過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。
1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。
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オデッセイ(03.10.30記) | |
国内ナンバー4辺りをうろちょろしていたホンダを、ナンバー2の座まで押し上げるきっかけとなった車がオデッセイです。狭山工場のラインに入らなかった為、そこそこのサイズにしたのが、日本適正サイズと認められ大ヒット、以後出すミニバン出すミニバン当たりまくりと、ここしばらくホンダディーラー、ホンダ社員は我が世の春を謳歌していたわけです。ところが日産がゴーン体制の元、デザイン力で復活してき、トヨタが出る杭は打つとばかりに対抗車を出し、マツダが安売り戦略で足下を攻めてくるようになって、ホンダの春も夏を過ぎ秋風が吹いて来つつあります。実際2代目キープコンセプトオデッセイは、過去のホンダ車が繰り返したように急激に失速。今年になって出した車は小型車以外ほぼ全滅で、儲けに貢献しない。といささか厳しい状況。そんな中、満を持して登場したのがこの新型オデッセイな訳です。 三菱がグランディスを、日産がプレサージュを先に投入することとなり、さすがのホンダものんびりと構えては居られなかったらしく、新型オデッセイの情報は随分前から雑誌に取り上げられていました。当然他社のミニバンを買おうとしているユーザーの歯止めという意味合いもあったでしょうが、もう一つの理由として、この思い切ったスタイリングをユーザーの頭に浸透させようと言う狙いがあったと思います。7人乗りミニバンでありながら全高1550ミリにおさめ(機械式駐車場に入るサイズ)、アゴをつきだしたようなアグレッシブなスタイルを採用と、およそこれまでのファミリーカー的雰囲気とは違います。雑誌に出ていた車の色も、デザインをはっきりと見せないと言う意図もあると思いますが、これまた悪そうなグレーパープル。確かにいきなり「新型オデッセイです」と発表したら拒否反応のおきそうな車だったと思います。 で、個人的オデッセイの評価はと言うと、すこぶる良いです。これぞホンダです(笑)。今まで散々背高ぐるまで儲けてきたのに、手の平を返すかのようにローフォルム(爆笑)。この流れは東京モーターショー出品車「キワミ」にも引き継がれ、アストンマーチンかと思うペキペキのボディスタイルと併せて、ばか車センサーにビンビンに反応しています。この辺りの節操の無さが、ホンダの魅力でも有り、ホンダを信用出来ない理由でも有るのですが・・・そんなわけで新型オデッセイはもはやミニバンではありません。ただの7人乗れるワゴンです。トーラスみたいなモンですね。実寸法は別として、その閉塞感の強い内装デザインでは、ウォークスルーで室内を移動しようなんて言う気にもなりません。なんか子供が後ろで飛び跳ねているような景色も浮かんできません。でもそれら全てが個人的には好ましく感じるのです。 日産の宣伝で良くあるモノに「ドロドロに汚れた格好で室内に入っても大丈夫」こういうモノが多いです。確かに防水加工シートなどは、子供を抱えた親にとって見ればありがたいモノでしょう。でもあれって間違ってますよね?汚れたら汚れはまず落とすべきなんです。それがマナーであり常識なんです。部屋に入るときでもそうでしょう?着替えがないとか、しょうがなく汚れてしまったのなら仕方が有りません。でも汚れた格好で、汚れてる事を全く気にも掛けないで車内に乗り込んでくる子供が、キチンとした大人に育つとは思いません。元気なのと勝手なのは違うのですから。「汚しちゃった〜ごめんなさい」と泣いている子供に「良いのよすぐに落ちるんだから」となぐさめるのならともかく「うちの車は汚しても良いぞ」と言うのでは、明らかにしつけにならないと思います。この辺りから「自分さえよければ」と言う子供が育ってしまうではないでしょうか? 今の親は子供に気を使い過ぎです。