過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。
1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。
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カムリハイブリッド(11.12.15記) |
カムリと言えば北米のベストセラーカラーの座を長い間、アコード、トーラスらと争ってきた北米トヨタの基幹車種です。対して日本では、セリカのイメージを持ったセダンとしてスタート後は、FFの最高級車、FFのマーク2的ポジションを守ってきました。ところが、ウィンダム、アバロンらの登場で立ち位置が怪しくなり、さらに日本でセダン需要が激減して以降、ここ数代はなんとも目立たない存在でした。 個人的には北米仕様がそのまま入ってくるようになった(厳密には違いますが、サイズ的にと言う意味で)カムリは、ガバガバな実用セダンとして、非常に嫌いじゃない存在だったのですが、日本でこのサイズだとどうしても高級車として認識され、北米でカローラのポジションの車にしてみれば無理有るよ。と言うのが日本でのカムリ不振の大きな理由だと思います。 セダンが売れない売れないと言われていても、クラウン、マークXはそれなりに売れていて、海外のミドルクラス以上のセダンも堅実に売れているわけですから、カムリの不振はその立ち位置に有ったのは明らかです。高級車でなく、大きめな実用セダンというポジションは、ミニバン全盛の日本では成立しないポジションです。 だったらとトヨタは新型カムリに明確なポジションを準備しました。それは大型高級ハイブリッドセダンと言うものです。既にプリウスの上にはサイとレクサスHSと言う高級ハイブリットが控えていますが、そのどちらも基本的にはプリウスの兄弟車で、サイズ的魅力に乏しいのが現実。高級感という意味でも、レクサスHSはそれなりにお金を掛けてはいるモノの、サイに関しては、これを高級車として売るのは若干厳しく、そしてそれは販売台数にも現れています。 これに対して新型カムリハイブリッドは、シャーシはプリウスとは違う専用設計ですし、逆にハイブリッドシステムは、クラウンハイブリッドのようなマイルドハイブリッドではなく、プリウス式の本格的なモノが搭載されています。微妙なのがサイとカムリの差別化。サイは2.4L、カムリは2.5L。燃費は新型のカムリの方が良く、サイズは断然カムリの方が大きくて広い。それでいて値段はカムリの方が304万円からと、サイ338万円からより安い。 ただサイの338万円は、一応ナビ付きフル装備。対してカムリは鉄チンホイールのベースグレードです。以前サイが出た時に「フル装備にするから高くなる」と苦言を呈した身としては、キチンとベースグレードを準備したカムリに拍手を送りたいのですが、カムリをサイ並みの装備にすると結局サイの価格は越えるみたいです。 誰がどう見ても、カムリとサイをあるいはレクサスHSを並べれば、カムリが高そうな車に見えるのは確実です。ウィンダム出現以降、どうにもポジション的にあやふやだったカムリの立ち位置が、今回明確に高級ハイブリッドFFセダンと決まったのは良かったのではないでしょうか?つーかこれでもうサイはいらないでしょう?(笑)。 さて、デザインの方はどうかと言いますと、北米カムリがどちらかというとスポーティーな装いなのに対して、日本仕様は、ばーんと大型グリルを備え付け、サイズ的押し出しと合わせて、強引に高級車をアピールしてきます。上記したように、これはこれでサイやレクサスHSと比べる際に、大きなアドバンテージになっているとは思うんですけど、正直格好良いとは言いかねます。 なんか四角くてデカい。迫力はあるんですけど品がない。トヨタはクラウンを見ていても解るように、本来は繊細なデザインが出来る会社だったはずなんですけど、ここのところの一連のセダンデザインを見ていると、欧米で他社に迫力負けしないようにと、変に力の入ったデザインにしている気がします。迫力だそうとしているせいか、全体の構成は雑で、顔にばかり力が入っている。その無理矢理感が、90年代後半から2000年代前半の韓国車のように感じて格好良く思えないんですよね・・・ ベンツやBMW、プジョーやVW、みな大きなグリルに鋭い目つきで存在感を示していましたが、そのブームも落ち着き、最近はどちらかというとシュッとした顔つきのモデルチェンジが増えています。