSさん
赤とみどり[ぼちぼち/点々]のあるハンカチ his speckled handkerchief  前項に統一する。 #22430 LMSさん
194 「ヘーえ」と、ビルがいった。「こりゃきりの中で[/のしかかってくるのを]きいた時よりずっと[大き/気持ちい]いな。あんとき、おれ、もうだめだと思ったよ。」 150 ‘Oo,’ said Bill. ‘Sounds better like this than it does when you hears it coming down on you out o’ the fog. I thought I was a goner just now.  ビルの言葉を直訳すると;「霧の中で襲いかかってくる(come down on)のを聞いた時より、こんな風だと(甲板上で聞くと)ずっとbetterに聞こえるな。」となります。
 つまり、たった一人で小さいボートにのっている時にのしかかってくるような霧笛の音を聞いた時と、安全なヤマネコ号の甲板上で聞くのとでは、同じ霧笛の音でも後者の方がずっと気持ちよく聞こえる、というビルの印象を素直に表した文だと思います。
#22477 LMSさん
208 オールなしでおれ、なにができる? 海岸かいがんまでおよいでいくのかい? おれ、あの霧笛むてきをならすよりほかに、なんにもできねえじゃねえか?」
「そうか、それ[にはなにかわけがあるぞ/ももっともだな]。」と、フリント船長せんちようがいった。
159 ‘Well, there’s something in that,’ said Captain Flint. このsomethingは辞書によると「何か価値ある・考慮(注目)すべき・興味の対象となるものを指す」とあります。
There is something in what he says.(彼の言うことには一理ある)
という例文があがっています。
#16741 LMSさん
[ローストフト/ローウィストフト] Lowestoft 『ツバメの谷』68頁では「ローウィストフト」なのでどちらかに統一する方がいいでしょう。 #18341 駆逐艦
214  「ほんとにあなたをつきおとしたの、あの日?」と、ティティがいった。「わたし、そうだと思ってたわ。」
 「もちろんそうさ。」と、ビルがいった。「おれ、まれつき[もぐりはうまく/のもぐり鳥じゃ]ねえんだよ。
162 ‘He did push you overboard that day?’ said Titty. ‘I was sure he did.’
 ‘Course he did,’ said Bill. ‘I ain’t no natural diver.
 ビルは、自分はもぐり鳥じゃないからすすんで水にもぐったりしない、だからブラック・ジェイクに突き落とされたに決まってるじゃないか、といいたいのです。 #22477 LMSさん
221 [ところで/そうだな]、」と、フリント船長せんちようがいった。「わしよりきみのほうがビスケーわんのことはよく知ってる。それ[で/に]ひとつ[相談そうだんがあるんだが、/いいことがあるな。]昨夜さくやのさわぎでつかれたろうから、みんなちょっとひとねむりしてもいいだろう。」 168 Well,’ said Captain Flint, ‘you know the Bay better than I do. And there’s one thing about it. We could all do with a bit of sleep after last night. この Well が問題です。ここでは辞書にある「(しばしば不本意な)同意・承諾」と取るべきです。つまり、最初は停まらずに先へ進みたかったフリント船長せんちようが、ビスケー湾のことをよく知っているピーター・ダックに道理を説かれ、(ややしぶしぶかもしれませんが)停船に同意しているわけです。208頁のWellも同じです。
そして後半部の thing もポイントになります。これは「適切(正しい)事(物)」という意味でしょう。つまり「相談がある」ではなく、「ひとついいことがある」という方がいいと思います。
#16875 LMSさん
224 [うん/でも]、これ[は/も]なかなかいいわよ。」と、ナンシイがいった。 169 Well, it isn’t half bad,’ said Nancy.  このようなwellは「(しばしば不本意な)同意・承諾」を表します。221頁も参照。
