09年上半期の新車チェック評

過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。

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1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。

レガシィ(09.6.7記)-試乗済み-

 世の中ハイブリッドか小さい車しか売れていない中、スバルの基幹車種レガシィがフルモデルチェンジを迎えました。そんな世の中の状況を見てか、スバルも用心してティーザーキャンペーンをやっていたのですが、出てくる情報どれも、今の時代と逆行している上に、今までのレガシィのイメージとも違うモノで、出る前から否定的な意見の多い中での登場となりました。

 ショールームに置かれているレガシィ。それがアウトバックだったせいも有りますが確かにデカイ。発表前にネット上でささやかれていた否定的意見の多くは、バカでかいサイズとレガシィらしくないデザインでした。いざ実車を前にして筆者もその意見に同感で、これはスバルやばいんじゃないの?と思いました。

 その思いは外に置いてあった試乗車B4でも全く変わらず。アウトバックよりいくらか低いモノの、それでも車高は先代プラス8センチ。アウトバックに関してはルーフレールも無いのに1600ミリオーバーで、都市部の立体駐車場に入れなくなりました(先代は1535ミリでギリギリ)。ミニバンならともかく、しかもサイズ的に横にも長さでもたいして制約のあるクラスでも無いのに、なぜこんなに車高を高くしたかったんでしょうか?

 これがコンパクトや軽自動車ならわかります。限られた寸法内で人間をキチンと4.5人座らせるには、高さに逃げるしか有りませんから。でもレガシィにはそんな制約は無いわけです。しかも今回のモデルチェンジでは、今まで以上にサイズに対する自制が感じられません。スバルは水平対向エンジンのメリットとしてコンパクトさをうたってきました。だったら高さに逃げなくても十分に広い室内は構築出来たはずです。

 水平対向エンジンのメリットには低重心と言うモノも有ります。しかしレガシィのエンジンルームを見てみると、確かにエンジン自体は低い位置にあります。でもそのエンジンからボンネットフードまで、なんとも空虚な空間が広がっています。エクシーガが発表された時にもふれましたが、高い車高とデザインの整合性を取る為に、低重心のエンジンの上に無駄なかさ上げをして重いボンネットを(もはやアルミでは有りません)乗っけてるわけです。

 と言う具合に、レガシィの高い車高からはメリットがあまり感じられません。確かに室内空間は十分に広いのですが、レガシィのオーナーはレガシィの室内には適度な包まれ感のようなモノを求めていて、この着座位置の高いミニバンのようなモノを求めているとは思えません。もちろんメーカー側もそれは理解しているようで、こんな室内空間にも関わらず内装色は1グレードを除き黒内装のみ(B4)。ガバガバになったのを必死に色でタイトな感じを出そうとしてるのは明らかです。

 質感自体は、元々スバル車の質感がそれほど高くは無かったことから、それなりに向上しています。ただ木目調パネルとアルミ風フィニッシャーのバランスはそれほど良いとは思いません。黒内装でシックな雰囲気を狙ってるのでしょうが、なんだかガチャガチャして落ち着きに欠けます。

 操作系ではサイドブレーキが電磁ロック式になりましたが、その場所が運転席右に来ているのに軽い違和感を感じます。エンジンスタートボタンと近づけたかったのでしょうか?でもエンジン掛けてすぐにスタートと言うよりは、左側ATシフトレバー近辺にまとめて、ATセレクト→サイドブレーキ解除という方が使い勝手としてよいのでは無いでしょうか(もっともアクセルを踏めば自動で解除されるのですが)?

 同じくSIドライブのダイヤルにも疑問符がつきます。ダイヤル形状をしているにもかかわらず、ダイヤルで操作するのは「S」と「S#」のみ。「I」は押さないとそのモードに入らないというのはどうでしょう?別にどのモードに入れても危険な状況とかになるわけではないのに、操作ロジックを変えている意味がわかりません。だったら素直にスイッチ3つの方がわかりやすいです。

 セールスの方が試乗を勧めてくれたので、ほいほい試乗に出向きます。試乗車はB4の2.5iLパッケージ。乗り出して最初に感じるのは、やはり視点が高いこと。今までのレガシィに比べて、明らかに最新の車になった感が有ります。この視点がダメな人や、今までのレガシィの視点が好きな人には、それだけで納得できないのではないでしょうか。