本来トヨタや国産車が得意なはずのシュッとしたデザインなのに、逆にトヨタが出遅れちゃってる格好悪さ。カムリの格好悪さは現在の迷走気味なトヨタ車を如実に表していると思います。内装は、安っぽくは無いけど、それほど高級でも無い感じ。クラスなりの品質は上手く出せてるけど、特に感動するほどのモノでも無し。 自動車評論家の試乗記によると、車の仕上がりは大変良いらしいです。2代目マークXがベタ褒めで、実際に試乗したらかなり良かったですから、カムリも同じパターンかと。そう言う意味では、形さえ気に入ればサイやレクサスHSなんか買わずに、カムリを買うのが正解だと思います。ハイブリッド買うような人はリセールバリューなんか気にせず乗り潰すでしょうから、自分が気に入ればゴーだと思います。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) |
ミライース(11.11.2記)-試乗済み- |
ダイハツ曰く「第3のエコカー」。ハイブリッドでも電気でもなく、今までの技術の延長線上で、低燃費な実用車を作る。マツダのスカイアクティブと同じような思想の車です。09年の東京モーターショーにコンセプトモデルが発表され、その時点で10.15モード燃費はリッター30キロ。これを市販車でもクリヤー出来るのかというのが注目だったわけですが、見事リッター32キロを達成しています。 ただモーターショー時点では、なかなか格好良い車だったんですよね。イース。3ドアで車体もコンパクト。主に二人乗りとしての使い方を前提として、サイズの小ささ=軽量化にも繋がってたはずです。ところが市販車として出てきたモノは、全然違う形で見事なまでの実用車。全く持って色気のかけらもないデザインで、ここ10年程度の軽自動車の形そのものという感じです。 せっかく第3のエコカーとまで言っている新型車が、こんな変わり映えしない形で良いのか?と車好きは思ってしまいますが、ダイハツにとってこの形は、過去の反省を活かしたデザインだとも言えるのです。ダイハツは数年前、軽自動車のフラッグシップとも言うべき流麗なフォルムを持つスペシャリティーカー、ソニカを投入するも失敗。さらにその数年前には、性能の追求よりも低価格とデザイン性を全面に打ち出したエッセを販売するも、こちらも思ったほど台数は伸びませんでした。 この2台の反省から、性能が凄くても、デザインが優れていても、高品質であっても、オシャレであっても、軽自動車は売れない。残念ながら軽自動車は、貧乏性の日本人の国民性がフルに出てしまうカテゴリーで、結局、安いとか、広いとか、燃費がよいとか、そう言う事柄が正義になるのだと学習したわけです。 その結果がこの形で全くオシャレではないですが、誰もが頭に描く軽自動車そのもので抵抗感が有りません。これで良いんです。なのに、驚異的な低燃費を実現しつつ、価格は十分に安い。ハイブリッドや電気自動車のような、価格上昇分を燃費で取り返すには何年乗れば・・・的な計算をする必要が有りません。 車の白物家電化が進んでいると言われてきましたが、ある意味究極の白物家電車と言えるでしょう。イースを選ぶ際にデザインを気にする人なんて殆どいないんじゃないでしょうか?よく冷えるのか?どれぐらい入るのか?氷はすぐ出来るのか?そんな冷蔵庫みたいな車です。 そんなわけで車好きには全く来ないイース。お店の人が試乗を勧めてくれたので、ほいほい乗せてもらいます。一応試乗コースは設定されてはいるモノの、珍しいことに同乗者無しのフリー試乗です。燃費コンテストみたいな企画も開催されてますが、そんなの気にしてエゴ運転(周りの交通の流れを無視して、自分の燃費だけを追求する乗り方)をして、色々試せないは嫌なので気にしないことにします。 そもそも車を見ている時にも思ったんですが、全てにおいてペナペナ。ドアの開閉音と言い、鉄板の印象、内装(特に後席ドア)のプラッチックを押した感じ、とてもダイハツの軽自動車とは思えないペナペナ感。言ってみればダイハツが作ったスズキ車みたいなペナペナ。 こんなにペナペナでも、走向していて悪路などにさしかかっても、ガタピシ音がしないのはさすがに最新型の軽だなと思いますが、タイヤのせいか、遮音材省いているのか走行音はそれなりにします。この辺りも何というかスズキ的。低燃費実現の要アイドリングストップですが、試乗したのが夕方でライトオンだった為、停止前にエンジンが止まっちゃうと言うのは体験できず。普通のアイドリングストップ車と同様、停止してからエンジン止まっていました。 