(00.11.21記)
初代ディアマンテが好きで2台乗り継いだ友人が、新しく車を買う事になりディアマンテは下取りに出されることとなりました。ですが走行距離37000キロのディアマンテなのに、あまりにもあまりにもな値段しか付かず、その話を聞いた筆者は「だったらオレが買うよ」と思わず口走ってしまい、格安の値段で我が家に3台目の車が導入されることとなってしまいました(せっかく安いのだからと、車庫証明、名義変更ともに自分でやる事に。代書屋使わないでも何とかなるモノです)。
このHPをごひいきにして下さっている方はご存じだと思いますが、筆者は2代目ディアマンテにも結構乗っておりました。ですので初代ディアマンテから2代目になるにあたってどのような変更が成されたのか、大変興味がありました。まずグレードですが初代が25V-SEの2.5L最上級グレードです。最上級だけあって三菱お得意の電子制御満載で、トラクションコントロール、トレースコントロール、4ABS、4WS等が搭載されています。対して2代目は25VですのでSEよりはワンランク下のグレードですが、上記のある意味無駄な電子制御システムが殆ど付かない、素のお買い得グレードになっています。と言うわけで、実質同じグレードですので、単純に変わった点が、初代と2代目の差だと考えて良いと思います。
まず外装。外装は個人的には2代目の方が格好良いと思います。2代目の格好良さについては2代目のページに詳しく書いてありますが、初代はやはりBMWの影響を受けすぎています。この車の宣伝コピーが「あの車とは違う」だった為、多くの人がBMWと違うと言いたいのだなと勘違いしているようですが、実際は5ナンバーのマーク2とは違うと言う意味だったそうです。ですがこの形を見たらBMWを連想してしまうのも仕方がないと思います。お手本が良いだけに、それなりのまとまりを見せていて良いデザインだとは思います。
次に内装。内装は逆で、初代の方が数段良い仕上がりだと思います。なんと言ってもお金のかけ方、思い入れが違います。2代目はマイチェンの度に安っぽくなっていく木目調パネルを筆頭にコストダウンの嵐です(ライト周りなどは、そのまま流用)。対して初代はマイチェンの度に品質の上がって行った木目調パネル(笑)を見ても解るように、実質三菱初のオーナー向け高級車を作れる事に、作る側の意気込みを感じます。若干張り出したセンターコンソールが独特の雰囲気を醸しだし、アナログ時計も日本人には解りやすい高級感です。なによりメーターパネルを中心とした電飾の色合いがアンバー調で、実に落ち着いた良い感じだと思います。また実際の衝突安全性は別として、初代の方が遙かにドアの閉まる音、重さとも上で、安心感が高級感に結びついてます。
車としての出来。これは正直甲乙付けがたいです。と言うのも乗り比べてみて、実は初代と2代目では車本来の性格付けが大きく変わったように感じるからです。初代は今まで上げた事柄でも解るように、純粋に高級車を目指していたと思います。対してライバル各社がみな3ナンバーボディになりアドバンテージの無くなった2代目は、どちらかというとスポーティーサルーン。と言う方向に移って行ったように思えます。その証拠に2代目には、当時新開発だったマニュアル操作の出来るATが導入されていますし、ショルダーラインの高い窓枠も包まれ感から来るスポーティーさを演出していると思います。メーター周りも暗めのアンバーカラーはさっさと止め、オプティトロンメーターの鮮やかな白色で視認性を大事にしています。
2代目はスポーティーと言う事を裏付けるように、ATのセッティングが大きく変わっているように感じます。初代のATは多少昔のATらしいオバカさんな所が有りますが(減速していって2から1に落ちそうな時に、加速するとドカンと言うシフトショックが来ます)、日本車には珍しく実にトルク感溢れるセッティングで、アクセルをあまり踏み込まなくても加速していきます。一般道では2000回転近辺を維持して走っていれば、快適に走る事が出来ます。対して2代目はどちらかというと、しっかりとアクセルを踏んで、高回転まで回した方が力が出るセッティングたったと思います。どちらが好きかと言われれば、初代の低速トルクを大事にしたセッティングの方が好きですし、高級車としての理にかなっていると思います(でも2代目はスポーティーサルーンですから、これで良いと言えば良いわけです)。
乗り心地に関しては、2代目の方が良いように感じます。最近シトロエンとデボネアと言う緩い車ばかりに乗っていたせいか、初代ディアマンテは固すぎます。と言うのも上記緩い車は、路面からの衝撃を緩いボディ全体で散らしてしまい、出来の良いイスと相まってあまり衝撃を伝えてきません。ですが中途半端にボディ剛性感が高い初代ディアマンテは、サスがあまり良い仕事をしてくれないのと相まって、衝撃が素直に体まで伝わってきてしまうのです。ボディ剛性感が高い車は、サスがしっかりと仕事をしてくれないと、その固さが徒になると思います。もっともこの時代の国産車は、皆この似非ドイツ車風サスセッティングになっていて、良路では実に滑らかな走りを見せますが、路面が荒れると途端に馬脚を露わすのはトヨタ車などでもお馴染みなのですが。2代目は、さすがに少し勉強したのか、低速でゴト付くのも許容範囲でしたし、高速での安定感も遙かに良いように思えました(初代の車速感知式パワステは、速度が上がった時に重くなり過ぎで、ちょっとした(手首一つ分くらい)動きに反応しきれません)。
ということで、外観2代目、内装初代、AT初代、乗り心地2代目と分かれてしまい、どっちが良いか甲乙付けがたい結果となってしまいました。3代目が出る可能性は限りなく低くなってしまったディアマンテですが、初代にかけた意気込みみたいなモノを三菱は失って欲しくないと思います。
使用期間中の平均燃費(市街地9:高速1)7.1km/l