日産 レパードJフェリー タイプF 

(01.6.1記)(03.7.12補記)
 丸2年間どこも壊れず、満足な乗り心地を提供してくれたデボネアの車検が迫ってきました。車自体には何の不満も無く、まだ乗っていても良かったのですが、なにぶん13年モノです。この先どれだけお金がかかるか解りませんし、そうでなくても車検を取るだけで10万以上は確実に掛かってしまいます。ここで10万をかけても売る時はタダ値です。だったらこれ以上お金が掛からないうちに、誰かに引き取って貰って(結局購入した店に買い取って貰いました)次のばか車を探そう!そう思い、中古で総額100万以下ぐらいのばか車探しが始まったのです。

 このページをごひいきにして頂いている方ならご存じだと思いますが、私は国産なら次に乗るのはレパードJフェリーと考えていました。アルシオーネSVX にもかなり心引かれていたのですが、なにぶん希少車の上、ジュジアーロデザイン。さらにスバル人気で程度の良いモノが予算内に収まりません。レパード自体も最近は意外と人気が上がって来ていて、同年式同距離のセドグロより高値が付いている店も結構出始めてきていました。そんな台数自体が少ない上に程度の良いモノとなるとなかなか出てきません、その為見つからなかった時の外し技で2代前の丸いクラウンロイヤルも(あえて今、あの丸い格好悪いクラウンが良いと)並行して探していました。

 当然出回っている台数が違いますから、クラウンの方が簡単に良さそうなモノが見つかります。取り敢えず基準値としての役割を持たす為にも試乗させて貰います。クラウン好きの人の間では、この2代前のロイヤルがクラウンとしては一番良い。と言う風に良く言われていたので期待して試乗したのですが・・・なんだかうちのじじぃのマークIIに似て居るんです。そりゃ同じトヨタですから、似ちゃうのは仕方ないにしても、もう少しゴムっぽくない高級な乗り味を期待してたのです。確かに静かですし、ATの変速ショックも小さいです。イスの出来以外はさしたる不満もありません。でもやっぱりマークIIの高級な奴程度にしか思えない、その乗り味の面白く無さにがっかりしてしまいました。

 そんなわけでもうこれはレパード以外はあり得ない。と根性入れて県内、東京、探し回りました。10台以上見て4〜5台ぐらい試乗もしたでしょうか。でもやっぱり満足の行く車が無いんですよ。まず走行距離は7〜8万キロ走ったモノが普通でした。そしてそう言う車はみんなフロントがピョコピョコしていて、安定感が無いんです。さらに大概の車は下品にインチアップ、ローダウンと手が加えられています。これではレパード本来の乗り味が解りません。こっちは「上品な乗り味」と言う妄想が頭の中で膨らんでいますから、こんな程度の乗り味で納得するわけには行きません。ようやく4万キロ以下のオーテックバージョンモノを発見し、価格に凹みつつも(予算オーバー)かなり期待して試乗したのですが、これまた盛大にフロントが落ち着かないのです。むむ?これはレパード自体がこういう仕様なのではないのか?だとしたらこりゃ買うべきかどうか考え直さなければいけないか?と悩みだした時に発見した7万キロのレパードは、まぁ普通に乗ることが出来ました。確かに多少フロントが落ち着かない感は有りましたが、それでも許容範囲です。2ヶ月近く探し回って疲れていた私は、もうその保証も付かない車で決めちゃうかと泣きが入りかけていたのですが、色が銀色でXantiaと被って面白くないので、しばし保留と言うことにしました。

 そして遂にその車に巡り有ったのです。県内とは言うモノの我が家とはまるで正反対の場所で、車で1時間以上掛かる場所に、ガンメタ3.8万キロのレパードはたたずんでいました。そもそもガンメタという色が大嫌いな私はそれだけでやる気が無かったのですが、取り敢えず乗り味のチェックだけでもしておこうと試乗させて貰いました。悪くありません。7万キロのモノよりさらにマシな感じです。やっぱり若干落ち着かないのは、レパード全体の仕様のようなモノなんでしょう。でも今まで乗ったどのレパードよりしっかりしています。そうなるともう色に何かこだわってられません。私はとにかくレパードの「上品な乗り味」を味わいたいのですから、この発売当時の足が一番生き残っていそうな車を買わないわけにいきません。値段も余裕で予算内です。そうしてこのレパードは我が家に「ばか車」としてやって来る事となったのです。