この「時速7キロ以下になったらエンジンストップ」の際に、制動に違和感が出ないのか?再加速したらどうなるのか?と色々試したかったんですが、体験できず残念でした。ちなみにアイドリングストップからの再始動は、普通に自分でエンジン再始動してる感じで、派手にセルモーターが回って、毎度毎度キュルキュル始動します。他社はこのアイドリングストップ後の再始動に気を遣ってるようですが、取りあえずダイハツの人は気にならないようです(笑)。 車についてる燃費計によると、街中エゴ運転ならリッター20キロ越えはかなり余裕です。ただ交通の流れに乗って、普通に運転すると(それでも車間距離を取って無駄なアクセル操作はしてません)リッター15キロ程度でしょうか?よく「ふんわりアクセルでスタート」なんて言ってますけど、車は始動時が一番燃料を食うわけですから、ふんわりアクセルでちんたら走る車のせいで、信号に引っかかってばかりだったり、ちんたら車を追い越そうとして急加速をすると、むしろ全体の燃費は悪化するはずなんですよね。車はスムーズに流れている時が一番燃費がよいのは、高速80キロ〜100キロの燃費が一番良いことでもわかる事なんですけど。 と言うわけで、安くて燃費が良いだけの車が欲しければどうぞ。個人的には全く魅力を感じません。ダイハツ軽ならのしっかりした感じが無くなっちゃってるのも大きな減点ポイント。大体これミラのモデルチェンジじゃダメだったんですかね?それとも実はお得意の名前すり替え、主力車チェンジなんでしょうか(笑)。フェロー→フェローマックス→マックスクオーレ→クオーレ→ミラクオーレ→ミラ→ミライース→イース? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2。 |
アベンシス(11.10.16記) |
どんな車種でも、他社で売れる車が出たら、かならずライバル車を開発して後出しジャンケンでそのマーケットを奪っていくトヨタ。若い頃は、そんなトヨタの姿勢を世の中一般のアンチトヨタユーザーと同じく「卑怯」なんて思っていましたが、だったら真似された側も、さらにそのトヨタを上回る後出しっぷりで凌駕すれば良いのでは?なんて思うようになりました(笑)。 大抵トヨタに一度後出しされてマーケットを奪われちゃうと、それを取り返しには行かず、トヨタのおこぼれ狙いに行って、惨敗消滅な流れなんですよね・・・ところが、そんなトヨタでも唯一奪えなかったカテゴリーがミドルクラスワゴン。そうスバルのレガシィが作り出したマーケットです。 レガシィが大当たりして以降、各メーカーがこのクラスや、これより上のクラスにワゴン車を各種投入しましたが、今や生き残っているのは、アテンザとアコードのみ(ですよね?)。貧乏性の日本人は、同じ面積を専有するならミニバンの方が広くね?とばかりに、アテンザもアコードも販売は微々たるもの。本当にレガシィの一人勝ちの状態が長く続いています。 トヨタもカルディナやカムリ、ビスタ、アルテッツァ、マーク2、クラウンのワゴンなどで、なんとかレガシィのマーケットを奪おうとしましたが、結局どの車も絶版車となり、フルラインメーカートヨタとしては珍しく、このミドルクラスワゴンに売る車が有りませんでした。さすがにこれはまずいと思ったのか、一度輸入を取りやめていたアベンシス、しかもワゴンのみを導入することとなりました。 とはいえ、このアベンシス。期間台数限定輸入とのことで、売る気が有るんだか無いんだか?某自動車評論家はこれを取り上げ、やたら危機感を煽っていましたが、トヨタとしては別に希少車にする気など全然無く、欧州ではマイナーチェンジが行われる寸前だったため、あらかじめ台数を区切っていたというのが正解。ただ、この期間限定販売の売れ行きが芳しくないと、マイチェン後のモデルが入ってこないと言う可能性も無くはないらしいですが・・・ さてこのアベンシス。日本では2代目ですが、欧州では3代目。欧州初代アベンシスは日本で言う2代目カルディナにあたりますが、あちらではセダンボディも有りました。当初日本導入は考えられていなかったので、サイズはしっかり欧州ミドルクラスサイズ。全幅1810ミリで日本では結構持てあますサイズかも知れません。 日本では未だにサイズで車の格を考えてしまいますが、このサイズでも所詮向こうでは実用車ですから、内装などの質感はトヨタの安い方の品質。シボのデザインが良いのでカタログ写りは良いけれど、触ってみるとプラッチッキーなあれです。