過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。
1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。
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アコードハイブリッド(2013年6月発表)(16.4.8記)-試乗済み- |
なんだか試座記が前後しますが、アコードハイブリッドの試乗メモが見つかったので、今さらながら取り上げることにします(笑)。シビックが限定モデルとなってしまった為、ホンダで一番長い歴史を持つブランド名となったアコードですが、9代目アコードは国内ではその名の通りハイブリッド専用車となってしまいました。 ハイブリッドとついていれば、燃費差や価格も考慮せずお得なんだろうと、ホイホイ購入してしまうのが横並び好きな日本人ですし、コンパクトやミニバンに席巻されてセダン市場が著しく冷え込んでいるのが日本。さらに三菱と並んでセダン売る気有るの?と言うような排他的ラインナップのホンダですから、アコードがハイブリッド専用車としてその名を残す道を選んだのは仕方のないことだと思います。 ホンダのセダンはフィットベースのインサイト&グレイスから、シビック消滅で、このアコードまでモノの見事に空っぽです。どう考えればこんな一番下と一番上に偏ったラインナップになるのでしょう?三菱のように自社開発が出来なくなっているというのなら解りますが、世界的には当然フルラインナップメーカーであるのに、そのお膝元でこんな展開を許すのが、ホンダの面白さでもあり問題点でも有るところです。取りあえず新社長がシビックの国内再投入を表明しましたので、それでもデカすぎるアコードですが、グレイス→シビック→アコード→レジェンドとバランス良いラインナップになる日が来る事を望みます。 さてそのアコード、基本的には北米アコードベースです。日本市場に投入するためにミニバンで流行っている押し出しの強い顔つきに変更されているのですが、そのミニバンのステップワゴンでは押し出しの強い顔を採用せずに不振なのですから本当ホンダは解りません(笑)。クラウンのアクがアレだけ強く、マツダもグリルは大きいので、方向性としては解らなくもないですけど、北米アコードの方がすっきりとしていて良いデザインです。スッキリとしているのですが、5代目ぐらいまでの本来アコードとしてイメージするバタ臭さは、このスッキリとした北米アコードの方が感じられる不思議です。ハイブリッド顔は演歌調かつオモチャっぽいんですよね。 北米ではアコードは再量販車種ですから、コンサバもコンサバの安全パイデザインになるのも仕方有りません。ただトヨタのカムリと同じく、どうしてこう、ひねりというか遊びのない絶壁箱形デザインになるのでしょう?ここまで巨大なサイズなんですから、デザイン代(しろ)は余裕を持てるはずなんですけど。スカイラインやアテンザの抑揚あふれるサイドラインを見習って欲しいところです。少なくともカムリやアコードのどこかで見た事有る感では、中国車をバカにする資格はありません。 内装は本来のアコードクラスと考えると合格点。サイズや価格から想像する高級感を考えると微妙。何よりホンダ得意の近未来SF風のセンスと、高級車風のデザインとがケンカしていて未消化なインパネデザインが気持ち悪いです。初代インスパイアやレジェンドあたりの天童木工パネルを採用したセンスの良さはどこ行っちゃったんでしょうね。 では試乗してみての印象になります。いやこれがもう、デザインのパッとしなさとかが吹っ飛ぶ、実に高級車らしい乗り心地なんです。全く持ってホンダらしさ0(笑)。実にふんわり。ただでさえデカい上にハイブリッドシステムが乗っているので、重さから来る乗り心地の良さも有るんでしょうけど、先代までの欧州風とは全く違う乗り味で、これじゃホンダファンが許さないんじゃない?と思います。ただ強めの段差などではドンっと来たりもするこの感じは、非常に高いレベルでありながら80年代前半ぐらいの日本車らしい味付けにも思えて、ちょっと懐かしくもあります。 