 また逆に、今時の車とは思えないほどその視界にボンネットが入ってきます。ボンネットが見えると言う事は、車幅感覚を掴む上では良い点だと思いますが、そもそもかさ上げボンネットなので視界に入るわけです。水平対向エンジン車の視界としてはがっかりな感じです。

 運転しての印象は、乗り込んだ時のドアの開閉音の重厚さからも解るように、完全に高級車。見事に静かです。目地段差のいなし方もトントンと固めながらも不快じゃない仕上がり。そう言う点ではスバルの主張通り、これでベースグレード220万円からと言うのは、排気量2.5Lの4WD車としては確かに安いです。

 この車がレガシィじゃなくて、まったくの新型車ならお買い得感で引っ張っていく事も出来るでしょうけど、残念ながらレガシィには今まで築き上げてきたイメージがあるわけです。多くのレガシィユーザーは、こんな排気量も、こんなサイズも、こんな腰高なデザインも望んでいないと思うんです。

 レガシィを見ていて思うのは、スカイラインと同じだなと言う事。スカイラインはその歴史上、頭の固い多くのスカイラインマニアに振り回されてきました。でもV35からそれらのユーザーは切り捨て、販売の中心を北米インフィニティブランドに置いたわけです。この変更は基本的には成功し、北米で売れたおかげで、次のV36スカイラインはとてもお金の掛けられた車になりました。車としての出来は、マニアユーザーを切り捨てる前のR34と、切り捨てた後のV36では、圧倒的に切り捨てた後の方が良い車に仕上がっていると思います。

 でも、V36スカイライン。もはや大きすぎて一般庶民が積極的に欲しがる車じゃ無くなってしまいました。いくら車の出来が良くても、このサイズ、この排気量では日本人はなかなか買わないわけです。レガシィも同じですよね。いや、レガシィは日本ではそれなりに売れていたのですから、スカイラインよりユーザーは可哀想です。レガシィのユーザーがスカイラインユーザーほど頭が固いとも思えません。なのにスバルはレガシィユーザーを切り捨てようとしてるのですから。

 スカイラインは北米で成功したからこそ救いが有ります。スバルのブランド力でレガシィは北米で成功できるのでしょうか?日本でそっぽを向かれ、北米でもそっぽを向かれたら、車の出来が良いだけになんとももったいなく思います。それどころか基本レガシィのみで持っているスバルが、このレガシィを外したらどうなるのでしょう?なんとも不安にさせるレガシィのモデルチェンジでした。インプレッサと新型レガシィの間に、もう一車種必要で。それこそがスバルユーザーの求めている車な気がします。果たしてそれはトヨタとの共同開発ハイブリッド4WD車なのでしょうか?

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2。

クラウンマジェスタ(09.5.11記)

 セルシオがレクサスブランドに移行し、名実共にトヨタオーナーカーのトップに立つ事となった新型クラウンマジェスタ。なんてリードが多くの雑誌、ウェブページで用いられているわけですが。個人的な印象ではこれまでのマジェスタ。存在意義がなんとも中途半端な車と言う印象でした。

 初代はロイヤルがペリメーターフレームに対してモノコックボディを採用。2代目は極細縦型テールランプの採用等と、それなりに差別化がはかられていましたが、その差はモデルチェンジと共に年々小さくなり、単純に搭載エンジンと装備の差ぐらいしか感じられなくなってたからです。

 特に先代のマジェスタは車体を共有する、思いっきりスポーティーに振られたロイヤルのデザインを消化しきれずに、高級感の演出に苦悩し、結果ロイヤルとの差別化は、グリルデザインやメッキの過剰な投入で誤摩化したかのような車でした。そんなトヨタの迷走ぶりはセルシオユーザーにも確実に伝わり、セルシオからマジェスタへの買い替えは思うようには進まなかったようです。

 そんなわけで今回のマジェスタ。発売時期もロイヤルとは大きくずらし、なんとかロイヤルとは別の車、そしてセルシオの後継車と認知してもらうべく投入されたわけです。

 筆者の事前に写真で見た印象は最悪でした。先代のスポーティーを消化しきれないアグリーなデザインも酷いと思いましたが、今回の一見コンサバなんだけど、コンサバ過ぎて写真だとプレミオあたりと区別がつかない高級感の無さにもがっくりきてました(ちなみに筆者の中でのベストデザインマジェスタは2 代目。クラウンは4代目のクジラ)。