 つまりナンシイは、その直前に揺れる船内でペギイがテーブルにつかまりながら海が荒れてる時に一時停船することの大変さにふれたことに対して、それはしぶしぶ認めた上で、「これ[停船すること]もなかなかいいじゃない」と反論しているのです。
#22477 LMSさん
232 いつになったら荒天こうてんがおさまって、ヤマネコごう[のげたを直角ちよつかくにはっ/がまた追い風を受け]て、またフィニステルみさきにむかって帆走はんそうできるのだろうと思っていた。 175 and wondering how soo things would have calmed down enough to let the Wind Cat square away once more for Finisterre. square away:【海】 追い風を受ける。[2] #22477 LMSさん
244 この航海こうかい[はじまってまもなく/終わるずっと前に]、ふたりのよせざんざんざんには、まちがいなど全然ぜんぜんなくなっていた。 184 but long before the end of that voyage nobody could have found fault with their additions and subtractions and divisions. #22477 LMSさん
255 これは、おそらく、ふねの上で[船員せんいんが/]ける[教育課程きよいくかていにほぼ/いちばん授業に]ちかいものだ[/った]ろう。フリント船長せんちようは、よくむかし有名ゆうめいな金鉱きんこうラッシュのことをいろいろとみんなに話したが、それはとても歴史れきしとよべるようなものではなかった。 192 This was perhaps the nearest thing to lessons anybody had while aboard ship. ここでのlessonsは普通の意味の「授業」です。つまり、船に乗っている間は、当然の事ながら子どもたち(に限りませんが)は授業を受けられません。その中で曲がりなりにも授業に近かったのが、フリント船長せんちようが教えた六分儀による船の位置の測定だった、ということです。(数学の授業にいちばん近い。)そうすれば後の部分ともぴったりつながります。 #16749 LMSさん
257 かがやいて見えた。[/(改行)]
 「もう一時間もすりゃ
194 who were looking at her with the naked eye.
 ‘Hull down she’ll be in an hour,’
#22497 LMSさん
270 見えなかったのだ。[(改行)/]そして、しま西岸せいがん 203 behind the shoulder of the other. And all along the western shore of the island #22497 LMSさん
274 ジョンとナンシイは、前部甲板ぜんぶかんぱんで、[二十/十二]ひろほどのくさりをいつでもくり出せるように準備じゆんびした。 206 John and Nancy were on the foredeck ranging a dozen fathom of chain clear. #22497 LMSさん
276 ビルが復唱ふくしようした。[/(改行)]
 ふたたび前方ぜんぽう
207-208 standing beside Captain Flint.
 Again a splash forward.
#22497 LMSさん
286 みんな、[八、九/七、八]十メートルさきで水を切ってうご三角形さんかくけいのひれを見た。 215 They all saw that three-cornered fin cutting through the water seventy or eighty yards away. ちなみに、20ヤード→20メートル(43頁)、100ヤード→100メートル(203頁)、3ヤード→3メートル(233頁)、数ヤード→数メートル(303頁)、300ヤード→300メートル(369頁)などとなっています。 #22518 LMSさん
291 うつくしいながめだった。[/(改行)]
 しかし、その朝
218 was a lovely sight.