ホンダ渾身の先進ハイブリッドに80年代の乗り味。本当ホンダは不思議です。ホンダの不思議は続きます。このアコードハイブリッドは、今までホンダがよく用いていた、エンジンの補助程度のハイブリッドとは違い、またトヨタのモーターとエンジンの良いとこ取りのバランスハイブリッドとも違い、基本モーターで走りエンジンは主に発電用に使うと言うものです。 あれほどモータースタートを好まなかったホンダが、限定された高速走行時にのみにしかエンジンで走らない、モーター走行中心のハイブリッドカーを出してくるとは驚きです。乗ってみると確かに街中やそれほどスピードが乗らない状況では、電気自動車と同じなので実に静か。リーフほどぐいっと来る感じはありませんが、それでもデカい車体をモーター音のみで引っ張るのはちょっと未来的です。 ホンダの不思議はここからも溢れ出ています。前記したようにエンジンはモーターを回転させる発電用に動いているだけです。当然モーターでスタートしてもある時点から必要に応じてエンジンも掛かりエンジン音がするようになります。このエンジン音がアクセル操作と連動しているように感じて、加速に使用しているエンジン音ではないのに、エンジンの回転で加速しているように感じさせる不思議(笑)。 トヨタがどちらかと言うと、ハイブリッド車を特別な技術ですとわからしめる為に、独特の空走感を演出しているのに対して、ホンダは旧来とは違う180度方向転回した画期的なハイブリッドシステムを生み出しながら、まだ旧来のホンダエンジン車風の味付けにする、変なエンジン屋の拘り。実に不思議です。つまり頭で勉強してから乗らないと、このアコード。ただのふわふわの燃費が良い車に過ぎません。普通の車との違和感を無くしたいのかも知れませんが、それではホンダの技術の凄さは全く誰にも伝わりません。 デザインでも味付けでも、このハイブリッドの凄さはわからない。そりゃ売れませんわ。初代プリウスやリーフは、デザインからしてなんだこれでした。売れる売れないは別としても新しいモノはキチンと目で見ても新しいと解るべきです。この車が歴史有るアコードの一代として出たのがそもそもの間違いです。とても未来的先進的デザイン&乗り味の車としてこの車はデビューするべきでした。そう、インチキ格安ハイブリッドのインサイトではなく、この車こそが、正統的プリウスのライバル車として「インサイト」で有るべきだったのではないでしょうか?(2013年6月発表) 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
N-ONE(13.2.26記) |
北米では成功を収めているモノの、日本での現在のホンダはかってのスポーティーなイメージはどこかへ行き、フィットとミニバンのみのメーカーというイメージになってしまいました。一応ハイブリッドでトヨタの向こうを張ってみたモノの、より本格的なトヨタのシステムに比べて、どうしても、ハイブリッドシステムの重さ分でハイブリッドのメリットが無くなっちゃうんじゃないの?ホンダ本来のエンジン技術のみの方が燃費良いんじゃないの?の疑惑が拭えません(笑)。 とはいえ、今の日本で売れている車はコンパクトとミニバンを含めて3種類のみ。では残りの1種類を押さえれば、ホンダとしては一応キチンとやる事やれている感じです。そのもう1種類とは?そう軽自動車です。ホンダの軽と言えば、時折スマッシュヒットは飛ばすモノの、それをキチンとしたブランドに育てきれてない印象で、そこが軽自動車中心メーカーのダイハツやスズキとは違う、良く言えばゆとり有る雰囲気、悪く言えば切実感の無さと言えたのではないでしょうか? しかし前記したとおり、今の日本で売れている車種は、軽自動車、コンパクト、ミニバンですから、軽自動車を今までのような作り方をしていてはいけないと心を入れ替えたのが、ホンダの軽で初めてセンタータンクレイアウトを採用したNBOX。センタータンクレイアウトは広大な室内空間を生み出せ、フィットヒットの最大の理由の一つなんですから、何で今まで採用しなかったのか?と思いましたが、世のユーザーも同じ事を考えていたらしく、さほど新鮮みのあるデザインでもないにかかわらず、爆発的ヒットを記録します。 