過去の新車チェック評

過去の新車チェックのポイントはあくまでも発表当時のポイントなので、今現在の試座通信簿のポイントとは一致しません。

1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。好-好きなデザイン 嫌-嫌いなデザイン(それぞれ同ポイント内での好き嫌い。3の(好)は当然4よりは劣る)。

N-BOX SLASH(2014年12月発表)(16.4.16記)-試乗済み-

 数年前に方針転換して、試乗はできるならする&興味のない車は扱わない(軽自動車やミニバン/SUV)とした試座通信簿ですが、ホンダのN-BOX SLASHはなかなか面白そうな軽自動車だったので試乗させてもらいました。

 軽自動車の売れ筋は、いわゆるワゴンR/ムーヴの全高1650ミリ前後のハイト軽と、タントなどのさらに高いスーパーハイト軽になるわけですが、ホンダもそれぞれにN-WGNとN-BOXを投入しています。ホンダのNシリーズは興味のない人には(笑)結構ややこしいシリーズで、他にも同じハイト軽クラスにN-ONEとスーパーハイト軽クラスにN-BOX+もラインナップしています。

 ざっくり言えば、立体駐車場に入れないハイト軽が4車種もゾロゾロ。さらにカスタムという名の顔替えも加わると本当に訳がわからなくて、こんな目クソ鼻クソ程度の差別化を本当にユーザーは望んでいるのか?と思いますが、ダイハツやスズキも含めて、これが正義だと思う人が多くいるからこその造り分けなんでしょうね。

 さてそんな立体駐車場に入れないシリーズ第5弾としてホンダが投入したNシリーズの末っ子が、今回紹介するN-BOX SLASHです。簡単に言うと、スーパーハイト軽として一度めいっぱいまで高くしたN-BOXの全高約1800ミリから、わざわざ100ミリ切り取ってN-WGNサイズにした不思議(笑)。だったらN-WGNで良いんじゃないの?とサイズだけ見れば誰もが思うところ。が、そのスタイルを見れば驚きの格好良さで、旧来のハイト軽文法で作られたN-WGNとは全くの別物です。

 アメリカのカスタムカーの手法として、ピラー部を切断して屋根を下げるチョップトップというモノがありますが、N-BOX SLASHはまさにこれ。N-BOXの屋根低くしたバージョンで基本的にフロントまわりと腰の位置はN-BOXと共通です。しかも元々ムダに高いスーパーハイト軽ベースなので、低めなウィンドーグラフィックからは想像できないほど、快適な室内空間が確保されています。

 屋根が低い以外はほとんどN-BOXと差がない前半分と違い、Bピラー以降はN-BOX SLASHオリジナルなデザイン。切れ上がっていくウィンドーラインをホイールアーチのプレスラインで反復したり、屋根とボディのツートーンの切り替え部(溶接部分?)にビレット風パネルがアクセントとして入れられてたりで、本当ホンダはコンセプトがしっかりしてて、箱のデザインの車作らせたら良いモノを作ります。

 さらにN-BOX SLASHのハイライトは、外装カラーとコーディネイトされた、5パターンの凝った内装です。60年代のアメ車風の実にワクワクする内装を、古いアメ車のような維持費やサイズを気にせず自分のモノに出来る。まさに軽自動車バブルの今だからこそ企画できた、有る意味素晴らしい「ばか車」です。ただホンダお得意かつ相変わらずの商売の汚さで、最上級グレードじゃないとCMや雑誌で取り上げられているオシャレな仕様は選べない難点。そうするともはや軽自動車の価格では無いんですよね。

 オシャレするには金が掛かる。当たり前のことですが、せっかく夢が持てる軽自動車なんですからねぇ?それがわかっているのか、意外な程どのディーラーにも最上級仕様の試乗車が配車されておらず、地味外装に地味内装な組み合わせばかり。試乗車上がりに期待が出来ないとなると、数年後の中古車市場は、今最上級仕様を購入してくれるサムライだのみです。今から手ぐすね引いて待ってる貧乏車好きの為に頑張って購入してください(笑)。

