(15.2.14記)
関東マツダの1日試乗キャンペーンで、アテンザディーゼルの最上級グレードを借り出しました。
タイミングが良かったのか悪かったのか、マイナーチェンジ後の走行距離1000キロにも達してない新車での試乗ですので、各部のあたりなどがまだついてなく、車本来の性能が発揮できているかはわかりません。
ではドアを開けて座ってみた内装質感からです。 国産車では珍しく、アテンザはマイチェンで内装に大きく手を入れてきました。前期モデルでもそれなりの質感で、マツダにしては安っぽく見えないモノでしたが、上り調子のメーカーに良くある「後から出たモノが最高」状態で、アテンザ以降に出たアクセラ/デミオの方が質感が高くなる、逆転現象が起きてましたのでこの判断は英断だと思います。
使っている素材は、正直他社と比べればそれほど良くなかったりしますが(ソフトパッドの弾力感など)、デザインや配色、組み合わせ方でそれを補っていて、マイチェン前と比べてかなり質感が上がっているように感じます。特にメッキパネルがキチンとメッキなのが嬉しいところです。ここを銀色スプレー吹きっぱなしで「アルミ調」なんて言うメーカーが非常に多い中、アテンザのメッキパーツはどれもキラリと光り輝いています。また他社が流行を追いかけて、エアコンやオーディオのスイッチをタッチパネル式にする中、これだけお金を掛けたマイチェンでもそれを後追いすることなく、ダイヤルと通常のスイッチ式のままにしたのは、ブラインドタッチの必要性がある車のスイッチ系としては大正解です。
では運転してみましょう。まずは大事な乗り心地。 上記したように車自体がまだおろしたてでしたので、全体に硬さ渋さが残っている印象でした。それでもしっかりとしたボディをよく動く足が支えていると言う欧州車っぽい乗り味は、価格なりサイズなりの満足感を生み出し、高級車としての説得力があると思います。日本車でもここまで乗り心地の良い車が出来るようになったんだなぁと感慨深いです。ただ大型セダンとしては、ハンドルに伝わってくるフィーリングは大変繊細で、タイヤと路面のざらざらした感じまで伝わってくるのを好まない人もいるかもしれません。スポーティーなマツダの本領発揮とも言えるのですが。
肝心要の動力性能は、期待していたディーゼルのトルクだけで力強いと言うよりは、ターボが効き始めて力強い印象です。どちらにしても2000回転ぐらいから圧倒的ですからついついアクセルを踏んでそのゾーンに入れたくなってしまいます。おとなしく走れば、そこまで使わなくても粛々と車は走りますので、ディーゼルならではの低燃費走行も可能です。アイドリングストップは、ブレーキをガツンと踏んで止まる運転のあまり上手くない人用のセッティング。停止寸前にブレーキ抜いてスムーズに止まる人の場合は、停止後再度ブレーキを強く踏む必要があります(インパネ上に点滅して知らせてくれます)。
取り回しは、筆者が通常全幅1860ミリのC5を運転しているので、1840ミリのアテンザをもてあますということは有りませんでした。天井が低くリアウィンドーの天地幅があまり無いので、後方視界が悪いと言えば悪いのかもしれませんが、こちらもバブル期の薄べったいセダンを経験している身ですので、さほど意識しませんでした。確かに元がカペラだと考え、日本国内で使うには、かなり大きい車だと思います。でもこのサイズがあるからこそ、実用十分な室内空間を確保して、これだけのデザインがまとめ上げられてるのだと思います。また、モデルチェンジで車名が変わっていないので、サイズに対する抵抗が生まれるのだと思いますが、むしろ経営難でフラッグシップを作れなくなっていたマツダが、また高級セダンを作れるようになったことを讃えたいです。
同様に価格帯も大きく上がってしまっています。これも上記理由と同じく、フラッグシップだと思えば納得できるのではないでしょうか?何より、車が価格なりの、いや価格以上の出来映えなのですから、さほど無茶な価格設定とも思えません。日本車はデフレ不況で長く、安くてそれなりの品質でした。でも安いだけでは、アジアの他のメーカーに適わなくなりつつあります。だったら同じ土俵で戦わず、良いモノにはお金を払う。そう言う気概で国産メーカーを支えても良いのではないでしょうか?