 But Captain Flint and Roger
#22497 LMSさん
296 「いいかね、ナンシイ船長せんちよう。」と、ピーター・ダックが、[むきになって/真剣に]いった。「あのタンクをつりあげて甲板かんぱんにおろしてる時、テークルのりようはしをしっかりとしばりつけておくのをわすれるんじゃないよ。…」 221 ‘Now see here, Cap’n Nancy,’ said Peter Duck earnestly. earnestlyは、「まじめに、真剣に、本気に」という意味で、「むきになって」とは違います。 「むきになる」には確かに「まじめ・本気」というニュアンスはありますが、「感情的」「怒っている」という色彩が強くなってしまうと思います。 #16788 LMSさん
319 ところでだ、ものをはこぶ道がない。飲料水いんりようすいは、[べつとしても/いうまでもないが]、みんなの食糧しよくりよう寝具しんぐだって、背負せおってはこんでくることはできない。 240 Well, there’s no road for carrying things. We can’t bring all the food and bedding on our backs, let alone the drinking water. let alone: …はもちろんのこと、…は言うまでもなく。[2] #22518 LMSさん
319-320 「…ねえ、ダックさん、ツバメごうをここへ回してくるのはどう思う? あのふねをあんまり危険きけんにさらさないで、それができるだろうか?」
「ホーンみさきのあらしの中でヤード[をおろす/から落っこちる]くらいのことでしょうな。」と、ピーター・ダックがいった。「…べつにどうってこともありますまい。」
240 ‘Easy as falling off a yard in a Cape Horn buster,’ said Peter Duck, #16849 LMSさん
327 ナンシイが停泊灯ていはくとうをつけました。ぼくは[たいくつだから/おつきあいで]、たき火をしてたんです。 245 Nancy lit the riding light,.... I made the fire just for company.’ for company:(お)つき合いに。[2] #22518 LMSさん
334 道にまようことがないようにするためだ。[(改行)/]ジョンとナンシイは 250 even if the guides did get muddled. John and Nancy shifted the water-breaker out of the galley, #22518 LMSさん
338 なんだ[、あれは/]? だまってな。[よしよし。わかったぞ/いくよ、いくよ。] 253 What’s that? Less lip, my lad. Coming. Coming What’s that? というのは、相手の言葉がよく聞き取れなかった時に聞き返す言葉です。I beg your pardon? とか、Excuse me? というのが普通ですが、そのくだけた言い方がWhat’s that?です。それから最後のComingは、「いくよ」にあたります。 #16851 LMSさん
340 ぼく[/は]今こうして、ツバメごうのかじをにぎって、 #16810 LMSさん
342 風上かざかみ積荷つみにの上にからだをまげてせていたフリント船長せんちようは、[すう十センチ/十センチほど]からだを前方ぜんぽうにずらせて、 256 pulled himself forward a few inches, #22518 LMSさん
344 ジョン[はたっぷり思い知らされ/には考えることがたくさんあっ]た。 He had plenty to think about. #22518 LMSさん
361 ナンシイは[思わず出たことば/あぶなく逃れられたこと]にひとりにやにやした。 271 She chuckled at her escape  この直前、ナンシイはカニのことを考えていて、
自分の寝袋のふちがどうかしたはずみにあごにこちょこちょさわった時、もうすこしで、けたたましいさけび声をあげて、ほかの者を全部おこしてしまうところだった
のです。もしもそんなことになっていたらアマゾン海賊の面目丸つぶれです。というわけで、escapeはそういう状況が回避されたことを指しています。
#22530 LMSさん
364 さあ、どいて。[はじめ/それっ]! 273 Now then. Stand clear. Here goes! この場合はフリント船長せんちようが自らツルハシで第一撃を加えていますので、「それっ!」「そらいくぞ!」の方が適切だと思います。 #17181 LMSさん
382 わしがもっと前に双眼鏡そうがんきようながめていさえしたらなあ。」 287 I wish to goodness I’d had the sense to look at the glass before.’ もっと前に双眼鏡を眺めていたら悪天候がくるのがわかったのでしょうか? the glass:晴雨計[2]とあります。また、双眼鏡は通例複数形です。 #22530 LMSさん
387 ロジャがとつぜんきいた。[/(改行)]
 みんながまわりを見まわした。
290-291 asked Roger suddenly.
 They looked about them.
#22530 LMSさん
391-392 ころにした木はフリント船長せんちようがツバメごうをまた[きあげ/水に浮かべ]る時のためにと、わざわざとっておいたのだった。 294 Captain flint had put them aside on purpose, ready for the Swallow’s next launching. #22530 LMSさん
396 [二、三/三、四]かい帆布ほぬのける大きな音がした。 298 There were three or four loud cracks and the noise of ripping canvas. #22530 LMSさん
398 「ぼくチョコレートの入ってるはこみつけた。」と、ロジャがいった。
[あなたにまかせるわよ/そりゃ、そうでしょうよ]。」と、ナンシイがわらった。
299 ‘I’ve found the box with the chocolate in it,’ said Roger.
