過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。
1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。
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エッセ(05.12.26記) |
丁度去年の秋頃、女性向けに作りましたと豪語したムーヴラテをボロクソに書きましたが、ようやくフトコロのそんなに暖かくない女性でも胸を張って乗れる良い車がダイハツから出ましたよ。スズキが先代アルトベースのラパンで儲けているのを横目で見ていたダイハツが、ミラベースで開発したのがこのエッセ。贅沢はしていないけれど貧乏たらしくない。ちょいと昔の欧州小型車を思わせる小粋な車に仕上がっていると思います。 外装デザインは、軽と言うとすぐに限られたサイズを目一杯使う箱形にしがちですが、リアハッチがなだらかに傾いた台形型の誰が見ても心地よく感じるデザイン。さらに準備された色がどれもこれも楽しくなってしまう、非常に鮮やかで発色の良い色ばかり。このボディカラーがフルトリムされない事から、室内側にも露出していて何ともよいアクセントになってます。 さらに中級グレード以上は、このボディカラーにシートカラーがキチンとコーディネートされていると言う念の入れよう。色だけで使う人、乗っている人を楽しくする車です。このカラーコーディネートはオプションパーツにも気合いが入れられていて、ほぼ全ての配色分のデコレーションパーツが準備されています。車本体の価格は抑えましたとダイハツは言いますが、オプションカタログを見てメロメロになったお嬢さん方から、しっかりと搾り取る計画のようです(笑)。 トヨタの完全子会社となってしばらく経つダイハツですが、プラスチックパーツにその影響が表れてきている気がします。なんだかどこかで見たようなパーツが見たような質感で目に付きます。もっとも質感もトヨタ品質になり、部品共有化で安く上がるようになるのでしたら良い事ばかりでなんの問題も無いわけですが。インパネの質感は色の印象のせいもありますが全体的に高く見え、個人的にはトヨタのヴィッツシリーズよりこちらの方が好印象に感じました。 ここまでべた褒めでしたが、2.3気になる点も。リアハッチが傾いている為か後席にはヘットレストが有りません。オプションカタログにも無いようで、いくら軽自動車が一人か二人乗りの使用が多いとしても問題有りかと。セールスに訪ねた所「その分価格をお安くしてあります」との返事。だったらいっその事3ドアにして、二人乗りをアピールしてしまえば言い訳も通りやすいし、ボディ剛性も上げられコストダウンにより役立つのでは?と考えてしまいます。 リア周りの問題点は続きます。ハッチバック車なので当然リアシートは可倒式になっていて荷室を広くできるのですが、何故だかこのラッチが両サイドに付いていて一発で倒す事が出来ません。最初はグレードによって分割可倒式のモデルがあって、両サイドに付いているのかと思うと、全グレード一体化倒式とのこと。だったらワンタッチで倒れるようにした方が、これまた使い勝手と部品点数減少でコストダウンに・・・さらにこの可倒式シートを倒した際に、トランクを覆っているカーペットがべろんべろんに引き出されてしまって何とも収まりが悪い感じ。「オプションでトレイが有りますから」と言い訳されてましたがもこちらも最初から何とかして欲しいところ。 と、最後は重箱の隅を随分とつつきましたが、率直な感想は好感触な車です。マーチがかなり鮮やかな色で「街」を明るくしてくれていますが、もう少し安い価格で今度はエッセが「町」を鮮やかにしてくれれば?と思います。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4 |
ブルーバードシルフィ(05.12.24記) |
