ルノー トゥインゴ パック  

(99.8.21記)
 シトロエンばかりだった筆者ですが、ついにフランスのもう一方の雄ルノーにも手を広げることが出来ました。と言ってももっとも安い輸入車のトゥインゴですけど。

 まず最初に説明しておきたいこととしては、トゥインゴは99年モデル(写真)から大幅なマイナーチェンジが施されているのですが、この車は98年度モデルの在庫車です。さらにトゥインゴと言うと皆さんセミオートマチックのイージーを想像されるでしょうが、この車はマニュアルのパックです。なぜわざわざマニュアルにしたのかと言うと価格的な問題もありますが、決定的だったのはマイチェン後のイージーの余りにもの出来の良さです。筆者はトゥインゴに関しては出た当初から何度も試乗をさせて貰っていたのですが、はっきり言ってマイチェン後のモデルには目から鱗が落ちました。あんなに苦手だった1〜2速の繋がりが実にスムーズになっていたのです。こりゃあこんなに出来の良いモデルが既に世の中に出ているのに、わざわざ出来の悪い旧型を買うのもしゃくだなぁと言うことで、在庫車の中でもイージーではなくパックを選ぶこととしたのでした(それとそろそろマニュアルレイバーに戻っておかないと、永久に乗れなくなる予感もしましたし)。てなことで、最初は車の評価どうこうよりも自分達が左ハンドルマニュアルに馴れることが精一杯で、ここでの更新が遅れてしまったのです。

 さてようやく馴れてきたトゥインゴの良い点悪い点を記していきたいと思います。まず良い点はイスでしょう。これもマイチェン後のモデルは一段と厚みのある良さそうなものに変わっていたのですが、マイチェン前の貧弱なイスも実によい出来です。見た目は、裏はビニールだしサイズも小さく営業車のイスのようなのですが、世間のフランス車のイスの評価通り(ルノー>シトロエン>プジョー)本当に疲れませんし腰も痛くなりません。こんな最下級クラスの車のイスですらこれほどの出来なのですから、国産車メーカーは何をやっているのかと声を大にして言いたいです。またリッターカークラスでありながら、この広々とした車内空間も見事なパッケージングだと思います。今流行りのミニバン風コンセプトでありながら、いたずらに車高を高く取らず、これだけの室内空間を稼ぎ出しているのは本当に見事だと思います。

 悪い点。悪い点はほとんど細々した事なのですが、決定的に気になる点が一つあります。トゥインゴの試乗記などで常套句のように言われている事として「乗り心地の良さは、一クラスも二クラスも上のモノだ」と言う話があります。確かに良路での大きなうねりなどは、実にスムーズに気持ちよくこなしていくのですが、マンホール段差ぐらいのギャップがあると、とたんに音を上げてしまうのです。小さい車ですしフランス車ですから、それほどボディ剛性感には期待をしていなかったのですが、上記したようにマンホール段差(マンホールの周辺がこんもり盛り上がって舗装されている状態)程度で、ミシッと言う音とガンッと言う衝撃が乗員に伝わってくるのには正直がっかりしました。特にミシッという音は剛性感の不足が問題でしょうから、さほど問題ではないのですが、ガンッという衝撃は明らかにサスペンションが仕事をしきれていなくておきる衝撃でしょうから、フランス車の足まわりに期待をしている筆者にとってこれほど残念なことはありません。ディーラーで訪ねてみても、外車はそんなもんですよと言うお決まりの言葉を聞かされるだけで(いや、乗り心地命のフランス車ディラーがそれではいかんだろ?)、どうにもならないのですが、他のトゥインゴもこんなレベルなのかと疑問を抱かずにいられません。

 後の細かい問題点としては、立て付けが悪い。もう本当に、シフトをしようとちょっと体重移動がなされただけで、ギシっとイスから音が出ますから、マニュアルの(ATは無いですけど)この車は年がら年中イスからギシギシ音が出ていますし、スピーカーの配線が悪くてダッシュボードからも異音がずっーと出ていました(クレームで対策済み)。音に関しては難しく、どこまでが異音でどこまでが構造上仕方のない音か、素人にはわかりづらくディーラーに聞くのにも気を使います。また、晴れた日にはグレーのダッシュボードの写り込みがけっこう激しく、運転の最中に気になることが多々あります。運転席まわりでは、ウインカーの表示がハザードと兼用されていて、右に出しても左に出してもハザード状態で点滅するのが少し不便です。後、パワステがそりゃぁもうバカみたいに軽くて、駐車場などでは良いのですが、ちょっと調子に乗っていると切りすぎたりしてしまうので、もう少し自然な節度感のある設定にならないものかなぁとも思います。

 まぁ数で言えば不満点の方が多くなってしまいましたが、満足度はけっこう高いのです。何と言っても筆者が車に乗る上で大事だと感じる、プラスアルファの良さや喜びがしっかりとあるように思えます。デザインにしても出た当初はトゥディのコピーなんて言われましたが、近くに寄ってしっかり見ると実に良くデザインされています。町中でもよく、老若男女区別無く色々な人に振り返って見られます。それもこの不思議な存在感のなせる技だと思って、けっこう良い気分であります(金色というのもあるでしょうが)。


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