だったら同じプラットフォームでデザイン面でも一工夫した車を出せば、またまた大ヒットなんじゃないのと投入したのが、このN-ONEです。デザインのモチーフはホンダの乗用系の始祖N360。車名はオリジナルのN360が、マイナーチェンジ毎にN2、N3と言われたので、一番最初期の仕様はN1にあたるという事でつけられたみたいですが、どう考えてもBMWミニワンの影響の方が強いかと思います(笑)。ホンダのNとミニの関係と言えば、初代のN360は、設計思想でオリジナルミニの影響を受けていたのが明かですが、当時それをシャレっ気たっぷりに表現した、N360のミニクーパー風改造キットが有り、その仕様のプラモデルもアオシマから販売されていたりしました。 さてではいつものように外装デザインから。N360をモチーフにしていると言っても、顔やパーツの配置などのみで、全体の印象はハイト軽としてのスタイルが強く出ている感じです。Cピラーなどを見るとわかりますが、コーナーのアールが意外とキツくオリジナルの牧歌的な感じはあまりありません。レトロスタイルを忠実に再現したパイクカーではなく、あくまでも実用車にレトロ風味を振りかけた程度という感じでしょうか?この辺りのあまり追い込んでない、やりすぎてない感が、今の若い世代にも抵抗無く受け入れられ、老若男女問わずでヒットに繋がってるのだと思います。 内装の質感は、軽自動車としては良い方。特にホンダというとすぐにSF的インパネに走りがちですが(あれはあれで好きですが)、逆ぞり感のある、あまり見かけないデザインで、こちらもレトロと現在とが上手い落としどころで表現されていて、なかなか秀逸なインパネ周りだと思います。また内装色もありがちな黒とグレーに逃げずに、ベージュ&モカグレーと黒&バーガンディと言うお洒落な組み合わせで頑張っています。 色と言えば外装色のバリエーションが非常に多いのも嬉しいところ。基本色だけで11色。しかもその色に全く偏りが無く、ポップなモノからしっとりしたモノまで、こちらも老若男女に好みの色が見つかると思います。さらにルーフの色が違うツートンも5種類。もちろん前記したBMWミニの成功があってこその採用でしょうが、やはりこれぐらい色が選べると、より自分の車感が強くなりますし、何より街中の景色が明るくなると思います。 N-ONEはNBOXに続き順調に売れているわけですが、センタータンクレイアウト採用という他社とは違う特徴があるにしても、何より大事なのは、そのキャラクター性が認められ、そこに付加価値が生じているという点。軽自動車の高価格が進む中とはいえ、本来の機能とは違う部分に、お金を使わせても良いと思わせたのは凄いことです。 特に日本車は世界に誇れる緻密な車作りで、コンパクトカーの実力は世界一だったはずです。ところが日本人は何故だか、小さいモノが高いと言うことを極端に嫌い、俗に言う「小さな高級車」を全く受け入れてきませんでした。一時的に日産のパイクカーを初めとするレトロカーブームが有りましたが、日産のパイクカーが本格的に作り込んであったのに対して、軽自動車のレトロ風は、あくまでもなんちゃってな仕上がりでブームは急速にしぼんでしまいました。 しかもあのレトロブームはあくまでもモチーフは欧州車で、国産自社の歴史を振り返るようなものではありませんでした。その為どうしても他人のふんどしで相撲を取るような後味の悪さが残ったものです。対して欧州メーカーは、自社の歴史の中にアイコンとなるような名車を必ず抱えています。VWがビートルを、ローバーグループを買収したBMWがミニを、フィアットがチンクエチェントを、上手く活かしてプレミアムなコンパクトカーを作り上げて見せたわけです。 それらの車が日本で走るようになって、日本のユーザーもようやく気づくわけです。「小さくても高品質で高いモノも有る」のだと。しかしそれはしっかりと作り込まれたものでないといけません。日産ノートのメダリストなんかを「小さな高級車」なんて言うのはちゃんちゃらおかしいわけです。そう言う意味では軽自動車とはいえ、欧州車のお手本が有ったとはいえ、N-ONEは国産車としてはエポックメイキングな存在の車だと思います。 