2001. 3.14 高橋誠
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[帆柱/マスト]のそばに立って、 |
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[ロウソク/ろうそく]の[火/ほのお]を動かすほどの風もないんだ。 |
candle flame |
水車小屋の池のようだった。 |
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のぼる朝日がなげかけるきらめく光の[筋/すじ]が、 |
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「かなり[/、]のぞみうすだよ。」 |
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ディックは[あたら/新]しいことを思いついた。 |
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もう一度あの鳥を見にいっても[だいじょうぶ/大丈夫]ですか? |
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すると、[今度/こんど]はその連中を収容するために、 |
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ほんのちょっとだが風の[気配/けはい]がするんだ。 |
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[だいじょうぶ/大丈夫]、吹いてくるよ。 |
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よし、下へ[行/い]って、機関士を |
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「ロジャ! [エンジン/機関]だよ!」と[/、]さけびながら、大[急/いそ]ぎで階段を |
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「[彼/かれ]らも、あとで[足/た]りない分はねむれるよ。」と[/、]ひとりごとをいいながら、[昇降口/階段]をおりた。 |
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水夫たちが寝だなから[、/]ころがり出てきた。 |
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「[探/さが]しに出ていくんだ。」 |
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ロジャが[困/こま]りきった顔で、 |
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「タンクはほとんどからです[。/、]船長。 |
‘Tank’s nearly empty, Sir,’ |
[タイヤ/帆結び]が帆からとりのけられた。 |
Tyers were cast off the sails. |
ジョンとナンシイは[巻揚機/ウィンチ]を動かしていた。 |
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ペギイが[帆柱/マスト]のてっぺんに旗をあげると、 |
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[タケ/竹]の旗竿からだらりとたれた。 |
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「船は垂直に上下しています、 |
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という音が[エンジン/機関]からきこえてきた。 |
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ディックが身をのり[出/だ]すと、 |
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「[エンジン/機関]準備[終/お]わりました。」と、ロジャが甲板に[上/あが]ってきていった。 |
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と、ジョンが大声[に/で]いった。 |
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「[舵/かじ]をたのむ、ナンシイ。[舵/かじ]中央を維持してくれ。 |
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[エンジン/機関]の音が変わった。 |
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メ[ー/]ンスルがゆれながら[上/あが]っていき、 |
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ステースルも定位置まで[上/あ]がって、メ[ー/]ンスルとおなじように、 |
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と、機関室[昇降口/のハッチ]をあけたままにして |
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「いま、ひとりいるわよ。」と[/、]つけくわえた。 |
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「一晩[中/じゅう]、わたしたちを |
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[彼/かれ]らのほかにも、 |
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ゆっくりと外海に[向/む]かって進んで[行/い]く時、 |
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男は手をふって[答/こた]えず、 |
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じっと[彼/かれ]らを見ていた。 |
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「がんこおやじは[/、]ぴったりだわね。」 |
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シロクマ号がしずかに[持/も]ちあがった。 |
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探[険/検]家たちは、それっきりゲール人のことを |
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[帆柱/マスト]のてっぺんの小さな旗が、 |
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メ[ー/]ンスルが風をはらんだ。 |
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メ[ー/]ンシートがうまく締まらず、 |
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ジブは船首前に張り[出/だ]してあり、 |
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船を進めているのは、やはり[エンジン/機関]だった。 |
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「北西の風が吹き[出/だ]しそうね。」 |
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どのくらいで[行/い]ける?」 |
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来年の[今頃/いまごろ]だね。」 |
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「[舵/かじ]をとりたい人は? |
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なぎの時だけしか[舵/、かじ]をとらせてもらえないことに[/、]たびたび不平をいっていたからだ。 |
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「しかし、[羅針儀/コンパス]なんか見てなくてかまわんよ。 |
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[エンジン/機関]はとめなくちゃならんだろうな。」 |
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フリント船長は機関室[昇降口/のハッチ]のすぐ中側にかけてある |
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ガソリンタンクの注入口のふたをはずし、 |
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「[エンジン/機関]、中立位置だ、 |
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[エンジン/機関]がとまった。 |
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まだ[舵/かじ]がきく程度には船が動いていることをたしかめようと、[舵/かじ]をほんのすこし動かしてみた。 |
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ほんとうに大オオハムかどうか[/、]まだわからないけど。」 |
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あそこまで行くのに、長い時間がかかる。 |
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朝ごはんは[食/た]べた[方/ほう]がいいわね。」 |
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「きみも小説を書きだしたのかい?」 |
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甲板にのこってほとんど動かない船の[舵/かじ]をとっているドロシアのことを考えて、[昇降口/階段]をちらと見上げた。 |
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紙切れには[</「]パン、牛乳[>/」]としか書いてなかった。 |
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あしたの朝ごはんは、ずっとおいしくな[ります/る]わ。」 |
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「もう三日も生[ま/]の牛乳が切れてますから。」 |
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食事をしに船室におりるドロシアと[変/か]わって、[舵/かじ]をにぎった。 |
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[舵/かじ]をにぎるねうちが |
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だれも真剣に[舵/かじ]をとるとは |
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テロダクティル号に海上で出[会/あ]うか |
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その瞬間、[舵取/かじと]りは真剣な仕事になっていた。 |
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両手で[舵/かじ]をにぎりながら、[一心/いっしん]に[羅針儀/コンパス]をにらみ、遠くの岬をながめ、また[羅針儀/コンパス]をにらんでいた。 |
