ルノー メガーヌ 1.6ハッチバック 

(09.7.4記)(11.2.8捕記)
 さて、このサイトもしばらく「シトロエン日記」と「試座通信簿」のみの更新となっていましたが、久々に「車遍歴」の更新となります。プジョー406の項で、エテルナシグマは1年間寝かせて406とC5の2台体制を取ると言う話を書きました。実際シグマは寝かされて406を1年楽しんで乗り、その後車検直前で売却し、昨年はまたシグマとC5の2台体制に戻っていました。

 1年間寝かされていたシグマは特に期限を損ねる事も無く、復帰後も毎日元気に動いていました。ただ車検が迫ってきた頃から、フロントブレーキのキャリパーが上手く戻らなくなり、引きずり気味になって加熱すると言う症状が出てきました。元々ブレーキパッドの残量も少なかったので丸ごと修理しても良かったのですが、いつもの悪いクセで、修理にお金を掛けるぐらいなら次の車に行くか?となり、さすが希少車、ヤフオクでさっさと買い取り手も決まり、次に乗る車を探さなければならなくなりました。

 今回のテーマは、小さめな車。C5&シグマ→C5&406→C5&シグマとここ数年の我が家の車は、昔で言うと5ナンバーフルサイズ的な車の組み合わせが続きました。同居している両親がいい加減じじぃばばぁになってきて、小さい車の方が運転しやすいのでは?等と言い始めたので、いつものように2代目ルーテシアを中心に色々車を探し始めました。

 今回候補に上がったのは、上記したようにルーテシア。同じくルノーから最終型クイックシフトのトゥインゴ。2代目フィアットプント。この辺りが予算50万以下コースです。それとは別に、今回は両親もゲシゲシ乗るかも知れないという事で、比較的高年式な車も候補にあげました(別に新しいから壊れないと言うわけでは無いんですけど)。2代目フィアットパンダ。2代目ルノーメガーヌ。両親は誰もが乗っている国産車はあまり好まないので、今回は国産車は初めから候補になりませんでした(唯一初代プリウス?って話はありましたが)。

 と、普段ならここからあーでもないこーでもない言いながら、楽しい試乗大会が始まるんですけど、今回は残念ながらあっさりと決まってしまいました。と言うのも両親がメガーヌのデザインに一目惚れしてしまい、最初に見に行った車で即決してしまったわけです。

 購入したメガーヌは前期型1.6Lのハッチバック、オプションのアルミホイール付き。どうやらオーディオも前のオーナーがスピーカー中心にいじっているようで、なかなか高音質。外装色は青、内装は前期型のみ?のベージュ内装で良い感じです。走行距離は2.5万キロであまり走っていなくて、外装もほぼ傷無しのピカピカ状態でしたが、中古車屋が良く使う、劣化して来ると白いカスが出るワックスが掛けてあって、のちのちげんなり(笑)。

 まずスタイル。これは抜群に格好良いです。発表された瞬間にノックアウトされ、いつかは乗るぞランキングに即ランクイン。今回思いのほか早く乗れる事になって非常に嬉しいです。一つ一つのラインを辿って行くと、どれも破綻する事無く収束しているってのが見ていて飽きない要因かと思います。

 では乗り込みます。まずドアグリップが実に渋くて固いです。しかも全ドア均等に。多くの友人達は乗り込む際にドアロックが解除されていないと思って、一度ドアグリップ握って固まってます(笑)。さらにそこから気合いを入れてドアを開けると、大概がばーっと開いて焦らせます。ドアの停まる位置が、通常考えている位置より大らかな感じで隣に車が有ると実に気を遣います。

 内装の質感に関してはそれなりです。見た目は残念ながらプラスチッキーに感じると思います。デザイン自体はシンプルで好感を持てるのですが、素材を上手く使いこなせていない感じです。インパネ上部は全面にソフトパッドが貼ってあるのですが、これのシボがイマイチなのか、パッと見ハードプラな質感に見えてしまいます。素材と言えば、手が触れる部分にはほぼ全てにゴムが貼られていて、触感にも気を遣っているのですが、なぜだかメーターカバーにも貼られていて、これが経年変化で劣化しないか心配です。現在でも放っておくと白い粉を吹いて来ますし。

 サイドブレーキレバーは航空機のスロットルのようなデザインで、なかなかイカしてるのですが、これもデザインに質感が追いついていません。握ってブレーキを解除すると安いプラッチックのおもちゃのようなチャチな感触を伝えます。こう言う部分にもう少し剛性感があると違うんですけどね(笑)。