ただホンダのお手柄はお手柄として認めるにしても、ホンダは日本の自動車メーカーとしては最も後発なメーカーで、上記欧州車メーカーのようなヘリテイジを感じさせる車を抱えているわけではありません。今回のモチーフとしたN360にしても、発売当初はヒットしたモノのモデル末期にはいちゃもんとも言える告訴騒ぎで、わずか1代限りで消滅したモデルに過ぎません。本来ホンダで欧州車のようなアイコンとしてのモチーフに使える車は、初代シビックや初代シティとかなのでしょうが、レトロと言うには微妙な時代です。 むしろこのような過去の遺産を活かすべきなのは、ホンダ以外のメーカーだったはずです。トヨタや日産のような初期からフルラインナップのメーカーには、アイコンとなるような車は意外と見あたりません(黎明期には欧州車のコピーのような車が多かったのも原因かと思います)。トヨタは既に限定車でAA型や初代クラウンを再現していますが、むしろセリカやフェアレディZ辺りが、印象的な車に思えます。 対して中規模のメーカーは、その始祖に社運を掛けた名車が必ず見あたります。マツダならクリフカットのキャロル。スズキは2代目フロンテ。ダイハツは初代シャレード。そして何よりスバルにはスバル360と言う、スバルというより、日本の一時代の風景にすらなっている名車が有るわけです。スバルはコンセプトカーとして何度かこのスバル360をモチーフとした車を発表してきました。しかし結局最後までこの財産を有効活用するこは有りませんでした。スバルがN-ONEのように、キチンとスバル360を活かしていれば、軽自動車からの撤退は無かったかも知れません。 話が大きくそれましたが、このホンダのN-ONEでの成功を見て、他社が追随するような状況になると良いと思います。本当に作り込まれた価値のあるコンパクトカーは多少高くても受け入れられる。そんな空気が日本にも生まれれば、元々品質の高いモノを作るのは得意な日本車メーカーですから、発展途上国のメーカーと価格のみで競り合う必要も無くなるのです。安く作れるのは凄いですが、安っぽいのはダメです。日本車が目指すのは、安いから買わせる車ではなく、価値があるから買わせる車です。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
ラティオ(13.1.26記) |
日産のコンバクトセダン、先代はティーダラティオの名で、その前はサニーやパルサーとして、世のお父さん達の堅実な足として生活を支えてきたわけですが、今回のモデルからラティオ単独名となりました。しかし名前こそ先代から引き継いでいるモノの、そのコンセプトは激変。先代がどちらかというと高品質コンパクトセダンとして、サニーと共に年齢を重ねたユーザーでも満足できるセダンであったのに対して、今回はタイ生産の日産最廉価コンパクトセダンという立ち位置です。 ノートの時にも記しましたが、この日産のコンパクトクラス再編には正直疑問符をつけたいです。ルノー傘下に入って以降の日産は爆発的ヒットと言える車種は限られていますが、いわゆる大外しの車種も少なく、どの車もそれなりに認知されユーザーに受け入れられてきました。コンパクトクラスも、マーチ、キューブ、ノート、ティーダ、ティーダラティオ、ブルーバードシルフィと、一つのプラットフォームから多くの車種をキチンと棲み分けてみせていました。 なのに日産はなぜ、せっかく色分けが出来た新しいコンパクトカー達をまた再編しようとするのでしょう?しかも今回の再編は実に単純です。ハッチバックの安いのと高いの。セダンの安いのと高いの。いや出そろった車を見た上での感想としては、ハッチバックもセダンも、とびきり安っぽいのとそこそこ高そうに見えるもの。そんなモデルチェンジとなってしまいました。 5ナンバーセダンでありながら、共に高品質であったティーダラティオとブルーバードシルフィ。シルフィは3ナンバーになったモノの明らかにコストダウンが解る内装になり、ラティオに至ってはタイ生産の廉価セダンとなってしまいました。共にユーザーは、何十年も前から日産を支え続けてくれた忠誠心の高い、サニー、パルサー、ブルーバードを乗り続けてくれて人たちです。 