ミニバンの後席が子供の運動場になっているのを見ると本当にがっかりします。子供は車に「乗せて貰って」いるのです。親にどこかに「連れていって貰う」のです。その辺りの感謝の気持ちも無く、メシアシ付き当然と思っている子供にはガックリです。話がかなり脱線しましたが、そう言う意味で、子供がはしゃいでいる姿が浮かんでこない、大人のミニバンオデッセイ。大いに評価します。内装デザインも手慣れたモノで高級感漂っていますし、内装色4色の余裕から、黒グレー内装だけでないのも大変好感が持てます。内装デザインで差をつけられかけた日産との差がぐーんと縮まったと言えるでしょう。 とにかく先代と比べて遥かに高級感が増した新型オデッセイ。格好良い車だと思います。ただ今でも居る、爆音マフラーフルスモーク系のバカユーザー受けも、確実にしそうなのが心配なところです。あと、カタログの写真の出来が悪すぎて脱力です。特に内装関係、木目パネルの合成酷すぎます。どこの会社にやらせたんでしょう?素人がフォトショップ使ってやってももう少し巧くできるでしょ? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4 | |
アクセラ(03.10.24記) | |
これまた少し前から形が明らかになっていた、ファミリア後継車のアクセラである。写真で見た印象はセダンの方が好みだったのだが、あいにく訪れたディーラーには5ドアしかなく、ちょいと残念だった。 このアクセラはファミリア後継車と言いつつも、実際はアテンザとフロアを共有する兄弟車で、ホイールベースまでぴったりとアテンザと同サイズである(って今調べたら違うじゃん。まったく適当だなぁマツダセールス。課長がこんな事でどうするんだよ?)。と言うわけでホイールベースは若干縮めたが(笑)基本コンポーネンツを共有する兄弟車であることは間違いない。またアクセラはマツダの世界戦略車種でもあるので、欧州サイズに合わせてサイズはファミリアと比べ随分と大きくなった印象である。マツダはデミオも同クラス他社より一回り大きい印象なので、辻褄はあっているわけだが。 その大きい印象のアクセラだが、その大きい分が室内スペースなどに割り当てられている訳ではない。いや室内スペースは充分に広いのだが、実車を見て貰えば解るように、かなりの部分をデザイン代に取られている訳だ。国産車このクラスでこれだけ全幅をデザイン代に使っている車は最近では珍しいわけで、この辺りもこの車が欧州中心で考えられている事が解ると思う(欧州車は実用本位。と言うのは今や昔の話で、今の欧州車はどちらかと言うとまずデザインありきかと)。特に5ドアのリアフェンダー、リアバンパーの張り出しは衝撃的ですら有って、この辺りがこの車のデザイン上の華だと思う。 ただ残念なのが顔がいかんせん通常のマツダ顔なので、そのデザインのインパクトが薄くなってしまっている点である。フォードの意向かマツダ車は全車同じような顔を付けてブランドイメージの定着を計ろうとしている。確かに欧州ではこの方法は一般的かも知れないが、こうまでも同じ顔の車が上から下まで有るというのは、日本人的感覚からすると、マイナスではないだろうか?300万円払って買ったクルマと100万円で買ったクルマが同じデザインでは面白いはずがない。確かにイメージの統一は計るべきだと思うが、こうまで猫も杓子も同じ顔というのはどうであろう?唯一RX-8だけが、同イメージでありながら別の顔を持っている。あのデザインは良く出来ているのだから、他の車も、小型車は小型車なりの、セダンはセダンなりの、ミニバンはミニバンなりのマツダ五角形顔を作り出して欲しいと思う(同じ事は三菱にも言える)。 内装デザインもこれまた国産車的感覚からはちょっと離れたデザインでまとめてきた。木目調パネルの質感ではどうやっても他社に敵わないと判断したのか(正しい判断だ)、木目調パネル無しのデザインを主としたようだ。特に木目調パネルをおごられやすい、中央コンソールを黒い素のプラスチックとし、そこにオーディオ、エアコン照明が浮かび上がるようにしたのは良い発想だと思う。これだと黒いプラスチックでも全然安っぽく見えないし、むしろちんけな木目調パネルよりは高級に見えると思う。またこういう統一イメージを作ることによって、ユーザーに自社オーディオを使って貰おうとしているわけでもある。唯一の不満はコンソールボックスのフタのビニールシボが未だにマツダ質感だと言う事である。いっそのことフタ無い方がよくないか?(笑) 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好) | |