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フリント船長が、[羅針儀/コンパス]をのぞきこんで[、/]いった。 |
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「真正面が見えないよ。」 |
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その風はのぞみどおりには[、つよ/強]まらなかった。 |
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どんどん[よわ/弱]まりつづけたかと思うと、 |
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ディックは[羅針儀/コンパス]と遠くの岬だけしか |
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内陸の丘陵[が/を]背景に[なって/]、 |
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ディックは大声[に/で]いった。 |
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[向/む]きが変わって、今までと反対に[なが/流]れだしたにちがいない。」 |
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「それだけのこと[だよ/さ]。」 |
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船首がたえまなくたてるさざ波を見[下/おろ]しながら、 |
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船をおしもどす潮の流れの[方/ほう]がはやい。」 |
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船が帆[で走/をつか]って進んでいるのに、 |
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じりじり[あと/後]もどりしているのがわかる、 |
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いかりをおろした[方/ほう]がいいんじゃないかな?」 |
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「うずの中の六時間ね。」 |
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やがて湾への入[り/]口も見えなくなった。 |
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絶壁のまわりにカモメ[がむらがりとんで/の群れがとびかって]いるので、 |
cloud of gulls about the cliff |
入[り/]口のありかはわかった。 |
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そのてっぺんにつくった住居の入[り/]口から、 |
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望遠鏡を[向/む]けた時には、 |
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ロジャたちが探[険/検]した谷間を |
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湾がある方の谷は人が |
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[後/あと]をつけられるまでは、 |
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もう一度、[南に||ゆっくり]進みだした。 |
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もう一度、風がつよまり、[/また]弱まった。 |
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テロダクティル号に[上/乗]船して、 |
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本土へわたるのがあと一日おくれるとすれば、 |
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[彼/かれ]らは海にいる。 |
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潮にのって矢のように北に[向/む]かうのを、 |
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風がないために[エンジン/機関]と機関士が役に[た/立]つ、だいじなチャンスがやってきた[、/]ちょうどその時、 |
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[果物/くだもの]のかんづめも、 |
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全員が甲板でおひるを[食/た]べた。 |
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しかし、二時[頃/ごろ]になると、 |
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だれもが[舵/かじ]をにぎりたがった。 |
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港までずっと[向/む]かい風になるんだ。 |
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[だいじょうぶ/大丈夫]だよ、スーザン。 |
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今晩は本土へわたらんよ。 |
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ヘッド岬に近づいた時がお茶の時間だった。 |
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帆をぐるりとまわして、[帆あし綱/シート(4)]をたぐりこみ、風上に[向/む]かった。 |
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シロクマ号はまるで水車[/小屋]の池を進むように、 |
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[ロジャが/]のこった一口分のお菓子を腹の中にながしこもうと、[/ロジャが]だいじにとっておいた |
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[帆柱/マスト]のてっぺんの小旗が、 |
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もう、しずかに水を切って進んで[はいず/いるのではなく]、 |
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シロクマ号が実力を[見/み]せたという感じだった。 |
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桟橋にならぶ漁船の[帆柱/マスト]の林が見えた。 |
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港の入[り/]口のすぐそばまできていた。 |
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ずんぐりした[帆柱/マスト]と操舵室をそなえた |
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「テロダクティル号より礼儀正しいわ。」 |
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[あたら/新]しく掃除してもらうと、 |
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ほとんど港の入[り/]口にはいっていた。 |
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「ロジャ、[エンジン/機関]を動かしてくれ。」 |
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シロクマ号は[エンジン/機関]の音を[立/た]てながら |
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なわばしごをかけのぼって[墻頭横材/クロストリーズ]まであがった。 |
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操舵室を見[下/おろ]して、うなずいて[見/み]せ、 |
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あれの[方/ほう]がわしらよりずっと早く本土につく。 |
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ナンシイとジョンは前部甲板へ[行/い]ってくれ。 |
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「[結局/けっきょく]間にあったのね。」 |
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[エンジン/機関]の音がとぎれたかと思うと、 |
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ぎりぎりしかのこっていなかったな。」[と、/]フリント船長が、 |
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もう、[だいじょうぶ/大丈夫]。[エンジン/機関]をとめてくれ。」 |
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143 |
[エンジン/機関]がせきをして[、/]とまった。 |
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シロクマ号は、[向/む]きをかえて、 |
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フリント船長は[舵/かじ]をしばって固定してから、 |
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[だいじょうぶ/大丈夫]だ、ディック。 |
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メ[ー/]ンスルには[タイヤがのせ/帆結びがかけ]られ、 |
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手帳を手に[持/も]って待っていたが、[向/む]こうにいるモーターヨットを見て、 |
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「ジョンにこいでいってもらった[方/ほう]がいいよ。あまり時間をとらないようにな。 |
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またがまんして[あ/会]ってくれるように |
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[オオ/大]ウミガラスのことをききにいくのよ。」 |
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(1) メ[ー/]ンシート――[/メンスル(]主帆[/)]を制御する |
訳注 |
[羅針儀/コンパス]の目盛りの一つ[、/。]南東微東[のこと/ともいう]。 |
果実や脂肪[を/と]つきまぜ、 |
[/(4) シート――帆を制御するための綱。] |