過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。
1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。
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エルグランド(10.10.23記) |
初代モデルででっかい鉱山を掘り当てたモノの、当然それをトヨタが見逃すわけもなく、エスティマベースでちょいちょぃっと作ったアルファードがバカ当たり。さらにそれだけでは満足できないトヨタは、デザイン的には優れていた2代目エルグランドを叩き潰す為に、見た目もそっくりなヴェルファイアを投入。かくして日産対トヨタはいつもの図式に収まったわけです。 2代目があまり売れなかったのに躊躇したのか、3代目エルグランドの投入は遅れに遅れて8年ぶりのモデルチェンジ、その間に売れなかった理由を考えて導き出したのが「FRで狭いから」。そんなわけで、後出しされた方がマネをするって言う、どっちがどっちなんだか解らない展開になるも、取りあえずムラーノベースのFFフラッグシップミニバンをひねり出しました。 もちろんプラットホームの共用化が進めば、コストの削減も出来ますし、確かにFRベースより室内は広く出来るでしょうから、スペースが大事なミニバン、それも重役車にもなりうる車としては、トヨタ方式が結果として正解かもしれません。でも志し的には後退だよなと思いながら実車を見てみると、なんだか腑に落ちない点ばかり出てきます。 まずFF化によって車高が低く抑えられたという点。筆者は基本的に、後車の前方視界を遮る車全般が大嫌いなので、車高を少しでも低くしたと言うのは評価したいところなんですけど、所詮ミニバンはミニバンなので五十歩百歩な印象は変わりません。むしろこう言う車を購入したい下品な感覚を(失礼)お持ちの方々は、小山のような存在感で威張りの効くのを好むんじゃないでしょうか? また「背を低くしたのでセダンからの乗り換えでもアルファード等より運転感覚に違和感がありません」的なことをセールスが言ってますが、これも、こういう車を買おうと思った人は、庶民を見下ろすような視線に優越感を感じて選ぶわけですから、ユーザーの好みの逆を行ってるような気がします。 そんな違和感はデザインからも感じます。顔こそ2代目エルグランドの印象をそのまま引き継いでいますが(これも8年前のデザインで、さらにヴェルファイアで猿真似されてるのに、まだ続けますか?と言う気もしますが)、車高を低くした事による印象の変化を意識したのか、変にキャビンを絞り込み、スポーティーな演出になってしまっています。 当然このしわ寄せは室内に影響していて、広々感が大事なミニバン、それもフラッグシップの室内が、FR時代と大して変わらない印象になってしまっているのです。トヨタに広さで負けたと判断してのFF化だったのに、全く何をやってるのか?という感じです。 初代、2代目FRエルグランドは、2代目の販売実績は別としても、車自体の仕上がりには王者の風格のようなモノが有りました。それが販売実績で完敗して縮こまったのか、この3代目はトヨタとの直接対決を避けようという、何ともチキンな方向性です。その方向性は、ホンダが失敗した方向と同じ。「背を低くして運動性能を良くする」いやいや、オデッセイしかり、エリシオンしかり。8年間何を見てきたのでしょう? 何度も言いますが、エルグランドは日産のフラッグシップミニバンなわけです。ニッチな戦略取って、ちょこっと台数稼ごうなんて車じゃダメですよね?コンセプトもデザインも、骨太で王道を感じさせる車じゃないと。こんな事をしてるから、せっかく生み出した鉱脈を簡単に奪われちゃうわけですよ。 室内デザインも、2代目の、質感こそ及ばないモノの新しいモノを生み出そうという姿勢は素晴らしかったのに、何?この見慣れた木目頼りのデザイン?こういうデザイン、質感で、クラウンを擁するトヨタに勝てるわけがありません。室内スペースも、ホンダの同コンセプトに比べて、低床化技術のツメが甘いのか、明らかに狭いです。3列目シート、荷室は、とてもフルサイズミニバンとは思えない狭さです。こんな結果を招くのだったら、背なんか低くしなくて良いでしょう? 幸い初代エルグランドを買ってくれたユーザーが、乗り換えてくれる可能性が有るので、そこそこ台数は出るかも知れません。