(01.6.28記)
購入したばかりのレパードですが、早速都内駐車場でオデッセイに突っ込まれまして、板金修理と言うことになりました。その間の代車として筆者が希望したのは、相手の懐にも負担が少ないであろうヴィッツのマニュアルでした。とにかくマニュアルに飢えていた筆者は、上級グレードの車よりマニュアルの有る可能性が高くて、イスの出来もそこそこ良かった印象のヴィッツを熱望したのですが、こっちの思惑とは別に相手が持ってきたレンタカーはAT。「この方が楽でしょ?」いや楽なんですけどねぇ・・・ATだったらせめて新型カローラぐらいに乗ってみたかったんですけど。
そんな訳で1週間近くをトヨタが誇るバカ売れリッターカーと過ごしたんですが、結論としては「安い!」これにつきます。グレードは、かろうじてバンパーが黒く無い乗用としては最下級グレードだと思いますから、とにかく全てが安っぽかったです。成型天井なんて発泡スチロールに無理矢理植毛したようなモノでしたし、グレード変わらずプラスチックむき出しのインパネも安さ全開です。エアコンを入れた途端にディーゼルのようなガラガラした音が室内に充満しますし、加速時の軽トラのような室内のこもり音もデミオと同様でした。この車は3万キロを既に走っていたのですが、たったその程度でやや大きめの段差を越えると、ドンドンとボディに大きな振動が伝わってきて、取り付け剛性の不足を感じます。
そんな訳でとにかく安さ全開のヴィッツなんですが、イスの出来は前評判通り悪くありません。こう言う所は世界戦略車の面目躍如と言う感じで、固めのイスは(お金をかけられないなら、柔らかめより固めにするのは当然だと思いますが)腰痛持ちの筆者に殆ど負担をかけませんでしたし、3万キロで随分やれて感じたボディ周りに対して、イスだけは全然へたった様子を感じさせませんでした。また燃費の良さも「安さ!」と言う意味では良い点です。通常リッター7〜8程度の車ばかり乗っている筆者としては、非力さ故に乱暴にベタ踏みを繰り返していたのに、リッター14キロも走っていたのには正直脱帽しました。
この安っぽさが果たして下級グレードだからなのか、1.3の上級グレードでもこうなのか(でも多少遮音材も入れるよね?)気になるところですが、安さ以外の問題点もいくつか見られます。まずセンターメーターは視線の移動が少なくて済むという事で導入されているのですが、インパネ上部の一等地に何故か小物入れが有るんです。その下にはエアコン操作部、更にその下にオーディオ操作部。運転以外の作業で一番頻繁に触るのはオーディオでしょう?当然一番上にはオーディオの操作部が来るべき何ですよね?ハンドルに一番近くて、視線移動が一番少なくて済むわけですから。なのに一番下の屈んで見なければいけない場所にオーディオは有るのです。センターメーターで頑張っているのにこれでは本末転倒です。また薄いグレーグリーンが新しいインパネの色も、晴天時には随分窓に写り込んで視界を妨げます。
それ以外ではATの設定とブレーキに若干疑問を感じます。とにかく1.0Lの非力さを感じさせないように、ちょっとアクセルを踏んだ時の反応が過敏すぎると思います。デミオの項でも書きましたが、この一見力のあるエンジンに錯覚させるATのセッティングは、ドライバーの運転をがさつにさせます。本来なら踏んだ分だけスピードが乗ってくるべきなのに、最初の加速だけ良くて、後はエンジンを相当回してやらないとスピードが乗ってきません。つまりアクセルは踏んだら最後、微妙な力加減なんて関係なく、ベタ踏みしがちになってしまうのです。ブレーキも似たような感じです。踏み初めはあまり効かないのですが、ぐいっと踏むと急激に効くのです。これまた全然足の微妙な操作感とは関係有りません。踏み初めからじんわりと踏んだ分に合わせて効くのが正しいのではないでしょうか?とにかくヴィッツの操縦感覚は「機敏に走れる」と言う雰囲気を出すのに精一杯で、あまり誉められたモノではないと思います。こういう車で運転を覚えたドライバーは加減速のキツイ、同乗者を酔わしてしまうような運転になってしまうのではないでしょうか?
以上がヴィッツに対する印象です。個人的にはマーチの方が古くても大人っぽく感じます。デミオとは良い勝負でしょうか?新しく出たホンダのフィットには、見た目や使い勝手の部分で殆ど負けていると思います。唯一ヴィッツが誇れるのは、低価格帯でもしっかりしていた「イス」と言うところでしょうか。