(06.6.2記)
現代は現代車を日本人に理解して貰おうと「とりかえっこキャンペーン」というモノを開催しました。ばか車大好きのおいらがこんな楽しい企画を見逃すわけがありません。早速申し込み、ソナタを4日間借り出すことが出来ました。
現在の現代は、下はTBからエラントラ、ソナタ、グレンジャーと日本でも一応フルラインナップメーカーとして展開しています。グレンジャーは先代モデルのXGが導入されていた為、ソナタは日本で最も遅く導入されたクラスの車と言うわけです。と言っても現代がこのクラスの車を苦手としていたと言うわけでは無く、むしろ世界的には最も現代のフトコロを潤わせてくれるベストセラーカーがこのソナタなわけなのです。特にアメリカ市場では、アコード、カムリ辺りをライバル車と考え、価格も含めてガチンコの勝負を展開中なのですが、ご存じの通り、アコードもカムリも日本では全く売れない車となってしまっているわけで、その辺りが日本導入が最も遅れた要因の一つなのかも知れません。
ではそんなソナタはどんな出来の車なのでしょうか?パッと見のサイズは見事にデカイです。カムリもいい加減大きな車ですが、エッジの立った四角いデザインですのでソナタもなかなか大きく感じます。まあその恩恵で室内空間は後席も含めてなかなかのモノですが、このサイズで中が狭かったらそれはそれで問題なので、あくまで及第点と言う感じです。内装の質感はそこそこ良く出来ていると思います。トヨタやホンダには敵わないかも知れませんが、三菱やマツダ、日産には充分太刀打ち出来るレベルだと思います。現代の高級車として最初に導入されたXGは、内装質感、外装塗装共に、高級車としては疑問符がつくような出来でしたが、このソナタはクラスの平均的な質感は充分に得ていると思います。
次に走り出しての感想は、ちょいと残念な感じです。よく現代車の試乗記を雑誌などで見ると、必ず「乗り味に関しては5〜10年前の日本車レベル」と書かれているのですが、なるほど正直そんな印象を抱きました。ただその乗り味は言ってみれば5〜10年前のトヨタ車の様な乗り味でも有るので、こう言うのが好きな人は日本国内には五万と居るはずです。簡潔に言うと基本フワフワなのにゴツゴツ。良路ではフワフワで快適なのですが、ちょっとでも道が荒れるとゴツゴツ室内にショックが伝わってくると言うものです。さらに印象をトヨタ車的に感じさせるのが、切り始めに重いパワーステアリングと、アクセルの踏み込み時にぐいっと下品に車が出るセッティングです。いやもう、見事にトヨタ車、見事にマーク2な感じです(笑)。
ただトヨタ車と違うのは、アクセル踏み始めだけに力が有るように「見せかけてる」のでは無く、この現代の2.4L直4ユニットは、全般に力強く、そして実にスムーズで扱いやすいエンジンです。またATの出来自体も非常に良く、殆どシフトショックを感じさせず、ことカタログ競争以外に4速ATのデメリットは感じさせません。さらに室内の静かさも見事なモノでアイドリング時のエンジン音も全くと言って良いほど室内に聞こえてきませんし、走っていてもその印象は変わらず、タイヤのノイズが聞こえてくるのと、加速時にエンジンがディーゼルみたいな安っぽい音をたてる以外は、実に静かな車という印象です。
と言うのが現代ソナタと言う車です。ではこの車売れるでしょうか?いや、筆者は少しでも買いたいと思ったでしょうか?答えはノーです。実は思ったほどこの車は安くないのです。直接のライバル車カムリと比べてみると、スペックはほぼ同じです。4日間使っていての燃費はリッター7.5キロぐらいでしたのでこれはトヨタが圧勝すると思われます。装備の差は、サンルーフ、本革シート、トラクションコントロールがプラスなのがソナタ。ディスチャージランプ、クルーズコントロールプラスなのがカムリ。価格はどちらも265万前後・・・これでは現代は登録車のたたき売りでもしない限り勝てるわけがありません。日本人は現代車を「安く買える」と思いこんでるのに天下のトヨタ、世界のトヨタと比べて全くお得感が無いのです。
でも筆者がノーと言った理由は値段だけに有るわけではありません。一番の理由は「つまらないから」その一言につきます。車としてはそつなく出来ています。でもそれだけです。クリーンな外装デザインは、どこかアウディのようであり、レクサスのようでも有ります。でも所詮モノマネで何も心に引っ掛かりません。何かこれまた10年前の日本車が良く言われていたような評価ですが、残念ながら仕方ないでしょう。前記した現代の高級車XGには、今の日本車には無い個性がフロントデザイン、リアデザイン共にあふれ出ていました。目に見える質感に関して、明らかに日本車より劣っていても、そこそこの台数が出たのは、全てあの個性的なエクステリアデザインに有ったわけです。しかし、モデルチェンジしたグレンジャーやソナタには、韓国車ならではの強烈な個性が有りません。いくら品質が上がろうとも、価格的にもデザイン的にも日本車と変わらないのなら、誰がわざわざ韓国車を買うでしょうか?
世界的には日本車のおっかけで充分台数を稼げるでしょうが、日本車を作っている日本ではそれは無理でしょう。現代が日本で売り上げを本気で伸ばす気なら、三菱自動車を買収し、中身は現代車でエンブレムを三菱で売った方が遙かに売り上げが伸ばせると思います。非個性的な車で「現代」を認知させるのは、この日本では不可能な話だと思います。