Trust you,’ laughed Nancy.
突風がダック港のキャンプを襲った後、ロジャがチョコレートの箱を見つけるわけですが、これはいかにも出来過ぎた話です。でも逆にロジャだからさもありなんという気もします。ナンシイはその心理をとらえて、「(出来過ぎだけど)あなたのことだからいかにもありそうなことね。あなたの言うことを信用するわ。」といっているのだと思います。 #17181 LMSさん
399 そのうえカニはくらくなると同時どうじに、すぐにもどって[く/きてい]るかもしれなかった。 300 Besides, the crabs might easily have come back with the dark. #22530 LMSさん
408 フリント船長せんちようがヤマネコごう[救助きゆうじよする/避難させるのを手つだう]のにおくれまいとして、しま横切よこぎるために森の中にかけこむのを見た 307 and had seen Captain Flint race off into the forest to get across the island in time to help with the Wild Cat. help with:手伝う[2] #22536 LMSさん
415 [おじさん/フリント船長せんちよう]かえってくるまでは、わたしたち、ちょうど、ダックさんがここで難破なんぱした時のような状態じようたいってわけね。」と、ティティがいった。 312 Until he come back it’ll be just like it was for Peter Duck when he was wrecked here,’ said Titty.  きちょうめんなティティは絶対フリント船長のことを「おじさん」とは呼ばないと思います。 #22536 LMSさん
419 ナンシイとぼくがはこり出してるあいだ、その[さがすほうにかかっ/持ってい]てくれ。 315 Hang on to the rings while Nancy and I get on with clearing the box. hang on to:すがりつく、くっついて離れない[2] #22536 LMSさん
「ほかの[もさがすんだ/は(なくさないように)気をつけておいてくれ]よ。」 316 ‘Do look after the others,’ look after:…の世話をする、…に気をつける[2]なので、前項と同じことを示しています。 #22536 LMSさん
423 うたが余地よちがなかった。[(改行)/]発掘作業はつくつさぎようわった。 318 his bedroom tree sixty years ago. Digging was over. #22536 LMSさん
428 たる[なんかどうにでもなるわ/には気をつけてね][だって水がはいってないもの。だ/からっぽなのはわかってる]けど、ごろごろうごかないように固定こていしておきましょうよ。」 322 Easy with that barrel. I know it’s empty, but fix it so that it can’t bump about.’ easy with:…に対して寛大で[2] #22536 LMSさん
429 「ジバーはふねそこに入れときなさいよ。」と、スーザンがいった。「[みんなマストの前ばかりにあつまってしまわないで。また水にぬれるようなことになるわ/またマストの前に入りこんでぬれないようにしなさい]よ。」 322 ‘Don’t go and get wet again, cramming in before the mast.’  「みんな」といってますが、ツバメ号のマストの前にはそれほど空間はないはずです。スーザンの台詞の最初を見てもわかるように、これはロジャひとりに言っているのだと考えた方が自然です。 #22536 LMSさん
435  「だれか海岸かいがんにいるんだわ。」と、ティティがいった。「ごらんなさい。『ビルの上陸地じようりくち』のところに、ボートが二隻せきあるわ。」
 「マムシごう[の乗組員のりくみいんは何人/には何艘ボートがあったの]かしら。」と、ナンシイがいった。「きりの中でビル[をたすけ/が乗ってい]たから、[ひとり/一艘]へってるけど。」
326  ‘Someone’s ashore,’ said Titty. ‘Look. There are two dinghies by Bill’s landing.’