でもこんな志しの低いエルグランドに、日産ファン、エルグランドファンは忠誠を誓う必要は無いですよ。結局次のアルファード、ヴェルファイアが、巧みに背を低くしたデザインをこなして、差は開く一方になるでしょう。 よく日産ファン、ホンダファンは「トヨタは後出しジャンケンでズルい」的な事を言います。確かにその通りです。でも日産もホンダも、後出しジャンケンのさらに後出しでどうして挽回しないのでしょう?一度後出しされて負けると、たいがい日産もホンダもその鉱脈は諦めて、変化球に逃げてしまいます。トヨタが後出しジャンケンで売れる車を作るのなら、それをマネして研究して、よりよい車を生み出すべきでしょう? 2代目エルグランドまでは有った、キングオブミニバンとしての本物感。それがこのFFエルグランドからは残念ながら感じられません。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) |
スイフト(10.10.3記)-試乗済み- |
初代モデルは軽自動車Keiの拡幅モデルで、安さだけが取り柄のやっつけモデルでした。ところが欧州での好評価に気をよくして気合いを入れて開発した2代目は、スズキが本気を出せばこんなにちゃんとした車が作れるんだと、日本でも評価され、フィット/ヴィッツに対する外しのエース的ポジション(昔のカローラ、サニーに対するジェミニみたいな感じですね)を確保しました。 ただこの本気を出したスイフトを日本国内に導入したせいで、いかに今まで軽自動車を筆頭に、スズキが日本国内をなめて日本ユーザーを見切っていたかがバレてしまったわけで、そう言う意味でより一層の本気が求められるのが、この3代目スイフトなわけです。 ところが発売前に発表された写真を見てびっくりです。そのスタイルはマイナーチェンジかと思うほど変わり映えがせず、スイフトオーナーでもない限り新旧の区別はつかないモノでした。欧州ではヒット車のモデルチェンジでこういうキープコンセプトは割合よく用いられ、そしてモデルチェンジ自体も成功したりしますが、日本では守りのモデルチェンジとされ大概芳しくない結果となってしまいます。 特に外しのエースとはいえスイフトは小型大衆車です。路上に多く溢れデザインの陳腐化にかかる時間は高級車や外車より早いのは明らかです。果たしてこのデザインがあと6年持つのでしょうか?さらに準備された色もこれまた旧型スイフトと殆ど同じ。ザクみたいな色が新色で追加されてますけど、これ以外は新型車だと主張する色はまるで無しです。 また残念なことに先代に引き続き内装色は黒一色です。後から特別仕様車とかでカラーバリエーションを追加するのであれば、どうして最初からユーザーの選択肢を増やす努力をしないのでしょう?この辺りのスズキの姿勢は本当に評価できません。 さてそんな変わり映えしない新型スイフトですが、乗ってみると印象が一変します。と言うか、取りあえずスイフト乗らないとダメですよみなさん。既に雑誌やネットで高評価だったのでかなり期待値が上がっていたのですが、見事に期待通り、いや期待以上の仕上がりでした。 アイドリング時の静粛性、しなやかかつどちらかというと柔らかいと言っても良い足回り。若干1.2LエンジンのせいかCVTのセッティングのせいか、アクセル踏み始めの力強さに欠ける気もしますが、それもマツダ車に多く見られる踏み始めだけグイッと出るまやかしセッティングじゃないだけ好感が持てます。本当最近乗った車ではシトロエンC3と並んで最も良い仕上がりだと思います。 しかもこの車が130万円程度なのですから、これはマーチがタイ生産なのに思ったほど安くなかったことを考えると、その価値はグーンと上がってきます。ただ先代も燃費自体はそれほど良くなかった印象のスイフト。その辺りが機能上の唯一の弱点かも知れません。素でも燃費の良いフィットにはハイブリッドが追加され、マーチ、デミオにはアイドリングストップ。トヨタもヴィッツ級のハイブリッド車の登場が噂されてます。 ワゴンRにはアイドリングストップが有るのですから、スイフトにもそのうち搭載されるのでしょうが、これまたユーザーのことを考えてないお家の都合優先でゲンナリです。今スイフトを買った人が、半年後や1年後にアイドリングストップ付きが発売されたらどう思うでしょう?だったら新車発表時にラインナップに揃えておくか、最低限発売予定のアナウンスをしておくべきでしょう。 と言うわけで、この形、色に不満がなく、後出しでしれっと燃費スペシャルを出すスズキのユーザーに対する姿勢も気にならないのでしたら、現状コンパクトカーで一番お勧めの車です。正直ライバルになるのは、広さと燃費のフィットぐらいしか思いつきません。本当、この出来でデミオや先代マーチのようなデザイン、色なら買っても良いんですけど、日本車ってなかなか上手く行きませんねぇ。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) |