 ところがアムラックスにずらーっと展示されている実車のマジェスタを見て印象は一変。いやちゃんと高そうに見えるんですよこれ。そりゃサイズがそこそこ大きいんだから、ボリュームで高級感は出るんだけど、それだけじゃなくてちゃんとデザイン練り込まれてる感があります。

 特にグリルの上のフードのプレスラインが有用で、これによってライトより下げられたグリル位置の不安定感を払拭し、ちゃんと高級車に見える顔になっています(このプレスラインが大概の写真では飛んじゃうんだけど)。

 写真でプレミオに見えちゃう要因は、先代でバカほど使っていたメッキ類の使用が押さえられてるってのが原因だと思うんですが、実車ではそれってあんまり気になりません。先代はスポーテイーなロイヤルに引っ張られたせいで、妙な抑揚がトランクラインとかにあって気持ち悪かったんですけど、今回のは常識的なラインでまとめ、どちらかと言うと箱形に近い感じ。これだけのサイズで箱形なら、そりゃボリュームが出て高級感が出るわけです。

 外観の印象が想像より遥かに良かったので期待して中に乗ると、こちらもなかなよろしい感じ。基本今までも、マジェスタはインパネ骨格もロイヤルと共有しているので、どうしてもデザインが似てしまいます。なんとかマジェスタの方が高そうに見えるように頑張るんだけど、乗り比べてみないと差が解らないのが先代まででした。

 ところが今回は木目の使い方も大きく違いますし、何より本木目の説得力が凄い(笑)。ここ10数年トヨタの木目調パネルばかり見続けて来ていて、環境問題もあって本木目のパネルなんてそうそうお目にかかれなかったんですけど、ここまで大胆に使っていて、それが木目調じゃないと誰でも質感の差が解ります。トヨタがやりたがっていた半艶の質感ってのはこう言うのだったのかと。

 また後席に回ると、今回はロイヤルとマジェスタではホイールベースの長さが違い、そのゆとりが明確に後席空間に出ています。そうそうやっぱりこれぐらいキチンと「違う車感」が欲しいですよね。つーかどうして今までこれやらなかったんだ?って感じですよ。シーマとプレジデント程度の台数なら仕方ありませんけど、マジェスタぐらい台数出ているならやるの必然でしょう?

 トヨタはたまに、こう言うお金を掛けなきゃ行けない所を「上手く誤摩化せないかな?」って手抜きする事が有るんですよね・・・ブレードとオーリスの作り分けとか。とほほ。

 最初に記しました筆者がマジェスタに感じていた中途半端感。新型マジェスタはかなりの部分でこの印象を払拭出来ていました。これぐらいクラウンと差別化出来ていれば、セルシオから乗り換えてくれるのでは無いでしょうか?レクサスのデザインを理解出来ない、田舎のおっちゃん達も今度の箱形のマジェスタなら、こっちを選んでくれるんじゃ無いでしょうか?

 結論としては、このマジェスタにこそ今までの王道「クラウン」を感じます。スポーティーに振りすぎたロイヤルの方は昔で言えばマーク2。差別化出来たのは喜ばしいのだけれど、ただのクラウンが安っぽいのは、ロイヤル発表時にも記しましたがなんとも悲しい感じです。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

WISH(09.4.22記)

 ホンダストリームの大ヒットを見て、大慌てで対抗車として生み出し、結果ユーザー横取りに成功したのが先代のウィッシュでした。とは言え、ごっそりユーザー奪った後、ウィッシュ帝国が出来たかと言うとそう言う訳でもなく。こう言う車(5ナンバーサイズ無理矢理7人乗りスポーティーミニバン)を購入する層には、既に行き渡っちゃったと言う感じが、外野の感想です。

 でも1代限りで諦めるほどでは無く、まだそれなりに売れる車なので、ストリームと同じく2代目へとモデルチェンジを果たしました。ストリームの2 代目は、ウィッシュに横取りされた悔しさが開発陣にもあったようで、結構本気で正統進化のモデルチェンジをしたように思いましたが、ウィッシュの方はと言うと・・・

 全然やる気無いです(笑)。ストリームがキチンと全高1550ミリにして、立体駐車場に入れるようにしたのに対して、ウィッシュは全くそのまま 1600ミリ。トヨタ常套のプラットフォーム2世代使い切りの為、ほぼスキンチェンジと言って差し支えない2代目のウィッシュです。