 期待に胸を膨らませて購入したこのレパードの印象としては、まず肝心の「上品な乗り味」確かに上品でした。ハンドルを切って交差点を曲がる。それだけの事が実にスムーズで楽しく出来るのです。軽やかなパワーステアリング、繊細なクリック感のウインカー、FRの自然な身のこなし。渋いウィンカーのXantiaとは大違いです(笑)。住宅地を走るのも得意技です。20キロぐらいの速度で走っている時は実に上手く段差などもこなします。まさに上品です。高速走行も得意技です。大型な車らしい船のような乗り心地は、確実に同乗者が睡魔に襲われます。直進性も安定していて飛ばせば飛ばすほど、あの神経質なフロントのピョコピョコ感が薄れていきます。私の車にはクルーズコントロールが付いていないのですが、クルコンが付いていたら私まで眠ってしまいそうです。また日産車らしくATのシフトダウンの際のタイムラグが少ないのも好ましく、ゲート型シフトを積極的に使う気にさせます。

 室内もチリなどは今の車に当然かないませんが、バブル期らしい贅沢なパッド張りです(剥がれてきやすそうなのも時代を感じますが)。木目も今では少なくなった本木目採用です。天井からはATの手元を怪しく照らすアクセサリーランプが輝いて、夜の運転を上品に仕立て上げます(笑)。純正オーディオもちゃちいヘッドの割に良い音ですし、放送局を変えた時に後ろのスピーカーから先に音がして、フェードインしてくるのも良い感じです。

 以上が気に入ってる点です。反対に駄目な点は、40〜60キロぐらいまでの日常常用域での乗り心地があまり良くないと言う点。普通、高速になればなる程安定する車というと、ドイツ車にのように足が固くて日常域では乗り心地が固い。そう想像しがちですがレパードは違います。足周りはたぶん緩いんだと思います。だからごく低速でショックが車体に伝わらない状況では、安楽な乗り味を示し、速度が上がってくるとちょっとした段差でも、ドンと言う衝撃の後、ぶわわーんと車体が揺れ衝撃の収束が上手くいってないように感じてしまうのです。まぁつまり良路では柔らかい足周りで、実に良い乗り味を提供するのですが、ちょっとでも道が荒れてくると、年中ドンぶわわーん、ドンぶわわーん、ドンぶわわーんなのです(笑)。Xantiaとデボネアはごく低速でコツコツする以外は、常に緩やかな乗り心地でしたから、若干この仕様には違和感を感じています。

 あと、イスの出来はあんまり良くないですね。そもそもシートポジションがおかしいんです。これもこの時代の車らしいと言えばらしいのですが、基本的に寝そべって運転する姿勢で作られてるんですね。だからランバーサポートの張り出しの位置もおかしいですし、メータークラスターもATの位置も、直立させて運転する人には全く合いません。

 購入後、10万円すると言われていたオーテック仕様のグリルは、かなり遠くでしたが解体屋にあるとの情報を仕入れ、格安で手に入れることが出来ました(その解体屋でヒザをざっくりと切りましたが(笑))。アルミも当初の計画通りシーマ2用のモノをヤフオクで手に入れました。タイヤも乗り心地向上の為にワンサイズダウンしました。私にしては珍しく、買ってから色々と手を加えた車でした。今思い出してもグラマラスなCピラーからトランクまでのラインは絶品でした。今の車では絶対にあり得ない形でしょう。駐車場に車を置いて立ち去るときに、もう一度振り返って見たくなる。そんな車、それが憧れ続けたレパードJフェリーでした。

使用期間中の平均燃費(市街地9:高速1)6.8km/l


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