 エンジンはカードキーですので、スタータースイッチで始動します。それ自体はおしゃれさんで良いと思うのですが、日本の電波法かなんかの関係で、このカードキーは必ずスロットに入れないとエンジンが掛かりません。本国モデルでは携帯しているだけでエンジンが掛かるらしいので、そうなるとカードキーの意味も有るのですが、現状では大きくてかさ張るカードキーの意味を感じません。もう少し薄くて財布に入れられるとかで無いとアイデア倒れってところです。

 ハンドルは低速ではくるくるで、スピードを上げるに連れて重くなって行きます。幹線道路で大きめのコーナーを曲がる時等では、多少保持に力が必要かなと思うぐらいです。ブレーキはこの車最大の弱点ですね。踏み始め効かずにいきなり利くかっくんブレーキ。多くの他車からの乗り換え組を戸惑わせてるはずです。ただ利き自体はとても良いので慣れると扱いやすいかもしれませんが。幅はC5とほぼ同じなはずですけどC5より幅広く感じて気を遣います。特にサイドミラーが飛び出て感じて、狭い道でのすれ違いとか苦手な人には厳しいかも知れません。

 フランス車に乗るなら一番大事な乗り心地ですが、オプションのインチアップされたアルミに引きづられて、タイヤも太く見栄え優先になってしまっています。路面状況が悪いと途端にドタバタしますし、ハンドルも取られやすいです。試しに空気圧をかなり高めに設定しタイヤの接地面積を減らしたところ、ドタバタ感は無くなりましたので、サスの設定自体はしなやかな良いモノだと思います。スチールホイール用の標準タイヤか細めのタイヤにして乗り心地を改善したいところです。

 スピードをあげて行った時の感触としては、どたどた→しなやか→びたっと安定な感じです。特に高速域では路面に吸い付いているような安定感で、とても1.6L級の車とは思えず、下半身の踏ん張ったデザイン上の安定感が、デザインだけで終わっていない事を感じさせます。

 また腰痛持ちとして肝心要のイスの出来ですが、全体的に堅めな印象で、吸い付いて来るようなルノーイスでは無いですけれど、充分に合格点。ただ後席に関しては背もたれも立っていますし、足下空間も狭くくつろげません。リアハッチが寝ているわけでなく切り立っているのに、どうしてこの程度の空間しか絞り出せなかったのでしょう?

 ATは、シトロエンに比べれば変速ショックもあって劣ると思います。機構的にはC5のAL4と同じもののはずなんですけど、メーカー毎のセッティングでこんなに差が出るものなのかと。思えば406もATはもう一つでしたし、ATのセッティングに関しては、フランス車にしてはATに好意的だったシトロエンに一日の長が有ると言う感じです。

 C5では日常的に使っているマニュアルシフトも、メガーヌのモノは変速タイミングも遅れますし、やはりショックも伴いますのでほとんど使いません。ただアクセルを抜くとすぐに上のギアに入るのは日本車みたいで便利です。50キロ越えれば4速に入れられるので、燃費にはかなり貢献していると思います。

 とにかく最初はブレーキの扱いに苦労しました。ルノーに対する期待値が高く、しかも2台目ルーテシアの出来の良さを知ってるだけに、ちょっと物足りなさも感じますが車自体にはほぼ満足していました。トラブルとしては、購入後1年ほどで運転席の窓落ちを経験しました。これは欧州車全般の弱点ですが、いい加減何とかならないものですかねえ?修理もユニット丸ごと交換ですので工賃込みで6万円と結構な金額です。こちらも実際に壊れてるのはプラッチックのギア一つ程度ですから、安く修理する方法を確立して欲しいものです。

 また触媒からカラカラ異音がするようにもなりました。新車から5年も経過していないのに触媒がやられるというのは、個体差だとしても少し残念な気がします。総じて同じフランス車のシトロエンよりは信頼性でやや劣るという感じです。さらに現在の輸入元である日産系ルノーディーラーの対応があまり良くないのがいただけません。

 セールスは日産から回されて来ただけと言う感じで、ルノーに対する愛情は全く感じられません。何か有ると「外車はこんなモノですよ」を逃げ口上に使うし、早く日産に戻りたい感が有り有りです。メーカー自体もルノーに力を入れる気はあまり無いらしく、筆者が利用していたディーラーは、県内のほぼ半分の地域をカバーしなければいけないのに、ルノーを扱えるメカニックはたった一人。なのでどんな修理、点検でも常に予約で一杯です。唯一の救いはそのたった一人のメカが、とても良い人でルノーに愛情を持って接してくれていたと言う点でしょうか(その後このルノーディーラーは潰れ、系列の日産で修理のみの対応となりました)。

使用期間中の平均燃費(市街地9:高速1)10km/l


次へ

車ばかのばか車へ