アベンシス(03.10.21記)-試乗済み- | |
トヨタフロームヨーロッパ。イギリスからの逆輸入車(←この言い方はおかしいのだが)がこのアベンシスである。元を辿るとコロナの欧州版カリーナEにあたり、そのモデルが先代からアベンシスを名乗り(ちなみにこのモデルはカルディナの後ろ半分がセダンになったモノ)、今回このクラスに持ち駒の無いビスタ店に投入された訳だ。ただ不思議なのは、ビスタ店は今後ネッツ店と統合されて行くわけで、だったら最初からネッツ店にも投入すれば良いと思うのだが・・・ 既にかなり前から雑誌などでデザインは発表されていたから、実車を前にしてもそれ程のインパクトはない。ただ個人的には欧州車的な濃密感が漂うデザインは良く出来ているのでは?と思う。ワゴンはそんなに面白くないけど、セダンのリアは結構新鮮な感じがするし、全体の印象は確かに欧州車のそれに似ているけれど、逆に日本ではその雰囲気が好感触に繋がるのではないだろうか?ただコストの都合か、内装色が黒一色なのは減点、さらにそこに配されるトヨタテカテカ木目もちょっと・・・安い方の黒プラスチックの方がさっぱりとしていて良い感じ。またメーター照明がオレンジ色なのは欧州風を気取る時によく使う手なのだが、メーターパネル内にあるインフォメーションディスプレイ?の四角い表示部二つまでもがオレンジ色で、煌々と光って実に目に触る。この部分は通常の液晶表示が正解なのではないだろうか? 試乗した印象は、明らかに堅め。特にちょっと前に各雑誌絶賛のプリウスに乗っただけに、同じトヨタ車、同じようなサイズの車でも、こうも味付けが変わるモノかと思う。個人的にはプリウスのピョコフワっとした乗り心地はあまり良く思わなかったので、アベンシスの方がマシかなと思う。ただボディ剛性感がそこそこ良い新型時は、段差ショックなどもさほど気にならないが、3年ぐらい乗ってくるとショックそのものより、立て付けから発生するびびり音などが気になるようになるかも知れない。それと試乗時意外なほど道路の「うねり」に弱かった事も追記したい。 逆輸入車だし、ビスタ店専売車種だしで、あんまりトヨタ売る気は無さそうだけど、人とは違ったトヨタ車を乗りたい人には良い車なのではないだろうか? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好) | |
ワゴンR(03.10.14記) | |
大昔のホンダステップバンから頂いたコンセプトとは言え、スズキがワゴンRで提案して見せたハイトワゴンと言うスタイルは、軽自動車業界を席巻し、軽自動車のスタンダードにすらなってしまった感がある。今の軽自動車、猫も杓子もハイトワゴンと言えよう。だがそれでもパイオニアとしての存在感か、ワゴンRは常に売り上げトップの座を守ってきていた。しかし今年に入ってからは、丁度一年前先んじてモデルチェンジしたダイハツのムーブに、売り上げトップの座は奪われてしまうこととなる。ダイハツ車らしい個性は失ったが、一般ユーザーにとってはむしろそれは喜ばしいことだったらしく、旧型になるワゴンRと比べてデザインでダイハツムーブを選ぶユーザーも多かったようだ。さらに少し前にはホンダもライフのフルモデルチェンジ。とても軽自動車とは思えない質感、フィット譲りのユーティリティでこれまた大人気と来ている。 そんな中、満を持して登場した新型ワゴンR。デザインは今回も誰が見てもワゴンRであった。総じて破綻の少ないまとまったデザインだと思う。だがこれでよいのだろうか?