 でもトヨタのやる事ですから、イメージ変えただけで売れるなんてヌルい考えは持っていません。ではこのモデルチェンジのキモは何かと言うと、徹底的に安く売る為の努力をしていると言うこと。一見価格表だけを見比べると、さほど差は感じないかも知れませんが、実は装備内容が桁違い。

 カーテンエアバック、スタビリティコントロールの安全装備が輸入車のように最初から標準装備、ATにしてもCVTで燃費に貢献とカタログ見て、装備表見れば、どっちがお得か誰でも解るようになっています。

 ただ、これだけの物を標準装備にして売るには、当然どこかでそれを調整しなければ行けない訳で、そのしわ寄せが、先代とのプラットフォーム共用に出てたり、内装質感の低下に繋がってると思います。

 内装はデザイン自体もおもちゃっぽくて酷い出来なんですけど、エアコン吹き出し口の半艶梨地仕上げとか、上級グレードのATセレクター部分ピアノ調仕上げとか、本当にこれがトヨタの製品か?スズキじゃないのか?と疑う程の安っぽい仕上げ。

 筆者は、ホンダのレトロフューチャー風宇宙船的内装を評価し続けて来ましたが、ウィッシュのこのインパネデザインは、ホンダのそれを横目で見つつ、うちでもやってみました程度な浅はかなデザイン、仕上がり。トヨタは安いものをデザインでカバーすると言う能力はそれほど無く、結局その部品部品の「質感」でしか勝負が出来ないメーカーなのだと思います。

 とは言え、そんな見た目の安っぽさなんか気にならなくなる装備、内容にウィッシュは仕上がってるのでしょうから、実用性を重んじる、違うな。実用性を重んじるユーザーはこんな無理矢理なミニバン選ばないな(笑)。実利を取りたいユーザーはウィッシュを評価すると思います。

 外装デザインは、新型プリウス風の「ちょっと空力やってます」なバンパーエッジを立てたところが新しい感じ。今はつるんとしてた先代の方が格好良く見えるかもしれないけれど、そのうち見慣れてトヨタの術中にはまるんじゃないでしょうか?

 と言う訳で2代目対決。ストリームが真面目にモデルチェンジしてたのに、ウィッシュは体力差を生かした飛び道具で圧倒な感じ?こう言う事やられると開発陣やる気なくなるよねぇ。日産はそうしてトヨタと全面対決避けるようになったわけだし。多分ストリームは2代目で終わると思います。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2

インサイト(09.3.15記)-試乗済み-

 さてインサイトですよ。今更ですよ。最近試座日記の更新が遅れがちな中でも特に今更感ですよ。と言うのもインサイト、発表前から現行プリウスと比較しての低価格ぶりで一般ユーザーも大注目の車だったわけで。そんな車ですから発表直後にディーラーに行っても試乗するのにどれぐらい待たされるか想像もできません。大体大混雑の中、買う気もないのに試乗したら他の本気で買おうと思ってる人達に申し訳ない感じ。そんな訳で発表からしばらくはじっと我慢の子。ようやく先日、平日に時間を見つけて無事試乗を済ませて来ました。

 まず形。2代目プリウスに似てるって意見が多いみたいですけど、そんなに似てますかねぇ?いや確かに影絵にしてシルエットだけ見せられたら、区別つかないと思いますけど、そこまでのレベルで話ししちゃうとハイト軽なんかみんな同じに見えますよね?

 個人的には2代目プリウスって格好悪いと思っているので、それに比べるとこのインサイトは普通に格好良いと思います。と言うかトヨタって時々変なディテイールで、フォルムは良いのに台無しってデザインを出してくるんですけど、あれってユーザーに挑戦してるんでしょうか?(笑)インサイトの解りやすい格好良さは、とにかく無駄なディティールがない事につきます。

 顔はFCXクラリティから始まった新しいホンダ顔。これはマツダに定着度で完敗だった五角形グリルに比べ、遥かにオリジナリティの有る良い顔だと思います。そしてこの顔のヘッドライト下端からサイドに延びたキャラクターラインが、リアランプ下端までキレイに繋がって行きます。さらにこのリアランプの斜めに降りて来るラインが、パンパーの継ぎ目とリアドアの開口ラインとも揃えられていて、視覚的にもの凄く収まりが良い感じです。簡単に言えば奇をてらってないデザインで、あまり人に嫌われない仕上がりだと思います。