 軽自動車としては高めな価格設定ですので、内装質感はなかなか。ここにオシャレ仕様ぶち込まれたらその配色の豊かさで、文句のつけようがない感じ。こういう余裕が普通車でも欲しいんですけど、デミオぐらいなんですよね・・・ホンダはフィットとか売れてるんですから、内装質感もっと上げて欲しいです。あとシートを前めにセットすると、身長大きめの人はセンターコンソールが足に当たっていやーんな、典型的ミニバン配置です。

 試乗したのはノンターボモデル。乗り心地自体は、可もなく不可もなくの若干ぴょこぴょこするいわゆる軽自動車の乗り心地。どちらかというと固い足回りの多いホンダ車としては、乗り心地柔らかで万人向き。乗り心地と合わせて雰囲気楽しんで流して乗る車なのでノンターボ程度の力で十分かと。夏でもバカみたいに窓開けておねーちゃん物色しながら、若者二人でたらたらすると絵になりますね。無事おねーちゃん二人確保できたらエアコンオン。なんて80年代な車なんでしょう。

 上記したようにホンダがプレリュード辺りで切り開いたナンパスケベカー。いや失礼デートカー。その役割はクーペみたいな背の低いモデルから、RV/ミニバンを経て背の高い車が当然となりました。ミニバンではファミリーカーなので、それより少しパーソナルなモノ。そうして生まれた平成不況世代のデートカーはホンダのS-MXで始まったと思います。

 早速それを研究してトヨタが放ったのが、ヴィッツベースでより安く生み出された初代bB。あっさりS-MXからその座を奪いこの世の春を謳歌するかと思いきや、2代目でマッタリモードや11スピーカーとより若者にすり寄ったつもりが、僕らが望むのはそんな車じゃありませんと、もっとかわいい系ほんわかデザインの日産キューブにデートカー王座を奪われます。

 王座につくと調子に乗るのは日産も同じでした(笑)。より凝ったデザインで酔いしれた3代目キューブは、一部に好意的に受け入れられたモノの、世間的にはやり過ぎの評価。欧州自動車ジャーナリストに踊らされた輸出も大失敗。と言った流れで現在空位のデートカー王座。

 回り回ってその座につくのは、元祖ホンダのN-BOX SLASHなんじゃないかと思うんですけど、2代目bBを思わす8スピーカーや、3代目キューブのやり過ぎデザイン。何よりプレリュードからどんどん価格帯、クラスが下がって軽自動車まで来たにも関わらず、高すぎるN-BOX SLASHでは、その座をモノにするのはムリなんでしょうか。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)5

グレイス(2014年12月発表)(16.3.13記)-試乗済み-

 当初ハイブリッド専用車として日本に導入されたグレイスは、実質的にインサイト、シビックハイブリッドの後継車で、それどころか、現状アコード以上がバカでかすぎて話にならないホンダのセダンラインナップを考えると、今まで導入されたほとんどのホンダファミリーセダンの受け皿になるべき、期待の一台でした。

 ホンダとしてはアメリカ市場に引っ張られて大きくならざるを得ないアコード以上のセダンに対して、日本の5ナンバーサイズセダンはインサイトでカバーできると考えていたのでしょうが、ハイブリッド性能や質感でプリウスに大きく劣ると判断されて販売失速。再度フイットベースで開発、名前を変えて投入された形です。

 だったらフイットセダンの名前にすればとも思いますが、前記したように代替車のなくなった5ナンバー近辺のホンダセダン全てをカバーする都合上、ユーザーに格落ち感を抱かせない為の配慮もあると思います。

 まずサイズ。同クラス車がほとんど幅で3ナンバーになる中、5ナンバー枠なのは好印象です。日産のラティオが安物のゲタ車で話にならない事を考えると、カローラのライバルとなる資格を持つのグレイスだけと言えるでしょう。世の中にカローラ買いたくないおじさんは一定数居ると考えられるので、その層にはまればそこそこ売れるはずだったのですが、現状それほど売れてる印象はありませんね(笑)。

