13年下半期の新車チェック評

過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。

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1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。

ヴェゼル(2013年12月発表)(15.3.3記)-試乗済み-

 RAV4とCR-Vが急速に失速して以降、ほどよい車がなかったお手軽コンパクトSUVクラス。世界的流行を加味してスペシャリティ色を強め、日産がジュークで再び切り開いた市場ですが、「あれは個性が強すぎてちょっと・・・」という日本人らしいユーザーにピッタリなのがこのヴェゼルだと思います。ジュークのトンガリ具合も開拓者には必要でしたが、需要が一回りした後には、このヴェゼルのような誰もが格好良いと思うスタイルがピッタリです。

 外観デザインはまずパッと見て、街ですれ違って、明らかに格好の良いこと。トヨタがRAV4を出した時や、ホンダがCR-Vを出した時の新鮮な感じ再びです。共に欧米市場に引っ張られて、無様に大きくなり日本ではユーザーを失いましたが、日本人が好むサイズのSUVが戻ってきました。

 ただ大変格好良いデザインなんですけど、元ネタがあるのが残念。プロトタイプの発表時期から考えても、シトロエンのDS4を見てないという言い訳は出来ないと思います。欧州でも2代目HR-Vとして販売されるので、どう評価されるか気になります。でも価格帯で考えれば、格好良いデザインをお手頃にユーザーに届けたホンダが正義。多くの日本のユーザーはDS4なんて知らないわけですし(笑)。

 またコンパクトSUVクラスに高品質な内装を提供という視点が良いです。ハリアーの時にも触れましたが、この高品質はあくまでも日本人が感じる考える高品質で、適度な凝縮感、良いモノ感が必要です。クラスとしては上ですが、北米市場特有の大味な質感のCR-Vと比べても、ヴェゼルの方が高品質と感じるユーザーは多いと思います。

 そう言う意味では、ハリアーでも大きすぎるあるいは高すぎると考えるユーザーにとって、クラスこそ違えどヴェゼルの質感は充分ライバル車になりうると思います。一時期日本車も白物家電化が進み「車は安くて燃費が良くて走れば良い」そんな風潮になりかけましたが、そう言う安かろう悪かろうの車では、世界で「日本車」としての存在意義がなくなってしまいます。やはり日本車は「品質が良い、値段の割に質感が高い」と言うものでなくてはいけないと思います。

 ハリアーがレクサスや欧州高級車に比べると安い価格でありながら、日本人が納得する高級感を持っていてヒットしたのと同じように、ヴェゼルのようなコンパクトクラスでも、ユーザーが納得すれば+アルファのお金を払ってくれるわけです。それは過剰なほどの質感インフレを起こしているハイト軽でも明かです。このちょっと良いモノ分お金を払わせるというのは、世界的にも武器になる日本車の新しい特色だと思います。ユーザーの心をちょっとくすぐれる仕様を、日本メーカーは提案し続けて欲しいです。

 残念なのが、CMで雑誌でカタログで、高品質の代名詞のように扱われている、ミスティグリーンの外板色とブラウンのコンビシートの組み合わせがハイブリッドの最上級グレードにしか設定されてないサギ仕様です。あれだけ見せつけているのですからせめてオプションで選べるようにしておくべきでしょう。「ホンダが出したヴェゼルって、コンパクトで安いのにとっても高級感があるんだな」こう思ってディーラーに来ても好みの仕様は買えず、渋々色気のない黒内装車を買わされる。こういう気持ちは購入後も心のどこかに残るものです。

 上記したように、今のユーザーは自分の気に入ったモノに対しては、ある程度のお金を払う気があります、でもそれは自分の気に入ったモノに対してだけです。気に入った内装色仕様の為に+10〜20万は払っても、その為に最上級仕様を押しつけられて50万も払う人がそうそう居るとは思えません。こういう商売汚いことをやっていてはダメです。ハリアーはベースグレードでもボルドー内装が選べます。これが健全でしょう?

 乗り心地。ホンダというと、どちらかという固めで突っ張ったような足回りで、この仕様を好むユーザーや自動車評論家に熱狂的に受け入れられていましたが、さすがに初代オデッセイ発売後ミニバンメーカーとなって20年。しなやかな足回りの車が増えてきました。ヴェゼルのベース車のフィットも初代は突き上げのキツイ車でしたが、モデルチェンジ毎に健康的な足回りになり、サスペンションストロークに余裕を持てるSUVのヴェゼルでは、一段と快適な乗り心地を生み出しています。

 やはりというかハイブリッドのDSGのセッティングがダメ。フィットで散々リコール出しましたが、まだまだその対策に手一杯で、セッティングにまで気が回ってない印象です。エコモードだろうがスポーツモードだろうが、必ず発進時に一瞬不感帯があって、アレって思って強く踏むと下品に繋がって飛び出ちゃうので、非常に気を使います。

 こういう趣味性の高い車は、台数が出てユーザーに飽きられないように、適度なタイミングで様々な仕様を提案していくべきだと思います。日産もジュークでそれを行っていますし、スズキのラパンやフィアット500なんかはとても上手く展開し、売れ行きを落とすことが有りません。クドいようですが、取りあえずミスティグリーンの外板色とブラウンのコンビシートを中級グレードに特別仕様車として是非(笑)。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)