 中はどうでしょう?インパネ材質はプラチック丸出し。ソフトパッドなんかは全然使われておらず、この車のベースがフィットクラスだと思い知らされます。でもシボの工夫や、何よりこれまたFCXクラリティ風のインパネデザインが安っぽさを感じさせません。外装と違い人によってはこのSFチックなインパネは奇異に感じる人も居るかもしれませんが、筆者は一連のホンダの宇宙船的インパネを好意的に見ていますので肯定派です。

 デザイン的には好評価の内装ですが、パッケージングとしてはもう一つです。後部座席は身長170センチまでの人なら快適。それ以上の人は天井が気になりますし、180センチクラスの人では完全に頭がついてしまいます。もう少し屋根を上げるか、尻を下げるか出来なかったのでしょうか?低床コンセプトで慣らしたホンダとは思えないパッケージングだと思います。

 では試乗です。既に多くの方が試乗して、ネット上にも感想文多数ですが、おおむねその方達と同じ感想です。インパネ表示によるエコ運転がゲーム的感覚で楽しい。乗り心地はホンダ車らしくいまいち。緑表示を気にしないで普通に走れば普通の車。ハイブリッドだからと言う事を意識させられない。

 乗り心地はやっぱりホンダって感じですね。イスのランバーサポートの張り出しが調整も出来ないのに変な所で出っ張っていて、それがまた印象を悪くしてるんですけど、やっぱりぴょこぴょこゴトゴト。フィットがそうであったように、これから微妙に改善されて行くんでしょうけど、もう少ししなやかに出来無いんですかねぇ。セールスに指摘すると当然のように「車好きの方に喜んで頂けるように、ちょっとスポーティーに仕上げてあります」と。萎え萎え。

 で、おいら文系車乗りなんでメカメカした所はあんまりよく解らないんですけど、セールスが言うには「プリウスと違ってホンダのハイブリッドは、エンジンの補助の為にモーターを使ってます。言うなればターボみたいな感じです。」だそうで。だから発進時や加速時、エンジンの力が足りない時にモーターが加速を助けるそうで。

 でね。上記状況でエンジンの力が足りないなと思ってアクセル踏むと、確かにその足りない分は補われるんですよ。でも例のインパネ表示は緑→青(緑がエコ運転。青はダメ運転)になっちゃうんですよ。それって意味無いんでは?(笑)

 小さいサイズのエンジンの非力分をモーターでアシストするのに、そのアシスト利用するとエコじゃないって・・・。で、インパネ表示を緑にしたまま走るのがゲーム感覚で楽しいのは楽しいんですけど、発進時にまでそれを気にするとかなりだるい運転になる気がするんですけど。

 言うなればターボのついてない軽で、エンジンうならせずに発進加速するみたいな感じ?これって、後ろの車とかイライラしますよね。エコは大事かも知れないけれど、それを自己中心的に解釈して周りに迷惑かけるのはエゴなわけで。そう考えるとホンダのハイブリッドってちょっと微妙な気がして来ます。

 だってこれ、普通にフィットとかにハイブリッドシステム無しで、このエコインパネだけつけても抜群に燃費よくなりますよね?このインパネ表示が有る限り小市民達は気持ち良く運転出来ないですよ。なのにスポーティーな足回りってやっぱりホンダどうしたいんだ?

 つーわけで、デザインOK。ハイブリッドシステム疑問。さらに言うと、このシステムを搭載したフィットハイブリッドがそのうち出るらしい。そうなってくると、対プリウスで考えると(いやハイブリッドの出来で考えるとトヨタ圧勝なので違うな)、ハイブリッド車としては安いと思われていた値段も微妙な感じに。フィットハイブリッドの方が安くて、燃費も良くて、後席も狭くない。なんかインサイトの天下って短い予感がしますよね(笑)。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

ブーンルミナス(09.3.5記)

 100年に一度の大不況と言う事で、売れている車は軽自動車とコンパクトのみ。ちょっと前まであんなに大ブームだったミニバンも、かなりの失速具合という話しです。このブーンルミナスの双子車パッソセッテにオプション付けた状態と、ノアの値引きてんこもりが競合して(価格的にあまり変わらないらしいです)、セッテが勝つというのですから時代は変わりました。

 と言うわけでブーンルミナス、コンパクトミニバン。ミニミニバン?です。ホンダがフィットベースのフリードを当てているのをトヨタ(ダイハツ)が黙って見ているわけが有りません。トヨタにはシエンタが有るにも関わらず、価格でより良い勝負が出来るようにと、身内競合も恐れずに投入されたわけです。