日産もそんなユーザーのみを相手にするつもりらしく、ラティオに至ってはテレビやラジオ、ネット、新聞などで殆ど広告を打っていません。新規ユーザーを開拓する気は0で、販売方法は全て、既存ユーザーに直接新型車発表をお知らせする方法を取っているようです。いや、この販売方法自体は良いと思います。実際に今の日本でコンパクトセダンを買う層なんて限られていますから。変に広告に予算を掛けるより、セールスマンが足で稼いだ方が堅実に契約が取れそうです。 問題はそうやって日産に忠誠を尽くしてきてくれた年配ユーザーに売りつける車が、このラティオか?って事です。確かにサニーもパルサー(チェリー)も最初はクラスなりな車でした。でも代を重ねる毎に、品質も質感も高くなり、50代60代のユーザーが乗っていて、それなりに満足感の有る車となっていたわけです。そのサニーとパルサーが統合された先代ティーダ/ラティオは、サニーやパルサーから乗り替えても、十分納得できるだけの品質の車でした。カローラが旧来の日本的質感の高さのままなのに対して、ティーダ/ラティオはどちらかと言うとヨーロッパ的でオシャレな質感の高さだったのも、日産らしくて良いなと思わされたところでした。 ところがこのラティオの内装はどうでしょう?グレードによって多少メタル調パネルで華燭されていますが、基本はマーチそのもの。しかもマーチではまだ華やいだ内装色もあるのに、こちらは営業車のような黒一色。質感も本当にプラッチッキーで乗っていて悲しくなります。いや確かに後席足下の広さとか、トランクのバカデカさとか、実用車として考えれば良い車なんだと思います。でもそう言う実用面を求める人は、ミニバン買ってコンパクトセダンなんか買わないでしょう? そもそも孫も含めて3世代乗るようなミニバンは、息子世代が持っているわけです。たまにしか来ない孫達のことより、リタイアした夫婦二人が満足して乗れる、質感の高い、乗り慣れたセダンこそが正解なわけです。なのにどうしてお父さんの上がりの車がこれなんでしょう?この車を「後席広いでしょう?トランク広いでしょう?」って売りつけるんですか? また、リタイアしたお父さん達の審美眼舐めてません?この車、先代ティーダは当然、バブル期のサニーやパルサー、サイズ的にはブルーバードや5ナンバー時代のプリメーラからの乗り替えも有り得るわけですよ。それらの車に乗っていた人たちに、どうしてこの実用一辺倒の営業車みたいな車を勧められるのでしょうか? 外装デザインも変な形の車だと思います(笑)。全体のフォルムは中国で好評のティアナを無理矢理5ナンバーにした感じで、顔だけは中国で迫力負けしないように大きなグリルを備えています。だけどこの顔とサイド、リアのバランスが全く取れてません。顔とそれ以降の比率が1:1ではなく、1.5:1ぐらいな違和感です(ちなみに中国ではサニー名で、北米ではクラス一安い車としてヴァーサとして売られます)。 先代は背高な印象を巧みにデザインでカバーしてましたが、今回は先代より随分全高が低くなっているにもかかわらず、なんとも腰高な安定感のないデザイン。どこをどう見ても格好良いとは思えませんし、変にティアナに引っ張られてデザインしちゃったせいで、実用車の最後の救い「道具感」のようなモノも全くなく、とにかくへんてこな形のセダンになってしまいました。 ただ個人的にはこういうへんてこな車。ハッチバックに無理矢理トランクつけたような車が結構好きなので、リアーオーバーハングの長さとかにはトキメキます(笑)。筆者が好きなデザインかどうかはともかくとして、とにかく言いたいのは、今まで頑張ったお父さん達が最後に買う車はこれじゃあ悲しすぎると言うこと。いくら安くてもこれはダメでしょう。これは不動産屋さんとか後席にお客さんを乗せなきゃ行けない仕事の営業車です。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2(好) |
アウトランダー(13.1.11記) |