マーチ(10.9.25記) |
発売前から、タイ生産でびっくりするほど価格が安いらしいぞとか、デザインが発表されたら、トヨタのパッソそっくりだったとか、アイドリングストップ付きで燃費が凄くよいらしいぞとか、色々と話題に事欠かなかったマーチですが、ようやく試乗込みで見てきました。 まずスタイリング。思ったほど新型パッソが走っていない為、それほどどこかで見たこと有る感は漂ってません。むしろ昔のフェアレディZ的なフロントに見え、日産車の血筋を感じさせるデザインかも知れません。一応日産も気を遣ったのか、パッソでイメージカラーのように扱われているオレンジはラインナップから外しています(デザイン発表時のメインカラーはオレンジ)。 ただ先代のデザインが素晴らしすぎた為、正直新型のデザインはパッとせず魅力に欠けるのではないでしょうか?特にショルダーからテールランプに続くラインのせいで、リア周りが収束していく感じが無くなってしまったのが残念です。 内装は、デザインとツートーンの配色で上手くカバーしていると思います。と言っても最上級グレードのみですが(笑)。カタログでも内装の写真はすべて最上級グレードのみで、売れ筋グレードの写真は有りません。さてタイ製タイ製と問題視されていましたが、少なくともショールームでボンヤリ車を見てる分には、さほど品質に問題は感じられませんでした。 筆者はパーツとパーツのチリにはそれほど拘るタイプでは無いので、そう言う部分に神経質になってコストがかかるぐらいなら、その分選べる色(内装色とか)を増やしてくれてと考えるタイプです。そう言う意味では、いくらフィニッシュレベルが高くても黒内装一色のスイフトより、いくらか選択肢の有るマーチの考えを支持します。 むしろチリより気になるのが、塗装の質です。これもソリッドカラーならともかく、どの色にもほぼ確実にパールが入るようになっている今の塗料では、遠目に見る分にはどの車もキラキラ輝いています。むしろ最近の日産車の塗装の質は、著しく低下していると個人的には思っているので(もはやマツダレベルと言っても過言ではないでしょう)、あまり国内生産とタイ生産の差は感じません。 と、ここまではショールームでざーっと見た感想ですが、今回はアイドリングストップ仕様車を試乗してみました。肝心のアイドリングストップに関しては非常に良くできている印象です。すぐ止まり、すぐ掛かるのは当然として、右折レーンでいつでもパッと曲がれるように、アイドリングストップ後、ハンドルを切りこむとエンジンが始動し、一度始動すると車が走るまでエンジンは止まりません。問題点としては、他に補助のバッテリーを持っていないので、アイドリングストップ時はエアコンが切れてしまいます。今年のような猛暑の渋滞時では、正直アイドリングストップ使ってられません。 走り出しての印象は、3気筒だからと言ってもの凄くうるさいと言うことは有りません。また町中を走っている程度では非力にも感じませんでした。ハンドルも先代モデルが出た当時の、どこ走ってるか解らないような軽すぎて接地感のないモノではなく、至極まともで違和感有りません。 ただなんとも残念なのが足回り。正直乗り心地はあんまり良いとは思えず、90年代頃までに良くあったリッターカーの乗り味。それ以上にげんなりなのが、タイヤのロードノイズ。いくら3気筒エンジンが静かでも、アイドリングストップで停止時静かでも、このタイヤのロードノイズで全てパーです。また試乗車では特に問題なかったのですが、同乗したセールスさんの話では、車内の異音が出る車が多いそうで、しかもディーラーレベルではその音を消しきれないらしいです。 そんなわけで、現状マーチ購入は正直「待て」でしょう。前記したように、筆者はチリなどの品質はどうでも良いと考えています。でもいろいろな音に関しては、出なかったり小さかったりにこした事は有りません。タイの人たちがもう少し作り慣れてくれるのを待ちましょう。 あと、誰もが指摘していますが、このタイ生産マーチ。決して安くないんですよね。アイドリングストップで燃費が良くなってることのみが、対旧型とのアドバンテージで、デザイン、質感、品質、価格、どれもが旧型と良い勝負か、若干負けている感じ。旧型の在庫車を買うか、他社に流れるか、今すぐ買い換える必要のない人は、やっぱり「待て」ですね。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) |