先代登場時まだ本物のブルーバードが存在しており、ブルーバードシルフィはサニーベースの(厳密に言うと欧州向けパルサー、アルメーラベース)内外装をじじむさくした車(良く言えば英国車風)として登場しました。クラスとしては奢った内装等でそこそこの台数を稼ぎ、日産に安心して本家ブルーバードを生産中止にする決断をさせた車です。 登場時は本家ブルーバードが有ったわけですから、エンブレム等には「シルフィ」が大きく表記されていました。これは、コロナがコロナプレミオからプレミオに変わったように、ゆくゆくはブルーバードシルフィもシルフィに変更される事を示唆していると誰もが思っていたはずです。ところが本家ブルーバード消滅後に行われたマイナーチェンジでは「ブルーバード」の文字の方が大きくなっていたのです。この車を購入する年齢層が「ブルーバード」と言う名前に愛着を持っていると言うのを考慮に入れた判断だったのでしょう。それはそれで古い名前を消しがちな昨今の日産にしては、好ましい判断だなと思っていました。 この流れは東京モーターショーに出品されたブルーバードシルフィのコンセプトモデルでも生かされていて「ブルーバード」の表記の方が大きな扱いでした。ところがいざ発表されたモデルはリアのエンブレムこそ「ブルーバード」の表記の方が大きいモノの、発表会では「シルフィ」が強調され、カタログも「シルフィ」の方が大きく表記されています。つまりまだ日産としては迷っているわけですね・・・(笑) そんなどうでも良い話はさておき、車の出来自体はなかなかの仕上がりだと思います。05年に出た日産車に関しては、正直一時の勢いが無くなってきて、この欄でも苦言を呈する事が多くなってました。しかしこのブルーバードシルフィには、ティアナやキューブが出た当時の良さがそこかしこに見えます。外観はグリルやプロポーションに、ライバル車のプレミオ/アリオンが堅実に売れている影響を素直に受けてしまっているように見えますが、繊細なキャラクターラインやパネル処理により、プレミオ/アリオンより「良いモノ」感が上がって見えます。 特質すべきなのはやはり内装でしょう。昨今の日産車は内装が売りなわけですが、正直ティーダやNOTE、セレナ、ウィングロード辺りには、言う程のセンスの良さや仕上がりは感じられませんでした。しかしこのブルーバードシルフィはかなり頑張っています。つや消し木目調パネルの質感が上がり、それをさらにデザインでフォロー。木目調パネルにメッキ調の縁取りをして安物感を払拭しています(プレミオ/アリオンでは銀色をマスキングもせずに塗って誤魔化してあります)。またコンソールボックスのフタの裏側に間接照明を仕込んだり、ありとあらゆる所の収納容量が拡大し、それで居ながら貧乏臭く感じないのは、この車の購入者層の奥様方の心をガッチリととらえそうです。 内装で特に良いのはイスのデザインでしょう。実際に長時間座ったわけでは無いので出来そのものの評価は避けますが、見ただけで「良いモノ感」が漂って見える国産車としては非常にまれなシートだと思います。貝殻をモチーフにしたシートと言うと3代目デボネアなどが思い浮かびますが、ローバー75辺りの影響も感じられ、ブルーバードシルフィ=英国車的と言うイメージも崩していないと思います。リアシートもこれまた格好良いデザインで、特にヘッドレストが刺さっている上面のラウンド感にはうっとりします。これでティアナにあったブルーや黒ボディに赤内装なんかが選べれば嬉しいところです。 内装に関してはまだまだ続きます。後席足下の広さは見事なものです。身長180センチ弱の筆者が前席でシートを合わせても、後席の足下空間はリムジンかと思うほど有ります。また前席下のえぐりがかなり大きく、これまた足下の広々感の演出に繋がっています。内装色に関して言えば、国産車でこれほど黒/グレー系の配色が安っぽく見えない車は珍しいです。安心して日本人の好きな黒白銀外装に黒内装選んでください(笑)。 外装デザインが少し惜しいですが、このサイズの車を探している人には本当にお勧めです。まぁ総じてあくまでも「良いモノ感」なんですけど、ここまで一貫して雰囲気作りに成功していれば、騙されても良いかもと思わさる出来ではあります。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好) |
ウィングロード(05.11.24記) |
先代ウィングロードは登場時全く個性が無いつまらないデザインで、あの当時の日産を象徴するような車だったのですが、マイナーチェンジでフロントを大幅に改良し、それ以後若者向けにコンスタントに売れていく安定車種となりました。正直最後まで、ウィングロードが「安い」と言う以外に積極的に売れる要素が、おさーんのおいらには全く解らなかったのですが、今回のモデルを見ても、売れるんだか売れないんだか全く想像も付きません。 筆者個人の素直な感想としては「とても買う気になれない」と言う感じですが、先代も素直な感想として「買おうとも思わない」だった訳で、それがあれだけコンスタントに台数を稼いだと言う事は、筆者の感覚とこの車の購買層の感覚が大きくずれてしまってるわけです。 