先代は軽自動車の枠拡大のタイミングもあって、誰もがワゴンRと感じつつも、新しくなったと言う事を感じるデザインだった。だが今回はサイズの変更は無い。その為にフロントに線を多く入れたり、ボリューム感のあるフェンダー上部のデザインを折り込んで変化をつけたつもりだろう。だがこの程度では新型車が出たという感動は薄い。さすがに3代続けてキープコンセプトデザインは飽きられるのではないだろうか?確かに大ヒットモデルのモデルチェンジは難しい。だがこうまで印象の変わらないモノを果たしてユーザーは好んで買い換えるのだろうか? さらに嘆かわしいのは室内の質感である。ムーブは結構頑張っていた。それ程ではないと筆者は思っていたが、各雑誌などではトヨタ車の質感とまで言われて大絶賛であった。だがそれ以上にライフの質感は高かった。その質感の高さは自社のシビッククラスを凌ぐほどだと言えよう。その上に室内アレンジの使いやすさである。なのになんだろうワゴンRは?全く王者の慢心と言っても良い、工夫の無さである。新型ワゴンRには何のセールスポイントもない。センスだけは人一倍だったはずのスズキ車とはとても思えないモデルチェンジなのだ。 正直、スズキはもう下りてしまったのだと思う。「高品質低価格」の戦いから。軽自動車本来のそこそこのレベル。そのポジションに戻ったのがワゴンRと言えよう。高品質のモノを無理して安く売ると、そりゃ当然利益も少ない。台数を売れば回収できるにしても、あまりにもその採算ラインは厳しいのだろう。だから「下りた」これがスズキの判断だと思う。三菱もekワゴンで既に「下りて」いる。ekワゴンはそれ程高品質ではなかったが、完成されたプレーンなスタイルと、低価格でそこそこのヒットを飛ばした。ワゴンRもそのポジションに落ち着くつもりなのだろう。ワゴンR一台で軽自動車のランキングを突っ走る必要は無いのである。今後新型ワゴンRから派生する軽自動車が沢山出るのだろう。それらの中にはスズキの技術をそそぎ込んだ高品質モデルも有るだろう、それらのワゴンRファミリーによって、利益が出れば良いとスズキは考えたのだと思う。 新型ワゴンRは魅力の薄い車である。現状考えればライフを買うのが正解だろう。CMのキャッチコピー「サラブレッドの子はサラブレッド」と言うのが、いかに変わり映えしない凡庸なモデルかと言う事の証明だ。だがワゴンRによって「下りた」スズキ、これによって逆に自由度が高まったとも言える。むしろこれからのスズキのモデルにこそ注目して行くべきだろう。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
シエンタ(03.10.7記) | |
一体何台目の兄弟となるのだろう(9台目です)?これまたヴィッツのプラットフォームを利用した(今回はボディ後半はカローラ系と言う話だが)トヨタの新型車がシエンタである。ハイトワゴンと言う括りでも、ファンカーゴ、bB、ラウムと3台もあるわけだが、シエンタは7人乗りと言う事で、これまたトヨタはしっかりと売り切る気だと思われる。他社で言うとモビリオやキューブキュービック辺りがライバル車と言う事になりそうだ。 デザインはまぁ普通。最近のトヨタ車の特徴でもある「えぐい」造形は全くされておらず、一昔前の軽自動車や、日産パイクカーを彷彿させる。まあヴィッツファミリーだけで9種類も有るわけだから、えぐいデザインからほんわか系までどれでもお好きなのをどうぞ。と言う感じなのだろう。最大の売りはこのサイズで7人乗りと言う事と、イスが畳みやすい(笑)と言う事らしい。本当にブームというモノは恐ろしいモノで、後から出てくるモノは確実に何かしらの微妙な進歩を示している。この5年で日本車のイスの畳み方技術は格段に進歩したであろう。だが進歩したのは畳む技術だけであって、イス本来の乗り心地、座り心地はあまり進歩していないように思えるのが悲しいところだ。 最初にライバル車はモビリオやキューブキュービックと書いたが、実はこれら、あまり競合しないとのでは?とも思う。と言うのもモビリオもキューブキュービックも、あまりに個性が強すぎて、ある種指名買い的買われ方をしているからだ。