シトロエン C4 セダクションパノラミックガラスルーフパッケージ

   

(14.11.23記)
 点検の代車で2度ほど、計2週間あまり借りていました。1台目は新車おろしたて1000キロ程度。2台目は有る程度こなれた4000キロぐらい。同じ車ではないのですが、同グレードなのに1度目と2度目では驚くほど印象が違いました。本当に新車が出てすぐの広報車での試乗記はあてにならないなと思いました(笑)。車は共にセダクションパノラミックガラスルーフパッケー ジ。サンルーフ付きとアルミが17インチになるのがベースグレードとの差です。さらにこの上にはエクスクルーシブが有り、そちらはエンジンが同じ1.6Lな がらターボ付きで6速ATになります。

 まず1000キロぐらいでの印象は、とにかく乗り心地が固くて、全くシトロエンらしさを感じられませんでした。本当、ゴルフとどう違うのか?ゴルフをライバルとして意識しすぎてゴルフになっちゃったんじゃないかと心配しました。特に17インチのアルミ&太いタイヤを履きこなせてると言えず、終始ゴトゴトしていた印象を抱きました。

 対して4000キロ以上を経過した2台目では、低速ではやはり17インチを履きこなしているとは言い切れませんが、直接的なショックは随分減り、50キロ程度で流れている幹線道では十分にしなやか。ドイツ車などを中心に乗っている人にとっては、ふわふわと言ってもいい心地良い乗り心地にうっとりします。これなら十分にシトロエンの乗り心地と言って良く、ハイドロではないとは言え、人にうちの車は乗り心地が良いんだよと自慢できる乗り心地です。グレードが同じ事から考えても、やはり距離が進んで足回りが馴染み、シトロエンが本来目指している乗り味が出てきたんだと思います。シトロエンはゴルフをライバルにしていてもゴルフにはなっていなかったと言うことです。

 ATはいまだに4速です(笑)。ただこのシトロエンお抱えのAL4も熟成がかなり進み、いまや日本人が運転してもさほど違和感を感じないのではないでしょう か?特にあれほど70キロ程度にならないと入らなかった4速が、45キロを越えたあたりで入る驚き(笑)。この上に5速が有ればとも思いますが、以前に比べれば燃費の上でもプラスになる進化だと思います。このAT、一つ難点を上げるとすれば、エンジン始動直後低温時にかなりギクシャクすると言う点。これは80年代ぐらいの日本車を思い出させます。

 次に気になるのはブレーキ。アクセルペダルとブレーキペダルは踏み間違えを防ぐ為か、結構高さに差があり、慣れるまでは右足が疲れそうです。また雑に踏むと急激に制動が効くポイントがあり、慣れるまではカックンブレーキになりやすいかも知れません(とは言え代車として借りている間に十分慣れまし た)。

 外観デザインに関しては未だにそれほど良いとは思えません。特に先代が独自性のあるデザインでしたし、C3がとっても可愛くまとまってるデザインなだけに、いくらデザインとしての遊びはDS4に任せてると言っても(DS4もそれほど魅力的だとは思いませんが)、なんともつまらないデザインだと思います。それなのにデザイ ンに実用性が疎外されてるのも気になります。フロントドアのエッジが飛び出てて危なかったり、グラスエリアが後ろに狭まっていくデザインで、後方視界はかなり悪いです。

 内装では、昔国産車が用いていたような、車本来の機能とは関係ないお遊びが多いです。当時の自動車評論家は「国産はこんなお遊びばかりしていてバカみたいだ。欧州車はこんな事は絶対にしない」的苦言を呈してましたが、欧州車もこういうお遊びをするようになりました(笑)。

 まず、メーターパネルの色合いが5段階に細かく替えられるのですけど、色は白から青のみなのであまり意味はありません。またセンターコンソールは赤系の照明なのでちぐはぐに思えます。ウィンカーの音も替えられるのは面白いけどすぐ飽きますよねぇ。内装質感自体はかなり高め。アルミパネルも多分本物で、銀色塗りっぱなしのような安っぽいものじゃないです。総じて一般の人が外車に期待する品質感は十分にある感じです。

 収納はC5と同じくグローブBOXは使い物にならないし、肘当てを最適な位置にすると、ドリンクホルダーも使い物になりません。ただランチャストラトスかってほどドアポケットは広いです(笑)。後席はサンルーフの影響も有るんでしょうけど、180センチ弱だとちょっと狭いです。シートバックが立ってるのでだらっと座れないし、足下空間もそれほど余裕が有るわけじゃないので、どうしても頭がつかえちゃいます。ボディの大きさが全然室内空間に活かされてないんですよね。

 上記した電気のお遊びや、デザイン優先で実用性がないがしろな感じは、昔は国産車で言われる評価だったのですが、むしろ今や国産車は、どれだけ小さなスペースを有効に使うか自慢を、軽やコンパクトカーで展開中なので、本当欧州車と立場が逆転してしまった印象です。

 とはいえ、今の国産車が魅力薄なのもあきらかです。C4は外観デザインこそ魅力的ではありませんが、乗り味は十分シトロエンですし、内装質感など、こちらも国産車と逆転するほど高くなっています。車なんて乗れれば良いなんて言う人には全く勧められませんが「国産車はつまらなくて・・・」と考えている人には、是非乗ってもらいたい1台です。良いモノ感は確実に感じられると思います。


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