(02.7.5記)
レパードの車検と他諸々の作業中の代車として、ひいきにしている修理工場が貸してくれたのは軽ナンバー1のスズキのさらにナンバー1のワゴンRでした。車の状態としては距離わずか3500キロ、後席にはまだビニールが付いているような状態で、ほぼ新車と言って差し支え無い状態でした。
さて、ミニバンタイプの軽自動車と言うと、以前代車で三菱のトッポBJを借りた事がありました。その時の感想として、エンジンの排気量から来る力不足以外はリッターカーと差が感じられない。と言うような事を感じました。今回は軽自動車で一番売れているワゴンRですから、より一層の好印象を期待したのですが、全くの期待外れでした。「ああ、やっぱり日本人は周りの評判とかカタログの格好良さで、乗りもしないで車を購入するんだな」そう言うことを痛感しました。
まず今回は、排気量の小ささから来る非力感はどの軽自動車も同じですから問題点にはしない事にします(それにしても、幹線道路で周りのペースに合わせた運転をすると、常時4000回転までエンジンを回さなければ行けないのは問題だと思います)。で、真っ先に上げたい不満が、安定しない乗り心地です。フワフワコトコト。路面状況に120%左右される頼りない乗り味です。大きなうねりには煽られ、アスファルトのわだちには簡単にハンドルを取られ、路面が荒れている所では素直に振動を伝えてくる。救いようがありません。安心して乗れるのは自転車行動圏内での時速30キロ以下走行ぐらいなモノです。
トッポBJの乗り心地は堅いモノのしっかりしていました。でもワゴンRの乗り味はどういう方向を目指したいのか全く解りません。幹線道で少し速度が速くなると、ソフトな乗り心地に感じます、ですがそれはソフトと言うより、ぶわんぶわんで昔のクラウンみたいな、車に弱い人が必ず酔う収まりの悪い乗り心地です。かといって昔のクラウンのように終始ソフトなのかというと、路面の状況を神経質に伝えてきてゴトゴトゴトゴト。堅めのイスとあいまって正直気持ちの良いモノではありません。どうせ足周りになんかお金を掛けられるクラスではないのですから、トッポBJのように堅めでしっかりした足周りにするのが正解なのでは無いでしょうか?ワゴンRのセッティングではいくら規制緩和されたと言え、高速道路で100キロ出す気にはなれません。
これに関連することとして、パワステのセッティングに違和感を感じます。まずとにかく軽すぎるのです。個人的にはパワステは軽い方が好感を持っているのですが、それでもそれなりに路面の状況を伝えてくれ、安定感があるモノであって欲しいと思っています。ワゴンRのパワステは軽過ぎる上に、中央でぴしっと安定しないんです。何だか真っ直ぐ走るのに苦労する感じなんです。これと上記ぶわんぶわんな乗り味で、本当にスピードを出すのが怖い車です(まぁそれはそれで正解なのかも知れませんけど)。
次に上げたいのが共鳴音です。印象だけなのかも知れませんが、スズキの車は鉄板が薄そうな感じがします。全体的に車が軽く華奢に感じてしまいます。もちろん車は軽い方が燃費に有利ですので、方向性としては間違っていないのですが、それにしても三菱やダイハツの軽と比べてしっかり感に欠けると思います。この軽く作られたボディが、ある一定以上のスピードになると、ゴーッと響いて4000回転のエンジン音と合わせて結構な騒音になります。音の問題は、軽自動車全般に言えることでもありますけれど、スズキの軽は特に目立つという印象です。
他細かな不満点としては、シートベルトを外すと勢い良くガラスに飛んでいくとか、ブレーキの遊びが多すぎるとかちょこまかとあります。そうそうワゴンR初代からの鳴り物入り装備の助手席下のバケツですが、これ全然使えません(笑)。初代がどうだったのか忘れましたが、現行のバケツは平べったく薄いデザインで安定感に欠けます。さらに正円でも正方形でも無いので、当然水を入れればバランスが崩れて取っ手だけで持つ事が出来ません(重い方に傾いて水がこぼれる)。アイデアは良かったんですけど、実際に水入れて確かめれば分かる話ですよね?
そんなわけであまり誉める所が見つからないこのワゴンR。確かに真っ先にこのコンセプトで出したのは偉かったですけど、周りがみな同じような車になった今、もう少し良い車が同じ値段で買えますよ。そう言いたい気分です。