特にキューブはスタイル内装、どれを取っても独特の存在感が有るので、シエンタに喰われると言う事は殆ど無いのではないだろうか?むしろシエンタが喰ってしまうのは、現状でも立場の危ういファンカーゴやbB、出たばかりのラウムあたりの自社ブランドだろう?内装の出来一つ取っても、正直シエンタはモビリオやキューブキュービックより劣る。配色などで誤魔化しているが、その配色にしても今までの常識的トヨタカラーなのだから、これでは身内と比べられるのは当然と言えよう。 結局ヴィッツシリーズの弱点は最後まで内装である。バブル崩壊後小型車の時代が来ると考え、基本構造に優れたヴィッツを開発したまでは良かった。だがその時点でトヨタは内装に関しては「安っぽくても良い」と言う判断を下してしまった。だが世の中の景気は回復しないままでも、消費者のモノを見る目はドンドン優れていった。正直トヨタのこのクラスの内装は国産車でも下の方だと言える。ホンダの内装の見栄えの良さの進歩に比べて、ヴィッツシリーズの内装はしょぼ過ぎる。「この内装でも買ってくれるから良いのだ」そう言う考えもあるだろうし、この内装で大いに儲けているのだろうが、「やれる」のと「やる」のでは大違いなのだ。ここで手を抜いている分が近い将来しっぺ返しとならなければ良いのだが・・・ 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2 | |
プリウス(03.9.24記)-試乗済み- | |
世界初の量産ハイブリッドカーとして登場したプリウスは、有る意味それまでの70点主義、他社の良い所取り的なトヨタ車のイメージを大きく変える車であり、トヨタが日本の、世界のクルマ会社のリーダーとして恥ずかしくない会社になる為の第一歩であったと思える。その後ホンダや日産、三菱らもハイブリッドカーを発売して見せたが、どれも到底プリウスを越えるようなモノでもなく、当然プリウスのように台数を稼ぐモノでもなかった。つまり今度のプリウスは、この大量に販売された初代の莫大なデータを元に開発されているわけなので、いよいよ持ってハイブリッドカーとして独走と言っても良いクルマになったと思う。 で、いつも通り全体の印象から・・・初代の方が遥かに変で格好良かったと思う。新型はちょっと日産的な(まぁその日産のプリメーラも、初代プリウスに似てると言えば似てるのだけど)、まぁちょっと新しいかな程度のデザインだと思う。旧型が周りのクルマに比べて、見るからに浮いていて、いかにも新しい種類のクルマが出ました。と言っていたのに比べればつまらなく感じると思う。だが新型はたぶんこれで良いのである。旧型はまず「ハイブリッドカー=プリウス」と言う事を世間に認知させる必要があったのである。とにかく「今までと違うクルマ」が出たという事を全身から漂わせ、クルマに対して興味のない人にでも「トヨタのプリウス」を覚えさす必要があったのである。これに対してホンダはシビックに自社の完成型ハイブリッドを乗せてきた。大失敗である。一体どれほどの人がシビックにハイブリッドが有ると知っているだろう?ホンダのハイブリッドはクーペの出来損ないしかないと思っている人が殆どではないだろうか?新しい技術は、やはり何かしら目立つ方法で大衆に訴えかけなければ認知されないので有る。 ホンダとしてはハイブリッドという技術を、何の違和感もなく普通に使って貰えるようにシビックに搭載したのだろうけど、いささか階段を登るのが早すぎたわけだ。トヨタのように初代プリウスでしっかりと世間に認知させて、その上で普通のクルマになって行くべきだったのだ。そう言う意味で新型プリウスは、あえて独創的な形をしていないのである。世間に認知は充分された。これからは目立つ事より馴染むことが、普通のクルマになっていく事が大事なのである。そう言う意味で、このデザインはよく出来ていると思う。個人的にはフロントデザインとCピラー下辺りがだるいのが、いまいちかな?と思うが、別にデザイン破綻して居るわけではないので、本当に個人的な好みの問題だと思う。 内装デザインは、未来のクルマと現行車の中間辺りをついた巧いデザイン。