インパネ中央のメタル調加飾も使い方が大雑把で、偽物感ぷんぷんです。元々カルディナだと思えばこんなもんだろと言う気もしますが、先代アベンシスは結構作り込んでありましたし、今、マークXの一番安いのって同価格帯なんで、それと比べると厳しいです。 もちろんマークXとアベンシスワゴン比べる人居ないでしょうけど、マークXは2.5Lな付加価値、アベンシスはワゴンという付加価値。でも質感は断然マークXですから。トヨタは安い方と、高い方の質感明確に分けるのやめられないんでしょうか?極端すぎるんですよね。せめて松竹梅と3段階で分けられていれば、気づかれにくいと思うんですが。 上でマークXの質感について触れましたが、マークXは見た目の質感だけではなく、車として動かしての質感も結構な出来です(試乗済み)。だったらアベンシスは、動かしてみての質感もカルディナ並なのかと思いきや、自動車評論家の評判は皆なかなか高評価だった印象です。概ね「道具として車として良くできていて、これならこの価格は安い。」との論調。ただ直接のライバルレガシィと比べると、そんなに安くないんですよね・・・レガシィは4WDで2.5Lですし。 つーかここまでダラダラ書いてきてアレなんですけど、決定的な一言。このデザイン格好良いんですかね?レクサスもそうだけど、トヨタのワールドカー最大の欠点は格好悪いことだと。リアはどこかで見たこと有る感なのでさておくとしても、この顔をトヨタは本当に格好良いと思ってやっているのでしょうか?欧州の他社はみんなもっと素直に格好良いですよ。トヨタは他と違うデザインをやろうとしてどんどん格好悪くなっている印象です。 最近ぐいぐい評判が上がってきた韓国現代の車は誰が見ても素直に格好良い形をしています。わかりやすさで言えば、マツダのアテンザ、アクセラだって格好悪いと言う人はいないでしょう(売れるかどうかは別として)。でもトヨタのワールドカーのデザインは格好悪い、変な顔の車が多くないですか?小手先で見た目を替えただけで、ボディ全体とのバランスが悪く感じます。それこそ90年代の韓国車のような感じです。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2 |
プリウスα(11.9.29記) |
さてこのプリウスα、発売から随分日が経っています。基本試座記では、追加車やマイナーチェンジは扱わないようにしてるので、本来取り上げるつもりはなかったのですが、同時期に発表されたフィットシャトルは取り上げてますし、先日たまたまアムラックスで触れる機会もあったので取り上げることにしました。 と言ってもプリウスのホイールベースを延長して7人乗りにも対応できるようにしただけのモデルなので、これと言って目新しい点は有りません。外観デザインも現行プリウスをワゴンなミニバン風の仕上げにしただけで、どうと言うことはなく・・・興味の無い人が見たら、正面からではプリウスとプリウスα の区別はつかないんじゃないでしょうか? 内装は7人乗れるようにするために全高を高くしている上に、ワゴンですからルーフ後部が延長されています。その為プリウスでは若干窮屈だった2列目頭上の余裕が拡大されてます。質感自体は一応シボを工夫して誤魔化してますけど、プラッチッキーで安い方のトヨタ品質そのまま。ショルダーラインのプラッチックなんかは、シボのせいも有りますけど、ちょっと爪が長い人が引っかいてしまうと簡単に傷が付いてしまいます。 インパネはプリウスとは全く違うデザインなのですが、オーリス/ブレイド以来のセンターコンソールが張り出したバカ骨格を使ってるので雰囲気はあまり変わりありません。プリウスαではインパネとセンターコンソールを分断してみたモノの、やはりファミリーカーとしては狭苦しく感じる前席周りの雰囲気はそのままです。 むしろ、このプリウスαの7人乗り仕様では、センターコンソールの中にリチウムイオン電池を内蔵しているので、インパネとセンターコンソールが繋がったデザインは、プリウスαにこそ必然なデザインだったのでは無いでしょうか? ハイブリッド車で燃費が良くて、カーゴルームも広くて、7人乗り仕様も有る。3列目は当然ミニマムですが、それでも売れてるのは7人乗り仕様。ホンダのハイブリッドがインチキハイブリッドで有る限りは、トヨタ、プリウス、一人勝ちな状況は変わりそうにありません。でもねぇ、デザイン含めてプリウス α。あんまりワクワクはしないんですよね・・・ 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) |