 ‘I wonder how many the Viper had,’ said Nancy. ‘She lost one that day with Bill in the fog.’
 how manyの目的語、およびoneの指すのはその直前のティティの台詞にある「ボート」を指していると取るのが自然です。 #22536 LMSさん
439 「子どもたちを、おいてくるんじゃなかった。」と、船長せんちようがいった。しかし、ピーター・ダックは、そんなことは[一言ひとこともいわ/まるでとりあわ]なかった。 330 ‘I ought not to have left them,’ he said. But Peter Duck would have none of that. have none of:〈問題・提案など〉を受けつけない、認めない。 #22551 LMSさん
444 あの日に、ボートからこのふね[たのは、なんのためなんだ/てやがったんだな] 334 That’s where you went out of the dinghy that day.  この時点まで、ブラック・ジェイクはビルがヤマネコ号に拾われたことは知らないはずです。ですからこれは「ボートからこの船に乗っていたとはな」という気持ちの台詞だと思います。 #22551 LMSさん
ビルのあたまはくいのように、[こされては、ごつん、こされてはごつんと、甲板かんぱんにぶつけられた/がんがんしていた。がん、がん、がん、がん、がーん。がん、がん、がん、がん、がーん] Bill’s head was pounding like a pile-driver. Up, up, up, up. Bang! Up, up, up, up. Bang!  う~む。これってちょっと残酷過ぎないでしょうか。このpoundingは「頭ががんがんする」ということだと思うのですが。つまりその直前、ブラック・ジェイクに殴られて頭が「甲板室のはめ板にめりこんだ」せいで、頭ががんがんしているのだと思います。 #22551 LMSさん
461 [料理場りようりば/調理室]のドアのところで、もう一本もみつけたぜ。 345 I found that other one, right again’ the galley door. galley:調理室[2] #22551 LMSさん
469 わずか数時間前すうじかんまえに、ツバメごう船倉せんそうたからんだスペインのガリオンとなって[/誇らしげに]出港しゆつこうした小さなみなとに、 351 from which she had sailed so proudly only a few hours before, a Spanish galleon with treasure in her hold. #22551 LMSさん
470 れたテントのはりと、つぶれた[かんづめ/食糧入れの]のかんが一つと、 352 The broken ridge-pole of the tent, a crushed store-tin,  storeは「食糧の蓄え」のことですから、かんづめのかんではないと思います。食糧入れのかんは『ツバメ号とアマゾン号』でもすでにおなじみです。 #22551 LMSさん
483-484 オールがきしみ、水をつ音がしていた。
 [/*]
 そうだ。もうまちがいない。
361 the Wild Cat and the shore.

*

Yes. There was no doubt about it.
#22552 LMSさん
500 「たつまきをごらんなさいよ、[ロジャ/ロージー] 372 'Look at the waterspout, Rogie,  『ツバメ号の伝書バト』194頁も参照。 #22552 LMSさん
502 目をはなさなかった。[/(改行)]
 きょうはまだ一
374 and still his eyes were on the waterspout.
 They saw the white spray leap
#22552 LMSさん
509 ビルは苦痛くつうの中にも幸福こうふくそうにほほえんだ。
[しずかに/だまってな]。」と、つぶやき、からだをうごかそうとして、まっさおになった。
379 Bill smiled happily through his pain.
Less lip,’ he murmured, and then, trying to move, turned very white.
これは、ピーター・ダックの口癖です。(338頁参照)ここでビルは、ピーター・ダックの口癖を真似ているわけです。ここはビルのジョークを尊重して訳したいところです。 #17181 LMSさん
520 フリント船長せんちよう甲板室まかんぱんしつの戸口にいって、[かじをにぎっているピーター・ダック/舵手]に話しかけた。[ピーター・ダックはかじをとっていることを、みんなにくわわらない、いい/もっともな]口実こうじつ[にしていた/があったのだ] 387 Captain Flint went to the door of the deckhouse, and spoke to the man at the wheel. He had a good excuse.  この「excuse=口実」とは「舵手に話しかける口実」です。「舵手に話しかけてはいけない」というのはサガには何度も出てきますね。 #22552 LMSさん
520-521 「わしらは、どこのふねにもいそうもありません。」おちついた事務的じむてきなピーター・ダックの声が、そとからきこえた。「だが、[もう/万事きちんとふねらしくして、]舷灯げんとうをつけて[ふねの形を見せて/]もさしつかえはないでしょう。わしの当直とおちよく相棒あいぼうに、舷灯げんとうをつけるようにいってくれませんか。」
「[わしの仕事しごとだ/これは一本取られたな]。」と、甲板室かんぱんしつの中にはいりながらフリント船長せんちようがいった。
387 ‘We’re not likely to meet any shipping,’ came the voice of Mr Duck from outside, quiet and businesslike, ’‘but there’d be no harm in having all shipshape and rigging our sidelights, if you’d tell one of my watch to get them lit.’