質感はトヨタにしては若干低め(笑)。後席足下空間は広々しているけど、そのせいか、イスを面一に畳みたかったせいか、トランクは浅め(二重底になってるけど)。ボディカラーは数は多いけど当たり前の色が多すぎてちょっとつまらないかも? 試乗した感想は、普通に走る(笑)。先代がブレーキの感触などに違和感を残していたのに対して、新型は全く問題ないレベル。唯一ハイブリッドを意識させるのは、相変わらずのエンジン停止時の静かさ。これに慣れると普通のクルマに乗れないと言うのも肯ける。乗り心地はちょっとピョコフワした感じで、クルマが苦手な人は酔うかもしれない。あいにく町中しか走れなかったので、高速になればびたっと安定するのかも知れないけど・・・段差などを越えた時の直接的なショックはうまくいなしてるけど、足周り設定は要再考だと思う。噂の「自動車庫入れシステム」は確かに入る(笑)。勝手にハンドルは切れて行くし実に面白かった。が、その前の入れる設定が実に面倒くさい。タッチパネル方式で入れるべき場所を設定するのだが、その作業がなかなか直感的に出来ないのだ。頭の中で映像の空間をイメージ出来ない人にはちょっと使いこなせないのではないだろうか?元々車庫入れが苦手な人は、自車のイメージを頭の中に浮かべられないわけだから、現状のシステムでは宝の持ち腐れになりそうである。改善するのならまずタッチパネル式をやめて、もっと簡単に場所設定を出来るモノにする(例ポインタやジョグダイヤルなど)。駐車位置に自車イメージを表示する。さらには画面を実際の3D映像ではなく、簡略した(上面から見た2Dなど)映像にするなどだろうか? とにかく車庫入れや縦列が苦手な人が、このシステムを使いこなせるとは到底思えない。雑誌などで便利便利と言われているが、あれは元々空間を把握出来る、車庫入れが得意な人間が操作するからで、空間を把握できない車庫入れの苦手な人間が扱えば、クルマを「入れる」事より「設定する」時間で大渋滞が巻き起こると思う。技術は凄いのだがインターフェースに問題有りは実に惜しいので、この辺りも早急に改善して欲しい。でも本心としては、車庫入れも出来ないような人は(何らかの障害がある人は当然別だけど)車の運転しちゃ行けないと思うよ・・・そんな輩と同じ道を走るのは正直怖い。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
ライフ(03.9.7記) | |
ホンダの主力軽自動車がライフである。新生ライフとなって3代目。過去2代が軽自動車企画変更の狭間で、殆ど変わり映えしないキープコンセプトモデルだっただけに、実質初のフルモデルチェンジと言っても良いのではないだろうか? 全体の印象は「まぁ良くできてる」と言うところだろうか?先代ライフとはまるで違う柔らかなデザインで、新型で有ると言うことを強く意識させるし、沢山あるカラーもカラフルで良い色が多いと思う。内装デザインも手慣れたホンダ風で、全く軽自動車、安っぽさを感じさせない。だが、この外装デザインがホンダの新型車として良いかと言われると微妙なところである。ホンダとしてはフィットのデザインテイストを発展させたつもりなのだろうが、元々フィットはあまり強い主張のあるデザインでは無いので、パッと見の印象、三菱コルトかダイハツ車かと言う感じなのである。簡単に言うと良くあるデザインな訳で、バリバリこのデザインが人気になって車が売れていくという感じでは無さそうである。 当然軽自動車なので、幅方向の制約があり、三菱コルトが抑揚のある綺麗なサイドビューを描くのに対して、ライフはちょっと無理矢理と言う感じがする。同様に箱形に無理矢理抑揚をつけようとしたダイハツMAXに比べれば、遙かに綺麗にまとまっているのが救いだろうか?このライフを見るとやはりホンダ車の弱点はデザインかな?と言う感じがしてしまう。フィット、オデッセイ、ステップワゴンと売りまくった本田だが、デザインだけを取ると「ホンダ車でないと」と感じさせる車がホンダにはほとんど無いことに気づかされる。一時の勢いを失いつつあるホンダ。