同じように経営危機が囁かれた三菱とマツダ。マツダがアテンザの大型化により実質的にはフルラインメーカーを維持してるのに対して、三菱のラインナップはOEMを除くと自動車メーカーとして存続していけるのか?と言うようなガタガタなモノです。何よりニューモデルを市場に投入する能力が激減しており、モデルチェンジの間隔がどれも長く、国内での乗用車撤退時のいすゞを彷彿とさせます。 そんな中で三菱経営陣は、自社の柱をSUVと考えているようで(この辺りもいすゞを連想させます)、リコール隠し以後も、エアトレック、先代アウトランダー、パジェロ、RVRと、その他のコンパクトカー、セダンがほったらかしなのに対して、定期的に新型車を投入しています。ただ正直この路線で正解なのかは疑問符のつくところで、これだけ投入されたSUV。どれも大ヒットと言うような車は有りません。三菱に操を立てたミツビシャー達が、乗り替える車が無くて消去法で選んで購入する。そう言うユーザー相手でなんとか売れているのが現状です。 その一方で、軽自動車iを育てきれなかったり(販売数的にも、プラットフォームが利用できなかったことでも)、現在主流であるはずのコンパクトカーも、ミラージュ投入まで長い間コルトがほったらかしだったり、もう一方の主流である5ナンバーミニバンの手駒が無かったりで、全く三菱の経営陣の判断は素人以下なのか?と不安にすらなります。世界的にはSUVや四駆にこそ、三菱のブランドイメージがあると言うことで、そこにかけているのでしょうが、それこそいすゞと同じで、国内での地盤沈下を招くのは当然のような気がします。 さてそんなわけで、またかという感じの新型SUVアウトランダーです。三菱はいわゆるガンダム顔、ジェットファイターグリルを三菱車の顔として定着させようと、ランエボ/ギャラン、RVR、先代アウトランダー一部に採用してきました。海外ではアウトランダーもコルトもマイチェンでこの顔に変更されていましたから、それなりの覚悟を持って三菱の顔として展開するつもりだったのでしょう。車種の少ない現状ですから、メーカーのイメージをはっきりとさせるのは大事ですから、発想としては間違っていないと思っていました。 でも先ほどデビューした世界戦略車ミラージュも、この新型アウトランダーも、全くジェットファイターグリルでは有りません(それどころかRVRの特別仕様車でもジェットファイターグリルはやめてます)。わずか数年で、この顔を諦めるのでしょうか?そもそも上記したのとは矛盾するかも知れませんが、筆者はこのガンダム顔には否定的でした。この顔をジェットファイターグリルと言い始めたのはここ数年ですが、三菱がこの顔をギャラン/ランサー系で採用し始めたのは15〜20年ほど前からです。 ギャランに至っては結局この顔で失敗し、実質絶版車となってしまったわけです。三菱好きとしては嫌いな顔ではないけれど、世間的にはそれほど好感を持たれている顔ではないわけです。その顔をメーカーの顔として定着させるのはやはり無理があったのだと思います。対してマツダは、それまで特にマツダのイメージとして有ったわけではない五角形グリルを、新しいマツダの顔として採用し現在まで順調に育ててきています。 こんな簡単に諦めるのであれば、はなからやらなければよいのです。メーカーの顔を育てるというのはとても大事なことです。例えばデリカシリーズはD2もD3もスズキと日産からのOEM供給車です。こういう車こそ、少しの手間で三菱車っぽく見せなければ行けないわけですから、最低限グリルはD5を彷彿とさせる縦型四角穴のグリルであるべきでしょう?ジェットファイターグリルは無理でも、その程度なら1点のプラパーツの差し替えで三菱ミニバン顔のイメージが展開できるわけです。どうしてそう言う細かな演出が出来ないのでしょう?しかも実はD2に関してはオプショングリルとして存在しているのです。有るのならどうして純正にしない?本当に三菱はわかりません。 話が大きくそれましたが、そんなわけで、新型アウトランダーはジェットファイターグリルではありません。かといってミラージュと統一感のある顔でも有りません。セールスの話では一応パジェロと同系統の顔にしてあるとのこと。確かにダミーの変なグリルはパジェロのグリルを象形化したような感じですし、ライトの下からロアーグリルに繋がるキャラクターラインも同じモチーフ。