フィットシャトル(11.8.1記)-試乗済み- |
フィットベースのワゴン。先代はエアウェイブという名前で、一見すると兄弟車というのを感じさせないデザインでしたが、もう一つ知名度が上がらなかったため、今回は名前にもフィットを入れ、デザインも誰が見てもベストセラー車フィットの派生車とわかるいでたちで登場しました。 先代エアウェイブがフィットとは違う、オデッセイやストリームと共通のしゅっとしたデザインで、あまり外観からスペースの広大さを感じさせなかったのに対して、新型のフィットシャトルは、こんもりとした見るからに色々積めそうなデザインで、実用性に重視を置いたことが感じられます。そもそもエアウェイブはルーフ全面をしめるスカイルーフをCMで押していた辺りからも、車の売り方を見失っていたわけで、その反省が今回は車全体から感じられます。 外観デザインは、アメリカ版フィットのフロントベースですが、一見してフィットと解るもの。一応エアウェイブの残り香として独特なCピラーの処理は引き継いでいます。デザイン的にはエアウェイブの方が好みでしたが、やはり見るからにフィットファミリーらしいシャトルの方が正解なデザインだと思います。 内装デザインも、エアウェイブではフィットと造り分けしてたものの、今回は派生車なので基本同じデザイン。ただ樹脂材質、配色などが見直されたので、フィットよりは質感が高く見えます。とはいえ、多分フィットもマイチェンでこの仕様に変えてくると思うので、たいしたアドバンテージにはならないと思います。 今回はセールスが試乗を勧めてくれたのでハイブリッド版を試乗。以前ノーマルのフィットを試乗していたので、はるか遠いその記憶と比べながら。まず乗り心地。フィットに比べて、また一段とマシになったんじゃないでしょうか?いや、マシという言い方はあまり良くないですね。十分納得できるレベルだと思います。フィットと言えば初代モデルの、とにかく街乗りに適さない固い乗り心地が印象的でしたが、モデルチェンジ、派生車種と段階を経る度に、改良されてきていると思います。少なくとも国産車としては十分合格点レベルだと思います。 肝心のアイドリングストップを含むハイブリッドの仕上がりはどうでしょう?インパネ内部は例のティーチングシステムで緑色が正義な嫌な感じ(笑)。これをキープしようとするとやっぱりちんたらエゴ運転。減速時は回生ブレーキが効いて電力を蓄えていくわけですが、止まるほんのちょっと前に回生ブレーキから通常のブレーキに切り替わり、その瞬間、今まで回生ブレーキにあった抵抗感が無くなって、すっとブレーキが抜ける感じがします。慣れればどうって事無いレベルですし、雑な運転してる人には気にならない程度でしょうけど、変に運転に自信が有って、前車ギリギリに止まる人はちょっと注意かも知れません。 アイドリングストップは、始動時に半拍程度の遅れ有り。こちらも慣れれば勝手に半拍分を考慮してアクセル踏むようになるでしょうけど、雑に踏むと若干ギクシャクします。むしろアイドリングストップはそういう事より、季節、エアコンの有無、渋滞時など、様々な環境下で、どれだけお利口に制御できるかなんですけど、短時間の試乗ではそこまで判断できませんでした。 自動車雑誌などではこれとプリウスαを比べたりしていますが、やはりクラスが明確に違う印象です。またハイブリッドシステム自体も、現状ホンダのシステムではプリウスに太刀打ちできないのは明らか。むしろフィット本来のエンジン性能を生かした低燃費にメリットを見いだし、プリウスシリーズよりはるかに安い価格で、フィットシリーズを選ぶべきだと思います。ヴィッツベースのハイブリッドが出てくるまでは、特にハイブリッドでなくてもフィットシリーズは十分お買い得だと思います。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |
リーフ(11.7.23記) |
