(14.10.11記)
プログレにすでに1年半乗り、ヤフオク等で売却するなら半年程度は車検を残しときたいと言うことで、次期主力車種の選定作業に入ることにしました(HP更新時期と購入時期は一致してません)。今回の縛りは中古で上限80万円。国産、外車からざっと気になる車を選び出し、片っ端から試乗して気に入れば買うと言ういつものスタンスで望みました(その際の個々の評価は「ちょっと気になる車大試乗会3回目」にまとめてあります)。
実は今回のクルマ選びはかなり迷走し、上記まとめページにあるように多くの車に試乗したものの、なかなか決まらず3ヶ月程度の期間を要しました。その中で最終候補に上がったのは3台。いつもの初代プリウス、先々代ベンツCクラス、先代ボルボS60です。
その中でもCクラスにはかなり心揺さぶられ、「明日買いに行こう」とまで思った日もあったのですが、結局「W203前期型はやめておけ」の格言を覆すような心強い情報を得られず断念しました(ただその後、このCクラスは何故だか売れ残り、今現在もお店に並んでいます。程度は良さそうだったので、前期型にしては強気な価格が災いしてるのでしょうか?)。
プリウスは、プログレの時にあれだけ「東京のトヨタはキチンとしている」と感動させられたのが嘘のように、客対応が酷い販売店だったので、車自体にはかなり心揺さぶられたのですが断念しました。結果的に、ボルボS60の車検残多、フルオプションで条件が良いモノが見つかり、また銀色に黒革(実際はグレー)かと迷いはしたモノの、中古車は色より程度なのでこちらに決めました。
元々S60は出た当初から心揺さぶられるデザインでしたが、最近国産車では減ってしまった、薄べったく見えるセダンとして現在でも充分格好良く見えます。ボルボ自体のデザインはすでに次のステップに進み、よりスタイリッシュなものへ変わり絶賛されていますが、四角いボルボから脱却し始めたこの頃のデザインも悪くはないと思います。さてそんな外観から入ったS60ですがどんな車でしょうか?
率直に言って、ヤフーの口コミに「イス以外は凡庸な車」とあったのですがまさにその通り(笑)。乗り心地に関しては今回完全に失敗しました。試乗時にはおとなしい運転だったせいか気づかなかったのですが、ごく低速ではしなやかに動いてる足が、少しスピードを上げて道の悪い所を走ると途端にドタバタわなわなします。この車はオプションでサイズの大きいアルミとタイヤを履いてるのですが、まったくそれを履きこなせていません。速度をあげていくとそれなりに安定感を増し鷹揚な乗り味となりますが、それでも目地段差などのショックは素直に伝えてきます。
5気筒エンジンも、けっして6気筒の静粛性と4気筒の経済性を合わせ持っているわけでなく、独自の個性を持ったエンジンという感じです。加速していくと独特なボーッとしたエンジン音を出し決して静かではありませんが、馴染むと独特の存在感があることは確かです。アイシン製のATはシフトショックも少なく非常に優秀でストレスを感じません。
内装はボルボのオプションとして人気の革内装なれど質感はそれほど高くありません。むしろ革採用本来の意味である耐久性に重きがおかれてるように感じます。皮ハンドルなんかもカッチカチで、握り心地が良いとかしっとりしているなんてものではありません。また同時代のドイツ車と同じく、樹脂パーツの耐久性が低くて、プラッチック表面のゴムコーティングが必ずボロボロになってはがれてきます。爪の長い女性は天敵ですね。
スイッチ類の質感もそんなに高くなく、最後に触れますが、およそ価格帯と仕上がりが一致していない印象です。ボルボを象徴するアイテムのヘッドライトワイパーも実は弱点の一つ。不動だったり停止位置がおかしかったりするのが通例らしいので、さっさと配線抜きましたが、この辺りの品質の低さもどうかなぁ?と思います。
ただ前記したように、この車の全てはイスにあります。一見ごわごわしたような革も座ると優しくケツを包み込みます。フランス車を中心に、ケツが吸い込まれる絶品シートは多く味わいましたが、その多くは布シート。布シート絶賛でも革シートは一段落ちるなんて評価の車は山ほどあります。でもこのボルボの革シートは本当に素晴らしく全く疲れませんし、長く乗りすぎてもおできが出来たりもしません。ドタバタした足回りのショックも、このイスがあるからこそ我慢できるというモノです。冬場のシートヒーターのありがたさも含めて、本当にまずイスありきな車に思います。
ではまとめます。ボルボは価格の割に日本で人気が高く、アメリカ辺りとその価格を比べると、ある意味ぼったくられてるのが今回非常にわかりました(笑)。本来は質実剛健な実用車に過ぎないのに、日本法人のマーケティングが上手く、安全性の高い高級車だと思わす事に成功しています(安全性に関しては偽りないのでしょうが)。所有して感じたのですが、イスの出来が良い以外は非常に日本車に似ています。悪路でフロアがわなわなする感じなんかは、ちょっと前のマーク2みたいです。つまり日本車から乗り換えた時に、わかりやすい車なんだと思います。日本車の延長線上にありながら、それより安全でイスの出来なんかも良い。ああさすが外車だな、さすがスウェーデンの車だなと、納得満足しやすいわけです。
世界には同じような価格帯でもっと良いモノがあるんですけど、日本人のアンテナの感度が低くて知られてない悲しさです。少なくとも同時代のシトロエンC5の方が、はるかに味も濃くて出来もよくて良いモノ感があります。80年代までの「フランス車は壊れる」その印象が強すぎて日本人のアンテナが向かないのでしょうけど、少なくとも同世代同クラスのS60とC5を比べたら、S60の方が一世代古い車に思え乗っていて不安に感じる車です。中古で二桁万円なら解りますが、新車でオプション込みで500万弱払ってどうしてボルボを選ぶのかまったく理解できません。500万出せるならベンツのCの方がわかりやすく高級高品質ですし、350万でC5買って150万で豊かな暮らしをする方が幸せに思えます。
最近のボルボを試乗させてもらった感じでは、全く違う新しく安全な素晴らしい車です。でもこの世代のボルボは、まだ色々と変わる前の段階だったように思えます。長い間240シリーズを作り続けてきたことからも解るように、本来、変わらず安全なことに重きを置いたメーカーだったわけですから。それがデザインを始めようやく変わり始めたのが、このS60あたりからだったのではないでしょうか?形に一目惚れとかでないのなら、ボルボを買うならこれより古い世代の方が、味が濃くて正解。この価格この年代で考えるなら、他社の方が良い車多いと思います。
使用期間中の平均燃費(市街地9:高速1)7.8km/l