‘That’s one for me,’ said Captain Flint, coming back into the deckhouse.
shipshapeは船上では整理が行き届いていることから、整頓、整然を意味します。
また、oneは「一撃」という意味ではないでしょうか。(辞書にもその意味があります)直訳すると「それはわたしへの一撃だ」ということで、つまり、ピーター・ダックにたしなめられたフリント船長せんちようが自分の非を認めているわけです。日本語の「一本取られる」にあたると思われます。
#16861 LMSさん
523 「いろんなことがこったけど、とりかえしがつかないようなことはなんにもなかったわ。」と、スーザンがいった。「ビルのうでだって、もとどおりになるし。もちろんのこと[もあるわ/があるけれど]。れたはみそっ? それともえかわった?」 388 ‘And nothing’s really gone wrong that can’t be mended,’ said Susan.
‘Not even Bill’s arm. Of course, there’s his teeth. Were they second ones or first ones, Bill?’
スーザンは「とりかえしがつかないようなことはなんにもなかった」例としてビルの腕をあげています。ところがそこでビルの歯のことを思い出します。折れた腕は元通りになりますが、折れた歯が永久歯であればもう生えてきません。スーザンがいっている「もちろん歯のこともあるわ」というのは、「歯のことがあるけれど」(歯は取り返しがつかないかもしれない)と、解すべきです。 #16924 LMSさん
526 たえずく風が、長い一様いちようなみのうねをつくった。[/もう語るべきことはあまりない。] 390 and ploughed it with the long, even furrows of a steady wind. There is little more to tell. #22552 LMSさん
528 ヤマネコごうは、[直角ちよつかくに/追い]風をけて故国ここくへむかった。 392 and the Wild Cat squared away for home.  232頁参照。 #22552 LMSさん
529 ウォルター・[ローシェ/ローリー]きよう 393 Sir Walter Raleigh 『長い冬休み』の29頁では「ウォルター・ローリー卿」なので統一する方がいいでしょう。 #16782 DIXONさん
531 そして、八点鐘てんしようり、ティティとロジャとふたりの航海士こうかいしがいそいで甲板かんぱんに出てきた時、ヤマネコごうは、ちょうどいい陸風りくかぜをうけ、オーワズの灯船とうせんがはっきり見えるところを[/ビーチイヘッドに向かって]快走かいそうしていた。 394 and at eight bells, when Titty, and Roger, and the two mates came hurrying on deck, the Wild Cat was bowling alond on her course for Beachy Head, with a fine breeze off the land, and the Owers Lightship plain to see. #22552 LMSさん
533 はしがひらいたためにとめられた歩行者ほこうしやたちが、はしの下を通過つうかする小さなスクーナーを見おろした。かれらは、いそがしく立ちはたらく日やけした乗組員のりくみいんだの、かごの中のオウムだの、おちつかないサルだのを上からながめた。
(中略)
[子どもたち/かれら]は、かじをにぎっている日にやけた老水夫ろうすいふにじっと目をそそいだ。
396 Foot passengers, held up by the opened bridge, looked down on the little schooner as she passed through. They looked down at her busy, sunburnt crew, at the parrot in his cage, at the restless monkey,...
(中略)
They stared down at the old brown sailor at the wheel,...
「子どもたち」とは誰でしょう? ヤマネコ号の乗組員は忙しく働いていますから、ピーター・ダックに目を注いでいる暇はないはずです。歩行者たちが乗組員や、オウムや、サルや、ピーター・ダックを見ているとおもわれます。 #16924 LMSさん

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