外装デザインは、他車のドアパネルを流用したのか?と一瞬思えるようなウィンドーラインが(フェンダーのキャラクターラインと反復している訳だけど)特徴的では有るモノの、格好良いか?と言われると微妙な感じ。内装デザインも全然シフトしてないつまらないデザインに、低い品質感を増幅させる黒/グレー1色の組み合わせ。撥水加工シートやイスの畳み方など、確かに道具としては良く考えてあるのかも知れないが、だったらよく考えた営業車の方が格好良いのでは?と思わせる。 今、世間的な日産車の評判は「ちょっとセンスが良い」こんな感じであろう?マーチ、ティアナ、キューブ辺りからは、確かにそんな感じが漂っている。だがその辺りの車種をピークに以後の車はちょいと手を抜き過ぎでは無いだろうか?筆者はおさーんなので、若向きのウィングロードを理解しきれない。だがこの車を買うぐらいならまだホンダのエアウェイブ買った方がシフト出来ている気がする。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
アウトランダー(05.10.31記) |
エアトレックの事実上のモデルチェンジがこのアウトランダーである。エアトレックが出てから約4年、モデルチェンジのサイクルが伸びている昨今としては随分と早いモデルチェンジに感じられる。と言うか、不人気車でも有ったエアトレックのモデルチェンジをするぐらいなら、なぜランサーやギャランの乗用車系やファミリーミニバンのディオンのモデルチェンジをやらないのだ?と言うのが、数少なくなったミツビシャー(三菱者)の素直な感想だろう。 確かに、壊滅的な日本国内での評判を立て直すより、アメリカで軽く一発当てた方が会社の経営的にも安定するわけで。ならこのクラスのモデルは「最重要開発車種」となるのは理解できる。ただ、あまりにも三菱の他の車種がほったらかしになっている感は否めないわけで、その辺り頑張って三菱乗り続けている奇跡的な層に対して冷たいかなと正直思う。日本で三菱車に乗っている人が、この車を欲しがっているとは到底思えない。日本でのライバル車はエクストレイル、エスクード、フォレスター、RAV4辺りですか?エクストレイル以外は惨敗ですね。日本にこういうRV車乗る人はもうそれほど居ないでしょう。 外装デザイン。平凡ですね。最近出たエスクードと区別が付きません。色気も驚きも何も無い。デザイン決定時にはいわゆるブーレイ顔が付いていたようなのですが、その頃の写真と発売されたモノを比べると、残念ながらブーレイ顔のモノの方がインパクトが有って良い気がします。後付のブーレイ顔モデルは酷いモノでしたが(コルト、ランサー)、元々ブーレイ顔を含めてデザインされていたモノは、グランディスしかり、ブーレイ顔を外すと途端に切れ味が無くなる気がします。 内装質感酷いです。これまたスズキなんかと同レベル。コスト削減の為か今時黒内装一色と言うのもスズキっぽくて泣かせます。三菱の内装レベルはコルト発表時がピークで、それ以来全く進歩していません。ドア内張はヒジ当てより上、プラスチック1枚のみです。いくら何でも酷すぎるでしょ?内装でハンドル、イスの次に肌に触れる部分がベコベコのプラスチックのみって・・・そうかと思えばリアラゲッジルームはカーペット貼りで、エクストレイルみたいな汚れても良い感は全く有りません。ラゲッジをプラスチックにして、浮いた分のお金をドアトリムに掛けると言うのがこの手の車としては正解かと。 このサイズの車としては3列目シートが有るというのが、一つの売りらしいんですけど、これがまた昨今の他社のからくり(別にマツダだけを示している訳では無い)シートに比べて何とも扱いがややこしいモノで、畳むのも出すのもツーアクションって言うのには今時信じられません。 まぁ結論として言える事は「誰も買わない」って事だけです。アメリカ人ダマしてそこそこ売って、早くこれベースのセダンなりミニバン開発するべきでしょう。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
シビック(05.10.13記) |