 当初ハイブリッド専用車として出して、後から通常のガソリン車を追加したのですが、インサイトの大したこと無いハイブリッド性能&安っぽい質感などで、ホンダのハイブリッド専用車のイメージはあんまり良くありません。最初からベースグレードガソリン車、上級グレードハイブリッドとした方が良かったかも知れません。アクアやプリウスの売れ行きを見ると未だにハイブリッドならなんでも売れそうに錯覚しますが、ユーザーも賢くなり、ハイブリッド分の価格差を距離で取り返すのが大変だと言うことがわかってきました。

 またホンダハイブリッドの思想が、当初エンジンのアシスト的役割だった為、トヨタに比べてその恩恵を感じられなかったのも、ホンダのハイブリッドに対するイメージがよくない原因だと思います。筆者も何度か指摘しましたが、ハイブリッド分の重さ&価格をハイブリッドで償却しているだけで、ホンダのエンジン技術なら、ハイブリッドが無くても対費用効果はあまり変わらないのではないでしょうか?そう考えるとハイブリッド専用車ではなく、最初から待望久しいホンダのコンパクトセダンを売りにした方が良かったのかも知れません。特に購入層である年輩のお父さんを考えると、最初についたグレイス=ハイブリッド専用車イメージは強く、ガソリン車があるのを知らない人も多いのではないでしょうか?

 外観デザインは、フロントとサイドで全く統一感のないなんだか解らないカローラに比べれば、良くまとまった格好良いセダンだと思います。特にフィットではただ入れただけだった、サイドの三角刀で抉ったようなキャラクターラインが、デザイン上しっかり機能していて、背高でありながら腰高さをあまり感じず、後輪付近に間延びした面がなくてよい緊張感があります。ただ現状選べる色が、白、黒、マツダ風レッドに銀2色。バカかと。5色しかないのに銀2色って・・・

 内装質感はアジアンカーシティベース(生産は日本)とは思えない、よく手が入っていて満足できるレベルです。少なくとも同じアジアンカーラティオなんかとは比べものにならない、国産コンパクトカーとして充分な仕上がり。特にツヤ消し金属風華燭パーツの質感がなかなかよく、ただ銀色スプレーで噴きました程度のライバル車に大きくアドバンテージをつけています。

 外装色はなんだこれ?でしたが、内装はファブリックアイボリー内装などもあり、こちらも大人のコンパクトセダンとして及第点。フィットベースのロングホイールベースの恩恵で、足下空間は広大。ただ身長180クラスだとインサイトほどじゃないけど頭上空間は狭めです。

 発表当初にハイブリッドを試乗しましたが、相変わらず発進加速を絞りすぎてエゴ運転を助長する設定で、周囲のスムーズな交通環境を乱します。結果、周りの流れに乗った運転をするとアクセルを強く踏み込まざるを得ず、そうしたときの燃費は悪化するのではないでしょうか?元々エンジンを補助するホンダのハイブリッド思想なんですから、発進時にもっと上手く使用して、アクセル絞って燃費稼ぐなんてインチキ臭いことしないで欲しいものです。

 乗り心地は3代目フィット以降のホンダとしてはしなやかなモノ。若干悪路でドタバタしますが、安っぽさは有りません。逆にこれ以上柔らかくすると旧来のホンダファンからはクレームが来そうなので、妥当な落としどころかと思います。

 最初にも記したように、5ナンバーセダンとしては唯一カローラのライバルとなる素質を持ったグレイスですが、販売は伸び悩んでいます。同じく発表当初伸び悩んだカローラはハイブリッドを追加して持ち直しました。グレイスに追加されたのが、ただの1.5Lエンジンではなくホンダの技術の粋を集めた1.0Lターボエンジンとかであればイメージも変わったと思います。良い車だと思うのですが、何かがずれてしまってあまり売れない。本当日本国内ではホンダは車の売り方がわからなくなっていると思います。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)

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