三菱 トッポBJ   

(00.3.2記)
 デボネアの12ヶ月点検の間の代車として、三菱が貸してくれたのは新規格軽のトッポBJでした。最初代車表を見ていた時には「この店には軽しか代車無いのかぁ?しかもトッポってあの丸目の恥ずかしい奴だよなぁ、まさか新しい軽なんか代車になってないよなぁ」と勝手に考えていたのですが、意外や意外、走行距離2800キロの新車が貸し出されてきました。

 この時期まで三菱のデザインというのは、とても独自性が強く格好良いモノが多かったのですが(ディンゴ以降駄目です)、このトッポもミニカほどではないにしろ、きっちりとまとまっていて、軽自動車とは思えないなかなか手の込んだデザインだと思います。で、まぁ代車になるような車ですからそんなに高いグレードではないのでしょうが、バンパーが黒いわけでもないし、内装が極端に劣るわけでもない(大体最近はヴィッツなどでも解るように、プラスチッキーな事を恥ずかしがらない傾向になりつつあるし)、乗っていて全然不満を感じない出来でした。

 特に感じたのは、新車と言うこともありますが、ボディの立て付けのしっかり感です。筆者は軽自動車というとスズキの車ぐらいにしか乗ったことがなかったのですが、スズキの軽に乗っていつも思うことは、もうちょっとこのコトコトカチャカチャ言う異音を消せないモノかなぁと言うことでした。それは新規格のKeiに試乗したときも同じで、お客さんに良い車だと認めて貰わなければいけない試乗車が、あっちからカタカタこっちからコトコトと、実に騒々しい出来で、一気に買う気が失せてしまったと言うことがありました。そんなわけで軽自動車というモノは、やっぱりコストをケチっていて最低限の足でしかないんだなと言う認識だったのですが、このトッポに乗ってそんな印象は吹っ飛びました。確かにお金をあんまりかけられていない足周りは、コトコトして堅めのセッティングですが、上記したようにボディにしっかり感があるため、ことさら不快にも思いません。逆に日本人は比較的しっかり感のある足周りを好みますので、これを素晴らしいと感じる人も多いかと思います。新規格軽になった時にあらゆるマスコミが、もうこれでリッターカーとの差は無いに等しい、いや税制上の恩恵がある分、軽の方が上だ等とよく言ってましたが、確かにこのしっかり感はもはやリッターカーと何ら変わるところはないと思いました。

 でもね、やっぱりどっちを買うかと言われれば、良くできたリッターカーを選ぶと思います。その一番の理由はやっぱり実質排気量が半分の(リッターカーも1.3が主流でしょ)エンジンの力の無さです。よく軽自動車に乗っている人はチンタラチンタラ走っている印象があったのですが、あれはその人の運転が下手なわけではなくて、軽自動車の力の無さから来るモノだったようです。軽自動車のATに任せて運転をしていると、まず交通の流れには乗り切れません。交通の流れに乗ろうとしてアクセルを多めに踏みつけると、それこそ軽の営業車でしゃかりきになって走っている営業マンのような、下品な甲高い音をまき散らして走ることになってしまいます。まぁ、その力の無さを補うためにターボ車が設定されているわけでしょうが、そうなると燃費が極端に悪くなって、軽の良さが引き出せません。やっぱり排気量660ccと言うのはネックです。

 上記したように出来の良いリッターカーでなければ、もはや軽とは差が全然ありません。爆発的に売れているデミオにしても、室内の質感の低さや(マイチェン前)室内のゴーっという共鳴音は、なんら軽自動車と変わりません。確かに税制面のことを考えたら軽自動車の方が優れているかも知れません。でも筆者はやはり、この力の無さを受け入れることは出来ないでしょう。別にスピードを出せと言っているわけではないんです。本来軽自動車が力を発揮する市街地でのストップ&ゴーを、もっとゆとりを持ってこなせるようにはならないのでしょうか?低速トルクにもっと力が欲しいわけです。その為にはやはり単純に考えて排気量アップしかないでしょう。そういうわけで、この排気量のままでは、やはり軽自動車を選ぼうとは思いません。

 さて、その他にも乗っていて気づいた点をいくつか。まず、ワイパーの設計が悪いのです。窓が汚れていてウォッシャー液を使ったのですが、それが全部歩道側にすっ飛んでいきます。そりゃ見事なモノです。雨が降っている時はお互いに気づかないでしょうが、晴れてる時のワイパー使用は本当に気を付けないといけません。あとやっぱりこのミニバン形式というのは、横風に本当に弱いです。強風に吹かれる度に進路が変わってしまうのには、結構ドキドキしました。また上でもちょっと触れましたが、やはり安い車だけあって遮音材にはお金がかかっていません。試しに歌ってみたらかなり良い感じで響き渡って、風呂とどっちが良いかという感じでした。これが原因で高速になった時のゴーっと言う音は、隣の人との会話に苦労するレベルでした(まっこれはデミオとかでも同じですけど)。 

 部品の入荷に時間がかかり、都合1週間ほど共に過ごしたトッポBJですが、市街地限定ならこれで充分だと思う一方で、ちょっとでも流れの速い幹線道(50〜60キロ)に出た事を考えると、やっぱり無難に普通車を選ぶだろうなぁと言うのが、筆者の素直な感想です。


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