プレマシー(10.7.25記) |
さてこの3代目プレマシー。5年ぶりのフルモデルチェンジと言うことなんですが、横から見るとあまり変わった印象が有りません。確かにナガレをモチーフとしたレリーフが入ってるので新型と解りますが、そのシルエットは先代と殆ど変わりありません。 サイズを比べてみても、ホイールベース、全高、室内幅、室内高が同一と、ほとんど変わっていません。つまりこの車は、ガラス部分の先代と共用というのでも解るように、ビッグマイナーチェンジと言うのが正解なのではないでしょうか?スキンチェンジだけで終わってしまっていては、モデルチェンジの為のモデルチェンジと非難を受けるので、中上級グレードにはアイドリングストップの「i-stop」を装備したのが、モデルチェンジの唯一の意味合いという感じです。 そんなわけで、実車を見てもさしたる感慨もなく、新しいモノ感もあんまり感じられません。フロントデザインもお馴染みの歯茎を出して笑っているようなマツダ顔ですので、似合ってるとは思うモノの、どこかで見た印象となってしまいます。 唯一新しさを感じるのが、前記したナガレモチーフのレリーフですが、やはり心配なのは、凹ませた時の修理方法。メーカーでは「板金可能」。ディーラーでは「多分キレイに直すのならドア交換の方が早い」との回答です。この凝ったキャラクターラインが、板金でキチンと直せるか、あるいはドア交換でも安値で直せるのであれば、これからの自動車デザインに色々使えそうな気がしますが、今後のマツダ車にどれぐらい採用されるかで、コスト面の回答が出そうな気がします。 マツダの言い分ではi-stopがついても、先代と変わらない価格を目指したとのこと。しかしそのしわ寄せは明らかに室内に現れてます。元々マツダの室内の品質は高い方ではありませんでしたが、それでもベリーサのマイチェン辺りから、それなりに見られるモノが増えてきたように感じていました。ですが、このプレマシーははっきりと安っぽいです。軽自動車の上級グレード辺りにはかなわない感じですし、ひょっとしたら黒内装のモデルでは先代より安っぽく見えるかも知れません。 3列目シートは、ウィッシュやストリームより劣る感じで、筆者だと当然のように頭が天井についてしまいます。2列目のウォークスルーも、カラクリシートの仕掛け自体は楽しいですが、なんとか通れるレベルでしか有りません。ミニバンをモデルチェンジしているのに、その室内空間がほぼ先代のままなんですから、本当にモデルチェンジの意味がありません。 と言うわけで新型プレマシーは、i-stopがついた以外はあまりの変化の無いモデルチェンジです。そして質感自体は下がってるとも言えます。車としての煮詰めは、踏むとグイッと加速するアクセルのバカセッティングを止めるなど、自動車評論家の評価は高いみたいですが。 今まででしたら、マツダスパイラル(安く買えても売る時に値段が付かず、結局次もマツダ車を買うしかない状態)に巻き込まれても、車の出来が悪くなければ10年乗って、乗り潰してしまえば良かったのですが、今は自動車発明以来の大転換期です。i-stopのついてないただのプレマシーは当然、i-stopのついてるプレマシーでも10年乗り続けるのは厳しいかも知れません。10年後のガソリン価格は一体いくらになっているでしょう? ガソリンが高すぎて、同じ車に10年も乗ってられないなんて事はあり得る話です。同じ車に長く乗るつもりなら、現状の最先端技術の車に乗っておくべきです。それでも今このサイズのミニバンが欲しいというのであれば、数年後に乗り換える時に、キチンと値段がつく車にしておくべきです。このプレマシー、メーカー自体が「待ち」でスキンチェンジのモデルチェンジをしてるぐらいなんですから、ユーザーも「待ち」でスルーするのが正解なんじゃないでしょうか? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