 そもそもトヨタはカローラスパシオで、コンパクトカーに無理矢理3列シートを詰め込んでは失敗。と言うのを2度も繰り返したわけです。また他社でも、デザインや売り上げはともかく、日産キュービック、ホンダモビリオらも、やはり3列目シートは絵に描いた餅でしか無かったわけです。

 でも、チャレンジは続けているとちょびっとずつでもマシになってくるものです。ホンダのフリード、このルミナスと、自分は絶対に乗りたく無いけれど、部活の後輩なら放り込んでおけるレベルまでに3列目空間は拡大されたと思います。

 姿勢は相変わらず体育座り系、ヘッドレストはリアハッチに接触しそう。渋滞最後尾では気持ちが落ち着かない。でも100年に一度の大不況は、こんな車を肯定しちゃうわけです。ノアやステップワゴンの3列目だって、結構な恐怖なのに、ノアとセッテを見比べて、こっちにしちゃうと言う消費者心理が本当に解りませんよ(呆)。

 外観デザインに関しては、もうその辺にゴロゴロしてる系。新しさは全く無し。ヨーロッパの新型車としても通るかも知れないけれど、アジアンカーとしても納得なデザイン。内装質感もプラスチック全開。ただインパネを樽型にして奥行き感を出すのは最先端(笑)。ツートーン採用で一見みすぼらしくも見えないし。

 ドア内張りなんかはかなり安っぽい感じ。普通シボが違う部分は別パーツだったりするんだけど、完全一発抜き。モデラーなら境目にスミ入れしたい。よく見ないと気づかないって事は、技術が有ると納得すれば良いのかな?

 総じて、今の時代だからこそ売れる車。逆に言えばホンダフリードに続き、今、これをこのタイミングで出せるトヨタ(ダイハツ)はやっぱり素晴らしい。

 おいらは絶対にこんな車運転している所を見られたくは無いし、嫁や彼女の助手席としてもごめん被りたい。つーかCMで、これに奥様7人乗ってしゃれてるけれど、あれもなんか変な緊張感があって嫌な感じ(笑)。女が7人もつるんで仲良いなんて絶対に有り得ないし、実際有ったら席順で人間関係の優先順位が垣間見えたりするよね。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2。

フェアレディZ(09.2.9記)

 残念な事に多くの一般ユーザーが支持しない為、日本で2ドアクーペな車ってほとんど無くなってしまったわけです。それでも日産はZとスカイラインを出し続けてくれてるわけですよ(あ、GTRもね)。そんな筆者の車歴には1台も2ドアクーペが無いので全く申し訳なく思います。でもそんなクーペバージンの身でも、やはり自動車と言うモノ。ユーザーが単純に憧れられるような、スタイルや性能優先の車が有るべきだと思うんですよね。そう言う車がほとんど受け入れられない日本ってのは寂しい国だなぁと、すでに若く無い感性で思ってしまいます。

 割合、こう言うユーザーに受け入れられ難い(と言うか単純に販売台数が少ない)ジャンルは、トヨタが頑張って続けると言う印象が有ったりします。ずーっとコロナに5ドア設定してたり、FFひっくり返してMRカーも作り続けて来ました。でもそんなトヨタですらさじ投げた、2ドアクーペ市場に日産が3台も車種を投入しているのは不思議な印象です。

 それもアメリカ市場が頑張ってくれたのと、ゴーンが自動車文化としてのクーペを大きく認めていると言うのが大きかったと思います。ゴーンが来る前の日産であれば、あっさとり2ドアクーペなんて諦めていたと思います(実際Zは一旦絶版になってますし)。

 そんなわけでアメリカ人が頑張って買ってくれたおかげで、Zは6代目を迎える事になりました。写真等で見た印象は、これまたキープコンセプト。しかもヘッドライトやテールランプに過剰なディティールを付けて、小手先だけの変化で誤摩化していると感じていました。全く日産しょうがねーなーと思いながら実車を見に行ってみると。

 良い。これが良いんですよ。キューブと一緒ですね。確かにパッと見は先代と似たような雰囲気で、同じ色ならモデルチェンジしたの?とか思いそうなんですが、よくよく見てみると全然違って見えて来ます。正常進化は正常進化なわけですけど、進化というより深化?メーカーサイドが言ってるように、どちらかと言うと初代や2代目の雰囲気が感じられます。