新型車はなんでも取りあえず見に行く筆者ですが、車種によっては結構敷居が高い車というモノがあります。文字通り敷居が高いレクサスなんかは当然ですが、筆者が乗らないであろう雰囲気な車というのも見に行きづらいです。ハイト軽やミニバンなんかは40過ぎの独身おっさん全開な筆者では、およそ買いそうにも無いので、その辺り腕の良いセールスだったら嗅ぎ分けてるんだろうなとドキドキします(笑)。 そう言う意味ではこの電気自動車リーフも敷居の高い車でした。その充電システム上、一軒家に住んでいないと購入はほぼ不可能という点。マンション住まいの筆者としてはこれだけでテンション下がります。どんなに気に入っても絶対に購入できない車。その車が何千万円もすれば諦めもつきますが、そう言うわけではないのに買えない。完全専用電気自動車としては国産初の興味深い車にも関わらず、試座記が遅れたのはそんな訳です。 街中でもボチボチ見かけるようになってきましたが、そのデザインは独特です。世間的評判では格好悪いと言うことになってるようですが、正直写真で初めて見たときは筆者もそう思いました。なんとなく骨格にはティーダを感じさせるし、とろけたデザインはスペースユーティリティ的にも頭が良さそうには感じられませんでした。 ところが実物を見ると印象が凄く変わります。まずサイズ感が上手く掴めません。運転していてサイズ感が掴めないというのは問題ですが、そう言う意味ではなく、外観デザインを見て、大きな車なのか小さな車なのかわからないんです。前記したように骨格的にはティーダサイズに感じるのですが、とろけた形を再現するために、結構贅沢にデザイン代を使ってます。尻周りの量感は初代ムラーノを彷彿させ、タロイモ食べてる国の女性を思わせます(笑)。 この独特の存在感というのは非常に大事なことです。昔初代プリウス発表の時にも書きましたが、それまでの自動車と違う新たな自動車のデザインとして、既存の自動車の中で埋没してしまうようなデザインは、最も避けなければいけないことです。形からして、今までと違う新しい車と解るものでないといけない。その為にはそのデザインが格好良いか悪いかは二の次で、まずユーザーにある種の違和感を感じさせるぐらいが丁度良いわけです。 初代プリウスも出た時はあまり評判の良いデザインではありませんでした。でもその独特の形が「新しい時代の車が出た」とユーザーに認知させ、プリウスを成功に導いたわけです。今にしてみると、2.3代目の凡庸なデザインに比べて、初代プリウスのデザインはなんとキレている事でしょう。 デザイン言語は全く違いますが、このリーフにも同じような感覚を抱きます。電気自動車と言えば多くの人にとって「未来の車」なイメージです。だったらもっと流線型でスマートなデザインにまとめた方が、そのイメージに合致するわけですが、日産は敢えてぼてっとした饅頭のようなデザインとしました。でもそのイメージと合致しないところが、心に引っかかるわけです。 心に引っかかってもらえばしめたものです。こういう新種の車は、まず心に引っかかってもらわなければいけないわけですから。この段階で、形の評価がどうであろうが、リーフのデザインは正解であり、成功していると思います。 多分、写真の印象では、全体的につるーのぺーっとしている印象でしょうけど、実はヘッドライトもテールランプも、びっくりするぐらいボディから飛び出ています。特にヘッドライトは、多分車体からの空気の離れ方、流し方を考えてのデザインだと思うのですが、これ対歩行者安全基準的にどうなの?と思うぐらい尖ってます。この辺りデザイン的に非常に面白いポイントです。 内装デザインは外観ほど違和感を感じさせない今風のデザインです。二段式のメーターパネルや、フローティング風のピアノブラックのセンターパネルはどこかで見た印象で、一連のホンダのインパネのように、奇をてらった未来感は表現されていません。ただ内装ほぼ全面を白で統一したのは、電気自動車のクリーンなイメージを表現する上で、上手い手法だと思います(もっとも汚れやすくて大変でしょうが)。 前席シートは抜群に良いです。日産がルノーと組んで一番期待したのが、ルノー風の乗り味、イスの出来が、日産に伝われば良いなと言うこと。そう言う意味では、今までの日産車で一番ルノーのイスに近い出来だと感じました。もちろん長時間乗ったわけではなく、ショールームで数分座っただけですが、良いイスに有る「ケツに吸い付いてくる感じ」、それがリーフのシートには有るんですよね。 総じて、リーフという車自体には写真で見たときよりはるかに良い印象を持ちました。最初に書いたように電気自動車的には、まだまだ問題が色々ありますが(自宅に200V電源を引かせる日産指定業者がぼったくりだったり)、バッテリーの価格、航続距離などがクリヤーされて行って、2代目リーフが出る頃には、そのデザインは常識的な違和感を感じさせないデザインになるのではないでしょうか? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4 |