発表会の席上で「シビックという名を廃止する事も考えた」と言われた新型シビック。この言葉がこの車の全てを表している気がします。日本市場ではコンセプトも含めて、完全にシビックの居た場所はフィットに奪われてしまいました。タイプRと言う逃げ道も同プラットフォームのインテグラが有るのですから、これまた居場所が有りません。かといって上を見てもレジェンド/インスパイア/アコードとこれまだどれも売れてない車がぎっしりです。そんな訳で辿り着いた逃げ場はハイブリッドセダンと言うポジションでした。 ただその辺の迷走ぶりは素直にデザインにも現れていて、プリウスが初代、2代目とその形でハイブリッドカーと言うモノを表現してきていたのに対して、このシビックのデザインからは全くハイブリッドカーらしい特別さが感じられません。ホンダとしては特別な意識無くハイブリッドカーに乗って貰いたいと言う考えで、こういう特別感の無いデザインにしているのでしょうが、未だ一般ユーザーの感覚としては、ハイブリッド=特別なモノ、ハイブリッド=進んだモノと言う意識があるはずなのです。つまりハイブリッドカーを買おうと思っているユーザーにしてみれば、誰が見ても「あの人はハイブリッドカーに乗っている」そう解るデザインで有って欲しいわけです。 なのにこのシビックは何なんでしょう?オデッセイで成功した「ちょいワル」フェイスを、採用しようとしたのは解るのですが、この車の購買層に遠慮したのか、何ともマイルドに改悪してしまって魅力を失っています。また流れるようなボディラインは流麗ですが、それが全然前後と繋がっておらずちぐはぐな印象。何より前記したようにこのセダンデザインのどこにも「進んだハイブリッドカー」を感じさせる部分が全く有りません。 シビックハッチバックは日本では全然売れない。小型セダンも正直厳しい。だったらとハイブリッドセダンにしたのは正解なはずなのです。プリウスのライバルとしてバリバリ売っていけば良い訳ですし、売れた筈なのです。なのにシビックの一車種に収めてしまい、デザインもシビックと一緒。これでは売れません。これならまだ「新型ハイブリッド・ドマーニ誕生」として出した方が売れたかも知れません(ドマーニ=明日でイメージも未来に繋がります)。 欧州向けには5ドアが有ります。この車がまた何とも未来的で格好良いデザインなんです。これこそハイブリッドにふさわしい!なのに日本のシビックでハイブリッドにふさわしいのはインパネデザインのみです。正直このままではこの車が最後のシビックになりそうな気がします。ユーザーの頭の中には有る程度の「シビック像」が有るはずなのに、このシビックはまるでそのイメージと一致していません。シビックでない車にシビックの名前を付けてしまってもユーザーが混乱するだけです。5ドアを導入して「シビック」、セダンの方はハイブリッド専用にして別の名前。それが正解だったと思うのですが・・・ 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
ラクティス(05.10.9記) |
新型ヴィッツベースのファンカーゴ後継車。 ファンカーゴ。そこそこヒットした車だと思うし名前もかなり定着していたと思う。なのにトヨタはあっさりとその名前を捨て、どこかで聞いたことの有るような「ラクティス」と言う名前で新型車としてデビューさせた。カペラカーゴがその昔、荷車と言う印象がついてしまう事を嫌ってマイチェンでカペラワゴンと改名したのと同じ理由なのだろうか?しかし車としての成り立ちは「ファンカーゴ」時代の方が遙かに解りやすかった。今回のラクティスは後席を手軽に(その手軽さはまた一段と進歩したが)収納し、広大な空間を生み出せるという意味では、正統的ファンカーゴの後継車なのだが、全車16インチホイール標準装備や、パドルシフトの導入と来ては、一体どんな車に自分自身がなりたいのか全く解らなくなっているのでは無いだろうか? デザイン面でもその迷いは正直に出てしまっている。ファンカーゴはヴィッツベースと言う括りの中でありながら、独特の存在感を出していた。だがこのラクティスは何とも特徴の無いデザインでは無いだろうか?よく言えばスパシオ似、悪く言えばホンダのエリシオン似でトヨタらしさが感じられない実に無国籍なデザインと言えよう。 内装デザインもパッと見明らかに質感が低く、設計年次の古いフィット、コルト、キューブあたりに負けてしまっている。ファンカーゴから全くインパネ品質に関して進歩してないのでは?と思わせるのこの安っぽさは、有る意味トヨタの正直な割り切りを感じる部分でも有る。トヨタはこの上のクラスにカローラと言う王様が居るわけで、このカローラを越える車を下のクラスから生み出してはいけないのだ。ホンダはフィットが売れたせいで、全くシビックが売れなくなってしまった。先に出た一クラス上のシビックの内装より、後から出たフィットの内装の方が出来が良いのだから、そりゃシビック売れなくなって当然である(出来が良かったのは内装だけでは無いが)。 