キーは「ホンダじゃなくっちゃ」と思わせるデザインだと思う。 外装全体の印象は余りよく無いモノの、細部は結構工夫されている。どの方向からも開けられると言うドアノブは、軽自動車やスモールカーでこそ成立するデザインながら、目から鱗の工夫だと思うし、相変わらず車内のイスのアレンジも絶妙で、そのユーティリティーには軽自動車のサイズを意識させられることはほとんど無いと言えよう。前記したが内装の質感も、上級車のフィット、シビックを遙かに凌ぐ出来で、この分野でのここ数年のホンダの伸びは本当に素晴らしい。外装デザインと同じで唯一軽自動車を意識させられるのが車幅だろうか?運転席にやや大柄な男が座ると、右足がどうしてもドア内張に圧迫されてしまう。5ナンバー枠のノアやディオンでもこの不満は感じるので、軽だと割り切ってしまえば大したことは無いのかも知れないが、もうすこし足下空間煮詰めて欲しいと思う。 余談だが、車を見に行ったディーラーではカタログ希望者に、ライフの形をかたどったサブレを配っていた。他愛のないプレゼントだが、こと昔から愛想のないと言われるホンダディーラーが、こんなサービスをやるとは少し驚かされた。技術一辺倒のホンダも変わりつつある。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
プレサージュ(03.8.11記) | |
先代は「デカイ、分厚い、狭い」の3重苦ハイトワゴンルネッサベースであった為、どうしてもパッケージングに無理が生じていたが、新型はティアナベースでの本格的ミニバンと、日産入魂のモデルチェンジで有る。全体の印象は最近の日産車のニュアンスをそこかしこから感じさせどこから見ても日産車で、ミニバン=オデッセイの呪縛からは解き放たれ、なかなかまとまっていると思う。 だがディーラーで誌座した印象はどうも余り良くない。最近の日産車はデザイン質感共にかなり頑張っているわけで、ティアナのヒットでも解るように、内装への力の入れようは他社とは比べモノにならないレベルだと感じていた。だがこのプレサージュはどうであろう?確かにエアコン吹き出し口辺りからインパネ周りのデザインは独特な感じがするし、そこに配された木目調パネルも、最近余り見かけなかった70年代オーディオ風の木目で新鮮味がある。だが全体的にどうも安っぽく感じてしまうのだ。ティアナやマイチェンブルーバードではあれほど気が配られていた木目調パネルの使い方も、ドア取っ手周りの配し方を見れば、明らかに退化してしまっているし(同時期マイチェンのプリメーラの木目の配し方にもガックリで有る)、インパネ下灰皿、ドリンクホルダー部分のプラスチックパーツの質感も低いと言わざるを得ない。ミニバンのユーザーなんかその程度だと、割り切ってしまっているのかも知れないが、せっかく世の中の日産を見る目が変わってきているこの時期に、こういう細かい所に気を配らないでどうするのだろう?また室内はそれなりに広く、3列目シートもしっかり座れるのだが、シートのあんこの配分がちょっと偏っているようで、窓側が高く中心部が低い印象にはどうにも馴染めなかった。 少し前に出た同クラスミニバン三菱グランディスは、写真よりも遙かに実車の印象の方が良かった。日産が得意とする「質感をデザイン/カラーでカバーする」を三菱も身につけたか?と思わせる程の出来だった(それでもコストの限界は感じたが)。だがその本家日産の売れ筋車が、この出来では少々厳しいと思う。発表を発売より1ヶ月先んじてまで(CMガンガンやっているのにディーラーに実車が無いのは、どちらかと言うとマイナスだと思うが)、グランディス、オデッセイを意識して見せた。果たしてこれから年末にかけてミニバン戦線はどういった展開を見せるのだろう?正直プレサージュは、今の日産の車としては物足りなさを感じる。先代から乗り替える人には魅力的に見えるだろうが、果たしてこの出来でエスティマやオデッセイユーザーの牙城を崩せるだろうか? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |