シボレー キャプティバ

(15.6.22記)
 2006年発表(日本導入は2011年)のシボレーキャプティバを、今頃試乗キャンペーンする謎(笑)。確かに昨今クロスオーバー系のSUVは、国産外車問わずにブームですが、在庫過多の手駒でなんとかそのブームに乗ろうと言う企画なんでしょうか?特に興味のある車種では無いモノのの、試乗させてくれるというのなら応募するのが車好きです。

 キャプティバは、シボレーを名乗っていますが、その出自は韓国大宇。もっとも現在は大宇自身が韓国GMとなってしまいましたので、シボレー製というのにウソはありません。北米製ではないので日本ではそこそこ使いやすいサイズです。全幅こそ1800ミリオーバーになってしまいますが、昨今の外車はみんなこんなサイズ。アメ車の四駆(アメ車ではないんですが)と言うと、どうしてもバカでかくて・・・と言うような扱いにくさは有りません。前方視界が良いのもこれを助けていて、フロントオーバーハングが斜めに切られているのと合わせて、前に進むことに不安は感じません。

 またこのサイズのSUVとしては貴重な7人乗りです。三菱のアウトランダーと共に、ミニバンは子供の下僕みたいで嫌だなと感じるお父さんが、日本でミニバン以外で選べる数少ない7人乗り車です(スバルのエクシーガもSUVになりましたが)。同サイズの国産SUVと比べてもさほど値段が高くないことも良いです。外車のSUVはみなプレミアムブランドで高すぎるので、人と違うSUVに乗りたい人にとっては良い選択になり得ます。

 サイズの割には2.4Lと排気量が小さいのも税金面で財布にやさしいですし、常時エコモードのATも低燃費に貢献していると思います。エコモードと言っても、最近のギリギリに攻めて失速感の出るようにセッティングではなく、重いボディを過不足無く走らせることが出来ます。エコモードを解除しても、それほど力があふれたり早く走れることは無いので、下記乗り心地と合わせて、のんびり流す運転に慣れて行くと思います。

 乗り心地はSUVと言うよりRVと言いたくなるようにモノで、どたどたゆらゆらしています。直接的なショックこそ丸められてはいるモノの、段差ではそれなりに揺すられて、車に弱い子供は酔うかも知れません。ただ四駆と言えばこういう乗り心地を好む人も多くいそうで、良く言えば牧歌的でのどかな乗り心地ですね。筆者は車に乗っていて眠くなることはほとんど無いのですが、この車の揺れは久々に眠くなる車でした(笑)。

 デザインはあまり誉められたものではないと思います。デビューが古いので仕方ない上に、アメ車の四駆として期待するデザインでないこと。顔こそまがう事なきシボレー顔ですが、横や後ろはCR-V的だったりでどこかでみたようなFFベースSUVっぽいデザイン(FFベースなんですけど)。キャプティバはワールドカーなので、あえて無国籍風なデザインにしているんでしょうけど、日本人が思い描くアメ車の四駆はがっちりとした頼りがいのある四角いものではないでしょうか?

 またシボレーブランドでは有るモノの前記したように実はアメ車ではなく、韓国GMで作られているアジアンカーである点も、無国籍なデザインの要因だと思います。内装プラ部品の質感が一昔前の国産車みたいで、メッキパーツなどで化粧はしているものの、350万円クラスの質感としては寂しい出来映えです。シボの深さなどがのっぺりしてるのでも韓国製を感じます。

 内装スイッチ類の配置にも疑問を感じます。インパネ最上部特等席にナビではなく、情報モニターが来てしまうのも、ナビ配置を考えてない一昔前のデザインに感じますし、エアコンの操作部がインパネ最下部なのに対して、表示はそのインパネ最上部の情報モニターと言うちぐはぐ。表示が大昔のLSIゲームみたいなライトグリーンの配色なのは、まわりの古さと合わせたのでしょうか?(笑)

 7人乗りシートは4.7mの全長から考えるとそれなりのスペースを稼ぎ出していますが、3列目は体育座り&3列目シート使用時はトランクはほぼ皆無となります。シートの操作性は国産に比べると若干重い気もしますが動きは確実、平板に感じるシートもだらっと座るのには最適で、乗り心地のキャラクターとは合っています。

 車としての出来が悪いかと言えばそうは感じません。ただデザインと車の方向性がちぐはぐだと思います。この無国籍風デザインでなく、アメ車の四駆を感じさせるデザインであれば、スイッチ類の配置に気を配ってない雑な感じ、耐久性が優先された内装質感、ゆらゆらどこどこな乗り心地、すべてのバランスが取れて、好きな人には物凄くはまる車になったと思います。

 このデザインであれば、国産車並のクオリティや先進技術、未来感ある内装デザインであるべきでした。ジープやレンジローバーは、自社のブランド力というモノをキチンと理解して利用しています。小回りの効いた商品企画で、ブランド力と先進性がデザインで表現されています。対してGM/シボレーはあまりにも巨大すぎて、こういう微妙な車を生み出してしまいます。こういうデザインで好評をもって迎えられる国もあるでしょうけど、少なくとも日本では難しい車だと思います。

 実用車としての出来はそこそこ高いのに、そんなに欲しくならない。バランスって難しいなと感じさせられました。


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