でも車全体の印象がパジェロと全然違う(パジェロはゴツゴツした典型的三菱デザインです)ので、あまりパジェロと関連有る車には見えません。 この車の外観デザインはとても不思議なデザインで、パッと見全く三菱車らしくありませんし、今現在の流行りと照らし合わせても、素直に格好良いと言われるようなデザインでは無いと思います。ただその独特なぬめっとした有機的なデザインは有る意味とても未来的で、かなり面白いデザインだと思います。このデザインの印象を決定的に悪くしてるのが、とにかく変なダミーのグリルと色のラインナップです。このデザインであれば、元々ダミーなのですからグリルレスでも良かったと思いますし、最低PHV仕様のクリーンなグリルで有るべきだったかと思います。 また色のラインナップもこの車に合う合わないではなく、単純にどこかのマーケティング会社の言いなりな感じです。PHVのイメージカラーの水色以外、CR-Zや86と同じですよね・・・こういう未来的なフォルムに合うのは、やはり輝度が高くて白っぽいシルバーとかだと思うんです。それにクリアーテールになんだったらクリアーグリル。純正に準備されているようなくすんだシルバーは違うと思うんですよね。もっとデザインに合った色を提案できないのでしょうか? 外装デザインが三菱っぽくないのは、ひょっとしたらシトロエンプジョーの影響かも知れません。先代アウトランダーもRVRも顔替えでシトロエン、プジョー仕様がOEM供給されてましたから、三菱は今回もOEMを狙っていたのではないでしょうか?あるいはデザイン決定までにシトロエンプジョーのデザインナーと交流があったのではないでしょうか?残念ながら、三菱はシトロエンプジョーよりも日産ルノーとの提携に舵を大きく切ったようで、今回のアウトランダーはシトロエンプジョー版は存在しないらしいのですが。 内装質感に関しては、まだまだ最近の残念な三菱品質のままです。確かに流行りのピアノブラックのパネルを取り入れたりはしてますが、ソフトパッド部分のシボなどの質感は低いままです。また変なギラギラするシルバーの華燭パネルもどうなのでしょう?オプション木目パネルの質感もそれほど高くないので、いっそのこと全部ピアノブラックの方が高級感が出たかも知れません。そもそも外観の未来的なデザインに対して、もう一つ攻めきれてないような気がします。相変わらず黒一色の内装色も残念です。どうして黒は一番質感がわかる色だって気づかないんでしょうかね?プロトタイプにはベージュ内装ありましたし、何よりウェストラインより上は内装色ベージュ(ホワイト)なんですよね。未来的なテーマでしたら、シルバーグレー系とかも有りだと思うんですけど。 取りあえず今回はPHVが本命でしょうから、デザイン云々が売れる要素ではないと思うんですが、だったらどうして同時に出せないんでしょうかね?先に通常版出して、パッとしないイメージついちゃったらPHV版も厳しいと思います。PHV&このデザインで未来的イメージで引っ張ってるのが正解なはずなのに、本当に三菱ってわかりません。とほほ。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
ワゴンR(13.1.4記) |
従来ワゴンRは5年毎にモデルチェンジを繰り返し、それが、本来後発で有りながら4年毎のモデルチェンジをするムーヴとの世代逆転現象を生んでたのですが、今回は1年前倒しして4年でのモデルチェンジ。これに合わせたのかライバルのムーブの方もビッグマイナーチェンジを行い、軽自動車の開発競争は70年代の軽ブームの頃に匹敵する感じです。 そんなワゴンR、今回の目玉はエネチャージ&エコクール。簡単に言うと回生ブレーキで充電するのと、エンジン作動時にエアコンで蓄冷材を凍らせておいて、アイドリングストップ時に蓄冷材経由の送風で、エアコン作動→アイドリングストップ終了を遅らせるモノ。モード燃費計測時にはエアコンは使用しないらしいので、エコクールに関しては、直接的にカタログ燃費には影響をもたらさない技術になります。 今まで散々ユーザー軽視だったスズキ&ワゴンRに、こんなユーザーサイドに立った技術が採用されるなんてビックリですが、それだけ今の軽自動車戦争に危機感を覚えていると言うことでしょう。