ハリアー(2013年12月発表)(15.1.29記)-試乗済み-

 RAV4と共に、現在世界中で流行しているSUVブームのきっかけを作ったとも言えるハリアー。初代2代目は日本ではハリアー名で売られていましたが、世界ではレクサスRXが本名。トヨタが日本でもレクサスブランドを展開することになり、3代目からはレクサスRXとして導入され、他のレクサス系トヨタ車(アルテッツァ、アリスト、セルシオなど)と同じく、消滅するものと思われていましたが、根強い人気を誇り10年に渡り売り続けられました。

 そしてレクサスRXとは袂を分かった3代目は、北米RAV4ロングと兄弟車。日本で言えばヴァンガードの後継車となり、カムリベースだった初代2代目以上に大衆車ベースの高級SUVとなってしまいましたが、このプラットフォームはレクサスのNXにも使用されている為、大きな括りで言えば、まだレクサスブランドと兄弟車と言えなくもありません(笑)。

 さてそんな国内専用車としてのハリアーのデザインでやはり一番目につくのはフロントマスク。レクサスが世界市場で勝ち抜く為に導入した、えぐく巨大なスピンドルグリルに対して、日本人的わびさびを備えた鉄仮面風クリアグリルは、スッキリとしていて日本人の価値観に合致していると思います。確かに世界的に巨大なグリルは流行ですが、すべてがすべてそうである必要はないわけで、国内専用だからこそと、独自のデザインにまとめたトヨタの手腕を評価したいです。

 まー昔から、トヨタ車はちょっとした変化、ちょっとした高級感を表現する時に、アクリルのクリアーモノを使用するクセが有るので、なんかバブル期っぽくて懐かしい感じもします。あの時代のクリアーパネルは、よく経年変化でくすんでツヤ消しになっていましたが、平成のクリアーパネルの耐久性はどんなものでしょう?

 内外装は日本未導入のRAV4とはパネル一枚も共有しておらず(ルーフは共有?)。見て触れて大衆車ベースだと感じるところはまったく有りません。初代ハリアーベースのクルーガーや、先代にあたるヴァンガードを、高級SUVとしていた無理矢理感はまったく無く、ショールームで多くのユーザーは、その質感の高さに納得すると思います。

 特にベースグレードから、ワインレッドの内装色を選べるのが素晴らしく、CMや雑誌記事で見てディーラーに訪れたは良いモノの、お目当ての仕様は最高級グレードでしか選べないなんてまやかしが無いのが良いです(ただベースグレードの木目とワインレッド内装色の相性は悪し。またベージュ内装は中級グレード以上でないと選べません)。

 勧められたのでホイホイと試乗もさせてもらいます。試乗したのはガソリンの最高級グレード。とはいえ、グレードによる差は装備によるモノだけで、タイヤサイズ以外はみな同じ仕様です。うーん。正直乗り心地は、昔ながらの典型的トヨタセッティング。ゆらゆら揺れてコツコツ拾う。ショックは丸められているけど心地良くはない。今時こういうトヨタセッテイングまだするのか?と正直驚きました(笑)。そう言う意味でも、なんかバブル時代のトヨタ車っぽくて懐かしいです。

 またガソリンハリアーの排気量は2.0Lで、ベース車がRAV4だと感じる一番の部分です。さすがにこれでは高級車らしい動力性能はなく、必要にして充分程度。高速坂道や追い越し車線ではエンジン回転数を上げざるをえず、ちょっと右足に力を入れるだけで、ぐぃーんと加速なんて言う高級車感はありません。これまたバブル期のクラウン/2.0Lやマーク2/1.8Lのちょっと残念な感じを思い出させます。

 と言うわけで、見た目良し座って良しだけど、乗るとその出自がバレちゃう3代目ハリアーですが、個人的にはこれはこれで有りだと思います。そもそも初代2代目もカムリベースのなんちゃって高級SUVだったわけです。それがRAV4ベースとなってより一層なんちゃって高級車になったけど、内外装の品質に拘る感じは、初代2代目があくまでもレクサスとして、アメリカ人相手の大雑把な高級感だったのに対して、3代目は細やかで繊細で実に日本人的です。よく北米でヒットした高級車を日本に持ってくるとガッカリする、プラッチックやメッキ調パーツの質感や、革シートぶちこんどけば良いんだろ的世界観はありません。

 実は日本車が目指すべき方向はこういう方向だと思います。安かろう悪かろうではなく、いかにユーザーが納得してお金を払う付加価値を生めるか。正直、安かろうで中国や韓国などアジアメーカーには適わなくなり、また歴史の奥深さで、伝統的高級車づくりで欧州に適うわけがありません。でも日本人には日本人にしかできない高品質の表現が有るわけです。

 ハリアーが300万程度で買えるのに対して、レクサスNXは450〜500万円です。ベンツのGLAは排気量を揃えると450〜500万円でNXと同価格帯ですが、1.6Lの400万円前後のグレードがあります。車自体を気に入れば別ですが、レクサスNXを購入する意味がちょっとわからなくります。対してハリアーは動力性能以外は、価格に対する満足度が非常に高い車に仕上がっています。