 5代目と比べると5代目の方がペキペキしていてデザインに遊びが無い感じ。6代目はそこになまめかしさが加わって、非常に色気が有るデザインになっています。5代目が出た時に一部でアウディTTの影響が感じられると言われましたが、アウディTTの初代と2代目の関係とも似ているかも知れません。

 問題のブーメラン型のライトですが、前はともかく後ろはデザインとし上手くに消化されています。後ろのランプの形状は、バンパー、リアフェンダーと絶妙に組み合わされていて、ブーメラン型にする必然性を感じるのです。ヘッドライトの方は、リアがあまりにもキレイに決まったので、じゃあ前にも反復して採用するか程度の仕上がりですが、写真なんかで見るよりは自然な仕上がりで悪く無いです。

 内装の仕上がりはスカイライン系と同じで、先代が売れたおかげでそれなりにお金を掛けられた感じ。先代の潔い程のプラッチック感は鳴りを潜めて、大人のクーペとして恥ずかしく無い仕上がりだと思います。あと、こう言う車だから仕方無いんですけど、リアラゲッジは薄ーく平べったい空間しか有りません。だからカタログでも写真無しです(笑)。ただこちらも先代ではドーンとタワーバーが横に走ってたのが、新型では多少考えられた体。

 日産が頑張って2ドアクーペ作り続けてくれるのは非常にありがたいんですけど、やっぱり残念なのはその排気量。3.7Lエンジン1本と言うのは中々厳しいですよ。新車では無理でも中古で・・・って言う層の夢も希望も打ち砕く感じ。絶対乗るぞ!って言うユーザーだけでなく、ちょっと乗ってみたいと言うユーザーをも取り込める方が良いと思うんですけどね?昔は必ず2.0Lターボなグレードが有ったものですが(笑)。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

アコード(09.1.14記)

 ホンダの上級車種(レジェンド、インスパイア)のラインナップが詰まっているという話しは以前書きましたが、新型アコードもその傾向に拍車を掛けるモデルチェンジとなりました。本来ならコロナ、ブルーバードクラスだったアコードが、2.4Lエンジン、ボディサイズも全長4.73メートル、幅1.84メートルと言うサイズになってしまいました。全長はともかく、この幅方向のバカ拡大はどうにかならないのでしょうか?

 もっともホンダ的には、下からフィット、新型インサイト、シビック、アコード、インスパイア、レジェンドとラインナップの整合性は取れていると考えているのでしょうけど、上3台が大きすぎる上に、致命的に売れない現状では、何のために販売しているのか解らない状況です。

 日本ではセダンなんかどうせ売れないので、欧米のおこぼれを日本に導入しているだけと言う事情は理解出来るのですが、それにしても無駄なサイズに無駄なラインナップだと思います。日本でどうせ売れないのならと、価格帯を上に移し、いわばニッチ層、輸入車を購入するような層にのみ絞り込んだのが今度のアコードなんでしょうけど、この世界的不況でそんな戦略が当たるとも思えません。現にBMW辺りは大幅な売れ行き減がささやかれています。

 外観デザインは、先代のデザインに欧州車っぽい踏ん張り感をプラスしたもの。その踏ん張り代が素直に幅の拡大に繋がっている感じです。デザインのテーマ的には3代続けて同じようなテーマ。グリルからの流れをウェッジシェイプで引っ張り上げるありふれたデザインです。

 個人的には先代セダンのデザインは好評価だったんですけど、国内では全く評価されず惨敗。それまで代々抜群に格好良かったワゴンも、先代はパッしない仕上がりの上に、ミニバンブームに巻き込まれ同じく惨敗。なのにも関わらず、同じようなデザインでモデルチェンジと言うのは理解に苦しみます(ヨーロッパでは好評だったんでしょうか?)。

 ドアを開け中に入ってみると、どこかで見たホンダらしい空間が広がります。ただ得意の宇宙船方面にはあまり振られていないので、至極常識的な印象。ホンダとしてはクールなデザインにしたかったんでしょうけど、個人的にはもう少し暖かみが欲しいと思います。仕上がりはホンダ内装全盛期より一段落としてある感じですが、世の中の状況考えれば仕方無いですね。

 上記クールな印象と繋がるのかもしれませんが、座ってみての感覚はタイト。少なくとも開放感みたいなものは有りません。特に後席の足下はこのサイズの車としては悲しくなるぐらい狭いです。レジェンドもそうですが、ホンダの上級車は二人乗りなのか?と思わされます(笑)。

 多くのホンダディーラーでは、このアコードの隣に大概オデッセイも置いてあるわけです。アコードを見たらサイズ的に大差ないので、ついでにオデッセイも見ますよね。で、後席に座ったり、おもちゃっぽいけど派手なインパネとか見る。そりゃ普通オデッセイを買いますよ。少なくとも素人が乗って触って解る範囲で、アコードがオデッセイに勝ってると思える所はどこも有りません。

 むしろアコードとオデッセイは統合しちゃえば良いと思うんですよね。今のオデッセイは基本日本仕様車ですし(中国には出してたかな?)、ワゴンみたいなミニバンなんですから。顔はオデッセイに統一すれば日本で定着に失敗した五角形グリルの縛りからも離れられます。アコードワゴンは廃止してオデッセイに。つまりセダンはアコード。ワゴン&ミニバンがアコードオデッセイに。元々初代オデッセイはアコードから急遽生み出した車だった訳ですしね。

 とにかく今のホンダの上級車には全く魅力が有りません。いくら車としての出来が良くても、サイズ、デザインに問題が有りすぎます。ホンダが日本国内ではフルラインメーカーで無くなる日も近いのでは?そんな不安を感じさすアコードのモデルチェンジでした。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)

ラパン(09.1.10記)(09.10.19補記)

 先代はモデル末期のアルトの派生車として登場して、7年弱たいした改良もされずに、それでもコンスタントに売れ続け「アルト」銘柄の台数確保に貢献した車でした。しかしさすがのスズキも、7年の時間経過は作り過ぎと考えたのか?遂にモデルチェンジを果たすこととなりました。

 とは言えその姿形はどこからどう見てもラパン以外の何物でも無く、街中を走っているのを見ても、新型なのか旧型なのかは一般人には区別がつかないでしょう。元々先代ラパンのベースとなったアルトがモデル末期であった為、新型ラパンはプラットフォーム的には2世代分新しくなっているので、形は変わらなくても車の出来としては大きく良くなっているのが、今回のモデルチェンジの売りなのでしょう。

 同じようなキープコンセプトでのキューブのモデルチェンジは、変わらない中にも新しい提案が有るという事で、個人的には大絶賛だったのですが、このラパンのモデルチェンジには全く新しい提案が感じられません。外形、内装、どれを取っても全く先代発表時から変わりない。進化も深化も感じられない縮こまったモデルチェンジだと思います。

 ただ唯一誉められるのは、おそらく買ったユーザーが感じられるであろう満足度の高さ。これはスズキの車としては抜群に高いと思われます。筆者がスズキの車に言い続けている苦言。それはユーザーを見切っているという点。スズキの車は常にメーカーの都合で「こんなモノでいいだろう」感が溢れています。

 ほんの少し前にモデルチェンジした、スズキのドル箱ワゴンRとこのラパン。価格帯的には殆ど同じはずなのに、そして台数的にもワゴンRの方が売れるはずなのに、誰がどう見てもワゴンRの方が安っぽい仕上がりです。スズキがやる気を出せば、キチンとラパンのような仕上がりの車を作れるわけです。

 でもスズキはワゴンRではそんな事はしません。ワゴンRのお客さんはそんな事をしなくても、そんな所にお金をかけなくても買ってくれると見切っているからです。スズキは万事がそんな感じです。うるさ型の客(欧州市場等)向けにはキチンとした車を作るくせに、客が黙っているととことん安く上げ利益を搾り取ろうとします。

 その辺り、常に4年毎にモデルチェンジをして、その都度最新最高の技術を投入しようとするダイハツの姿勢を見習って欲しいところです。企業とすれば正しいのはスズキでしょうが、ユーザーから見て正しいのはダイハツでしょう。話しが脱線しましたが、そんなスズキの中でもうるさ型のユーザーに支えられているのがラパンな訳です。だからラバンにはすみからすみまで神経を使った跡が感じられるのです。

 噂によるとこのラパン。日産ブランドでキャーブミニとして売られるのだとか。確かにそのスタイルは先代キューブに似ている気もします(オリジナルデザインはダイハツのフェローだと思いますが)。グリル替えが上手く行けば、今までの日産の軽の中で一番日産車っぽく見える1台になりそうです(いまだに売られてませんね・・・)。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

 

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