本気を出したスズキが凄い会社だというのは解っているのですから、その本気をキチンと日本国内の主力車種でこれからも出してもらいたいモノです。 外観デザインはいつものワゴンR風味。全くワクワクもしませんし新型が出た感も薄く、しばらく経てば多くの人が、先代や先々代と区別がつかなくなるデザインだと思います。細かなところには繊細なプレスラインが入ってたりして、着実に今風になっているのですが、同じように定番デザインとして進化し続けるVWのゴルフと一番違うところはここで、ゴルフは同じデザインテーマを採用し続けていても、キチンと世代毎の区別がつきますが、ワゴンRにはそれが有りません。旧型ユーザーにとっては嬉しいことかも知れませんが、新型を買う高揚感のようなモノが無いのはどうかと思います。 内装質感は現在の軽自動車として標準的。決して他社のプレミアム感のある品質には及びませんが、スズキの内装としては頑張った方で、この辺りからもスズキの危機感が伺えます。ただ残念なのは外板色。ピンクと水色以外はなんとも地味な色ばかり。スティングレーはピンクと水色の代わりに赤メタが加わるのですが、いずれにしても今の軽自動車としては物足りない感じです。ワゴンR=道具感と言う固定観念に縛られすぎなんじゃないでしょうか?これだけ売れている車なんですから、もっと色の選択肢はあっても良いと思います。 さて、以上がワゴンR本体の話し。しかし今回スズキのディーラーに車を見に行って一番気になったことはこれから。それはこの寒空の下、1台もショールーム内に車が無いと言うこと。今回行ったディーラーはスズキの中では割合大きな店舗で、通常なら軽自動車3台程度は置けるスペースがあります。なのに全ての展示車は屋外に有り、空いたスペースは子供の遊び場になっているわけです。 スズキだけに限らず、同様の展示方式はホンダなんかでも増えているようですが、その理由は「車は外を走るモノなので汚い。室内に置かないで欲しい」と言うバカ母親の意見を真に受けてるからです。はいスーパーバカ来たー。いや100歩譲ってそう言う感覚を持つ人が居ても良いと思います。でもそれを素直に聞いちゃう自動車メーカーってどうなんでしょう? 自分達が売っている商品を「汚い」と言われちゃってるわけですよ?そこにプライドは無いのでしょうか?話が大きくなりますが、こうやって意識下で車の価値を下げることが、日本経済の停滞にも繋がっていると思います。かって車は憧れの対象でした。自分の給料が上がれば、それに合わせて車のランクも上げる。バカバカしいとも言えますが、なんとも慎ましい幸せとも言えるでしょう。 そう言う車という商品に対する憧れ、夢が、日本の自動車産業を大きくして、世界に太刀打ちできる技術を生み、日本の高度経済成長、豊かさを生み出したわけです。同じように日本の成功の象徴であった家電は、白物化が進み商品に夢を感じられなくなって衰退しました。このままでは車もその轍を踏んでしまう可能性があるのです。 日本車で売れているのは道具としての車。軽自動車とミニバンばかりで順当に白物化が進んでいます。メーカーの技術の粋を集め、かつ利幅の大きい高級車は、トヨタ以外はほぼ外国車の天下です。車に憧れを抱けない状況は、車によって成功してきた日本にとって非常に危険です。 なのに、一部ユーザーの偏った意見をそのまま受け入れて、自分達の製品を貶める。メーカー、ディーラーの姿勢がこれではダメなのです。むしろそんなバカユーザーには、自分達の作って売っている商品は、素晴らしいもので、憧れの対象ですと啓蒙するべきなのです。声の大きいユーサーの意見が必ずしも正解ではないのは、過去の多くの失敗からも明らかなはずです。 と言うかどう考えても冬の寒空、炎天下の夏に、エアコンの効いた室内でじっくりと車が見れないのは、その他多くのユーザーのことを考えてもおかしいでしょう?それともスズキお得意の、ユーザーを見限った考えで、どうせ車のことなんか解らないんだから、カタログ説明だけで十分でしょ?ということなんでしょうか。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) |