 本来の日本車の魅力を再確認出来た感じです。日本国内法規の問題もあって欧州車に比べて、動的質感では劣るけれど静的質感は高く、でも欧州高級車より安い。それが、バブル崩壊以降、いやデフレ経済突入で、安ければ正義。安ければ多少悪くても良い。そんな国産車が増えてしまいました。反面、世界市場で戦って行くために、金に糸目をつけないグローバル高級車の開発も進み、それを無理矢理日本市場に導入すると、まったく日本に適さないサイズ、デザインにも関わらずバカ高い。日本人が納得して買える車が本当に無くなっていました。

 アベノミクス以降、安かろうは悪かろうで有ることに日本人は気づき始めました。いやバブルの頃のようなお祭り騒ぎは困りますが、あの頃と違って日本人にはそれなりの審美眼が備わっているはずです。3代目ハリアーには、今の日本人に合った、この程度でよいけれど十分満足。そんな世界観があります。まーもうちょっと乗り心地とか煮詰めて欲しい気もしますが、グローバルカーの押しつけでない、国内専用車としてはなかなか満足度の高い良い車だと思います。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)

エクストレイル(2013年12月発表)(14.12.2記)

 端的に言ってコンバクトクラスと同じく、悪しき再編の為のモデルチェンジに感じます。

 日産のコンパクトクラスは、マーチ/ノート/ティーダ/ラティオ/シルフィとそれなりに棲み分けが出来、それぞれに優良顧客がついていたラインナップでした。これをコストダウンのため海外市場との共有化を優先し、大雑把に言ってハッチバックとセダンを安いのと高いのに再編したのが、現在のマーチ/ラティオ/ノート/シルフィです(日本国内ではティーダは消滅)。結果日本国内ではノート以外鳴かず飛ばずですが、海外市場ではそれなりに上手く行っているようで、日産的には問題ないとの判断です。

 この3代目エクストレイルのモデルチェンジも同じ事で、全く国内事情のことは考えていない海外優先モデルをお仕着せで与えられてしまいました。そこには独自の道具感に共感し指名買いをしてきてくれたユーザーの存在はありません。もっとも初代から2世代10年以上に渡り、同じコンセプト同じデザインだったエクストレイルが賞味期限ギリギリだったのも明かでした。でもだからこそ、新しい価値観、道具感を表現した3代目のデビューを楽しみにしていたユーザーも多かったはずです。

 ではなぜこんな事になってしまったのでしょうか?日産ミドルクラス以下のSUVのラインナップをざっと説明します。

 まず日本市場。道具感あふれるエクストレイル/都会派コンパクトSUVデュアリス/SUVクーペジュークの3種類です。続いて北米ではデュアリスをムラーノ風にしたローグがあり、欧州ではデュアリスがキャッシュカイ名義となり、これに7人乗り仕様のロングモデルキャシュカイ+2があります。ジュークは基本的に世界共通。あとルノー&サムスン向けにコレオスとQM5があります。

 と、全部でざっと6車型あったわけですが、このうちルノーサムスン分と、プラットフォームが違うスペシャリティのジュークを除く車を、大小二つにまとめたのが今回の再編モデルチェンジです。このうち大きい方が、3代目エクストレイル(キャシュカイ+2後継)/2代目ローグ。小さい方が欧州専売のキャシュカイとなるのですが、大小共に同じデザイン傾向なので、ある意味1車種に統合されたとも言えます。

 ちなみに日本仕様デュアリスはマイチェンでもデザイン殆ど変わりませんでしたが、欧州仕様のキャッシュカイはマイチェンでフロントのデザインが変わり、現行モデルに近い顔になっています。つまり、世界的に一番売れて評判が良かったキャッシュカイにデザインが統一されてしまったわけです。そりゃ形を一つにまとめて同じ台数売れれば、コスト的には日産大成功ウハウハなんでしょうけど、その結果日本市場は完全に無視されてしまいました。

 道具としてガンガン使う若めのユーザーが多かったエクストレイルも、小型実用ハッチとして意外と年輩者のユーザーが多かったデュアリスも共に無くなり、このどちらでもないキャッシュカイロングでまかなわなければいけないのです。さらにディーゼルエンジン搭載モデルも無くなりました(先代モデルを継続)。マツダがあれだけクリーンディーゼルでぶいぶい言わせてるのに、先鞭をつけた日産がラインナップ落ちとは・・・

 とにかく世界的動向は別として、日本のエクストレイルとして何一つ正解はありません。上記ディーゼルの件もそう、デザインでも「道具感」と言うのは元来日本人が好む感覚です。軽自動車でヒットしているハスラーも、ポップな色遣いも含めて、その源流はFJクルーザー→ランドクルーザーの道具感にあるのは明かです。そしてその元祖大元のランクル70系が再発売された今、日産が国内市場を読み誤っているか、見放しているのが解ります。

 どこかで見たような滑らかなSUVですが、どことなく腰高(SUVだから本来はそれで良いんですけど)で、洗練されているとは言い難いです。こういう方向のSUVであるなら、今の時代もう少し美しさが必要なのではないでしょうか?フロントマスクとサイドのバランスの悪さは、ラティオと同じで最近の日産の良くない傾向だと思います。

 内装も全く道具感はなく、今風のデザイン。ただ唯一日本側の意見が通ったのが、エクストレイルの特徴の一つでもある防水インテリア。本当、ここだけがエクストレイルらしさの残る点です(ポップアップステアリングも無くなりました)。もちろんこれは日本仕様だけ。海外ではそう言うシーンで乗る車ではないと言うことです。

 あまり売れていないセダンなら海外版の押しつけをともなう再編も仕方ないですが、それなりに台数出ているSUVまでも海外の押しつけでは、日本国内での日産のユーザー離れが進むかもしれません。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2

アクセラ(2013.11月発表) (14.10.3記)-試乗済み-

 CX-5、アテンザと新デザイン&ディーゼルでヒットを連発してきたマツダの次なる一手は、昔ならファミリアクラスのアクセラ。日本はともかく、世界ではマツダの再量販車種として外せないブランドです。バリエーションはボディタイプがセダンと5ドア、そこに通常4気筒ガソリン、ディーゼル、トヨタベースのハイブリッドを搭載します。

 外観スタイルはCX-5、アテンザと基本的には同じような雰囲気。CX-5が若干大味、アテンザがのびやかな高級感と来て、アクセラは高品質な凝縮感という感じでしょうか?アテンザの格好良さはやはり、薄べったいセダンならではのプロポーションに有ったので、ああいうわかりやすい格好良さには欠けますが、その分、デザイン的に練り込まれた感じで、昔の1.5Lクラスの安っぽさは微塵も感じさせません。

 ただ決定的に失敗だと思うのは、グリルの中にナンバープレートを入れてしまった事。カタログなどでは黒いプレートにアクセラの記述で目立ちませんが、実車は白いナンバープレートですから、悪目立ちして、せっかくのグリルが台無しです。グリルを大きくしたので、サイズ的にグリルの下に配置するのは難しかったのでしょうけど、だったらアルファのように、左右どちらかにオフセットして、グリル外に配置できなかったのでしょうか?

 もう一つ苦言を呈すと、相変わらずマツダは塗装の品質が低く思えます。塗装面の荒さ(柚子肌)をパールで誤魔化すのはいつものことですけど、赤色だとボデイ金属部分とバンパー樹脂部分の色がまるで違って見えます。バンパーの方が若干黒ずんで、サフの後、白塗りしないでいきなり赤塗ったようなイメージです(笑)。

 反対に内装は価格帯を考えれば非常に頑張っている感じです。特に、国産車としては比較的早めに採用し始めたピアノブラックのパネルの仕上がりがよくて、どうしてこの塗装レベルを外装に生かせないのかと思います。またダイヤルなどの操作系のクリック感も心地良くて安モノ感を感じさせません。

 乗り心地は、筆者の感覚からするとちょっと硬めですけれどしなやかと言っても良い感じ。先々代アクセラ、先代アテンザと乗った記憶と合致するマツダらしい雑味の無い良いモノ感が表現できていて、全く嫌な乗り物で無いです。トヨタや日産でも、これ以下の仕上がりの車は五万とある中で、マツダはラインナップ全てに統一感があり、ユーザーに対して誠実な車作りです。

 1.5Lエンジンはアイドリング時非常に静か。また回した時の力の出具合、音質も心地良いです。ちょっと前のマツダATにありがちな、発進時にぐいっと出る悪癖は軽減されてます。ただアイドリングストップの再始動は、音も含めて安っぽく煩わしく感じました。

 総じて同クラスのトヨタオーリス、スバルインプレッサと比べると、圧倒的に良いモノ感を感じます。インプレッサはベースの5ドアより、XVの良さが目立ちますけど、アクセラは素の1.5Lでも十分に満足できる仕上がり。試乗してないので解りませんが、セダンのハイブリッドや、ディーゼルの仕上がりにも期待が持てます。

 とは言え、ハイブリッドは妥当な価格だと思いますが、ディーゼルをあえて全部乗せの高級グレード一本にしたのには疑問です。販売立ち上がり時にディーゼルに集中することを避けての設定だったら、仕方ないかなとも思えますけど・・・ディーゼルを自社の売りにしたいのは解りますが、大衆車クラスでのディーゼルのプレミアム化には疑問です。多くの人に乗ってもらって、良さが広がることが先決なのではないでしょうか?マツダのディーゼルが良いと言うことが、日本のディーゼル事情を変える可能性があるわけなんですから。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4(好)

スカイライン(2013年11月発表)(14.12.31記)

 V35登場以来、旧来のスカイラインファンからは「あれはスカイラインじゃない」と言われ続けて10数年。どんなに車としての出来が良くても、テールランプを丸くしても未だに許されないV系スカイラインですが、新型V37はより一層許されないスカイラインになりそうです。

 と言うのもフロントグリルにあるのは、日産マークでもスカイラインのマークでもなくインフィニティエンブレム。V世代になってからは国内専用車ではなく、インフィニティGシリーズ(このモデルからはQ50)と双子車なので、ついていても問題はないのですが、ついている必然性もありません。

 日産からインフィニティブランド展開に対するアナウンスかあったわけでもありませんし、この車が日産スカイラインインフィニティQ50とか言う車名でもありません。さらにリアにはインフィニティ、日産どちらのマークが付いているわけでもなく、スカイラインとあるだけ。日産のあるクオリティ以上の車にはインフィニティマークをつけるとか言う説明があれば、まだ説得力があるのですが、何のためのインフィニティエンブレムなのか解りません。

 ただ実際先代V36からは、スカイラインとしての開発より、インフィニティとしての開発にお金が掛かっているわけですし、スカイラインはインフィニティのお下がり。それで仕方ないと思います。結果過去2代はスカイラインとしてどうかより、車として良い出来だったんですから、あとは日本のユーザーがスカイラインという名に振り回されずに、本質を見抜けるかが試されているわけです。

 今回のモデルチェンジ、最初は3.5Lエンジンハイブリッド仕様1本でスタートしました。その価格は500万クラス。現在ではベンツ製の2.0Lエンジン仕様も追加されましたが、そちらでも400万円クラスです。ヤフーとかのカタログサイトでは、スカイラインの価格は307万円〜となっていますが、それは先代V36が未だに併売されているからで、実際は383万円からでないとV37は購入できないわけです。

 先代の価格が290万〜441万円ですから、大幅に値上げされていることが解ります。トヨタがレクサスブランドを日本国内で立ち上げた時、それまでアルテッツァやハリアーだった車が、ISやRXになった途端値段がグンと跳ね上がりましたが、今回のモデルチェンジではそれと同じような印象を抱きました。だからこそインフィニティエンブレムがついてるのでしょうけど、だったらやはりインフィニティである説明が必要だと思います。

 この大幅値上げが受け入れづらいのは、車に乗り込んでみると解ります。V35からV36にモデルチェンジした際には、北米で売れた分の利益が開発費に回ったようで、価格がほとんど変わらなかったのに対して、その品質感のアップが素晴らしくて、V系の世界観が受け入れられる人にとって、大変満足度の高いモデルチェンジでした。

 ところが、今回のV36からV37のモデルチェンジには、この驚きがありません。いや、ショールームの隣に並べられている同じようなサイズのティアナと比べてみれば、その品質の高さは、クラスの違いを十分に感じられるのですが、本体価格の上昇分ほど質感の向上が追いついてない印象です。レクサスには当然、トヨタと比べても同価格帯車で劣っていると言えるでしょう。正直、ショールームで試座しているレベルでは、価格の説得力には欠ける仕上がりです。

 ただ外観デザインは価格なりの満足がえられるのではないでしょうか?V35、V36が北米でヒットしたため、V37も全く日本的情緒は考慮されていないアメリカンなデザインですが、これはこれで、ぬめぬめかつシャープな独創的デザインが、「日産感」を表現していて、悪くない格好良いデザインだと思います。少なくともトヨタやホンダのこのサイズの車(カムリ/アコード)の色気無い箱っぷりには完勝ですし、レクサスほど行き過ぎてないのも好感が持てるところです。

 価格が高くなるのが理解できないわけではありません。何よりまずハイブリッド分の価格が乗っかってしまいますし、ベンツ分の価格も乗っかってます(だったらなぜそんなの採用したんだって話ですが)、世界初のステアリング・バイ・ワイヤー(電気的にステアリングと前輪をつないでいる)が採用されていて、技術の日産が惜しみなく(だったらなぜベンツエンジンなんだ)盛り込まれている車なのですから。

 昔は国産車には国産車なりのサイズ価格というモノがあって、それが外車に対する防波堤にもなっていたわけです。それが国内で車が売れないからと、世界的規模で開発をすると価格も世界標準になってしまうようです。スカイラインもついにこのV37では、日本国内でもベンツやBMWと正面から戦わなければいけない価格となってしまいました。価格的に競合するCクラスや3シリーズは、サイズこそ1サイズ小さめですが、今まではスカイラインより高い車だったわけです。1クラス小さいのにバカ高いから外車は買わない。そういう人がスカイラインやマーク2を買っていたわけです。

 ところが価格帯が同じになると、キャラクター的にもスカイラインはデカいことが正義な車ではないので、サイズはさほど問題にならず、Cクラスや3シリーズと購買層が重なりやすいです。果たしてこの価格で、日本人はスカイラインを選ぶでしょうか?3シリーズはさておき、新型Cクラスは新技術もてんこ盛りです。この車を売るためにはもはや「スカイライン」の名は足かせにしかならないのでは無いでしょうか?レクサスのように明確にトヨタとは違う事を感じさせないと、価格に説得力が生まれません。

 これがGT-Rであれば許されると思います。でも多くの日本人が慣れ親しんだスカイライン。今まではスタイルやキャラクター、コンセプトで「こんなのはスカイラインじゃない」と言われてきましたが、今回価格面でも「こんな高いのはスカイラインじゃない」そう言われてしまいそうです。いくら高い技術力の良い車でも、一般的日本人が購入するのを躊躇する価格では難しいです。その価格を払うために、人は理由を求めるわけです。「ベンツだから外車だから仕方ない」でも「スカイラインだから仕方ない」そう思う人はそんなに多くないでしょう。個人的には好感を持っている車ですが、買わないですし買えないです。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)

オデッセイ(2013年11月発表)(14.12.18記)

 初代モデルで、その当時RV系モデルを持たずに大苦戦をし、パジェロ、ディアマンテなどで飛ぶ鳥を落とす勢いだった三菱に吸収されるのでは?と言われていたホンダを救ったオデッセイ。一時はミニバンと言えばオデッセイと言われるぐらいのヒット車でしたが、ホンダお得意の「初代大ヒット、2代目キープコンセプト失速、3代目コンセプトチェンジ」を倣い、ミニバンと言うよりは、3列シートがあるワゴンのような佇まいとなり、ホンダの中でも存在感の薄いモデルとなってしまっていました。

 そこで5代目ではまたまたコンセプトチェンジ。上級ミニバンのエリシオンと統合して、再び正当派ミニバンに戻ってきた感じです。とは言え、あれだけの大ブームだったミニバン市場も落ち着き淘汰が進み、現在は、セレナ、ノア、ステップワゴンの5ナンバーファミリーミニバンクラスと、アルファード、ヴェルファイアの大型高級クラスしか売れていません。各社まだ残り火のようにその隙間隙間にもミニバンを投入していたりするわけですが、このオデッセイも実はニッチミニバンなのではないでしょうか?

 と言うのもホンダ。ファミリーミニバンクラスにはステップワゴンを持っています。オデッセイはそれより上級ですし、高級ミニバンだったエリシオンとも統合されているのですから、アルファードやエルグランド辺りと戦わなければいけないはずです。ところが5代目オデッセイ。そこまでの車格感は正直有りません。エリシオン末期に下品なグリルを取り付けて、どうにかアルファードと戦おうとしましたが、そもそも低床コンセプトでマスの小さめなホンダのミニバンでは、あのそびえ立つようなトヨタの高級ミニバンと同クラスに思われるのは無理があります。

 セダンで例えると、アルファードがクラウンクラスなら、オデッセイは本来マーク2クラスなわけで、クラスが違うモノを真正面から戦って成功するわけがありません。もっともホンダとしては、ステップワゴンが堅実に売れ続けていれば問題がないわけで、オデッセイはその上級移行用としてある程度の台数が売れればよいのでしょう。3.4代目はワゴン風にしてやり過ぎちゃった。エリシオンは大失敗。なら普通のミニバンにして、ホンダファンが喜ぶような足回りセッティングにすれば、バカな自動車評論家も、箱根やサーキットに持ち込んでテンション上がるし、1.2代目オデッセイからの乗り替えもあるだろうから万々歳。

 一見正当派ミニバンプロポーションに戻ったように見えて、その味付けは相変わらずのホンダ風。他社ミニバンからオデッセイに乗り換えるというのも無さそう。そしてクラスもライバルがMPVぐらいしか居ないようですから、やはりニッチミニバンとしか思えません。

 では実車の印象はどうでしょう。外観デザイン。まー格好悪くはないです。グリルから細いメッキモールが伸びてたりして小技が効いてます。五角形グリル時代はどうするんだこれ?的顔の車が多かったホンダですが、FCXクラリティ以降の顔は押し出しも高級感もそこそこ出せてる感じです。コンセプト的にはエリシオンのモデルチェンジと言えると思うのですが、プロポーション的にはやっぱりオデッセイ。1.2代目の路線のまま3.4代目があったら、こうなるだろうなの5代目で、違和感がありません。

 エリシオンは発売当時から、このクラスでこんな押し出し感のないデザインでは絶対に売れるわけはないと思っていたですが、売れる売れないとは別の次元で、実はじわじわ沁みてくるデザインで、つるんとしたボートのようなルックスの初期型は意外と悪くなかったです。そんなニュアンスは全く5代目オデッセイには受け継がれているように思えませんが、実は室内に入ると、その雰囲気はオデッセイと言うよりエリシオンなんです。

 3.4代目のオデッセイのインパネは、個人的には好きな、ホンダ特有のSF的なオモチャっぽいデザインでした。反面前期型エリシオンは、木目調パネルをバーンと横一線に贅沢に使用した高級感あふれるもので(この質感がなかなか良かったんですよ)こちらの仕上がりも悪くないなと思っていました。マイチェンでT字型に木目パネルを採用する下品なグレードを追加して、一気に演歌調に成り下がったんですが、この5代目オデッセイのインパネには、この初期型エリシオンの風合いが感じられます。

 特に良いのはやはりアイボリー内装。通常木目パネルが貼ってあるであろう部分を、あえてアイボリーのフローティングパネル風にし、その下の棚状部分を落ち着きのある色合いの木目調パネルに。ギラギラした演歌調の使い方でなく良いモノ感の漂う使い方で、長年天童木目を採用していたセンスが生きてます(笑)。お勧めできないのは、黒内装の黒木目。これは一気にインチキ臭い木目調感全開で、質感の低さが露呈します。

 今回のオデッセイ最大の売りは、アルファード辺りの高級ミニバンと対抗するためか、2列目シートに独立したキャプテンシート「プレミアムクレードルシート」を選べること。レバー5個を使ってありとあらゆる部分が調整できてリラックス出来るシートらしいんですけど、なんか80年代のデートカーみたいですね(笑)。6WAYシートとか行ってカタログで自慢してたあれ。しかしこれ電動じゃないんですよ。そんなところまで80年代クオリティ・・・それなりにオプション価格払うんですから、当然パワーシートであるべきでしょう。

 3列目は床下に収納できるタイプ。横跳ね上げ式よりこちらの方が好きですね。ただ2列目をキャプテンシートにしたら3列目の存在意義がちょっとわからないですけど。運転手平社員。助手席係長。2列目部長課長。3列目アルバイト。やな車ですね。基本2列で3列目はたたんで荷室でしょうか。

 そんなわけで5代目オデッセイ。悪くはないです。ホンダの大きなミニバン欲しい人は買うでしょう(限定的)。そんな人本当に居るのか懐疑的なんですけど、よく言うスポーティーな走りをしたい人が買うミニバンにも選ばれそうです。ただ初期型アブソルートの2列目以降は突き上げ酷くて乗ってられないとの試乗記事多数です。プレミアムクレードルシート付きのアブソルートに乗せられる部長(笑)。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

クラウンマジェスタ(2013年9月発表) (14.11.18記)

 基本当欄は、バリエーション追加は扱わない姿勢です(疲れたので軽自動車もよっぽど興味のあるモノ以外は扱わないことにしました(笑))。ですから、先にハッチバックが出て半年後にセダンが出たなんてのは、同一車種とみなして取り扱いません。ただスカイラインのように、セダンとクロスオーバーであまりにもキャラクターに差がある場合は扱ったりもします。そう言う意味ではロイヤルシリーズのストレッチ版に過ぎない今回のマジェスタは、先代までとは違い特に扱わなくてもよいモデルです。

 マジェスタはトヨタのフラッグシップサルーンだったクラウンの地位が(センチュリーを除く)、セルシオの誕生により危うくなった際、あくまでもセルシオとクラウンは同格ですよと、それまでクラウンを指名買いしてきた顧客に納得してもらう為に、セルシオと同じ4.0LV8エンジンを搭載して発売された車です(厳密には8代目クラウンの4000ロイヤルから)。

 初代モデルは当時のロイヤルシリーズとは違いフルモノコックであった為独自開発色が強かったですが、以後ロイヤルもフルモノコックとなると、モデルチェンジ毎に共通パネルが増え、エンジン以外の差別化が薄れてきます。それでも5代目からは中国用クラウンとしての役割を担う為、ロイヤルよりホイールベースが延長されそれなりの差別化がなされますが、2005年からレクサスブランドが国内でも展開された影響か、マジェスタの売り上げは激減してしまいます。

 今回のモデルチェンジを見ると、トヨタはマジェスタを見限ったように感じます。既にマジェスタの存在理由でもあったセルシオはレクサスLSとなり消滅。クラウンの中に特別なクラウンを作らずとも、クラウンはトヨタブランドの最高峰に復帰しているわけです。本来ならマジェスタ自身が無くなってもおかしくなかったのですが、ここで前記した中国仕様の存在があります。

 一気に消滅させるよりも、せっかく中国仕様のロングボデーモデルがあるならそれを使い、ゼロクラウン以降の若向け路線を好まない、従来からのクラウンユーザーの受け皿として残し、いずれユーザーの高齢化と共にフェードアウトさせよう。そういう腹づもりのブランド継続なんだと思います。日産やホンダのようにバサッと顧客を切り捨てるようなことはせず、マーク2→マークXでも用いられている手法ですが、軟着陸で終焉を迎えさす。見限ってはいるモノのある意味ユーザー思いの方法だと感じます。

 そんなわけでブランドとしてのマジェスタは残りましたが、今までマジェスタとして特徴づけられていたモノは、前記したロングホイールベースと縦桟グリル以外ほとんど残っていません。エンジンはV8ではなくなり、V6ハイブリッドに。さらに4WDモデルに至っては直4エンジン搭載となってしまいました。また2代目から続いていた縦型テールランプを含む外板パネルの差別化もなくなりました。

 内装も基本的にロイヤルシリーズと変わらず、V8エンジンと共にエアサスも廃止されましたので、マジェスタならではの作り込まれた日本的高級感は乗って味わうことも出来なくなってしまいました。前記したマークXが、マーク2的世界観を好むユーザーに向けて、最大限マーク2的要素を残しているのに対して、マジェスタは本当に足下空間以外は全くの別物、これではフェードアウトは意外なほど早く進むかも知れません。

 話が最初に戻りますが、今回バリエーション追加にすぎないマジェスタを取り上げたのは、このマジェスタの方向転換、思想的退化っぷりを記しておく必要を感じたからです。セルシオが有る時代にそれでも「クラウンの一番高いのもってこい」と、歴代モデルを買い続けてくれたユーザー。その想いに応えられるマジェスタはもうありませんでした。確かに全車ハイブリッドでエコで燃費は良いでしょう。でもそれだったら、ドイツ勢のクリーンディーゼルの方が、高級車としての味も作り込みもある気がします。

 唯一の救いは「クラウンの一番高いの」が、ロイヤルとの共用化で、800万クラスから700万クラスになった事(笑)。ただ、高いのでいばりたい&税金対策をしたいユーザーが、これを喜んでいるかはわかりませんが?

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

フィット(2013年9月発表)(14.11.14記)-試乗済み-

 日本のコンパクトカーの雄ホンダのフィットが3代目になりました。大元を辿ればシティ。ホンダのこのクラスは、2代目シティで一度ロー&ワイドフォルムを試した以外は、基本的に車高でスペースを稼ぐ系が成功しています。とはいえ漠然とそのコンセプトに沿って作ったロゴは大外れ。起死回生で放ったフィットは、センタータンクレイアウトという画期的な発想を特許でがっちりと守り、他社の追随を許さない車となりました。

 そんな成功作なので3代目ももちろんキープコンセプト。初代成功→2代目守りに入ってキープコンセプト失敗→3代目奇をてらいすぎて失敗モデル消滅。な事が多いホンダにしては、キープコンセプトで2台続けて大ヒットは非常に珍しい事だと思います。

 とは言え、実は初代 →2代目はディティールがほぼ同じで変わり映えしないように見えて、比べてみると、初代が意外と1.5ボックス的なのに対して、2代目がワンモーションフォルムと、横から見るとボンネットの処理が全然違います。対して今回2代目→3代目は、コロンとしたワンモーションフォルムはそのままで、見た目の印象を大きく変えようと、装飾過多な仕上がりに見えます。3代の真横写真を並べると、その変換がよく解ると思います。

 今回はとにかく初代から13年続いた、いわゆるフィット顔、フィット風味を変えて見せようと言う思いが強くて、上記したようにデザインが過剰気味です。それまでどちらかというとさっぱり醤油顔だったフロントも、くっきりとしたソース顔に(例えが古いのは老害なので仕方ないです)なりましたが、これは新しくホンダが展開ささせようとしているホンダ顔で、個人的には全く定着せずに、むしろマツダ顔となった5角形グリルよりは良い顔していると思います。

 6ライトはゆずれないので、なんとかサイド面に変化をつけようと、三角刀でズパッと彫り込んだようなキャラクターラインをいれたのは、エディックスなどにも見られるホンダらしい処理ですが、これはやり過ぎと言うか、拙く感じます。空間設計があるので、デザイン代がそんなに取れないのは理解できますが、軽自動車じゃないんだからもう少し面の変化で抑揚つけられないものでしょうか?

 ただ、この全体的に過剰なディティールは嫌いじゃないんです。インパネなんかには随分前からあったホンダ特有のオモチャっぽいSF感、自動車評論家なんかは酷評するあの感覚。あれが遂に表に出てきた感じがして、適度にエグくて嫌いじゃないんです。ただタイヤサイズがしょぼいベーシックグレードだと、途端にアジアの安売りカーにも見えるので、白は絶対に買っちゃダメ。=自動車評論家の言う「オモチャっぽい底の浅さ」も的確ってことですけど(笑)。

 前記したように、ホンダ車、いや日本車自体が、キープコンセプトでモデルチェンジ毎に正常進化させていくのを苦手としています。センタータンクレイアウトがある限りは、フィットはこのスタイルなんでしょうけど、VWゴルフのモデルチェンジ毎の正常進化感を学んで、次のフィットも上手く育てて欲しいです。

 内装質感は、価格帯を考えると頑張っていると思いますが、金属風塗装パーツの安っぽさが目立ちます。どうしてこれ許容できるのか不思議なんですけど、塗装作業しない人はこのシルバー吹きっぱなし感、気にならないんでしょうか?最近流行りのタッチパネルエアコンは、やっぱりOFF時に指紋跡ベタベタで悲しいし、何より盤面をしっかり見ないと操作ができないので、ブラインドタッチが出来るスイッチ式が、車の操作系としては正解ですね。

 幸い勧められたのでホイホイハイブリッドモデルを試乗させてもらいます。ハイブリッド含めて全体の制御に関しては、ギクシャクとまでは行かないけど、回生ブレーキ、アイドリングストップなどなど、状況が切り替わるのが明確にわかるのはいかがなものかと。考え方の違いかも知れませんけど、トヨタのいつ切り替わったのかわからないぐらいが、製品としては望ましいとおもいます。

 あと気になったのはエコモードの非力感。これもここまでやらないと明確な効果、明確な「差」として伝わらないとの考えかもしれないけど、これではエゴ運転を助長するだけ。現にセールスさんも「最高燃費を出す為に日々努力して、後ろに渋滞が出来ても気にしない。と得意げに話すお客さんが多くて困ってる」とも。街中で交通の流れを阻害して追い越し車線をゆっくり走ってるのは、大抵ハイブリッドカーです(※追い越し車線の役割も気にせず、自己中心的な走行をしている事を問題としています)。

 乗り心地は全体的に硬めだけど許容範囲です。こういうの好きな人も結構居るでしょうし、その人達にとっては「しなやか」と言う評価になるかもしれません。モデルチェンジ毎にドタバタ感が軽減されていくのは個人的には好印象ですが、ホンダ好きにとっては、ミニバン軽自動車メーカーに変わってしまったと感じる部分でしょうね。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)

 

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