トヨタとしては、安物車は安物車と割り切って背伸びせずに売れていけば良いのだろう。だからユーザーもその辺りはキチンと理解して買うべきだ。一家に一台の車として長くそれなりの満足感を得たいのであるなら、ヴィッツシリーズは避けた方が良かろう。よっぽど他社の同クラスの方が精魂込めて作られているのだから。単純に道具として選ぶので有ればヴィッツシリーズは大変お得な車たちだと言える。 余談だがこの車、実に良く三本和彦氏対策がされた車である。ルーフアンテナを真ん中で無くサイドに設置した点や、リアハッチ左側に間に合わせで付けたようなのが残念だが、左利き用取っ手を付けた点。どちらも氏がお抱え番組の新車情報で頑固に言い続けた事なのである。今度こそスタジオで氏にダメ出しされないように頑張ったのかも知れないが、残念ながら既に氏は勇退され、番組自体も別番組となってしまっている(笑)。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2 |
ロードスター(05.9.17記) |
なんか成り立ちとか価格帯とか考えると、今度のロードスターは諸手を挙げて賛成とは言い難いんだけど、単純に形のみを見れば確かにロードスターに見えて、品質感も有ってなかなか良いモノだと思います。 2.0Lだけになった理由をセールスが上手く説明してくれたんですが、聞けば聞くほどなるほどなって感じです(笑)。やっぱり自動車雑誌のみの印象で考えていてはいけないなとも思いました。先代ロードスターは、AT比率が結構高かったらしいんです。それと言うのも購買層の主流が40〜50代の子育て終わった世代にシフトしてきていて、そう言う人はほとんどMT選ばないらしいんです。さらに先代は1.6LとATの相性があまり良くなかった上に、マツダ自体が1.6Lと1.8Lエンジンの開発を止めてしまったとのこと。そうなると、購買層はお金を有る程度持っている人達、ATで流したいのなら排気量は有る程度大きめな方が良い。等の理由で2.0Lエンジン1本に決められたそうです。 いや、びっくりですよ。ロードスターももはや「おやじグルマ」なんですよ(笑)。サニーやコロナが「おやじグルマ」となって、ユーザーが先細りになっていくのをメーカーが危機感を感じていたのに、スポーツカーで有るロードスターまでもそう言う先細りが考えられる車種になっていたとは・・・ そんなユーザー層が明らかにされると、ますます新型ロードスターはよく分析されて作られてると思います。外装デザインは初代の丸みのあるブリティッシュテイストに戻った感が有り、実に好感が持てます。先代はどちらかと言うとイタリアンテイストで、特にボリュームの一番有る位置が、肩口に来てしまっているのが馴染めなかったんですが、今回の水平貴重で安定感のある丸みは、年輩層にも好んで受け入れられそうな気がします。また相変わらずマツダのソリッドの赤は美しい輝きです。ソリッドの赤の発色でマツダに勝てるメーカーは無いのではないでしょうか? ピアノブラックの内装パネルもマツダにしては高級感の有る演出で、カーボン調や木目パネルより明らかに品がよく見えます。ただ、残念なのは内装基本色は黒で、オプションの皮シートを選んだ場合のみ茶系の内装になるという点です。これだけベージュ内装が世の中に浸透してきたのですから、スポーツカー=黒内装と言うのはいい加減卒業して貰いたいです。 本当は180万円台から手軽に乗れる車で有って欲しいのがロードスターです。パワーウィンドーで無くても良いですし、オーディオレスでもかまいません(どうせ好きなのに載せ替える人が多いでしょうし)。エンジンだって小さめなのを目一杯引っ張って乗るのが楽しいでしょう。でもそういうお客さんは日本ではドンドン減ってるわけです。そう言う狭い層を相手にしてロードスターが無くなってしまうより、マツダはこれからも生き延びる道を選んだわけです。確かに「おやじグルマ」もユーザーが先細りです。でも「落ち着いた品の良い好感の持てるオープンカー」こういうスタンスを維持し続けていれば、子育ての終わった親父達はこの世界に飛び込んで来てくれるはずです。サイフの中身の軽い、いずれスポーツカーを卒業してしまう層を相手にするより確かに賢明な判断だと思います。それにやはり、スポーツカーは酸いも甘いもわかった大人が乗るべきなんですよ。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4 |