ジューク(10.7.19記) |
はいはい。またもやSUVとクーペのクロスオーバー車なのが日産ジュークです。世界的にはこのコンセプトが、現在車を売る上での一番の正解とされているので、世界中の各メーカーからこのタイプの車が日々売り出されています。 ジュークも世界中で売られる車で、日本マーケットはそれほど重視されていません。と言いますか、昨今の日産車はほとんどが海外市場メインで考えられていて、日本に適したデザイン、適したサイズの車はほとんど有りません。軽自動車とミニバン以外は海外仕様のお下がりというのが現状でしょう。 とはいえ、このジューク。コンパクトなクロスオーバーカーなので、日本市場で困るようなサイズではありません。世界中で大型、中型のSUVとクーペのクロスオーバーが席巻する中、コンパクトなクラスを狙って開発したのが、日本にもはまったという形です。 そのデザインは大変アグレッシブで、明らかに好き嫌いがはっきり解る系。ただここでも世界戦略車というのが効いていて、日本市場では爆発的に売れなくても、本当に気に入ってくれた人が買ってくれれば良いという考え方のようです。写真で見るとフロント吊り目のポジションランプと、丸目のヘッドライトのバランスが悪いかなと思いましたが、実車を見ると目に入ってくるのは吊り目のポジションランプの方で、丸目のファニーな感じはあまり気になりません。 これは結構上手く考えられたデザインのようで、男性が見ると(筆者の身長は180弱)やや上から見る事になり、吊り目の男性らしいデザインのフロントに見え、女性が見ると、車と平行な視線になり、丸目が目に飛び込んでくる愛らしいフロントに見えるのではないでしょうか? 個人的にはフロントとリアのフェンダーアーチが同サイズに描かれているのが惜しいと思います。SUVならではの踏ん張り感を表現するためにこうしたのでしょうが、ここはクーペならではのフロントからリアへの流れを表現するために、フロントのフェンダーアーチは少し小さめにして、フロントの印象を軽めにして欲しかったです。リアのデザインはフロント以上に凝っていて、リアハッチからリアフェンダーへの絞り込みはまさにクーペのモノで、大変格好良く思えます。 インテリアは素材的には、コンパクトクラスなりのモノを使っているようですが、ここでも攻めなデザイン姿勢がプラスに出ていて、安物感は全くありません。ただ惜しいのがクリアー塗装を施されたセンターコンソールが、赤と黒2色しかないところ。ここは頑張って外販色分準備して欲しかった感じです。 元々このくらいのサイズは初代RAV4が開拓して大当たりした鉱脈だったのですが、RAV4がアメリカ市場に引っ張られて大型化してしまったため、丁度ぽっかりと空いた形です。リアが大きく絞り込まれているために、後席居住空間(筆者だと完全に頭が触れます)やトランクの実用性には疑問符が付きますが、初代RAV4も3ドアからスタートしてますし、スズキのX90のような全く使えないモノ(X90はビーチカーだと思えば正解なのですが)とは、レベルが大きく違うので、二人乗り中心のおしゃれなコンパクトカーとしては十分な実力を持っているのではないでしょうか?海外でプレミアムコンパクトとしてBMWミニを買うような層に、このジュークは意外とはまりそうな気がします。 日本仕様に関しては、二つあるグレードの高い方でも標準でアルミがつかない、なんだかよく解らない構成(カタログでは全てアルミ装着車にも関わらず)。また価格表を見ると一見安いように見えても、オーディオレスを筆頭に、色々付けていくと結局200万円超えちゃいそうな感じです。だったらローグレードはそのままに、高い方は最初からアルミ込みの設定で良いんじゃないでしょうか? 総じて全体の印象は悪くないです。デザインは流行りモノですから、このデザインが気に入ったらさくっと買って早めに乗りたいところ。こう言う車はリセールとか考えてちゃいけません。80年代後半に20代がプレリュードやシルビア買ってたような雰囲気で売れれば、日本市場も少しは希望が見えてくるんですけどねぇ。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好) |