メルセデスベンツ 190E 2.3 

(04.5.14記)(04.8.26補記)
 さて世界最小V6エンジンに酔いしれていた筆者ですが、1年近く乗るとムクムクと新たにばか車を探したくなってしまいます。と言っても先立つものが無いと車は買えないわけで、取りあえずミラージュ6をオークションに購入価格で出品しました(と言っても購入時に板金、車検も取っていますから別にお金は掛かっています)。するとなんとまぁあっさりと売れてしまい、そこから大急ぎで次期ばか車探しが始まったわけです。

 今回の希望は別記したように「エロいクーペ」でした。大柄なゆったりと乗れるクーペに乗りたかったわけです。いつものようにカーセンサー、ヤフオクをたらたらと眺めます。するとボルボ780ベルトーネクーペが目に入りました。出品場所も近くで、これは見に行くしかないと早速出かけます。その小さな(失礼)中古車屋さんはボルボとベンツを中心に売っていて、その中でボルボ780は独特の存在感を見せエロいオーラをぷんぷんと発しています。ただ当初不安に思っていた通り、いかんせんイタリア品質でちょっとガタが来ていましたし、試乗させて貰った感じはそんなに悪くは無かったのですが、何となく「やめておけセンサー」が働き、ちょっと「無い」かなぁって雰囲気になってしまいました。

 ボルボの試乗が終わってひょいと横を見ると、結構奇麗な小ベンツが目に入りました。「あぁそう言えばこの時代の過剰品質のベンツにも乗っておかなきゃなぁ」そんな思いが頭をよぎり、ついでにこちらも試乗させて貰うことになりました。乗ってみると、巷で言われている通りハンドル、アクセルどちらも重くて結構あせりました。逆に乗り心地は巷で言われている程固くは無く、確かに低速でゴツゴツするモノの、速度を上げていくとふんわりとした良い乗り心地に感じました。はい、一目惚れです。なるほど確かにベンツ良い出来だと。もう「エロいクーペ」の話なんてどこかに言ってしまいました。また口だけ番長です(笑)。取りあえずその店は後にし、急遽ベンツ190で検索掛けまくりました。近場の店で車検の残っているモノを・・・試乗しまくりました。すると個体差は確かに有るモノのやはりベンツ良いんですね。もう購入は決定的です。全然世間的にもばか車では有りませんが、そう言う訳でミラージュ6の後継車はベンツ190Eとなりました。

 そんな訳でうちに来たベンツ190Eは最初に見つけた個体で、モデルとしては最終型の一歩手前です。インパネ周りに木目パネルが貼られる前の地味なモデルです。排気量は2.3Lありますから「遅い」と評判の190Eですが特に不満に思いません。肝心の乗り心地は、正直こんなに良いとは思いませんでした。ある程度のスピードになると、実に気持ちの良い揺れの周期でどんぶらこな乗り心地になります。世の中では全く対極の車と思われているシトロエンとベンツですが、こと乗り心地に関して言えば、意外なほど近いと言えるのではないでしょうか?(低速ではコツコツ、60キロ以上ではふんわり)車雑誌のシトロエン評が固定観念で書かれているのに常々不満に思っていましたが、ベンツも同じくある種の固定観念で書かれていたように思います。こんなにベンツが乗っていて気持ちの良い車だったとは、目から鱗がぼろぼろ落ちました。

 既に10年を軽く越えたうちの車ですが、そこはさすが過剰品質時代のベンツです。不快なビビリ音は殆どしませんし、ドアも金属と金属の金具がガシャリと噛み合う、実に良い感じで閉まります。また当初重いと感じていたハンドルとアクセルも、慣れればこれまた快適かつ確実な運転が出来、ベンツのキチンとした哲学を感じさせます。これなら確かに一度ベンツに乗った人が、ベンツから離れられなくなると言うのも肯けます。正直、雑誌の刷り込みでベンツは「固い」「面白味に欠ける」等の余り良く無い印象を持っていました。ですが別にイスも平板ですが固くも有りませんし、乗り心地だって上記したようにどちらかと言うとふんわりです。何より乗っていて独特の波長に顔がほころぶほど楽しい車です。何と言うか車好きなら解って貰えると思いますが、運転しているだけで嬉しいと言うあの感じです。それがこのちょっと古いベンツには有るわけです。いやはやあの時、あの中古車屋にベンツが有って本当に良かったです。

 さて、そんな感じで蜜月が続くと思われたベンツとの生活ですが、結局車検を機に乗り換える事としました。と言うのもベンツに良くあるトラブル「エンスト」病が発病してしまったからです。安い値段で手に入れたベンツですから、有る程度の修理代は考えていました。なのでエンスト症状が出た際にも直して次の車検も取るつもりでした。ですがこれまたトラブル車にありがちな「工場に入庫すると症状が出ない」を繰り返し、取りあえず2度ほど修理して貰ったのですが、どちらも再発してしまい、最終的には交差点ごとにエンストするような状況になってしまいました。ベンツは大変気に入っていたのですが、まだまだ車人生「あがり」にする気は無いので、これ以上金が掛かってはたまらないので、泣く泣く売却する事としたわけです。

 残念ながらベンツとの生活は半年ちょっとで終わってしまいました。ですが過剰品質時代のベンツは、やはり乗っておかなきゃいけない車でした。それを体験できたのは実に幸せなことだったと思います。

使用期間中の平均燃費(市街地9:高速1)7.75km/l


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